2024¶
memo¶
写像の記法¶
「$x$に$f$を作用させ、その結果に$g$を作用させ、その結果にhを作用させる」のが$h(g(f(x)))$なのは記号の失敗だと思う。 ベクトルと行列の場合は、横ベクトル<v|を主役にして<v| A B Cのように書けば直感と整合するのだが、やっぱり関数の記号と違うので、これを主流にするのは無理だろう。
代数だとxfghのような記号を積極的に採用する場合がある。 反転環のような概念がある。
念の為これに関してですが、写像の定義域の要素を自身への定置写像とみなし、写像の合成を写像の空間の積とみなし、合成の結合律を前提に余計な括弧も外せるところまで、写像のレベルで整合的な記法です。
IUT関係で数学の肌感覚が通じていなさそうな事案¶
IUTの件の例のブログ記事とそれへの反論を読んだ感想。論文の中の「無礼な表現」に関しては、仮にSS氏の指摘が完全に的外れでも無礼だと思った。また、SS氏と議論があったなら、(詳細は文書を参照しろとして)さらっと触れておくくらいはしても良いと思った。しかし、 認識が少し変わったのは内容の評価で、自分自身がそれまで不審に思ったのは、「本当の専門家以外、詳細が分からないのは仕方がないが、隣接分野なら雰囲気くらいは掴めるのではないか」と思っていたから。たしか、IUT側に立ったツイートで、「ゲーデルの不完全性定理の証明を知らなくても、皆疑わない だろう」というのがあったのだけど、しかし、数理論理学をきちんと勉強したことはなくても、計算複雑性の理論を知っていれば、(第一定理の方は)雰囲気くらいは想像でき、定理が正しいだろうな、とは思える。なぜIUTの場合は似たような状況にないのか、というのが不思議だったが、例の反論を読むと、 IUTも状況はだいたい同じで、反論の筆者氏は詳細は確信が持てないものの、「雰囲気はなんとなく」という状況にあるようだ。そして、SS氏が同じ理解に至れなかったのは、分野がひどく違うからとのことで、そこまで激しく専門分化が進んでいるとは驚きではあるけれども、今の段階では ひょっとしてこういうこともあるのかな、くらいの心境ではあります。分野が違いすぎて雰囲気すらも分からないので、判断はつかないのだけども、以前のかなり良くないイメージが少しポジティブ側に変わった感じですね
修士までしか進学していない身ではありますが、同じ研究室の学生であっても相手の研究が全然わからないのはよくあり、指導教員もスタイル次第(例えば「作用素環を専攻するなら細かい内容はこだわらない」)では指導学生の研究を理解できないのもよくあると思っています。
「分かる」「分からない」の完全な二分ではないだろう、その中間はあるんじゃないか、というのが自分の疑問でした。況やSS氏らは、彼らの独自のバージョンに書き直すまでしていて、これはかなり理解していないと出来ないので。 今回、そこに説明があったので、印象が変わったわけです。
どう考えるかによりますが、「全体的な雰囲気はわかる」はいくらでもあるにせよ、技術的細部まで含めるなら中間はなく、完全に理解か全くわからないの二択だろうと思います。手元にないのでうろ覚えで書きますが、深谷賢治「数学者の視点」に確かフィールズ賞講演に関連して次のような内容がありました 確か代数幾何の話で「講演は素人にはわかりやすいと評判だったが、専門家には自明なことしか言わないと極めて不評だった。自分が心血を注いだ業績を理解できる人がこれほどまでに少ないのは彼にとっても残念でならないだろう」のような記述があったと思います。論文のレベルだと そのままでは素直に成り立たないのを回避するべく膨大な遠回りが必要だったり、それに関する技術的細部をギチギチまで詰め切って、反例が出てくる余地を全て潰す必要もあります。分野によっては膨大な予備知識が必要でそれを縦横無尽に使い倒すタイプだとその知識と高い運用力まで必要です。 他には一旦まとめて議論が書かれればそれに沿って追える場合はあってもとんでもない剛腕で凄まじい計算を殴り伏せるようなタイプだとこれもやはり同じレベルの剛腕を持つ人間にしか突破できない可能性があります。共同研究者レベルで専門が本当に極めて近くないと手に負えない内容は一定以上ある肌感
とんでもないところから凄まじい反例が飛んできて、普通一つあれば無限の反例が生成されてもおかしくありません。一切の妥協が許されないのは雰囲気として通じていても、それが現実的にどれだけ厳しい要求なのか肌感覚として数学外と共有できていないのではないかという気もします。 あと、この水を漏らさないレベルの議論は本当にギリギリ最低限の満たさなければならない水準というだけで大した価値はなく、重要なのはあくまで内容の面白さというのも肌感覚として共有しきれていないのではという気もします。
解析学のための代数¶
解析学布教用アカウントが代数やってるのさすがに良くない
代数解析・関数論・幾何解析・作用素環など一定以上の代数が必要な場合はよくあります。作用素環も私はほぼ代数を使わない方ですが、竹崎先生から「当時色々悩む中で代数面をある程度鍛えておいて本当に良かった」と伺った記憶があります。確か冨田竹崎の研究でもその習熟が役に立った話だった記憶。
いわゆるコサイクルなどは今となっては学部三年でも知っているような話だとは思いますが、冨田竹崎理論は1967年の冨田論文が最初で、圏論は1945年、専門家内でのホモロジー代数の発展はあっても外、とりわけ解析系に出てくるのは多分1960年でも厳しかったのではないでしょうか。
実際に冨田竹崎理論でコンヌコサイクルという概念が現れます。コンヌコサイクルの発見・発展に関して「あれは自分がやりたかった」「なぜ気づけなかった」という話を竹崎先生から直に聞いた記憶があります。勉強と研究は違うので色々知っていればいいわけではないものの、本当にこういう話もあります。
あと、岡潔が解析だと呼んで憚らなかった多変数関数論で、その主要で決定的な業績の一つが不定域イデアルの発見(層)だったりするので、いっそ代数は解析のためにあるくらい強弁していきましょう。
小玉英雄「Lie群とLie代数」PDF¶
小玉英雄さんが公開している「Lie群とLie代数」がすごい!
素粒子物理、場の量子論、弦理論で使いそうなLie群とLie代数に関する定義、定理、色々な具体例が書かれていて役に立ちそう http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~hideo.kodama/monographs/LieGroup_v20230503.pdf
場の量子論驚き屋¶
「だれでも人生で描くイラストの最初の一万五千枚は下手だから、絵が上手くなりたいならそれを描き切っちゃえば良いんだよ。」¶
ディズニースタジオに30年以上勤める伝説のアニメーターが「だれでも人生で描くイラストの最初の一万五千枚は下手だから、絵が上手くなりたいならそれを描き切っちゃえば良いんだよ。」って笑顔でおっしゃってたのを思い出すたびに、プロとは何かを思い知らされます。
計算の楽しさ¶
数学で理論構成やきっちりした議論の連鎖などより計算が好きという人もっとたくさんいていいと思うし, 何ならいたほうがいいと思うがカバーするコンテンツが全然ない気がする. 私の近所だと物理関係に行くかPDEの計算・特殊関数の計算などならある程度コンテンツの量がある. 古めの工学系文献も面白そう. プログラミングを使った各種計算に行ってもいいとも思う.
関数解析系の非線型偏微分方程式論¶
今はどうか知らないが、私が学生の頃、(関数解析系の非線型の)偏微分方程式論は良い方程式の良い問題が見つけられれば、もしくは適当な手法なり何なりを他の方程式に適用してみるみたいなところでも修士でも面白い論文が書けることはあると言っていたから、勉強たくさん必要な分野本当につらそうでひどく厳しいな、という気分がある。今の非線型の偏微分方程式、どのくらい研究までのパスが短いままなのだろうか。関数解析系の非線型の偏微分方程式、人も多い中でまだまだ修士くらいでも手が出る話が多いなら、とにかく研究をしてみたい人には本当にいい分野なのではなかろうか。 もはや博士取ったからといってそのまま大学に残るわけでもなく、数値解析系や応用数学的な方向への興味まであるならなおのこと遊べる範囲が爆発的に増えていつまでも遊び倒せて趣味と、場合によっては実益を兼ね備えたいい分野だと思う。
物理のための線型代数教育¶
格子模型(とりあえず私が知っているスピン系・ハバードあたりで格子QCDもそう?)のいいところ, 線型代数だからとにかく計算できるのと 磁性モデルだと子供の頃から親しんでいる磁石の話で「わかる」のと, それが現代物理でもまだまだ未開だというのと, コンピュータに計算させるのもそんなに簡単ではない(ちょっと大量にしようとすると破滅的に時間がかかる, 誤差もつまれる)とか, 教育的な要素も大量に詰まっているあたりが本当に良いと思っていて, 物理の人はもっとうまく教育に仕込めば良いのに, と思っている.
対角化も数学だとやたらさらっと終わるが色々考えると面倒なのもいい例ある. あとは行列は和を取るだけでもう大体意味がわからなくなり, それがまた面白いみたいなのももっと強調してほしい. ハバードだと激烈にわかりやすい波を表す(表してほしい)運動項と, オンサイトの斥力で, その和を取るとあら不思議, 現れたり現れなかったりするとか, 和を取るだけでお前何がどうなった, と今もみんなが謎を感じるあたりがただただすごい. これを計算でどう追いかけるか, せめて数値的に何か見えないか, 何をどうすればどこまで追えるのか考えるのはとても楽しいと思う.
線形代数の場合に本当に必要だったのは「どんな基底を使って計算しても結果が同じであること」であったのにいつの間にか「基底を取らずに計算すること」にすり替わっていた¶
リストに入っているデータを処理する際に添え字でforを回すのとforeach的な機能を使うことはどう違うのかについて急に直感が生えてきたんだけど、これは問題として線形代数のときに基底をとって計算するかどうかの話ととても良く似ているわけですね(´・ω・`)
線形代数の場合に本当に必要だったのは「どんな基底を使って計算しても結果が同じであること」であったのにいつの間にか「基底を取らずに計算すること」にすり替わっていたのと同じ現象が起きているわけな(´・ω・`)
線形代数の場合に基底の取り換え操作(ユニタリ行列)との可換性でその普遍性を記述したように、リストの場合にはパミュテーションに対する可換性で普遍性を議論すれば良く、それは関数の性質であってしかも結合的なので〜ってなるわけな(´・ω・`)
この関数は第二引数のリストについて任意のパーミュテーションについてIOとして可換みたいなアノテーションが関数について付けれて、その関数を使って別関数を書くと自動的にその性質が推移してくれるとうれしい、みたいな事を暗黙に思っていたわけやな(´・ω・`)
物理の本によくある量子力学の数学的記述に対する数学的厳密化¶
=ψ(x)は関数ψの値であるとのご意見をいただきました。その場合のこれについて納得が難しいので,他の方の説明をできれば聞きたいです。確かに清水量子では良く読むとそのような扱いがされていました。
基本的な数学力が全く足りていないようなので以下の記述はほぼ理解できないと思いますが数学的に標準的な理解だけざっと書きます。普通は清水量子でゲルファントの三つ組として記述がある枠組みで議論します。書くのが面倒で特に意味もない(意味がないのがわからないなら初手から何もわかっていないと思ってください)変わらないためψのケットは単にψとし、タイプも面倒なため単にfとします。fを緩増加超関数とすれば位置作用素xは緩増加超関数空間でかけ算作用素として作用素とみなせ, この空間上で(一般化)固有値展開できて, <x|はこの固有関数とみなせます. (L^2では固有値とみなすと数学的には問題でスペクトル分解の枠で議論しなければならない一方で緩増加超関数空間上なら適切な意味で固有値分解として議論できます. この区別ができない数学力でこの周辺の議論はできません.) 念のため書いておくとこの議論のもとで
この正当化を議論するには多少物理の具体的な系での結果を考える必要があります. 場の量子論はともかく, 量子力学の(初等的で)具体的なハミルトニアンではハミルトニアンは適当な形で数学的な意味で固有値を持ち(一般のスペクトルの要素ではなく点スペクトルという意味), その固有関数は実際に急減少関数です. 調和振動子の固有関数がガウシアン(と多項式の積)で実際に急減少関数です. 物理的に重要なのは一般の波動関数ではなく, 具体的なハミルトニアンに対する具体的な固有値(またはその固有関数)で, さらに具体的なハミルトニアンが点スペクトルの意味で固有値を持つ上でその固有関数が全て急減少関数だと仮定できるならfが住む空間としてヒルベルト空間ではなく急減少関数の空間を指定しても特に問題はありません. 上で書いたように少なくとも調和振動子はこの仮定をみたします. ちなみに量子力学の時点で数学的には破滅的に難しく研究最前線のレベルになるため, どこまでこの仮定が適切かわかる人(数学者・数理物理学者)は現時点でもたぶんいません.
(場の量子論ではなく)量子力学をゲルファントの三つ組を前提にして議論している人達はいないとは言いませんが, ほぼいません. 専門でもないので適切な文献は知らないのですが例えばhttps://arxiv.org/pdf/quant-ph/0502053のようなプレプリントを2005年に書いている人はいます. 別の事情で場の量子論(の数学)ではゲルファントの三つ組を使う定式化があります. 場の量子論の一般論(公理的場の量子論)についてはhttps://en.wikipedia.org/wiki/Axiomatic_quantum_field_theoryにもあるBogoliubov et. al.の本がよく勧められます. 場の量子論での経路積分(数学的には汎関数積分と呼ばれる)でもゲルファントの三つ組は現れ, 新井朝雄先生の「量子数理物理学における汎関数積分法」ではミンロスの定理の定式化でゲルファントの三つ組が現れます. ちなみにどちらの本を読んでも物理的に何か得られるものはほぼありません. 新井先生の本は一通り読みましたが, Bogoliubovの本は学生時代に読もうとしたものの細部がほぼ全くわからず, 一通り眺めただけで私程度の数学力では細部が全く理解できませんでした. 取り組みたければ取り組むのは構わず, 本当に趣味で好きにすればよくて私は実際に物理から院で数学科に行く程度に趣味全開でこの分野に突っ込んだくらいですが, 数学ではなく物理をやりたいなら勧めません. これが物理の基礎として重要とも思えません.
公理的場の量子論ではなく具体的な系を具体的に調べる分野を構成的場の量子論と言い, 新井先生はこの分野の専門家です. Twitterにもいる田崎晴明さんと共著で「相転移と臨界現象の数理」を書いた原隆さんも構成的場の量子論の専門家で, このあたりは現役の研究者がいくらかいます. 公理的場の量子論的な議論はいまは多分作用素環による代数的場の量子論の人達くらいしかおらず, これは日本だと数学サイドから東大の河東泰之先生がいます. 海外だとドイツ・イタリアあたりにいます. 私は代数的場の量子論をやろうと思って難しくて手に負えなかったため, できる範囲から取り組もうと思って非相対論的な構成的場の量子論の具体例で鍛えて修士の二年を終えた程度の数学力と物理の知識しかありません.
詳細な議論をありがとうございます。物理の本で∫
dxという積分が出てくるのですが, が急減少関数fの位置xでの値であるなら,この積分はどのように解釈すればよいか教えていただくことは可能でしょうか?
物理の計算として文字通りによくやっている計算(が数学的に正当化できる)でしかなく、この理解も間に合わないなら今の時点で何を考えても無駄です。結論だけ言えば
関数fは積分できると思いますが,値f(x)を積分するというのが,よくわかりません。たとえば∫_[0,a]f(x)*f(x)dxはa|f(x)|^2になるような気がしています。私が何か根本的な間違いをしていると思うので,その箇所を知りたいです。
そこまで何もわかっていない、はっきり言って論外な人に説明するのはあまりに面倒なので、もし理解したいなら真面目に数学してください。多分基本的な数学の記号の定義さえわかっていないでしょう。本当に論外です。主張を字面通りに見るなら高校の数学をそもそも知らないくらいのレベルにしか見えず、根本的な勘違いですむレベルでさえないです。
B4とのことなので一応書いておくと、数学の勉強みたいな話はただただ瑣末な話題で、大事なのは「物理の基礎」と「物理の記述の数学的厳密化」には何の関係もなく、どちらがやりたいのかはっきりさせる以前に、「物理の基礎とは何か?物理学者が重要と思う基礎やそれにまつわる問題は何か?自分はそれを面白いと思うのか?」を本当にきちんと考えて明確化することです。今の指導教員含め、特に興味がある分野の研究者に具体的に聞いてみると良いです。ついでに言えば、それらの問題を適当な意味で数学的にきちんと議論しようとするとフィールズ賞クラスの数学力さえ必要な場合があります。ウィッテンは有名だと思いますが、直近の2022年のフィールズ賞でコパンはhttps://hatsumeihakken.com/fields2022jyusyou/などにあるようにイジング模型周辺で本当にフィールズ賞を受賞しているため、物性・統計力学として暴力的に単純なイジング模型でさえ数学者として現行人類最高峰の力量が要求される場合があります。
物理の学生がどれだけ数学をわかっていないか, そして人文・社会科学系への数学がどれだけ知的虐待にあたるのか¶
複数人から教えていただいたのですが
は関数ψのxでの値ψ(x)であるというのが正しかったです。ただまだ自分の中で消化しきれてない部分があって,対面で人から教わりたいと思いました。 調和振動子の基底状態の位置表示を求めるときにこれが出てくるのですが関数というのは定義域と終域の直積の部分集合のうち全ての定義域の要素に対して終域の要素がただ一つ存在するもの,値ψ(x)は終域にいるやつ 関数ψは微分できるが,値ψ(x)って複素数であって微分したらゼロになって微分方程式は出てこないのでは,って変な疑問ではないと思っているのですが…
単に雑な記法を使っているだけで、関数\psiに掛け算作用素と微分作用素を作用させた((x + k d/dx) \psi)という関数に対してその値を取った((x + k d/dx) \psi)(x)を(x + k d/dx) \psi(x)と書いているだけです。xが色々な意味で使われていてややこしいと言えばややこしい記述ではあります。
今更驚くほどでもないが、物理のB4でも「ここまで数学を知らない・わかっていないのに数学的な話をしたがる」事案に改めて出会って、理工系の最低限の数学のラインは本当に低くところに引けるのがわかり、改めて人文・社会科学系に数学を課す知的虐待がどこまで非人道的か知って涙している。
先日B4で物性とトポロジー、物理の基礎に関心があると主張する学生が高校レベルの数学の略記法(行儀は良くないが熱力学をはじめ物理はもっと酷い記法を乱用する)がいまだにわかっていないようだったが、その状態でトポロジー関連もわかっていなくても使い倒せるようだし、それでいいというよりそれがいい。細かい数学的事情を気にしていたら、院レベル・研究レベルどころか学部の物理さえどうにもならないのだから、より一般に非数学の人間は数学の細かいところの理解など気にせず使い倒してほしい。数学は数学でいい加減なことを言う人間に対してどんどんブチ切れればいい。 殴り合う必要もなくて、互いに遠くでブチ切れ合っていればいい。
フォックによるランダウの力学への批判¶
最小作用の原理は、数学的な厳密性を捨てると「始点と終点の座標と時刻を固定したときに、運動は作用汎関数を最小にするように決定される」と言えます(実際ランダウはそう言っています)。しかし、フォックはこれを「文字通り」に解釈するランダウの教科書は問題があるといいます。フォック曰く、球面上の質点が北極から南極へ移動することを考えなさいと。始点(北極)と終点(南極)を指定しただけでは運動は決まらない、質点がどの大円を通るかその運動は北極での速度を指定して初めて決まるでしょうと。
また、ランダウの教科書には「質量が正であること」を「最小作用の原理」から導くという前代未聞の画期的な議論があります(!)。これもフォックはナンセンスだと切り捨てます。ランダウの議論を簡単に紹介すると、もし質量が正でないと自由粒子の作用が自由運動に対して最小ではなく最大になってしまう、というものです。しかし、フォックはそもそも「最小作用の原理」は物理的運動は作用汎関数の「停留点」であるということを言っているだけで、最小値が運動の実現になっていない場合がいくらでも作れるので、ランダウは「最小作用」という文字に騙されている(!)と主張します。よって、質量が正であるランダウの証明は馬鹿げていると。
一つ言えるとしたら、ランダウ・リフシッツの理論物理学教程は数学的に厳密だ(から難しい)と言うのは誤解で、物理を数学の上に置くような考えに基づいた教科書であるということです。
フォックの考えた、始点と終点の位置で運動が決まらない可能性があるという現象は、経路積分の作用汎関数のゼロモード、モジュライとして現在の理論物理学ではよく知られています。この寄与は特別に考える必要があって、超対称性がある理論ではこの寄与だけが量子力学の経路積分の計算に効くということが多々あります。
もう一つの作用が「最小」なのか?ですが、経路積分のテクニックとしてユークリッド化というものがあります。自由粒子の質量が「負」であっても、古典力学ではまったく問題ないのですが、量子力学を考えようとすると、ユークリッド化された経路積分が定義できるか?という問題と深く関わります。また、最小でない極値が果たす役割というものも最近の量子力学の漸近解析(リサージェンス理論)などで活発に議論されています。また、一般相対性理論のアインシュタイン・ヒルベルト作用はアインシュタイン方程式の解が作用の最小値ではなく、あろうことか作用は正に負にも抑えられていないという事実が量子重力理論の経路積分による定式化の困難の一つとして知られています。量子重力が完成した暁にはフォックとランダウのどちらに軍配を上げることができるのでしょうか?
統計物理学と統計力学の違い¶
個人的に統計物理とは何か、で最もしっくりきているのは京都の齊藤グループのホームページに書いてあるこれで、自分がこの区別を説明するときも大体これを頭に浮かべている。
画像はあくまで統計物理が統計力学よりも広いものであり、言葉の違いにとどまらないことを説明しているだけのものです。私は区別を説明するとき、まず両者が同じでないことを指摘することがよい導入になると思っているため、この画像が頭によく浮かびます。 明確な区別の本筋はHPには書いていませんし、またSNSで正確に議論できるようなものでもないと思います。 まずは統計力学について、すでに勉強を始められているかもしれませんが、自分で勉強し自分の言葉で説明できるようになっていくのがとてもよいと思います。
齊藤圭司研の研究概要ページでの統計物理学の説明, 「既存の物理学の枠にとらわれることなく」と言っていつつ, 今まで見てきた限り数学的技法としての統計力学の手法が使えたところに適用対象を拡張しただけで, 数理モデル化で苦労するのだろうが最終的に統計力学の手法に強く頼った分野でしかない印象がある. 例えばhttps://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g012442だと統計力学で培った議論のアナロジーが発動しそうで, 実際発動してそこそこ合っている(ように見える)話で, 数理モデルが一致したからできた点がかなり強く見える. もちろんアナロジーの発動点を探すのは大変と思うが, 究極的に統計力学の頭の使い方を出ていない印象を受ける. 広義統計力学だとすわりが悪いから統計物理学と呼ぶことにして, その他はアカデミア内部での政治的な主張として自分野を上げる美辞麗句という印象. 学生がそういうのに憧れるのはわかる.
経路積分の数学的問題¶
そういえば、経路積分って数学的にヤバいみたいな事を聞いたことあるんだけど、それはどういう面がヤバいんだろう? 物理で数式を扱う感覚からすれば、いつも通りの扱い方をしている(変に恣意的な事をしていない)と思ったが
大体全て問題で、存在からして極めて非自明です。構成的場の量子論の大きな課題で、実は相対論的な場の量子論ではφ^4の4次元以上で自由場しか存在しない(相互作用場が得られない)ことが知られています。φ^4は漸近的自由ではないため、物理からすれば大した問題ではないとは言える一方、
数学的には漸近的に自由な場の議論はあまりに難しくほとんど何もわかっていませんQEDさえ極めて非自明でほぼ何もわかっていないのではないかと思います。 非相対論的場の理論では状況がもう少し緩くなっていて相互作用場の存在もわかっていて、それに対応する経路積分による議論もありますが、物理として満足なレベルまで到達していません。
話が少しずれたため元に戻すと、何が難しいかといえば、経路積分の定義以前に相互作用場の存在そのものが問題で、それをクリアした上で実際に相互作用場に対する経路積分論よ数学的定式化(適切な非ガウス測度の存在・構成)がそれ自体論文になる程いまだに困難で個別の具体例で確認されている程度です
気分としてはナビエ-ストークスとミレニアム問題を想像してもらうとよく、物理では解の存在と適切な一意性は前提にしてその性質を議論したいのに、いまだに存在と一意性が数学的には大問題なのだと思ってください。あと難易度に関してもう一つ参考になるのは2022年のコパンのフィールズ賞です。 物理でもよく知られているように、統計力学の相転移・臨海現象と場の量子論には深い関係があります。特にイジングはφ^4と深い関係にあり、そのφ^4に関する結果でコパンはフィールズ賞を取りました。イジング・φ^4如きのおもちゃでさえ数学的にはフィールズクラスの大難問です。 しかも場の理論の物理としては面白くも何ともない結果で、もっとまともな系ならうまくいく可能性があるとはいえ、それは人類クラスの大難問なのでとてもではないが現行人類の手が出ないような状態です。その意味で初めに大体全てが問題と書きました。
「非数学科の数学」をヌウガクと読んで区別したい¶
数学科以外に数学科の数学を押し付けるな事案、数学科以外が数学科に非数学科の数学を押し付けない方から始めてほしい。
これ、いちいち「非数学科の数学」みたいなまどろっこしい言い方は面倒だから、やはり「非数学科の人間が数学と称する何か」として「ヌウガク」を定着させたいし、何なら非数学の人は自分が欲しいのは数学ではなくヌウガクだとして積極的に発言して欲しい。
よく「数学科向けの数学の本がわかりにくい」とか文句をつけてくる異常な非数学の人間がいますが、ただただ「お前たちに向けて書いていない」事案をギャアギャア言ってくるのに本当に辟易しています。
数学での厳密性の潮流¶
教科書はそれだと困るかもしれないけど(というか困るけど)、論文だと数学ですら厳密性のげの字も無いくらい大らかなこともままあるゾ(昔の論文だと出くわす確率が特に高い) というか、厳密厳密言われ出したのってここ百年くらいの最近の潮流なんじゃない?知らんけど
数学史に詳しいわけではないためいつからどの程度厳密性が気になってきたのかは分かりませんが、コーシーのε-δによってそれまで教科書にまことしやかに書いてあって言明が間違っていた事案が一定量出てきて、きちんと詰められる部分は詰めないと簡単に間違える・反例が大量生成されて困るごく実際的な問題(とその解決策の発見)に起因するのではないでしょうか。あと平井武「線型代数と群の表現II」に書いてあったと思うのですが、少なくともロピタルの頃はロピタルの定理の証明として具体例の計算が三つくらいあるだけだったみたいな記述がありました。(言明自体どの程度シャープかもかなり非自明)(確か本には論文の一部の写真が載っていたような記憶)あとはどこかで「アティヤは『厳密性は時間の関数だから自分は気にしない』と言っていた」みたいな記述を見た記憶があります。何にせよ今や変な言明を見たり自分の議論の粗探しに反例を作りたくなるような種族と化した現代の数学の人間が厳密ではない議論を見たらとりあえず突っ込むのはむしろ数学科教育の賜物でよい話だと思っています。人間社会で生きるために言い方などが問題になるのはまた別の話でしょう。
誰だか忘れましたが、コーシーのε-δとそれによる精密化が出た時、自分の教科書に間違いがないか探したという有名な数学者のエピソードがあります。あとは厳密化の権化としてのエピソードがあるワイエルシュトラス(リーマンの変分的な議論で解の存在が非自明と言って実際に反例を作った)みたいな話もあるので、詰められる道具ができたのと、実際にそれで教科書に(多分少なくない)間違いがあって困ったのと、そういうのが好きまたは得意なバーサーカーがいて困る事案を大量に作り、その文化が育つ素地が19世紀にようやくできたのだろうとは思います。
リプありがとうございます、大変ためになります。アティヤの『厳密性は時間の関数だから自分は気にしない』は金言ですね 一応ですが↓ツイートの通り、自分自身も、厳密さが分かりづらさを損なうって言説には懐疑的で、厳密さはあればあるほど良いって立場ではあります
"""理解した"""サイドから、所謂わかりやすい教材を眺めると稚拙に見えるのは往々にしてあるけど、理解度毎に適切な説明のされ方ってのは当然あると思う …と前置いた上で、厳密さが分かりやすさを損なうことはほぼ無いと考えており、行間を冗長にするか省略気味にするかの差しか無くない?ってハナシ
分かりづらくなるのは一般化・抽象化の方で、特に一般化のうちの多変数化で厳密に議論すると記号の雨嵐で単純に議論が追うのがつらくなる(適当な意味で「わかりにくい」)場合はあるため、どちらかと言えば問題は「何が困難なのか言語化しない相手とは意思疎通できない」的な話ではないかと思います。
言語化うますぎて全くもってその通りと思いました… 「何が困難なのか言語化しない相手とは意思疎通できない」、まさにこれに尽きますね。 行間云々はこの辺を包含していたつもりですが、流石にその書き方自体に行間がありすぎたと自省してます…
引っ張り続けて申し訳ないのですが、数学側も厳密性というのがあまりよくなくて、まずはその前段にある精緻性とでもいうべき話があって、精緻な性質を議論するために議論の厳密化が要求される、みたいな話をする人がもっと必要なのではないかとは思います。
ワイエルシュトラスおじさんの業績として「いたるところ微分不能な連続関数の例の構成」があります。これも数学史的に「ほとんどの(実変数)関数は多くの点で微分できる」と思われていたという話があります。有限個の点で微分不可能な関数なら簡単に作れる一方、無限個の微分不可能な点を持つ関数は(当時の技術で)作るのがおそらく大変で、そもそもそこまで興味さえ持たれていなかったのではないかと思います。そこに「至る所、特に無限個の点で微分不可能な関数」を構成したのがなかなかの衝撃だったようです。次の問題は(現代的には)「反例が一個できたら無限個あるのでは?」事案で、現代的に言えば$C^1\C^0$がどれだけあるかで、もっと言えば無限が可算か非可算かと言った話も出てきます。これに関して精緻化の観点からはオイラーあたりの時代からの関数概念の精緻化の歴史があります。オイラーの時代は関数の定義も明確ではなく、オイラー自身は関数として現代でいう解析関数を想定していたようです。(佐藤幹夫を20世紀のオイラーと呼ぶ場合があるのはこの解析関数を軸に議論した点にあるという話があります。)その後の転機として応用数学者としてのフーリエによる「任意の関数はフーリエ(級数)展開可能である」という議論で、応用数学者による「任意の関数」の主張が問題になったようです。任意の関数はないだろうと思っても、そもそも関数の定義自体が曖昧なため効果的な反論が不可能で、関数概念自体を精緻化する必要が出たそうです。(これらは有名な話ではありますが、細かく詳しい歴史的経緯などは私は把握していません。)数学史としてはもう一つ展開があって、カントールによる三角級数論です。関数fの三角級数展開可能として、例えば展開の一意性の問題があります。特に線型性によってf=0の場合を考えればよく、有限個を除いて全て一致すれば係数は全て0の形の一意性を示したそうで、これがどこまで伸びるかが問題です。現代的には即「無限と言ってもどんな無限?」が頭によぎるわけで、実際にここから集合論・濃度の議論に進んだのは有名な話です。ここで無限概念の精緻化がどうしても必要です。フーリエ解析の主戦場の一つ、ルベーグ積分論からすると可算・非可算以外に「(ルベーグ測度に対して)ほとんど至る所0の集合」は非可算な場合も含むとか色々な話が出てきて、精緻な性質を示すためにガチガチの議論を展開しないと変なことがすぐ起こります。この辺の歴史的な経緯や、こういうのを面白いと思う人が数学をやって伝えてきていて「お前はどう思うか知らないが数学はこういうのを面白いと思うのだ」みたいな話があまりされないでしょう。私は学部が物理なので数学科の学部教育事情をよく知りませんが、少なくとも私が通っていた大学の物理学科では触れられませんでした。ワイエルシュトラスの例だと直観的には想像さえしない・できないところに突撃するため直観的な説明もしづらくギチギチの議論が必要です。
モチベーションを生み出す歴史的事情や例からして伝えづらい上、モチベーションを理解してもらうのも大変で、それをやるための精緻化・厳密化だと言われてももはや「ふーんあっそ」以外のリアクションをしようがない場合もよくあるはずで、「説明してもいいが聞きたいか?」という話もあります。私はこの辺の話を「各分野ごとに聖域がある」と表現していて、その分野とゴリゴリに向き合った人間にしか到達できないところがあってここに触れられることこそいい話と思っています。ただそうでない人間にはそもそも存在さえ感知できないため、意思疎通・伝達が極めて困難で、数学は元からかなり嫌われているのも手伝って聖域への到達困難性が極めて高く、よく言われる問題も大体この辺りに起因すると思っています。良くも悪くも聖域に触れられる神官は俗人に対して居丈高になりがち(またはそう感じられがち)な一方、神官側からすれば自分が何より大事にしているものを俗人は平然と踏み躙ってくる以上、それは苛烈な拒絶反応を示すよね、という感じまで含めて、愛情なのかある種の宗教感情・情熱なのかという部分で聖域という言葉を選んでいます。
重ねてありがとうございます。厳密性の前段として、そもそも精緻な議論をしたいという目的意識は肌感とも合います 精緻のレベル感が数百年前と今とで異なる(使える理論や定理等の道具が少ないって技術的制約がある)中、当事なりに最大限精緻を目指してたんだろうとは好意的に解釈したいとは思ってます
一口に数学史と言っても、色々例を挙げて頂いた通り、枝分かれした色んな分野で色んな発見があり、その発見にも粗なり反例が見付かりアップデートされて、ゆっくりじっくり精緻になっていってるんだなぁと 長い年月で建造された、枝分かれ分科されたそれぞれが「聖域」というのは、わかる気がします
線型空間のテンソル積は関数空間を第一の例とすればよいのではないか¶
他の学科はどうか知らず、物理学科向けの線型空間のテンソル積は量子多体系で散々やっているだろうという気しかしないのだがどういう教育をしているのだろうか。気分として集合X上の関数f,gに対してこのテンソル積は成分(変数の値)ごとにf⊗g(x,y)=f(x)g(y)で定義されているだけで、 有限のn次元線型空間Vの各要素fに対して、基底
を固定してe_iの係数を f_i = f(i) とすればV=F({1,2,...n})という関数空間と思えば問題なく上の構成に吸収できて、量子情報的な設定にもすぐ持っていける。あまり物理の本をきちんと見ていないのだが こういう話はどの程度書かれているまたは書かれていないのか。少なくとも入門レベルではこれでほぼ問題ないと思うのだが。
メモ¶
タラバガニはヤドカリ科¶
タラバガニ(鱈場蟹、学名:Paralithodes camtschaticus、英語:Red king crab)は十脚目(エビ目) - 異尾下目(ヤドカリ下目) - タラバガニ科 - タラバガニ属(英語版)に属する甲殻類の一種。タラバガニ属はタラバガニを含む5種からなる。
2024-12-03 韓国非常戒厳騒動¶
忙しい人のための韓国非常戒厳騒動まとめ(1/6)
- 要因1:4月選挙で野党地滑り的大勝利
- 要因2:尹政権への圧力・嫌がらせで弾劾訴追を約半年間に22件も乱発
- 要因3:野党「共に民主党」李在明代表が選挙違反で起訴、11月15日に一審で有罪判決
- 要因4:韓国では一審判決から半年以内に最終結果が確定(続
- 要因5:与党は全300議席中108議席、1/3は超えている
- 要因6:大統領弾劾には議員の2/3の賛成が必要
- 要因7:軍部、検察、裁判所は尹政権側
- 要因8:野党「共に民主党」は親北朝鮮
……本題に入る前の前提が多過ぎだが、この辺把握してることが重要
【話の流れ・その1】
- →文在寅前政権の不正を捜査
- →北がらみ含めヤバいネタが大漁
- →野党に危機感
- →選挙で与党大敗北
- →野党(前与党)が反転攻勢
- →嫌がらせの弾劾連発
- →野党代表の選挙違反で反撃
- →野党代表、選挙違反で有罪(11月15日)
- →野党代表、有罪確定の遅延工作として「監察院(日本の検察に相当)の弾劾」という荒技に出る(11月28日)
- →監察院から反論(12月2日)
- →起死回生の脅しとして非常戒厳発令
- →国会決議で非常戒厳解除
…まあこんな感じ
無理筋の弾劾連発する野党もアレだし、野党代表(李在明)有罪判決直後に監察院トップ弾劾するのもアレだし、対抗して非常戒厳打つのもアレw 要するに「野党代表の保身戦略」vs「大統領の起死回生の脅し」って構図
近来希に見るグダグダっぷり
韓国の非常戒厳騒動は、解除決議可決&大統領弾劾不成立前提だし、まさに茶番劇。 そこに親北だの北の工作だのが絡む。 民主主義の危機でも何でもなく「韓国式民主主義風政治、北鮮工作員を添えて」って感じで、朝鮮半島様式美の真骨頂といえる
東京で無料で座れる場所と利益を産まない空間¶
東京で無料で座れる場所ぜんぜんなくていつも皇居の堀んとこのベンチに座ってる、天皇陛下だけがおれを無料で座らせてくださる
東京は地価が高すぎるので「利益を産まない空間」を許容できないのである その一方で皇室は金銭的利益とは無関係なので、まさに「恩賜のベンチ」というものを与えてくださるのだ 臣民の義務を果たし皇恩に報いるべし、という気持ちになる
何か真面目な話題で伸びておるな…と思ったのでもう一つコメントしておくと、首都という過密になりがちな空間に「資本主義に侵されざる土地」が君主の権威のもとに存在し、その一部は国民の休息のために開放されている、これは大変「良い」ことだな、と思ったわけであります。
東京は地価が高すぎるので「利益を産まない空間」を許容できない というのは素晴らしい指摘で、(よほど気の利くデベロッパーじゃない限り)「利益を産まない空間」として残されてるのは「法令によって空けておくことを強いられた空間」しかないんだよね。公開空地とか避難経路とか。 Luupのステーションが消火栓の真ん前だの避難梯子の展開場所だのに置かれがちなのはこれが理由だと思っている。(敷地利用の設計段階から織り込んでいたのでもない限り)余分に何かを置く「空いている」スペースなんて都心にはほとんどなく、あるのは「空いているように見えるが、空けておかなければならないので何も置けない」スペースだけなのだ。
2024-12-03¶
(英語を読むのが面倒なため)X(旧Twitter)での翻訳機能による翻訳. 原文も翻訳のあとに収録.
私は人生の半分をバイオテクノロジーの博士号取得に費やしました。実験を行い、批判的になり、自分の仮説を反証しようと努めるなど、正直な科学に身を捧げました。そしてついに学位を取得しました。それは過酷ではありましたが、意義深い仕事でした。
するとこれが見えます。
この女性は、匂いを描写するのは人種差別的だと主張する論文で、いわゆる「エリート」大学のひとつから博士号を取得したばかりです。はい、その通りです。彼女の研究の核心は?誰かが臭いと言うと、人々はその人を嫌いになるということです。これは、どんな子供でも4歳のときに漫画から学ぶ概念です。
彼女の論文要旨には、気取った言葉や誇張した言葉が詰め込まれており、単純な考えが深遠であるかのように聞こえる。しかし、さらに悪いことに、この種の「学問」はますます正当化されつつある。
少なくともこれは目を見張る出来事だ。学問の世界は死んでいる。そして私たちはもはや、いわゆる「エリート」大学を真剣に受け止めることはできない。
I spent half my life pursuing a PhD in biotechnology. I dedicated myself to honest science—running experiments, being critical, and trying to disprove my own hypotheses. Eventually, I earned my degree. It was grueling but meaningful work.
Then you see this.
This woman just received a PhD from one of the so-called “elite” universities for a thesis claiming that describing smells is racist. Yes, you read that right. The core of her research? If you say someone stinks, people like them less—a concept any child learns from cartoons at age four.
Her abstract is stuffed with pretentious language and inflated words, making a simple idea sound profound. But what’s worse is that this kind of “scholarship” is increasingly being legitimized.
At least this is an eye-opener. Academia is dead. And we can no longer take these so-called “elite” universities seriously.
2024-12-02 空と無の違い, 空席・無席, nullと0¶
天台宗の学僧・福井文雅氏が「空と無の違い」について「何か単語を作ってみればすぐわかる」と例えば空席と無席、空席は座れるけど無席は座れない、空車と無車、空車は乗れるけど無車はそもそも車がない、つまり「空には繋がりがあり無には繋がりがない」と非常に分かりやすい説明が書かれてたので紹介
このポストに「nullと0」という引用リツイートが沢山ついているのが面白いです プログラミングの知識が一般化され日本の若い世代を中心に、般若心経の「空と無の違い」を聞くや「nullと0の違い」と同じであると瞬時に理解出来るのは、日本の仏教の歴史において非常に興味深い現象ではないだろうかと
2024-11-28 マテリアルズインフォマティクスのワークフロー¶
これについてはマテリアルズインフォマティクスのワークフローを出すと、なんで機械学習による計算コスト削減が大事なのか分かってきて、どのみち後にガチのシミュレーションが待ってるんすよ
ブチ切れるのは、ワークフローと経済合理性を理解していない人なのよ……
画像は私の講演資料から
「AlphaFoldの予測構造って物理化学的性質を陽に扱ってないんですよ 結合長とか電荷とか原子体積とか水素結合とか全然計算せずに学習したパラメータから『こうなるやろ』で出してるので」って物理系の人に説明したらだいたいこう言われる
2024-11-28 LLMを扱うエンジニア向けの基本的な学習案内¶
LLM扱うエンジニアなら、数式まで完璧に覚えなくても良いけどTransformerのdecoderの学習と推論の仕組みくらいはざっくり理解しといたほうが良い。 Promptingも、Fine tuningかRAGの選択する時も、テスト評価する時も、その辺把握してない人は何だかんだ明後日の方向の発想をする人が多い。
こんなセリフ吐き捨てて放置も良くないかなと思ったので、具体的に何をどれくらいやったら良いと思うのかも書いときますね。
まずゼロから作るDeep Learningの1,2を読む。これでニューラルネットの基本的な学習と推論の仕組みが分かります。ニューラルネットワークの仕組みを扱った書籍としては多分最も平易で、数式も出来る限りセーブされてます。高校数学を何となくでも覚えてれば問題なく理解できるはず…。2はRNNを扱ってるのでTransfomerじゃないんですけど、Embeddingの歴史とか言語モデルの理解は助けてくれる。
上が理解出来たら↓の3本の動画を見ましょう。 Transfomerを解説したものとしてはかなり分かりやすく、ビジュアルでも理解を助けてくれます。特に大事なのはSelf Attention周りと推論の流れですね。
- https://youtu.be/KlZ-QmPteqM?si=8lis3cvEogtLSFHv
- https://youtu.be/j3_VgCt18fA?si=0tVmU11czcJGHw7s
- https://youtu.be/mmWuqh7XDx4?si=vBIAjpnlZcJ_Kfp1
裏の仕組みを想像できると、新しい機能とか技術が出てきてもどんな形で実装されてるか何となくイメージがつきます。イメージがつくと、その機能で実現されることの限界が何となく推測できるので、手を動かすときも答え合わせが早くなるんですね。踊らされて時間を無駄に浪費せずに済む。
ビジネスサイドでも、これだけ取り敢えず把握しておけばエンジニアとの認識齟齬がだいぶ減ると思うので今後結構長い期間役に立つと思います。ぜひ。
日本語版はまだないけど最近はHands-on Large Language Modelsを読むのが手っ取り早い気がする Jay Alammar, Maarten Grootendorst, 2024/9, Hands-On Large Language Models
2024-11-28 史学科の人間から歴史オタクに伝えたいライフハック¶
これは史学科の人間から歴史オタクに伝えたいライフハックなんですけど……基本的推しを調べたいと思った時は、「中公新書」「人物叢書(吉川弘文館)」「ミネルヴァ書房」の伝記を買うのが「正解」(疑わしい情報、特定人物への誹謗中傷が(基本的には)無いという意味)です……😔 この3冊は史学系(経済学部に位置する経済史学なども含む)の教授が書いているので……批判される場の分かってる人達の本なので下手なことは書かないかな…… でも武藤…治は『評伝・武藤…治』の帝人事件→暗殺までの流の説明が余りにも、他の本では見られない意見でめちゃくちゃ脳汁が出るから読んで欲しいんだよな~😭井上と益田がめちゃ悪し様に書かれているのを除けば……(悪役すぎてもはや清々しいくらいの描かれぶり)
失礼します。山川の「世界/日本史リブレット人」のシリーズは大丈夫でしょうか……?
ご質問ありがとうございます!個人的にはめちゃ良い!と思います。山川はやはり歴史系の教科書を出しているだけあって、史学系の先生方との繋がりも強く、リブレットを書いているのもその方面の研究者です。自分自身もリブレットを買ったことがありますが、写真が豊富な所がとても好きなシリーズです🥺
ごめんなさい史学科ということなので野暮を承知で言わせてもらうとミネルヴァの人物評伝選はたまに怪しいやつがあります。 ちゃんと判断出来る人でないと危ないやつがあります。
おおっと、そうでしたか!自分は今のところ「当たり」の部類しか読んでいなかったので、気が付きませんでした……🤔ご指摘下さり、ありがとうございます!
とはいえ一般向けならまあ概ね大丈夫とは思いますが古田武彦が書いてたりするので……
2024-11-27 行列力学と線型代数の歴史¶
ハイゼンベルクの行列力学が誕生した際の逸話として当時の物理学者は大学で行列について学んでる人が非常に少なかったという話を初めて知った時はかなり驚きましたね。量子力学以前の物理学でも線形代数が必要そうな分野は多そうに見えるのに20世紀という比較的最近でもそんな状況だったのはかなり意外
それこそ、ヤコビアンなんかは20世紀当時の物理学でもかなり必要そうな概念な気がするけど(ヤコビ自体は19世紀の人間だし)、当時の物理学者はそこから行列式などの概念に触れることはなかったのかな?
Wikipedia: 線型代数 線型代数に関連する議論や概念自体は古い一方で分野として確立してきた年代自体が19世紀の終わりも終わりで、抽象代数の隆盛も20世紀に入ってからと言って良いため、この二点の問題でまとまった形の線型代数を知っている人自体が数学でさえ多くない可能性がある時代と思います。
なるほどです。確かに、線形代数という1つの分野として確立したのが19世紀末ならば、1920年代時点で物理学者たちの間でまだ知られてなくてもそんなに不思議ではないのかもしれませんね
2024-11-27 工学系や情報系の要素が強そうな線型代数の定理¶
LU分解や特異値分解について数学的に詳しく学びたいならば、理学部数学科よりも計数工学科に行くほうが実際良さそうではある。>RT
ペロン・フロベニウスの定理やゲルシュゴリンの定理のような工学系や情報系の要素のほうが強そうな線形代数の定理って、理学部数学科で習うのだろうか?(日本の数学科エアプなので分からない顔)
私も学部の数学科教育には詳しくはありませんが、ペロン・フロベニウスは数学科的に有名な斎藤正彦「線型代数入門」に書いてあります。他には有限状態空間上のマルコフ連鎖で、遷移確率行列の既約性がペロン・フロベニウスの仮定にあたる性質を持つため、確率論だと事実上取り扱いがあります。さらに 表現論でもほぼ同じ設定が現れ、やはり既約表現に関わる形で現れるため、その周囲の人は定理の名前は知らなくても議論している内容自体は知っている可能性があります。表現論は影響範囲が広い分野なので割と多くの人が名前は知らなくても内容を知ってはいる可能性があります。
まさに、僕もペロン・フロベニウスの定理はマルコフ連鎖などの関連で初めて触れた記憶があり、そしてマルコフ連鎖などって純粋数学よりは応用数学(数理工学)や情報系のほうが馴染み深そうな分野にも感じたので疑問を抱いた次第ですね
2024-11-26 大学入学後の講義の風景, 震えるほど感動した教授の言葉¶
これほんと 俺は前者(ミクロ生物学派)なんだけど,生物そのものはそこまで興味ないんよね。ここらへんあんま理解されない。まぁ生物を専門にやらないひとはミクロ生物学がわからないし,日常にでてくる動物や植物について話すほうが楽しいもんね
そう、「生物学を専攻している人」=「生き物が好き」みたいになっててなかなか理解されないんだけど 「生物学が好き」と「生き物が好き」は必ずしも一致しない。
ゾウリムシをかわいい〜って言ってる人もいればタンパク質の立体構造をかわいい〜って言ってる人もいる。
学部一年の時に有機化学の講義に潜っていて、教員がポロッと「このピノンというのは可愛いでしょう。私はこれに魅せられて有機化学者を志した」と言っていて、「自分は大学に来た」と震えるほどに感動したのを今も覚えている。
2024-11-25 知的障害がある叔父の話¶
うちの叔父は見た目でわかるくらいの知的な障害があるのに邪悪な祖母が障害者を産んだと認めず障害者手帳無しで健常者として凄く苦労しながら働いてる 私はそんな叔父を凄いと思いながらも独特の雰囲気が苦手で避けてた でもうちの娘が産まれた時にまるで自分孫が産まれた様に喜んでくれて、 お金が無くても家にあった小さなぬいぐるみや可愛いハンカチ等洗濯して娘にプレゼントとしてたくさん持ってきてくれて 何かを赤ちゃんにしてあげたいという温かい気持ちを感じてとても嬉しかったな 最近のX見てると、赤ちゃんの誕生を心から祝福できるだけで人として素晴らしいよなって思った みなさん温かいお言葉ありがとうございます🙇♀️ 叔父の心の温かさを共感していただけで嬉しいです。 祖母の悪行は聞いたらひっくり返るような邪悪ですが過去の悪行に自責の念で耐えきれなくなり今苦しんでいて、やはり悪いことはするべきでは無いと学ばされています。
2024-11-25 wouldの理解を促進する例¶
ものすごくwouldの理解を促進するのに教育現場では使えない事象だ
どうも海外ではブスの画像が流れてきた時にwould (全然抱けるぜ)と返すノリがあるらしく、この画像はそれを全員で必死に止める様子に見立てている、というハイコンテクストすぎるミームだった。
will (今日はこれで致す) にたいして would (もう致したぜ) というdirty jokeみたいですね
2024-11-23 障がい者雇用で一般就労して初めての給料でお父さんお母さんにお寿司をご馳走した¶
障がい者雇用で一般就労して初めての給料でお父さんお母さんにお寿司(回転寿司)をご馳走したのだー!!! 喜んでくれて嬉しかったのだ!!!!
2024-11-23 公選法におけるSNSと選挙運動と報酬の問題¶
(・∀・)SNSにおける選挙運動と、営利企業の関与、報酬が話題ですので、解説します。
(^ω^)一応、この分野については、共著で書籍も2つほど、出しています。
(・∀・)まず、第1の原則(政党広告やウグイス嬢などの例外はあります。)は、選挙運動は無償でやらないといけないこと、お金を払ってはいけない、ということです。これは運動員買収といって犯罪になりますし、公民権停止(投票する権利や立候補する権利が制限され、当選は取り消される。)、連座制(候補者以外が実行しても、候補者が責任をとらされて、罰則や公民権停止、当選無効の適用がある。)の適用もあります。
(^ω^)疑問なのですが、「お金あげるから投票して」がダメなのはわかるのですが、選挙運動を、お金を払って頼むことが、なぜ禁じられているのでしょうか。
(・∀・)その理由は、全く「お金をあげるから投票して」がダメな理由と同じです。票をお金で買うことを許すと、かけたお金で選挙の勝敗が決まってしまいます。同様に、お金で選挙運動を頼める、つまり、お金で支持の声、支持を呼びかける声が買えるとなると、お金をかければ、「みんなこの人を支持している」「この人の支持がどんどん増えている」みたいなことが実現できてしまうからです。ある人を支持する選挙運動を熱心にしている人がいれば、普通は、「(お金を払っているからではなくて)すばらしいから、こんなに支持される人なのか」と誤解します。一種の選挙版ステルス・マーケティングですね。もっといえば、お金を貰って選挙運動をした人は、その人に投票するでしょうから、選挙運動にお金を払うのは投票にお金を払うのと同じか、それ以上に選挙の公正を害するのです。
(^ω^)この規制は、いわゆるネット選挙、つまりインターネットを利用した選挙運動にも適用があるのでしょうか。
(・∀・)あります。
(^ω^)そうすると、選挙運動用のレンタルサーバーを借りるとかで、ホスティング会社にお金を払うことも禁じられていることですか?それはおかしくないですか?
(・∀・)いいえ、それは禁じられていません。レンタルサーバーの提供そのものは、選挙運動ではないからです。サーバーを100台借りても、1票にもならないので、投票を得させるための活動ではないからです。ただし、選挙運動は、全体を通じて、会計関係の規制がありますので、それは別論です。
(^ω^)それでは、報酬を払えない選挙運動というのは、どういうものですか?
