http://mmatsuo.com/%e7%90%86%e8%ab%96%e7%89%a9%e7%90%86%e5%ad%a6%e8%80%85%e3%81%ab%e5%b8%82%e6%b0%91%e3%81%8c%e6%95%b0%e5%ad%a6%e3%82%92%e6%95%99%e3%81%88%e3%82%88%e3%81%86%e3%81%ae%e4%bc%9a/ あとは松尾さんとやっていてYouTubeに公開している勉強会の内容でしょうか。作り直したバージョンをいまだ公開していませんが https://phasetr.com/mtlp1/ とか。というか、まずこれを見ろ、という気分で作ったのでこの辺見てください。(いわゆるわかりやすいかどうかは別です) あと https://phasetr.com/mtex1/ と https://phasetr.com/mtexpdf1/ は有料コンテンツの案内ページですが、このページの内容だけ読んでも参考になるように書いたのでこの辺も眺めておいてください。
既存の現代数学観光ツアーは整理してあって未リリースなのもありますが, いまの視点で改めて「簡単なことを難しく」講座が作りたいですね. 最近, 幾何で調和積分までは一通りやり直して, 解析と幾何について改めて頭にロードしたのでそこまで含めてコンテンツ作りたいです.
これまたTwitterを見ていて思った話ですが, 最近, 黒木さんの統計学のipynbをもとにした勉強会をやっていて, スターリングの等式の近似の具合を見るプログラムなどがありました. これをやっていて「定性的・定量的にそうなるのはわかるが, やはりプログラムを書いて図で実際に確認するのは楽しい」という話が出ました. 私もそう思います.
学部一年の教養の数学で出てくるネタを実際に計算練習として追いかけるのと同時に, プログラムを書いて遊ぶコンテンツが作りたいと思ぅています. プログラミング系の勉強会でネタにするかどうするかと思っています.
こういうコンテンツ, 探せばどこかにある気もするのですが, 見つけられないのでやはり自作するしかなさそうで, 作りたいモノはたくさんあっても時間が追いついていない状態です.
最近執念深くアインシュタインの原論文を読む会を続けています. ここ一週間くらいいろいろ諦めて, ドイツ語の原文を見ることによる無理やりのドイツ語単語暗記に励んでいます.
フランス語やイタリア語は英語との関連が見やすくて割とすぐに頭に入ってくれるのですが, ドイツ語はちょっと凝った単語になると英語と離れてくるので, なかなか頭に入りません.
20回くらいくり返し英語と比べつつドイツ語を読んでいると, ようやく少し頭に入ってきます. その副産物で, いままでさっぱりわからなかったドイツ語の文構造が少し掴めるようになってきました. 原論文を見るとわかりますが, 一文一文が異様に長く非常に読むのが大変です.
それはさておき単語暗記です. 何度も調べるのに余計な時間を使って読解どころではないので, やはり単語をきちんと覚えなければと思ってやっています.
いいオンラインコンテンツ・教材がなく, 英語・フランス語だとできる手法が使いづらく困っています. やりたいのはごく単純で, 語源を掘り込んで単語への印象を強めるというタイプの勉強がしたいのです.
日本語の紙の辞書で語源が書いてあるのはありますが, 紙は時間がかかるのと持ち歩くのが大変なので, やはりオンラインの資料がほしいです.
英語とフランス語だとWiktionaryがあって, これがかなり楽しいです. ドイツ語版もありますが, いまひとつ充実度が足りません.
少し調べたらドイツ語だと http://dwds.de が有名だそうで, 少し眺めてみたら, 完全にドイツ語のサイトで, 語源は書いてあってもドイツ語です. ドイツ語の文法もザルなのにまともにドイツ語単語を覚えていないので, 全く読めないという厳しさがあります. Wiktionary は英語サイトなので読めてありがたいのですが.
ちなみに, 語学に関してはきちんと人に教わっていて, その人から紙の辞書はお勧めされているのですが, オンラインコンテンツがほしいという我侭を言っています. 運動不足の解消も兼ねて, エアロバイクを漕ぎながら, ChromebookでPDFを書きつつメモしつつで勉強しているので, そこに紙の辞書を併用して勉強するのが大変で, それでオンラインコンテンツがほしい.
http://dwds.de の語源の項を読むためにもドイツ語を覚えないといけなくて, ドイツ語暗記が進まない悪循環です. 地道に続けて自作するしかないのでがんばってやっていきます.