(・∀・)一般的な解釈、最高裁など裁判例をみると、「特定の選挙につき特定の人に当選を得しめるため投票を得若しくは得しめる目的を以つて、直接または間接に必要かつ有利な周旋、勧誘若しくは誘導その他諸般の行為」をいいます。また、裁量の有無も考慮要素だと思われます。裁量があると、選挙運動と評価されやすいです。裁判例上、電話をして原稿を読み上げる行為であっても、いつ電話を切るとか、タイミングについて裁量があることを強調して、選挙運動であるとした事例があります。なので、誰がやっても結果は基本的に同じな機械的な労務の他は、得票に役に立つなら、選挙運動になる可能性が高いでしょう。
(^ω^)運動員買収の認定はなかなか難しそうなのですが、どうやって認定をするのでしょうか。
(・∀・)状況証拠を総合的に評価することになると思います。たとえば、依頼先が、依頼者に、コンサルティングとか、企画の立案とか、作戦とか、そういう提案をした、主導的なものであれば、それは選挙運動である、といえる可能性が高まるでしょう。また、人数や関係性も重要な要素です。無報酬で候補者本人ではなくて、運動員のために大勢が集まることは通常考えにくいでしょう。あと、費用についても、機械的労務の提供といえる水準かどうか、ということも重要です。書類だけではなくて、当事者の言動も重要です。当事者が、そのような行為をしたと述べたことが立証できれば、かなり選挙運動や運動員買収を認定しやすいでしょう。というのも、これは、あらゆる事件においていえることですが、当事者が自分にとって不利になる(この場合、運動員買収に当たる、企画立案とか、戦略を練るとか、報酬を受けて行ったと、そういう標榜をすること)言動をしていた場合は、基本的に、それは信用できる、ということがあります。刑事裁判でもこういう証拠は特別に強力な効果が与えられています。あえて自分に不利な嘘はつかない、有利な嘘はつくことがあっても、ということです。この話は、拙著、「弁護士が教える「ウソ」を見抜く方法」でも触れています。
(・∀・)以上は、現行の裁判所や総務省の考え方、そして、一般的な事実認定について、法曹一般が考える基本を冒頭のテーマに沿って解説したものです。具体的事件への適用については、法曹等専門家に相談するなど、ご検討ください。
2024-11-22 「技術的には可能」に対する「現実的ではない」¶
ぼく「技術的には可能なんですけど、工数的にちょっと難しいですね」
議事録「できなくはない」
というのが実際あったので以後気をつけるようにしてる
弊これ系の攻略手段として「現実的ではない」が発明された結果、エンジニアじゃない方でもちょいちょい使ってる印象
2024-11-22 よく観測するのは、「交換法則は、かけ算を学んですぐに学ぶが、その上で順序を固定している」という事実を認識していないケース¶
かけ算順序固定を、事実関係をよくわからずに援護している人たちは、いったい何がしたいのかなあ。 よく観測するのは、「交換法則は、かけ算を学んですぐに学ぶが、その上で順序を固定している」という事実を認識していないケース。まあ、事実があまりに非論理的なので、受け入れにくいのはわかる。
2024-11-21 【特集】守りたかった大切な人 2児の母は「通学路戦士パトーラ」になった 私が変身する理由 福岡¶
https://news.ntv.co.jp/n/fbs/category/life/fsce87e7e3e5824c6ab5ab47224e47ef89 通学路の見守りをやってたいとこが無免許運転による事故で亡くなったことをきっかけに変身ヒロインになった通学戦士パトーラ、すごい話だ……「劇光仮面」に出てきそうなエピソード
2024-11-21 欧州の階級社会と面接¶
男女論の文脈ではあれ、食べ方の上手い下手で出世が決まって当然と思ってるらしいことが察せられる呟きに接すると、さすが欧州は本物の階級社会なんですなあ、という感想になりますね。この点、本邦は良くも悪くも民主化している。 「欧米ではリクルートスーツ着せて型にはまった集団面接とかではなくて、フランクな雰囲気で一緒に食事しながら面接のプロセスが進むんですよ」みたいなのが進歩的でもなんでもなくいかに封建的かというのがよく分かる話。
2024-11-21 ガンビアとセネガルの人名とスペル¶
ガンビアは民族的にもセネガルと似ているはずなのに、Jallow ,Njie, Ceesay などセネガルではあまり見ない名字が多いなと思ってたけど、これらはセネガルのDiallo(ジャロ),Ndiaye(ンジャイ),Cissé(シセ)と同じ名字で、仏語風に綴ったか英語風に綴ったかだけの違いだということを今更知った セネガル(系)の名字Ndiaye(ンジャイ), Diouf(ジュフ), Diop(ジョップ) などdia-/ou-/o- で綴られる名字は日本のメディアでは大体が「ディ」を使って表記されるけど、より妥当な「ジャ行」を使って表記してほしいですねー 無理なんでしょうけれども
2024-11-21 産業界から見た科学技術人材への期待¶
産業界から見た科学技術人材への期待 https://jfes.or.jp/_ecst/topic/topic20180226_sympo20180127_file11.pdf (pdf注意)すげーいい資料だな......
自分の好きな研究をやり論文を書くことは自分の自由時間でやれるくらいの給料は初任給でやっているよ。仕事時間の中でやったからには、何か大学にとってプラスになることがあったよね?
君の論文を引用した人はいるの? 君の論文でだれか新しい取り組みを始めたの? 君の論文でミシガン大学は何か得たものがあるのか? 君の活動はアカウンタブルなの?
自分のやりたいことで夢を実現(日本)
- 自分のやりたいことをやらせてくれる人や組織が素晴らしい
- 自分がやりたいことって何?
- それが他人にとってどのようなものであるか考えることがあるのだろうか?
- 研究の目的が個人の興味・考え方で決定され自己満足や自己実現のための自己完結型
自分のできることで夢を実現(米国)
- 何か秀でたことが一つでも見つけ出すことが出来る人や組織が素晴らしい
- 何でもは出来ないし、人の役に立つには何か一つでも
- 自分に、そのような一つがあればそれを使ってくれる人、もしくは、それを自分で使って生きていける
- 研究の目的が自分を含む社会の問題解決型
競争の段階で勝者の周りに敗者が集まる(米国)
- 各段階・階層で勝者が同レベルでの競争に敗れた人たちの中で共通のゴールを持つ人たちを周囲に集め新たなグループを形成する競争
- 強力なグループ力が競争の結果として形成される
- 敗者でも生き残ることが出来る仕組み
- ビル・ゲイツも一人のビル・ゲイツでマイクロソフトを作ったわけではなく、ビル・ゲイツと同等程度の能力ある人たちが何人も彼の周りに居て、ビル・ゲイツが存在しながら、ビル・ゲイツの考え方で全員が動く仕組み
2024-11-20 面倒な漢字, 部首¶
2024-11-20 高知県こども詩集「ほめて ほしかった」¶
朝から泣いてしまった.
ほめて ほしかった
きょうは あさ はやくから べんきょうを した. みんな やった. これは きっと ほめられると おもった. どんなに ほめられるのかなあと おもった. ほめられたら いいのになあと おもった. にこにこして, おかあさんに 見せたら おかあさんは, ほめてくれなかった. 「土よう日の ぶんも しなさい.」と はんたいに おこった. わたしは なきました.
-第10集(1986年)より-
2024-11-19 石破茂の食事マナー¶
石破さん、おにぎりの食べ方が汚すぎる。カバでも、もうちょっと綺麗に食うぞこれ。
食事のマナーや箸の扱い方、茶碗の上げ下げなどはちゃんと躾とけってのはこういうこと。多少でも人と会食することがあるなら周りから「みられる」んだよ。特に男性の場合、そこで値踏みされることも結構ある。
2024-11-18 ドラクエ3当時の思い出¶
ドラクエ3当時の思い出
小中合同父兄会みたいので「ファミコン禁止」みたいな議題が上がった時、小学校の音楽の先生が反対した。 「あなた方はドラクエ3の音楽を聴いていないのか?」と言ってリコーダーで城と街とフィールドと戦闘さらっと吹いたそう 「皆さん聴いた事あるだろう。不快な曲ではない。生徒たちも学校でよく口ずさんでいる。それは芸術に触れている経験だ。生徒は私の授業など10年後忘れてるだろうがドラクエの経験は忘れていないだろう。それを禁止するのは芸術の禁止」 と1人反対しPTA圧倒したとの事。
その後その音楽の先生と逢ってその時の話聞いたら「いいか、芸術の禁止は恐ろしい反発を生んで、結局隠れてやるようになる。そうなるともうどうにもならない。まぁ俺もドラクエめちゃくちゃやってた今度のドラクエ5楽しみだな!」
先生、まだ自分ドラクエ3やってるよ。もう少しゲームやってくよ
なんか伸びちゃってるんで音楽の先生のエピソード
合奏発表の曲はビートルズやカーペンターズなど聴きやすいオールディーズ 「学校課題曲よりみんなの親が知ってる曲の方が親とその話できるだろ 音は楽しいから音楽だぜ。お前らが子供通わすときは この道わが旅 やるよ」
通知止まんねぇw エピソード投下 「音楽は遊びです。遊びに成績つけるなっていうけど、芸術はとにかく上手い下手でる。成績はつけやすいんだぜ。 みんなも遊びと思ってもそこには上手下手ある。一位もビリもある。でも練習すればいいんだ遊びなんだしね」
いまだにそう思います
ここまで来たら他のエピソード投下 教頭先生が流行曲で指導要綱外れすぎてませんか?と聞いた所 「自分の生徒みんなハ長調楽譜読めて、リコーダーの音全部出せて、腹式呼吸で歌えます」
そう俺たちガキ大将でも出来てた 中学で他の学校の音楽出来てなくて唖然とした 教頭も腰抜かしたらしい
「音楽はノリや勝手な歌詞も大事。 原曲ボソボソしてわかんねーから 俺ならここはこう歌う
カツカレ〜カツカレ〜デパートで〜食べた〜カツカレー好きだ〜」
サイモン&ガーファンクルの サウンドオブサイレンスのサビ 僕ずっとこれだよ(^◇^;)
親ツイ5000いいねなのでエピソード追加。 「今日の課題が先生の感動した音楽を鑑賞らしいんだ、まぁこれ学校のスピーカーでかけたかったんだよな〜」
YMOのライディーン!!!
感想、聞いた事ない音楽。でもかっこいいしか書けない小5の俺
身バレしそうなのでラストエピソード A「先生〜B君が歌いませーん!」
「まて、B君エチュードA、やれるか? うん、声変わりだな。しょうがないきにするな いいか!男子には歌えたくても歌えない時期がある そこ間違えるなよAさんは歌上手いから歌えない男子リードしてくれよな」
そうなんだよなぁ
アンコールで弟の世代合唱祭の伴奏の女子が「男子が歌わないから伴奏やらない」といって伴奏バックれたらしい。 先生は代わりに伴奏やってその子の学期成績はCをつけた 親が怒鳴り込んできたらしいが
「共同作業やらないんだから成績はCだろ 男子だって声変わり辛くても逃げずに歌ったんだよ!」
弟からバズり見たらアニキだったと情報提供あったのでワンモアエクストラステージ
「ドラクエの曲で1番凄いのってなんですか?」 「レベルアップだね みんなも何回聞いても嬉しいだろ これより素敵な喜びの曲がない。 数秒でも感動は生み出せるんだよ」
すげぇなやっぱ(^◇^;)
2024-11-17 女性比率が高い環境では、女性は外見重視傾向が強くなる¶
逆に女性比率が高い環境では、女性は外見重視傾向が強くなる。
ルッキズムに関しては、前々から言われている通り《男多数・女少数の工場勤務などの職場では、女はどんどん化粧しなくなっていく》という観測事実がございまして……
2024-11-12 「旧字体」は「昔の漢字の形」ではない¶
これ漢字の教科書に載せてほしいレベルで良記事だな。具体例をあげてなぜそう言えるのか明らかにしている。漢字界隈がいつもモヤモヤしていることを言葉にしてくれた!
勘違いしている人多いよね
「旧字体」は「昔の漢字の形」ではない @QuizKnock_Webから
ある漢字が旧字体・新字体であるかどうかには、「常用漢字かどうか」「1945年頃までの日本の活字において標準的・規範的であったかどうか」といったことのみが関係しているので、注意が必要です。
誤解①:新字体は戦後日本でまとめて作られた
結論から先に言うと、新字体はすべて戦前に存在していました(※5)。 ... 基本的には元からあった字体を標準的なものとして採用したというだけです。
誤解②:戦前日本では専ら旧字体が使われていた
戦前も新字体は用いられていました。
誤解③:新字体は旧字体を変化させてできた
「者」の旧字体は「者」です。 ...「旧字体の「者」から点を省略して新字体の「者」が作られた」と思われがちです。 しかし実際はどちらかといえば逆です。
実は日本でも中国でも、楷書では古くから点のない「者」と書くのが一般的でした。ところが中国では、『説文解字』という古い字書の記述に従って字形を正そうとすることがしばしばありました。
このことからわかるように、新字体は旧字体から派生してできたとは限りませんし、新字体のほうが初出が早いこともあります。みなさんが思っているよりも旧字体は古くなく、また新字体もそこまで新しいとは限らないということを覚えておいてください。さらに旧字体のほうが漢字の成り立ちから見て正当性が高いとは限らないという点にも気をつける必要があります。
2024-10-08 電動ひげそり ES 5510P¶
バーバー💈にて、髭剃り何がいいか話してたら「これ安くてパワーあっていいっすよ! ¥2000ので充分です。安いし持ち運べるし。俺仕事道具だから7万の買ったけど、結局良すぎてこれ使ってます。」って勧められた。
これまじで侮れないくらいパワーあるよ。
2024-10-08 史上初、入獄した元法務大臣の河井克行氏が見た刑務所の世界 「次は良い大臣になるよ」その言葉の真意とは?¶
史上初、入獄した元法務大臣の河井克行氏が見た刑務所の世界 「次は良い大臣になるよ」その言葉の真意とは? | 2024/10/8 - 47NEWS https://nordot.app/1211910352128279184?c=39546741839462401
2024-10-07 有限次元の線型代数と量子情報の数理¶
有限次元の線形代数の深淵を知りたくなったら量子情報の数理をやればすぐにわかる. 自明と信じる人は https://oqp.iqoqi.oeaw.ac.at/open-quantum-problems の問題とかを解決したら相当評価されるはずなのでぜひやってほしい. (実際,良い数学者が参入すれば解決しそうな問題はいくつか残ってるとは思う.)
2024-10-07 ガザを想う 帝国の智慧と欧米のダブルスタンダード¶
ガザを想う 帝国の智慧と欧米のダブルスタンダード 集英社新書『一神教と帝国』刊行記念コラム
「テロ戦争」などというものを追認した時点で、もう決定的にダメ。それ以前に「テロ」を価値判断を含んだ治安用語として使う用法持ち込んだことで、根本的に対立する複数の価値観がせめぎあう国際秩序うを扱う国際政治学は、学問ではなくイデオロギー闘争の手段に成り下がった。
警察と軍隊という内外に対する威嚇による暴力装置によってシステムを維持する「国家」こそ、領域国民国家システムにおける最大の「テロ」組織であり、最大のテロ組織である国家を中心とする様々なテロ組織をアクター間の離合集散の行動連関を価値中立的に分析できてはじめてまともな「社会科学」になる
2024-10-03 人生で初めて無人販売に癒された。¶
人生で初めて無人販売に癒された。 こんなん泣いてしまう、毎日生きるのしんどいけどこれつけて耐えてる(;;) こんないいモノ50円じゃ安すぎる。
2024-09-30 「人生を救われた」イトーヨーカドー津田沼店の閉店に寄せられた、就職氷河期世代と思われる人のエッセイが、当時の世相とあいまって泣ける【全文起こし】¶
これはすごいものを読んだ。イトーヨーカドー津田沼店の閉店に寄せられた、就職氷河期世代の名文。プロレタリア文学だ。リンク先の書き起こし分を貼っておくのでぜひ読んでほしい。今月見た中で文句なしのベストツイート。詳細はRT元&リンク先参照。
画像だと読みづらいので全文書き起こしてみました
※読みやすくするため所々で1行あけています
私は、高校を卒業してすぐに就職した。生まれ育った静岡県の山奥から、千葉県松戸市へ。 やたらと地方出身者ばかりを集める会社だった。会社名義でアパートを借りてくれ、家賃まで払ってくれる。なんていい会社に入れたのだろう、というのは若さゆえの勘違いだった。 とにかく休日というものがない。シフト上で「休日」とされている日にはタイムカードをうってはけない。それだけのことだった。
そんな環境でも二年間勤めたのは、単に逃げられなかっただけだ。会社名義でアパートを借りているので、職を失うというのは住居を失うのと同義だった。 食事もろくに摂れなかったため、がりがりに痩せた。食事の時間があるならば、そのぶん寝る時間にあてたかった。となると歯など磨くはずもない。虫歯が痛み、前歯を一本失ったが、それすらどうでもよくなっていた。 関連会社の男性社員から「借金してでも逃げろ」とまで言われ、ようやく逃げたのが二十歳の頃。 振り返れば、その二年間に休日という休日はなく、七百勤以上を続けていたのだ。
千葉県内に土地勘などなかった。あてもなく新京成線に乗り、新津田沼駅で降りた。 新津田沼駅を目指したわけではない。単に人がたくさん降りたから、つられて降りた。それだけだった。
駅とイトーヨーカドーがくっついているのは驚きだった。そんな場所がこの世にあるとは知らなかった。
そのままイトーヨーカドーへ入った。エスカレーターで上の階へあがると、そこにはゲームセンターがあった。ゲームセンターといっても、小さな子どもをメインターゲットにしたもので、真ん中には大きなトランポリンが設置されていた。
ここで働きたい。そう思ったのは、子どもが好きだとかそんな理由ではなかった。暇そうだったからだ。もう一生懸命働きたくなどない。この二年間で、一生分働いた。そんな気分だった。
求人誌で見つけたのか、インターネットで見つけたのかはいまとなっては記憶があいまいだが、そこのゲームセンターは求人広告を出していた。アルバイトで、週に三日程度から可。 とはいえ、住所不定の若造を雇ってくれるとも思えない。先に住居を探した。
幸いなことに、新しい住居はすぐに決まった。駅から遠い、築五十年超の木造アパート。壁を叩けばゴキブリが五、六匹出てくるような部屋だったが、ようやく自分の居場所を手に入れた気分だった。
その住所を履歴書に書き、就職の際に両親が買ってくれたスーツを身に包み、伸びたままだった髪は自分でカットした。がりがりの身体と失った前歯はどうしようもなかった。
鏡を見て、「まあ、これは雇わないだろうな」と自分でも思うほどだったが、面接ではなんとなく好感触を得た気がした。
そして数日後、採用が決定したと連絡があった。なぜ採用されたのかは知らない。他に応募者がいなかったのかもしれない。 赤いポロシャツに、黒いズボン、センスがいいとは言いがたい制服だったが、不満はなかった。
とにかく来客数は少なく、やることと言えばクレーンゲームの景品の補充だとか、当時流行っていたムシキングとかおしゃれ魔女などのカード補充とか。 あとはトランポリンで遊びたい子が来たら対応をした。たしか五分で百円。十分だったかもしれない。詳細は覚えていないが、百円玉を握りしめた子どもが目をきらきらさせながら声をかけてきたのは覚えている。 一度の勤務が四時間程度。それを週に数日。時給はたしか八百円ほど。食っていけるはずもなかったが、しばらくはその生活を続けた。とてももう、まともに働く気力などなかった。
借金がある程度膨らんでから、ようやく他にも仕事を始めた。コンビニ、警備員、チラシのポスティング、宅急便の仕分けなど。非正規雇用ばかりを山ほど抱えて、なんとか借金は返した。
ゲームセンターでのアルバイトは続けるつもりだったが、近いうちに閉店すると耳にした。一時間あたりの売上が私の時給を下回っているような有様だったので、遅かれ早かれそうなるだろうとは思っていた。
閉店まで続けようかとも考えたが、そのときに面接を受けた倉庫作業の会社で正社員の誘いがあったので、そのまま辞めてしまった。辞めた後、しばらくは営業していたようだったが、たしか一年経たずに閉店してしまった。
私は就職し、転職し、結婚して離婚した。また就職して、転勤して、いまは東京の西のほうで暮らしている。 津田沼まで片道一時間強。あまり気軽には来れなくなってしまった。
あれから約二十年。私はすっかりおじさんになってしまったが、おじさんになれてよかった。いま振り返ると、あの頃の自分はいつ人生を終わりにしてもおかしくはなかった。
あそこで働いたのは一年だったか、二年だったか。もっと長かったかもしれないが、まったく思い出せない。
あのゲームセンターはたぶん、七階のマクドナルドの前にあったはずだが、いくら検索しても情報は出てこない。 まるで幻だったかのように、私自身にも曖昧な記憶しか残っていない。検索しても、トランポリンがあったのは屋上だという情報ばかり。屋上ではなかったのはたしかなのだが。
ともあれ、私がなんとか再起をはかれたのは、あそこで働いた期間があったからだ。変に忙しい職場に入っていたなら、きっと潰れてしまっていた。
しかしまさか、イトーヨーカドー津田沼店自体がなくなってしまうとは。
なんとなく、イトーヨーカドー自体はずっとそこにあってくれるような気がしていたので、いつでも行けると思い込んでいた。 二十代前半の、あの時期の私の中心にはイトーヨーカドー津田沼店があった。書店にもよく寄ったし、四本の親知らずのうち三本はヨーカドー内の歯科で抜いてもらった。
あと、誰も気にしていないようなことだけれど、トイレの洗面台の脇に置かれた小さな花瓶に花が活けてあったのが好きだった。造花かもしれない。ただ、誰かの気遣いがそこにあった。トイレ自体古かったが、きちんと清掃しているのはよくわかった。 私とは違い、仕事熱心な人が清掃を担当していたのだろう。もう何年も訪れていないので、最近はどうだたのかは知らない。 テナントが徐々に撤退していったのは伝え聞いていたが、それがなんだか思い出の場所が徐々に衰弱していくようで受け入れられなかった。
さて。ここまで長々と書いてきてどう締めればいいのかわからない。結局、歳ばかり重ねて、あの頃からまったく成長などしていない。
「さようなら、いままでありがとう」 でいいのだろうか。
あと、「寂しい」と「もう大丈夫」を付け加えて文を締めたいと思う。
(2002年頃、20歳)〇〇〇〇〇さん ※画像には氏名が書かれていますが省略
2024-09-29 語学好き大好きなラテン語→ロマンス諸語変換表¶
語学好き大好きなラテン語→ロマンス諸語変換表
ところで本質情報なんですがこれがまるまる本になって売ってるやつがあるんですよ 某言語の某先生に教えていただきました
2024-09-25 益尾知佐子『中国の行動原理』(中公新書), 安田峰俊『中国ぎらいのための中国史』(PHP新書)¶
中国側が何を考え、なぜそう動くかについての概説書としては益尾知佐子先生の『中国の行動原理』(中公新書)があるが、安田さんの『中国ぎらいのための中国史』は中国人の歴史観に焦点を当て、深掘りして中国人の思考をわかりやすく伝えている。優れたこの2冊を読むと現代中国の解像度が上がるだろう。
2024-09-22 科学技術政策アンケート¶
残念ながらその通り…。
"科学技術政策について積極的に言及している候補は目立たないように見える"
私が比較した各候補の政策。
自民党総裁選、各候補の高等教育、科学技術政策は? - 科学・政策と社会ニュースクリップ clip.kaseiken.infoから
立憲民主党は各候補がアンケートに回答くださいました。
2024-09-20 女性服のポケットと服飾史¶
女性服のポケットの話一つで文学部の服飾史ジャンルの学士卒論の要諦みたいなのが出てきてたまげた。これ各論の出典深掘りとか各時代のデザイン例の画像載せてそのディスクリプション書き連ねて肉つけるだけでそこらの新書が真っ青な硬派な論文一丁上がりだぞ。
最近話題になっている「レディース服のポケット」問題について元フェミニストがその歴史とともに雑に語る。それは端的に、フェミニズムの敗北の物語と言える。
まず、現代日本で流通している洋服の起源は18世紀のフランスファッションにあるのだけど、当時の女性服には(当然ながら)ポケットが殆ど見られない。その理由は複数考えられるけどフェミニズム的には何より「女性の権利」の問題、すなわち財の所有や、その移動、またその秘匿について、当時の西洋社会では女性には認められていなかったことが前提的な問題として挙げられる。 実はそれ以前の貴族社会の女性のドレスには香水や時計、金銭、ソーイングセットや筆記具まで入れられるような大きなポケットがあるのが一般的だったのだけど、革命以降、市民化した女性は社会の中で一定の自由が与えられる代わりに、母性保護の文脈から家父長制的な枠組みの制限を受けることとなった。女性学的にはその婉曲的対象の一つがポケットの有無に表れているとされている。当時は女性の服にポケットが無いかわりにハンドバッグの携帯が普通であり、しかしそのバッグも機能性が悪く、いわば装飾としての役割が大きかったことを鑑みると、女性の鑑賞物的扱いからシルエットを崩す衣服のポケットはますます認められにくかったというのが切実な所だと思う(そしてその問題は今も引きずっている)。
時代が少し進み19世紀末になると、第1波フェミニズムが起こりこれが大きな転機となる。今で言う「脱コル」的なドレス改革運動が始まったことを契機に、女性のパンツ姿さえ見られるようになり、再び女性の衣服にポケットが現れるようになった。 当時のニューヨークタイムズに「文明化が進むつれ人にはポケットが必要になった。ポケットの無い文明が偉大になれたことはない、それなのに女性にはそれが殆ど与えられていない(意訳)」と書かれていることからも分かる通り、ポケットは''女権解放運動の象徴''としても捉えられていた。
19世紀末に現れ始めた所謂「新しい女(New Woman)」の存在は、20世紀以降に大きな影響を与え、中でもココ・シャネルによって始まる女性ファッションの新基軸は、脱伝統的な価値観と自由で自立した女性像を可能にしたとして、フェミニズム思想史的に高く評価されている。 彼女自身、シャネルスーツを売り出す際に、モデルにはポケットに手を突っ込んで歩くように指示したとされており、女性服、特に女性スーツのポケットの存在が新たな女性像を築く上でどれ程重要だったかが伺える。
これが20世紀半ば頃までの話。
で、悲しいことにこの物語はここで終わり。 続編は些末なものを除いては存在しない。打切り終了のゲームセット。次回作にご期待下さい。 1954年、クリスチャン・ディオールが「男性は物を入れる為にポケットを持ち、女性は装飾のために持っている」と言ったことからも理解されるように、当時女性のポケットは女性活躍の象徴的アイテムでありながらも、「見栄えのためにあるもの」という立ち位置を払拭できないでいた。 以降、第2波フェミニズム、ポストフェミニズム、第3波を経て現代に至るまで、この問題が解決されることは無かった。
その原因については様々語られているけれど、経済学的には消費者の合理的選択の結果、社会学的には固定されたジェンダー規範の産物、一部では企業利益的に「ポケットが無い方が女性は高価なバッグを買うから」なんて囁かれていたりもするけど、いずれにせよ確かなのは、フェミニズムは第2波以降の約60年間、レディース服のポケット問題について、何一つ決定的な進歩を成し遂げることができなかったということ。
フェミニズムは敗北した、では何に敗北したのか。 1966年、若き天才イヴ・サンローランが男性の正装タキシードを女性用にデザインし発表したことや1969年に始まるコム・デ・ギャルソンが所謂「黒の衝撃」を巻き起こし、女性服に新たな可能性を生み出したこと、オートクチュールからプレタポルテが主流になって行く中で、女性のファッションそのものが様式的なものから逸脱し、マリークヮントのミニスカ、ジョルジオ・アルマーニのジャケットを経て衣服はもはや女性にとって''個''を体現するためのものになっていたこと、それらがフェミニズム、殊更に第3波以降の主要命題に大きく関わり繋がっていることは言うまでもない。 1990年代初頭、riot grrrlが世間に向けて咆哮したのをきっかけに女性自身による表現のうねりは広がり加速していった。 同時期の日本では、女性ファッション誌を中心に所謂「コギャル」コーデがブームとなって(これを第3波に含めていいのか学術的には微妙だけど、そう捉えられる通例がある)おり、こうした主体的な女性ファッションの革新は、後の「slat walk(アバズレ行進)」に繋がる程に世界的に見られるものとなった。
第2波以降のフェミニズムとコンセンプチュアルデザインとしての女性服の関わり、その変遷は「女性が自ら服を選び、服を自らを表現するためのツールとする」までの歴史であった。それは、「ふしだらな格好はやめなさい」とか「女性なのだからコレを着なさい」といった過去の規範、慣習、伝統、その他女性に巻かれたあらゆる鎖を打ち払うためのものである。
しかし、そうして持ち込まれた新たな価値観は、別の軛を生んでしまった。すなわち、自己表現の道具としての服の有りようと、利便的な道具としての服の有りようの二律背反に苦しめられることとなった。機能性とは得てして画一的で代替可能なものであり、工場の作業服などをイメージしてもらいたいのだけれど、そこには個性や多様性など存在しない。利便性は極に近づくほどに均質なものに研ぎ澄まされていく。フェミニズムの主体としての個の尊重は、そうした画一性を真っ向から否定するものでもあった。思想的には、フェミニズムはフェミニズム運動そのものによって新たな不均衡を生んでしまったという皮肉がここにはある。周知の通り、男性服のデザインは女性服のそれに比べて遥かに幅が狭く、機能性に寄ったものが多い。それは、女性は鑑賞されるものであった過去の価値観と同様に男性は働くものであるという規範的因習の名残りでもある訳だけど、一方をそのままに他方を昇華させたために、現代では実質的に「結局、女は''男と違って''見栄えばかり求められているということでしょ?」といったスティグマの再生産・遡行的な様相を呈すに至っている。
フェミニズムは何よりもそのフェミニズムに敗北してしまったというのがこの物語のオチ。
より具体的には第3波の流れでマルチカルチュラリズムやインターセクショナリティ、グローバルフェミニズムを通じ、観念的な''個''の概念ばかりが肥大し、にも関わらず実務的・実際的な理論が第2波以降で殆ど発展しなかったがための宿痾であると言える。いくら綺麗事を並べようと、女性自身に能動的気概がなければ真に女性に寄り添った服は生まれないし、個の尊重の実質が無ければ何も無いのと同じだし、他方に責務をあてがい一方だけ救われようとしても土台無理な話だよねってお婆ちゃんが言ってました。
2024-09-14 クラウディア・ゴールディンのノーベル経済学賞の話¶
おばあちゃん、それは去年ノーベル賞で「単純に女性は労働時間が短いから」て結論が出たでしょ
なぜ、その労働時間の差が生まれるか?→女性が家事育児の負担があるから 労働時間の差だけで説明できるか?→所得の差は時給が同じで労働時間に差があるだけでなく、長時間労働を担えるか否かでその後の地位も変わってくるから
までを示したのが、クラウディア・ゴールディンの研究
2024-09-12 夫婦別姓(別氏)への反対意見¶
「藤原忠通」「藤原頼長」「藤原秀衡」「平清盛」「源頼朝」「大江広元」と、「近衛基実」「松殿基房」「九条兼実」「北条義時」「和田義盛」「梶原景時」「比企能員」「畠山重忠」の違いとその移り変わりを理解している人が実はほぼ居ないことが選択的夫婦別姓の議論における最大の問題の一つだろう。
選択的夫婦別姓にはずっと反対し続けてきているが、これをやると或る国家共同体内におけるイエ(現代風の「核家族」を指す「家族」ではなく)の仕組みそのもの(というか「姓」の意味そのもの)が全く変わってしまうだ。最近では特にこの案は、「選択的」という部分がとてもマズいと思うようになった。 「姓」がまさに「選択」出来るようになったとすれば、その「姓」に一つの連続的な系譜という意味は原理的にもう無くなってしまうのである。よくよく考えてみれば解ると思うが、これは、よく言われる「家族の絆」云々の問題以前の問題である。 個人がそれぞれ「選択」出来るものになってしまうとすれば、一定の規則の元に代々受け継がれる姓の規則そのものが無くなる。それはそのイエの連続的な系譜関係そのものが意味をなさなくなるということである。「姓」という本性的に超個人的なものすら、全く個人的なものになるということである。 本邦においてこの「姓」の「個人化」という話が一番大きく影響するのは、恐らく、先祖の祀りという日本の根幹となる風習であろう。少子化、核家族化、都市への集住、宗教心の薄れなどにより永代供養や直葬などが当たり前になっているこの流れに、決定打が打たれるだろう。 選択的夫婦別姓をめぐる論議、このレベルで展開されているものを私はとくと見たことがない。まず「姓」というものはどんな意味を持つのかという所からちゃんと考えて欲しいものである。
「夫婦別姓」ではなく「夫婦別氏」と書いておられることだけでも、選択的夫婦別姓問題の真の問題を非常に精確に理解しておられることが分かる連投。全くその通りとしか言い様が無い。勿論、正確には現代人の「苗字」は「氏」でもないのですが、これはどうやっても熟語で表現しにくいから仕方無いです。
「選択的夫婦別姓」は別に朝臣とか宿禰とかを夫婦となる個人が選択する制度な訳でもないし、より精確に「選択的夫婦別氏」と書いても別に源平藤橘や大江や菅原や安倍や伴や紀を夫婦となる個人が選択する制度な訳でもないが、その制度変更が持つ意味はまさに古代以来のこれらの制度に関係してしまう。
「選択的夫婦別氏」の真の狙いは、しばしば言われる如く、戸籍の無効化・解体である。明治以降では氏も姓も最早制度的に存在しなくなったが、代わりに古代の制度の復興としての戸籍が、同様の機能を全く別種のものとして担ってきた。その機能とは、皇室と国民を分け隔てながら繋ぐ機能のことである。
明治以後の名字は、氏や姓よりも寧ろ前近代からの「イエ」との繋がりが深いのですよね。岸家・佐藤家・安倍家が一番分かりやすい例で、あの一族は兄弟で分かれて「イエ」の家名を継いでいる訳です。この種のことは少し昔までは極々普通だった訳だし、平安末期以降明治になるまではこのシステムだった。
明治以降の制度は、氏姓制度と共にあった古代の戸籍を復活させる時に、氏姓制度を廃止しつつ、それとは別の「イエ」と共に発生して存続してきた家号としての「名字」を採用してイエ制度を作り直したものだから、この辺の話がまず分かっていないと選択的夫婦別姓の意味が理解出来ない。
夫婦別氏になれば氏とは何を表す記号となるのか。家族の記号でもなく、片親と違い続ければ血族の記号ともなりようがない。夫婦別氏を導入すれば最後、法律婚は根本からその意味を変えるだろう。その混乱と混沌に責任を負えるのか。
別氏派の人に聞きたい。あなたやあなたの子にとって氏はどういう意味を持つのか。
そこで気付くべきなんですよ、保守を標榜するなら。氏を持たない一族が在らせられることに。 つまりこの運動の最終目標は何かということ。
別氏を主張する人ほとんどが自分個人の感情のみで、親から子、さらに孫へと別氏が続いていったら、氏というものがどうなるのか、それを考えていないだろ絶対と思ってしまう。 そして扇動している一部の人はそれを理解したうえで、氏を破壊、戸籍を破壊、つまりは、ということを目論んでいるんだろうとみているわけですよ。この議論に付帯して戸籍廃止を主張する政治家・活動家がいることは事実。 法律婚に夫婦別氏を導入した時、降嫁する内親王や女王が別氏を希望されたらどうするんだろうね。この辺は降嫁後も皇族の身分保持などという誤った方針とも関係してくるけれども。 皇族の身分を保持するなら降嫁と言えなくなるよな、なんと言えば良いんだろう?
"法の苑(2009年50号)"より、1996年法制審メンバーだった #小池信行 元参事官の寄稿。彼は推進論者だったが、起こりうる懸念をきちんと示した。 無責任に喚いている、今のナンチャッテ推進論者とは違って。
これは慧眼、というか、まともに考察すればこのくらいの懸念はすぐ出てくるし、深く考察すれば解決し得ない問題であることに気づけますけどね。
2024-09-12 「…無限なんて無い」「私の永遠は潰えたんだ」「あいつらだけに奇跡が起きるなんて赦さない」¶
今日見た夢、女の子がボロボロになりながら戦ってて「ダメだ、アイツら無限に出てくる!」「もう逃げよう!無理だよ!」って仲間に呼びかけられてたんだけど
返しに「…無限なんて無い」「私の永遠は潰えたんだ」「あいつらだけに奇跡が起きるなんて赦さない」って言い放って猛攻を再開してて良かった
【奇跡】を既に奪われて修羅になった子が相手の【奇跡】を許さないの、良いなと思いました
私が喪ったのだからお前にもそうしてみせるという修羅
2024-09-12 女性の仕事としての水汲み¶
建設業など圧倒的に男性が多い中「水汲み」で対抗できると思ってんのが最高に"女"って感じだな。
いつの時代のどこの国の話をしてんだよ。
これ『女災』の時に調べた微かな記憶がある。 養老孟司師匠の粗雑な本で書かれており、辿ると何か水道局のおっさんの退職お疲れ記念本みたいなのに書かれてた自己宣伝めいた文章だったんだよな。 「水汲みは女の役目」というのはおそらく世界的に普遍的だったんだろうが。
アフリカには「男性が石を汲んでる時に女性は水を汲んでいた」というジョークがありまして、水汲みを女児が行うような国では男児は砕石場等の危険労働を(女児の1.7倍程度)しています。端的に言えば後進国において水汲みは、女性にだけ許された「安全で負担の軽い」労働です unicef: CHILD LABOUR-GLOBAL ESTIMATES 2020, TRENDS AND THE ROAD FORWARD
2024-09-11 発音の問題¶
いったい何語が母語だったら、「来て(と日本語話者に聞こえる音)」と「切って(と日本語話者に聞こえる音)」を導入初期の段階からきっちり産出し分けられるのだろうか と思うくらい、多くの日本語学習者は「来て」のつもりでキッテ(と日本語話者に聞こえる音)を産出していると思う だからもし学習者が「来て」らしき箇所でキッテを連発してたとしても怒らないであげてほしい(彼らはちゃんと「来て」と言ってるつもりであることがほとんど)
2024-09-11 BLUE SEEDがYouTube一挙配信に来た¶
『BLUE SEED』がYouTube一挙配信に来たみたいですが、1話の演出だけでも見て欲しい。
2024-09-09 【コミックDAYS読み切り】六年目の浦島太郎¶
「見えないばけもの」も「天を夢見て」も大賞ではないなら何が、と調べたらこれでした。とんでもなかった。すばらしい。 家族と愛情が、それゆえに枷になり檻になるという答えのでない問題を、コールドスリープというワンアイデアを使って見事に描ききっているし、描写の精度も高く、なにより構成が見事過ぎる。出色と言っていい短編。読んでくれ。
「天を夢見て」はすごかった.
2024-09-09 魔女狩りでたくさんの女性が冤罪で被害にあった時に魔女っていたんですかね¶
痴漢が無くなれば痴漢冤罪も無くなる。一石二鳥じゃないか。
魔女狩りでたくさんの女性が冤罪で被害にあった時に魔女っていたんですかね。
2024-09-08 「女子は全員イイ匂い」って思ってる全男子の夢を壊さない¶
「女子は全員イイ匂い」って思ってる全男子の夢を壊さない為のデート臭い対策前日、当日の朝、デート中で使い分けると◎
2022-03-01 リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』¶
この本、買ってすぐ横に積んであるのだけど、まさかのクマ本だった。 リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書
内容紹介にクマの話はなかったが。
確かにね、表紙に異様なまでにクマが描かれているのでなんでだろうと、ほんの少し思っていたけど、あまり気にしてはいなかった。
「2004年、リバタリアンたちはこのグラフトンに集団移住を呼びかける”フリータウン・プロジェクト”を… と、そんな感じで町の歴史とリバタリアンたちによる社会実験の顛末が語られていくのだが、読んでみれば驚くことに、本書の大半はリバタリアンの社会実験がどうこうよりも熊の話で占められている」 「リバタリアンらが集まって”自由”の気風が強化された結果熊に餌をやり続ける人間も許され、州も「熊は基本人を襲わない」として熊の存在を許容し、動物愛護の観点からもその数を減らしたがらず──とそれぞれの思惑が連続し、時折駆除こそなされるもののその数はどんどんと増えていく。…」 「…そうして、すっかりグラフトンとその周辺は実質的に熊の楽園と化し、住民は日夜熊が自分たちの生活圏を脅かす恐怖と共に暮らすはめになってしまったのである。」 「一方で町の成立、発展過程。熊に関連した話もちゃんとおもしろく、結果的には満足度の高い作品に仕上がっている。」
確かに原題は『A LIBERTARIAN WALKS INTO A BEAR』だし、表紙に原題書かれているし、クマも描かれているのだけど、内容紹介にもタイトルにもクマが無い。
「「自由」を目指してフリータウン・プロジェクトに相乗りしてきた」 「「自由な町を作ろうと呼びかけたら自由を目的にヤバいヤツらが集まってきた」みたいなひどい状況で思わずここを読んだ時は笑ってしまったが、自由を志す以上、これも当然の結果といえるだろう。」
notionに論文を登録すると数式もふくめよしなに翻訳してくれるフローを構築した¶
ある日本人研究者の報告書から¶
ある日本人研究者の報告書から。以下をお読みください。
まじめな投稿です。
10年前、中国延辺朝鮮族自治州に日本時代を知る人たちのインタビューに行っていた。そのうちの一人の朝鮮族女性について書く。
李容淑(廣田淑子)さんは大正15年(1926年)生まれ。一人暮らしで、延吉のアパートのエレベータのない4階にお住まいだった。お会いした時は満88歳だった。70年間使っていなかった日本語だったが、よどみなくお話ができた。というか、日本語話者に70年ぶりに会えて、大興奮していたという感じだった。
お部屋にオルガンがあり、見ると日本時代の歌の楽譜がおいてあった。「待ちぼうけ」があったので、私がオルガン弾きながら、合唱した。彼女は、ぼつっと「この歌を心の中で、「いつか日本が戻ってこないかな、まちぼうけ」と1949年以降もこっそり歌ってた」と告白した。
旧満州国時代、龍井にあった明信高女卒で、日本語で小学校から高女まで教育を受けた。教科書も全部暗記した。死ぬまでに一度は東京、それも皇居前に行ってみたい、前の学年までは修学旅行で東京に行っていたのに、「大東亜戦争」で、行けなくなったのは返す返すも残念という。
女学校では、土曜の午後に家事実習というのがあって、割烹着をきて寿司、のりまき、みそ汁、カレーライス、錦糸卵などの作り方を教えてもらった。結婚後も、のりまきをお弁当に作ってもっていった。高女卒だから教えてもらったと鼻高々だった。
19~20歳から小学校の教師をして、日本の学校で教えてもらったそろばんやオルガンが役に立った。
日本人が去って、ソ連がきて外に出られなかった。その後「解放」があったが、その前後弟5人は「国づくり」と称して、みな北朝鮮に行って、その結果死んだ。李さんは結婚したので中国領に残った。
「解放」後、政治学習会が開かれて出席させられた。日本人は悪いといわなければならなかったが、心の中では「知っている日本人の普通の人はみんないい人ばかりだ」と呟いていた。悪いのは日本の政治家なのに。でもそれを話すと「反動分子」となるので黙っていた。
毛沢東万歳をみんなで叫ぶときに、心の中で「日本万歳」と叫んでいた。
日本時代は平和で安定していた。日本が負けてから混乱が起こり、母の妹の夫は、漢奸として銃殺された。綏芬河の牡丹江で警察やっていたから。でも日本式教育を受けた李さんは漢字を知っていてそろばんもできたので、なんとか小学校教員や会社の事務員として生き残ることができた。子どもにも恵まれた。
李さんはもう鬼籍に入られたのか。こういう語りが聞けなくなってもう10年。公式の歴史とは違う。いろんな複雑な思いがあり、李さんのことを論文にできず未消化のまま10年過ぎた。
以上は10年ぶりに出てきたフィールドノートからの抜粋である。延吉を我々が出発する朝、杖をついて見送りに来てくださった李さん。せめて日本に一度ご招待して差し上げたかった。自分の力の足りなさが恥ずかしい
親子の情¶
父が82歳で死んだときに、103歳の祖母が棺桶の中の父を見て、「まさか、私より先に死ぬなんて〜」って叫んでいたのをふと思い出した。そんなに長生きしてりゃそうなるわと思ったが、棺桶の中に眠っていたのは82歳の爺さんじゃなくて、かわいい我が子だったんだろうな。
英文詳説日本史¶
高校日本史教科書の英訳版である『英文詳説日本史 』は、日本史の出来事を英語でどのように表現するか知りたいときや、 外国の人と日本の歴史について語り合いたいときに、相手に伝わるような英語表現を知るひとつの指針となるはず! 英語で読み直すことで、日本史を新たな視点からみることができ、幾通りもの読み方で楽しむことができる一冊です☺️
🟧『英文詳説日本史 JAPANESE HISTORY for High School』🟧 編者:佐藤信 五味文彦 高埜利彦 翻訳監修:近藤成一 翻訳:亀井ダイチ利永子 亀井ダイチ アンドリュー 価格:3,300円(税込) 仕様:A5 ・ 512ページ https://yamakawa.co.jp/product/59116
👇『英文詳説日本史』紹介ページはこちら👇 https://yamakawa.co.jp/lp/japanese-history-for-highschool/
全国の書店で好評発売中です✨
政治学・政治理論系の本は中公新書がお勧め¶
いきなりですが、中公新書の政治学・政治理論系の本は、読みやすさと得られる知識・考え方のバランスが最高のものが多い印象があり、本当にオススメです 易しすぎず、多少本に慣れていれば読めるものが多い 自分は有斐閣ストゥディアと中公新書で政治の語り方や見方を学んでいった気がします
河東泰之先生による「数学と本」¶
11/05: 岩波書店の月刊『図書』11月号に,私の記事「数学と本」が載っています.ネットで無料で読めます. 河東泰之 数学と本[『図書』2024年11月号より]
そこで本について考えてみよう。私は子供の頃からずっと本が大好きである。より正確に言えば文章を読むのが好きなのであって、新聞でも雑誌でも、さらには広告でも商品の説明書きでも字が書いてあれば何でも読む。
物語要素事典¶
たけえよ!って人にはweb版があるんだなコレが 物語要素事典
『物語要素事典』 この本やべーー!!
今からお前の名はネタバレ大百科だ!いいかい、ネタバレ大百科だよ!
アクセス制御のよいモデルと半環¶
はてなブックマークのアクセス制御はまぁ結構大変なのだけれど、Scalaじゃなかったらマジで死ぬほど大変だった(もしくは、不可能)だろうな〜という気持ちになる。この手の表現力の強さはScalaの売りですね。 (解説) はてなブックマークにおけるアクセス制御 - 半環構造に基づくモデル化
数学基礎論の産業応用¶
特に自動運転への応用を議論している.
数学通信(日本数学会発行)の最新号に「数学基礎論の産業応用」という記事を書きました. 数学基礎論の産業応用
割と長いのですが,中身(の心意気の部分)や,産学連携のコツ(値付けなど),かなり踏み込んだつもりです.ぜひごらんください.
性犯罪の冤罪における非対称性¶
松本人志さんの件、理解できていない人が沢山おりますが『法的な性犯罪者』と『社会的な性犯罪者扱い』のギャップが顕著になった事例だと思います。 通常の犯罪は「被害届→(告訴)→起訴→裁判→犯人である証拠の提出→有罪判決→犯罪者」という流れ。法的にも社会的にも。でも、性犯罪だけは違う↓ 今回のケースは、被害届さえ提出されていません。 松本人志さんは、法的には性犯罪者どころか容疑者でも何でもない無実の男性です。しかし、週刊誌のデタラメな証言だけで社会的に性犯罪者のように扱われている。彼は『法的にはそもそも罪に問われていないので無実を証明する方法自体が無い』のです↓ 【法的には】既に冤罪が晴れているどころか、そもそも罪に問われていない。 【社会的には】性犯罪者扱いされている。司法の場で無実を証明しようと思っても、法的には罪に問われておらず訴えられてもいないのだから、裁判がありません。冤罪を晴らす方法が存在しない。
すなわち『詰んでいる』状況↓
男性側が取れる唯一の手段として、 「女性側を名誉毀損罪や侮辱罪等で訴える」があります。草津事件の場合は虚偽告訴罪も。しかし、草津事件で損害賠償が認められたのは極めて稀なケースです。これらは実際には相当ハードルが高くて難しい。なぜならば『訴えた側が証明しなくてはならないから』です↓
「相手が客観的証拠を持っていなければ名誉毀損を証明できるだろ?」と考えている方は、あまりにも甘すぎる。 法的には『相手が客観的証拠を持っていない証明』でしかなく『相手が意図的に名誉毀損した証明・実際に自分の社会的名誉が著しく毀損された証明』にはなりません。これが想像以上に難しい↓ 通常の犯罪では、冤罪をかけられた当人は『訴えられる側』なので「犯人である証拠」が無ければ、社会的にも法的にも冤罪が証明できます。 しかし、性犯罪では立場が逆転する。 冤罪をかけられた当人が『訴える側』になり、相手の名誉毀損罪・侮辱罪・虚偽告訴等を証明しなければ、冤罪が晴れません↓ 女性の言葉だけで、週刊誌やSNSで社会的に冤罪がかけられる。 男性側は「やっていない証拠」いわゆる「悪魔の証明」を成し遂げてもダメで、女性側を訴えて「相手の悪意」「名誉が毀損された証拠」等を"客観的に証明"できなければ冤罪は晴れません。 これが性犯罪の冤罪です。 あなたも例外じゃない。 これは『社会構造的な問題』です。 週刊誌やSNSにおける女性の言葉だけで、司法も警察も介さず、雰囲気で性犯罪者に仕立て上げられる。法的には無実のまま、社会的な冤罪をかけられる。そもそも訴えられてないから通常の犯罪のように「やった証拠が無い」では冤罪を晴らせない。
まとめました。
松本人志さんの件は、被害届さえ提出されていない。つまり、法的には犯罪者どころか容疑者でも何でもない『無実の男性』です。しかし社会的には『性犯罪者扱い』されている。なぜこんな異常事態が起きるのか。
マトマキ・タオらによる短区間の素数における線型方程式の解の数の漸近公式¶
マトマキ、タオ等5人の大物による、短区間の素数における線形方程式の解の数の漸近公式の論文シリーズ第2弾来てるぞ 政治どころじゃねえ
ここで使ってるのもガワーズノルム(Gowers norm)なんだよな なんかガワーズノルム知らなきゃ最近の加法的な問題お話にならないのかね
フレッシェ微分・ガトー微分が書いてある教科書¶
マジで知らないから教えてほしいんだけどFrechet微分とかGateaux微分とか数学の人は普通どういう教科書で勉強してるの?
他にも書いている人がいましたが典型的には無限次元でないとあまり意味がなく(幾何学的)変分問題、または有限次元・無限次元共通で一般的・抽象的に解析学を導入する本で触れるのが多いように思います。私が知る範囲の初等的な変分法の議論だとそもそも「役に立たないからやらない」まであります。
私が知っている本だとLieb-LossのAnalysisはガトー微分だけあります。手元に本がないため記憶の限りですが、ヨストのポストモダン解析学は有限次元・無限次元共通で実数論から楕円型偏微分方程式まで議論する本で、これにはガトー微分はあったと思います。西川「幾何学的変分問題」は付録にあった記憶.
ちなみに「役に立たない」というのは、微分方程式(に対応する汎関数)ごとに個別具体的な議論が必要で、教養レベルの極値問題のように「解があるとしたらこれ」のような一般論・定性的な議論くらいにしか応用しづらいからです。その意味で力学系だともう少し使いでのある概念になるのかもしれません。
特に役に立たないというのは多分その通りで、物理の学生に変分法を教えるときに「これは数学的には何なんだ」みたいな質問を受けることが多いんで、そのときにちょうどいい回答+リファレンスを知りたいなあという感じです
物理の学生向けだと(現時点での)英語のWikipediaのガトー微分・フレッシェ微分が量的にも程よい感じがします。初等的なレベルの本だと言及自体がなく、一方バナッハ空間のような語彙を持ち出す本になると「言葉は新しいかもしれないがわかるでしょ」扱いになりがちで詳しく議論されない感があります。Wikipediaの冒頭部の解説がちょうどいい回答くらいの塩梅の書き方ではないかと思います。一方で、物理での実際の変分法でこれらがあまり役に立たない理由としてのちょうどいい回答にはLieb-Loss Analysis Chapter11冒頭二ページの記述があります。これは(水素原子の)シュレディンガー方程式に対する変分問題を議論する章で、エネルギー汎関数は弱連続でさえなく、弱下半連続性程度の連続性しか持たず(弱)連続性さえ期待できない云々という面倒な数学的事情が書かれています。
やはりそんな感じですよね>「初等的なレベルの本だと言及自体がなく、一方バナッハ空間のような語彙を持ち出す本になると「言葉は新しいかもしれないがわかるでしょ」扱いになりがちで詳しく議論されない」。弱連続は名前しか知らないですが、微分可能性を期待しすぎない方がいい場合は僕もあります
一応、言葉そのものは書いていなくてもガトー微分は方向微分、フレッシェ微分は多変数としての微分(よく全微分ともいう)なので、これらの区別がつく学生には単にこれらの違いとだけ言って数学的には納得してもらうしかないように思います。
そもそも物理でやる変分も、少なくとも最初のうちは最速降下曲線とか極小曲面とか単に被積分関数を線形近似してるだけだと思って困る気がしないんで、数学的な疑問を持つ理由がどのへんにあるのか僕の側があまり把握できてないのも事態を混乱させていますね
トランプ当選¶
すでに多くのところで高い評価を得ておりますが、こちらの『外交』に掲載された、渡辺将人慶應義塾大学准教授の論稿、「『大統領候補ハリス』と民主党の分断」は圧巻であり、今回のハリス候補の敗北を理解する上で必読です。無料で全文を読めます。
速習・数学的対象の存在論¶
ジェンダーギャップ指数を実際的にも改善するには(2024年版)¶
まとめ
さて、今回行った提案をもう一度振り返っていこう。
- 専業主婦を許さないムードを作る。
- 配偶者が子無し専業主婦(主夫)ならば、浮気していても慰謝料なしで一方的離婚をできる法律を整備する。
- 男性を家庭進出させ、女性を社会進出させるインセンティブを作るため、所得補償ありの育休の期間は男性2年、女性半年とする。
- 女性がSTEM系へ進学するのを当たり前と見なすよう、女子本人、その親、教師を教育する。
- 労働基準法第六十四条の二、第六十四条の三(女性の危険有害業務の就業制限)を廃止する。
- 女性にきつい仕事に挑戦する覚悟を持たせ、責任ある立場(管理職・政治家)における「責任を取らせられる場面」、修羅場の経験を詰むことを推奨する。
- 我が子のお受験を捨ててでも他人の落ちこぼれの子のために働く、政治家等に必要な滅私奉公マインドを植え付ける。
- 内助の功を得るために、配偶者を主夫すること、配偶者が自分より低所得でも養うことを当たり前と考えるようにする。
といった方策が有効になるだろう。繰り返しになるが、私はジェンダーギャップ指数を改善させるためにこれらの政策を本気で実現すべきと考えており、隙あらば捻じ込んでいく所存である。ジェンダーギャップ指数改善という錦の御旗のもとに考えたアイデアであり、これに反対する人はよほど理論武装をしない限りは女性差別者として糾弾可能である。ジェンダーギャップ指数改善は世論が求めてきたものであり、これを原動力としてこれらの政策を実現させていきたい。
ジェンダーギャップ指数は実質上、政治家にしろ管理職にしろ意思決定の場に女性を増やそうという指標になっている。意思決定を行う女性が増えればより女性視点の決定が増え女性にとって暮らしよくなるはずだ、という考え方が背景にある59。同時に、意思決定をすれば、その結果が出た時に「この結果をどうしてくれるんだ」「決めたのはお前だろう」という責任追及の声が出てくることも覚悟が必要である。意思決定(決めずに放置することも含む)には{決める責任、決めた責任}(accountability)が付きまとい、両者は表裏一体であって切り離すことができない。結果を出すための努力はフィジカル・メンタル両面で負担になることもあろう。ジェンダーギャップ指数を改善するということは「もっと女性に決定責任を負わせ、タフに仕事をさせろ」と言い換えても差支えない。
この状況に対して、ノルウェーの女性団体会長にして左翼政党の女性議員が「生後2年は母親のケアが重要」等の性役割を主張しだしたり、あるいは偉いポジションほど責任が重いという事実を目の当たりにしたフェミニズムから「女性が管理職・役員の時だけ責任を負わせられている気がする」という主張(ガラスの崖)が出てきたりと、{左派のマイノリティ}属性を持った人間がその属性を盾に「女にきつい仕事をさせるな」という主張(従来のフェミニズムの観点からは「バックラッシュ」と言える)を唱えるという倒錯した状況となっている。
しかし、いまさら「ジェンダーギャップ指数を改善するのを諦めました」とは言えないだろう。左翼によるバックラッシュを乗り越え、影響力も決定責任も重い職に女性を増やす、そのために女性にもっと覚悟を持ってらもうことは、我が国・政府は避けて通れない道であるように思う。
日本の人は無宗教ではない¶
「日本人は無宗教ではない」
すごく正しくてヤバい 大体の日本人って、いろんな宗教をごっちゃにして、どれにも信仰を持っていないことが多いんだけど 実のところ、神を信じていないわけではないっていう
「神」を軽んじているように見えて、ある一線だけは超えない その一線を読み違えると炎上する
これは何が悪いのか教えて欲しい🥺 インスタ映えを求めて沢山の日本人や外国人が並んで渋滞になってるのに、突然動画になると最近アウト?それとも、寺院で動画撮った外国人の渋滞ヘイトだけなの?普通に寺院であれ教会であれ許可を得てれば問題ないと思うけど私だけ地球在住者じゃないの?
炎上なんて私はしたくないし、争いごとに巻き込まれたくもないけれど。やっぱりモヤモヤするし、なんかおかしいよねと思うから、私が感じたことを書かせてもらいますね。口撃ではないことは読んでもらえばわかると思う。
日本語の先生と話して思うのは、日本の人は無宗教じゃないんだよね。毎日お祈りとか毎週礼拝とかしないけど、心の中でね、どこかで神様が見てる、これはしちゃダメ、これ神様に失礼と、おそれたり敬ったりしていると感じるのよね。
鳥居は神様の通り道だし、外の世界と神様の世界をつなぐボーダーだと本で読んだことがある。そこはおどっていい場所じゃないのですよ。神話で「アメノウズメもアマテラスオオカミを外に出すためにおどったし、いいじゃない」と書いている人もいた。意味が違うと思うのよね。日の光をとり戻すための神事とインフルエンサーダンスを一緒にしてはダメでしょう。
その神様を大切に思ってない人が、話題を集めたいという理由だけで宗教施設の中でダンスしたら怒るよね。奉納ダンスと比較してる人もいた。でもね、このダンスは奉納ではないよね。神様とつながろうとする心がないもの。「心があるかどうかは聞かないとわかんないでしょ?」って言われるかもね。あの場所で、あの服装、神社や信仰と関係のないうごきに心や敬意なんてありますか?私は感じなかった。
また「許可があれば大丈夫でしょ?」とベロニカさんは書きました。このダンスを見て許可したりSNSへアップすることでよろこぶ神主さんや神社の人はいるのですか。許可をとったと私は思えない。日本の若者がお寺や神社で踊ったり、コマ犬をけっている動画も見たことあるけどやっぱりめちゃ炎上してたよ。
「私だけ地球在住者じゃないの」とも彼女は言いました。これは、炎上しますよ。一個人の意見を「怒っている日本人とそれ以外の地球人」という構図に描き変えたんだから。いかにも自分が大勢のコモンセンスを代表しているかのように。怒っている人はヘイターのようにも言ってたよね。今回、怒っている人たち差別とかヘイトじゃないと思う。たしかにめちゃ口の悪い人もいたけど。それも怒りのあらわれなのかと思った。自分たちが大切にしているもの、おそれ敬っているものに失礼なことされたら、やっぱり怒るよね。私は他国の宗教施設にいくとき、本当に慎重にする。事前に作法・儀礼を勉強する、その土地の人をおこらせないことを考える。場合によっては、いかないという判断も正しいと思う。
もしかしたら、関係ないのに口出すなとまた言われるかもしれないが。最近多くの日本の人たちと触れあうことがあって、どうしても言いたくなってしまったの。不快に思わせたらごめんね。
最後にです。ベロニカさんという女性がこう思ったから、言ったからと。スロバキアや外国人を十把一絡げにはしてほしくないのよね。1人の人をみて全体を語るのはやっぱり気をつけなきゃと私も私自身に言い聞かせているところです。さていまからレポートがんばる💪
量子力学での摂動論¶
Formulae for Non-degenerate Rayleigh-Schrödinger Perturbation Theory in any order (1961) https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0370-1328/78/4/306/meta
On Huby's Rules for Non-degenerate Rayleigh-Schrödinger Perturbation Theory in any Order (1962) https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0370-1328/80/5/308/meta
摂動の一般論はあるらしい
加藤敏夫 On the Convergence of the Perturbation Method. I (1949) https://academic.oup.com/ptp/article/4/4/514/1844108
メシア『量子力学3』で解説されている。 縮退があっても良い
これらの文献を読んだことがないためどの程度の共通部分があるのかわからないのですが、数学としては加藤の解析的摂動論として適当な条件下での量子力学(一部場の量子論にも使える)の摂動の一般論があります。新井朝雄先生の量子現象の数理5章にも議論があります。
ありがとうございます。 もしかして私がさっきツイートした https://x.com/subarusatosi/status/1848989719893614929でしょうか?
個別具体的な論文は知らないのですが、この周辺の数理物理での基本的な文献としてhttps://link.springer.com/book/10.1007/978-3-642-66282-9があり、初版は1966のようなので多分これのどこかに関連する結果がまとめられているとは思います。 加藤敏夫先生はもともと物理で摂動の収束問題から量子力学の数学的な議論を始め、フォンノイマンが額縁だけを作って細かい議論をしきれていなかった中、水素原子のハミルトニアンの自己共役性を証明して具体的な自己共役性の問題にも初めて成果を上げたこちらの業界での著名な人物なので、関連する数学的な古い議論を見ていたら必ず行き着く人だろうとは思います。 いま手元にあったPDF版のPerturbation Theory for Linear Operatorsの文献欄を見たら先の論文が挙げられていました。
ありがとうございます。 『行列の摂動』(A Short Introdution to Perturbation Theory for Linear Operationsの和訳)は持っていて、確認したら欲しい情報が書いてあるようでした。
解析的摂動論は大まかに言えば離散的な固有値、特に固有値間に有限のギャップがある場合の基底状態のエネルギー評価に関わる理論なので行列が簡単な場合として含まれます。場の理論または物性だと質量ギャップのある系または光学フォノンにはある程度応用できます。 数学としては行列でわかる部分もあるというか、むしろ定式化への慣れという点では行列の時点でかなり面倒と言った方がいいのかもしれません。基本的には記号を一般的に設定すれば有限次元ヒルベルト空間を無限次元に読み替えただけで大体通じます。
本来統計推論はよりinformativeな意思決定をするためのものであって因果性を知るためのものではない¶
まぁ分野ごとに因果推論の概念が違うのは変ではないし、違いは代表的な教科書を読めば明確だけど、初学者には分かりづらいと思うなど。
私は統計学の門外ですが、長らく広告業界の仕事をしてきました。その経験から社会現象における因果関係を統計によって知ることができるいう人の話は、眉唾というか、考慮要素の一つにはできても、それを根拠に現実社会の経済政策決定するなんてとんでもないと思ってもます。間違ってますか?
研究者自体も勘違いしてるポイントだと思うけど、本来統計推論はよりinformativeな意思決定をするためのものであって因果性を知るためのものではない。ただ因果性が知れるならそれは最もinformativeであって、それのための諸条件をまとめたのが統計的因果推論。だから諸条件が成り立たなくてもinformativeでありうるわけで、その具合を知れるのも、つまりどのくらい意思決定にinformativeかを知れるのも因果推論の枠組みだから。ただ因果性を言いたいために成り立ってない諸条件を成り立ってることにするのは本末転倒だし、informativeな意思決定にはならない。
レトラクションと絶対近傍レトラクト(ANR)¶
前提知識が多い=召喚コストが高い¶
Barwiseらの道具立て(situation semanticsにしろ、晩期のchannel theoryにしろ)は結構複雑化するから、こう召喚コストがですね……
前提知識が多いことを「召喚コストが高い」はおもしろい表現なので、どっかで使いたいな
水1gのシミュレーション¶
水1gを原子・分子レベルからシミュレーションしようと思うと、全世界のスパコンを使って今の宇宙の年齢(138億年)くらい計算させても計算が終わらない。これは量子多体問題(多体問題のシュレーディンガー方程式)を解くことの本質的な難しさのためである。
量子多体系を解く本質的な難しさと、数値シミュレーションの難しさはお互いに関係があるかもしれないが、基本的には全然違う話なのではないかという気分がある。特に後者はともかく前者は何を指すかそんなに自明ではないのでは。
水1gを原子分子レベルでシミュレーションする際、「なんのために」シミュレーションするか、というのは実はかなり大事ではないかと思っている。統計力学でわかるように、マクロ物理量が等しい微視的状態は無数にあるわけだから、なんらかの意味で粗視化してシミュレーションするのが妥当と言えると思う。流体力学とか。仮に無限の計算資源で水1gを量子力学レベルでシミュレーションしたとして、その結果動いている水の動きから人類はどのような情報を引っ張れるのか。結局マクロな物理量以外は取れないのではないか。なぜなら、カオス的挙動によって初期値敏感すぎるから、実際の水の初期配置を完全に知ることが不可能なわけで、そのシミュレーションはその初期配置でのみ有効なわけで、意味のある量を計算したければ初期配置を変えて何回もやらなきゃいけなくて、それって、みたいな。
よくわかっていないのですが、(適当な範囲の)多体系のシュレディンガー方程式の解は初期値鋭敏性を持つのでしょうか。
時間依存シュレーディンガー方程式なので初期値鋭敏性を持つような気がします
量子系を記述する偏微分方程式にどこまで適用できるのか知らないのですが、よく「線型力学系にカオスは発生しない」とか言われるのでどういう扱いなのかは気になっています。大分前に量子カオスの議論を見たなと思い出したのでその辺を眺めたら「高励起原子分子の運動はほとんど古典的な意味でカオス」みたいな記述があり、その他「古典的にはカオスを起こしていそうだが量子系でどう記述されるのか」的な意味での量子-古典対応の議論があってそんなに簡単な話ではないような。ちなみに改めて眺めたPDFは池田研介, 量子カオスの諸問題で量子カオスの諸問題(原子核集団運動の非線形動力学,研究会報告)あたりのちょっと古い時点での話なので今はもう少し理解が進んでいるのかもしれません。何にせよそんなに自明な話ではないように思います。
興味深い情報ありがとうございます。確かにカオスかどうか、は難しい問題かもしれません。私の感覚的には、以下のような感じです。今、水を対象にしていますから、原子核内部の運動というより原子そのものの運動もかなり重要で、原子同士の相互作用は電子とか陽子とかの量子力学的効果によって決まっている複雑な関数形になっており、原子の運動はどう考えても恒星や惑星の運動より複雑で、天体でカオスがでるなら当然出るのでは、的な感じです。一方で、水分子の集団は乱流になりうるわけですが、これがカオスとどう関わってくるのかはあまり理解していないです
「がんのことが大っ嫌い!」ワッキー中咽頭がん発覚から4年も味覚が戻らず「なに食べてもまずい」¶
2020年にがんを宣告されたお笑いコンビ「ペナルティ」のワッキー。仕事もプライベートも充実、働き盛りのときに突然襲ってきた病魔をどう乗り越え、治療に臨んだのか。今も後遺症が残っているというワッキーに、当時の闘病生活や現在の状況を聞いた。
【写真】つらいときに笑わせてくれた芸人
「喉の左側にしこりを見つけまして。放っておいたらそれが1週間で2個に増えていて、これはおかしいと」 ヨーグルトは泥を食べている感覚
そう話すのは2020年の春に中咽頭がんを患った、お笑いコンビ・ペナルティのワッキーさん。スポーツマンで知られており、健康にも気を使っていた。しかし大学病院の医師から告げられたのは、まさかのがん。それも当初は原発不明がんだった。
「首のしこりはがんなんですけど、お店で例えるならそれは支店で、がんの本店である“原発”が見つからない。喉の奥の組織を調べたり、PET検査もして1か月ほどかけてもわからず、原発不明がんと診断されました」
妻と相談し、セカンドオピニオンを受けることに。
「主治医の先生はとても協力的で、すぐにがん専門病院の先生を紹介してくれたんです。ただそこでも原発が見つからず、首の組織を切除するしかないと。手術の日取りも決まったのですが、術前の最後の診察で、先生が“何かここが気になるんだよな……”と人さし指で喉の奥をぐりぐり触るんですよ。
もう一度だけ検査しようと喉の深くまでえぐり取り、そこでやっと中咽頭がんが見つかりました。最新の医療技術でもわからなかったことを、先生の経験や勘、愛情でギリギリのタイミングで見つけてくれてすごいと思ったし、紹介してくれた大学病院の主治医にも、すべてのめぐり合わせに感謝しましたね」
ワッキーさんが患った中咽頭がんは、化学放射線療法と相性が良かった。そのため切除手術は選択せず、抗がん剤治療を3回と放射線治療を30数回行うため、6月から2か月の入院生活。そして化学放射線療法の副作用が徐々に身体を蝕んでいく。
「何を食べても良かったので、お気に入りのみそラーメンをよく食べていたんです。でも10日ほど過ぎたころ、急に味がわからなくなって。ヨーグルトなんて泥を食べている感覚で、そのうち気分も落ち込んで……。放射線を浴びると喉が痛くなり、ごはんも食べられなくなりました」
味覚は5割しか戻っていない
抗がん剤を打つたびに副作用が酷くなったが、闘病中も“笑い”が支えになった。
「2回目を打ってからゲロゲロ吐いちゃって、何もできないし動けない。3回目が本当にキツくて、夜通し吐いて眠れない日々が続いて。そんなときに、心の底から笑いたいって思ったんですよね。
後輩の、もう中学生に突然電話して“もう君、新曲できたらしいじゃん”とむちゃ振りすると即興で歌ってくれたんです。それがめちゃくちゃ面白くてゲラゲラ笑っていたら、不思議とその間だけは身体がキツくないんですよ! 身をもって笑いの力を感じました」
サッカーを通じた縁にも励まされた。
「仲のいい槙野智章が音頭をとって、J1のほとんどのチームが参加した、激励の動画を送ってくれたんです。三浦知良選手の“ワッキーさん!”という呼びかけから始まり、最後にイニエスタ選手が“ジョッキーさん! ガンバッテ!”と。名前を間違えられるという最高なオチで締められていました(笑)」
家族や芸人仲間、ファンの存在も支えになり、翌年3月には念願だった劇場復帰を果たす。しかし予想以上の後遺症が待ち受けていた。
「後遺症は個人差がありますが、僕は色濃く残ってしまったほう。退院して4年たつけど味覚は5割しか戻らないし、唾液は普通の人と比べて3割しか出ないんですよ。大好きだった長距離ランも喉の渇きと体力の低下でまったくできない。
何を食べてもうまいと思えないし、好きだったラーメンも違う味に感じたり。お医者さんいわく味覚が今より落ちることはなくても、5割のままがずっと続くかもしれないし、100%元に戻ることもないそうです」
後遺症のため一時は再び休養に入った。精神的に落ち込む日々もあったが、現在は新たな芸風を模索中だ。
「今までは元気な人間だったけど、身体が100%戻ることはないから正直弱気ではあります。でも芸歴を重ねて年も取って、キャラクターを変えていこうとも思っていたので、今は“おじさんワッキー”を模索中。
僕、ぶっちゃけがんのこと大っ嫌いなんですよ。はっきりした予防法がほぼない病気だからこそ、検査だけは早期発見のためにしっかり受けるけれど、必要以上にびくびくしながら生きるのは、もったいないと思ってます」
「ペナルティ」ワッキー●1972年生まれ、北海道出身のお笑い芸人。高校・大学のサッカー部の先輩だったヒデに誘われ、1994年にお笑いコンビ・ペナルティを結成。筋肉芸人としても知られ、「お笑い界一」と称されたこともあるほどの身体能力の持ち主で、テレビや舞台で活躍。
取材・文/植田沙羅
思春期の子育て疲れたな¶
思春期の子育て疲れたな 保育園のころの子どもたちに会いたいな ふたりを前後に乗せて自転車で走りたいな
2024-10-17 西田敏行逝く¶
西田敏行さんというと探偵ナイトスクープ局長時代の神回、終戦の年生れの依頼者が戦死した亡父が戦地から母へ宛てた葉書に詠んだ短歌がかすれて読めないので解読してとの依頼、これで出征当時の父は母が依頼者を妊娠してた事を知ってたと分かり西田局長、泣き疲れて呆然とした顔がまだ記憶に残ってる。
レイテ島からの手紙、ですね。 たしか奈良文化財研究所かどっかで拡大して処理した文面が読めた。 毎回よく泣いていらっしゃった局長ですがあれは、そりゃあ泣き果てますね。
先行研究の探し方¶
先行研究の探し方
- 網掛式:Cinii/NDLキーワード検索
- 芋蔓式:文献の参考文献を辿る
- 項目式:辞典や論点集・キーワード集の関連項目と主要参考文献を参照
- 特集式:学会誌の特集や数年毎の研究動向論文を参照
- 編年式:学会誌の目次を遡る
- 白楽式:専門の先生に何を読むべきか聞きに行く
近鉄が「わたしは、奈良派。」ってキャンペーンを展開していてこれほど仮想敵が丸わかりな派閥は他に無い¶
近鉄が「わたしは、奈良派。」ってキャンペーンを展開しているんだけど、これほど仮想敵が丸わかりな派閥は他に無いしそう考えてみると「このまちでは、歴史は過去のことではないようです。」ってコピーも「あのまちにはもう、歴史なんて息づいてませんもんね」と煽っているようにしか見えなくなるな。
学生のフィールドワークはちゃんと指導してからでないと本当に危うい¶
学生のフィールドワークは、ちゃんと指導してからでないと、本当に危うい。
たとえば、「誰か高齢のかたに戦争体験を方言で語ってもらって、動画にしてYouTubeにアップしたい」と言う学生がいたとする。 その場合、〈戦争体験を思い出して語るということが、どれだけ残酷で精神的に負担であるか〉ということに思い至っていない可能性があるので、そこから教えなければならない。
映画サウンド・オブ・フリーダムの背景(?)¶
「サウンドオブフリーダム」予備知識なしで観たら、打ちのめされるほど、圧倒されました。世界中で起きている小児誘拐奪還のため戦う男たちの映画。屑映画100本観る前に、本作を観ることをお薦めします。「あの子がいないベッドを想像できるか?」この映画が5年間お蔵になっていたとは!
https://cinemandrake.com/sound-of-freedom 予備知識あったほうが良かったかも知れない…… こういうの見てしまうと「フィクションの力」の危うさを感じてしまう
『サウンド・オブ・フリーダム』を観る前のQ&A
- ✔『サウンド・オブ・フリーダム』の見どころ
- ★Qアノンと映画の関係をめぐる世相を学ぶ。
- ✔『サウンド・オブ・フリーダム』の欠点
- ☆Qアノンに引き込まれる入り口になるリスク。
- ☆救世主主義に溺れ、被害当事者をおざなりする。
映画自体の内容はともかくとして, 記事の偏向に対する次のような指摘もある.
さらっとColabo問題に関する一方的な勘違いと誤情報が盛り込まれていてる。
慈善団体がミソジニーなハラスメントで… 都主導の若者向け相談施設が登場しましたが、あろうことかその施設内で少女に性的加害行為
特に後者、都を叩きたい「慈善団体」の広報だけを情報ソースにした、明確な誤情報です
都の施設で女性側の未成年者を含むカップルが公然猥褻プレイを行なって逮捕。問題のある利用者がいたという話で、施設側が性犯罪を〜っていうのはたんなるデマ。
毎回言っていく https://x.com/chat_le_fou/status/1842581868820250714
Colabo問題の発端は、代表の人の「15歳でメイド喫茶で働いていた人身売買被害者」という経歴への疑義と、その立場で、当時「萌えの聖地」だった秋葉原を「人身売買の街」とするデマで海外向けに団体PRを行ったこと。
サウンド・オブ・フリーダム、話だけ拾うとむしろ「あー、反人身売買運動でありがちな、資金集めのための英雄化プロパガンダ映画かぁ」というやつで、Colabo問題も、なぁ……
ソマリー・マムの経歴詐称スキャンダル、もう検索しても上位に出なくなってるんよな。 https://www.nytimes.com/2014/05/30/world/asia/anti-trafficking-activist-quits-amid-charges-stories-were-fabricated.html
Colabo問題の発端は、代表の人の「15歳でメイド喫茶で働いていた人身売買被害者」という経歴への疑義と、その立場で、当時「萌えの聖地」だった秋葉原を「人身売買の街」とするデマで海外向けに団体PRを行ったこと。 当時の秋葉原を知っている人からは当然ツッコミが入っているのだが、そういうの全部「女性を支援している団体だから攻撃されているんです!」にされている。
ジョセフ・ヒース「反自由主義的リベラリズム」¶
有害な男らしさとカナダの心理学者ジョーダン・ピーターソン¶
🎞️字幕:フェミニストや社会学者が好んで使う「有害な男らしさ(toxic masculinity)」というフレーズ。 ラディカルサヨクの天敵とも言われる、カナダの心理学者ジョーダン・ピーターソンが感情をあらわに語る、有名な一幕。
夫婦別氏(夫婦別姓)と氏の記号¶
夫婦別氏になれば氏とは何を表す記号となるのか。家族の記号でもなく、片親と違い続ければ血族の記号ともなりようがない。夫婦別氏を導入すれば最後、法律婚は根本からその意味を変えるだろう。その混乱と混沌に責任を負えるのか。 別氏派の人に聞きたい。あなたやあなたの子にとって氏はどういう意味を持つのか。 そこで気付くべきなんですよ、保守を標榜するなら。氏を持たない一族が在らせられることに。 つまりこの運動の最終目標は何かということ。
別氏を主張する人ほとんどが自分個人の感情のみで、親から子、さらに孫へと別氏が続いていったら、氏というものがどうなるのか、それを考えていないだろ絶対と思ってしまう。 そして扇動している一部の人はそれを理解したうえで、氏を破壊、戸籍を破壊、つまりは、ということを目論んでいるんだろうとみているわけですよ。この議論に付帯して戸籍廃止を主張する政治家・活動家がいることは事実。 法律婚に夫婦別氏を導入した時、降嫁する内親王や女王が別氏を希望されたらどうするんだろうね。この辺は降嫁後も皇族の身分保持などという誤った方針とも関係してくるけれども。 皇族の身分を保持するなら降嫁と言えなくなるよな、なんと言えば良いんだろう?
工学部と意識高い系¶
工学部、「それどうやって実装するの?」で自然に意識高い系の話が止まるので楽
QuizKnockが東大ブランドを自分たちの利益のために最大限利用した結果、自分たちの後輩が東大で学ぶ環境を厳しいものに追い込んでいる可能性がある¶
QuizKnock が東大ブランドを自分たちの利益のために最大限利用した結果、自分たちの後輩が東大で学ぶ環境を厳しいものに追い込んでいる可能性がある
「恐ろしいまでの他責思考」, 「もし自分とは違う政治的指向を持っていたらどうするのか(もちろんそれはそれで強く批判を続けるなら筋はきちんと通っている)」とボコボコにされていた.
「社会問題について関心を持つべき」を、「党派的イシューについて自分と同じ見解を持ち表明してほしい」の言い換えとして使っている連中については、partisanとして継続的にバカにしていきたいですね。
臣の臣は臣にあらずというのを手っ取り早く理解したいなら¶
臣の臣は臣にあらずというのを手っ取り早く理解したいなら本社の役員がいきなりグループ傘下の店に来てあれやれこれやれとバイトのお前に命令してるという状況を想像すると良い
お前が偉いのはわかるがまずは店長かマネージャー通してくれんとどうしようもないわってなるじゃん
ランジュバン方程式に詳しい博士論文: 黒岩 健, Brownian Motion and Glassy Dynamics with Disparately Separated Time Scales¶
ランジュバン方程式に詳しい博士論文 Brownian Motion and Glassy Dynamics with Disparately Separated Time Scales https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=83&item_id=32381&item_no=1 (黒岩 健,2014年)
Physics heresy: Projectiles don't actually make parabolas¶
打ち出された物体の軌道は放物線ではない https://bigthink.com/starts-with-a-bang/projectiles-dont-make-parabolas/
初等物理では長らく「空気抵抗なければ投射物体は放物線(Parabola)を描く」と教えているが、実は違っていて楕円(Ellipse)という話。 地表にぶつからなければ一周する
それは、系に対して地球が十分大きいことをもって地面が平坦(重力は常にまっすぐ下向き)と近似するから放物線になるので、地球に中心があって重力はそっち向きという要素を入れたらそれは楕円になりますよね。
大雪晟, 【コミックDAYS読み切り】天を夢見て¶
【アフタヌーン四季賞2024夏 準入選】 かつて大虐殺を引き起こした悪魔と、人間を護るべく発生した天使との戦争は、天使が優勢のまま続いている。天使に憧れ夢敗れ、人のまま30歳となったライアンは、天使である妹を眺め鬱屈した思いを抱えていた。その日、妹から悪魔を取り逃したことを聞いたライアンの目の前に、天使の証である矢が現れる…! どうしても諦めきれない“何か”を抱えたあなたへ送る、渾身のファンタジー。
次近接ハイゼンベルグ模型の非可積分性(局所保存量の不在)¶
- URL
- Naoto Shiraishi, 2024, Absence of Local Conserved Quantity in the Heisenberg Model with Next-Nearest-Neighbor Interaction
論文が出版されました!次近接ハイゼンベルグ模型の非可積分性(局所保存量の不在)を厳密に証明した論文ですが、前にレターで示したXYZ+磁場の非可積分性の証明もかなり丁寧に解説しているので、非可積分性の厳密証明の研究を知りたい人は是非ご活用ください。
さくらももこが漫画家になる前のお話¶
さくらももこさんが漫画家になる前のお話読んでボロボロ泣いた。遥か上に感じる人の存在が、特に自分を強くしてくれる。
その後のこぼれ話も胸熱
牛角の女性割引に疑問の声、アメリカでは既に「違法」 --- 國武 悠人¶
'Challenging mathematical problems with elementary solutions' - Yaglom & Yaglom.¶
'Challenging mathematical problems with elementary solutions' - Yaglom & Yaglom. Originally published as 'Neelementarnye Zadachi v Elementarnom Izlozhenii ' by the Soviet Printing House for Technical-Theoretical Literature, Moscow, 1954. PDF
'Challenging mathematical problems with elementary solutions: Vol. II' - Yaglom & Yaglom. PDF
「男性が多いと云々とか女性が多いと云々とかいう理由付けがもし真実なのだとしたら共学なんかやめて全て男女別学にしてはいかがですか」¶
男性が多いと云々とか女性が多いと云々とかいう理由付けがもし真実なのだとしたら共学なんかやめて全て男女別学にしてはいかがですか
参考¶
そういう具体的とか実際的な不便でなく、男女比が半々か女子が多めでないと不思議な力の働きでなぜかつらくなるみたいなの、不思議すぎてよく分からない
https://x.com/UFOprofessor/status/1829378620332376246 一応こういう話があるようです。それはそれでどのくらい人数がいればいいのか、量と質的な話や、性別がどの程度「仲間や友達」判定に入るのかなどむしろさらに厄介な話が出てくる気はしますが。
UFO教授 (藤木文彦 Fumihiko Fujiki) @UFOprofessor
8月30日 仲間や友達ができるかどうか、というのも学校選びの重要な要因ですからね。https://x.com/kamo_hiroyasu/status/1829343423264092206
工学系への進学をやめた女性の理由の上位に「女性が少ないから」があるのは本当で、それが女性が少ない原因になって負のフィードバックになっています。だから、とにかく女性をたくさん入れてフィードバックを断つのは効果があります。問題は「頭数要員募集」と銘打ったら集まらないことです。
うーん、仲間や友達はそれなりに重要でしょうけど、異性ではダメな理由が分からないですし、「工学系への進学をやめた女性の理由の上位に「女性が少ないから」がある」のはやはり不思議です
「調査結果」が本当に実情を写しとれているか問題は常にあるため、とりあえずそれが正しく実際に大きな問題であるという前提に立つなら、最悪相互理解が不可能なレベルで世界観が違う人たちとの話をしなければならない状態でわかりあうのは本当に無理なのだと思っています。 この辺でよくネタに上がる話として、いわゆるいい会社に入ったが、僻地の工場勤務で、キラキラしていないから嫌だという女性の話題が上がりますが、それと類似で感性が全く噛み合わないのだと思っていて、もはやお互い敬して遠ざける以外の道はないという気分があります。 参考にしてはいけない水準の理学の極としてhttp://chem.konan-u.ac.jp/PCSI/web_material/math_kato.pdfくらいの人がいる一方、工学部だと「役に立つことがしたい」という良い意味で素朴な感情を胸に進学する学生が確実に一定数いて、この感情を重視するなら同じ学部・学科の所属人数などでもいいだろう、総合大なら他学部・他学科があり、今ならリアルの知り合いだけでもないだろうとさえ思うのですが、そういう感覚でもないようで、私の感覚だと、特に工学部を志望する人間で役に立つかどうかより二割いてもなお同性が少ないというのが障壁になる存在の感性はもう全く理解できないです。そうなのか、としかもう言えない。
「異分野融合の意味と意義」宮野公樹 日本金属学会会報まてりあ 第60巻第10号 2021年 p.615-619.¶
ガチ理工系の方々に元ガチ理工系が書いたガチ人文系文章をぶつけた論考がどこまで響くかなって思ってドキドキしてたけど、特に反応はないです。数年たった今も。 「異分野融合の意味と意義」宮野公樹 日本金属学会会報まてりあ 第60巻第10号 2021年 p.615-619. http://hdl.handle.net/2433/276587
一階述語論理のゲーム的な解釈, 証明者と検証者¶
(∃x. P(x)) → Q と ∀x. (P(x) → Q) の同値性に思いを馳せてほしいというか、一階術語論理のゲーム的な解釈を広めたほうがいい (証明者と検証者という用語が与えられることで多少は理解の助けになると思う) ∀は検証者が値を選ぶ、∃は証明者が値を選ぶというだけなのだが、 → の前提部分に出てくるときは話が逆になる (=de Morgan) のでそこで誤謬が持ち込まれうるのが厄介
で数学的帰納法はそれ自体が公理図式つまり仮定の一種なのでここでも混乱が持ち込まれる。
田崎晴明『熱・統計力学に導かれ量子論に至り、量子論をもとに熱・統計力学を理解する』¶
田崎晴明『熱・統計力学に導かれ量子論に至り、量子論をもとに熱・統計力学を理解する』 岩波『科学』2024 年 8 月号『量子力学 100 年の展開』所収 https://gakushuin.ac.jp/~881791/pdf/Kagaku_QM_202408.pdf
円心運動中に離すと球体は円心運動を継続する¶
ChatGPTによる書き起こしの要約¶
円運動をしている物体のひもが切れた後の動きを検討しています. 一般的にはひもが切れた後に物体が切れた地点の接線に沿って直線的に動く(答えB)が正しいとされていますが, 実際にはそれは間違いです. 実験結果から物体は一瞬間だけ円運動を続ける(答えA)が正しいことが分かりました. この現象はひもやスリンキーの中を伝わる張力の波によって説明され, 例えば太陽が突然消えた場合, 地球が8分間そのままの軌道で動き続けることに似ています.
Chromeでの書き起し¶
-
(00:01) greetings and welcome to All Things physics where we circle around and around trying to understand the details of how the world works today I want to discuss a question that surprisingly subtle and most people end up getting it wrong including physicists check it out imagine an object being swung around on a string so that it moves in uniform circular motion the question we want to answer is what path does the object take immediately after releasing the string to narrow things down a bit I'll give you three choices
- (00:37) does the object a continue moving in circular motion B move along a straight line path tangent to the release point or C move in a straight line path directly away from the center of the circle I'll give you a few moments to think it over and choose an answer at this point I assume you've got an answer in mind so I'd like to begin by revealing that answer B is generally considered to be the correct answer but in reality it turns out to be wrong now I know many of you are probably thinking what how is that possible
- (01:22) well hopefully by the end of this video I'll have you convinced that another answer is indeed correct before discussing why answer B is incorrect let's first take a look at answer C some of you might think that this answer is obviously wrong but it's not as strange as you might think it all depends on your perspective let me explain what you're looking at here is a small plastic Puck sitting on a platform that can rotate notice that as I rotate the platform the mass moves in circular motion this situation is similar to swinging a
- (02:01) ball around on a string with friction playing the role of the string if we rotate the platform faster and faster there comes a point when the mass begins to slide which is similar to releasing the string but what do we observe if we happen to be on the rotating platform initially the puck remains Motionless but once we reach a high enough rotational speed we see that the puck moves away from the center of the platform and curves off to the left although it's a little hard to see if you look closely it looks like the puck
- (02:38) initially moves directly away from the center of the platform in fact if we neglect air resistance then one can show mathematically that this is precisely what's happening thus you can make a strong argument that answer C is in fact the correct answer assuming of course that you happen to be viewing the situation from a rotating frame however even in a rotating frame and neglecting air resistance answer C turns out to be incorrect for the same reason that b is incorrect and by now you're probably really
- (03:13) curious why answer a turns out to be the correct answer before moving on it's worth mentioning that the trajectory of the puck on a rotating platform is governed by the centrifugal force and the Coriolis Force which can give rise to some very interesting motions these forces are sometimes called fictitious forces though this term downplays the very real effects you experience if you're in the rotating frame given that we live on a rotating Planet it's actually critically important to understand how to determine the motion
- (03:49) of an object in such a frame the process is relatively straightforward but the details are better left to a future video to understand why the ball continues along its curved trajectory immediately after the string is released let's first think about something really simple a dropped ball as you would expect there's nothing terribly interesting here the moment the ball is released it begins accelerating toward the ground but things are not quite so simple if we look at a more complex object such as this Slinky hanging from one end
- (04:27) dropped slinkies have been very popular on YouTube so you may already know what's going to happen but if you've never seen it before the phenomenon is pretty striking notice how the bottom of the slinky remains motionless after the top is released it almost appears as though the slinky somehow defies the laws of physics it doesn't of course Newton's second law says that the net external force on the system is equal to the mass of the system times the acceleration of the system's Center of mass
- (05:00) the slinky Center of mass will behave exactly like the dropped ball to verify this is the case shown here is a slinky and a ball dropped at the location of the slinky's initial Center of mass accompanied by a simulation of a dropped Slinky along with its calculated Center of mass as you can see the slinky Center of mass behaves exactly as predicted by Newton's second law what's causing the interesting Behavior here is the fact that there are internal forces at Play in addition to gravity acting on each
- (05:37) coil in the slinky there's also a tension force from the slinky itself and the strength of this tension force is larger when the coils are more spread out the coil spacing is thus a visual display of the tension in the slinky for a hanging Slinky we can see that the tension is larger near the top which makes sense when you consider that a larger tension is needed to support a larger fraction of the slinky's total weight now before the slinky is released the forces are balanced and each point of the slinky is in equilibrium but once
- (06:13) released the force is at the top become unbalanced so the top of the slinky begins to accelerate this acceleration leads to a change in tension that then propagates through the slinky as a longitudinal wave thus each point on the slinky remains in equilibrium until the tension wave arrives for a slinky this wave speed appears to be roughly constant and in our particular case we find an approximate speed of 3.
- (06:46) 3 meters per second interestingly for a slinky the motion of the collapsing coils and the motion of the tension wave appear to coincide almost exactly thus the collapsing coils essentially marks the position of the tension wave there's no reason this has to be the case so the motion of a drop Slinky is somewhat special in this regard and may very well be one of the reasons why dropped slinkies Are So Beautiful to watch we'll return to this interesting point later in the video so what does all this have to do with the question about circular motion
- (07:23) well imagine connecting a ball to the bottom of the slinky not surprisingly the same phenomenon is observed I don't know about you but even though this behavior is expected I still find it pretty extraordinary to see the ball levitating in the air like this but if we now imagine the ball being swung around in circular motion on the end of the slinky then what happens when the slinky is released will the ball remain moving in circular motion while the tension wave propagates through the slinky somehow this just doesn't seem possible
- (08:01) in order to answer this question we travel to High Point University in North Carolina to meet up with some colleagues who had previously investigated this situation the setup is not trivial because you need to mount a high-speed camera well above the experiment which then requires a lot of light fortunately we were given access to the University's Theater which was an ideal location for the experiment wow [Music] thank you [Music] foreign [Music] s for traveling to High Point University
- (09:16) is because they have a mechanical device that can be used to spin things around and release them with the Press of a button here's Jeff register explaining how it works so basically the whole reason we're here is to use this really cool Contraption um can you explain how this works yeah it's a it's a turntable so spins around up to about four revolutions per second and uh under control from my phone the electronics here it can do various things and what we're going to use it for today is to release a spring while
- (09:50) the whole thing's spinning we're going to release a spring and it does that by a little Servo motor here pulls out and releases a spring-loaded bar which drops this bar will drop about releasing the object I get it yes and you built this from scratch right I did some years ago I I built it because I put together a team NASA had put out a uh a call for proposals for experiments to fly on their zero gravity aircraft that's why the NASA sticker there did you what I build it NASA didn't build it did you
- (10:23) actually fly on that I I did that that zero gravity airplane this is the this is that airplane that does the parabolas but uh this got the fly and I got to fly on on the Zero Gravity aircraft that's cool yeah okay so I think everything's basically set up the way this is going to work we've got the rotating table here with the slinky on board and on this Batten we've mounted a high speed camera facing straight down to film this from above and the Batten can be moved up or down as needed meanwhile the camera is connected via
- (11:00) these cables that go over to this computer workstation allowing us to control everything remotely now that everything is ready to go it's time to observe what actually happens here's a ball being swung around on the end of a slinky viewed from above it's clear that the ball's trajectory is indeed a circle but notice how the slinky is angled backward from where you might expect and does not point to the center of the circle this is due to a non-negligible Air drag this drag angle results in a tension
- (11:38) force that has both a tangential component to balance Air drag and a radial component that supplies the force needed to maintain the centripetal acceleration that keeps the ball moving in circular motion thus even though air dry cannot be neglected in this system the constant drag angle allows the system to maintain a kind of dynamic equilibrium as the ball continues moving but what happens when the slinky is released after all that's what we came here to find out let's take a look back up a little bit okay okay now play
- (12:17) it so right here is where the slinky is released but it's clearly going in circular motion still that is awesome as is evident in this video when the slinky is released the ball continues moving in circular motion until the tension wave has traveled all the way to the end of the slinky although this phenomenon is essentially the same as what's happening with a drop Slinky most people find it even more surprising to see it happen when the net force on the ball is not zero but even if you understand what's going
- (12:51) on and fully expect the ball to continue moving in circular motion it's still quite remarkable to actually see it play out in a real physical system I mean come on you got to admit that this is pretty amazing of course the original question discusses swinging a ball around on a string not a slinky so let's consider something a little more string like shown here is a weighted tennis ball hanging from a colorful stretchy noodle made of thermoplastic rubber just like the slinky when the noodle is released the ball remains motionless for
- (13:31) a short time as the tension wave propagates to the bottom in fact if you watch carefully you can see something really interesting going on it's a bit easier to see if we Orient the video horizontally notice that when the noodle is stretched it becomes thinner so you can actually see the tension wave propagate as a change in thickness interestingly unlike the slinky the tension wave propagates more quickly than the noodle itself and this speed is much faster than the tension wave in the slinky and of course if we swing the ball
- (14:09) around in circular motion we shouldn't be surprised to see that the ball maintains this circular motion for a short time after being released we can take things one step further and look at something even more string-like such as an elastic cord the speed of the tension wave is even faster in an elastic cord so it's more challenging to observe here I've again oriented the video horizontally and I've also zoomed in to show a section of the chord that has lines drawn on it even still things happen very quickly so
- (14:44) it's helpful to slowly step through the video to see exactly what's going on if you watch carefully you can see the lines on the elastic cord become blurry as the tension wave passes by and thus just like with the slinky and the noodle when the ball is moving in circular motion and the chord is released the ball continues in circular motion for a brief period of time thing using a string but the tension wave moves so fast that it's very difficult to capture it on video here's a mass hanging by a string and
- (15:20) covered by a balloon to make it easier to see if we step through the video frame by frame you can see there's a tiny bit of motion occurring only at the top of the string which is almost immediately followed by motion at the bottom of the string because we have so few frames to work with we can only estimate that the tension wave propagates at a speed somewhere between fifteen hundred and three thousand meters per second unfortunately this very large wave speed makes it impossible for us to capture the ball continuing to move in circular
- (15:54) motion upon release like we did for the slinky Noodle and elastic cord but hopefully I've already convinced you of the answer to our original question immediately after releasing the string a ball being swung around in circular motion will continue moving in circular motion albeit only for a very brief time I don't know about you but I find this phenomenon to be quite fascinating of course for a string length of one meter the ball is only going to continue in circular motion for about half a millisecond after being released so you
- (16:31) might think the effect on its trajectory is going to be relatively small in fact you might consider the trajectory to be well approximated by a straight line tangent to the release point and to some extent this is true however the effect we've been discussing is larger than you might imagine for example if the ball is being swung around with a frequency of 4 Hertz and has launched a total distance of 10 meters the ball will actually end up more than 12 centimeters laterally from where you would expect it to be if it
- (17:03) was moving tangent to the release point that's surprisingly significant and finally let me leave you with one last thought imagine that somehow the sun were to completely disappear from existence according to general relativity gravitational changes travel at the speed of light so the Earth would not feel the effects of that for about 8.
- (17:26) 3 minutes therefore Not only would we continue to see late from the Sun for the next eight minutes but Earth would continue moving in circular motion for the next eight minutes isn't that crazy and with that I'll bring this video to a close I'm David Jackson and this is all things physics [Music] thank you no you're not going to believe what I found just give me a second oh yeah oh yeah oh my gosh oh my the king of all slinkies wow what are we gonna do with it I guess we'll figure it out
ChatGPTによる和訳¶
- (00:01) こんにちは, 「All Things Physics」へようこそ. ここでは, 世界の動きの詳細を理解するために何度も何度も円を描くようにして探求しています. 今日は, 意外と微妙で, 多くの人が誤解する質問についてお話ししたいと思います. 物理学者も含めて, ほとんどの人が間違える問題です. それでは見ていきましょう. ひもで振り回されている物体が, 等速円運動をしていると想像してください. 私たちが解答したい質問は, ひもを解放した直後に物体がどのような軌道を取るかということです. 選択肢を絞るために, 3つの選択肢をお伝えします.
- (00:37) 物体は, A:円運動を続けるのか, B:解放点の接線に沿った直線軌道を進むのか, C:円の中心から直接離れる直線軌道を進むのか. 少し考える時間を取りますので, 答えを選んでみてください. おそらく答えが決まったと思いますので, ここで答えBが一般的に正しいと考えられていることをお伝えしますが, 実際にはそれは間違いであることがわかりました. 多くの人が「どうしてそんなことが可能なのか」と思うでしょう.
- (01:22) さて, このビデオの最後までには, 別の答えが正しいと納得していただけると思います. 答えBが間違っている理由を説明する前に, まず答えCについて見てみましょう. 多くの人がこの答えが明らかに間違っていると思うかもしれませんが, 実際にはそうではありません. すべてはあなたの視点に依存します. ここで説明しますが, 回転するプラットフォーム上に置かれた小さなプラスチックのパックを見ています. この状況は, 摩擦がひもの役割を果たすようにして, ひもでボールを振り回すのに似ています.
- (02:01) プラットフォームを速く回転させると, ある時点で質量が滑り始めます. これはひもを解放したときに似ています. しかし, 回転するプラットフォームに乗っている場合, 最初はパックは静止していますが, 回転速度が十分に高くなると, パックがプラットフォームの中心から離れて左に曲がっていくのが見えます. よく見ると, パックは最初, プラットフォームの中心から直接離れるように動いているように見えます. 実際, 空気抵抗を無視すれば, これが正確に起こっていることを数学的に示すことができます.
- (02:38) したがって, この状況を回転座標系から見ていると仮定すれば, 答えCが正しいと強く主張することができます. しかし, 回転座標系であっても空気抵抗を無視している場合でも, 答えCはBと同じ理由で間違いであることがわかります. そして今, 皆さんは答えAがなぜ正しいのか非常に興味を持っていることでしょう.
- (03:13) 進む前に, 回転するプラットフォーム上のパックの軌道は遠心力とコリオリの力によって決まることに触れておく価値があります. これらの力は時々仮想力と呼ばれますが, この用語は回転座標系にいる場合に経験する非常に現実的な効果を軽視しています. 回転する地球に住んでいることを考えると, このようなフレーム内での物体の動きを理解することは非常に重要です.
- (03:49) そのようなフレーム内で物体の動きを決定する方法は比較的簡単ですが, その詳細は次のビデオに残しておくことにします. ひもが解放された直後にボールがその曲がった軌道を続ける理由を理解するために, まずは非常にシンプルなものを考えてみましょう. 落としたボールです. ご想像の通り, ここにはあまり面白いことはありません. ボールが解放された瞬間に地面に向かって加速し始めます. しかし, もっと複雑な物体を見てみると, たとえば片方を吊るされたスリンキーのようなものでは, 事情はそれほど単純ではありません.
- (04:27) 落ちるスリンキーはYouTubeで非常に人気があり, どうなるかをすでにご存じかもしれませんが, もし一度も見たことがないなら, その現象はかなり驚くべきものです. スリンキーの上端が解放された後, 下端が動かずに残る様子に注目してください. まるでスリンキーが物理の法則に反しているかのように見えますが, もちろんそうではありません. ニュートンの第二法則によると, システムに作用する外部の合力はシステムの質量とその質量中心の加速度の積に等しいのです.
- (05:00) スリンキーの質量中心は, 落とされたボールと同じように振る舞います. これを確認するために, スリンキーの初期の質量中心の位置でスリンキーとボールを同時に落とし, それに対応するスリンキーのシミュレーションと計算された質量中心を示します. ご覧のとおり, スリンキーの質量中心はニュートンの第二法則で予測された通りに正確に振る舞っています. ここで面白い挙動を引き起こしているのは, 重力以外にも各コイルに作用している内部の力があるという事実です.
- (05:37) スリンキーの各コイルには, スリンキー自体からの張力も作用しています. この張力の強さは, コイルがより広がっているときに大きくなります. コイルの間隔は, スリンキーの張力を視覚的に表示しているのです. 吊るされたスリンキーの場合, 上部に近いほど張力が大きいことがわかります. これは, スリンキー全体の重量の大きな部分を支えるためには, より大きな張力が必要だからです. スリンキーが解放される前は, 力が釣り合っており, スリンキーの各点は平衡状態にありますが, 解放されると上部の力が不均衡になり, スリンキーの上部が加速し始めます. この加速により, スリンキーを縦波として伝わる張力の変化が生じます.
- (06:13) したがって, スリンキーの各点は張力波が到達するまで平衡状態を保ちます. スリンキーの場合, この波の速度はほぼ一定であるように見えます. 私たちの具体的なケースでは, 約3.3メートル毎秒の速度を見つけました. 興味深いことにスリンキーの場合, 崩れたコイルの動きと張力波の動きがほぼ正確に一致しているように見えます. したがって, 崩れるコイルは本質的に張力波の位置を示しているのです. このような理由である必要はありませんが, 落下するスリンキーの動きはこの点で特別であり, 落ちるスリンキーが非常に美しいと感じる理由の一つかもしれません. この興味深い点には, 後ほどビデオで戻ります.
- (07:23) さて, これらすべてが円運動に関する質問とどう関係しているのでしょうか? では, スリンキーの下にボールを接続してみましょう. 驚くことではありませんが, 同じ現象が観察されます. この動作は予想通りであっても, このようにボールが空中に浮かんでいるのを見るのはやはり非常に驚くべきことだと思います. しかし, もしスリンキーの端にボールをつけて円運動をさせた場合, スリンキーが解放されるとどうなるのでしょうか? スリンキーを通じて張力波が伝わる間, ボールは円運動を続けるのでしょうか? これはどうも可能とは思えません.
- (08:01) この質問に答えるために, 私たちはノースカロライナ州のハイポイント大学を訪れて, この状況を以前に調査していた同僚たちと会いました. 実験の準備は簡単ではありません. 実験のかなり上部にハイスピードカメラを設置する必要があり, それには多くの光が必要です. 幸運なことに, 大学の劇場を利用させてもらえたので, 実験には理想的な場所でした.
- (09:16) ハイポイント大学に来た理由は, ボタンを押すだけで物体を回転させて解放できる機械装置があるからです. ここでジェフ・レジスターがその仕組みを説明しています.
- 「基本的に私たちがここに来た理由は, この非常にクールな装置を使うためです. ええと, これはどうやって動くのか説明してくれますか?」.
- 「はい, これはターンテーブルで, 毎秒約4回転まで回転します. そして, 私の携帯電話からの制御で, ここにある電子機器はさまざまなことができます. 今日は, 回転中にスプリングを解放するためにこれを使います」.
- (09:50)
- 「全体が回転している間にスプリングを解放します. それは, 小さなサーボモーターがここで動作して, スプリング付きのバーを引き出して解放することで行います. このバーが約落下して, 物体を解放します」.
- 「なるほど. これをゼロから作ったんですよね?」
- 「そうです, 数年前に作りました. NASAがゼロ重力航空機で飛行する実験の提案を募集していたので, チームを組んで作りました. それでNASAのステッカーが貼ってあるんです」.
- 「本当にそれに乗って飛んだんですか?」.
- 「ええ, あのゼロ重力の飛行機です. 放物線飛行をする飛行機で, これが飛んだし, 私もゼロ重力航空機に乗ることができました」
- 「それはすごいですね」
- (11:00)
- 「では, 基本的なセットアップがすべて整ったと思います. こちらがスリンキーを搭載した回転テーブルで, バテンにはハイスピードカメラが真上から撮影するように取り付けられています. バテンは必要に応じて上下に動かすことができます. その間, カメラはこれらのケーブルを介してコンピュータのワークステーションに接続されており, すべてをリモートで制御できます」
- 「さて, すべてが準備できたので, 実際に何が起こるのかを観察する時です」
- (11:00) こちらは, スリンキーの端に取り付けられたボールを上から見た映像です. ボールの軌道が確かに円であることがわかりますが, スリンキーが予想される位置よりも後ろに傾いており, 円の中心を指していないことに注目してください. これは無視できない空気抵抗の影響によるものです. この空気抵抗の角度により, 空気抵抗を打ち消す接線方向の成分と, ボールが円運動を続けるための向心加速度を維持するために必要な力を供給する半径方向の成分を持つ張力が生じます. したがって, このシステムでは空気抵抗を無視できないにもかかわらず, 一定の抵抗角度によってボールが動き続けることで, 動的な平衡を保つことができます.
- (12:17) しかし, スリンキーが解放されるとどうなるでしょうか? 結局, 私たちはそれを知るためにここに来たのですから. では, 少し戻してみましょう. はい, それでは再生してください. ここでスリンキーが解放されますが, それでも明らかに円運動を続けています. これは素晴らしいです. このビデオからわかるように, スリンキーが解放されると, 張力波がスリンキーの端まで伝わるまでボールは円運動を続けます. この現象は基本的には落下するスリンキーで起こることと同じですが, 多くの人は, ボールにかかる合力がゼロではない場合でもそれが起こるのを見ることをより驚きに感じるでしょう.
- (12:51) もちろん, ボールが円運動を続けると完全に予測できる場合でも, 実際の物理システムでそれが起こるのを見るのは非常に驚くべきことです. これは本当にすごいですよね? もともとの質問は, スリンキーではなくひもでボールを振り回すことについてでしたので, もう少しひもに似たものを考えてみましょう. ここに示されているのは, サーマープラスチックラバー製のカラフルな伸縮性のあるヌードルにぶら下がった重り付きのテニスボールです. スリンキーと同じように, ヌードルが解放されると張力波が下まで伝わる間, ボールはしばらくの間静止しています.
- (13:31) 実際, 注意深く見ると, 非常に興味深い現象が起こっているのがわかります. ビデオを横向きにすると, ヌードルが引き伸ばされると薄くなるので, 張力波が厚さの変化として伝わるのが実際に見えます. 興味深いことにスリンキーとは異なり, 張力波はヌードル自体よりも速く伝わります. この速度はスリンキーの張力波よりもずっと速いです. そしてもちろん, ボールを円運動させた場合, 解放後にボールがしばらく円運動を続けることに驚くことはないでしょう.
- (14:09) さらに一歩進んで, さらにひもに近いもの, 例えばゴム製のコードを見てみましょう. 張力波の速度はゴム製のコードではさらに速くなるため, 観察するのがより難しくなります. ここでは再びビデオを横向きにし, コードに描かれた線が見えるようにズームインしていますが, それでも事態は非常に素早く進行します. ビデオをゆっくりとステップバイステップで進めると, 張力波が通過する際に弾性コードの線がぼやけるのがわかります. したがって, スリンキーやヌードルと同じように, ボールが円運動している状態でコードが解放されると, ボールは短い間円運動を続けます.
- (14:44) ひもを使った場合でも同じことが言えますが, 張力波が非常に速く移動するため, ビデオでそれを捉えるのは非常に難しいです. ここでは, ひもで吊り下げられた質量を風船で覆い, 見やすくしています. ビデオをコマ送りで見ると, ひもの上部にわずかな動きがあり, それに続いてほぼ直ちにひもの下部にも動きがあるのがわかります. 利用できるフレームが非常に少ないため, 張力波が秒速1500メートルから3000メートルの範囲で伝わっていると推定することしかできません. 残念ながら, この非常に高速な波の速度により, スリンキーやヌードル, ゴムコードで行ったように, ボールが解放後も円運動を続ける様子を捉えることはできません.
- (15:54) しかし, 私たちの元々の質問の答えをすでに納得させられたことを願っています. ひもを解放した直後, 円運動をしているボールは非常に短い時間ですが円運動を続けます. この現象は非常に興味深いと感じています. もちろん, ひもの長さが1メートルの場合, ボールが解放された後に円運動を続けるのは約0.5ミリ秒程度です. そのため, この現象が軌道に与える影響は比較的小さいと思われるかもしれません.
- (16:31) 実際, 解放点の接線に沿った直線でよく近似されると考えるかもしれません. ある程度はこれも正しいですが, 私たちが議論してきた効果は思ったよりも大きいです. たとえば, ボールが4ヘルツの周波数で回されており, 10メートルの距離を飛んだ場合, ボールは解放点の接線方向に動くと期待される位置から実際には12センチ以上も横方向にずれてしまいます. これは驚くほど大きな差です.
- (17:03) 最後に, もう一つ考えてみてください. もし太陽が突然完全に消えてしまったとしたらどうなるでしょうか? 一般相対性理論によれば, 重力の変化は光の速度で伝わります. そのため, 地球がその影響を受けるまで約8.3分かかります. したがって, 私たちは次の8分間, 太陽の光を見続けるだけでなく, 地球も次の8分間, 円運動を続けることになります. これってすごくないですか?これでこのビデオを締めくくります. 私はデイビッド・ジャクソンで, これが「All Things Physics」です.
- (17:26) ありがとう. 信じられないかもしれませんが, ちょっと見てください. ああ, そうだ. わあ, なんてことだ. キングオブスリンキーだ. さて, これで何をしようかな?それは私たちで考えよう.