単語の勉強が楽しいのは, 数学での (群の) 表現論の趣があるからです. いわゆる印欧祖語とかいうやつですが, 単語にも一応アーキタイプがあって, そこから各言語での単語が出てくるという話があります. 私の修士の研究テーマは作用素環の表現論でもあり, 表現論にはそれ相応の気分というか憧れがあります.
この起源を辿る部分で表現論の趣があり, 広義の数学・物理をやっている気分があって楽しいのです. 各言語にどう降りてくるかを考えるのがまさに準同型を見ているという感じ. 同型ではないのでいろいろ捻じ曲がっていて, 言語ごとに少しずつ違ううつり方をしている部分を眺めて比較するのも楽しいです.
勉強会で数学科出で翻訳をやっている人が参加してくれていて, この辺の多言語ネタも話しています. 面白がってくれているので, うまくやれば, 他にも面白く思ってくれる人がもっといるはずで, その辺の様子見としていろいろやっています.
文法は文法で, 自然を自然法則で読み解くのと似た気分があるので, この辺の視点を重視した語学コンテンツがほしいのですが, 誰も作ってくれないので一所懸命自作しています. いま作っているのは一定程度の単語力と読み書き系英語への耐性を仮定してしまっていて, これだと大元のモチベーションの中高生向けのコンテンツになりません. なかなか調整が難しいです. 実際に中高生と何かしたいとは思うのですが.
今回もいろいろ書いていたら長くなったので, とりあえず今回はこんなところで終わります.
ではまたメールします.
期待値の線型性にフビニを使うという衝撃のツイートを見かけたので, ごく簡単にコメントした記事です. 確かに言われてみると混乱するのだろうという気分はあります. 勉強ついでに統計のノートはまとまってきているので, 適切なプログラムつきのきちんとしたコンテンツを整備しないとまずいのでしょう.
実際に読んでみて非常によかったので, とりあえず黒木さんのベイズのノートを勧めておきます.
黒木さんの資料はいろいろあってそれぞれ勉強になるのですが, いろいろありすぎてどれからどう読み進めるかが問題なので, それをきちんと整理する必要があります. 勉強会をしつつそれを整理しているところです.
今週は幾何・リーマン面の勉強よりも, プログラミングについていろいろやっていました. ベイズ関係で Julia のコードをよく見ていたのと, プログラミングの勉強会の次のネタ用に計算機科学系の本を読んでいます. アンダースタンディングコンピュテーションという本です.
お勧めしてもらった本です. Ruby で書いてある本で, この手の本は Haskell で書かれた本が多いとか聞くのですが, プログラミングというか計算機科学に突っ込んだ本をあまり知らないので, 実際に Haskell で書いてある本も知りたいですね. それも読んでみたい.
いまは Jupyter notebook があるので出力結果つきの プログラミングのノートが作りやすくて本当に便利です. Ruby を入れようと思ったら MSYS2 のインストールではまったので, Docker で iruby を使えるようにして, それで動かしています. まだ全然慣れていないものの, 多少なりとも Docker を使えるようにしておいてよかったです. Docker があると Windows でも環境構築がだいぶ楽になるように思います.
ただ, これをプログラミングに慣れていない人にインストールして 使ってもらうのは厳しいとも思います. その辺はやはり Google Colab がある Python がまだまだ圧倒的に強いです. 一通り勉強し終わったら Python 版と Julia 版を作りたいですね.
今週は他に書くことがなかったので, 久しぶりに幾何の勉強のログというか, ここまで勉強してきた上での多様体論の勉強のポイント的なところを適当にまとめます.
何度か書いた気もしますが, とりあえず多様体の話からはじめましょう. 何一つ面白くありませんが, 結論から言うと歯を食いしばってやるしかありません.
以前, 岩波の現代数学の基礎などの付録の小冊子か何かで, 深谷賢治さんが書いていた記憶があるのですが, 多様体論は幾何の舞台整備なので必ずしも面白くありません. 一通り終わってようやく幾何がはじまる趣があります. その意味で一番楽なのは, 数学科でとにかく無理やり一通りやらされて叩き込まれることです.