東京外大の入試「数学2科目」必須化という大英断 前期の志願者数は前年比74%に減少のインパクト¶
外語大でも数学が必要という話, 人文・社会科学系には知的虐待なのではないかというのをずっと思っていていいのか悪いのかよくわからない. 文学部または外国語学習でさえ数学・プログラミングが必要な局面がある凄まじい実例もあるため, 社会が世知辛くなっていると言えばそれはそうだが.
「制裁」から見た世界 なぜロシアの攻勢は衰えないのか?【鈴木一人】【竹内舞子】『公研』2024年4月号「対話」¶
永田雅宜『集合論入門』¶
永田先生の集合論は彼の集合と位相の講義のときに読んだ.薄い本だが活字も小さくぎっしり書いてあって,いたるところ反例が充満している.曰く, X空間であって Y空間でない,Y空間であって X空間でないという次第. (X, Y にはお好きな形容詞を入れてください,正し矛盾しないように注意.)
『集合論入門』永田 雅宜/著(森北出版) 第1章 集合の直感的定義 第2章 順序集合 第3章 濃度 第4章 ツォルンの補題と整列可能定理 第5章 ある種の極限 第6章 位相空間 第7章 集合論の公理 第8章 補足
なにしろ『反例の永田』と呼ばれていたので,その面目躍如たるところ.習ったこともない p 進位相とかザリスキ位相なんかももちろん書いてある. でも,彼独自の考案による位相がもうたくさんあって演習問題一つ解くのも大変. しかしなんとか頑張って演習問題も解き(答えはついてたように思うから,理解し,というのが正しいかも),しかし同時に大量のミスプリに悩まされたので,正誤表を作った. その正誤表を講義の一番終わりに先生のところに持っていったら,ちょっとびっくりしたように小さい目をさらに小さくして 「おや,君はこんなミスプリにはじめて気がついたんですか」 とおっしゃってニコニコされた.真意はとりかねたが正誤表はあまり好評ではなかったようだ. あれだけ勉強したにも関わらず講義の成績は「可」だった.その当時は教室の掲示板に名前とともに成績が貼り出される.まぁ大多数のものが「可」であるわけだが(「不可」は貼り出されなかったように思う),敗北感を味わった.(^^;; マァ 結局,永田先生の講義は2つ受けてどちらも「可」だった.もう一方は言わずと知れた「代数学」.準素イデアル分解などやっていた. なんだか講義の内容が少なかったような印象を持っていたのだが,あとで(自分が講義するようになって)当時のノートを見返すと環論と体論に必要なことはすべて教わっていた. おそるべし永田先生. 内容を理解してなければそりゃ「可」は当然だったなとそのとき反省しました. もう一度受講できたらな,とは思うが.いま思えば,毎日のように新しいことに出会って,充実した楽しい時代だった.
PDFをMarkdownやJSONに変換するMinerU
¶
PDF、Webサイト、電子書籍などをMarkdownやJSON形式に変換するオープンソースなツール。学術論文などが主なターゲットっぽい?数式や表などもLaTeXに変換してくれるらしい。GPU搭載ならアクセラレーションとして動作可
かけ算の定義¶
「点とは位置を持ち部分を持たないものである」も「命題とは真偽の判断の対象となる言明である」も「ものの集まりを集合と呼ぶ」もどれも定義ではないのと同様に、 「かけ算とは(一つ分)×(いくつ)である」も「かけ算は同数累加である」も定義ではないと、何度言えばいいのか。
同数累加はかけ算の定義ではない、と仰られていますが、同数累加でかけ算を定義するのは何故駄目なのでしょうか?また、先生はかけ算の定義としてどのようなものをお認めになりますか?今までかけ算の定義は同数累加だと思っていましたので、認識をただしたく、ご教示いただければ幸いです。
こちらを ユークリッド幾何 → 二階ペアノ算術 ユークリッド空間 → 自然数半環 点 → 乗法 と置き換えて読んでください。 https://x.com/kamo_hiroyasu/status/1812160131993583796
実際に置き換えた文章¶
- 原文:ユークリッド幾何の公理系がユークリッド空間の定義であり、ユークリッド空間の要素が「点」であるとされます。
- 置き換え:二階ペアノ算術の公理系が自然数半環の定義であり、自然数半環の要素が「乗法」であるとされます。
上記リンク先¶
「定義」は、短くまとめれば言葉のショートカットです。「小麦粉を主原料とする生地を油で揚げた食品」と毎回言っていると手間がかかって仕事にならないので、それを「ドーナツ」と呼んでいます。それが定義です。
普遍性は定義であることの必要条件ではありません。食品業界の外部で「小麦粉を主原料とする生地を加熱して製造した円環状の食品」と定義してもそれはそれで良いのです。その定義を食品産業の世界に持ち込むと、産業統計の数値が使えないものになって困るので、「混ぜるな、危険」というだけです。
交通事故死亡者は、政府内で定義が食い違っているが困っていない例です。厚労省では「死亡者のうち交通事故が原因である者」、警察庁では「交通事故から24時間以内に死亡した者」で、その結果、両者の統計で交通事故死亡者数が食い違っていますが、統計の目的が異なっているので困っていません。
ところで、ユークリッド原論では「位置をもち大きさをもたないもの」を点の定義としていますが、現代の知見ではこれは定義ではありません。なぜなら、あるものが点であるかないかを判断する基準にならないからです。「点」は無定義語(定義を与えない語)として扱うのが現代では一般的です。 ただし、これは「点」に関する定義が存在しないのではありません。ユークリッド幾何の公理系がユークリッド空間の定義であり、ユークリッド空間の要素が「点」であるとされます。一般に、公理系全体で体系全体を定義し、体系内の無定義語はそうやって定義された体系の要素であるとされます。 なお、「公理系全体で体系全体を定義し、体系内の無定義語はそうやって定義された体系の要素である」は数学的体系を外から分析することが必要になったときの方法論であり、数学的対象の存在論や認識論ではないことには注意が必要です。ましてや、数学者がどのように数学をしているかとも別です。
もう一つ注意が必要なことがありました。定義可能性に決定可能性は必要ではありません。「最初にベーリング地峡を超えたホモ・サピエンス」を「最初のアメリカ先住民」と定義することは可能ですが、現在のところ(おそらく今後何百年も)その個人を特定することはできません。
【20年を綴る母子手帳】よい親ということ¶
見つかった!相互さんたちが写真送ってくれた😭この文章が読みたかったのー! 良い親とは?また泣いてしまったわ 本当に本当にありがとう!今度はブクマ必須や、、
写真にある文章の印象¶
完璧な親になりたい, 十分な教育をしてやりたいと意気込んでいる親ほど, 迷いや悩みは多いものです. 子どもの教育で満点を取ることは難しく, せいぜい70点くらいでよいと思う心の余裕をもちましょう. 親として最も大事な役割は, 子どもが安心して暮らせる環境を整えることです.
幼いときに親に愛され, 受け入れられた子どもの多くは, 成長したのちも挫折に打ち勝ち, よい人間関係を形成します. 子どもにも子どもの人生があり, 親が子どもに与え無償の愛は返ってはきません. 親の子どもへの愛情は常に片思いのままです. 親は気がつかないことが多いですが, 子どもを育てなくてはならないという責任感, 子どもへの自己犠牲が親自身を成長させます. 子どもへの親の影響は親が亡くなったあとも消えません. 「あのときのお父さんだったら? お母さんならばどうしただろう?」と子どもは折々に想い起こします. 親と子どもの心のつながりは永遠です.
アメリカの宗教右派を知るための5冊¶
私がお勧めするアメリカの宗教右派を知るための5冊
- ①森孝一『宗教からよむ「アメリカ」』(講談社選書メチエ、1996年)
- ②小川忠『原理主義とは何か——アメリカ、中東から日本まで』(講談社現代新書、2003年)
- ③渡辺将人『見えないアメリカ——保守とリベラルのあいだ』(講談社現代新書、2008年)
- ④中山俊宏『アメリカン・イデオロギー:保守主義運動と政治的分断』(勁草書房、2013年)
- ⑤藤本龍児『「ポスト・アメリカニズム」の世紀——転換期のキリスト教文明』(筑摩選書、2021年)
ネット上の墓標¶
職場の後輩はポケ森最盛期のある日突然亡くなったんだけど、フレンドになってたからそこに遊びに行けば後輩が作ってたクリスマスのキャンプ場がいつでも存在してたんだよな そうか…サ終か… キャンプ場終わるってよ、後輩
いつもどおり後輩に思いを馳せていただけだったんですが… 今の時代、こういう形で遠くに行ってしまった方との繋がりを保てるものなんだなあと思うなどしたし、人生何が突然起こるかなんて分からないし、身近な人たちのことは大切にしていきましょうね…
「はれときどきぶた」シリーズの著者、矢玉四郎先生の逝去¶
【訃報】 「はれときどきぶた」シリーズの著者、矢玉四郎先生が逝去されました。 『はれときどきぶた』は、現在でも毎年版を重ねる超ロングセラー&ベストセラーとなっておりますが、こんなにも長く多くのこどもたちに愛され続ける作品に弊社が伴走できたことを大変光栄に思い、深く感謝しております。 心よりご冥福をお祈り申し上げます。
New York Post, NYC official reveals plunging math scores at schools using new DOE curriculum: 'Decline across the city'¶
More reporting out on first year regents results on NYC’s new HS math curriculum, Illustrative Math.
“… all but one of which used the Illustrative Mathematics curriculum, saw their average pass rate plunge from 59% to 45%.”
“…the state set higher “cut scores:” Students had to get 29 of 82 items correct, or 35%, to earn a scaled 65 score. Last year, students needed 27 of 86 points, or 31%, to pass.”
What?! To pass, students need to get just 1/3 of the questions right!
NYC official reveals plunging math scores at schools using new DOE curriculum: ‘Decline across the city’
『漢字と日本人』高島俊男 (文春新書)¶
日本語には、例えば「コーコー」と読む熟語が40以上あり、これを会話中に識別する神業を日本人は瞬時にやってのける。 同音異義語がやけに多いのは「日本語の音節が約100しかない(英語は3000以上)=日本人が口から出せる音の種類が少ない」ため仕方ないのだが、この本は漢語の歴史からこれを解説する。 残りページが減るのが惜しくなるほど、それはもうどの文章を切り取ったって圧倒的に面白い。
「幸福」「道路」「尊敬」のように、同じ意味の漢字が並んだ熟語がなぜこんなに多いのか。 「幾何」はなぜこんな不可思議な漢字なのか。 「和泉」はなぜ「いずみ」なのか。 漢字の謎が美しく解き明かされ、そして怒涛のラストに打ちのめされる。 とてつもなく面白かった。
『漢字と日本人』高島俊男 (文春新書)
本から引用しながら書くと、
「音がおなじでも文字が違えば別」というのは日本人にとっては当然で、「コーコーに入って親コーコーする」と聞いても、すぐに意味を理解する。 これは、「その語を耳にした刹那、瞬間的に、その正しい一語の文字が脳中に出現」するからだ、とこの本は説く。 「そういう神業のようなことを日本人は日常不断に行って、自身はそのことに気づかない。」
そもそも文字が生まれる前から人は言葉を使って会話していたわけで、 「本来言葉とは人が口に発し耳で聞くものである。すなわち、言語の実体は音声である。」 にもかかわらず、 「日本語においては、文字が言語の実態であり、耳がとらえた音声をいずれかの文字に結びつけないと意味が確定しない。」 ということで、これを、 「日本人にとって、ことばの実態は文字なのである。音声は、それがおとすかげにすぎない。」 「この『顛倒した言語』であるという点では、たしかに特殊な言語」 と表現しています。
数学セミナー9月号, あなたの知らない初等幾何¶
(私も連載記事を書いている)数学セミナー9月号を読みました。特集の初等幾何は正直興味ないなぁ...と読み始めたところ、「初等幾何とAI」という @yos1up さんの記事に度肝を抜かれました。論理的思考と深層学習をあわせることで数学オリンピック金メダリスト並の性能を出しているとの話。これは必読。
逃亡と農業の関係¶
何度か書いてるけど、無人島に1人で漂着したとき a. 守られる人権(自由権など"国家からの自由") b. 守ってくれる人がない人権(生存権など"国家による自由") があって(高校公民の範囲)
作中だとaは強調されるけどbは説明セリフとしては出てきませんよねということかな。
遊牧民族は戦争で不利になったらサッサと移動する。 「負け」という意識は希薄なので決断も早い。 その辺が彼らの強さでもある。
国家という共同体に重きをおかず、命さえ守れればいい的な言説を見ると銀英伝のヤンを思い出すけども、 ヤンもそうだしその手の論説は「共同体を変えてもどこでも生きていける」タイプの生き物としての強者を前提にしてて、その共同体が守ってきた弱者には目が行ってないんですよな。
最近のヴィンランドサガでもあったけど「(戦争になれば)逃げればいい」というのは土地を所有した事がない=農業に携わった事がない人間の発想なんだよな
牧島一夫:科学英文のチェックマニュアル (第6版)¶
シュワルツ変換のアニメーション¶
こうやって動かしてもらうと新鮮だなぁ.数学ってこういうもんだったんだと改めて感じられる
Biholomorphic transformations of the complex unit disk onto itself: the Schwarz transformations https://www.tungsteno.io/post/app-schwarz_transformations
math #science #iteachmath #mtbos #visualization #elearning #calculus¶
find47.jp: ようこそ, まだ見ぬ日本の美しさへ¶
これ美し過ぎる衝撃でメガネから鼻血でた
「やり投げの概念でチェコ語にあって日本語にない言葉がある」¶
二人は当初、練習で使う表現の日本語・チェコ語の対応表を作っていたが、チェコのやり投げの指導で出てくる単語の中には、対応する日本語表現がないものもあった。日本の練習では言語化されていないやり投げの概念を、北口はチェコ語とともにまもなく理解するようになった。」
「畜生! あげたてのてんぷらが食いてえ!」¶
終戦記念日…
今日だけでもご飯を大事に食べてみませんか?
ガダルカナルの戦いでの戦死者約2万、そのうち餓死で亡くなった方1万5000人です…
ツイート内の写真から.
畜生! あげたてのてんぷらが食いてえ!
(第二次大戦戦地)ガダルカナル島で戦死した兄からの最後のハガキ-井邑勝
パリ五輪早田ひな「鹿児島の特攻資料館行きたい」「卓球できること、当たり前じゃない」¶
パリ五輪早田ひな「鹿児島の特攻資料館行きたい」「卓球できること、当たり前じゃない」 https://sankei.com/article/20240813-4JFZY5MVFRLAVAKWCWVN6EC5CM/ より この話、井上義和先生の『特攻文学論』のテーマそのものだ。ただ、日の丸を背負って世界の舞台で戦った人がこれを言うことの意味は他に無い程に重く深いものがある。
フランスと日本はそれぞれフランス語・日本語を話せれば同朋扱い¶
フランスは面白い国で、フランスを話せたら、黒人だろうがアジア系だろうが同胞扱いされる。 「フランスの五輪チームは黒人だらけwww」と嘲笑している人がいたが、彼らだってフランス国籍をもつ立派なフランス人。
実は日本も同じなんですよ。何故か日本人に自覚がないのですけどね。語らせると日本精神だの先祖の血筋だの言い出すけど実は言語。 その証拠に、ケンブリッジ飛鳥選手は100%日本人と理解されているのに未だに大坂なおみ選手は日本人扱いされません。彼女は今でも日本語がまともに話せないからです。
ミラー効果¶
ミラー効果ってあるじゃん、相手がコーヒーカップを持ったら自分も持つ、相手が笑ったら自分も笑う、みたいに相手と同調した行動すると好意を感じて貰いやすいみたいなの。これまでビジネスで有利にことを運びたい時とか、モテテクみたいな文脈で目にすることが多かったんだけど、 これ普段の生活でも全然必要だなと感じるようになってきた。 好きにさせたい相手に一発かましたるプラスアルファの行為ってだけでなくて、「不足するとコミュニケーションエラーが起こるもの」だなと。 こっちがタメ語使ってるのに相手がずっと敬語であるとか。 楽しい話題を振ってるけど笑ってもらえないとか。 こっちは困ってるのにずっとふざけてニヤニヤされてるとか。 こういう時に「あーこの人はわたしに興味がないんだ」と感じるようになっている(これはたぶん定型発達者の思考の癖) 逆に、「これ以上近づかないで欲しい」と感じてる時には、相手に「同調しない」態度をする。すると相手には「なるほどこの話題は嫌なのか」とか「話しかけられたくないんだな」と伝わるはずである、というこれもまた思考の癖である。
先日、「定型発達者って共感同調がデフォルトになってるから、そうじゃない反応すると違和感覚えられるのだるい」という恐らく発達障害当事者と思われるツイートを目にした。 定型発達者からすると「この人私のミラーしてくれないから話が通じない」と感じるし、 発達障害当事者からすると「なんでも共感しないとダメなのおかしい」になる。 はーん、そこに齟齬があるのか、と妙に合点がいったのでした。 ちなみに私は共感してほしい派なんだけど、デフォルトで「適度に相手にミラーされないと不安」があることに初めて自覚的になった。という話でした 「なんかこいつ細かくてうるせえな」と思ったらそいつのミラーしておけばとりあえずOKというライフハックでもある
Steven Rayan, Laura P. Schaposnik, 2019, P.10, Higgs bundles without geometry¶
学部生でも分かるヒッグス束(のモジュライ空間)の解説だった。 あとハリネズミ可愛い。 https://arxiv.org/abs/1910.06099
数学と呪い¶
数学の苦手な嫁が「学校で習ってるときは、数学にはいっぱい禁止されてるルールがあって、それを守らなきゃいけないと思ってた。でも(僕の)話を聞いてて解ければなんでもいいと分かった。あれは何だったんだー!」と言ってた。
この呪いにかかってることに、死ぬまで気づいてない人も沢山いそう。
ワタシの生まれたそして兄貴が逝った炭住はもう無いのだ寂しいのだ¶
ワタシの生まれたそして兄貴が逝った炭住はもう無いのだ寂しいのだ
とても悲しい.
日本のナショナリスト¶
「書いてて思ったが、日本にいる右派の大部分はただの現実主義者と保守主義者であって。 ガチガチのナショナリストは反転した形で、左翼側含む広範な範囲に塗り込められてるんじゃないか。」 これは概ねその通りで、右翼ナショナリズムはゼロ年代には台頭したが結局一時的なもので拡がらなかった。
左派の「日本は唯一の被爆国!」って、反転したナショナリズムなのよ。 被害者として特別な国だって、それは極右の「世界にひとつの神の国」とコインの裏表だもん。
だから、長崎市長のように、その被害者の絶対性から地方政治が国際政治に物申してもいいって部分に飛躍する。 鈴木市長と、天皇の戦争責任発言で銃撃された本島市長と、両方保守系ってのが象徴的で。 日本の左翼は極右と近い、馬蹄形のような存在。
異常な歴史学の教員, 岡 美穂子(東京大学大学院 情報学環・学際情報学府)の消えたサイゾー記事の魚拓¶
逆に「数学教育の目標の一つは学生を左翼にしないことです」と主張している学者もいる¶
理系向け学生の教養講義を担当している文系教員たちがしばしば「目標は学生をネット右翼にしないことです」って言ってるけど、かなり無謀な戦いだと思う。
逆に「数学教育の目標の一つは学生を左翼にしないことです」と主張している学者もいる Mathematics, core of the past and hope of the future
数学ができると左翼にならないはまずあり得ないが,数学ができないと左翼になりやすい傾向にはある気がする
数学ができないので自然科学,統計学,経済学,財政学,数理社会学…etc.が分からず自然言語のみで書かれたものの中で読みやすく扇情的な学術ポルノばかりを手にしていると左傾化する
組み合わせ論で e ≤ 3 を示す動画¶
組み合わせ論と微積、全然直接の関係がないように見えて「この組み合わせ論は解析学的な面白い解釈ができます」とかあるのでほんまおもろい
これだこれだ。組み合わせ論で e ≤ 3 を示す動画
小田切丈, 河内宣之, 2006, 水素分子の2電子励起共鳴――未だに解けない基本の問題(最近の研究から)¶
日本物理学会誌は宝の山。ゆるゆる分子は超難問。 https://doi.org/10.11316/butsuri.61.9_671 分子のなかで最も単純な水素分子。 そこから2つの電子を同時に励起した状態のエネルギーはどうなる? 分子の結合も半分解けてゆるゆる。 解離状態の連続スペクトルも混ざる。 最も単純な分子すら超難問。 自然は手強い。
alg-d兄貴の順序数PDF¶
既存の文献を活用したChatGPT勉強法¶
あるポストを見て、気になったので実験してみました。 結論から言うと、政治経済の教科書の7ページを写真で撮って、 それを使って大学生が勉強できるか試したところ、見事にできました! では、その方法をシェアします。
- 写真をアップロード まず、教科書の写真を撮影してアップロードします。この際、教科書以外の情報が写っていないかを確認することが重要です。1枚ずつ丁寧に撮影しましょう。
- 内容の理解を確認 アップロードした写真の枚数を確認し、その内容を要約してもらいます。この要約はテスト勉強に使うため、しっかりした内容であることが求められます。
- キーワードの抽出 要約が正確か確認した後、次に進むステップは重要なキーワードを抜き出すことです。
- 問題の作成 抜き出したキーワードを基にして問題を作成します。これにより、各キーワードを深く理解することができます。
このやり方はとても効果的だったので、皆さんにもぜひ試してほしいです! また、この実験の過程やChat GPTとの会話の様子もシェアするので、ぜひ参考にしてください。
特殊相対性理論と一般相対性理論の違い¶
Newton力学、Newton重力という単語もあるわけなので、例えば、
- 一般相対性理論→Einstein重力
- 特殊相対性理論→無重力Einstein力学
のように呼ぶ方がいいかもしれない そうすれば勉強したことなくてもおおよその違いを察することができるだろう
オリンピックとフランス革命: ちくまの本¶
やや遅ればせながら……パリ五輪開会式が話題なので、ちくま学芸文庫の関連書籍をご紹介。フランス革命についてはこの3冊を。 『旧体制と大革命』 『フランス革命の政治文化』 『ヴァンデ戦争 フランス革命を問い直す』 詳細は以下ツリーをご覧ください
アレクシス・ド・トクヴィル著、小山勉訳『旧体制と大革命』…中央集権の確立、パリ一極集中、そして平等を自由に優先させる精神構造――フランス革命の成果は、実はすでに旧体制の時代に用意されていた。1805年生まれのフランスの政治思想家が、革命の意義を問うた政治思想史の金字塔。
リン・ハント著、松浦義弘訳『フランス革命の政治文化』…フランス革命固有の成果は、まずは政治的なものであり、レトリックやシンボル、儀式の実践により構成される新しい政治文化の創造であった。「透明」で「普遍的」なものを指向する政治言語と文化、それを生み出した人々の社会的出自を考察する。
森山軍治郎『ヴァンデ戦争 フランス革命を問い直す』…フランス革命政府に対するヴァンデ地方の民衆蜂起は、無差別の大量殺戮をもって弾圧され、1793年から96年にかけて数十万の民衆が犠牲となる。ヴァンデの人々は何を目的に行動したか。凄惨な〈内戦〉の実態を克明に描く。解説 福井憲彦
位相多様体論¶
位相多様体論、またの名をEuclid空間のトポロジー。 これは失われつつあるテクノロジーなのであろうか。
何度も紹介しているけど、位相多様体論の本
- Rushing ”Topological Embeddings"
- Daverman "Decompositions of Manifolds"
- Daverman-Venema "Embeddings in Manifolds"
位相多様体論の金字塔 Kirby-Siebenmann "Foundational Essays on Topological Manifolds, Smoothings, and Triangulations"
西森秀稔, 本のオープンアクセス, スピングラスの本と相転移の本(洋書)¶
この3冊が無料で公開されてたので、ダウンロードした。 前にもダウンロードした気もするけど。。。
2024-07-22 Microsoftが「CrowdStrikeの障害の原因は欧州委員会のクレーム」と当てこすり、なぜMacは無傷だったのかも浮き彫りに¶
2024年7月19日に発生した世界的なIT障害であるクラウドストライク事件に関連し、Microsoftが「2009年に欧州委員会からの要求に応じたのが原因でCrowdStrikeのクラッシュがWindowsに波及するのを防げなかった」と示唆したことが報じられました。
Adventures in algebraic geometry¶
These notes are loosely based on an introductory course in algebraic geometry given at Rutgers University in Spring of 2024. We introduce some relatively advanced topics at the expense of the technical details.
ラグランジアンの対称性とハミルトニアンの対称性と正準変換の対称性¶
再び講義で生じた素朴な疑問。ハミルトン形式の正準変換はラグランジュ形式の点変換よりずっと広いクラスの変換ですよね。ということは、ネーターの定理から従う保存量も、ハミルトン形式の方がより多くのものが得られるのでしょうか?ラグランジュ形式で議論できない保存量の具体例ってありますか?
一番簡単なのが、3次元調和振動子。ラグランジアンだと回転対称性O(3)しか見えない。ハミルトニアンだと一見SO(6)の対称性があるように見える。しかし清準変換では最大でSp(6)。SO(6)とSp(6)の共通部分はU(3)。実際ハミルトニアンを昇降演算子で書き直すと、U(3)がよく見える。
MANTO: 古代ギリシア神話に関連する土地を地図に示し, 神話に関する情報を教えてくれるサイト¶
MANTOは古代ギリシア神話に関連する土地を地図に示して、そこから神話に関してたくさん勉強・研究できるすごいサイトです。ヨーテボリ大学のデジタル・ヒューマニティーズ・センターがNodegoatで作っています。 https://manto.unh.edu/viewer.p/60/2616/scenario/1/geo/
高次元より低次元が難問¶
高次の問題の方が先に解決してしまい,より低次の問題が後から解決したパターン
- フェルマーの最終定理(先にn=4が解決→後にn=3が解決)
- オイラー予想>(先にn=5が解決→後にn=4が解決)
- ポアンカレ予想(先にn⩾4が解決→後にn=3が解決)
この他に有名な例って何かありますかね…?
ゼータ関数*¹ もしζ(3)の値が厳密に求まれば, “先にn=2kが解決→後にn=3が解決” (ただ私はζ(3)は初等的に表せないと思っている)
代数方程式*² 代数方程式は“先にn=4の解法が発見→後にn=3の解法が発見”という流れではあったが,n=3が解決しないとn=4の解も求めることはできなかったので参考記録…?
- 球面の基本群→3次元だけ難しい
- 球面に複素構造が入るか→6次元だけ未解決
- 代数方程式がべきで解けるか→5次以上は無理
- 磁性体の相転移→3次元難しい
- 直交群→4次元だけ単純群でない
構成的場の量子論(実質的に完全に数学)でφ^4の自明性は(2次元、3次元と)5次元以上で示されたあと、4次元に関する仕事が難問でフィールズ賞の対象にもなったレベルhttps://math.kyushu-u.ac.jp/activities/8000/という例があります。フィールズ賞授与の対象なので有名と言って良いと思います。
子育て終了¶
こんなん泣いてしまうやろぉぉぉ!!!😭😭😭😭
引用¶
■子育て終わった!やったーー!!
ひぇーーーー!なんかめちゃくちゃ読まれてる!!今更恥ずかしい!!
お祝いのコメントありがとうございます!!!
めちゃくちゃ嬉しいです!!!
子どもはインスタとかビーリアル(ビリアル?かどっちか)をちょっとしかやってないらしいし、仕事に関する勉強で忙しいらしいからこの日記も読まれないと思ってはいるけど、もし読んじゃったら教えてね!!!
私が本当は愛せるか分からなかったし子供産むの怖かったって話はちょっと前チラッとしたと思う!!!
でも叩かれて育ったとか初めて知ったでしょ!!多分!!!私アンタをとにかく撫でて褒めて育てたし!!
かーちゃんも色々あったんだよ!!!
でもアンタに幸せにしてもらえたからもういいんだ!!!ありがとうね!!!子どもの為に頑張れ〜!!!
付け足し終わり!!!
終わった!終わった!子育て終わった!!
子どもとか死んでも産みたくなかったのに全部俺と両親で育てるからって夫に毎日土下座されて養子とろうって話しても駄目で、私みたいなのを引き取ってくれた優しい夫と義両親の為に仕方なく産んだ!!!
なのに予定日2週間前に夫が事故で死んだ!!
義両親は夫が亡くなったショックで鬱になって頼れないし実家とは絶縁してるしどこにも頼れなかった!!
養子に出そうと思ったけど相談しに行っても母子手当っていうのが始まったから大丈夫って説得してくんの!!私は育てたくないっつってんのに!!!
でもいくら言っても分かってくれないから仕方なく職場に頭下げて事情話して勤務を短くしてもらって働き出した!!
目を離したら死ぬ生き物相手に毎日毎日おかしくなりそうだった!!いや元々おかしいか!!鬱だったし!!!
ままーって言いながら伸ばされる手が小さすぎて壊しそうでいっつも恐々抱っこしてた!!たかいたかいとか無理落としそう!!!抱っこしてる間ヨダレが服に染みて冷たいのに子どもは体温高くてあっついからなんかめちゃくちゃだった!!!
ミルクじゃなくなって食事食べられるようになってからはもっと困った!!!子ども卵アレルギーなんだけど私が子どもの頃食べさせてもらってたのは具なしの卵チャーハンぐらいだったしそれ以外は気まぐれに寄越されるピザとか食べ残しの名前も知らない惣菜とかで、子どもには何食べさせたら良いのか分かんなくてめちゃくちゃ本で調べた!!!
箸の持ち方も夫に矯正してもらったけど自信なかったから義両親に頭下げてお手本になってもらったりした!!
箸の持ち方だけじゃなく、何かにつけて殴られて育ったし褒められた記憶とか無いからどんなふうに接して良いか全然わかんなかった!!でも私みたいに変な子だっていじめられて欲しくないから児童館みたいな集会所?にたくさん連れて行って品が良さそうな人の言葉や接し方を真似したり仲良くなってくれた人に頭下げて接し方とか怒り方とか褒め方とか色々教わった!!!
勉強もできる方じゃないから算数の教科書に載ってる基礎問題はよくてもチャレンジ問題とかは全然できなくて教えられなくて子どもと一緒に悩むばっかだった!!そのたんびにあーやっぱ施設入れとけばこの子にはもっと良い親と家庭環境が与えられたかもしれないのに、だから私みたいなのは産んじゃいけなかったし育てたくなかったのにごめんねごめんねって泣きたくなった!!!嘘泣いた!!夜中にひっそりトイレで!!!臭かった!!!
中学になって反抗期迎えて「うるせえババア」って言われた時、愛情をしっかり与えられて育った子は甘えてもいいって思ってるから暴言を吐くって本で習って知ってたから嬉しくてワンワン泣いた!!!そうか!!!私はあなたを愛せてたか!!!そう感じ取ってくれたか!!!めちゃくちゃ嬉しいよ!!!せめてそれだけはよかったよ!!!!
そのあとしょんぼりして謝ってきたけど悲しくて泣いたんじゃないよ!!!本当に嬉しかったんだよ!!!また泣いちゃいそうで言えなかったけどさ!!!
高校入ってギターとか始めてラップとかもやるようになって、そういえば子供のころラップの曲たくさん聞いてたからかーちゃんあと少しでラッパーになるところだったって言ったら血だねぇってしみじみ言われて笑った!!そうだね私が産んだ子だもんね!!
そんで大学に入ったらサークルとバイトばっかであんまり喋らなかったりしたけどそれでも元気そうなのは分かってたからよかったよ!!!
時々時間が合った時に経済学部入ったけど将来何すんの?って聞いたら子どもに関わる職業って言われて仰天した!!
なんで教育学部とかじゃないのって聞いたら学校以外で子どもにアプローチできる事業を模索している、学校で教える為の内容を学んでも意味がないからとかなんとか言ってた!!!
というか子ども好きだったの?って聞いたら好きだよ、でも恥ずいからお母さんには内緒だったけど、って言われてなんて言えば良いか分かんなくて黙っちゃった!!!
私アンタが生まれる前までは子どもうっすら嫌いだったよ!!
見てると辛かった子ども時代の自分のこと思い出すからさ!!!
生まれたアンタ見てそんな気持ち運良く吹っ飛んだけどさ!!
ラッパーの話の時に、血だねえって言われた時本当はドキッとしてたよ!!
だって私あのクソ共の娘だからさ、なにか受け継いでんじゃ無いかって思ってさ!!
でもアンタ子ども好きだったんだ!!
よかった!!!
やっぱ血とか関係ないわ!!!
それから大学卒業して、私の子どもは無事子どもに関わる仕事についた!!
就職して落ち着くまでは実家にいるっていってて、この度ようやく子どもが家を出た!!
晴れやかな笑顔でブンブン手を振って歩いてった!!
夫!!!
見てるか夫!!!!
お前の代わりに死に物狂いでいい子に育てたぞ!!!
私が母親で幸せだったかとかは怖くて聞けなかったけど!!!
でもこれ以上無いぐらい精一杯やったぞ!!!
子育てやり遂げたぞ!!!
愛してるぞ!!!幸せになれよ!!!
ホモロジー・コホモロジーと情報¶
de Rham の定理は、de Rham 複体という無限次元の情報を持ったイカツイ対象に対しても、そのホモロジーを取ってしまうと組み合わせ的に定義されるペラペラのコホモロジーと同程度の情報しか残らない、ということも教えてくれている
次元という観点からすると、特異ホモロジーと単体的ホモロジーの関係もそうなんですかね。
はい、特異複体も単体から空間への写像全体を基底とする自由加群を取っているのでクソデカですよね。ホモロジーで捨てられまくるのでエコじゃないですね♻️
確かにエコじゃない♻️けどその分定義は楽ですね。そういえば微分形式の幾何学では、滑らかな特異コホモロジーを導入して、それとde Rhamコホモロジーの同型を示していたような。これをde Rhamの定理とすると、次元が大きく落ちるのは滑らかな特異コホモロジーと単体的コホモロジーの同型なんですかね。
Bott-Tu や Warner では Cech コホモロジーとの同型を介して de Rham の定理を示していますね。Cech 複体は定義からしてかなりペラペラな印象があります。
そっか、複体をどんな大きさに取ってもコホモロジーを取ると落ちる先は同じ(なので落差は理論によってバラバラ)で、de Rhamコホモロジー理論でも単体的コホモロジー理論でも落ちる先が同じことを保証してくれるのがde Rhamの定理ということですね。
はい、そうです!無限次元の中にある珠玉の有限次元、という見方もできるかもです💎
「先生の白い嘘」監督の異常性に見る高嶋政伸の真っ当さ¶
『「奈緒さん側からは『インティマシー・コーディネーター(性描写などの身体的な接触シーンで演者の心をケアするスタッフ)を入れて欲しい』と言われました。すごく考えた末に、入れない方法論を考えました。間に人を入れたくなかったんです。』
なんでやねん。ためらわず入れろよ。
これ見て高嶋政伸が自分の娘に幼い頃から性的暴行を加え続けている父親役を受ける代わりに「必ずインティマシーコーディネーターを付けること」をお願いした素晴らしいエピソード思い出した https://shinchosha.co.jp/sp/nami/tachiy
おつむの良い子は長居しない 第12回/高嶋政伸
※このエッセイには性暴力場面の撮影に関する記述があります 12 インティマシーコーディネーター
昨年はハードな役が続きました。何人もの愛人を囲い、人を殺めることもためらわない詐欺師。歯向かう者は消し、臓器ブローカーに死体を売り払う男。ショットガンで人を撃ち、手をナタで切り落とすサイコパスの連続殺人鬼。 中でも一番ハードだったのは、自分の娘に幼い頃から性的暴行を加え続けている父親の役。そう、NHKドラマ「大奥」で演じた徳川家慶です。放送後、大きな反響をいただきました。 この作品は、まず台本を読んだ段階でストーリーがとても独創的なのが気に入りました。が、僕にとっても娘役の俳優さんにとっても心身ともにハードな現場になるのは明らかでしたので、お受けするにあたって僕は必ず「インティマシーコーディネーター」さんを付けてください、とお願いしました。制作サイドも最初からそのつもりでいらしたというので、それならばと、この難しい役に臨むことにしたのです。
CTとギブス現象¶
CTの画像を説明してくれる医者「CTってのは実際に写真を撮るわけじゃないんで、正確なものじゃないし、時々そこにないものが映ることもあってな……」 僕「フーリエ解析のギプス現象とかですよね」 医者「なんや君、僕より詳しいんか?」 僕「いえ!そんなことないです!すみません!」
CTじゃなくて初期のMRIはマジでギブス現象によるアーティファクト(本当はないのにそこに映ってる像)でやらなくていい手術が発生したりした。大学レベルの数学的知識の伝達失敗が、人災を発生させた貴重な例の一つ。 単なる「数学的知識の伝達失敗」というよりは、「医者がその影を見て何を思うのか」という現場の知識との組み合わせの失敗だよな。ソリューションドメインの知識とプロブレムドメインの知識を合わせないと、理論の応用は失敗する。
刑法40条が廃止された経緯と聾唖者への教育¶
【トイレで出産】赤ちゃんの遺体をポリ袋に入れて遺棄か、31歳の女を逮捕 神戸市 https://news.livedoor.com/article/detail/26430424/
女は知的障がいがあるということで、調べに対し「赤ちゃんが亡くなっても産婦人科に行かなくても役所に言えば何とかしてくれると聞いていました」などと話しているという。
だーかーら!!!! 「役所に言えば何とかしてくれる」と吹き込んだのは誰なんだよ!!単身で育てられるわけのないこの人を妊娠させたのは誰なんだよ!!!! いい加減、認知機能に問題ある人間を妊娠させるのは不同意性交罪、傷害罪に問えないの?せめて遺棄した母親を罪に問わないようにできないの?
刑法40条が廃止された経緯とか知ったらひっくり返るのでは?
刑法第40条(いん唖者の罪の軽減)は削除されたのになぜ、刑法39条(心神喪失・耗弱)の規定は削除されないの? 瘖唖者(出生時または幼少時からの聾唖者)の罪を罰しないまたは軽減するとする第40条は、聾唖者関係団体の要求により1995(平成7)年に削除された。これは、聾唖者を非人間とみなすことは差別であるからとのこと。
だとすれば同様に、39条(心神喪失・耗弱)の規定はは精神病を持った人を非人間とみなしているから、同様に差別していることになるのではないですか? 同様に関係団体の要求があれば削除されるようなことはないのでしょうか。
ベストアンサーは次の通り.
刑法40条は、聾唖者に対する教育ができなかった時代の遺物です。
40条を削除した理由には、聾学校等の聾唖者教育の発達があり、瘖唖者に責任能力がないとする合理的理由が無くなったこともあります。
特に最近は、携帯メールの登場により、聾唖者のコミュニケーションの世界は劇的に変わったのだそうです。
このような状況において、心神喪失者と同列に扱うことは、認められないというべきでしょう。
マリオカートと家族¶
「現実には死んだ人とゲーム内で邂逅する」のお話は、やっぱりレースゲームに夢中だった父親の記録を模したゴーストカーと戦って、追い抜けそうな瞬間に走るのを止めた(記録を抜くとそのゴーストはデータから消えてしまうので)のエピソードがいちばん目頭に来ましたね。
これだけだとマリオカートかどうかはわからないが, ゴーストが出てくるレースゲームをマリオカートしか知らないのでマリオカートと題した.
フィンランド語に定冠詞ができつつある¶
定冠詞ができつつあるフィンランド語から、なぜ発生しているのかそのメリットは何かを分析するのって面白いな。
ひねもすのたり日記¶
「ひねもすのたり日記」の2巻を読んでいて毎回圧倒されるところ 満洲から引き揚げるためにいつ殺されてもおかしくない1年間の旅をしている時に、ちばてつや先生の母親が息子に九九を教えた話 あまりにも強い
子供たちを日本に連れて帰るという強い意思や子供たちには九九を使うような未来があると信じる強い心がなければそんなことできないと思う 満洲引き揚げみたいな過酷な状況の中でそんな風に信じることができるか?
旧優生保護法¶
旧優生保護法一番のグロテスクは全会一致で通過したことやろなぁ
草野裁判官の補足意見が激重すぎる
旧優生保護法が衆・参両院ともに全会一致の決議によって成立したという事実は, 違憲であることが明白な国家の行為であっても, 異なる時代や環境の下では誰もが合憲と信じて疑わないことがあることを示唆している. このことを踏まえて司法が取るべき対応は, 為政者が憲法の適用を誤ったとの確信を抱くに至った場合, その判断を歴史に刻印して立憲国家としての我が国のあり方を示すことである.
『百年の孤独』の次はこれだ!文庫で読めるラテンアメリカ文学¶
『百年の孤独』を読んだら、日本文学なり、ヨーロッパ近代文学なり、ふだんの自分の領域に戻る前に、絶対に絶対に絶対に、バルガス・リョサの長編から1作品、それとコルタサルの短篇集『悪魔の涎・追い求める男』を読んで欲しい!
ノイキルヒ訓言集(試作)¶
ノイキルヒ訓言集(試作)
- なぜ代数幾何からやる?お前の興味は数論だろう
- アティマク半年、ノイキルヒ2年半
- 千里の道もノイキルヒから
- ガロア理論と被覆空間論は数論の心臓部分
- 代数的整数論と位相幾何を軽んじる者に思想無し
- 1日1回は蛇の補題を使う習慣を
- 「数論への招待」から始めよ
秋篠宮悠仁, 飯島 健, 清 拓哉, 赤坂御用地のトンボ相―多様な環境と人の手による維持管理―¶
強い女性¶
自民アンチの方からはあまり評価されてない上川陽子外務大臣ですが、彼女の功績の一つに「令和に年号が変わる前に、きっちりオウムにトドメをさした」があります。そのため、今でも命を狙われている可能性もあるから、常に護衛が付いている。ハードな決断をされた方です。 ご存知なかった方は覚えておきましょう。
いつ、どこに行くにしても警固警察官が護衛に付く生活を送る.
人は国に住むのではない, 言語に住むのだ¶
MGS5TPPのスカルフェイスのセリフで 『人は国に住むのではない 国語に住むのだ』 『言葉が変わると 私も変わった。性格 ものの考え 善と悪』 っていうのがあって、日常的に思考する際に使用する言語が”母国語”なんじゃないかなって思いました。(会話の言語は相手によって使い分ける物なので思考で)
全面的に同意ですね。ブラジルに戻ると思考がポルトガル語に戻るけど、ポルトガル語には存在しないor僕が知らない語彙の思考が出来なくなるのは凄く興味深い現象だった。
これ、本当に興味深い経験で。すげー鬱拗らせてブラジル戻った時、親父に「おまえその悩みをポルトガル語で言語化できるか? できないよな。なら今日からブラジルにいる間はポルトガル語で思考しろ」って言われて、驚くくらい悩めなくなったのよね…… 漠然とした不安とか不快感、焦燥感がなくなるわけではないけど、僕の錆びまくったポルトガル語では具体的に思考できなくなるから、変なスパイラルに陥るのはなくなったのな。まあ日本に帰ったら結局元に戻ったけど( だから「人間は国家じゃなく、言語と文化に住む」ってのはすげー腑に落ちる言葉だったな……
Voight, Quaternion Algebras, Springer, 2021¶
四元数でそんな語ることあるんか…900ページもある
これKindle版もSpringerからダウンロードできるpdf, epub版も無償です。
武部尚志「可解格子模型と共形場理論の話題から」¶
武部尚志さんの「可解格子模型と共形場理論の話題から」がすごい!
Yang-Baxter方程式、XXXスピン鎖の代数的Bethe仮説、Gaudin模型とWess-Zumino-Witten模型の関係、XYZスピン鎖まで学べちゃう!これが無料で読めるので量子可積分系を勉強しない手はない! https://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/view/repository/00000034506
場の量子論驚き屋¶
数論的非可換環論とSchneider-Teitelbaum理論¶
非可換環論は今後の数論人生において極めて重要である。 というのは、ガロア群というのは基本的には非可換な物であり、非可換な群から作られる0でない群環は非可換だからである。 なのでp進リー群の完備群環について研究する「数論的非可換環論」の専門家の誕生というのを個人的には期待している。
Schneider-Teitelbaum理論ですね
デーモン閣下に関するご報告¶
弊社(株式会社パワープレイミュージック)所属のデーモン閣下(悪魔。アーティスト。10万61歳)は今年2月に、日頃よりお世話になっているかかりつけ医に勧められて、内視鏡による検査を致しました。 その際、本来の検査目的ではない部位において早期の癌を見つけることができました。 「なるべく早く専門医による治療を受けたほうが良い。」とのアドヴァイスを頂いたため、3/16(日)に開催された「ジゴロック大分地獄極楽ROCK FESTIVAL」の出演を最後に、既に決定していた仕事のほとんどをキャンセルさせて頂き、4月から5月にかけて検査入院と手術を致しました。 手術後も問題なく回復を致しまして、5月下旬に退院を致しました。 現在は、体力を回復させるため、トレーニングをするまでに至っております。
デーモン閣下は、厚生労働省「上手な医療のかかり方大使」を5年、広島県「がん検診啓発特使」を12年間務めており、その活動の中で「かかりつけ医を持つことの必要性」や「がん検診を定期的に受けて早期に発見すれば治る可能性が高い。」ということを訴えてきました。 そのため、実体験として「かかりつけ医の勧めにより受けた検査で早期のがんを発見できて、手術により完治できた。」ということを公表することで、より強いメッセージを伝えられると考えましたので、この度ご報告させて頂きました。
学生の作用素環の位相と代数に関する疑問¶
Von--Neumann Algebraで、作用素の交換に関する関係が空間の位相構造自体を良くしてるように見えるのはなんで
bicommutant theorem周りの話でしょうか。これは大本の作用素の集合Mに対する可換子環M'がほぼby definitionで弱閉性を持ち、特にMが自己共役ならM’自身がフォンノイマン環になるからです。そこからM⊂M''が出てきて二重可換子環が弱閉包として機能します。 話は飛ぶのですが、作用素環の適当な包含がなす塔と位相的な話は面白く、Jonesのフィールズ賞の仕事と部分因子環論・代数的場の量子論で別方向の大発展があります。https://jstage.jst.go.jp/article/sugaku1947/43/1/43_1_29/_pdf Jonesの仕事はここに川東先生の解説があります。詳しくはないですが簡単にいくつかコメントします。
フォンノイマン環は大きく分けてまず三つあり、I型・II型・III型です。I型は無限次元含めた全行列環で作用素環としては面白くありません。II型はII_1とII_∞があり、II_無限大はII_1とI型のテンソル積で、II型で本質的なのはII_1です。II_1は(作用素環の意味で)トレースを持つという重要な特徴あり。 III型はIII_\lambdaで\lambdaは[0,1]の値を取ります。量子統計力学・場の量子論に現れる作用素環は原則III型しかないと示したのが先日(?)亡くなったRIMS荒木先生の初期の業績で、分類の意味での存在だけ知られていて具体例ができていなかったところに物理を使って例を作った意味でも面白い仕事です。
Jonesの仕事に話を戻すと、JonesはII_1型因子環に関する仕事の中で有名なJones indexと結び目の話をしました。河東先生のPDFにもあるように、II_1型因子環にはトレースがあり、行列でも時々現れるようにトレースを使って全行列環上に内積が定義できます。 因子環の包含N⊂MでMのトレースが作るL^2(M)をN加群とみなした時の左加群としての階数が有名なJones indexです。さらにindexが有限の部分因子環の簇も考えられ、Jones tower と呼ばれています。 直接聞けばよかったものを、文章を読んだだけできちんと聞けたわけではないのですが、河東先生が代数的場の量子論をやり始めたのは(当時の)専門である部分因子環論に対する自然な発展のようです。実は(相対論的)場の量子論に現れるフォンノイマン環は基本的にIII_1因子環です。 さらに代数的場の量子論ではある時空領域上の物理量がなす環を考えるため、時空領域の包含と作用素環の包含が一致して自然に因子環の包含が発生します。ここに純粋に作用素環として面白い現象が起きているとみなして研究しているのが河東先生です。実際に頂点作用素代数との関係や非可換幾何などもあり。 ちなみに、一頃(おそらく今も)頂点作用素代数・共形場理論でフィールズ賞もいくつか出るほど凄まじい影響がありました。頂点作用素代数は純代数の色彩が強いい一方、共形場は超弦とも関係があるため幾何の各所に影響があります。他の解析でもフィールズ賞になったシュラム・レーブナーは確率論で統計力学とも共形場とも深い関係のある議論です。 そんな話の中でとりわけ河東先生は(専門家の松尾先生が東大だったのもあったのか?)頂点作用素代数周りとの比較がかなり好みだったようで、頂点作用代数に関する共形場の性質と代数的場の量子論に関する性質の対応付のような仕事もしていて、確か何年か前に完全な対応付を得た大きな仕事がありました。
初めの話からは明らかに飛躍しすぎですが、作用素環の包含と位相の話を見かけるだけでこれを発想してしまうくらい、私にとっては一気に想像の翼が羽ばたく作用素環として面白い部分だと思っています。
あまり参考にはならないと思いますが、代数が位相に強い影響を与えるのは極めて非自明かつ衝撃的な事実であるのは間違いなく、典型的なのはいわゆるヒルベルトの第五問題で、位相群かつ位相多様体なら多様体に滑らかな構造が入り群演算まで滑らかになるという議論さえあります。 フォンノイマン環でも代数と位相の直結事案として堺の定理があり、線型代数的な前双対(超弱位相を生む対象)の存在でフォンノイマン環が抽象的に定義できます。こうした極めて非自明で多方面に影響がある現象があるため、代数と位相が絡み合うこの関係は何なのかと困惑するのは実に正しい感覚です。
さらに思い出したので追加で色々書くと、YosidaのFunctional Analysisによればバナッハ環は関数解析版のヒルベルトの第五問題の議論のために南雲道夫が導入した対象らしく、それに関する詳しい議論こそ私は知らないものの、色々と面白い話があります。畳み込みを積とするL^1(R^d)と\ell^1(Z)が例ですが 前者は単位元を持たない一方、後者はクロネッカーのデルタが単位元です。これはR^dのユークリッド位相とZの離散位相の影響が環に伝播している例でもあります。前者は単位元を持たないものの単位元のようなものは持っていて、近似単位元と呼ばれる概念があります。これはクロネッカーのデルタの連続版とみなせるディラックのデルタ関数が形式的な単位源だからで、これはL^1には入らないものの、L^1の点列による近似はできる事情を汲み取った概念で、実際に単位元を持たないバナッハ環の近似単位元はディラックのデルタ関数の近似列を一般化した概念です。 さらにバナッハ環に対していわゆる随伴・共役演算を追加したバナッハ-環もあり、これは代数的な共役に対して位相と関わるノルムに対する条件||a^|| = ||a||を付加します。ググってすぐに出てこないので記憶の限りですが、バナッハ-環はC^環という定理があったと思います。 つまり先の条件から||a^a|| = ||a||^2が得られます。ゲルファント-ナイマルクの定理によってC^環の代数事情は激変していて、大まかにいって可換なら(局所)コンパクトハウスドルフ空間上の連続関数環、非可換ならヒルベルト空間上の有界線型作用素環にしかなりません。 もちろんここから非可換幾何が生まれ、代数的位相幾何的・代数幾何な「基礎の位相空間を知りたければその上の関数環を研究せよ」をさらに捻った発想にさえ辿り着きます。こう思うと、代数的位相幾何の「位相空間の位相を知りたければその上の関数環を調べよう」がどれほど凄まじい謎の発想なのかもわかります。 可換なC^環だけでも面白い話があります。C^環が単位元を持つなら対応するのはコンパクト(ハウスドルフ)空間上の連続関数環C(X)、単位元を持たないなら局所コンパクトハウスドルフ空間上で無限遠で消える関数環C_0(X)です。実はC^*環に対する単位元の付加という操作があり、これは位相空間で言えば一点コンパクト化に対応します。 この手の代数と位相の対応もあって作用素環としては実に真っ当な位相と代数の対応です。ストーン双対性のように論理・代数と位相の架け橋もあれば、Sheaves in Geometry and Logicのような本もあって本当に数学のありとあらゆるところにはねる面白く重要な議論です。 ちなみにバナッハ環自身も面白い対象で、有名なヘルマンダーの本にも一節割かれている様に関数論との関係があるようで、読んだことはないもののhttps://link.springer.com/book/10.1007/b97591の様な専門書がある程です。
関数適用のいろいろ¶
「x に fを作用させ、その結果にgを作用させ、その結果にhを作用させる」のが h(g(f(x))) なのは記号の失敗だと思う。 ベクトルと行列の場合は、横ベクトル <v| を主役ににして <v| A B C のように書けば直感と整合するのだが、やっぱり関数の記号と違うので、これを主流にするのは無理だろう。
「x に fを作用させ、その結果にgを作用させ、その結果にhを作用させる」のが h(g(f(x))) なのは記号の失敗だと思う。
代数だとxfghのような記号を積極的に採用する場合がある。反転環のような概念がある.
念の為これに関してですが、写像の定義域の要素を自身への定置写像とみなし、写像の合成を写像の空間の積とみなし、合成の結合律を前提に余計な括弧も外せるところまで、写像のレベルで整合的な記法です。
他のコメント¶
R言語のパイプ演算子みたいな、、、 https://qiita.com/Quantas/items/1a2107341b1476ce6044
プログラムだと実際、Clojureの (-> x f g h) など「そう書くのが自然」という要望に沿った構文が多用されてますね。OOPでのobj.f().g().h() といった記法も同じ感覚でしょう。
プログラミング言語では |> みたいなパイプ演算子を使って x |> f |> g |> h みたいに書けるものが増えつつある気がする
解析学の中の代数¶
解析学布教用アカウントが代数やってるのさすがに良くない
代数解析・関数論・幾何解析・作用素環など一定以上の代数が必要な場合はよくあります。作用素環も私はほぼ代数を使わない方ですが、竹崎先生から「当時色々悩む中で代数面をある程度鍛えておいて本当に良かった」と伺った記憶があります。確か冨田竹崎の研究でもその習熟が役に立った話だった記憶。 いわゆるコサイクルなどは今となっては学部三年でも知っているような話だとは思いますが、冨田竹崎理論は1967年の冨田論文が最初で、圏論は1945年、専門家内でのホモロジー代数の発展はあっても外、とりわけ解析系に出てくるのは多分1960年でも厳しかったのではないでしょうか。 実際に冨田竹崎理論でコンヌコサイクルという概念が現れます。コンヌコサイクルの発見・発展に関して「あれは自分がやりたかった」「なぜ気づけなかった」という話を竹崎先生から直に聞いた記憶があります。勉強と研究は違うので色々知っていればいいわけではないものの、本当にこういう話もあります。 あと、岡潔が解析だと呼んで憚らなかった多変数関数論で、その主要で決定的な業績の一つが不定域イデアルの発見(層)だったりするので、いっそ代数は解析のためにあるくらい強弁していきましょう。
そういうエピソードを具体的に知らなかったので、色々知ってると役に立つというのがよくわかって面白いですありがとうございます。そう思って代数も頑張って見ます
フェミニズム数学論やポストコロニアル数学論の稚拙さ¶
「数学は本質的に性差別的で人種差別的だという主張も行われている。数学は客観性と証明に注目するし、人種集団ごとに数学教育の結果に開きがあるからだ」 こういった数学の問題点を知るべき
この手のフェミニズム数学論やポストコロニアル数学論は,手法と記号操作にだけ着目して数学の対象の客観性に対する反論ができていないものばかりなので,数学にも数学の哲学にも疎い人間なのが明白な主張をしてしまっている 加えてレトリックで無内容な主張を虚飾しているのも分野の違いが現れている
本職の哲学者は科学・数学・美的価値・真理・論理において実在論・客観主義的立場を取る傾向が強いが,一方で周辺の人文学者やそいつらに影響された無学な学生やインテリはキャッチャーなだけの主義を最新研究だの人文知だのと勘違いして得意げに語るため,悪評が広まっているところがある
2024-06-06 ノビコフの訃報¶
訃報. 数学者, セルゲイ・ノヴィコフ先生 (モスクワ国立大学教授, メリーランド大学教授). 2024年6月6日死去. 享年86歳.
代数トポロジー #微分トポロジー #数理物理¶
受賞歴に, フィールズ賞(1970), ウルフ賞数学部門(2005)等
ご冥福を謹んでお祈り申し上げます.💐 https://www.newsroom.hlf-foundation.org/news/article/the-hlff-bids-farewell-to-sergei-novikov.html
木田良才さんの講義録『フーリエ変換と超関数』¶
木○良才さんの講義録が公開されてて,これはすごいよ.超関数論の要諦が全部書いてある. 「フーリエ変換と超関数」 でも,残念ながら命題10.11の証明に誤りがある.何とか修正しようと... ↑木○さんは間違ってなかった. https://ms.u-tokyo.ac.jp/~kida/notes/fourier.pdf
仏教での茗荷の話, 「茗荷(みょうが)を食べると物忘れする」¶
さて、茗荷といえば、たくさん食べると物忘れをする、と昔から言われてきた。この俗説の由来は、ある非常に物覚えの悪いお坊さんが亡くなり、その墓から茗荷が生えてきたためだと言われるが、本当のところは、少々趣の違う話である。
茗荷の名前の元になったお坊さんは、周利槃特(しゅりはんどく)と言う。周利槃特は、天竺(インド)の北部に生を受け、兄の摩河槃特(まかはんどく)と共にお釈迦様に弟子入りした。兄は賢く、お釈迦様の教えをよく理解し、深く仏教に帰依したが、弟の周利槃特は物覚えが悪く、自分の名前すら覚えられなかった。そのため、托鉢に出かけても、お釈迦様の弟子として認められず、乞食坊主扱いをされ、お布施を貰う事が出来ない。お釈迦様はこれを憐れみ、「周利槃特」と書いたのぼりをこしらえて「明日からこれを背負って托鉢に行きなさい。もし名前をたずねられたら、これでございますと、のぼりを指差しなさい。」と言われた。次の日から托鉢の時にのぼりを背負っていくと、人々はお釈迦様の書かれたのぼりをありがたがり、たいそうなお布施をいただく事ができるようになったそうである。
さて、兄は、物覚えの悪い弟に、何とかお釈迦様の教えを覚えさせようと手を尽くしてやるが、弟の方は、朝に覚えていたものを昼には忘れてしまう。周利槃特は、自分のおろかさに涙を流して途方にくれた。それを見ていたお釈迦様は「自分が愚かであると気づいている人は、知恵のある人です。自分の愚かさを気づかないのが、本当の愚か者です。」と言われ、ほうきを周利槃特に渡して「ごみを払おう、あかを除こう」と唱えて掃除をしなさいと教えた。
その日から周利槃特は、雨の日も、風の日も、暑い日も、寒い日も、毎日「ごみを払おう、ちりを除こう」と唱えながら掃除をし続けた。やがて「おろか者の周利槃特」と呼ぶ人はいなくなり、「ほうきの周利槃特」と呼ばれるようになった。そして何十年経ち、周利槃特は自分の心のごみやあかを全て除き、阿羅漢と呼ばれる聖者の位にまでなったのである。お釈迦様は、「悟りを開くということは決してたくさんのことを覚えることではない。わずかなことでも徹底すればよいのである。周利槃特は徹底して掃除をすることでついに悟りを開いたではないか。」と大衆の前でおっしゃった。 その後、周梨槃特が亡くなり、彼のお墓にあまり見たこともない草が生えてきた。彼が自分の名を背に荷(にな)ってずっと努力しつづけたことから、この草は「茗荷(みょうが)」と名づけられたということである。
ニュース: 「本部長の犯罪隠蔽」告発で揺れる鹿児島県警の愚挙 批判メディアへの強制捜査、心臓疾患を無視した取り調べ¶
- ハンター代表から「家宅捜索が入った」と電話
- 携帯電話、パソコンが押収された
- 心臓に持病があるのに連日取り調べ
- 「鹿児島県警に殺される」
- 押収したパソコンデータから新たな逮捕者
- 「表現の自由は封殺される」
警察内部の情報を漏らしたとして逮捕された鹿児島県警の元警視正が「犯罪行為を県警本部長が隠蔽しようとした」 と告発して騒然となっているが、この事件ではもう一つ大きな問題がある。内部情報が漏れた先と疑って、警察批判 記事を発信していたメディアを県警が家宅捜索したことだ。メディアを強制捜査して情報源を探るとは、この国の警 察はどうなってしまったのか。
福岡県を本拠にするネットメディア「ハンター」は2022年から、鹿児島県内で発生した強制性交事件を報じ始めた。 県内の女性が21年9月に、鹿児島県医師会の元職員から性的な暴行を受けたという事件だった。
ハンターの記事によると、元職員は「謝罪文」を被害女性に送り、当初は事件を認めていた。 だが、県医師会が「同意の上での性交だった」などと主張したため、ハンターは県医師会への批判を発信。警察が被害女性からの告訴 状の受理をいったん拒んだことや、管轄が違う鹿児島中央署が告訴状を受理し、医師会元職員の父親がその鹿児島中 央署の警察官であることがわかってくると、ハンターの追及の矛先は、県警の捜査に向かい、「強制性交が疑われる事件の実相が、現職の幹部警察官と身内を庇う警察の悪しき体質によって捻じ曲げられている」などと批判を続けた。
その中で、23年10月、ハンターは県警の内部文書である「告訴・告発事件処理簿一覧表」の一部を黒塗りにしてニュー スサイトに掲載し、不当捜査の証拠であると主張を展開した。
県警はこのハンターの記事を見て、掲載された「一覧表」は県警が作成したものだと気づき、個人情報が漏洩したとして個人情報保護委員会に報告した。同時に、情報を漏らした「犯人捜し」を始めた。
ハンター代表から「家宅捜索が入った」と電話
今年3月12日、ハンター代表の中願寺純則氏(64)から、筆者のもとに電話があった。
「鹿児島県警が騒がしい。私の身が危ないかもしれない」 中願寺氏の声は切迫していた。
大学が荒廃する→「人文学者」が下りてきて社会を荒らす¶
里山が荒れる→熊が下りてきて人里を荒らす
大学が荒廃する→「人文学者」が下りてきて社会を荒らす
対処法A. 大学を復活させ「人文学者」が社会に下りてこなくても生きていけるようにする
対処法B. 大学に「人文学者」を押し込めてから大学ごと破壊する
日本の専業主婦の特殊性¶
主婦は日本独特ではないでしょ。いくらなんでも(笑)
これ、よく誤解されているけど「家計の主たる負担者は夫なのに、夫の収入のほとんど全てを妻が家計管理の名目で取り上げる」という日本式主婦ってかなり日本独特なのよね。国際結婚した日本人女性が海外で同じことやろうとして即犯罪扱いされるレベルで異常なのよ さらに日本の主婦の家計管理って多くは吝嗇一辺倒か夫に収入増を強いるかのいずれかで、利殖や労働で妻の責任や負担を増やして家計に貢献することはほぼ選択肢から外してる。結果、夫の収入を奪った上で衣食を極限まで削り、無理をさせてでも稼がせようとする。これらは海外基準だとすべてDV。
日本は、主に家計を稼いでいる妻の割合は世界最低なのに、妻が金を管理する割合が世界一という異常な国です。 働いてないのに金を一手に握ってでかい顔ができる立場から自主的に降りるわけがない。
ミセスグリーンと毛布問題¶
コロンブスのMVの一番スゲー所は あれだけフレンドリーにしといてラスト寝静まってる彼らに毛布かけてあげなかった事なんよ。 この場合の毛布は最高に猛烈にヤバいからそれをしなかったのは本当に奇跡なんよ
毛布が何故ヤバいのか? ポンティアック戦争 - Wikipedia
【数学が好きな人】は何が好きなのか¶
数学教えててちょっと驚いたのは、【数学が好きな人】の中でも、「何かの作業(計算とか、公式に代入とか)をやったら何か(答え)が分かる」という現象や達成感に魅力を感じていて、因果関係とか細かい理屈にはそれほど興味がない、重要性を感じていない、という割合が、思っているより多いこと。
倫理と教養¶
最初から政治を目的として故意にそういう態度を取るなら知的な誠実さはともかくまだ納得するのだけど,善良な市民たちを見てもそういう意図は無さそうなのでなおさら知性の欠如の結果に見える
物理世界との強い関連性が観測されている(少なくともそのように見える)数学や自然科学に対しては(特に無知・誤解から)虚無主義や虚構主義を振り回すのに,倫理に対しては素朴な道徳実在論を内面化して粗雑な道徳を「応用」してくる教養パーソンが多いのはなぜ
各々の記号からの連想ゲームで炎上した感は否めない
ライプニッツ神学の善悪論から,現在西側による侵略の歴史を批判できるのは我々が正義や善性を尊ぶ西洋文明下で暮らしているからであり,人々が悲劇を記憶し(半)恒久的に退けられるように神は一時的な悪を許容した(さもなくば異文化での悲劇のように忘却し繰り返されていた)という屁理屈を思いついた
Lieb-Robinson bound¶
リーブ・ロビンソン限界あたりのレビューってないのだろうか(ちょっと探したけど、明確にレビューというタイトルのは見つからず…) いったんこれの17章を見返す Geometry of Quantum States
Bounds in nonequilibrium quantum dynamics 最近のだとこれの4章がLR限界のレビューになってます(長距離相互作用版の話にも少し触れてます)
M. B. Hastings, Locality in Quantum Systems こちらはLR限界の現代的な証明を与えたHasting-KomaのHastingによる解説ノートです。 短距離相互作用に限定した元のLR限界の話には限りますが、量子多体系における局所性を軸に広い話題への応用が示唆されていて、とても勉強になりました。 (お節介すみません)
数学での概念の定式化をプログラミングで確認する: 要素とシングルトンの区別など¶
集合概念の扱いを少なからぬ高校生や大学生が不得手とする理由のひとつは「集合それ自体をオブジェクトとみなして取り扱う」という認識の欠如ではないか。集合の記法で「オブジェクトが集められた状態」が記述されている認識はあっても、集まり自体をあらためてオブジェクトとみなす視点がない。
- 要素とシングルトンの区別
- ∅と{∅}の区別
- 冪集合
- 集合族
とか理解するには「集まり自体をオブジェクトと認識する」思考が必要だけど、その思考に到達しうる数学的成熟度はけっこう高い。教える側はそのハードルの高さを考慮すべきで、無闇に「泳ぎを教えるために海に投げ込む」べきでない。
写像(関数)の現代的定義はさらにハードルが高い。 入力に対応して決定的な出力がなされるという「現象」そのものをオブジェクト化したものだから。 代数学兼研究者や解析学研究者だって平素から写像(関数)をそういうふうに認識以下略。 順序対の集合を写像の実体と思う集合論的定義も所詮は方便。
集合のコンテナモデル(?)や写像のブラックボックスモデルは、 「集まり」や「対応現象」という抽象的なコンセプトに姿形を与えて想像しやすくするという悪くないアプローチだと思うけど、 おおもとの抽象性ゆえの難しさが「集合/写像がidenticalとはどういうことか」という問題に形を変えて残る。
数学的オブジェクトの identity と duplicability はまたべつの話で、 内容物が同じコンテナが2個とか、 はたらきが同じブラックボックスが2個とか自体を忌避する必要はないと思うけど、 identity とは何かという問題を着地点として観念して着地する必要はある。
結局、数学は異なるものを同じとみなす技術だから。
と、ポアンカレぶってみる。。。
プログラミングに慣れてる人に対してなら、
- a と [a] の区別
- [] と [[]] の区別
みたいな感じで配列で説明できるんですけどね
冪集合も配列に対して部分配列全体を返す関数を実装すれば一発で分かる
集合族は配列を値にもつ連想配列だと説明すれば良い
2024-06-01 メルマガはしばらくお休みします/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため,
- メルマガはしばらくお休みします
- 環論の面倒だが大事な話: 素イデアルの定義と零環
- NumPyのメジャーバージョン更新
- 単純群などの「単純」性は何を表すのか?
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
メルマガはしばらくお休みします¶
仕事の忙しさにかまけて去年から大分不定期になってしまったメルマガですが, 先日白血病の再発がしてしまったようで, そちらの療養に集中するためメルマガはしばらくお休みします.
本当に急に5/31(金)の通院でわかって, 早い方がよいとして6/3(月)から入院し, 治療をはじめる強行軍です. 以前のコンテンツの購入者の方のリンク確認の問い合わせなど, 何かしら連絡が必要な方は早めにご連絡ください.
状況が状況で早いお返事は確約できませんが, なるべくお返事するようにします.
余裕があれば次のページに公開の療養記を作る予定です.
余計な出費を減らすため, いったんこのメルマガ(正確には利用している配信用サービス)を解約する意味で, 連絡先も絞る予定です.
無料で使えるため, Gmail
のアカウントは閉じません. あと適当に気楽につぶやけるX(Twitter)も閉じる予定はありません.
有料のサービス・コンテンツも販売していた以上, できる限りは対応するのが筋だと思っているため, お返事が確約できないのが申し訳ないところですが, 最悪こちらにご連絡ください.
環論の面倒だが大事な話: 素イデアルの定義と零環¶
何となくわかっている人はいるけど、そういう人の中にも1を除外することを忘れる人が一定数いる。環論の講義において「素イデアルの定義を述べよ」と問うと、かなりの人が環全体と一致しないという条件を書き忘れる。
更に忘れるのは整域の定義に零環を除く事。かなり多くの教科書執筆者も忘れてるからこれは教員側・研究者側も注意しなくてはならない。 R/Iが整域⇔Iが素イデアル なので1を素数から除外するのとほぼ同じ事。 零環自体を環から除いてるからでは?との指摘もあるがそうじゃない本も多い。体も同様。
言及先の人々は専門であるためきちんとわかっている話ですが, 事態はさらに深刻です. 特に零環を環から除くとそれはそれで次のような厄介な話が出てくるからです.
実は零環は可換環の圏の終対象で, そのスペクトルはスキームの圏の始対象です. この意味で零環を完全に無視するわけにはいかないからです.
これ以外にも関連する議論として, 零加群は加群の県での始対象かつ終対象で, 零対象でもあります. アーベル圏やミッチェルの埋め込み定理でも大事な論点であります. 環は自身の作用で自然に加群とみなせ, 特にイデアルは部分加群とみなす議論にも一定の重要性があります. ここで「零」を排除するとまたいろいろな面倒が起きるため, 本当に非自明な振る舞いがあります.
単純群などの「単純」性は何を表すのか?¶
単純群はその名前に反して複雑に絡まりあった構造をもつ群なのではないか。複雑であるがゆえに、より小さな構成単位に分解できないというか。
微分同相群を扱っているとこの感覚は分かりますね。 あの辺の無限次元変換群は複雑な故に単純群なんですよね。
プロにいちいち言う話でもなければ本質的には同じ話ですが、本来複雑な構造を持っている対象に対して、比較的わかりやすい部分構造を取り除いた最後に残る本質的な複雑さしかないのが単純群で、複雑というかそれ自身で独立していて手出ししづらい・壊しづらいという気分があります。 学生の頃、竹崎先生に「有限群はめちゃ難しい。有限性と群しか使える道具がないから」と言われたことがあり、取っかかりや使える道具もなかなかない状況での厳しさを教わりました。
作用素環での話をもう少し追加しましょう. 特にフォン・ノイマン環での単純環は歴史的な理由によって因子環(factor)と呼ばれ, フォン・ノイマン環論でも非常に重要な対象です. 私の大学院の指導教員である河東泰之先生の研究対象でもあります.
特に包含関係を持ち因子環同士の議論が重要で, 部分因子環論(subfactor theory)と呼ばれています. これはジョーンズの結び目の理論の母胎とも言える理論で, さらに言えば代数的場の量子論ではごく自然に現れる対象です. 実際に河東先生が代数的場の量子論の研究に参入したのはこの現象があったからだと聞いています.
環(正確には代数)は環でも作用素環のような位相環論ではまた違う様相を見せるのが単純性の理論です.
Juliaで学ぶ解析学¶
Juliaで学ぶ解析学みたいなものがあったのか、知らなかった。誰か訳してくれ!(言い出しっぺ???)
しばらく何も手出しできないものの, 興味がある方はいると思うため情報だけシェアします.
NumPyのメジャーバージョン更新¶
「Pythonの代表的な学術計算ライブラリNumPyの初のメジャーバージョンアップとなる「NumPy 2.0」のリリース日が、2024年6月16日となることが発表された。」 「NumPy 1.xxで動作していたコードを2.0で使用する場合,動作確認や調整が必要」 ヒエ……
来るべきときが来た, という感じがあります. 以前作ったPythonによる数値計算系のコンテンツでNumPyをゴリゴリと使っているため, 私も非常に大きな影響を受けます.
プログラミングはこれが本当に厳しいです. 競プロあたりのアルゴリズム系は言語の基本機能または標準ライブラリしか使わないため, この辺の制約が緩くて助かります.
メモ¶
優先度トップの要配慮属性が女性というのは変¶
大卒一世,貧困,片親,障害者,色々いる中で,それらを差し置いて優先度トップの要配慮属性が女性というのは変なのだが,アカデミアではこのドグマに異議を唱えることはキャンセル対象となっている
医学部入試も私大の学費とか考えると性別以前に貧困層が圧倒的に不利なんですよね
女流作家の作品に対する川端康成の見解¶
女子高生がバンドやるアニメ見るたびに、もう百回くらい引用した川端康成大先生の「女流作家を読むのが好きだ。文学的感銘が薄い場合も、むしろそんな場合にこそ、女のありがたさとでもいうべきものが味わえる。それを文学の甘さとみればつまらないが、女の甘さと見ればありがたい」発言が思い出される
イイシシンゴさんのNARUTO読書録¶
Readable
: 英語PDFのレイアウトを保ったまま日本語に翻訳¶
研究者に愛用者が多いと聞いてReadableを使い始めたのですが、すごいいいです。日英交互にレイアウトがそのまま表示される。日本語で斜め読みして、「ん?これどういうこと?」と思って、元の英語に戻るとき、どこの訳なのかわからず探すということがなくなりました。
有料らしい.
極限が交換しない現象¶
物理学に現れる関数で、積分と極限と交換してはいけないような関数(例えばルベーグの優収束定理の条件が成り立たないようなケース)って実際あるの?
極限が交換しない例なら色々ある。
- ・自発的対称性の破れが起こるときの体積無限大極限と弱外場極限は交換しない
- ・線形応答理論での体積無限大極限とゼロ周波数極限も一般には交換しない(この前酷い目にあった😅)
体積無限大極限は波数空間の積分と関連するので、積分と極限の話にもなりそう。
indqx PDF翻訳ローカル版¶
[お知らせ] 4月より公開しておりました「indqx PDF翻訳」について、 本サービスの収益性が低いと判断したため、α版にて運用を終了し、5/31にてサービスの公開を終了することとなりました。ご愛顧いただきありがとうございます。 サービス終了に伴い、本サービスのソースコードの公開およびローカルローカル版の公開を行います。サービス終了後、IndqxPDF翻訳を利用されたい方は、以下URLよりローカル版をダウンロードして利用頂ければ幸いです! https://github.com/Mega-Gorilla/Index_PDF_Translation
渡辺悠樹, いかにして研究テーマを見つけるか¶
ありがとうございます🙇 「いかにして研究テーマを見つけるか」数理科学 2018 年 4 月号 No. 658, pp.53-59 の原稿pdfはこちらのリンクからもご覧になれます! https://drive.google.com/file/d/1QNWkZS
高瀬正仁, 複素解析的視点 微積分問題演習¶
●刊行後2箇月がすぎました。微積分問題演習の世界に(大きな)一石を投じたいと念願しています。
有理整数環からの実数体の構成¶
2009年に某所で講演後にAC氏と話し込んでいたら(昼休み)気づいたら誰もいなくなっていたので二人で食事に行ったことがありました。その際に以前から気になっていた「なぜZからQや完備化を経由せずに直接Rを構成しようと思ったのですか?」と尋ねた際の答えがこれです。
「S^3上の葉層構造の分類空間のZ係数の3次のコホモロジーを 求めると、Z加群としてRと同型 になる。 有理数や完備化を経由せずにZからRが出て来ることに驚いた。だから整数から、 有理数や完備化を経由しないで自然に、 実数が定義できるはずだと確信した。」とのことでした。
森の未知さんが以前話していたやつか.
角幡唯介: 多くの冒険家が「43歳」に命を落とすのはなぜ? 経験の豊かさと肉体の衰えが交差するとき¶
2022年4月24日(日)17時25分 - URL
多様体の形を知りたい¶
多様体の形を知りたい →多様体上の流れを観察したい →流れを表現できる空間を定義したい : 接束 →接束を一般化したものを考えたい : ベクトル束 →ベクトル束の非自明さを表現したい : 枠束 →枠束を一般化したものを考えたい : 主束 →(ある位相群に関して)すべての主束を考えたい : 分類空間
耳復: 一度読んだ本の内容を忘れないようにする方法¶
数学科卒の民間での活躍¶
数論研究して修士取ったあとMUFGのCEOまで登り詰めた亀澤宏規さん(現職)や、日本生命社長の清水博さん(現職)、 明治安田生命の会長の根岸秋男さん(現職)、 日本公認会計士協会の女性初(元)会長の関根愛子さんも数学科卒だし、数学科卒が民間で登り詰めてる事例って全然珍しくないんだよな
文科省の英語¶
文部科学省の英語がスゴい。ニュースが読めるようになりたい完全初心者向けに作られてる。①馴染みのある日本のニュース扱う、②和訳と英単語の解説付き。ニュースってつまらないと眠くなるのでこれは非常に学びやすい。さらにリスニング力も身につくように音声付き。
麻雀の自動卓は磁気で動く¶
ペースメーカーをいれることが決まり全自動の雀卓に座るのは禁止と言われた父親が空を仰ぎながら「死ぬまで手積みか……」とこぼしていたの、俺の父親って感じでとても良かった。
好きな惣菜発表ドラゴンと畜生ロボの二ページ漫画¶
(畜生ロボはとりあえず暫定名: 正式名称(?)は何だろう?) ローカルにも保存した.
2024年, 静岡県知事戦¶
静岡県知事選挙 ヤフーのコメントを見ていたら県民の奥底に流れる真実が書かれていた¶
これは長い歴史が尾を引いてると思うと興味深いですね. もともと, 遠江と駿河伊豆は同じ県に括られて100年経っても一つにはなれないって事です. 古くは家康と今川の時代から駿河は遠江を属国視, それに反発して西側の終わりの織田につく. 今でも浜松は静岡の風下に付くくらいなら東海名古屋との関係を優先する. 一方で静岡は目はいつも東京を向いて首都圏たらんとする. 人口も県域も大きいんだし遠江地区は浜松を県都として独立させてあげても良いんでは? 静岡大学と浜松医大の統合もそりゃ上手くいかないわけだ.
"他人の悪口陰口へと誘う輩への対応法"講習¶
娘ちゃん
「ぶり子ちゃんってさーなんか自慢ばっかりじゃない?どう思う?」
クラスメイトで自慢ぶりっ子と評される女子がいるらしく,アンチ女子達が増殖し始めているらしい。
人生で、とりわけ女社会では 避けては通れないこの場面
娘ちゃんに
"他人の悪口陰口へと誘う輩への対応法"講習
をした。
まず大原則と、パターンと、相手を知ろう。 それから、対処法を練習しよう。
[1] 大原則
悪口陰口には絶対に乗ってはいけない 一緒になって悪口陰口は絶対に言ってはいけない
ただし、悪口陰口を注意してもいけない 悪口を言ってくる相手を絶対に否定してはいけない
[2]パターン
大体こういう展開になるだろう予想
⚫︎悪口に乗った場合の最悪のパターン
=相手に合わせて適当に同調しただけなのにあら不思議、いつの間にか「娘ちゃんが率先して悪口を言っていた」と矢面に立たされたりすることもある。
⚫︎悪口を注意した場合の最悪のパターン
=相手の顔を潰すことになり、反感を買い、攻撃対象としてロックオンされてしまう。
[3]相手を知ろう 〜行動について〜
•娘ちゃんに誰かの陰口を言ってくる人は、娘ちゃんの陰口も誰かに言ってると思った方が良い=あまり信用に値しない人
•自分が敵だと思う子の陰口を誰かに言うことで、自分の仲間を増やそうとしている。=つまり現状が不安
•悪口や陰口を言うという良くない行動はしているが、本人には「嫌だと思った、傷付いた気持ち」は確かにある。
•自分で悪口に誘いながら、悪口を言う人は、聞き手が乗るかどうかを見ている。= 一緒に悪口を言うと、表面上は仲間っぽいけど腹の底では相手に不信感を抱く
•悪口に誘われて上手くかわして悪口を言わなければ、聞き手への信頼が上がる。二人の会話を聞いている周囲の人間からの信頼も上がる。
これらを前提に 悪口に誘われた時の上手い避け方練習をした。
【 悪口 対処法 】
(A)忍法:話題を変える術(なんか褒める)
悪「ちょっとぶり子がさ、また髪型自慢してきてさ、めっちゃ腹立った。どう思う?」
聞「えーそうなんや〜。あれっちょっと待って!悪子ちゃんの髪の毛、今日めっちゃ綺麗じゃない?なんかやってる?ごめん話の途中でw 気になってw トリートメント?」
持ち物でも服でも髪でも肌でも何でも良いから、悪口を言ってる人間を褒める話題に変える
(B)忍法:相槌パターン術
悪「ちょっとぶり子がさ、また髪型自慢してきてさ、めっちゃ腹立った。どう思う?」
「ええ。。そうなんやー」 「そっかーそれでどうしたん?」 「そっかー自慢してきやったんやな」 「うんうん」 「ええ、大変やったね」
ひたすらの相槌 ひたすらの相手が使った単語をなぞり繰り返し (ミラー効果) これらの繰り返し
(C)忍法:聞いて「感情だけ」を肯定する術
悪「ちょっとぶり子がさ、また髪型自慢してきてさ、めっちゃ腹立った。どう思う?」
聞「そーなんや。ぶり子ちゃんが自慢してきたんや?」
悪「せやねん、〇〇とか言ってさあ」
聞「〇〇って言われたんや。悪子ちゃんは嫌やったんやなーそっかあ。嫌なことってあるよなーうんうん」
ぶり子と悪子の二人の問題については、本当のことはわからないけれど、悪子が感じた感情については、実際に今そこにある本当のものなので、それは否定せずに、"あるもの"として聞くだけ。
実際に娘ちゃんとパターン練習をした。
娘ちゃん 「こうやってかわしても、めっちゃしつこくさ、娘ちゃんはどう思う?って聞いてくる人おるやん?どうする?」
3回忍法で躱して、それでも言ってくるんやったらもう 『私?私は別に何も思わへん。悪子ちゃんもぶり子ちゃんも好きやで』 って言う。
「自分はどちらの立場にも立ちません」 「悪子とぶり子の問題には介入しません」 「ただ二人とも好きです」 「ただ悪子ちゃんが傷付いた心には寄り添います」
この線引きをしっかり持って話す事が大事
と言う話をした。
これから山盛り出てくるであろう女政治に巻き込まれずに、娘ちゃんが平穏に暮らせますように...
=追記= 娘ちゃんに伝えたいこと
「悪口•陰口は良くない」の認識は世にある
だから悪口は一見して悪口とは見え辛い装いでやってくる。
•報 告 相 談(根回し)
• 悩 み 相 談
• 愚 痴
こんな体で"悪口陰口ではないですよ顔"でついつい巻き込まれてしまうから要注意。
でも、自分だって愚痴りたい時、悩ましい時、吐き出したい時はあるよね。
そんな時はどうするか。
=違うコミュニティの友達に聞いてもらう 対象の相手が誰だか知らない友達に聞いてもらう
=同じコミュニティの中では絶対に言わない
この線引きを守っていたら大丈夫。
と言う話を娘ちゃんにしておくのを忘れた。
だから、私は娘ちゃんの友達コミュニティは、習い事友達や、園時代友達など、学校以外にグループ2つは作るようにしている。(ママ活)
これから高学年になったら本人同士の付き合いになるから、親は関係なくなっていくけど、意識して色々なコミュニティに属しておいた方が良いなと思っている。 逃げ場所確保、居場所確保的な意味合いで。
居眠りが許されるかどうかは文化依存¶
オフィスに限らずイギリスでは基本的に公共の場での居眠りはマナー違反でタブーらしい。 昔ロンドンのホステルのロビーでウトウトしてたら警備員のオッサンに理不尽に叩き起こされたな…
以前、オックスフォードだかケンブリッジだかから留学しに来てた文化人類学者のおねえちゃんが、日本人はどうして電車などの公共空間で平気で居眠りする/できるのか、というお題で研究しとって、確か本にもなってなかったっけか。日本語クソ達者でビビった記憶。
次の本らしい.
「本来ならば一生眠っていたはずの虎や龍を君は起こした」¶
アンチヒーローものの 「ヒーローはヴィランがいるから成り立ち、ヴィランの存在を1番必要としてるのはヒーロー」に対する アンサーのひとつ 「お前が起こさなきゃ一般人のままでいられた」
鬼滅はやべえ奴らが鬼を滅多殺しにしていく漫画ではなく、普通に生活していた彼らの中に眠る猛獣を無惨は怒らせてしまったと言う話で
立川裕二さんによるセミナー発表・プレゼンへの助言¶
若い人のセミナー発表(プレゼン)を聞いて助言する機会がこれまで何度もあり、同じことを助言することが案外ある気がするので、まとめてみました: https://member.ipmu.jp/yuji.tachikawa/misc/presentation.html 人によって色々趣味はあると思いますので、参考意見ということで…
発表のときに気をつけたらよいこと
色んな学生さんのプレゼンをみることがありますが、同じことを何度も異なる人に指摘する気がするので、まとめておこうかと思いました。 勿論絶対的なルールではなく、わかっていて破るのもあっていいと思いますが、それでも、基本的なルールはあると思います。 まあ、ここに書いたのは概ね僕がとても個人的に気になる点に過ぎず、人によってまた業界によって異なることだとは思いますが。 項目の順序にあまり意味はありません。 (2024/5/22初稿;5/23追記)
以下のことが実現できるように、一度は壁にむかって発表練習する。 一度話してみることで、以下の問題点に抵触していないかがわかります。 大切なセミナーなら、事前に指導教員や、同輩に時間をとってもらって聞いてもらっても良いと思います。
ページ番号を何ページ目/全ページ数の形式でいれておく。 24 ページ中 5 ページなら 5/24 などとします。 こうすると聞いているほうは後どれくらいで終わるのか安心できます。
与えられた時間を延長しない。与えられた時間より短くなり過ぎない。 ジャイアンの歌を延々と聞かされているのび太君たちの気分にならせないようにしましょう。また、短過ぎてもおかしなものです。
話すことはスライドに書く。話さないことはスライドに書かない。 もちろん、セミナー後にファイルをダウンロードしてもらって読んでもらったときにわかりやすいように、話さないけれども書いておくことがあってもよいです。 また、話すと全部書いたらスライドが込み入ってしまうし、わかる人にだけ伝わるコメントを口でいいたいのでそれは書かないでおく、というのもあってよいです。 しかし、セミナーで発表していて、聴衆に質問されたわけでもないのに、あ、書き忘れていたという感じで黒板にチョークで説明を書きはじめるのは準備不足でしょう。
発表の際に前のスライドに戻らないようにする。 時折質問されてもないのに説明の途中で数ページ前までスライドを戻して、何かをみせたあと、また元の場所に戻ってくる人がいますね。 その時にページがすこしズレてしまって慌てたりします。 こういうことがないように、必要な内容は必要な場所に書いておきましょう。 繰り返しになってもいいと思います。
スライドの内容をすこしずつ表示するのは使い過ぎないようにしよう。 話を聞きながらページの先を読んでいるひともいます。 質問されたりして事前のページに戻って、また説明を終えてもとの箇所に戻るときに、画面が非常にちらつきます。 勿論効果的に使うことも出来ますが、闇雲にそこらじゅう使うのはどうかと思います。
「 X と思うかもしれないが、実は Y だ」 「昔の研究では X ということだったが、実は Y だ」というのは止めよう 発表者が Y の説明に至る前に「あれ、X だったっけ、X が正しいとしたら、こうなはずだとおもうけれども、それはおかしいし」と考えていると、 発表者が Y の説明をして「じゃあ X は言わなくてもよかったじゃないか」となったことが何度もあります。 非常に混乱します。 あなたの研究の過程では X は自然な間違い方だったかもしれませんが、他の人が同様に勘違いをする保証は全然ありません。 「いや、普通 X って思いがちだろう」と思うかも知れませんが、周りのひとに確認したことがありますか? ある項目の正しい理解のしかたを人に理解させることは出来ますが、間違い方は千差万別なので、それを理解させるのは大変です。 大体、X の説明は結局いらないので、時間の無駄です。正しい Y だけ説明しましょう。
どんな質問が出そうか、考えておく。 備え有れば憂い無しです。 スライドのおしまいに想定質問の答えをつけておくことも出来ます(そういうのをバックアップスライドといいます)。 バックアップスライドから発表中の元の箇所へのスクロールのしかたも練習しておければさらに良いですね。
聴衆が大体どんな人たちか、どんな研究をしているかを事前にざっと調べておく。それに応じて内容を調整する。 これは高等テクニックですが、余裕があれば。 聴衆に○○さんが居るのを知っていたら、○○さんの関連論文を強めに引用しておくと雰囲気は良くなります。 ここの研究グループはこのあたりを詳細に研究しているからそちらに響きそうな話題につなげておく、ということも出来ます。 あの人なら、あのグループの人たちなら、こういう質問が出そうだ、と答えを考えておいたり、はじめから説明を書き加えることもできるかもしれません。 また、僕ですと同じ論文を数学者相手に説明したり弦理論屋相手に説明したりすることがあります。そうすると相手によって全然説明のしかたは変えないといけなくなります。
「子供と女性は女性医師が診る」の社会実装とイスラム¶
まあ女性は子供含めて女性医師が診る、という規範を社会実装するとどうなるかの実例は、イスラム教の社会にいくらでも参照先がありますよ ものすごくめんどくさいことが起きまくるので私は御免被りたいですが
当面調べる余裕はないがとりあえずメモ.
チート解法の本へのコメント¶
面白そうな本で, やはり欲しい.
これ小数部分を4桁ごとに区切ると2の累乗の数列になってるのおもしろい。
理由もシンプルで、
1/9998 =1/(10000-2) =(1/10000) / (1-2/10000)
と変形できて、これは初項 1/10000、公比 2/10000 の等比数列の無限和を表すからっぽい。
室伏広治: 重さを追求しなければ強くならないのか?¶
室伏広治選手が推奨する有名なトレーニング、ウエイトトレーニングなどのバーベルなどの負荷ではなく、自分で意図的に負荷をかけることで、異なる負荷をかける。この動画は本当に身になった。
ドラマ「セクシー田中さん」社内特別調査チームの調査結果について¶
個人的によく使う、省スペースで表示できて雑然としないUI with TailwindCSS¶
Facebookのモンゴル人のプロフィールアイコン¶
FBのモンゴル人のプロフィールアイコンを見ていて、かなりの割合で草原を背景にしたものを使っていることに気づいた。人口の半数弱がウランバートル在住であることからも、実際には草原暮らしではないと思うのだけれど、草原にアイデンティティを求める人が多いんだなと思った
ふとファイアーエムブレムのリンとPhantomのアインを思い出した。
何者にもなれなかったが化け物にはなれた¶
おじさんになってみて分かるんですけどね、狂うって怖いことじゃないですから。何物にもなれなかったけど化物にはなれた。それでいいじゃないですか。
平坦トーラスの$C^1$-級埋め込み¶
引用RT先で引用されたサイトにもあるようにh-原理の有名な応用の一つです。 最近(何と今年‼️)大改訂された以下の本が有名な入門書ですね。 https://www.amazon.co.jp/Introduction-h-Principle-Graduate-Studies-Mathematics/dp/1470461056
環の表現論¶
環の表現論だとARS「Representation Theory of Algebras」とかか。
実際にはAuslander, Reiten, Smaloの"Representation Theory of Artin Algebras"のようだ. 浅芝秀人さんによる書評がJ-STAGEにある.
極限と積分の順序交換¶
極限と積分の順序交換について高密度なまとめを作りました。 無限測度のVitaliの収束定理やルベーグ積分以外の積分法の場合など、かなり専門的な内容まで含みます。 「交換できなさ」の評価や弱収束概念を通した見方についても。 リーマン積分やルベーグ積分だけでなく、関数解析やフーリエ解析、変分法、PDE、確率論など、解析学の広い範囲で極限と積分の順序交換が縁の下の力持ちです。
極大単調作用素¶
凸とか単調作用素、そのPDEへの応用に詳しい人、もしくはそういう人を知ってる人いない? ありがとうございます! Maximal monotonは聞いたことはあるんですがまだ扱っていなくて、どういう性質があってどこに応用が聞くのでしょうか(最適化の話でもいいです)? またその本は今ちょうど輪読しています。
ご存知のような気はしますが、極大単調はブレジスに書いてあります。複素ヒルベルト空間上の作用素に準えて直観的に言えば非負の自己共役作用素に相当する作用素で、これが満たす良い性質がいくつか成り立ち、PDEとしては半群理論(時間発展の議論)に応用があります。 全く詳しくありませんが、非線型半群関係にも一般化と応用があることはだけは知っています。 そもそもとして極大単調性自体、(線型の)極大単調作用素Aが微分方程式を表す微分作用素だとすると少なくとも1+Aで表される微分方程式が常に解を持つと言っているため、(線型の)微分方程式と直結します。(非線型半群は定義もよく知らないので線型を括弧で添えています。)
ちなみに、気になったらとりあえず日本語で「非線型半群 極大単調作用素」だとか適当に検索すればそれだけでも色々出てきます。調べてすぐ出てきただけで重要だとか面白いというわけではないですが、例えばhttps://kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1484-11.pdfのような論文レベルの内容はすぐに出てきます。 学生なら分野の近そうな教員に聞くのが一番です。教員自身は忙しくて対応できなくても、研究室の院生紹介などもしてくれるはずです。 念の為更なる自力探索法も伝えておくと、「(適当な検索で)英語も含めて論文・プレプリントを探してイントロと参考文献を読む」があります。論文は研究に関する歴史的経緯やさまざまな応用についても書かれていて、分野の基本的な教科書もわかる場合があります。院の調べ物でいずれ必要になる手法です
メルカトル図法のイメージ¶
メルカトル図法を扱うときにこの画像を使ったらめちゃくちゃ効果的でした。 なぜこのような画像になるのか考える良いきっかけになりますよね。
地図を扱う際に使えそうな画像です。
Wikipediaのアフリカ文学¶
ご存知でしたか。Wikipediaの「アフリカ文学」が異様に充実しています。どなたが書いたかわからないのですが、他の記事からの翻訳というわけではなさそうで、日本語で書かれた数多くの研究が参照されています。遅ればせながら、驚きと感激とともに、ご紹介します。
科学哲学と粉体の物理¶
まさしくそうです。科学者は科学哲学者に何をやっているのかを脇から見られるのを嫌うという一部戯画化されたお話がありますが、ここでの科学哲学者は「科学の科学」のプロト科学をやっているとも言えます。今度は、じゃあ哲学者は何をやっているのか、という視点から「哲学の科学」も考えられます。
単純に興味がなく邪魔されて鬱陶しい以上の話があるだろうか。時間とか量子力学とか「わかりやすい」話にだけ飛びついて、粉体などの微妙な話に科学哲学が興味を持つとも思えないし、その程度の興味関心の違いをまさしく戯画化しているだけ以上の感覚がない。 粉体周り、マクロとメゾの違いのように物理としてはかなり本質的な部分を突く厳しい世界だと思っていて、物理を数学をどう落とし込むか、なぜ統計力学で無限体積極限がよく動くか、その限界はどこか問題で統計学の哲学的なところにも絡むと思うが、科学哲学・数理哲学界隈が興味を持つのかはわからない
(私的)数学基礎論、数理論理学、集合論の文献紹介¶
以下, 2024/4/24時点での内容の転載. (たまに役に立つ記事が消えて悲しい経験を何度となく味わったため.)
転載¶
(私的)数学基礎論、数理論理学、集合論の文献紹介
2024年4月24日現在まだ書きかけです。
私が主に学部一年から修士一年にかけて数学基礎論、数理論理学、集合論の勉強で読んできた、または参考にしてきた基本的な文献 を紹介します。(M2は半年しかしてないことに加えて、研究で潰れたのでB1からM1までとしています。) あくまで個人的な記録ですが、参考になれば幸いです。真面目に書評などはするつもりはありません。 文献の羅列と感想を述べていま す。 私の専門及び興味は集合論、特に記述集合論、決定性公理、内部モデル理論、強制法公理です。 集合論の分野でも疎いものがいくつか あります。特に基数不変量は勉強したことがありません。 また私の興味のある記述集合論はかなり集合論に寄っています。
数学基礎論、数理論理学、そして集合論以外の各分野の基礎
新井数学基礎論 B1の前期に東大の書籍部で買った。 B1の頃に完全性定理などの証明はここで読んだ。最初読んだ時はよくわからなかった。モデル理論 パートもそのままB1、B2の時に読んだ。計算論パートは読んでない。 4分野がまとまっているので眺めていると面白い。
Kunenの数学基礎論講義 買っただけであまり読んでない。参考にはなると思う。
Sipserの計算理論の基礎1、2、3 計算論の本。B2のあたり(だったはず)でゼミで読んだ。読みやすい。全部読む価値はあると思う。
SoareのTuring computability 計算論の本、Sipserよりは発展的。B3あたりにゼミで全部読んだ。計算論の基本的な部分は一通り書いていると思う。勉強になった。 とても読みやすい。
Tent, ZieglerのA course in model theory 学部の長い間をかけてゼミで読んだ。前半はモデル理論の基礎、後半はかなり難しい。後半の証明を解読するのにかなり苦戦した記憶 しかない。
ゲーデルと20世紀の論理学1、2、3、4 主に集合論の刊(青色)をよく眺めていた。参考になると思う。
SimpsonのSubsystems of Second Order Arithmetic 逆数学の本。通称SOSOA。B3の時にゼミで前半を読んだ。逆数学の文献でこれ以外のは私は残念ながら知りません。
集合論の基礎的な文献
私の場合はB1の頃に人の話を聞いた結果、とりあえずKunenか何かしらで強制法を勉強し、Kanamoriで巨大基数を勉強しないと始まらないなと思ったのでまずそれらを勉強しました。
Kunenのset theory 集合論の本。強制法の入門書。強制法を知らないと集合論できないので何かしらで勉強することになるが、その入門のための標準的な本。日本語訳がある。 B1で読んだ。でもちゃんと強制法がわかったなと思ったのはずっと先だった。強制関係を定義して、Forcing theoremを示すところは最初何やってるかさっぱり分からなかった記憶がある。自分の場合はとりあえずそういう便利ですごいものがあると飲み込んで、強制法の色々な応用例を読んでたくさん計算した。 今となってはForcing theoremも定義に従って計算するだけに思えている。(この場で証明できなければ死ぬ状況でも生還できる。) 要するに強制関係の定義がえらい。.
Jechのset theory 集合論の本。分厚い鈍器。Chapter1は集合論を学びたての時に参考になる。(Filterの章とかstationary setの章とか)後半は集合論の発展的なトピックがまとめられている。 全部真面目に読んだことはないが、B4の時には大体何が書いているかわかっていたので軽く思い出したい時や辞書として使いたい時に開いていた。
Schindlerのset theory 集合論の基本的なところからスタートして、強制法や巨大基数、さらに発展的なトピックまで書いてある。Kunenの補助になるかも。後半はこの本にしか詳細が書いてないことがいくつかある。ありがたい。
Kanamoriのthe higher infinite 巨大基数の入門書。まずは前半の組み合わせ論パートを読んだ方がいい。それだけでもわかる話がずっと増える。 記述集合論のパートはそれに興味があったら読むといいかも。最後の決定性公理のパートは他にいい文献がある。
Baumgartnerのiterated forcing 反復強制法の入門の文献。ちょっと古いとは聞いたことがあるが、自分は十分勉強になったと感じた。必読に値すると思います。
Abrahamのproper forcing Handbook of set theoryにある。proper forcingの基礎が書いてある。
山本啓太さんのProper Forcing Axiomの無矛盾性 昔ネットサーフィンをしていた時に見つけた修士論文。PFAの無矛盾性証明が書いてある。 丁寧に書いてあって参考になる。他の数学書とかであまり書いていない命題の証明とかが書いてある。ありがたい。
Foreman, Magidor, ShelahのMartin's Maximum, Saturated Ideals, and Non-Regular Ultrafilters. Part I 通称FMSまたはMM論文。 もはや集合論の基礎的な文献と言っていいだろう。Martin's Maximumの無矛盾性証明とMMから出る帰結をいくつか証明している。 Semiproper forcingがRCS iterationで反復できる証明は認めてしまってもいいと思っている。(諸説あり。)Laver functionに関してはJechに書いてます。 必読に値すると思います。
Feng, JechのProjective Stationary Sets and Strong Reflection Principle PSRP(or SRP)を導入している。基礎的な文献と言えるかはちょっと微妙だが、MM論文を紹介した後なので置いておく。 PSRPのアイデア自体も素朴だし、それから色々MMの帰結が出る証明もワクワクして面白い。 自分が一番好きな論文。
Advancedな集合論の文献(内部モデル理論、記述集合論以外)
ForemanのIdeals and generic elementary embeddings Handbook of set theoryにある。 B4のセミナーで前半を読んだ。イデアルの話が色々書いてある。普通に今も役に立っている。
AbrahamとMagidorのCardinal arithmetic Handbook of set theoryにある。B4の時にセミナーで読んだ。 これでpcf理論に入門した。
EisworthのSuccessors of Singular Cardinals Handbook of set theoryにある。B4の時にセミナーで読んだ。Singular combinatoricsのことが色々書いてある文献。
Cummings, Foreman, MagidorのSquares, scales, and stationary reflection B4の時にセミナーでEisworthの後に読んだ。
TodorcevicのA note on the proper forcing axiom PFAからの帰結のいくつかを証明している。Side conditionを使った議論が書かれている。
NeemanのForcing with sequences of models of two types Side conditionの勉強で読んだ。Side conditionを使う話を聞く時にそこの部分で置いてかれることはなくなった。
内部モデル理論の基礎的な文献
参考になるかは分かりませんが、とりあえず羅列しておきます。
SchindlerとZemanのFine structure Fine structure theoryの基礎が書かれている。Handbook of set theory の一部。 かなり丁寧に書かれている。
SteelのAn outline of inner model theory Handbook of set theoryの一部。あくまでoutline。
MitchellとSteelのFine structure and iteration trees 通称FSIT。 基礎的な文献のはずだが読めない。間違いがたくさんある。人の助けを借りないとかなり大変だと思う。
JensenのManuscript on fine structure, inner model theory, and the core model below one Woodin cardinal Ronald B. Jensenのホームページで利用可能です。非常に長いが、FSITよりはるかに丁寧に書かれている。FSITとは異なり、内部モデル理論を勉強したい学生が一人でも読めるように書かれています。 FSITとは使っているfine structureの流儀が異なる(、あとindexingも違う)。. タイピングのお手伝いをほんの少しやった。
SteelのThe Core Model Iterability Problem Kの理論。
SteelとWoodinのHOD as a core model HOD computationの基礎的な文献。後述のcabalの文献の1つ。面白い。
Farahのthe extender algebra and (\Sigma^{2}_{1})-absoluteness Extender algebraについて書いてある。
記述集合論、決定性の基礎的な文献
2種類の大まかな分類をしようと思います。
- (A)は純粋な記述集合論についての文献であることを表します。下記のMoschovakisを読んでおけば前提知識は足りると思います。
- (B)は巨大基数や強制法を用いて記述集合論についての何らか(例えば決定性の無矛盾性など)を示している文献であることを表します。 (B)を読む際にはKunenやKanamoriに書いてあることが基本的には前提となっています。
- (A+B)は(A)、(B)の内容がどちらも書かれているものとします。
(ほとんどA) MoschovakisのDescriptive set theory ほとんど(A)の内容だが、一部(B)の内容が入ってくる。しかし巨大基数を使う際にはきちんと導入されている。 記述集合論の入門書。 まずはこれを読むと良い。Notationや書き方が独特な気がする。演習問題が多い。
(B) SolovayのA Model of Set-Theory in Which Every Set of Reals is Lebesgue Measurable Solovay modelの論文。タイトルの通り。 難しい。Kanamori, Jech, SchindlerにもSolovay modelの章がある。
(B) MartinのDeterminacy of Infinitely Long Games Martinによる決定性の無矛盾性証明が書かれた本。\Pi^1_1-決定性の証明とMartin--Steelの定理(PDの無矛盾性)の証明が書かれている。
Martin, SteelのA proof of projective determinacy、および Iteration trees Iteration treeを導入してPDの無矛盾性を証明したり,Woodin基数を含む(fine structuralでない)内部モデルを構成している。
(一部B) Larsonのthe stationary tower (B)を勉強する際に必須となるStationary tower forcingについて書かれている。ADの無矛盾性を示す際に最初はstationary tower forcingを使うことになる(はず)なので、その際はこれを読むと良い。
(B) SteelのThe Derived Model Theorem WoodinのDerived model theoremの証明が書いてある。 Homogeneously Suslin, weakly homogeneously Suslin, universally Baireの 関係性も書かれている。Stationary tower forcingの知識が必須。
(B) NeemanのDeterminacy in (L(\mathbb{R})) Handbook of set theoryの一部。Neeman styleのgenericity iterationを使ってAD in L(R)の無矛盾性証明をしている。
(A+B) LarsonのForcing over models of determinacy Handbook of set theoryの一部。Pmax forcingを勉強する際にはこれをまず読むと良い。怠惰のためM1の時に読んだが、さっさとB3ぐらいで読んでおけばよかった。
(A+B) WoodinのThe axiom of determinacy, forcing axioms, and the nonstationary ideal WoodinによるPmax関連の研究や結果がたくさん書いてある本。Jechに並ぶ鈍器。胸に潜ませておけば暗殺されそうになっても助かると思う。バイブル。
(A) Wilsonのthe envelope of a pointclass under a local determinacy hypothesis Envelopeの理論が書いてある。Kechris--Woodinの結果などはこの理論から直ちに出る。
(A) Koellner, WoodinのLarge cardinals from determinacy Handbook of set theoryの一部。決定性公理からどのようにして巨大基数(Woodin基数)を持つZFCのモデルを見つけるかについての結果がたくさん書いてある。
(A) JacksonのStructural consequences of AD Handbook of set theoryの一部。Suslin cardinalの解析の理論が書いてある。後述のCabalの結果のいくつかかがベースとなっている。
(A+B) Feng, Magidor, WoodinのUniversally Baire sets of reals universally Baireを導入した論文。
(A) KetchersidのMore structural consequences of AD AD^{+}の理論が書いてある。AD^{+}の定理に関してunpublishのものがいっぱいあるため、基本的なことを書いてくれているだけでもありがたい。
(B) Martin, SolovayのA basis theorem for (\Sigma^{1}_{3}) sets of reals Martin--Solovay construction。
(A) Harrington, KechrisのOrdinal games and their applications Harrington--Kechirisの定理。自分はブラックボックスにしてます。
(A+B) Cabal seminarの文献たち 決定性の理論がめっちゃ発展した時代の立役者。以下で細かい文献を羅列するがとりあえずCabalとしてひとまとめで書いておく。新しいバージョンの本が出ている。全部買った。 出てくる議論の1つ1つが決定性の議論で重要になるものばかり。バイブル。
(A) Kechris, MoschovakisのNotes on the theory of scales Cabal。Cabalで一番最初に読んだ文献。基本的なところが一通り書いてあるMoschovakis本読んだらこれを次に読んだらいいと思う。
(A) KechrisのAD and projective ordinals Cabal。Cabalで2番目に読んだ文献。射影順序数について多くのことが書いてある参考になる。Jacksonの結果は書いてない。
(A) WesepのWadge degrees and descriptive set theory Cabal。Cabalの文献の中で3番目ぐらいに読んだ。Wadge hierarchyの基本事項とseparation, reduction, pwoの基本的なことが書いてある。
(A) SteelのClosure properties of pointclasses Cabal。Suslin cardinalの解析の基礎となる文献の1つ。
(A) Kechris, Solovay, Steelのthe axiom of determinacy and the prewellordering property Cabal。Suslin cardinalの解析の基礎となる文献の1つ。
(A) Martin, Steelのthe extent of scales in L(R) Cabal。L(R)のlargest scaled pointclassについて。次にscales in L(R)を読むと良い。
(A) SteelのScales in L(R) Cabal。L(R)のscaleについて完全に解析した論文。
(A) MoschovakisのScales on coinductive sets Cabal。タイトルの通り。読む優先度は低いかも。
(A) Martin, Woodinのweakly homogeneous trees Cabal。(\mathrm{AD}{\mathbb{R}})があるときに任意のtreeがweakly homogeneousであることを証明している。ここに出てくる議論は(\mathrm{AD})を使う際によく出てくる気がする。}
(A) KechrisのA coding theorem for measures Cabal。Martin--Woodinと同様にここに出てくる議論は他でもたまに見る気がする。half (\mathrm{AD}_{\mathbb{R}})はここに書いてある。
(A) Martin, Steelのthe tree of a Moschovakis scale is homogeneous Cabal。決定性のもとでhomogeneously SuslinとSuslin-co-Suslinが同値であることを示している。
(A) Kechris, Woodinのthe equivalence of partition properties and determinacy Cabal。Kechris--Woodinはこれ。Core model inductionのinner model theory抜きをやってる。
(A) Kechris, Kleinburg, Moschovakis, Woodinのthe axiom of determinacy, strong partition properties, and nonsingular measures Cabal。通称KKMW。タイトルの通り色々書いてる。
Cabal。
「安倍暗殺と統一教会」で露わになった「日本人の特殊な宗教理解」とは【中田考】¶
「安倍暗殺と統一教会」で露わになった「日本人の特殊な宗教理解」とは【中田考】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)
むちゃくちゃ高密度だった。こういうことを言えるのはもう中田先生しかいない。
無理やり要約するとこんな感じか。
「形而上学やイデオロギーを含む宗教的なものの理念を見下し…「空気」を読まない「異物」とみなし…「臭い物に蓋をする」ように見て見ぬふりをする…マインドセットこそが真の問題なのです」 「安倍は選挙における集票マシーンとして統一教会の政治的利用価値だけを考えていたのでしょう」「有力な集票マシーンである宗教団体の一つである統一教会との関係を自粛するインセンティブは安倍にはなかったからです」 「統一教会の宗教的側面は知っていながら(中略)宗教は政治の金集めの手段の口先だけの建前の空疎な言葉なのでどうでもよく、選挙における集票マシーンとして利用できるなら問題ないと考えて、反共や保守的家族観や愛国など自民党が気に入りそうなスローガンだけ見て利用しようとしたのでしょう」
今の日本であの問題をそういう角度から論じることのできるのが中田先生しかいないというところがな。
安倍元総理暗殺事件から49日が経つ。銃撃した容疑者は宗教団体である統一教会(世界平和家庭連合)に恨みを持ち続けていたという。その広告塔として影響力のあった安倍元総理をはじめ、自民党議員の多くが統一教会やその関連団体となんらかの関係があることが次々暴かれ、テレビも新聞も「政治と宗教」の話題で持ち切りである。日本人にとって宗教とは何か? この一連の騒動で「日本人の宗教理解の特性」が露わになったと語るのは、イスラーム法学者・中田考氏だ。新刊『中田考の宗教地政学から読み解く世界情勢(仮)』(イースト・プレス)の発売(10月7日)も待たれる中田氏が「安倍暗殺と統一教会」についてはじめて語る。<特別寄稿:前編>(再配信) 参院選の街頭演説中に銃撃され、67歳で死去した安倍晋三の葬儀は、7月12日に東京・芝公園の増上寺で営まれた。
■なぜ安倍一族は統一教会の信徒ではなかったか
2022年7月8日、元内閣総理大臣で衆議院議員の安倍晋三が銃撃され死亡しました。事件の全貌が解明されることはおそらくないでしょう。しかしいかなる背景があるにせよ、統一教会(世界平和家庭連合)の最大の支持者とみなされた安倍が同教団に家庭を壊されたことを恨みに思った元自衛官に撃たれたという構図が、事件の前景であることは間違いありません。そしてこの事件の報道を見ると、日本人の宗教理解の特性が浮かび上がってきます。
安倍晋三と統一教会との関係は、祖父の岸信介元総理(1960年没)の時代に遡ります。それは統一教会そのものというより、冷戦を背景に統一教会の創立者文鮮明が1968年に設立した反共政治団体国際勝共連合を通してであり、岸はその名誉執行委員長を務めていました。安倍の葬儀は浄土宗の増上寺で行われており、生前は靖国神社に参拝しています。統一教会と安倍一族と関係が深いものであったとしても、晋三だけでなく、彼らが統一教会の信徒であったことはありません。それを正しく理解するには日本の宗教事情を知っておく必要があります。
儒教や仏教の伝来以前に遡る弥生時代の天照大神や卑弥呼の伝説はさて措き、日本では、崇仏・排仏をめぐって用明天皇の死に際する後継者争いを直接のきっかけとし、崇仏派の大臣・蘇我馬子が厩戸皇子(聖徳太子)、泊瀬部皇子、竹田皇子などの皇族や諸豪族の軍兵を率いて大連・物部守屋と彼が次期天皇に推した穴穂部皇子を誅した丁未の乱(587年7月)以来、国家(天皇)による仏教の庇護の下に神儒仏の三教が曖昧に共存する体制が成立します。
仏教による鎮護国家の思想の広まりにより広大な寺領を有する仏教は武装するようになり、平安時代末期には僧兵は強大な武力集団となり、宗教的権威を背景とする僧兵の強訴はしばしば朝廷さえ屈服させ、戦国時代には僧兵団に加えて門徒を武装組織化して戦国大名と争うまでになる宗派も生れました。最大規模であったのは浄土真宗本願寺派の一向一揆で、織田信長や豊臣秀吉をも苦しめました。しかし豊臣秀吉の刀狩りによって、国家による「正当な物理的暴力行使の独占」が進んで以降、宗教勢力は武装解除されて政治権力に取り込まれていきます。江戸時代初期のキリシタンのカリスマ的指導者天草四郎に率いられた島原の乱(1638-1639年)の鎮圧とキリシタンの殲滅によって、日本における本格的な宗教戦争はなくなります。
250年にわたる「徳川の平和」の時代に完成した政治優位の多宗教共存体制の下では、仏教の宗派への帰属は戸籍のような役割を果たしており、「仏教徒であること」は個人の信仰の問題ではなく国家による家の支配統制の問題でした(寺請け制度)。また神社は地域のコミュニティセンターのようなもので人は生まれるとその土地の産土社(鎮守社)に初宮詣でをし、七五三などの様々な儀式、祭りに参加し、また氏族の守護神である氏神をまつる氏神神社の氏子となります(中世以降は血縁的氏神神社と地縁的産土社が次第に融合していき、現在では神社の祭祀集団を氏子と呼びます)。
つまり基本的に仏教も神道も個人の決断で選んで入信するようなものではなかったのです。一方で儒教は日本では宗教というよりは学問で、武士向けの公立の藩校で高度な理論が教えられただけでなく、庶民向けのフリー・スクールであった寺子屋でも教えられていました。この神仏儒三教の多宗教共存体制は時の権力者によって公認され、善男善女たちは特に疑いを抱くこともなく、神社で誕生、成人、結婚の通過儀礼、収穫祭などの地域の祭りを行い、寺で葬儀と先祖供養を行い、寺子屋で文字の儒教の徳目を習って生きて死んでいったのでした。
「徳川の平和」時代において殆どの「普通の人々」は、多宗教共存体制に埋没し、西洋のキリスト教社会のように宗教、宗派が異なることで神の意向によって憎みあい殺し合ったりすることはありませんでした。ただ「世間様」に合わせて仏教、神道、儒教などの諸宗教の儀礼を慣習的に行いながら場当たり的に「善」と「悪」の判断をした上でそこで許される範囲の「利」を求めて「柔軟に」生きていました。(徳川恒孝「“世間様”の文化を忘れていないだろうか」『PHPオンライン衆知』2012年10月11日)。
しかしこの「徳川の平和」の時代においてすら、宗教をめぐる緊張がなくなったわけではありません。長期的に見ると、日蓮宗のように強引な布教で神道や他宗派と諍いを起こして地域の宗派構成を変えてしまうこともありました。また盲目的に世間様を是とせず、多宗教共存体制を超えた真理を求めて、この世の「利」を度外視し、「実存的」、「主体的」に自らの信心、信念を選び取りそれを愚直に実践する者も現れました。
■明治政府から弾圧されても屈しなかった天理教教祖・中山みき
幕末に世界一列を助けるために降臨した神から天啓を受けたと称して貧民救済に家財を蕩尽し、国家神道を拒否したことで明治政府から弾圧されても屈せずに、信奉者たちから天理教の教祖に担ぎ上げられた中山みき(1886年没)もそうです。中山みきは巫女タイプでしたが、より理性的な学究肌の宗教者もいました。知行合一の陽明学を修め、大坂町奉行組与力としてキリシタンを摘発、破戒僧を処断し、隠居後は陽明学を講ずる私塾を開き門人を育てた大塩平八郎が、天保の大飢饉に際して貧民を救うために私財を投じただけでは飽き足らず、餓死者を放置した大坂町奉行所の悪政を糾すために門人たちを集めて武装蜂起(大塩の乱:1837年)したのも宗教に基づく世直し運動と言うことができるでしょう。
しかし江戸時代の最大の宗教に基づく世直し運動は、水戸学、国学などに基づく尊王攘夷思想に基づく王政復古を目指す倒幕運動でした。倒幕に成功した明治政府は維新当初は、古代の神祇官を復活させ、神仏分離、廃仏毀釈を行い、キリシタン禁令を踏襲しました。しかしそれによって信教の自由を認めないような国は近代国家ではないとの欧米列強から激しい批判を被ることになりました。
そこでキリスト教の解禁を迫られた明治政府は、不平等条約を撤廃し西欧列強の仲間入りするために、1900年に神道を内務省の神社局の管轄とし、文部省の宗教局(1913年に内務省から文部省に移転)が管轄する仏教、キリスト教などの他の宗教とは区別する「神道非宗教論」を採用し、元始祭、神嘗祭、新嘗祭などの大祭は天皇が親祭することになりました。倒幕運動に復古神道に由来する水戸学、国学の尊王攘夷のスローガンが唱えられましたが、実際には幕府を倒した明治政府は脱亜入欧の西欧化による近代化を目指し、王政復古とは名ばかりで、天皇が「現人神」の巫王として親政を行ったわけではなく、親祭の内実は祭礼の執行に過ぎませんでした。
大日本帝國の国家神道において官国幣社の神職(神主)は国家公務員になりましたが、教導職は廃止され、神職が国民教育を担うことはありませんでした。また内閣には神祇省は設けられず神職が内閣の大臣になることもなく、御前会議にも神職の席はありませんでした。それだけではありません。大日本帝國には歴史に名を残すような影響力のある一人の神職の思想家もイデオローグもいませんでした。大日本帝國のイデオロギーは脱亜入欧、殖産興業、富国強兵により西欧列強の仲間入りし帝国主義戦争に勝ち抜いて「生存圏(Lebensraum) = 大東亜共栄圏」の植民地支配を拡大することに過ぎず、神道に基づく「八紘一宇」は内容のない空虚なスローガンでしかありませんでした。
結局のところ、明治維新も徳川時代に成立した政治優位の多宗教共存体制を大きく変わえることはなかったと言えます。幕末には討幕派、佐幕派の双方に様々な国学、復古神道にインスピレーションを得た世直し運動が現れました。後に明治の元勲となる伊藤博文、山縣有朋などを育てた吉田松陰は尊王攘夷を実践するために老中暗殺の陰謀に加担したため安政の大獄に連座し処刑されました(1859年)。しかし結局のところその松陰の門下生たちも、維新に成功すると、尊王攘夷の理念をかなぐり捨てて、西欧を模した近代国家を作り上げ富国強兵政策によって欧米列強の仲間入りし植民地支配を拡大していきました。
明治維新以降も日本人の心性の中では、政治優位の多宗教共存体制が続き、政治家を含めてというより、政治家を筆頭とした「普通の人たち」は、諸宗教はただ祭礼だけには世間様のお付き合いとして参加はしてもそれらの教義は綺麗ごとの建前として適当に聞き流し、本音ではこの世の行動については世間様の空気を読んで場当たり的に善悪の判断をした上でそこで許される範囲の「利」を求めて日常に埋没して「柔軟に」生きてきたのです。
このような文化の中では、宗教を実存的、主体的に生きようとする者は「空気を読まない(KYの)」異物として、みんなで「臭い物に蓋をする」、あるいは「腫れ物に触る」ように宗教の話題を避けてできるだけ近寄らず見て見ないふりをして距離をおかれ、世間様の我慢の限界を超えて目障りになるか、体制転覆を公然と企て権力者から危険とみなされるほどになると、有無を言わさず「片づけられ」てしまうことになります。
つまり宗教は世間様の利害調整のための方便、毒にも薬にもならない潤滑油のようなものとみなされ、そうした方便でしかない宗教の教義を真面目に信じ込んでこの世の利益を度外視するような教えを説く「純粋な人」は、虚構でしかない宗教を現実にしようと考える狂人(狂信者)であることになるわけです。そしてそのような教えを説く者に信奉者が集まるようになれば、それは狂人とその言葉を妄信する愚か者の集団、あるいは言葉巧みに愚か者たちを口車に乗せて洗脳しその精神と行動を支配し金を巻き上げる詐欺師の教祖と幹部たちがそれに騙された被害者を囲い込むための結社とみなされることになります。
こうした「徳川の平和」の中で培われ、現在に至るまで基本的に変わらない日本人の政治優位の多宗教共存体制の心性の詳しいメカニズムを知りたい方は、イザヤ・ベンダサン(山本七平)『日本教について』(1972年)、山本七平『空気の研究』(1977年)を是非お読みください。
ここまで書いて、やっと安倍暗殺事件の話に戻れます。
まず明治時代の「神道非宗教論」で既に問題になっていた通り、キリスト教と仏教と比べると神道は異質です。またここまで儒教を「宗教」の一つとして論じてきましたが、明治以降は儒者の伝統は残り日本軍国主義のイデオロギーに儒教は大きな影響を与え続けましたが、儒教は宗教とはみなされなくなります。宗教、学問、イデオロギーの境界は曖昧です。古学は宗教、歴史学、イデオロギーのアマルガムです。
現在に置き換えれば左翼のマルクス経済学、共産党、新左翼のセクト、右翼団体などにあたります。これらと宗教の境界もまた曖昧です。また神道や仏教は個人が主体的に選び、実存的に信を得るものではなく、家と共同体のものであると言いました。実は個人の選択による入信の西欧の宗教観のモデルとなるキリスト教でもイエスと弟子たちの第一世代はそうであっても次の世代にとっては宗教はその中に生まれ落ちたものでした。
特にローマ皇帝コンスタンティヌスのキリスト教入信と313年のミラノ勅令によるキリスト教公認以降は、西欧はキリスト教社会になり、事実上はキリスト教も神道のような共同体の宗教、一種の民族宗教になります。宗教社会学でいうところの「教会(Kirche/church)」とはそのような全体社会を構成する信徒共同体を指します。二世信者は宗教に普遍的な問題です。
■選挙における集票マシーンとして利用できるか否か
また宗教と政治の関係も、日本だけを考えても歴史を通観するならば、多種多様であったことがわかります。神話的な巫王であった天照大神の子孫とされる「血統カリスマ」天皇が排仏派を粛正し仏教を導入した例(丁未の乱)や、宗教指導者が武士に替わって教団国家を樹立しようとした一向一揆や島原の乱などもありました。
しかし「徳川の平和」以降は、政治優位の多宗教共存型が確立されました。そこでは宗教は権力に逆らわず、政治問題には口を出さず、現世利益を求める世間の価値観にも逆らわず、教義には深入りせず真理の探究は棚上げするようになります。信徒の善男善女は他の宗教、宗派の信徒とは争論せず、慣習に従って棲み分けそれぞれの祭礼に参加します。
世間の価値観が江戸時代の中華文明の周辺文明の封建的身分制なものから、大日本帝国の富国強兵の帝国主義・軍国主義、敗戦後の対米従属の資本主義、自由民主主義に替わっても、こうした日本人の宗教観は変わっていません。そして国内的に排外主義右翼化、保守化が進む一方で、対外的にはLGBT、SDGsなど欧米の流行への追随傾向も加速しつつある21世紀の日本人の宗教観もこの延長上にあります。
西欧の「政教分離(教会と国家の分離:separation of church and state)」を前提とする「世俗主義」とは大きく異なりますが、日本のこの宗教観も一種の「世俗主義」と言うことができます。「現実主義(プラグマティズム)」の一種と言った方が良いかもしれません。形而上学やイデオロギーも含む広い意味での宗教的理念を「漢意」、「さかしら心」、「言挙げ」として嫌う生理的な不信感、軽蔑と、「鰯の頭も信心から」の諺に表現されるような社会の潤滑油、精神安定剤的な効能がある限りにおいて認めても良い、といった「上から目線」の便宜主義的容認の組合せが江戸時代に育まれた日本的「世俗主義」「現実主義」の宗教観です。そしてこれは日本では所謂「一般庶民」だけでなく、政治家や学者にも共有されており、この宗教観を正しく自覚していなくては、安倍暗殺問題も正しく理解することはできません。
岸や安倍は、統一教会の宗教的側面は知っていながら、国際勝共連合との関係を日本の政治優位の多宗教共存体制の枠組で解釈し、宗教は政治の金集めの手段の口先だけの建前の空疎な言葉なのでどうでもよく、選挙における集票マシーンとして利用できるなら問題ないと考えて、反共や保守的家族観や愛国など自民党が気に入りそうなスローガンだけ見て利用しようとしたのでしょう。それは神道を中心に仏教や新興宗教の有力者が名を連ねる日本会議などとの関係においても同じものです。
身も蓋もない言い方をすれば、安倍は選挙における集票マシーンとして統一教会の政治的利用価値だけを考えていたのでしょう。奇しくも安倍暗殺と時を同じくして30年ぶりにその指導者が来日していた、見るからに「ヤバい」その分派「サンクチュアリー」の存在も含めて、宗教としてのその信者たちの「本気(ガチ)度」、活動の「危険性」、信者の親族たちへの「迷惑」を過小評価していた、要するに統一教会を「ナメて」いたために、白昼にSPの護衛の前で統一教会を恨む二世信者に殺される羽目に陥った、ということです。
しかし安倍の「油断」を責めるのは少し酷です。というのは、安倍だけではなく、自民党と統一教会の癒着は、ジャーナリストの有田芳生(参議院議員)のように統一教会について事件前から長年にわたって発信し続けている者もおり、知る人ぞ知る有名な話でしたが、事件後は「後出しじゃんけん」のように統一教会の悪行と自民党との癒着を言い立てるマスメディアも事件前には癒着批判のキャンペーンなどは行っておらず、有力な集票マシーンである宗教団体の一つである統一教会との関係を自粛するインセンティブは安倍にはなかったからです。
宗教団体と政治との癒着は政治優位の多宗教共存型の世俗社会である日本では取り立てて問題とするほどのスキャンダルではなく、有力な集票マシーンである宗教団体との関係によって見込まれる議席獲得のメリットを捨ててまで絶縁しようと思わなくとも不思議はありません。
ですから安倍暗殺の本当の問題は、統一教会のような「カルト教団」との交際を隠さなかった政治家としての「脇の甘さ」、「節操の無さ」といった個人的な資質ではありません。
つまり形而上学やイデオロギーを含む宗教的なものの理念を見下し、その「純粋な」信徒を常識的な現世の利害考量で生きる人々(世間)の「空気」を読まない「異物」とみなし、世間の我慢の限界を超えて目障りになるか、武力よる体制転覆を公然と企てでもしない限り、「臭い物に蓋をする」ように見て見ぬふりをする庶民から、政治家、ジャーナリスト、研究者にまで共通するマインドセットこそが真の問題なのです。
鏡での反転¶
鏡って左右は反転してるって認識するのに、上下は反転してるって認識しないの、なんでなん?
鏡が反転してるのは鏡と垂直方向の向き (direction) であって、人間が比較のために頭の中で180°回転を合成するために左右反転だと認識されるのですね。 直交変換群 O(n) は二つの連結成分を持ち、向き (orientation) を反転する変換は回転で繋げるからこのようなことができるのです。 左右反転も上下反転も前後反転も O(3) の中の同じ連結成分に含まれる(つまり SO(3) 内の道 = 時間連続的な回転で繋げる)という意味では同じだと思っていい訳ですが、重力のある環境下で左右と上下を区別している人間の感覚には合わないので違和感があるわけです。
数学的な事実と人間の日常的な感覚との差異に注目するのは楽しいですね👀
向き (direction) は分かりやすいけど、向き (orientation) はとても難しい概念です。
具体的な変換は次で与えられます https://twitter.com/taketo1024/status/1782116210920010187
xyz空間において、x方向を左右、y方向を前後、z方向を上下として、xz平面に関する鏡映は y → -y なる前後反転の変換に対応します。この変換に z軸に関する 180°回転を合成すると、x → -x なる変換が得られ、これが左右反転の変換です。 これで分かりますか?変換を行列で書けばより明確になります。
- 錯覚の原因→180°回転をしているから
- なぜ回転するのか→並べて比較する方が理解しやすいから
- なぜ鉛直方向の回転軸を選ぶか→我々の世界には重力があり、自分の身体やものを鉛直方向の軸に関して回す方が、水平方向の軸に関してに回すよりも慣れているから
これで説明になりますか?
これも行列を使うと分かりやすく記述できます。鏡が xz 平面にあるとすると、鏡映は対角行列で
diag[1, -1, 1]
と書ける。z軸に関する 180°回転は、
diag[-1, -1, 1]
で、二つを合成すると、
diag[-1, 1, 1]
となり、yz 平面に関する反転(左右反転)になる。線形代数便利でしょう。
「鏡は左右を反転する」と錯覚してしまう経験として、
- 鏡に映った文字が左右反転して見える
- 鏡の前で右手を挙げると、鏡の中の自分は左手を挙げる
があるかなと思いました。後者を理解するには「左右」とは「前後と上下に対する1次元の補空間の向き」だと理解する必要がありますね。
鏡はなぜ左右を反転させるのってことを延々考えてる人は前後が反転するからと言っても納得しない傾向がある
実は酔ってなかった「マタタビ反応」ネコの生態を研究する岩手大農学部教授・宮崎雅雄さん<ブレークスルー 2024>¶
◆ざっくりいうと
マタタビを与えられたネコがする不思議な反応は、蚊を避けるための行動だったことを突き止めた。
宮崎雅雄(みやざき・まさお) 神奈川県横須賀市出身。岩手大農学部卒業、同大学院連合農学研究科博士課程修了後、理化学研究所や東海大の研究員などを経て、2011年、母校の岩手大に特任准教授として着任。20年から現職。21年、マタタビ反応についての研究成果を米科学誌で発表した。動物の嗅覚研究に取り組み、企業との製品開発などにも取り組む。ネコよりイヌ派で、イヌの研究もしており、家ではイヌを5匹飼っている。
研究室で飼育しているネコ「セル」を抱く岩手大教授の宮崎雅雄さん。世界的な科学誌が名前の由来で、他に「サイエンス」など17匹のネコがいる=盛岡市の岩手大で
ネコにマタタビをあげると、転がったり葉をなめたりかんだり。日本では300年以上前から知られ、「マタタビ踊り」とも呼ばれるネコの不思議な反応で、その理由は「マタタビの匂いを嗅いで酔っぱらっているから」と考えられてきました。岩手大農学部教授の宮崎雅雄さん(49)=分子生体機能学=は、その定説に疑問を持ち、名古屋大との共同研究で本当の理由を明らかにしました。私たちにも身近で、暑くなるととにかく嫌われる、あの虫が関係していました。 (鈴木凜平)
◆好奇心で追究 含有物質に蚊よけの効果
-ネコを研究するようになったきっかけは。
動物が好きだったので、獣医師になろうと獣医学を学べる岩手大に進学しました。午前中は動物病院の診療を手伝っていましたが、午後は暇だったので好奇心でネコの尿を詳しく調べていました。2年生の時、健康なネコの尿からタンパク質が多く出てきたことを不思議に感じました。「タンパク尿は病気の兆候」というのは教科書にも書いていましたから。その後もさらに解析すると、未知のタンパク質だったことが分かり、「コーキシン」と名付けました。
-それからネコの研究を続けてきたのですね。
動物の生態に興味があったので研究者になり、一貫してネコをテーマにしてきました。2012年、共通の知人の紹介で、有機化学が専門の名古屋大の西川俊夫教授から「マタタビ反応」についてメールで問い合わせがありました。私も興味があったのですが、この反応に重要とされていた物質「マタタビラクトン」が入手しづらく、手を付けられていませんでした。そこで西川さんにマタタビラクトンを精製してもらい、共同研究でマタタビ反応の謎に迫ることにしました。
-マタタビ反応は、どんな理由で起きると考えられていたのでしょうか。
マタタビラクトンの香りを嗅ぐことで酔っぱらい、転がっているとされていました。しかし、この物質が特定されたのは60年以上前でした。そこで、当時は普及していなかった分析装置「液体クロマトグラフ」を使い、マタタビの成分を分離。ろ紙に染み込ませてネコに嗅がせる実験を繰り返して、強いマタタビ反応を示す物質を絞り込んでいったところ、マタタビラクトンより「ネペタラクトール」という物質に最も強く反応しました。
ネペタラクトールがマタタビに含まれていることも、マタタビ反応を引き起こしていたことも、世界初の発見でした。さらにネコはネペタラクトールを嗅ぐと、人が幸せを感じた時に脳内で分泌され、「幸せホルモン」と呼ばれる「エンドルフィン」も増えていました。
-ネコはネペタラクトールの香りで幸せを感じているのですか。
幸せかどうかはネコに聞いてみないと分かりませんが、私はそもそも、陶酔がマタタビ反応を引き起こすという定説が疑問でした。実は、マタタビ反応はライオンなどの大型のネコ科動物でも確認されています。ライオンとネコが分岐したのは1千万年以上前。単に酔っぱらって転がるだけの、生存に不可欠とは言えないような反応機構が、1千万年にわたって受け継がれてきたとは考えにくいのです。しかし、その理由はなかなかわからず、研究は行き詰まっていました。
-突破口は。
20年、動物行動学の世界的権威で知人の英リバプール大のジェーン・ハースト教授が来日した際、ネコのマタタビ反応について見解を聞くと「転がっているのではなく、マタタビの葉に体をこすり付けているのでは」とヒントをもらい、ハッとしました。オマキザルなども虫よけの目的で、体にかんきつ系の果物の皮を塗っていることが知られています。
そこでネペタラクトールを含んだろ紙を、床ではなく天井や壁に貼り付けると、ネコは転がらず、頭や顔をろ紙にこすり付けました。それから研究が一気に加速。ネペタラクトールは蚊よけの効果があり、さらにかむと効果が持続することや、依存性や毒性がないことも次々分かりました。ネコは、病原体である寄生虫を蚊が媒介する「フィラリア症」などにかかることがあり、最悪死に至ります。生存には不可欠で、本能的な行動として身に付いたのでしょう。
-ネコの面白さとは。
ミステリアスなところですね。こんなに身近にいるのに、分からないことがたくさんある。好奇心が尽きない。残された最大の謎は、なぜネコ科だけがマタタビ反応をするのか。これまでの研究成果は、いろんな人たちの縁があったおかげです。今後も全国の動物園を回って、研究を継続していきます。
<マタタビ> つる性の植物で、日本や中国などに分布している。1704年に出版された儒学者・貝原益軒の農業指南書「菜譜」では「猫このんで食す」と紹介され、江戸時代後期の浮世絵には、ネコがネズミの仕掛けたマタタビのわなにかかり、酔っぱらう様子が描かれている。
落ちる理想的な有質量ひも¶
実解析の問題の解き方の定石¶
実解析の問題の解き方の定石はテレンス・タオがまとめてるので参考になるかもしれない 245A: Problem solving strategies
コンパクト複素多様体の起源¶
可分なヒルベルト空間は有限次元でない限り全て非可算次元¶
かわいいのルール¶
オッサンだけどKindle版買ってみた。至極当然の内容が描かれていながら、「お前はこんなことも出来てないんだぞ」と毎ページ突きつけられる厳しい本。
依田純和, マルタ語¶
歴史に彩られた地中海の島国・マルタ共和国の「マルタ語」を日本語で学べる初の本格的教科書!
マルタ語は地中海中央部に浮かぶマルタ共和国の公用語である。マルタは現在ではヨーロッパ文化圏に属するが、マルタ語はかつてのイスラーム勢力とヨーロッパ勢力の角逐の歴史を反映し、口語アラビア語を基礎としながら、ロマンス系言語やフランス語、英語などの影響を重層的に受けてきたユニークな特徴を持つ。
本書は日本の学習者に向けて、文法を軸としてマルタ語を一から解説する。初学者がつまづきやすい音変化も丁寧に例示し、簡易的な辞書として使える単語帳も付属するなど、総合的にマルタ語の基礎固めができる本格的教科書。マルタ語話者による音声をダウンロード方式により収録する。
松田修, 方程式のガロア群(その具体的な計算法)¶
川平 将志「アノマリーの数学的基礎から現象論的応用まで」素粒子論研究・電子版 Vol. 42 (2024) No. 4¶
これは非常によく書けた修論でした。量子異常のモダンな観点を日本語で学びたい人に一読をお勧めできます。 https://twitter.com/sokened/status/1780545581565526078
【新着記事】 川平 将志 「アノマリーの数学的基礎から現象論的応用まで」 素粒子論研究・電子版 Vol. 42 (2024) No. 4 https://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~soken.editorial/sokendenshi/vol42/sokendenshi_2024_42_4.html
概要 場の量子論の非摂動効果を解析することは,様々な現象の理解に繋がるため,現代物理学における重要なテーマの 1 つである.特に本修士論文では非摂動効果の解析の主たるツールの 1 つであるアノマリー(Anomaly)という現象について最近の進展をまとめた. アノマリーの歴史は古いが,近年様々な概念的進歩があり,その結果 d 次元アノマリーは d+2 次ボルディズム群の Anderson 双対 (IZΩ)d+2 と対応することがわかった. [Anomaly]d=(IZΩ)d+2 この関係を用いることで,あらゆるアノマリーについて系統的に取り扱うことが可能になり,近年続々と新しい知見が得られている.また,過去に知られていた事実についても,この対応関係を用いることで非自明な点が存在することも判明した. 本修士論文では [Anomaly]d=(IZΩ)d+2 を導入した後,具体的にあらゆる物理現象に応用することで,過去の議論が再現されることや,その議論に見逃されてきた非自明な点が存在することを示す.特に標準模型の非摂動的なゲージ・アノマリー相殺については非自明な事実があり,Steenrod代数を用いること明瞭に理解できることを説明する. キーワード 非摂動アノマリー、グローバルアノマリー、ボルディズム群
Murphyの講義ノート¶
Murphy さんすごい.調和解析だけじゃなく,実解析,複素解析,偏微分方程式,医療画像解析 etc の教科書が全部置いてあるよ.英語ができれば教科書には困らないなぁ. Teaching/Lecture Notes と辿ってみてください. https://web.mst.edu/~jcmcfd/
ほんの少し覗いただけだけど,とても良さそうに思われる.↓ ちなみに Carleson の定理は Th 2.4.5. この本の書き方,おもしろいよ.Prop. 2.4.1 なんて絶望感を与えてくれるけど,その直後のコメントなんかは秀逸. Jason Murphy, A Course in Harmonic Analysis
福沢諭吉という人類の敵¶
今回の事案により創立者福澤諭吉氏の裏の顔まで掘られて白日の下にさらけ出されているのには笑ってしまいましたが、つい先日も会社には法人としてのカルマのようなものがあるはずと書きましたけど、多分大学にも法人としてのカルマがあるんだろうし、今回はそれがたまたま炸裂しただけだと思います。
谷村省吾先生のこちらのスレは福沢諭吉イズムを知るうえで非常に参考になりますので、念のためこちらにも繋げておきましょう。 https://twitter.com/tani6s/status/1781230163948384303
これこそが福沢諭吉氏の思想の真髄であり、彼の創立した慶應義塾の中心となる理念でもある訳ですから、今の学長があのような声明を出すのは、おかしな話どころか極めて自然なことだろうと思うんですよね。多分これが慶應義塾大学の法人としてのカルマなんだろうと思います。
引用3)したがって、「社会」にとって最も恐ろしいのは「貧にして智ある者」である。そういう青年を生み出さぬためには、大学はすべて私学にして、「授業料を多くし、もっぱら富豪の子弟を教うるの門」とすべきだとくり返し主張しているのです。
確かに、一人の人間にはいろんな側面がありますからね。既に亡くなった人のことをあれこれ言っても仕方がないというのはその通りだと思うんですが、現在の学長が何を言ってるのか、またそれに創立者の理念がどのように影響を及ぼしているのかについては注意深く観察する必要があるだろうと思います。
安川 寿之輔 著『福沢諭吉の教育論と女性論』 担当編集者 梅田正己による紹介文: https://koubunken.co.jp/book/b201997.html
引用1)教育論においては、慶應義塾大学の創立者で経営者だった福沢は、大学教育は国立は廃止して、すべて私学に委ねるべきだというのが持論でした。
引用2)理由は、国立にして授業料を安くすれば、貧しくても知能の高い若者が大学に来て知識を習得する。いまヨーロッパでは社会主義運動が燃え上がっているが、その先頭に立っているのが、貧しいが知力のある青年たちである。
引用3)したがって、「社会」にとって最も恐ろしいのは「貧にして智ある者」である。そういう青年を生み出さぬためには、大学はすべて私学にして、「授業料を多くし、もっぱら富豪の子弟を教うるの門」とすべきだとくり返し主張しているのです。
引用4)女性観はどうか。これは福沢自身の子どもたちの扱いを見れば一目瞭然です。福沢は四人の息子全員をアメリカに留学させていますが、同じく四人の娘たちには学校の寄宿舎に入ることまで禁じたのです。男女差別は明瞭です。
2024-04-13 本のクラウドファンディングに対するコメント募集/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.
- 雑多な状態メモ
- 本のクラウドファンディングに対するコメント募集
- 自己共役性と自己共役拡大の物理
- 人間が絡む難しさ: 筋トレ
- 田崎晴明さんの論文: 温度が均一な状態への緩和
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
雑多な状態メモ¶
量子情報入門のノートがざっと作れました. 以前も紹介した『量子情報科学入門』を一度通し読みしただけで全く詰め切れてはいませんが, なかなかよい勉強になりました.
勉強会で実際に詰めてやっている第四章「量子情報理論の基礎」は量子力学の基礎でもあり, 有限次元の線型代数の復習+量子情報から見た量子力学の定式化に対してよくまとまっていておすすめです. 付録Aとして線型代数の基礎がまとまっています. 相対性理論・量子力学は物理に興味がある人にとって二大勉強してみたい分野で, どちらも一定以上の線型代数が必要です. 大事なのがわかっていたとしても数学の本の勉強ばかりでは気分が乗らない人も多いでしょう.
特に工学での線型代数の応用となると必ずしも数学科・教養の線型代数でカバーしきれないものの, 相対性理論・量子力学は教養の線型代数・数学科の線型代数が直接役立ちます. 物理に興味があって線型代数の勉強の動機づけに悩んでいる人は, ぜひ読んでみてください.
モース理論のノートもちょびちょび見直しています. 多様体上にモース関数は大量にあり, この凄まじく大量にある個別のモース関数の臨界点が多様体の位相の情報を持っているという凄まじい理論で, 本当に何なのかとびっくりします.
ちょうど今日, 量子情報のノート作り一周目が終わったため, 次に何を読もうかと思っています. 読みかけの「層とホモロジー代数」を読み切りたいと思いつつ, 層とホモロジー代数の具体例で遊ぶために佐藤超関数にするかとも思っています. イジング模型も勉強したいし, Leanなどのプログラミングもやりたいし, 一日380時間くらいほしいです.
本のクラウドファンディングに対するコメント募集¶
結論から言えば節タイトル通り, (肯定的な)(応援)コメントを書いてくれる方を募集します. https://camp-fire.jp/projects/view/736890の「ユーザーの声」にあるような応援コメントです.
ulearnという会社がデジタル書籍出版に関していろいろやりはじめていて, 近々ローンチするそうです. 以前書いた中高数学の応用に関するコンテンツ, 特に役に立つ中高数学 中高数学お散歩コースに関連してこれを提供してもらえないかと相談を受け, その中で「海外含めてこういうことをしている会社(ManningのMEAP)もあって, そういう方向性の出版サポートもあると助かるのでは」という話をしたら, 実際にクラウドファンディングを軸にする方向にしたそうです.
それで私にもクラウドファンディング的な方向で何かしてもらえないかと言われ, 実際に図の挿入を含めて編集を入れた, 本としての体裁を整える方向で何かしてもらえないかとのことで, 試しに編集と図を簡単に入れたサンプルを作ってもらえました. やはり図が入ったり編集が入るととてもとっつきやすい感じになってさすがプロの編集の仕事は違うと感心しました. これを完成させるためにクラウドファンディングを実際にやってみようと思います. このプロジェクト説明ページを作る上で応援コメントが取れるなら取った方がよく, メルマガなどで応募したらどうかと言われたため, 協力して頂ける方を募集しています. 以前はコンテンツのアンケートも取っていたためそこからも取ろうと思いますが, 改めてきちんと一定のボリュームのコメントを頂けないかと考えています.
これはまだ書いている途中で追記・修正含めてもっと詰めます. 上記ページの「TODO 応援コメント」のところにコメントを入れようと思っています. このページの「ありがたいコメントの数々」にあるような数十字程度のコメントもいいのですが, 数百文字程度の少しまとまったコメントが頂けるとありがたいです.
自己共役性と自己共役拡大の物理¶
Twitter(自称X)で最近話題になった近藤本など割と本格的に物理でもエルミート性と自己共役性をきちんと区別する機運があるようです. 前にも書いたかもしれませんが, 改めて物理的な意義をいくつかまとめようと思います. 数学的にはさらに微妙な点があるからとは思うものの, 現時点で田崎さんの演算子の定義域と自己共役性にも書いていないように思います. きちんと説明しきるのは大変なため, この文章に書いてある内容を前提にし, 用語としては上記PDFにも引用されている新井・江沢の『量子力学の数学的構造』の用語を利用します. 結論から言えば次の通りです.
- 適当に定義域を制限したときの作用素のエルミート性はほぼ自明である.
- 自己共役性を保証するためには適当な意味で定義域を拡大する必要があり, これに応じて作用素の拡大に関わる厄介な数学的現象が起きる.
- 特に, 一般に定義域ごとに別の自己共役拡大, つまり別の自己共役作用素が対応する.
- 定義域は境界条件を含み, 境界条件は物理的な現象の設定と密接に関わるため, 自己共役拡大の多様性は境界条件が決める物理と直接関わる数学的現象である.
- 特に自己共役性と物理には直接的な関係がある.
まず数学的に言うと, たいていのハミルトニアンや, 自己共役であるべき物理的に重要な作用素のエルミート性・対称性は自明と言っても問題ありません. 対称作用素は閉拡大できるため閉対称性まで自明です. 以下面倒なため併記せず単にエルミート性と呼びます.
自己共役性の議論では上記文献にもあるように定義域が問題です. たいていは作用素を適当に制限した定義域でのエルミート性を確認します. ここで適当に制限した定義域として典型的なのは「コンパクト台を持つ無限階微分可能な関数全体がなす線型空間$F$」が選ばれます. 直観的には「コンパクト台を持つ」は「境界で0」と読み替えてください. 標語的に言えばエルミート性が簡単に確認できるのはディリクレ境界条件です.
微分方程式の議論では初期条件と境界条件が重要です. ここでは基底状態(平衡状態)しか議論しないため, 考えるべきは時間発展が死んだ状況で初期条件は気にする必要がなく, 重要なのは境界条件です.
境界条件の設定の重要性に対して, 念のため高校の物理の例を挙げます. 振動・波動の分野で固定端・自由端の波に対する定常波の問題があります. 単純に糸の振動で実験すればすぐわかるように, 固定端か自由端かで定常波の様子は全く違います. 固定端・自由端はまさに波動方程式に対する境界条件で, 境界条件が現象に直結する様子が見えます. 定常波は波動方程式の時間変化項が死んだ状態, つまりラプラシアンの固有関数として得られ, 数学的にはラプラシアンの境界値問題と, それに付随する固有値・固有関数の議論に帰着します. ここで固有値は振動数または波長に関係します. 特に境界条件が変わると固有値・固有関数という量子力学で重要な対象にもはねる様子が具体的に見える点が重要です.
一般に量子力学のハミルトニアンでも同じです. ふつうハミルトニアンは運動量作用素を含むため, これを明確に微分作用素と捉えば微分方程式・境界値問題と固有値問題が直結します. 先の振動・波動を考えればすぐわかるように境界値ごとに現象が変わります.
コンパクト台を持つ関数は実際には「境界から少し遠いところでべったり0」の関数です. さらに上記の$F$は一般にヒルベルト空間の部分空間で, もう少し定義域を拡張する必要があります. この定義域の拡張と合わせて境界条件を設定する必要があり, 境界条件が設定された上での定義域の拡張ごとに作用素の拡張が定義されます. この自己共役拡大は物理的な境界条件ごとに別の拡張が定まるべきで, 特に空間$F$上のハミルトニアンに対して, 非可算個ありうる境界条件に対して非可算の自己共役拡大が存在します.
この議論は数学的にはnotorious domain problemと呼ばれるほど厄介で有名な問題である一方, 数学が確かに物理現象を記述できるなら当然満たすべき性質です. この面白さは私が数学方面に進んだ理由の一つでもある一方, 物理の人はもちろん数学・数理物理の人もあまり言及しない議論であるため, 改めて紹介しました.
人間が絡む難しさ: 筋トレ¶
先週末, 柔道の稽古中に骨折(ひび)してしまったため, この一週間は何もできていないのですが, 去年柔道を再開してから改めて筋トレしています. 何度も書いている話ではあるものの, やはり面白いので何度でも書こうと思います.
筋トレ関係はいろいろな人がいろいろなことを言います. 生物・医学系の話題は体質やら何やらで恐ろしく多様性があり, ある人にとって良い方法が極端なくらい他の人には不適切な場合があります. 数学や物理でも勉強法のような形で多様性があるものの, 事実それ自体に関してはかなり固いためなかなか大変です.
そうは言いつつある程度までは物理実験の趣もあり, 実験と関係する試行錯誤が非常に楽しいです. プログラミングを含めて具体例の検証といった意味での実験は数学でも日々取り組んでいますが, 実験はいいですね.
田崎晴明さんの論文: 温度が均一な状態への緩和¶
学習院大学田崎晴明教授一人だけの研究グループは、一次元固体を模した単純な量子多体系モデルにおいて、全エネルギーがほぼ一定で温度の不均一な任意の状態が長時間の後に温度の均一な状態に緩和するという驚くべかない現象が生じることを未証明の仮定を用いず証明しました。 https://arxiv.org/abs/2404.04533 この研究成果は熱いコーヒーを部屋に置いて冷ますなど様々な応用につながることが期待されます。 モデルと解析の詳細は『熱は高温から低温に流れる』という題のノートにまとめられ、arXiv で公開されました。
まだ読めていないのですがメモを込めてシェア. 非平衡状態では温度の定義自体が非自明なため, それに関する処理やどこまでが前提になっているかなど楽しみです.
メモ¶
フラクタル構造と数論¶
佐野薫さん・竹平航平さんと共著論文を書きました! 画像はマンデルブロ集合というフラクタルの代表例ですが、このようなフラクタル構造を数論の立場から研究しました! 以下で研究内容を詳しく述べてみます。 この研究では f(z) = z²+c など様々な多項式の周期点を考えます。周期点というのは、
アルティメット限界ラーメン¶
アルティメット限界ラーメン
水に醤油や味の素を加えるだけで作るラーメンを"限界ラーメン"と呼ぶ
それをさらに超えた簡単さで、お店レベルのラーメンを作る術が爆誕してしまった…
味の素の「休日だし。」ほたて貝柱だし、が凄まじく美味かったので、コレだけで限界ラーメンを作りたくなった
まず、休日だし。だけでラーメンを作るための計算式を作ってみた
<ラーメンスープに必要な塩分濃度>
- ラーメンの塩分濃度1.2%
- ラーメンスープ350g×1.2%=4.2g
- →4.2gの塩分が必要
<休日だし。の使用量>
- 休日だし。→塩分濃度は2.1g / 1包中
- 休日だし。12g(2包)→塩分4.2g
<スープに必要な休日だし。の量>
- 休日だし。12g+水350g=塩分濃度1.2%
- →ラーメンスープの味!
そして…コレがアルティメット限界ラーメンのレシピだ!!
【材料】 . - 水 350ml - 休日だし。:ほたて貝柱だし 2包 - 油(オリーブオイルがベスト) 約小さじ1 - 麺 1玉 - ネギ 好みの量
【作り方】
- ①水にほたて貝柱だし2包、油を入れて沸騰させる
- ②麺を茹でる
- ③丼にスープ&麺を入れてネギを乗せる
- 完成
コレ、マジでヤバい… 僕はラーメン屋として自信をもってお店レベルの味だと断言できる
休日だし。のほたて貝柱だしは本物の干貝柱がちゃんと入ってるから、旨味と風味がかなり自然 一口スープを啜って、マジで驚いた うますぎる… うちのスタッフ(元塩ラーメン屋店長)もかなり驚いてた… 絶対試して
『圏論による論理学 高階論理とトポス』清水 義夫(東京大学出版会)¶
『圏論による論理学 高階論理とトポス』清水 義夫(東京大学出版会) 関数概念を基本として現象をとらえようというこの方法を,関数型高階論理とトポスを題材にして丁寧に解説する.論理学の観点を中心に,圏論の考え方を紹介するテキスト.
鴨浩靖さんによるユークリッド原論へのコメント¶
-URL
ユークリッド原論がいうほど論理的にかちっとした本ではないことは19世紀後半には常識に近くなっていて、数々の改良案が出ていたようです。ドジソン(ルイス・キャロル)『ユークリッドと彼の現代のライバルたち』を読めばその辺りの詳細がわかるのかな。 https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7031.html ユークリッド原論の瑕の修復作業の集大成といえるのが、ヒルベルト『幾何学基礎論』です。原論にあった論理の飛躍はすべて消えています。ただし、瑕を修復できることを示しただけで、そこで示されている体系は研究対象としては不便なものです。https://chikumashobo.co.jp/product/9784480089533/
ヒルベルト『幾何学基礎論』の不便なところその1: 二次元では点と直線が、三次元では点と直線と平面が無定義語で、次元を上げるごとに無定義語を増やす必要がある。
ヒルベルト『幾何学基礎論』の不便なところその2: 直線は無定義語だが線分と半直線は点の集合なので、線形な図形を統一的に扱うには無定義語の直線とは別に点の集合としての直線が必要になる。
タルスキーによるユークリッド幾何の公理化には、ヒルベルトのものにある不便はありません。実質的には線分も基本概念ですが、形式的には点に関する述語のみからなっています。次元を上げることも次元公理を替えるだけでできます。 残念なことは、タルスキーによる公理化から始めるユークリッド幾何の公理的構成の教科書がまだないことです。誰か書いてください。
横浜ガンダムと富野由悠季のコメント¶
横浜ガンダム、出口に用意した文章がコレって所にやっぱりこう、富野由悠季という男の真骨頂がありますよね。
書き起こし¶
見に来てくださってありがとう
今日、実物大のガンダムを見に来てくださって、「あれ、歩かないのか、つまんないな」と思った君には、心からごめんなさい、とあやまります。 本当は、この大きさで歩くガンダムを造りたかったのですが、おじさんたちができることは、ここで見られる以上には動かせなかったのです。 本当にごめんなさい。
数年前に頭だけ動くガンダムを造ってみて、もっと動かせるだろうと思ったおじさんやおばさんたちがいっぱい、いました。 それでビルなどを作るときに使われる建設用の機械を作っている人たちや、二本足歩行のロボットを作っている人たちとも相談しました。どこまで動かせるのか、と考えたのです。そして、分かったことがあります。歩かせようとすると足の裏を地面から浮かせなければならないのですが、ガンダムの大きさでは歩かせることができないということだったのです。歩くロボットが作れるようになったのに、なんでできないの?と不思議に思ったでしょうが、人の大きさならできるのですが、ガンダムの大きさでは、片方の足が地面から浮いている時間が長すぎるので、倒れてしまうのです。
そして、実際の大きさのガンダムができる"動かし方"を研究した結果が、ここで皆さん方が見ることができる"動き"なのです。
こんな動きしか、させられない、というのには、理由があります。 物が地面に落ちるのは、地球に重力というものがあって、それに引っ張られているからです。これを防ぐ方法はありません。 逆に考えれば、テーブルの上にコップを置いておけるのは、重力があるからです。 スカイツリーのような高い塔は、倒れないだけの強い鉄骨の材料を組み合わせて、強風にも地震にも負けないように頑丈に作られています。塔の足元はとても頑丈な足場で、地面のなかに埋まっています。そのために、絶対に動かすことができません。
大型のトレーラーは動きますが、車輪を使って地面から浮かないようにして、さらに、タイヤを使うことで、振動が車体に伝わらないようにして、荷台に乗っている荷物がゆれないように工夫されています。
ガンダムは人の形をしていますから、動くのなら"歩く"ということになりますが、足の裏が地面から浮いてしまう時間が長いのが欠点になって、動かすことができないのです。
ごめんなさいと言わせてください
もちろん、足の裏に地面との距離を測るセンサーや、全体のバランスを知らせるジャイロスコープといった機械を取り付けて、それらのデーターをコンピューターに集めて、体の向きや傾きを修正させるように各部のモーターを動かしてバランスを取ることができるのですが、ガンダムの大きさでは、とてもとても難しいのです。 もっと軽い材料やもっと優れた機械があれば、とも考えましたが、現在、建造できる動くものは、ここまでのものしか出来なかったのです。 なによりも、ガンダムの高さの大きさのものを"乗り物"と認めてくれる法律がなくて、"建造物の法律"にしたがって造る必要があったので、絶対に倒れてはならないものを造る必要があったのです。 ですから、整備塔のようなものの一部としてのガンダム、にしなければならなかったのです。
二本足で歩かせることができなかったので、悔しいと思っています。ですから、君たちにお願いしたいことがあります。 もっと乗り物として動かしたいと思う人は、このガンダムを見上げて、解決しなければならない問題がいっぱいあるのだ、という想像をして、その解決策を考え出してほしいのです。でも、今回、ここまでしか動けないガンダムですが、 建設に関係したスタッフはみんなで、造って良かったと思っています。 なぜなら、これだけの大きさの人の形が、ゆっくりしか動けないのですが、そのゆっくりさがとても似合っていて、やさしいなぁ、と感じているのです。 本当は、アニメのように早く動くとか、スポーツ選手のように格好良く動いて欲しかったのですが、それだけでない "優しいガンダム"を見上げられることができて、ちょっと幸せな気持ちになっています。 これは、造ってみるまでは、誰も想像できなかったことなのですが、それはそれで、楽しいことだと思っていますので、楽しんで下さいとお願いします。 本当に、今日は、 見に来てくださって、ありがとうございます。
機動戦士ガンダム 原作者
富野由悠季 でした。
2020年12月19日
環から位相を作る¶
クロハゲワシと天狗¶
アカデミック英語とEverything You Need to Ace¶
アカデミック英語を身につけるには英語圏の中高レベルの教科書がベスト。Everything You Need to AceにはGeometryやBiologyを含め、高校生用の教材もある。ただ、中学と比べ格段と難しくなってるので中学から始めることをオススメしたい。
かわいいのルール¶
オッサンだけどKindle版買ってみた。至極当然の内容が描かれていながら、「お前はこんなことも出来てないんだぞ」と毎ページ突きつけられる厳しい本。
岩波ジュニア新書を読もう¶
【お願い】 岩波ジュニア新書を読んで!!! 岩波ジュニア新書を読んで!!! 岩波ジュニア新書を読んで!!!
『砂糖の世界史』以外にも!!
絶版本の中にもめちゃくちゃ面白い本があるよ!!
読んでみてね😂
早水桃子 講義録¶
開成中学・高校の数学特別セミナーで私が昨年講義したときの講義録が公開されました👩🏫開成の数学科教諭の穂坂秀昭先生が私の雑談や講義を全て文字起こしして読みやすくまとめ上げてくださった超大作です😮穂坂先生ありがとうございました! ▼リンク先の一番下のPDFです📃✨ https://kaiseigakuen.jp/about/contents/feature/mathematics/
アーノルド: 五次方程式と正20面体,そして楕円曲線¶
アーノルドが5次方程式の不可解性の証明を高校生に向けて講義してたらしい.ロジャーズ・ラマヌジャン連分数はじめ,j不変量,不変式論など総登場で楽しめる. 附録は楕円函数による5次方程式の解法の5ステップアルゴリズム.
次の本が参考になるかと思います:
ナースの有給消化¶
ナースが退職時に有給消化できないあるある。Xに病院名バンバン晒して欲しいよね
厚労省のHPから匿名で通報できるから、みんなバンバン通報した方がいい。私は以前に通報して、後日職場に是正勧告が入ったよ。 https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/roudoukijun_getmail
You Don't Need AWS ~お前にAWSは必要ない~¶
ちいかわにおいて鳥が飛ぶのはキャラが死んだ時¶
このファンアートの意味するところを理解できてしまって、西洋絵画における羊とか鏡とか髑髏とかそう言ったシンボルを知ってるとより深く知れるみたいな話を思い出した
「ちいかわにおいて鳥が飛ぶのはキャラが死んだ時」らしい これこれこれ これだよ西洋絵画鑑賞のいいところって
2024-03-10 高校物理は本当によい/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.
- 非有界作用素の代数
- 高校物理は本当に良い
- 量子情報を詰めたい
- 広義一様収束のための関数論
- 英会話のための英作文学習
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
非有界作用素の代数¶
これらのことを考慮した場合,場の量子論の数学的構造を研究するにあたっては,あらかじめ表現を特定しない方法が有効になる可能性がある. このアイデアは,$C^$代数やvonNeumann代数を用いる代数的アプローチによって展開された[14]. $C^$代数やvonNeuma代数は有界演算子の代数として表現される. しかし,ハミルトニアンや量子場は一般には有界演算子であるとは限らない. そこで,非有界演算子の代数を直接扱うことも考えられてしかるべきである. この方向の研究はSckmtidgen[34]を中心にして展開された.
作用素環論は非有界な作用素も有界作用素で近似できるようにノルム位相じゃない弱い位相を考えるわけなので、その説明はおかしいでしょ(´・ω・`)
意図がよくわからないのですが、適当な弱い位相にしても有界作用素で非有界作用素を近似できるというのはどの程度の意味でしょうか。
これを読んでそんな気がしたんですが、これは有界作用素を近似する話でそんなことは書いてないので、何を読んだんでしょうね…(´・ω・`)
あまり興味ないと思いますが、 元のツイートでの話として非有界作用素がなす代数として実際に研究されている(いた)例に例えばO*-algebraなどがあります。 $e^{itH}$の形の有界化だとCCRといってもアハロノフ-ボームなり何なりでちょっと嫌な問題があるため、有界化したくない動機が(数理)物理的にはあります。 指数関数ではなくレゾルベントを使った手法もあるにはあって https://core.ac.uk/download/pdf/82235866.pdf が私が知る限り初めての論文です。 これを使って(自由場の)BECを試しに考えてみた https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/251612/1/2089-13.pdf のもあります。 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mana.19951720113 非有界版のO*だと冨田竹崎が議論できるらしく、学生時代に読もうと思って挫折した記憶だけがあります。 この著者の人、場の量子論の数理に向けて汎関数微分方程式を議論しようとしていたり、なかなか趣味が奇特な人だという遠い記憶があります。
冨田-竹崎理論は本当に好きな理論で, 非有界版の冨田-竹崎理論はいまでも興味があります.
冨田-竹崎理論はBratteli-Robinsonで巡回ベクトルの存在下での議論しかしたことがなく, 場の量子論の散乱理論で荷重を使うようで, 荷重に対するフルの冨田-竹崎理論をきっちりやりたいとは今も思っています.
冨田-竹崎理論は本当に面白いので, 興味がある人はぜひ勉強してみてください. 量子統計から見ても場の量子論から見ても直接的に物理といろいろな関係があるため, 遊び倒せる要素しかありません.
高校物理は本当に良い¶
高校の物理の教科書って馴染みのある現象に対して、一見現象論的法則を紹介しつつ、その法則の適用範囲が非常に広いものだと暗に仮定しながら微積の背景にあるような変化量の計算を念頭に置きながら、高校生時点で可能な計算を貼り付け合わせて、それらしく演繹を行うかなりの芸術品だと思ってる。 芸術品としてはすごいのだが、その凄さゆえに誰も真には消化できない何かになってて、どの学校に行っても易く消化できるようにコンテンツが改変されざるを得ないのが現状なんだろうなと。すなわち、敢えて微積を使って諸々の定理の枠組みにいろんな結果を落とし込むか、そもそも理論性を諦めるか。 こういうことを考えるとどの学校に行くのかで何を教えるかを変えていくことを認めることになるんだけど、激しく分けちゃうと求めている教え方をしてくれない環境に入った人に不幸な世界になるのでそれもそれで悩ましいところ。 物理教えるのも難しいよ。
僕の高校物理に対する見方も、これとかなり近い。あれは良くできている。
高校物理の良さを一点にまとめると「依存パッケージを最小限にする構成」と要約できると思う。あれだけ広範囲の事象に対し、高1程度の数学だけ使って、「物理」を失わず定量的に議論できるのは、まさに芸術だよなぁと思う。
たびたび同じことを書いとるな。繋げとこう
これは思う。「微分方程式こそが力学の本質だ!」みたいな立場が目立つけど、僕はむしろ「何がどう動くのか分かる」ことが重要だと思ってる。そして自然界に普遍的に存在する逆2乗則の状況は、微分方程式まで遡らずにそこそこ議論できて、そのミニマルな自然感を植え付ける上で高校物理はよくできてる
なんか大学一二年の頃は高校物理クソやと思ってたけど、歳を取ると「最小のツールで本質をえぐり出すような理論構成」の意義が分かってきた。そういう立場で周りを見渡すと、高校物理や高校数学は本当に良くできてて、そうして作った(専門家以外を対象とする)理論ミニマムには、極めて大きな価値がある
高校数学・高校物理・高校化学は本当によくできてて、十分な存在意義がある。大学1,2年生あたりが「高校の数学/物理/化学はクソ」などと言いがちだが、それは若すぎでございますね。ああいう「習得するための必要知識が少ない閉じた有効理論」の価値が分からんようではマダマダよ
この世界のダイナミクスはどうしようもなくコテコテの微分方程式なので、なにか理論を作ると何でもかんでも微分方程式になってしまう。それでは辛いので、対象を限定して微積分を隠蔽し、初等的な関数の加減乗除で閉じた簡単な理論が欲しくなる。その成功例が高校物理の教科書なのだろう。抽象化だわな
解答略さんは
- 依存パッケージが少なく、独立して動く
- 必要最小限のコード量・内容量
- そこそこ広いユースケース
みたいなのを好む。ソフトウェアに限らず、様々な分野の良い教科書や、高校物理、高校数学などもこれに該当する。
これに関して私は高校物理に非常に肯定的です.
高校物理、どちらかといえば手元にある最小限の道具だけで無理やり全てを処理している点で大学の物理と大して変わらないという気分があるが、自称物理の人たちはそんなに色々数学がわかっていてできるつもりでいるの?
高校物理の数学的記述が気に食わない各位、文句を言っている暇があったらもっと物理に役立つ線型代数でも勉強していればいいのに、くらいの気分がある。 もっと言えばファラデーよろしく、数学がなくても何とかなる人類史に残る実験の提案でも考えていてほしい。もっと物理に時間を割いてほしい。
私が大学院で志した内容自体, 物理のために現代数学では足りない部分をゴリゴリに詰めて, 必要なら数学を作るというスタンスで挑んでいて, 大学に行けば道具が調達できるか, 道具を自作しなければならないかくらいで高校物理と大学物理にあまり感覚的な違いがありません.
量子情報を詰めたい¶
以前も紹介した量子情報科学入門, 線型代数学習補助として勉強会で第四章を進めていてもう少しで終わりそうです. 非常によいです. それとは別にとにかく読み進めてノートを整備していて, あと少しで付録を除いて最後まで読み終わります.
時々「学部低学年で線型代数をもっと勉強しておけばよかった」という話を目にします. ただし線型代数は恐ろしく多種多彩で, 教養の線型代数ではカバーされない応用的な話題はたくさんあります. 例えば統計学や工学系・数値計算では特異値分解などの話題がありますが, これは教養の数学ではまず触れられないでしょう.
こうした話題を勉強したいならあまり役に立ちませんが, 教養の線型代数を勉強したいなら量子情報の勉強はとても役に立ちます. 上掲書で言えばまさに第四章の内容です.
対角化の抽象化にあたるスペクトル分解がいたるところで使われています. 教養の線型代数がわかっていれば何ということはない一方, わかっていないといたるところで躓くでしょう. もっと一般に物理が勉強したい人にとっても役立ちますし, 何より量子力学を勉強してみたい人には直接的に役立ちます. 巻末付録の線型代数も知識の総ざらいにはちょうどいいでしょう. お勧めです.
勉強会つき通信講座もそろそろ再開しようかと思っています.
広義一様収束のための関数論¶
教養の微分積分で各点収束と一様収束の話がよく出てきます. 数学科でもない限り知らなくてもほぼ困らないでしょう. それはそれとして一様収束のご利益を知りたい人はぜひ一変数関数論を勉強してください. モレラの定理と(リーマン)積分の(広義)一様収束に対する極限交換のおかげで, 正則関数列の広義一様収束極限は正則です.
一般に微分可能な関数列であっても一様収束極限は連続にしかなりません. しかしモレラの定理によって正則関数列の一様収束極限は正則です. さらにモレラの定理は(適当な追加設定のもとで)任意の閉曲線上で成り立ち, これが広義一様収束にまで収束がゆるめられる理由になっています. この事情がいたるところで使われるため, 関数論を勉強すると広義一様収束の使い出のよさがよくわかります.
英会話のための英作文学習¶
前回書いたように改めて英会話, 特にスピーキングのための英作文を勉強中です.
日記をつけてみるとかいろいろ言われますが, 結局困っているのはいい感じの日本語文を作るのが大変です. そこで大学受験の英作文系教材を買ってきました. 日本語でよくある, しかしなかなか訳しにくい程よい日本語がたくさん載っています.
ただ解答案の英語がいろいろな点でよろしくないです. 例えば次のような理由があります.
- いかにも日本人が書いたような英語でまわりくどい.
- 受験生の不安を解消させるためか, 全ての単語をうまいこと訳文に盛り込もうとしてくどい. 例えば「本当にすごい」という文にいちいち really を入れる. なるべく簡潔な英語にしたいため無くても通じる単語はバリバリ削りたい.
- 一文一文が長い. 特に関係代名詞を使った複雑な文を書きがちで, こんな文は英会話素人が口頭でさっと作れない.
とにかく英語が気に入らないため, DeepLやChatGPTも併用して口頭でさっと言えるような形に書き換えて, それで勉強を進めています. いま次のページで実際に練習しているのを公開しています. 興味がある方はぜひ使ってください.
英語以外は試しに一緒にChatGPTで生成してみて突っ込んだだけで, 内容は全く確認できていません. これは私が所属している語学・言語学のコミュニティ向けの試作です.
2024-03-03 筋トレの感覚で柔軟性を上げる/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.
- 筋トレの感覚で柔軟性を上げる
- モース理論の本を一通り読み終えた
- 改めて英語のスピーキングを学習再開
- 定理証明手習いを読みたい
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
筋トレの感覚で柔軟性を上げる¶
(世間的な意味で)コロナ禍が明けてから柔道と筋トレを再開しました. その中で怪我を防ぐために柔軟性も上げなければと思いつつ, いわゆるストレッチは長続きしなくて困っていたところ, 次の動画を見つけて試してみました.
試してみて本当に立位で手が床について感動しました. 寝て起きるとまた身体の硬さがすぐに戻ったものの, 数日くり返すと前よりも楽に手が床に着くようになってきました. 「筋トレの感覚で柔軟に挑む」という手法が面白いです.
「前に倒そうとするより腰から曲げる感覚でやるとよい」と言われたことは何度かあったものの, 実際にどうすればいいかというところで実践的でした.
これが何より参考になったのは即効性です. どんなものか試しやすく, 実際に10分程度で「柔軟性」が上がったため「がんばるともっとよくなりそう」という感覚が得られるのはやはり継続性に強く効きます. ちょっと時間があるときに簡単に試せるのもありがたいです.
数学・物理でも同じようなのがあったらいいなという気持ち.
モース理論の本を一通り読み終えた¶
コメントをもらったので念のため. Twitterで書いていたためメルマガでも書いていたような気がしていましたが, 読んでいたのは次の本です.
ようやく一通り読み終えました. 当然一通り読み終えただけで細かい部分で全く追いつけていない部分が大量にあります. ただ, 面倒ではあるものの(TeXで)ノートを取りつつ読むと嫌でもある程度読むペースが落ち, ある程度まで細かい部分の様子を掴みながら読み進められるため, モース理論の概要はだいぶ掴めました. やはり非常に面白いです. これだけ面白いならもっと前からきっちり勉強しておくべきだったと思っています.
どうしようかと迷ったものの, 微分位相幾何の用語の日本語の確認のため, ハーシュの微分位相幾何の本の和訳も買ってみました. これもそのうちノートを取りつつじっくり読みたいですね.
不思議なことに, もとの本を読んでいるとよく面倒になってくるのですが, 自分のノートはもとの本を読むより集中力が続いて読めます. あくまで私の場合ではありますが, 勉強をきちんとしたいならやはりノートを作る方があとあと勉強に取り組みやすくなります. 特にTeXだとあとで気付いていなかった行間を埋めるのも楽です.
改めて英語のスピーキングを学習再開¶
先日大学のOB会のお手伝いで留学生を皇居の一般参賀に案内する会に参加しました. 留学生の人達も日本語を勉強してはいるものの, 特に理工系は英語の方がよほど楽にコミュニケーションできます. 英語を聞く分にはあまり問題ないのですが, 訓練していなかったためスピーキングはからっきしです. 留学生にいろいろな話を聞いてみたいのもあるためスピーキングを勉強しはじめました.
会話・スピーキング以前にまずはもっと口を慣らす必要があるため, 中学生向け・高校入試くらいの文章を読みつつ, 和訳を見ながら対応する英語を暗記して読み上げるくらいのところからはじめています. 一般的な英会話に関連して何かよいコンテンツ・本があれば教えてください. まずはとにかく簡単な内容からはじめないといけないと考えています.
どうしてもふつうの本だと面白くなく飽きてしまうため, 主にライティングの勉強として何かいいのがないかと探していたとき, ナショジオの英語のサイトなど中高生向けの記事を使って勉強していました. 一般の理工系向けだと必ずしも趣味・興味の合わない内容も多いため, やはり自分が面白いと思うのを自作するしかないとも思っています. これはこれで進めようと思っています.
定理証明手習いを読みたい¶
Leanを勉強しようと思いつつ, なかなか気分が乗らないため何かしらクッションを置こうと思って, 「定理証明手習い」でも読もうかと思っています.
検索していたらこのシリーズにThe Little Typerというのもあるとか.
あとは型システム入門もきちんと読み切れていないため, これもきちんと読みたいですね.
メモ¶
麻枝准さん「夢ではなく、泣きゲーは十字架。死ぬまで背負い続ける覚悟はできている」¶
- ツイート
- 記事URL: 麻枝准さん「泣きゲーは継いだもの。天才の背中を25年間、追いかけて追いかけて…」
- 記事URL: 麻枝准さん「夢ではなく、泣きゲーは十字架。死ぬまで背負い続ける覚悟はできている」
当時kanonに脳を焼かれた身としては、麻枝氏の過去よりも久弥氏の今が気になる記事だった » 麻枝准さん「夢ではなく、泣きゲーは十字架。死ぬまで背負い続ける覚悟はできている」 沼る 夢中の極み 「泣きゲー」インタビュー(下) - 産経ニュース
記事1¶
「泣ける」ことが映画・ドラマの売りとなって久しいが、ゲームの世界でも感動でプレーヤーを魅了する「泣きゲー」が長年人気を博している。その立役者の一人が、「AIR」「CLANNAD」(クラナド)などの人気美少女ゲームを手掛けたシナリオライター・作曲家の麻枝准(まえだ・じゅん)さんだ。今月2周年を迎えたRPG「ヘブンバーンズレッド」(ヘブバン)でもメインシナリオを担うなど活躍を続ける麻枝さんが、四半世紀にわたり「泣きゲー」を作り続けてきた理由とは―。
自分は「はずれ」ライター扱いだった
子供の頃からパソコンを通じてゲーム作りに親しんできた麻枝さん。美少女ゲーム業界へと歩みを進め、後日「泣きゲーの元祖」と呼ばれるようになる始祖的作品の一つ「ONE~輝く季節へ~」(平成10年)のシナリオを手掛けた。
「やはりクリエーターとしては、人の心に残るものを作りたい。それには、その人の感情を強く揺り動かす必要がある。人の感情に一番響くのは『泣く』ことだし、日常から切り離された別の世界のドラマを体験するのは心地良いことでもある。自分の武器は、文章と音楽を合わせて(ユーザーを)『泣かせられる』ことだと思っています」
時は1990年代後半。美少女ゲームブランド「Leaf」が手掛けた「痕」(きずあと)や「To Heart」が業界を席巻するなど、魅力的なヒロインたちとの疑似恋愛を楽しむ美少女ゲームも「ストーリー性、シナリオで魅せる」時代に突入していた。
「えいえんの世界」などの抽象的かつ文学的な要素をストーリーに織り込んだ「ONE」は当時、ゲームファンの間で反響を巻き起こした。後に「Fate/stay night」でシナリオを手掛けた奈須きのこさんをはじめ、「ONE」の影響を公言するクリエーターも多い。麻枝さんも同作について「泣きゲーという〝文化〟を生み出した作品」と語る。
「『茜(ヒロインの一人)シナリオで泣いた』『号泣しました』…。これまで見たことがない熱量のアンケートはがきがたくさん届き、すごいことが起きているな―と実感しました。でもはがきをよく見ると、褒められていたのは自分ではなく、久弥直樹君というもう一人のライターが書いたシナリオ。自分は『はずれのライター』扱いでした」
麻枝さんは久弥さんのことを「天才」と呼ぶ。その功績は「『感動』で多くのファンを獲得した点」にあるという。
「久弥君のシナリオに魅了されたファンが、さらなる感動を求めて次回作を期待する…という流れが生まれたんです。これは彼が成し遂げた、すごくエポックメイキングなこと。『泣きゲー』というジャンルを生み出したのは久弥君だと思います」
僕の泣かし方は鈍器で殴るようなもの
その後2人は、コンテンツ制作会社「ビジュアルアーツ」に移籍し、美少女ゲームブランド「Key」を設立。雪の降る街を舞台に、高校生たちの恋愛模様をファンタジー要素を交えて幻想的に描いた「Kanon」(平成11年)のシナリオを共に手掛けた。
久弥君には負けたくない―。麻枝さんはこの一心で久弥さんのテキストを研究。ユーザーの支持を集める「泣きゲー」を分析し、学んでいく。「自分も次は、全力で(ユーザーを)泣かす、泣かしにかかろう…と思っていましたね」
麻枝さんには今でも忘れられない瞬間がある。公式ホームページの掲示板の最初の書き込みが、「真琴で号泣した」だったのだ。真琴とは、麻枝さんが「Kanon」でシナリオを担当したヒロインの一人。「そのとき初めて自分も『泣きゲー』を作る側になれたと思えました」と振り返る。
当時、Keyの二枚看板としてファンの間で名をはせた麻枝さんと久弥さん。麻枝さんは2人の作風の違いをこう分析する。
「久弥君はテクニカルなんです。(シナリオに)伏線に伏線を貼って、『Kanon』でいえば(終盤の)『…ボクのこと、忘れてください…』というセリフで、(ユーザーを)ガーンと泣かせる。確かな技術を持った、『泣かせることの天才』なんです」
「自分はその逆で、(シナリオの)技術がない。ただ、作曲はできるので、泣ける雰囲気に持っていった後に、伏線とは関係なく唐突に、ドカーンと泣ける曲やバラードをタイミングよく投下して泣かせる。大きな鈍器で殴るようにして涙を流させるというか、力技なんですよ。自分にやれることは、それしかない」
後に「伝説の泣きゲー」とも呼ばれことになる「Kanon」はヒットし、アニメや漫画など他メディアにも展開。だが、その矢先に思わぬ出来事が起きた。同作を作り終えた後に久弥さんがKeyから独立したのだ。
「(当時の)Keyというブランドのファンは、実際はほぼ久弥君のファンだったのに、残されたのは自分だった。本当は自分も(Keyを)辞めて一から自分のブランドを作ろうと思っていましたが、馬場(隆博)社長から『残ってくれ』と頼まれたんです。それで当時仕方なく、という形でKeyに残り、作ったのが『AIR』という作品でした」
自問自答の末、できたのが「AIR」
久弥さんの独立を受け、Keyを牽引(けんいん)する立場に立つことになった麻枝さん。その後は会社に寝泊まりし、「泣きゲーとは何か」という自問自答の日々を送る。「自分なりに泣けるゲームを何とかして作ろうとあがいた」末の努力が結実したのは平成12年。海辺の田舎町にたどり着いた青年と少女たちのひと夏の物語と、1千年前の記憶が交差する「AIR」だ。
「AIR」から。「…もうゴール、していいよね」に代表されるヒロインの言葉が多くのユーザーの涙を誘った©VISUAL ARTS/Key「AIR」から。「…もうゴール、していいよね」に代表されるヒロインの言葉が多くのユーザーの涙を誘った©VISUALARTS/Key
同作が当時衝撃的だったのは、美少女ゲームにもかかわらず、ヒロインの一人が死亡したまま物語が終わるなどしたためだ。後に京都アニメーション(京アニ)によりアニメ化もされ、人気を博した。ただ、麻枝さんは同作を「京アニさんのおかげで神格化された作品」だとし、「多くの人の期待に応えられる作品だったかというと、そうではなかった」と振り返る。
「鋭り過ぎた作品を作ってしまったという実感があったんです。実際、エンディングなどをめぐって賛否両論や考察合戦も巻き起こりました。本来、自分は〝間口〟の広い作り手ではない。本当に刺さる人にだけ刺さるものを作る、ニッチな作家性を持ったクリエーターだと思っています」
麻枝さんは、「泣きゲー」を作り続けてきた自身の歩みをこう振り返る。
「自分は『泣きゲー』を作ったのではなく、久弥君が残した『泣きゲー』という文化を引き継いできた。ずっと追い越せなかった彼の背中を、25年追いかけて、追いかけて…。ずっと『泣きゲー』だけを作り続けてきた人生です」(本間英士)
(下)泣きゲーは十字架
泣きゲー
「泣けるゲーム」を指す言葉。厳密な定義はないものの、イラストや文章を通じてヒロインたちとの恋愛を疑似的に楽しむ「美少女ゲーム」の文脈で語られることが多い。特に話題になり始めたのは、1990年代後半。「To Heart(トゥハート)」などの先駆的作品をへて、平成10年の「ONE~輝く季節へ~」や、11年の「Kanon」が、いわゆる「泣きゲーの元祖」とされる。
2000年代以降も「君が望む永遠」や「うたわれるもの」「マブラヴ オルタネイティヴ」といった人気作が続々と登場。独自の世界観や魅力的なキャラクターが人気を博した。「泣きゲー」の影響を公言する人気クリエーターも多く、その影響は漫画や音楽、アニメなど他のメディアにも拡大。世界にもファン層を広げている。
「沼」とは?
没頭することで日常から切り離され、仕事や人間関係の憂いからも解き放たれる…それが「趣味」である。そんな趣味世界の深淵をのぞき込んだ人たちが共通して感じるのが、自分たちは今「沼」にはまっているという感覚。ゴールの見えない収集趣味、創造性が高く技術と知識の研鑽が必要な趣味。現代社会を心豊かに生きるために必要な「趣味の世界」に心酔し、抜けるに抜けられなくなった人たちの、苦しくも楽しい「沼」を紹介する。
記事2¶
「ヘブンバーンズレッド」から。伏線の回収の見事さと、声優の迫真の演技も評判となったⒸWFS ⒸV/K
「泣きゲーの金字塔」と呼ばれる「CLANNAD」(クラナド)などの作品を手掛け、長年にわたり「泣きゲー」人気を牽引(けんいん)してきたシナリオライター・作曲家の麻枝准(まえだ・じゅん)さん。今後も「泣きゲー」を作り続けたいと語る。ただ、麻枝さんにとってそれは、夢や目標などではない。四半世紀前から今もなお背負い続ける「十字架」なのだという。
(上)追いかけて追いかけて
一番感動できるゲームこそ「人生」だ
平成12年発売の「AIR」は大きな話題を呼んだものの、麻枝さんの中では「鋭り過ぎた作品を作ってしまった」という思いが内心残った。「『泣きゲー』のコツを学んだ」という麻枝さんは、16年に「もう少し一般ユーザーに寄せた作品」を発表する。「泣きゲーの金字塔」として日本ゲーム史に名を刻む「CLANNAD」だ。
美少女ゲームは通例、ヒロインとの交際開始をもってエンディングを迎える。だが、同作は全く違っていた。ヒロインの一人と付き合い始めてからがむしろ本番。結婚や仕事、大切な人との死別、子供との関わり…など、「その後」の要素を情感豊かに描いた。
当時、「美少女ゲームなのにその後の人生を描くなんて訳が分からない」などの反発も社内で巻き起こったという。だが、麻枝さんは自身の考えを突き通す。
「当時は『君が望む永遠』など、泣けるゲームの全盛時代でした。学園パートだけでは従来の美少女ゲームの域を出ないと思っていたし、何より自分が一番感動できるゲームを考えたとき、それは『人生』を描くことだと思ったんです」
「CLANNAD」の人気は京都アニメーションによるアニメ化によってさらに加速。インターネット上では「CLANNADは人生」という言葉も生まれた。実現はしなかったものの、企画段階では老後までを描く予定だったという。
「就職してからの人生の苦節、愛する人の死、残された子供との関わり…。これはきっとすごく泣けるものになるぞ、と息巻いて作った作品でした。学園ドラマの枠を超え、人生を描き切ったという意味で、当時自分が作ったゲームの完成形だったと思いますね」
「サブカルの最先端」がそこにあった
1990年代後半から2000年代にかけ、多くのゲームユーザーから支持を集めた「泣きゲー」。麻枝さんは人気の理由を「サブカルチャーの最先端がそこにあった」からとみる。
2000年代以降も「君が望む永遠」や「うたわれるもの」「マブラヴ オルタネイティヴ」などといった人気作が続々と登場。独自の世界観や魅力的なキャラクターが人気を博した。ファンたちはこのビッグウエーブに乗り、二次創作も活発化した。
「一般の人が知らないところでこんなに感動できるものがあり、自分たちだけがそれを楽しんでいる…。一種の誇りがあったと思います」
これまで手掛けた作品では、「死」を描写することが多い麻枝さん。ただし、「死が重要なのではない。むしろ、大切なのはその後」と力を込める。
「大切な人がいなくなり、いつまでも続くと思っていた日常が突然変わってしまった。そうすると人はいったいどうなるのか…を描きたいんです。『CLANNAD』で言えば、(最愛の人が亡くなった後に)両親はどうなるのかや、残された子供はどうなるのかの方が描きたいドラマでした。ただ、安易に人の死を扱うつもりはありませんし、実際に扱ってこなかったのが支持されてきた証拠なのかな、と思います」
毎日闘いの制作現場の「熱量」が大切
2010年代はアニメなどに軸足を移した麻枝さんにとって、15年ぶりの完全新作ゲームが、メインシナリオや音楽などを担当したRPG「ヘブンバーンズレッド」(ヘブバン)だ。令和4年2月にサービスを開始。今月2周年を迎えた。
同作はスマートフォン向けゲームの開発や運営を担う「WRIGHT FLYER STUDIOS」(ライトフライヤースタジオ)と、麻枝さんが所属する美少女ゲームブランド「Key」の共同制作作品。謎の生命体に襲われ危機にひんした世界を救うため奮戦する少女たちの物語を精緻に描いた同作は、「Google Play ベスト オブ 2022」のベストゲームにも選ばれた。
「自分がこの業界に入ったとき、一番やりたかったのがRPGを作ること。(文章主体の)ノベルゲームを25年以上作り続けてきて、ようやく夢がかないました」
人の心を揺るがすというのは、決して簡単なことではない。麻枝さんが最も大切にしているのは、作品に込める「熱量」だという。
「(制作陣が)お互い『このくらいでいいか』という落としどころを絶対に作らないんです。今も毎日が闘いのような制作現場になっているのが、『ヘブバン』が『ヘブバン』たりうる理由かな、と。多くの方々に『泣ける』と言ってもらえるのは、その熱さのおかげだと思っています」
劇中バンド、もっと羽ばたいてほしい
「正直に言うと、もっと自由に別のものを作ってもいいと思うこともあった」とも明かす麻枝さん。ではなぜ、泣けるゲームを作り続けてきたのか。
「25年前に久弥君から託されたバトンは、『お前がこれからずっと泣きゲーを作っていけ。脇道にそれるなよ』という意味だと思っていて。例えば自分が、クスッとできる、ちょっといい話を作ったとします。でもそういう話を作るのは、別に自分じゃなくてもいいんです」
「泣きゲー」を「これからも作り続けたい」と語る麻枝さん。だがそれは夢や目標などではなく、いわば「十字架」なのだと吐露する。
「自分に期待されているのは、とことんまで『泣き』に全振りしたもの。もうこのまま走り続けるしかない、死ぬまでやり続けるしかない、という覚悟はできています」
約1時間の取材で、麻枝さんが「久弥君は…」と語り出すこと実に30回。一方で、屈託のない笑顔をのぞかせたのは、ファンであるプロ野球・横浜DeNAベイスターズの話題と、「ヘブバン」の劇中バンドから生まれ、歌手のXAIさんと鈴木このみさんがボーカルを務めるバンド「She is Legend」に話題が移ったときだ。
「(全国ツアーで)3000人の前でライブをやったのですが、もう歓声がすごかった。あれを見たら、もっと羽ばたいてほしいと思いました。今は『ヘブバン』ユーザーしか知らない知る人ぞ知るユニットなんですが、歌声もパフォーマンスも素晴らしくて。『She is Legend』をもっといろいろな人に知ってほしい―これが今の新しい目標です」(本間英士)
泣きゲ―
「泣けるゲーム」を指す言葉。厳密な定義はないものの、イラストや文章を通じてヒロインたちとの恋愛を疑似的に楽しむ「美少女ゲーム」の文脈で語られることが多い。特に話題になり始めたのは、1990年代後半。「To Heart(トゥハート)」などの先駆的作品をへて、平成10年の「ONE~輝く季節へ~」や、11年の「Kanon」が、いわゆる「泣きゲーの元祖」とされる。
2000年代以降も「君が望む永遠」や「うたわれるもの」「マブラヴ オルタネイティヴ」といった人気作が続々と登場。独自の世界観や魅力的なキャラクターが人気を博した。「泣きゲー」の影響を公言する人気クリエーターも多く、その影響は漫画や音楽、アニメなど他のメディアにも拡大。世界にもファン層を広げている。
桃鉄に枚方市が追加されない理由¶
ガチで却下したのが本当に素晴らしい。 あとここ全てに通じる>「ゲームしかやっていない人は、正直に言うと、実際にはあまり使えないことが多いです。(中略)いろんなことに興味を持つことがゲーム制作につながっていく」
国民的ゲームソフト「桃太郎電鉄」、通称「桃鉄」。目的地の駅を目指して日本各地を巡りながら地域の特産や名物の「物件」を購入して収益を上げ、総資産が勝敗を決するボードゲームだ。88年の第1作発売からおよそ35年が経ち、2023年11月には最新作「桃太郎電鉄ワールド」が発売された。
コナミは23年、この桃鉄を学校教育機関向けに無償で提供する取り組み(「桃太郎電鉄 教育版Lite ~日本っておもしろい!~」)を開始した。この教育版桃鉄をいち早く導入した大阪・枚方市立小倉小学校の6年生が2月7日、桃鉄制作者らを迎えてプレゼン発表会を行った。
プレゼンテーマは、「桃鉄に枚方を追加してもらおう」。枚方が桃鉄の駅として存在しないことに注目し、同校の6年生たちが枚方の魅力を全力でアピールした。
「ひらかたパークは明治45年に開園した日本最古の遊園地。アトラクション数は、USJや東京ディズニーランドを上回る40種以上もあります」と地元遊園地が持つ特色や強みを力説。地元ショッピングモールのくずはモールについても、「ショッピングセンターの満足度ランキング全国13位にランクイン。改装工事でフードコート付近がとても綺麗になりました」と写真を交えて紹介した。伝統文化や地元の工場、さらには食べログやGoogleマップで人気の飲食店を取り上げ、ランキングやグラフを用いた資料で説得力を高めた。
「枚方には子どもから大人まで楽しめる魅力がたくさんあります。教育版桃鉄に追加するしかありません」と力強く訴えた。
調べ方が足りない
「桃鉄に枚方を入れてくださいといろんな班の人が言いましたが、無理です」
プレゼンが終わり、桃鉄制作者からの講評は厳しいものだった。最初に「子ども扱いしない」と明言した、「桃太郎電鉄ワールド」監督/ゲームデザインの桝田省治(ますだ・しょうじ)さんだ。
「まず枚方に対して調べ方が足りない。どういう条件がクリアしないと入らないかということも調べられていない。なぜ選ばれて、選ばれていないかを言及している人がいません。なぜ近いまちが入っていて、枚方が入っていないか。実際の現実というのはライバルがいます。比べられます。それを押しのけた人が、自分の提案が採用されたり、されなかったりします」
「調べること、考えること、提案すること」には、時間はかかっても、お金はかからない。「採用されてから商品にするには、たくさんの人が関わってお金がかかるけれど、それまでの段階は、時間と根気、あるいは違う情報ソースを持っている友達さえいればタダです」
各班が提案した物件の多くが重複していたことを指摘し、「8割の人が同じことを言いました。これは採用されない。なぜなら、みんなと視点が同じだから」と語った。
また、ショッピングモールなどの短命な施設を挙げたことについて、「桃鉄の物件は、30年経っても8割は変わっていない。ということは、10年、20年持つ物件しか選んでいない。10年経っても今と同じようにありますか、というのを検討してください。点だけじゃなくて時間軸や面で考えた方がいい」と述べた。
桝田さん自身の若い頃も振り返った。「20代の頃、桃鉄のメインのゲームデザイナーのさくまあきらさんに言われたのは、お前ごときは100個考えて1個採用されればいい。99はボツだ。でもお前は才能があるから100のうち1個はいける。どんどん出せと。ゲーム制作だけじゃなくて、商品、サービスを作るのも全部同じ。ライバルがいて、コストがかかるし、採用できる人数にも限りがある。条件はいろいろあるけれど、たくさん調べて考える。いっぱい失敗すること。それしかない」と伝えた。
さらに、小学生の頃、地元新聞に短歌や俳句が採用された経験も語った。「岡山に住んでいて、山陽新聞に短歌や俳句を送り、採用されると5千円もらえた。図書館に行って、山陽新聞の過去10年、20年の採用された短歌や俳句を全部調べて、どんな傾向があるか、この審査員のときは何が採用されているかを調査した。それで、月に3、4本は採用された。人に採用されるには、自分だけがいいなと思っていることだけじゃなくて、周りの人たちにも認めてもらわなきゃいけない」 他の人と同じことをしていたらダメ
「ゲームが面白くないのは監督の責任。売れないのはプロデューサーの責任」
仕事の役割の違いを説明したのは、株式会社コナミデジタルエンタテインメントのシニアプロデューサーの岡村憲明(おかむら・のりあき)さんだ。「監督は作品を面白くするために全力投球する人で、プロデューサーはそうやって作られたものを世にどうやって届けるかを考える人です」
プレゼンについて、「より掘り下げた部分を伝えてくれた人がいて、それが印象的でした。他の人より前に出ていこうとするなら、他の人と同じことをしていたらダメ。他の人が何をしているのかを見て、自分なりの色を出していくことを考えてほしい」と述べた。
ゲーム制作者になるためのヒントにも言及した。「ゲームしかやっていない人は、正直に言うと、実際にはあまり使えないことが多いです。いろんなことに興味を持ってください。全然関係ないなと思っていることが、ゲーム制作に役に立つことがあります。ゲーム業界外の人と話していて、こんなのがあるんだと面白いと思うことが結構ある。なので、いろんなことに興味を持つことがゲーム制作につながっていく」
将来のアドバイスもした。「夢をずっと持っていてください。必ずかないます、思い描いて強く願っていれば。形は変わっても、この辺だったなというところにたどり着きます。夢をあきらめないで、いろんなことにチャレンジしていってほしい」とエールを送ったのは岡村さんだ。
逆に、「正直、夢は持たなくていいかなと思っています」と述べたのは桝田さん。「その代わりに持ってほしいのは目標です。夢は、どうやっていいか分からないけれど、なれたらいいなというもの。目標は、いつまでにこれになっているぞ、というもの。10年後になっていたい自分を想定し、そのためのスケジュール表をちゃんと作って、それに向かって何をやるべきかを考える。『いつまでにこうなっているぞ』は、目標であって夢じゃない」。目標は、成長に伴って変化もする。「知識が増えたら、何をやるべきかは変えてもいい。親は所詮応援しかできない。目標は自分で設定する。やり方を周りの大人やすでに目標を達成した人に相談するのもいいと思うけれど、最終的には自分で考えて、自分で動かないといけない」
最後に岡村さんは、「桃鉄の学校での使用に関して、いろいろ気付きがありました。皆さんが調査してくれたことを、教育版桃鉄にどう反映していくか。取り組みを進めていきたいです」と締めくくった。
知識ばかり教えていたらChatGPTに負ける
教育版桃鉄リリースの知らせをキャッチし、枚方市での導入をいち早く進めた立役者がいる。授業を参観していた枚方市教育委員会の浦谷亮佑(うらたに・りょうすけ)さんだ。
「4年生の社会科の都道府県の単元がどうしても暗記中心になりがちで、子どもたちが社会科を嫌いになるきっかけになっていた。教育版桃鉄を導入すれば、この問題を解消できるかもしれない」と考えたことが、導入の動機だという。現在では、枚方市の小中学校全63校に、教育版桃鉄のアカウントが配布されている。
導入に際して、不安を感じる教員たちを考慮した。月一で集まり、桃鉄を利用した授業案を共有する有志の研究会を立ち上げた。
「単に桃鉄で遊ぶだけじゃなくて、教科学習として先生がどう活用し、子どもたちがどう学びに変えていくかについて、きちんと研究しました。授業案は社会科が中心でしたが、国語科にも取り入れていました。ここ小倉小学校でも、6年生の『情報を適切に伝えよう』という授業で、自ら書籍とかインターネットで情報を集め、インタビューを行い、グラフ資料の作成などと関連付けました」
支援学級では予想外の効果が上がった。桃鉄で、所持金1千万円で500万円の物件を買ったとき、「残り500万か」と言えた。おはじきを使って教えても、数の概念や四則計算の理解が難しい子だった。
今回、桃鉄に枚方市を入れてもらうために説得するべき相手に実際に学校に来てもらった。「大人になると、相手の心を動かし、やってみたいと思わせ、アクションを起こさせなければならない時がある。クラスの友達に発表することも悪くないけれど、発表して『良かったね』と拍手をもらうだけでは不十分だと思っています。誰に何の目的で発表するのか、相手意識と目的意識が大事」。目指しているのは、「子どもたちがどれだけ本物に触れる体験ができるか」だという。
そのほかにも、枚方市ではICTを用いた積極的な取り組みが行われている。海外の日本人学校の子どもたちとオンラインで1対1の交流を行い、メタバース内に美術館を構築するためのクラウドファンディングにも挑戦している。枚方市の中学校が、文部科学省が進めるリーディングDXスクール事業「生成AIパイロット校」にも選ばれた。
「ICTはあくまでも子どもたちの学びを深めるためのツールです。本物に触れて、志とか夢とかをきちんと持ってもらいたいと考えています。今日の体験も、何人かに響けば、それだけで価値のあるものだと思います。先生方には、積極的に授業改善を進めていっていただきたい。これまでのように知識ばかり教えていたら、一瞬でChatGPTに負けますよ。あなただからできることは何か、子どもたちが学校に来るからこそできることは何かを考えてほしい」と訴えた。悔しすぎたのでもう1回チャレンジしたい
ゲーム制作者からのリアルな講評を受け、6年1組担任の山本健斗(やまもと・けんと)先生は「先生も勉強になった」と授業を振り返った。
「授業の中での『物事を多角的に捉える』を先生もやった気になっていた。実際に学校の中で『それでいいよ』とされることと、社会で求められるレベルが違うと感じた。その分野で社会で活躍したいと思うなら、独自性を持ち、他と違うことをやってみることが大事。そんな話が、第一線で活躍している方から聞けた」
6年生たちにとっても、「一生に一度しかない貴重な体験」になったようだ。
資料の作り込みやプレゼンの練習を必死に行った分、「率直に『無理』は少し悲しかった」とショックを隠せない様子だった。だが、「プレゼンを作って、いいのできたなぁーとか思ってたから、だだの自己満足で終わっていたんだなと思った」「企画は、1回だけじゃ通らないという社会を知った」「自分たちが作ったプレゼンじゃあ説得できなかったし、もっと多角的に調べた方がよかった」「自分では調べたと思っていたけど、まだまだ調べる内容が薄かった」「辛口な講評が返ってきたけど、(他の班と物件の内容が)かぶりすぎているところとか、内容が薄いところとかが、その通りだと思った」と現実をしっかり受け止めていた。
「悔しすぎたのでもう一回チャレンジしたい」
「考えるのはタダだから、もっと頑張って大人の人でも納得ができるようなプレゼンをしてみたい」
「次はもっと詳しく、なぜそうなのかとかを調べてより説得力を上げたい」
「もっと調べて何回も提案して成功できればいい」
この悔しさこそが、次への成長のバネになる。
電子の観測¶
応え方の難しい問いですが、位置を観測する前の電子の状態は、位置が決まってないだけでなくて、 「ある確率でどこかの場所にいるという状況」にすらなっていません。
じゃあどういう状況かというと、「重ね合わせ」です。重ね合わせと確率は全然違うもので、その違いが量子コンピューターや量子暗号(鍵配布)のパワーの源です。 観測すると、観測機と電子が相互作用します。むしろ、何かしらの意味で物理的に働き掛けないと観測なんかできません。その結果、このよくわからない「重ね合わせ」が「ある確率である場所にある状況」に変化します。 ここまでの変化は、観測かどうかはあんまり関係なくて、一般的な物理的なプロセスの理論と同じ計算をすればよいです。よって、ここまでのところ、解釈で悩む話はでてきません。
問題はここから先です。観測機器の表示を知能がある何か(人間とかドラえもんなど)が「見た」時には、どこかの位置に電子があることが、その「見た」人には決まってしまいます。 ここは、サイコロを振った後に見た瞬間、どの目がでたかが決まるのと同じです。 ここのプロセスは、一般的な物理的な変化と同じ計算プロセスでは計算できず、「射影規則」とか「ボルン則」などといわれる式を使います。 つまり、最後の最後のところで例外的な処理がいります。これを不思議と思うかどうかで人によって意見が異なります。
ただし、何か矛盾があるわけではないです。例えば、 人間も物質的な存在なので、人間が観測機を見る過程は物理的な過程のはずです。そこだけ別の扱いにしなければいけないのはおかしいのでは?といった問いは皆が合意できる答えがあります。 このときは、観測機を見る人間を、さらに外から見ている別の人の視点で考える。すると、観測機とそれを見る人間のあいだの物理的な相互作用も、他の物体と同じように記述できます。 ただし、この「観測機と観測機を見る人間」を外から見ている人が、観測結果を知るときにはやはり「射影規則」を使わないといけません。 これは、射影規則を不思議だと思う人からすれば、単なる問題の先送りになります。不思議だと思わない人からすれば、理論の整合性は証明されており、不満はないという結論になります。
では、射影規則に不満がある人はどうするのか。 一番ソフトな解決策は、①ほとんどの部分は通常の量子論のままの規則を用いる②観測の最後の射影規則は適用しない。というやり方です。 「射影規則を仮に適用したらどうなるか」は、実は射影規則の適用する前の式をよーく見れば、実は計算せずとも明らかなのです。ですから、射影規則を適用しなくても、計算上はちょっと不便なだけで、決定的に困るわけではないです。、 そして、この射影規則を適用する前の式に物理的な解釈をします。こういった類の解釈を「多世界解釈」とひとくくりで言うことがあります。この中の一番ソフトなバージョンは、射影規則をやめよう以上の強い主張はあまりないタイプ。 量子情報や量子計算の研究者で「多世界解釈が好きだ」「多世界解釈でも別によい」という人のいう「多世界解釈」は、しばしばこの程度の意味です。 もっとも激しい主張としては、本当に観測の瞬間に世界が物理的に分岐する。そして分岐した枝が、宇宙のどこかに存在している、といったものです。 こういうのはちょっと脇において、我々の日常経験する世界と式の間に繋がりを持たせるべく、各々の項に巨視的な実体を対応させるわけです。 多世界解釈とラベルされるもののうち、マイルドな部類に属するものたちは、結局、標準的な解釈の仕方(と、一言でいいましたが、これもニュアンスは人によって随分違います)と、結論はかわらず、実行する計算はかわりません。 こういったもののうち、どれを選ぶかは「科学の問題じゃない」ともいえるかもしれません。 しかし、こういった類の解釈に飽きたらず、量子力学をもっと本質的に書き換えようとする試みもあります。これらも「解釈」と並んで取り上げられますが、結論がそもそも変わってしまうので、別の理論です。 今の所、それらの新理論は非常に限定的な状況でしか成功していません。
中田考, 『イスラーム諸学の革新・要約』とイスラームの解釈学的アプローチ¶
論文メモ:サードの定理¶
未来が自分の後ろ側にあった時代には矛盾がなかったんですよ¶
これ面白くて、未来が自分の後ろ側にあった時代には矛盾がなかったんですよ 我々現代人は普通「未来が前、過去が後ろ」なのが当たり前だと思ってますが、昔は過去が前、未来が後ろにあったんです 全く日本独自のことではなく、古代ギリシャやソマリ語など世界の地域/言語であった/あることらしいですが
過去は見えても未来は見えないから後ろにあるのか.
井村屋会長 九死に一生を得た過去¶
井村屋グループ会長CEO 中島伸子氏 71
中島伸子氏
アイスや肉まん・あんまんで知られる井村屋グループの中島伸子会長CEO(最高経営責任者)は、列車事故に遭い、九死に一生を得た経験を持つ。社員の活躍や幸せを重視する経営改革を進めている。(聞き手・山内竜介 写真・菅野靖)
中島さんが取引先に披露した手品グッズ <1972年、死者30人を出した北陸トンネル列車火災事故に遭った。その後遺症で教師になる夢を諦めた>
20歳の誕生日を実家で過ごすため、夜行列車で帰省している時でした。3人の小さな男の子を連れた若い母親と一緒に4人がけのボックス席に座っていると、トンネルの中で突然、列車が止まりました。真っ暗な車内でアナウンスも何もない。そうしたら隣の食堂車から炎が迫ってくるのが見えました。 その母親が泣きながら言うのです。「3人の子連れで逃げられない。跡取りの上の子だけでも連れて行ってほしい」。私は5歳の子を抱きかかえ、窓から車外へ飛び降りました。黒煙が充満するトンネルではぐれてしまい、必死に子どもの名前を叫んでいるうちに気絶してしまいました。 意識を取り戻したのは、ちょうど誕生日を迎えた2日後。4人の母子が亡くなったことを知らされました。 私自身も、のどからすすの塊が出てきて2年間はほとんどしゃべれませんでした。医師からは一酸化炭素中毒で声帯が麻痺している、声を使う仕事は諦めた方がよいと宣告されました。その後、声は徐々に出るようになりましたが、今でも少ししわがれているでしょう。きつい体験でした。 子どもを救えなかった後悔と無念。目指していた教師になる夢への道が閉ざされた喪失感。ぐずぐずしていた日々から立ち直ったきっかけは父からの手紙でした。「声が出なくても生きていけるし、自分だけのプラス1を探すことだ。『辛』に一本足せば『幸』になる。亡くなった人のためにも一生懸命生きることが使命だ」。この言葉はずっと私の支えとなりました。 高校の同窓生だった主人と結婚した後、23歳の時に近所にあった井村屋の福井営業所で経理事務の募集を見つけ、アルバイトとして働き始めました。 亡くなった子どもたちのことを思うと、どんな仕事でもしっかりやろうと。経理だけでなく、4トントラックを運転して配達もしていましたよ。 ある配達先で「カップアイスのふたが開けにくい」と聞きました。ちょうど全社的に改善活動の募集があったので、ふたの持ち手を大きくするよう提案すると、採用され、社長賞をもらいました。 バイトでも差別なく表彰してくれる会社ってないじゃないですか。感激して25歳で登用試験を受けて正社員になりました。
<営業畑で実績を重ねていく。就いた役職は「女性初」ばかりだった>
女性の営業が珍しい時代。苦労もありました。福井営業所長になった時、問屋さんの社長へあいさつに行ったら「女なんかよこして、俺の会社をバカにしているのか」と言われましてね。中に入れてもらえず、帰りの車で情けなくて涙が出てきました。 翌日、朝5時半に起きて7時には問屋さんに着いて社長が出勤するのを待ちました。2時間くらい待っていたら社長が「まだいるのか。入れ」って。中に入ったら「今日の株価は分かるか。日本経済はどうなるのか」と質問されました。口ごもっていたら「ほかのメーカーの所長はみんなわかっている。朝、新聞読んで来ているのか」と、3時間もこんこんと経済の大切さを教えてもらいました。 それまでは、消費者目線が女性の良さとして生きると思っていました。経済感覚に弱かったのですが、企業人としてこれじゃいけないと痛感しました。勉強して消費生活アドバイザーや企業実務に関する資格をとりました。 育児では義母や近所の人にお世話になりました。自営業の主人も協力してくれました。約束は「3人の子どものお弁当は私がつくる」という一つだけ。それ以外は一切ノーと言いませんでした。 福井県の自宅から石川県の北陸支店へ午前6時半の電車に乗って通勤していた頃のことです。ある朝、寝坊をしてしまい、これで弁当をつくっていたら遅刻する。遅刻はできない。ふと周りを見渡すと、義母がプランターで育てていたキュウリ、ナス、ピーマン、トマトが目に入りました。とっさにそれらをもいで、ご飯の上にのせ、マヨネーズをかけただけの弁当をつくって高校生の長男に渡しました。 その晩、長男が「友達にこんな弁当を作るなんて本当のお母さんじゃないんじゃないかと言われた」と話すんです。本当につらかった。すると長女が「そんな遠回しに嫌みを言うのはやめて。お兄ちゃんだって、お母さんが生き生きと働いているから家が明るいって言ってたじゃない」と助けてくれたんです。 働くって、家族の応援があってこそです。子どもはそれぞれ独立して仕事をしていますが、親が一生懸命働いている姿を見てくれていたと思うとうれしいですね。
<2011年に総務・人事担当の役員に就任すると、人事制度を大きく見直した>
中島伸子氏
当時、総合職、エリア総合職、一般職の三つがありました。約1000人の社員全員の履歴書を見ていくと、立派な特技や資格を持っている人が、昇進に制限がある一般職やエリア総合職に多くいました。大事な「ダイヤモンド」を埋もれさせるのは損だと思い、総合職に一本化すべきだと考えました。 「自信がない」と話す一般職の女性から、人件費増を懸念する役員まで反対意見が多かったのですが、当時の浅田剛夫社長に背中を押してもらいました。会社全体を底上げする必要があると信じ、手分けして全社員と面談し、理解してもらいました。 人事制度の改革に合わせ、「学習する組織」を目指して通信教育の学費助成を拡大し、女性活躍の後押しにも力を入れました。女性の管理職比率は10年に2%でしたが、今では14%にまで高まっています。 CEOとして掲げているのは「1人の100歩より、100人の1歩」です。ニーズが多様な時代は経営陣のアイデアだけでは乗り切れないからです。若い人たちが自由に考えたことの中から、いいものをつかみ取る。そうした力が大事になります。昨秋発売した微細氷入りのアイス「SHALILI(シャリリ)」は20歳代の女性社員のアイデアから生まれました。 経営者は社員の人生に関わっています。本当に責任が重い。一緒に働く社員を大事にしなきゃいけない気持ちは強いし、幸せになってほしい。 あの鉄道事故から生き残った者として、それが社会への貢献だと思っています。 〈NUMBERS〉60周年
2024年、肉まん・あんまんが発売から60周年を迎えた。アイス販売用の冷凍ケースを冬場は肉まんの保存用として活用してもらい、必要な分だけ蒸し器で温めて売る方法で売り上げを伸ばし、主力商品になった。現在、コンビニなど店頭の蒸し器で販売する業務用と冷凍・冷蔵の家庭用を合わせ、年間約2億個を販売している。 ~中島さんを知るもう一つのキーワード~
取引先に披露した手品グッズ…鉄道事故の後遺症で声がよく出ないため、取引先との接待でカラオケに行った際に「デュエットより、手品が得意なんです」と話して、場を白けさせないようにしていたという。日曜日の夜に地元の奇術同好会に3年間通って技を磨いた。役員就任後も新人歓迎会で披露することがある。
◇中島伸子(なかじま・のぶこ) 1952年新潟県生まれ。75年近畿大豊岡女子短大(現豊岡短大)卒。アルバイトを経て、78年に正社員として井村屋製菓(現井村屋グループ)入社。北陸支店長、関東支店長、常務取締役総務・人事グループ長などを歴任。2019年に社長、23年4月から現職。
「面倒なことはChatGPTにやらせよう」の全プロンプトを実行した配信のリンクを整理しました¶
- note: URL
Python
のPeriodic-table-cli
¶
2024-02-17 調和振動子を勉強しよう/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.
- 幾何と量子力学: 調和振動子を勉強しよう
- モース理論が難しい: 微分位相幾何がつらい
- Satoshi Ogawa: On holomorphic tubular neighborhoods of compact Riemann surfaces
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
幾何と量子力学: 調和振動子を勉強しよう¶
「何故そんなに幾何を?」というのが通じていない方もいそうなため, 久しぶりに関連する話を紹介します.
自分自身きちんと勉強しておきたいという理由はもちろんある一方, 幾何を突き詰める動機として超弦理論を勉強してみたいという方がいたのも大きいです. 超弦理論は幾何との強い関係がいたるところで言及されているため, ある程度は知っておかないとどうにもなりません.
もちろんウィッテンの仕事もあります. いままさに取り組んでいるモース理論もウィッテンによるアプローチは大きな影響を与えていると思います.
これを眺めるとすぐわかるように, 何だかんだで調和振動子が重要です.
ちなみに熱核による指数定理の議論でも調和振動子が現れるため, 応用上で調和振動子の射程距離は恐ろしく広いです. 作用素論的にはかえって自由粒子よりも簡単な面があり, どれだけやっても損は全くありません.
私のノートは当然私の趣味でゴリゴリに数学的で, 公開してもちょっとな, と思うところしかありません. いわゆる20世紀的な量子力学的な教科書やオンラインの文献ならまず確実に載っているでしょう. まだ勉強したことがなければぜひ勉強してみてください. 数学としてもヒルベルト空間論のよい入門にもなり, 計算練習としても役に立ちます. 特殊関数の処理という面から見れば電磁気の勉強にもなるでしょう. 人によって細々とした数学がどうの, 物理がどうのというよりもたくさん計算がしたい場合もあるでしょう. 特殊関数論は数学的な議論も多種多彩な一方, 馬鹿みたいに大量な計算が必要な部分があります. 特に偏微分方程式関係だと厳密解と直接関係があり, 数学的な計算だけではなく数値計算も面白いです.
数学的にいろいろ計算して物理への応用から見てもよくわかっている内容だとしても, 数値検証で可視化してみるとまた違った感動があります.
モース理論が難しい: 微分位相幾何がつらい¶
モース理論の勉強を続けていますが, 何がつらいのかはっきりしてきました. 微分位相幾何がつらいです.
私がいま読んでいる本では証明していない事実はきちんと定理番号まで含めて文献を紹介してくれています. それでとても助かるのですが, 三冊程度の微分位相幾何の(おそらく)有名な教科書から引用してくれています. 際限なく読むべき文献が増えるわけでもなく, 最後の最後にある重たい議論が必要な主結果というより本の前半・中盤にある比較的基本的な結果が多いです. それでも基本的な議論とはいえ三冊程度を追加で事前にがっちり読むよりも, まずはモース理論の概要をおさえようと思い, とにかくモース理論を進めています.
ちなみに専門が違うため全く状況が見えていないのですが, 微分位相幾何の新しい本は出ているのでしょうか? うまいこと一冊で綺麗に一通りまとまっていてもらえるとありがたいですが, ゲージ理論のような内容ならともかくモース理論に必要な微分位相幾何的な議論はなかなかなさそうな気がします.
微分位相幾何は1970-80年代が黄金期だったようで, 引用されている教科書もその時代の本です. 眺める限り代数・位相空間論が主力の位相幾何よりも, 微分積分が主力の微分位相幾何の方が私の好みのようです. 多様体上の$C^r$-級関数の空間に超関数の空間のようなノルムの族による位相を入れて, それで完備距離空間(またはフレッシェ空間)に関する議論が出てきたのを見かけ, こうした関数解析的な感じもかなりお気に入りです.
微分位相幾何に関する結果を丁寧にまとめたノートを作って公開したいという野望も出てきました. 他にもまだまだ勉強するべき内容も多いのでいつになることやら, という感じですが.
Satoshi Ogawa: On holomorphic tubular neighborhoods of compact Riemann surfaces¶
- URL
- Satoshi Ogawa: On holomorphic tubular neighborhoods of compact Riemann surfaces https://arxiv.org/abs/2402.07050
We give a sufficient condition for the existence of a holomorphic tubular neighborhood of a compact Riemann surface holomorphically embedded in a non-singular complex surface. Our sufficient condition is described by an arithmetical condition of unitary flat line bundles which can be regarded as an analogue of the Brjuno condition for irrational numbers which appears in the theory of 1-variable complex dynamics.
Twitterで流れてきたプレプリントです. 内容がわかるわけではありませんが, 面白かったのはよりにもよってコンパクトリーマン面(代数曲線)のような知られも知られきった対象に対して, 正則管状近傍のような議論がまだまだ議論されているという部分です. ちなみに管状近傍はモース理論でも現れます. 多様体論・微分幾何の基本的な概念ではあるものの, 何となく微分位相幾何的な方向でよく使われるような印象があります.
メモ¶
高校の情報I・情報IIの公式副読本¶
Twitterのバズに対する公式の分析¶
Twitter公式が「バズる」ツイートの法則を徹底的に統計解析して168ページの資料にした代物、SNSマーケティングやっているプロが全員廃業するレベルの化け物級の優良資料だった。 ちなみに無料。 SNSで「バズりたい」と思う人は全員これ読めばいいんじゃないかってレベル。
https://marketing.twitter.com/content/dam/marketing-twitter/apac/ja/insights/kakusan/kakusan.pdf
関さんのプレプリント「Deriving two dualities simultaneously from a family of identities for multiple harmonic sums」とコメント¶
プレプリントを公開しました。 https://arxiv.org/abs/2402.05730 月曜日にTwitterのスペースで高校生があまりに衝撃的な発見(ヒューリスティック&数値的に発見)をし、私は共同研究者である大学3年生とLINE通話で即座に証明に取り組み、2日間ぶっ通しで論文を書き上げ、金曜日である本日の公開となりました。 何故すぐに論文を書けたかというと、私が何年間もずっと夢であった問題だったからです。それがあのスペースでの発見で瞬間的に叶うことがわかったのです。技術はこれまでに2018年の山本さんとの発見以来、土台を整備してあったので本当に一瞬の出来事でした(連結和法)。夢を見ているようです。 私の今回の仕事における貢献の1つは、あの出来事をほっとかなかったことだと思います。そこに見たことのない現象があったので、発言者が高校生だろうが老人だろうが関係ありません。 ただ、一つの心配は先行研究の見逃しがないかです。相当努力はしましたが、今後何かわかったときは報告します。 実はスペースを聴いてたときは睡眠薬を飲んでいたので、脳が相当やばかったです。起きて即刻DMをして研究が始まりました。 なお、共著者である高校生とも大学生とも面識がもともとあり、彼らの数学力についてはもともと信頼がありました。 以下、今回の研究内容を簡単に紹介します。 今回の仕事は多重ゼータ値に関する研究であり、新しい(と思われる、と期待される)公式を発見し証明しました。それが一体どんな公式かを簡単に以下で説明します。 多重ゼータ値は級数表示によって定義される実数(無限にたくさんあります)であり、それぞれの多重ゼータ値は反復積分表示を持つことが知られています。今回の新公式はこの「反復積分表示」の精密化(?「何」化と表現するのがベストかまだ理解してません)です。 多重ゼータ値の反復積分表示は教科書に載っていて、初等的に証明でき、多重ゼータ値を勉強している現代の人々にとっては常識です。ですが、やっぱり最初に発見した人はすごいしえらいと思います。実際、ホフマンさん周辺の最初期の多重ゼータ値研究では反復積分表示が知られていなかったために困難があったことと推察します。ザギエの有名な論文において反復積分表示が紹介され、多重ゼータ値の研究は加速したことでしょう。ザギエの論文においてはコンツェビッチにクレジットが与えられていたと記憶してますが、ドリンフェルト積分ともよくよばれていましたし、他にもクレジットが与えられるべき数学者がいるらしいですが(Le-村上?)、ここの歴史は今詳しくないので割愛させてください。何にせよ、最初の発見者たちはとても偉大だと思っています。それで、例えばダブルシャッフル関係式のようなとても重要な現象が理解されていきました。反復積分表示が生み出した研究成果は膨大と言っていいでしょう。ところで、多重ゼータ値は多重調和和とよばれる対象の極限として理解することができます。多重調和和は無限和である多重ゼータ値を有限のNまでの和でとして打ち切ったものであり、N→∞の極限で多重ゼータ値に収束します。 一方、反復積分表示の方は、言われれば当たり前なのですが、リーマン和の極限として表示することができます。つまり、 多重ゼータ値の反復積分表示を ζ = ∫ と表現することにし、多重調和和をH(N)、リーマン和をR(N)と表すことにすると、 ζ = lim H(N) = lim R(N) = ∫ が成り立つことがわかりますが(ここまでは既知とみなせる)、実は各Nにおいて H(N) = R(N) が成り立っているのではないか?と考えてみましょう(そんなこと考えてこともなかった!!!!)! でも、R(N)の選び方って全く一意的じゃないんですよね。最もシンプルな形だと等号は成り立ちません。そこで、高校生は和の範囲を表す不等号<(たくさんある)をところどころ≦に変更して計算したのです(ここが偉大なる試行錯誤!!) するとポツポツと(数値的に)H(N)=R(N)が成り立つケースが見つかるじゃないですか!!最初は全く法則性が見えないかに思えたその現象も、ほどなくして大学生による慧眼で一般的な法則が予言されました。 この等式H(N) = R(N) こそが今回発見された公式です。 つまり、コンツェビッチ、ドリンフェルトらによる多重ゼータ値の反復積分表示の「極限を取る前」があることがわかったのです!まじかよ!! 予言されたこの公式は既に証明されているのでご安心ください。私と山本先生が2018年に発見し、その後発展してきた「連結和の手法」とよばれる証明技術があり、それを用いた新公式の証明を今回の論文で与えています。適切な「コネクター」とよばれる部品を見つけることにより、H(N)を段階的にR(N)に有限多重ゼータ値は多重調和和にRにおける極限とは異なる"A-極限"をとることで定義されます。多重ゼータ値は英語でMultiple Zeta Valueですが、以下では多重ゼータ値をRMZV、有限多重ゼータ値をAMZVと表現することにします。RMZVがRの中で満たす様々な関係式が研究されていますが、同様にAMZVも様々な関係式をA内で満たすことが調べられています。違う極限をとった違う世界の住人であるにもかかわらず、RMZVとAMZVはそれぞれが似た形の関係式を満たすことがあります。RMZVの満たす「導分関係式」が知られているけれども、AMZVが満たす「導分関係式」も発見されるというように。 それで、RMZVの満たす関係式の中で私が最も好きなものが「双対関係式」とよばれるものです。以下、duality。まず、dualityはRMZVの定義級数からは全く非自明な定理と言えます。ですが、RMZVの反復積分表示が見つかったことにより、その表示においては t → 1-t という変数変換を行うことでdualityは即座に証明されます。反復積分表示という偉大な発見の後にはdualityってほぼ自明になってしまうわけですが、そんなことではdualityは全く色褪せないんですよね。実はdualityに関してわかってないことってまだまだあるんですよ。この業界に入った時に何人かの専門家が「dualityは最初期に発見され、証明も簡単だが、最も謎めいた関係式である」みたいなことを言うんですね。それ以来、私の心はdualityに奪われました。 それで「dualityって積分的現象だよね」みたいな言明を聞いたことがあるのですが、それは反復積分証明によって作られた固定観念だと思っていました。 dualityに関する重要未解決問題(これはまだ解かれてないので今回は詳細は述べません)に向かうためには、「dualityの級数解釈が必要だ」というのが2017年ごろの私の認識でした。dualityの最も単純なケースが、オイラーが証明した ζ(3) = ζ(1,2) という等式なのですが、BorweinとBradleyの論文にオイラーの等式の証明が32通り述べられています。その最初の2つは級数変形による見事な証明なのですが、なので当然それらを拡張してdualityの級数証明が得られないかを吟味しました。 1つ目の証明は部分分数分解を用いるものですが、オイラーの等式はdualityだけでなく様々な関係式の特殊ケースとなっており、自然に拡張するとdualityにならず失敗しました。 2つ目は有限和(多重調和和)にして差 H(N)(3) - H(N)(1,2) を明示的に計算し、極限をとると差が0に収束するという証明です。 これは極めて良い発想だと感じ、一般の場合の差の計算を得たかったのですが当時の私には遂行できませんでした。 それで、dualityの級数証明を手に入れるにはBorwein-Bradleyには載ってない真に新しい証明を見つけるしかないとなり、2018年2月、愛媛のスタバで"コネクター"が発見されました。 https://arxiv.org/abs/1806.04679 RMZVはコネクターを利用することによって、その双対に段階的に変身できるという感じの証明です。 これで「dualityって積分的現象だよね」というのは棄却できたわけですが、コネクター証明の発見でも結局dualityのことはまだわかり尽くせてはいないという感覚を持っていました。詳しいことは述べませんが、次にやるべきことはBorwein-Bradleyの第2証明をちゃんと拡張することだと感じるにいたります。 RMZVで知られている関係式の対応物・類似物と言えるAMZVの関係式を見つけるというのはAMZVの典型的な研究ですが、未だに対応物が見つかってない(論文になっていない)ものも幾つかあると思いますが、dualityの類似物はHoffmanが紆余曲折ののち、2000年には発見しています。 RMZVのdualityを以下ではR-duality、AMZVのdualityをA-dualityと区別して呼ぶことにしましょう。ここで、1つのミステリーが発生します。他の種類の関係式、例えばシャッフル関係式とか巡回和公式とか、は、数学的な定式化は多分まだないですが、確かに対応物という感じがします。例えば、それらは同じコネクター・連結和を用いて同時に証明することが可能であり、出自が同じという意味で確かに対応物という気がするのです。一方で、R-dualityもA-dualityもともに"duality"ではあるのですが、R-dualityとA-dualityがどれぐらい数学的に近いのか、似ているのかということはわかりません(でした)。 まず、式の見た目が違います(双方でdual indexの定義が異なりますし、A-dualityはいわゆるstar版になっています)。 そして、Seki-Yamamotoは同時期に論文が2つあって、A-dualityのコネクターも発見しているのですが、我々が発見したR-dualityとA-dualityのコネクターは異なるものです。つまり、R-, A-dualityはともにコネクター証明が可能だったけれども別々に証明されたのであって、同じ出自からの同時証明というのは知られていない状況でした。知られていないというか、私は長い間R-dualityとA-dualityをそれぞれ研究してきましたが、これらは異なる現象であり、そんなものは「ない」のではないかと思っていました。MZV研究者である広瀬さんとはこれまでに様々な研究討論を行ってきましたが、あるとき彼がR-dualityとA-dualityの同時証明をしようという研究提案をしてくださりました。もしそんなものがあるのであればとても魅力的ではありますが、そもそも同時証明なんて不可能なのではと思っていましたし、色々考えてみてもいいアイデアは浮かびません。時々思い出しては考えていましたが、2024年以前には解ける兆しは全くありませんでした。 ところが、離散反復積分表示が得られた瞬間に、この公式がR-dualityとA-dualityの両方を導出することがわかりました! RMZVの級数表示を見てもR-dualityが得られるかは非自明であり、コネクターを使って1ずつ重さを輸送していく手段はあったものの、変数変換で一気に変換するというのは反復積分表示があって初めて可能なことでした。しかし、有限範囲で打ち切った多重調和和を考えると、それも定義そのままの表示だと変換のしようがないですが、離散反復積分表示(それは有限和)にすれば、なんと N-n → n 型の変数変換によって殆ど双対形に一気に変身できるのです! まさか、あの変換が積分を使わずに和の形のままでできるなんて!「殆ど」と言いましたが、実際は離散反復積分表示における和の範囲の等号がついた部分の寄与が誤差として残ります。 H(N)(k) - H(N)(dual of k) = 誤差 という形です。この誤差は N→∞の極限で0に収束することが簡単に示せるため、R-極限を取ればR-dualityが得られます。 つまり、これはR-dualityの新しい級数証明を与えており、実は反復積分表示によるR-duality証明には「極限を取る前」にも同様の操作が可能なことが判明し、単なる別証明というよりは、有限範囲で打ち切ったときの誤差を明示的に書き下すことができたという点で精密化を与えることに成功したと言うことができ、そしてBorwein-Bradleyによるオイラーの等式の第ニ証明の一般化を与えているのです。まさか、あの誤差項をちゃんと記述することができる日がやってくるなんて! 多重調和和にR-極限を取る操作を施せばRMZVになりますが、A-極限をとればAMZVになります。離散反復積分表示を用いて離散変数変換を施してからR-極限をとればR-dualityが得られましたが、離散反復積分表示にA-極限を取る操作を施すと、なんと!A-dualityになるのです!! 離散反復積分表示における等号部分はR-極限を取ることによって寄与が消え、そしてシンプルなR-dualityが得られました。一方でA-極限を取る場合はその等号部分がそのまま生き残り、その結果としてA-dualityの独特な形が現れるのです!大きく異なるのではないかと思っていたR-dualityとA-dualityはなんと「多重調和和の離散反復積分表示」という同じ公式を出自に持ち、2種類の極限を取ったときのそれぞれの極限値として現れたものだったのです!!! まさかあの2つのdualityがこんなに密接に関係していたなんて!!!!! 今回の研究で嬉しかったこととして、離散反復積分表示の証明にコネクターが使えたことがあげられます。Seki-Yamamotoの仕事だけではdualityにはまだまだ知らないことが残っていたわけですが、あのときの発見があったからこそ、迅速に新しい公式の短証明を与えることができました。コネクターの方法が知られてなければ、おそらく証明はもっと困難だっただろうと思います。(もちろん別証明に興味がある方は取り組んでみると何か新しいことがわかるかもしれません。) 以上のように、今回新しく発見された離散反復積分表示は早速「2つのdualityの同時証明」という1つの応用を与えました。が、その ポテンシャルはこんなものではないでしょう。 反復積分表示に対して知られていたことを離散化し、ついでにA-極限も取ってみれば、手を動かすごとに新しいことがわかるかもしれません。離散反復積分表示そのものについてもvariantや拡張が色々あることは確実と言ってもいいでしょう。 本当にたった一夜で世界の見え方が完全に変わりました。これから忙しくなりますよ。新規参入者がたくさん現れますように。 世界を変えてくれた共著者の2人へ。本当にありがとう。 以上で説明されてること、結構論文に書いてないのを反省しています。共著者の受験が終わり次第v2を出す予定です。
既知の結果を一般化することも、未解決の予想を解くことももちろん大事だけど、今回は ・全く予期してなかったものがあった ・ないと思ってたものがあった という発見だから興奮度がものすごく大きい。一週間経ったけど全然興奮がおさまらない。
『ドラゴンクエストIV』における人工知能¶
今日は34年前に『ドラゴンクエストIV』が発売された日です。
それを記念して、以下の『ドラゴンクエストIV』のAIをインタビューで明らかにした論文をもう一度公開させてください。
『ドラゴンクエストIV』における人工知能 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsai/38/5/38_659/_article/-char/ja
よろしければ、ご高覧ください。
〝わかっていても落ちる〟川の深みの恐怖¶
2024-02-10 数学と物理と情報の狭間/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.
- 二次元でも難しい
- ルベーグ積分の数学的定式化と直観的把握
- 自己共役性の物理
- 形式言語と情報科学: 数理論理と情報理論
- Union-Findアルゴリズムと計算科学の話: 情報と物理の関係
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
二次元でも難しい¶
クロスポスト。ユークリッド平面からユークリッド平面への連続単射は開写像になるって言えてますかね。多分行けると思うんだけとググっても出てこないので心配になっている。なんか勘違いしている?
https://en.wikipedia.org/wiki/Invariance_of_domain これでしょうか。代トポが必要なようで、自明ではないようですが、正しいのだとは思います。
情報ありがとうございます。n=2のケース限定で考えてましたが、まさにこれです。その場合にはほぼジェネトポで行けると思ってましたが、高次元では代トポなんですね。
ちなみにはじめに見つけたページはhttps://math.stackexchange.com/a/3898932で, 検索キーワードは「continuous injection is open map or not in euclidean space」です.
これには面白い点が二つあります. 一つはプロの数学者でも数学科大学一年で定式化できる問題に対して解答に自信が持てない場合がある事実です.
まず言及先のくるるさんは集合論の専門家でまさにプロです. 実際の解決法は位相幾何的な議論が本質的なようで, そうなると集合論からすれば専門外の内容でもあり, 判断するのは難しいのでしょう. 私としても専門外とはいえ, このレベルの議論で確たる証明ができないのには愕然としました.
もちろん問題の定式化だけなら簡単だが解決は超難問と言えば数論でその手の問題が大量にあるため, 定式化の簡単さと解決の容易さは関係ないのは数学としては当たり前の話ではあります.
もう一つ面白いのは単純に内容です. 最近幾何をずっと勉強していますが, 時々顔を出す部分多様体が本当に難しいです. 微分構造の定義・議論もさることながら, 位相の強弱が厳密には合わず, いわゆる正則な部分多様体にはならないケースに対する感覚が全く育っていません. 微分位相幾何で基本的なはめ込み・埋め込み・沈め込みに関わる部分でもあり, もちろん面白い部分とは言えます.
ルベーグ積分の数学的定式化と直観的把握¶
ルベーグ積分や測度論の説明で「縦を横に分割する」といわずに「値域の逆写像から生じる分割」といってくれたほうが可測関数や確率変数との関係もイメージできるのでそうした説明を最初の頃に読みたかった
これを見て次のようにツイートしました.
ルベーグ積分、縦で切るとか横で切るとかいう話ではなく、積分の近似に系統的な関数列の極限を採用する視点の方が関数解析への展開からは重要と思っているが、測度空間への意識づけには確かに値域・定義域の関連付けの方が適切だろうという気はするため、やはり両方きちんと解説しろ事案だった。 関数列の近似で単関数列を作る時、当然可測性を考えないとどうにもならず、嫌でも可測構造に意識が向くといえばそれはそうではある。
書き方が微妙だった感じはありますが, 何にせよ積分の近似でリーマン積分は関数をいじらず区間を区切ってその極限を議論している一方で, 関数列をうまく作って関数列の極限で議論している点は非常に重要な違いです. 関数列の極限がうまく動くように理論を定式化する動機が生まれるからです. これは関数列に対する収束概念の精緻化の動機づけにもなり, まさに関数解析的な視点につながるからです.
自己共役性の物理¶
Twitterでまた物理での作用素の自己共役性に関する議論が微妙に出ていました. それを見て次のようなツイートをしました.
自己共役作用素の定義域問題、数学的にはややこしいことこの上ないが気分として境界条件ごとに物理が変わり、それに合わせてスペクトルや固有関数もうまく切り替わってくれるわけでむしろ物理をよく写してくれるありがたい話と思っていたがそう思わない物理の人がいるらしくていつも困惑している。 微分作用素の定義域を考えないの、境界条件を無視して偏微分方程式を解くのと同じ作業なのだがどうしてそういう意識が育たなかったのかがむしろ気になる。 よくわかっていないのだが、ディリクレ・ノイマン・周期境界など、典型的に物理的に意味がある境界条件で適当なクラスのハミルトニアンに対して自己共役性が成り立つという数学的結果はあるだろうか。 この話、熱力学的極限を考えるとき、Liebのグループがやっているような連続系でのBECの議論で作用素論的には必要なのではないかという気がするが、Lieb達はもっと実解析的にやっていてそれ程表立って議論されていない気はする一方、Bratteli-Robinsonに少し書いてあった気もする。
実際問題として物理の議論で自己共役性を気にする必要はないというか, 自己共役性の証明だけで純数学の論文になるほど難しいです. 難しすぎて私自身全く把握できていないのですが, 物理的によく知られた, 重要なハミルトニアンであっても自己共役性が知られていない例はおそらく大量にあるはずです. どちらかと言えば自己共役性が証明できている作用素の方が少ないのではなかろうかと思います. 少なくとも場の量子論・量子統計力学では極めて非自明です. 量子統計的な無限格子系だと格子系による単純化がある一方で, 作用素環的な議論も必要で簡単ではありません.
形式言語と情報科学: 数理論理と情報理論¶
数学基礎論(というか数理論理学)は初手がめちゃくちゃ難しいのはあるのかもしれない。そもそも「形式言語」とその意味論を考えるということのモチベが伝わりにくいのよね……
その辺りは数学他分野よりも情報科学と親和性が高いんですよね。foo.cの中身がccにとってはCソースコードでもgrepにとっては単なるテキストでgzipにとっては単なるバイト列というのと似た話ですので。
形式言語と意味論の感覚がずっと掴めていなかったのですが, 改めてかもさんのこの手のツイートに触れてああそうかと少し感覚が掴めました. 私も出身の面からは純数学ではなく, 仕事の面からは広い意味で情報系でもあります. 数理論理の情報系への応用も基本的な議論がたくさんあるため, この辺をうまく絡めたコンテンツがほしいですが, 上記ツリーでかもさんに聞いたところ, 教育含めてその筋専門家であるかもさんも知らないのだから今本当にないのでしょう.
まずはこれらの関係はおいておいて, 数理論理とその情報への応用をきちんと勉強しなければいけません. いつになるやらといった感じですが.
Union-Findアルゴリズムと計算科学の話: 情報と物理の関係¶
Union-Findの応用としてパーコレーションが挙がっていて, これはやはり専門家にしか書けない文章でしょう. 上で自己共役性の物理, 数理論理と情報理論といった話を書きましたが, 数学・物理・情報に関わる・またがる話で, 少し突っ込んだところに触れるのは大学の外では非常に大変です. もっとやってくれる人が増えないかと願っています. 私ももっと情報をきちんとまとめて, いろいろな人が触れられるようにしなければと感じています.
メモ¶
標準ボレル空間と速度距離空間の詳しいPDF¶
arXiv にもはや教科書扱いされそうなPDFを見つけた 標準Borel空間 https://arxiv.org/pdf/0809.3066.pdf 測度距離空間 https://arxiv.org/pdf/1410.0428.pdf
標準確率空間って完備可分距離空間上に確率測度を与えた空間だから、測度距離空間論の主戦場なんだろうね・・
あと日本数学会にも標準Borel空間のPDFがあった https://www.mathsoc.jp/publication/ItoArchive/V10/A12pp001-149.pdf
『取扱注意!高校数学を大学数学で解く「チート解法」』¶
拙著『取扱注意!高校数学を大学数学で解く「チート解法」』がもうすぐ出版されます。予約受付中です。 https://hanmoto.com/bd/isbn/9784753935505 Amazon:https://amazon.co.jp/dp/4753935507 楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17772250/ 題名通りのえげつない本です。多分こういうコンセプトの本は史上初だと思います。
何を侮辱と捉えるか¶
マザーファッカー系の悪口は日本人には効きが悪いということをまず学ぶべき、こうやって異文化を理解していこう
自分も親と距離があるし親とベタベタな人が周りに居なかったので、何故母親を侮辱する事が本人への最大の侮辱になるのか?ってのがずっとピンと来なかった。中国語でも母親を侮辱する悪口が沢山あって不思議だったけど、とっても近く濃い親子関係を見て聞いて、やっと何と無くわかるようになった。 親への感謝や愛情を人前で言う事は少なく親のことをくさす冗談の方が多い。特に母親は「女性」じゃ無く「母親」という感覚があるので、親を貶されても、特に母親を性的な方面で侮辱する言葉はピンと来ない。 それを中国人の友達に説明すると皆驚く。怒るポイントの違いも文化の差の面白い所だと思う。 国絡みで腹立つ事っていう友人との話で、日本を嫌いで日本っぽいデザインに腹を立てる気持ちは分からないし(アメリカっぽいデザインやそこら中にあるし)、中国人に日本の政治批判をされても別に腹は立た無いけど、もし職人が丹精込めて作った寿司を踏み潰されたら物凄い怒りを感じる。これは何だろう。 きっと食べ物を大事に、人が一生懸命作った物を大事に、お米は大事に、職人へのリスペクト、などの道徳観をぶち壊される感じが許せないのか? 国を離れて、こういう自分にとっての当たり前を改めて考える癖がついたし、割と面白い。
小平先生のレクチャーノートの英訳¶
ひょんなことから小平先生の「代数曲面論」(東大レクチャーノート8)が2020年に英語に翻訳されていたのを知る. https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-15-7380-4 ちなみに日本語版は無料.
小平 邦彦 述 山島 成穂 記 代数曲面論 [1968] https://ms.u-tokyo.ac.jp/publication/docs/lecturenotes08-kodaira.pdf 50ページ強で小平消滅定理まで. ちなみに東大のレクチャーノートは多数公開されていてかなり読みごたえあるよ. https://ms.u-tokyo.ac.jp/publication/lecturenote.html
公開されてないけど、小平さんのNevanlinna 理論は英訳された https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-10-6787-7
読み上げの意義¶
頭の良くない人って、テキスト読ませると「書いてないことを読み上げる」んだよね。てにをは、接続詞、助詞など細かいところまで丁寧に拾って読めないの。雰囲気で読んでるの。だから私は家庭教師や塾講師、知人の子の勉強を見る時はまず一番最初に「教科書声に出して読んでみて」って学力チェックする そうするとやっぱり「うわー、全く書いてないことを読み上げてるわー…」というケースが必ずある。「書いてある通り、そのまんま、ただ読めばいいだけ」なのに、それができない。「どこにも書いてないことを読む」って、ツイッタランドのクソリパーだけじゃなく「小さい頃から」始まってるみたいだよ そんで人に指摘されるまで「自分が間違えて読んだこと」に気づかないし、指摘しても気づかないことすらある。「ちょ、今のところもう1回読んで」っていうと「え、間違ってた?ちゃんと読んだけど?」って言う。「いやいやいやいや、ちゃんと読めてなかったし、間違ってた」っていうやり取りになる 嫌なやり方かもしれないけど、読んでるところを録音してあとで聞かせた方がいいのかも。「ここがちゃんと読めてなかった」「書いてないことを読んでるよ」みたいなことを教えるのって大変だけど、そもそも「書いてあることを書いてある通りに読めない」ようでは、何の科目を勉強しても無駄だと思う だって「書いてあることを、書いてある通りに、読めない」んだから。 勉強の前にまず「テキストの音読」をやって「書いてあることを、書いてある通りに、そのまま読む」訓練したほうがいいと思う。 少しバズっていて言葉が足りなかったなと思ってたところに質問が来たので補足しますが「書いてないことを読み上げる」というのは「書いてある通りに読ま(め)ずに、助詞や接続詞を平気で飛ばし、雰囲気で意味が通じように、自分で無自覚に創作したものを、勝手に挿入して発音する」という感じです。 「書いてある通りに読める人」にとっては「一体どうやったらそんなことができるのか」「書いてないことを読むほうが、はるかに難しい」と思うのですが、「書いてある通りに読むほうが難しい人」にとっては「自分で勝手に創作する方が簡単」みたい?と思います あと、言うまでもなく漢字。「この学年で、この漢字が読めない」というのが、音読してもらうと一発で速攻把握できるので、教える側にはとても便利。 最悪ひどいときは、「~~ではない」を「~~である」に読み違えていたりして、「まるきり正反対の意味」に読んでいる事すらある。「これじゃあ、勉強が全然わからないわけだわ~!」と思うことが多い。低学力の子は。音読を見てあげるだけでも全然違うと思う。 なんかすごいバズってしまってビックリだし宣伝するものもないんだけどww、書き出しが「頭のよくない人って、」って書いたのがよくなかったみたいだね。誤解を生んだり気分を害された方がいらしたみたいでサーセン。「学力の伸び悩んでいる方は」とか書けばよかったかな。 クソリプもかなり来てるけどw、「目からウロコ」「音読の意味がやっと分かった」というリプが多い中、「全く信じられない」という人もいて、そういう人はたぶん低学力の子の勉強を見た経験があまりおありでないのかも?。「それはディスレクシアです」ってリプもけっこう多い。
工学者の矜持: 体育館に「おうち」ができた…能登半島地震で大活躍する「1棟1万円」の簡易住宅を作った大学教授の使命感¶
文字式の難しさ¶
- 文字式の導入の指導について
- 文字式_指導_12.pdf
- 魔方陣からの文字の導入
思想の自由¶
だからクセイさんは 「海外では小児性愛者に厳しいことを言ってるやつほど、実は小児性愛者で犯罪を犯していたってことが多々あるので、小児性愛者を叩いてるお前も怪しいことになるので、そうじゃない証明をしてみろ」 と言う
世界史学習¶
どっかでまた山川世界史を読めという議論が発生してるのか。これどうぞ。>高校世界史レベルの知識を速成でインストールする方法 - Togetter 14年越しの補足記事です。> 高校世界史教科書で学びなおす歴史学習メソッド(2024年/令和6年改訂版)tricken @tricken
今回、山川世界史への批判点も複数出ている。OSとアプリのシナジーみたいな話と議論の構造が似てきたかもしれない。もちろん山川世界史は「教師から見た都合の良い保守性」という批判はある程度的を射てるんだけど、その保守性のお陰でできた教材ネットワークのは自習派にも恩恵を齎してると思う。 自分は「自習派こそ山川世界史B×良質な資料集のコンビネーションで独習できる」という仮説を敢えて推してる(※教師付きの方が効果が高まる場合はあるが、教師付きでなければ山川世界史の価値が大きく減じる、という立場には立たない)。 その上で「引っかからず通読する」ことを重視するなら、山川世界史Bは厳しい局面もあるかもしれない。あと他の方も言ってる通り、山川世界史にはグローバルヒストリーアプローチや世界システム論の視座が希薄だし。(前に岡和田さんに「西欧中心すぎる編纂だよね」と突っ込まれた事もあったね)。 2010年の頃は受験世界史への視点もあり、「テーマ史から論述へ」という点を断ち落とせなかった。そうなると、一見zipファイル的とも言える山川世界史の圧縮言語文も、「論述としてまとめるならこれっきゃない」的な端正な文として参考になるんですよね。その点で山川世界史は若干誤解されている。 システム論、グローバルヒストリー的な視座を踏まえつつ(つまり西欧中心主義的な書き振りを現代的な傾向に合わせて崩しつつ)、なお若干の圧縮言語的端正さを継承した山川世界史・改みたいな教科書があればいいんだけど、山川の『新世界史』最新版はそういうものになってるのかしらね。確かめたい。 しかし改めて、受験世界史を目標としない場合の目標設定、つまり「テーマ史や論述と言った問題に回答できる(=アウトプット可能な状態になる)」ことを単なる世界史やり直しの中の課題に全然含めないでいいのか、というのは、実は結構悩ましい。世界史的問題を作文で答えて身につくものもあるから。 テーマ史や論述を全然省いて「読むだけの理解」をひとに薦めるのは、数学に例えるなら「演習問題をぜんぜんやらなくても微分積分はわかります!」的な欺瞞に近いものを感じるんですよ。 「単に読み通すだけで高度に理解できる世界史読書」なるものは、本当に世界史の“アウトプット”能力含めた理解を涵養してくれるのか疑問だ、という気持ちがある。他方で世界史の国立大論述対策みたいな激ムズ問題をやりまくることもまあ、やり直し世界史のコアにはなり得ない。どこでバランスを取るか。 自分が、人によってはとっつきづらい山川世界史を敢えて薦め続けるのは、この「特定の歴史記述について端的に述べ直す」という時の手本となる作文を示してるという点が大きい。単に読むための教科書ではなく、いつか自分で述べ直すための手本を示している教科書、という見方をしている。 その上で、もしかするとそういう点も含めて、帝国書院やその他の教科書の方が、モダンで優れた「歴史を語る作文の新たな手本」になっているかもしれない。その時は山川世界史をいったん省いてもいいかもしれないと思う。(帝国書院の世界史Aと新詳世界史みとこ) ともあれ「自分の手で歴史の一部を、学んだ事実に基づき述べ直す」という演習が世界史学習の後半部分において想定されていることは、どんなタイミングで世界史をやり直すのであれ、僅かでも意識されたほうが学習効果が高まると思う。 「読み物としての世界史(学習)」ではなくて「書き物=規定演武的語り直し=出力品質保証としての世界史(訓練)」みたいな世界観をバックグラウンドで駆動させながら山川世界史を推していたかもしれない。その世界観で褒められる山川世界史というのがあるわけです。 ここまで山川教科書の是非を述べたところで、「書き物の参考としても今一番イケてる高校世界史教科書はどーれだ」という話はアップデートさせてゆきたい。書き物としての山川世界史のことは相変わらず評価してるけれど、2024年現在で見直すと山川が脱落してる可能性は全然あると思っている。 新課程の方が評判いいというコメントがあり、気になりますねえ〜。ディベート的に山川世界史Bを推す立場をしばらく保持しますが、折れる日も来るかも。
私も世界史教科書は帝国書院を推します。 山川のシェアが高いのはその保守性(新項目はコラムに回すなどして構成をできるだけ変えない等)故、つまり採用する側=教える側の「授業のやり方をできるだけ変えたくない」という心理に寄り添っているから、というフォークロアもあってですね。
2024-01-28 幾何の難しさと暗記問題/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.
- 勉強するときに意識する三要素
- 幾何の難しさと暗記問題
- 幾何と調和振動
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
勉強するときに意識する三要素¶
最近数学としては腰を据えてゆるく幾何のノート作りを進めています. 改めて感じたのが覚える大変さです. まず一般的に何かを勉強する上での要点は次の三点にあると考えています.
- 知識
- 技術
- 頭の使い方・思考法
お互いに関連する要素もありますが標語的に分けてあります.
知識は単純に知識です. 暗記事項と言っても構いません. 数学で言えばいろいろな概念の定義その記号, さらに基本的な記号運用のルールを覚える必要があります.
技術は例えばホモロジー代数で可換図式のdiagram chasingなどが(知っている人には)イメージしやすいでしょうか. 不等式処理の腕力なども技術枠に入れています. telescope methodのような名前がついている方法もあり, 電磁気などベクトル解析でのガウスの法則・ストークスの定理に対する部分積分なども技術枠と思っています. 変な言い方かもしれませんが, 「受験テクニック」の類も技術的な問題と言えるでしょう. 知ってさえいれば楽になるがそれを知らないと困るタイプの知識があります. 単に知っているだけでは駄目で必要なときに知識の引き出しから出せる必要があります.
上記二つは基本的に分野特有で, 最後の頭の使い方・思考法はある程度汎用性があると思います. ここで想定しているのは例えば「分類」です. どんな分野でも分類は基本的な思考の枠組みです. 語学・言語学で言えば例えば単語の品詞の分類があります. 物理で言えば, 磁性による強磁性・常磁性・反強磁性物質, 電気伝導度による分類として超伝導現象を起こすかどうかといった分類があります. 数学で言えば「どのような多様体があるか」, 「どのような作用素環があるか」といった問題は常に分野の基本的な問題です. 新たな分類を探すのも大事な問題で, 分類を特徴づける要素の研究や, 新たな分類を生み出す要素の発見といった問題もあります.
幾何の難しさと暗記問題¶
前段を受けて幾何の難しさを考えます. 解析系出身から見た幾何の難しさはまず知識面, もっと端的には暗記にあります. 具体的には幾何では次のような形で大量の空間が出てきます.
- 多様体
- 接空間・余接空間
- 接束・余接束
- 一般にベクトル束
- ベクトル束のファイバーのテンソルで得られるテンソル積束
- ファイバー束・主束
もちろん全て「多様体」の一言でまとめられるとはいえ, それで済んだら苦労はしません. そもそも多様体自体に関わる概念・記号がたくさんあってひどく面倒です. そして上記の多彩な多様体を適当な形で区別して議論しなければならない理由として, 多様体上・多様体間の写像や作用素の問題があります.
- 多様体上の写像
- ベクトル場・微分形式
- (リーマン)計量
- ベクトル束に値を取る微分形式
- 一般に多様体上の切断(がなす空間)
- 様々な微分作用素: 外微分作用素, 接続(共変微分), リー微分
カルタンの公式などこれらの間の適当な関係もあります. ここでもいくつかは「切断」と言えば一言でまとめられます. しかし実際に勉強していてそれで済んだら苦労はいりません.
さらにややこしくなるのが「誘導---」です. 例えば接束上でのリーマン計量は余接束に対してリーマン計量を誘導します. 他にも引き戻しで誘導される計量といった概念もあります. 接続も同じく誘導接続があります. たくさん空間がある中で誘導された概念も含めて大量の計量や接続や微分作用素の概念が現れます. 実際に計算をしていてどこの空間にどう作用するのか記号的・概念的によく混乱します.
ここで「慣れればわかる」問題が出てきます. 確かにそれはそうですがそれで済んだら苦労はしません. 基本的に概念間に適当な整合性があるように定義されていますし, それこそ丁寧に追いかければどうにかなります. そしてこの「丁寧に追いかけてどうにかする」のが一番大変です. 最近ようやく慣れてきたというか, いろいろな概念や基本的な等式などが頭に入ってきました. やはり焦らずじっくり丁寧に向き合うしかないと改めて実感しています.
しばらくベクトル束を中心に勉強していて, 指数定理で特性類が出てくるためファイバー束と特性類の復習を再開しました. ファイバー束まわりで記号の定義が全く頭に入っておらず, 議論を追いかけるのが本当に大変です. そもそも一回とにかくノートを作っただけで, 事実上新しいことを勉強していると言っても間違いではありません. 「慣れればわかる」は基本項目の暗記も含むのを実感しています.
幾何と調和振動¶
とりあえずざっと指数定理の証明に関するノートを作りました. まだクリフォード代数のノートが雑なままで半端ですが, 解析的な部分が一通り書けたため, これからじっくりタイポチェックも兼ねて復習をはじめます.
熱核の方法による議論を追いかけていて, その中で調和振動子に対する熱方程式が出てきました. 単に$\frac{\partial u}{\partial t} = Hu$の$H$が調和振動子になっているタイプの熱方程式です. 調和振動子のシュレディンガー方程式の虚時間化と言っても構いません. この中でメーラーの公式なども出てきました. 前から名前などはもちろん知っていましたが, これまでまともに使ったことがなくノートも作っていなかったため, 改めて調和振動子まわりのノートも整備しました.
幾何, 特に調和積分論や指数定理の, 微分幾何というより幾何解析よりの解析的な議論でこれまで積極的に使う機会のなかった解析学系統の知見を使う機会があって非常に楽しいです. 調和積分論も指数定理も熱方程式とコンパクト作用素周辺の議論を軸にでき, コンパクト作用素のスペクトルも幾何的な情報を持っています. 他にはテイラー展開, より強くは漸近展開の議論も重要です. これがなかなか大変ですが形式的ベキ級数もこんなところで使うのかという感動があります. リーマン計量のテイラー展開なども追いかけるのが大変ですが面白いです.
メモ¶
国籍の定義¶
外国人が帰化すればそれで「日本人」と言って良いかどうかの旨、議論が繰り広げられております。これに関しては、国の政策に関わることであり、大使としての立場上コメントすることは許されません。しかし、一人の個人として意見を述べることは、実はそれ以上に憚る気持ちがあります。なぜなら、それはまさしく日本人が決めることであり、外から来た私たちは、たとえ帰化したとしてもそれに対して軽率に口出しして変えようとするのは、適切ではないと思います。「答えになっていない。だから、その日本人の定義は?」と聞かれればそれは、雲ひとつない青空のように疑問の余地を残さず自分のことを「日本人」だと確信している人を言います。
また私個人に関しては、これだけ日本に馴染んでいて多くのフォロワーがいるから、これから付き合っていく上でこれを機会に説明をしたいと思います。私は幸せな人間です。なぜなら自分にジョージアという国が特有のアイデンティティを恵んでくれたからです。だから、今世はジョージア人として誇りをもって生きていきます。その上で、日本は私にとっては第二の故郷です。それだから一層と自分は恵まれていると感じます。
これでいて、もちろん自分の子供はジョージア人として生きてほしい気持ちはあるが、子供は子供で大きくなってからものごとを自分で考えてほしいという気持ちが強いです。その時はその時で状況が変わっていることでしょうし。本題に関しても、今とは考え方が変わっていると思いますし、それだから歴史は面白いのです。
素イデアルの集合とスペクトル¶
擬微分作用素とパラメトリクス¶
擬微分作用素の理論を先にやって楕円型微分作用素のParametrixの存在を先に示してしまった後に楕円型正則性を楽に示すと言う方法、Wells以外で見たことない
2024-01-14 省略記号の利用を控える/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.
- 近況報告
- 省略記号の利用を控える
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
近況報告¶
年明けから数学のリハビリを続けています. 年末年始に買い込んで休みに読もうと思っていたプログラミングの本の積みもあるため, そこも消化したいところですが久しぶりの数学集中モードでなかなかうまく時間配分できていません.
やはり数学は猛毒というかいったん集中すると抜けられません. 復習のためにもノート整理しつつ進めていてあまり進捗はないものの, 急ぐものでもないためのんびり進めています.
Leanなど勉強したいことが死ぬほどたくさんあって精神と時の部屋がほしいくらいです. 日常が退屈とかいうのは本当に理解できないですね.
今週は書けることがあまりないのですが, できる範囲できちんとやっている姿を見せるだけでも大事だろうと思い, 自分の進捗記録も兼ねて書いています.
省略記号の利用を控える¶
細々とした記号の確認のため, 久しぶりに多様体論と微分幾何の基礎のところからノートを見直しています. TeXのタイピングが面倒で省略記法を使っていたのですが, 久しぶりに見返すといま一つわかりにくいと思うようになりました. 以前はシンプルな記号の方が読み書きしやすくてよいと思っていたものの, 慣れていない幾何の分野でそれをやるのは悪手だと改めて感じています. 復習ついでに記号を整理しているため, 復習自体の進捗も芳しくありませんが後でコンテンツとして提供する予定でもあるため, 最終的に必要な作業でもあります.
他にも省略記号には流儀がいくつかあります. 必要になってネットで調べ, 時々でその文献での記号を使って書いている部分もあり, 不揃いになりがちな部分もあります. その統一も兼ねてシコシコとノートを整理しています.
方針の大変更でもあるため, 記述の整合性のような問題もありますが, 仕方ありません.
そもそもとして熱力学の有名な問題で, 「どの変数の関数で何を固定して偏微分するか, 既存の記法はわかりやすいとは言えないが, 慣れれば問題ない」とよく言われる一方, 慣れるまでが問題で挫折するともよく言われます. そして実際, 慣れきっていない分野で前に書いたノートが案の定読みにくいため, 幾何解析系の記述を追加しつつ並行して改善中です.
指数定理のノートを作っていると, 当然ながら位相幾何系の話も出てきて, そのノートも作り切れていませんし, そもそも基礎知識も足りていません. 興味はあるものの私の中での優先度は低めに設定していつつ, どうしたものかと悩むところでもあります. 悩むというとネガティブな響きもありますが, 基本的なところでもまだまだ見えていない面白い世界があるのも確実で, もちろん楽しみの方が強いです. こういうのは勉強会的に人を巻き込んでやるのがいいのですが. 数年レベルでじわじわ進めるしかありません.
2024-01-06 『偏微分方程式で学ぶ多様体論』がほしいので作る/相転移プロダクション¶
今回のテーマ¶
式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.
- 近況報告
- お勧めの本二冊, 『調和積分論』と「複素関数論」
- 他にも挑戦したい分野: 基本的な幾何解析の分野集
- コンパクト作用素の幾何への応用
メルマガページへのリンクは次の通りです.
感想をください¶
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
近況報告¶
結局ここ半年ほど仕事関係のプログラミングの勉強ばかりでほとんど数学・物理のノート作りをしていませんでした. たまに気分転換に過去のノートを見返して復習・整備をしていた程度です. 年も明けたため心機一転で微分幾何・幾何解析のうち具体的にソボレフ空間論・作用素論・偏微分方程式論を駆使するタイプの勉強を再開しました. ここ二ヶ月程度は現実逃避で$\overline{\partial}$-方程式による多変数関数論の勉強をしていてソボレフ空間をよく使っていたからでもあります.
去年は代数的位相幾何・層とコホモロジーなどの幾何に関わるノートを整備しきりたいと思っていたものの, 後半の怒涛の仕事用学習でほぼ頓挫しています. ノート作りからもかなり離れていたため, 気分を乗せやすい解析関係で勉強を再開しました.
ついでにいろぶつ先生が特殊相対性理論の教科書の査読者募集をしていて, そちらにも応募して特殊相対性理論のリハビリをやっています. 量子情報のための線型代数の通信講座・勉強会の第三弾の開催が遠くなっていますが, これが終わったら特殊相対性理論(のための線型代数)をやろうと思っています.
今月からメルマガもきちんと再開する予定です. ゆるくがんばります.
お勧めの本二冊, 『調和積分論』と「複素関数論」¶
具体的には次の二冊です.
前者は$\overline{\partial}$-方程式による多変数関数論の本で, 後者は熱核の方法による多様体上のラプラシアンを調べる調和積分論の本です. どちらも比較的薄い割に一定以上のラインまで議論が進む点がよいです. 前者は意図的に複素多様体の議論はおさえて$\overline{\partial}$-方程式の議論に集中している点がよいです. 幾何の本はあくまで幾何がしたいため, 調和積分のゴリゴリに解析的なラプラシアンの解析の詳細は避けられ, 結果だけが導入される方が多いように思います. そんな中で後者は(私の観測範囲では)なかなかない解析に真正面から取り組まれた本で貴重です. 一応多様体の基礎からまとまっています. 後半も後半の調和積分のところしか読んでいないものの, ベクトル束を含めて必要な知識自体はまとまっているため, ベクトル束までの幾何の様子をさっと知る目的にもよいのではないでしょうか.
どちらにも特徴的なのは関数解析やヒルベルト空間の議論がある点です. 関数解析を勉強したはいいものの, どこにどう使うのかイメージが持てない人, 純粋な解析以外, 特に幾何への応用を見てみたい人にもお勧めです. $\overline{\partial}$-方程式・調和積分論はともに楕円型正則性が実際に役立つ場面でもあり, 楕円型正則性愛好家にもお勧めです.
他にも挑戦したい分野: 基本的な幾何解析の分野集¶
既にいくつかノートを作ってある内容(ただしタイポ修正を含めたブラッシュアップができていない)も含め, 次のような内容を整備したいと思っています.
- 多様体上のラプラシアン・ディラック作用素の解析
- 指数定理
- (ウィッテン流の)モース理論
- 山辺の問題
- モンジュ・アンペール方程式
- ゲージ理論, サイバーグ・ウィッテン方程式
- $\overline{\partial}$-方程式, さらに深い多変数関数論, 特に複素多様体上での議論
モース理論はウィッテン流だとソボレフ空間をゴリゴリに使うようです. ミルナーの本に相当する内容でも常微分方程式とその解の極限を丁寧に議論してモースホモロジーを構成するため, 解析的に丁寧な議論が必要です. モース理論自体, かなり直接的に微分積分をがんばっていると幾何がわかる分野でパラパラと本を眺めていて面白かった理論です.
そもそも基本的な多様体のノートも面倒で作り切れていない問題があります. 何度か勉強しているため, ある程度わかっている内容を改めてきちんと書くのが本当に面倒で, 逆に解析方面の基本的なノートを通信講座作成と合わせて書いたときの強制力の強さの凄まじさに今更ながら驚きます.
コンパクト作用素の幾何への応用¶
これまで非可換幾何で無限小の扱いになるとか何とかでコンパクト作用素を使う話は聞いていて, それ以外にこんなの都合のよすぎる作用素をどこで使うのかと思っていたら, 改めてコンパクトリーマン多様体上のソボレフ空間論・偏微分方程式論の応用で標準的な議論の対象だとようやく認識しました.
有界領域に対するソボレフ空間論で埋め込み写像のコンパクト性はもちろん知っていたのですが, こんな形で使うのかと改めて驚いています. 全空間でのシュレディンガー方程式に対する応用しかしたことがなく, 当然この意味でのコンパクト埋め込みが出てくる局面がありませんでした. 特に調和積分論で醍醐味が味わえるためぜひ先程紹介した本で調和積分論を解析的に詰めるところまでやってみてください.
調和積分論の解析的に面倒な部分はホッジ分解の厳格な議論で, 特にポアソン方程式の解の存在の議論です. 本質的には同じような話ですが, ホッジの定理「向きづけられた閉多様体の全てのド・ラームコホモロジー類はただ一つの調和形式で代表される」でも調和形式の存在の議論でラプラス方程式を解く必要があり, ここで解析をフル回転させます. 特に熱核の方法では熱核のコンパクト性に帰着させます. いま手元のノートでは上記の本による余接束でのシンプルな熱核の方法による調和積分論と, クリフォード束上のディラック作用素の楕円型正則性と合わせて議論するタイプの調和積分論と二通りのノートを整備しています. 上記の『調和積分論』ではパラメトリクスの議論もあり, 同じく熱核の方法によるディラック作用素の指数定理でも役に立つ議論です. 実際, 読もうとしている本が熱核の方法による指数定理を議論しているため, その前哨戦として上記の本のノートを再整備した形です.
ちなみにホッジ分解は電磁気で有名なヘルムホルツ分解の一般化にあたります. 私の手元の幾何ノートにはもちろん証明つきで記録しています. 細かな整備が全然できていないため公開できる状態ではないのですが.
メモ¶
zenn, 情報系ならレポート執筆にもアジャイルを導入したい!¶
- URL
- レポートを
Jupyter notebook
で書く - 文芸的プログラミングをいい感じに実行する手法を探したい
ディラックの逸話¶
ディラックが学生に「何か質問はあるか?」と聞いて、式の導出が分からないと聞いてきた学生に、「それは質問ではなくて陳述にすぎない」と言った話好き。 http://www.p.s.osakafu-u.ac.jp/~kayanuma/teigi.html
突出した子を集めた英才教育に挫折「IQだけじゃない」学園の教訓¶
文部科学省が「これまで我が国の学校において取組はほとんど行われてきませんでした」と、今年度から始めた「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」。いわゆる天才児、ギフテッドと呼ばれるような飛び抜けた才能を持つ子への支援だ。
ただ、民間でのギフテッド教育で先行したNPO法人翔和学園(東京都中野区)の中村朋彦さんは「レベルが高い集団で英才教育を施し一芸を伸ばす、そんな単純なものではなかった」と振り返る。
才能を伸ばす試みがうまくいかなかった理由、挫折から得た教訓、形を変えた新たな試みを聞いた。 連載「天才観測」
将棋の藤井聡太八冠、大リーグMVPの大谷翔平選手。前人未到の境地を切りひらく「天才」の活躍に沸く日が続きます。天才が社会にもたらすもの、人々が天才に託すもの、現代の天才について考えます。
つんく♂「天才はいたけど採らなかった」 才能よりも大事な成功の源
目標はイノベーション、小学生が相対性理論に言及
――ギフテッド教育はどのような経緯で始まったのでしょうか?
「発達障害を抱えている、小学校を不登校といった子どもたちを支援するフリースクールを運営する中で、IQ(知能指数)が飛び抜けて高い子が一定数いることに気がつきました」
「子どもたちと一緒に公園に行くと、すべり台やブランコでの靴飛ばしをして楽しそうに遊びます。子どもらしいなと思ってよくよく会話を聞くと、すべり台では摩擦係数について、靴飛ばしでは射出角度について話し合っている。同年代の一般的な子どもたちとはなじみにくいはずです」
「IQの高さゆえに学校の授業に魅力を感じなかったり、才能の凸凹の凹の部分ばかり指摘されることで意欲をなくしたりする子が多いです。恵まれた才能を生かして凸を伸ばすことに特化すれば、社会にイノベーション(技術革新)を起こす未来のエジソンやアインシュタインが生まれるのではと、2015年にIQ130以上を目安に選抜した小学生によるアカデミックギフテッドクラスを設けました」
――どのような子が集まり、どのような教育をしたのでしょうか?
「イノベーションが目標だったので、特に理数系が得意な子を募集しました。バーチャル嗅覚(きゅうかく)を研究したいという子がいて、人間の五感のバーチャル技術において、視覚や聴覚は研究や実用化が進んでいるものの、嗅覚は遅れているといった関心の高さを持っていました」
「他のクラスで行っている基本的な課程は最小限にして、子どもたちがそれぞれ関心がある分野を重点的に。学習発表では、インターネットを駆使して様々に調べて相対性理論に言及する子もいました。我々では教えられない高度な部分も多く、理系の大学院生や英語講師といった外部の方も講師として招きました」 3年で廃止「指導が間違っていたと認めないといけない」
――意欲的な取り組みで、問題があるとは思えません。なぜそれがうまくいかなかったのでしょうか?
「この子たちの将来の働き場になると想定した、IT企業の技術者や大学の研究者に視察に来てもらいました。ところが評価は厳しいもので、甘さを痛感しました……」
「指摘されたのは『小学生にしてはすごいが、このレベルの子は高専にはたくさんいる。ネットで調べた形式的な知識はあるが、科学の基本的概念の理解が浅い。周囲の助言にあまり耳を傾けず、実験に失敗した時の諦めも早い。これでは厳しいよ』というものでした」
「そう言われてよくよく見ると、IQが高くて弁舌も巧みなので大人が感心するようなすごいことを話しているのですが、資料を丸暗記しているだけで本質的な部分は理解できていないのではないかと感じることもありました。また、IQで選抜したことにより、子どもたちが悪い意味での特別感を持ってしまった面も見受けられました」
「医師ら運営に協力頂いている外部の有識者の方とも相談し、私たちの指導方針は間違っていたと認めないと次には進めないという結論になり、アカデミックギフテッドクラスは3年後の18年に廃止しました」
――挫折から得た教訓は何でしょうか?
「IQの高さばかりに注目してしまいましたが、社会で生活をうまく営むための発達に飛び級はないということです。成長のためにはやはり基礎学力、協調性、やり抜く力が欠かせません」
「全員が一つの大教室に集まっています。喜びや達成感を共有するためみんなで肩を組んで歌うなど、経験を共有する機会を大切にしています。それぞれが興味ある分野で個別学習するだけでなく、共通の目標に向かって集団で協力して学ぶことなども行っています」
――しかし、ギフテッドや発達障害の人はそうしたことが苦手だから、学校になじみにくいとされます。だからこそ長所特化にしたのではないでしょうか?
「長所を伸ばすためにも基礎が必要なんです。そのため一律的な形でなく、個別に適した形を模索しています。具体的には、文字を読んだり書いたりするのは苦手だけど絵を描くのがすごく得意な子がいます。絵の教本を渡すと、何回も模写をしてどんどん上手になっていく。ところが、ある程度のところで上達が止まりました。理由を探ってみると、文字が苦手だから教本の絵ばかり見ていて、技法の説明文をしっかり理解できていなかったのです。この子は今、苦手な国語を克服するためではなく、得意な絵をさらに伸ばすために言葉を調べるなどの勉強を頑張っています」
「また、世界一の大きさのペットボトル水ロケット発射に何度も挑戦して、昨年にギネス世界記録認定を受けました。大きくて明確な目標を立てることで、みんなで取り組む、失敗しても諦めずに続けるということを結果につなげられました。個人の興味関心の分野だけに閉じこもるのでなく、高校野球のように仲間と一緒に泥臭い青春を送ることで、様々なことに折り合いが付けられるようになるのではと期待しています」
――未来のエジソン、アインシュタインを育てるという目標も変わったのでしょうか?
「その目標も反省点です。イノベーションというわかりやすいキャッチフレーズにとらわれて、私たちが才能に優劣をつけてしまった面もありました。IQの高い低いは個人差でしかありません。実際、ペットボトル水ロケットの取り組みでは、IQが低くてもテープを巻く作業に黙々と取り組める、ロケット先端を上手に鋭角にすることができるといった子が大きな力になりました。それぞれの個性が、成功につながる才能でした」
「今は、自己肯定感を持ち、他者の幸福に貢献することに喜びを感じられる若者を育てたいと思っています。イノベーションの文脈で言うなら、『勝者総取り』ではない形で社会の発展に寄与する人材を育てることを目指しています」(聞き手・加藤勇介)