私自身, 数学科ではないにせよ, 学部一年で集合・実数・位相を叩き込まれつつ, 物理学科の学生として物理は最低限触れてきたからこそ, 何かを勉強するときにもある程度の感覚が育っていて便利なことがよくあります.
大人になってからの独学・再勉強だとこういう強制力が何もはたらかず, やりたいことだけやる, もしくはやりたいことしかやれず, 面白くはなくても大事なところが抜けがちになります.
実際に幾何の人と話したことがある話として単位の分割があります. これは「一回はやらないといけないが二度はやりたくない」ネタです. 微分形式に関わる局所理論は組み合わせ論的な議論は書くのが面倒で, これもそう何度もやりたくありません.
微分形式やホモロジー・コホモロジーは 「具体的な構成はどうでもよく使い倒せばいい」と言われることがあります. ただ, ところどころで具体的な構成を使って計算する場面はあり, そういうときに「やはり基礎から, 構成からきちんとやらないと駄目か」と思わされる面倒さがあります.
よく古典的な曲線論・曲面論をやるといいという話も見かけますが, これらは多様体論を避けた記述があって, 多様体論の勉強に役立つと思えたことがありません. むしろ一般的なリーマン幾何をやってから, その具体例として古典的な曲面論に落とした方が私にはよく気分が掴めました. そもそも曲面論をきちんと多様体論・一般的なリーマン幾何に きちんとつなげてくれている本があるのかどうかさえわかりません. 幾何の人または純粋な数学科の人が曲線論・曲面論と 多様体論の接続をどう勉強しているのか知りたいくらいです.
「理論物理学者に市民が数学を教える会」で実際に話したことなのですが, 物理学者が書いた本だといきなり位相空間や多様体の定義だけ出てきて, 数学的な気分は全然わかりません. あれだと逆に何も書いていなさすぎて本当に無味乾燥で, 逆に何であれで勉強できるのか・わかるのかが不思議です.
そんな感じで何からどう攻めると取り組みやすくなるのか, いまだによくわかっておらず, コンテンツ整備も後回しになっています.
それだけで足りるわけはないのですが, それでもとりあえずはリーマン面から攻めるのがいいのではないかと思っています. 多様体論というか幾何の議論でポイントはいくつかあり, そのうちの一つは局所座標を取って議論を進める部分です. やってみるとわかりますが, 実は記号的に非常にやっかいで, テンソル解析的な議論だけではカバーしきれない部分があります. その点, リーマン面だと複素一次元なので記号の面倒がだいぶ減っていて, 都合のいい座標系を取るという視点ががだいぶ見やすくなります. そこだけでもだいぶ変わります.
ここまででも言ってきたように, リーマン面は学部三年くらいまでの数学の総合格闘技の趣があり, そう簡単ではありません. 次回以降, 多様体の各論についての概要と, リーマン面のための基礎知識みたいなところをまとめていこうと思います.
今回はこのくらいにしましょう. ではまたメールします.
前回, 勉強会でフランス語と英語の語彙がよく似ているという話になったので, フランス語とイタリア語も割と共通点が多く, フランス語を経由して英語とイタリア語にも共通項が多いという話をするべく, ちょっとイタリア語の話をしています.
この辺の単語まわり, 何というか数学の表現論の趣があります. 印欧祖語やら何やらの母胎があって, そこから各言語に対して準同型があるかのような感じ.
これに絡めて, 改めてドイツ語と中国語の単語を覚え直そうと, 日々ちょこちょこ進めています. やはり文法より先に単語をやらないと勉強が捗りません. 相対論の論文は1000単語程度あって, 物理や数学系の論文を読むにはこの1000語だけでもかなりできるようになりそうなので, まずはここにフォーカスをあててやっていこうと思っています.
挨拶用・日常会話で大事な単語だとすぐ飽きるので, もうこういうところからやるしかないと腹を括りました.
森の未知さんとやりとりしたのを紹介しておきます. はじめに書いておくと, 何でもそうですが, 才能やら何やらいう前に膨大な量の修行が必要です. 没頭する時間的な余裕が必要とも言えます.
旧帝大未満の偏差値の数学科で集合・位相を教えるなら、まずは集合の無限族の共通部分・和や写像の逆像の計算を徹底的にやらせるのが大事ではないかと最近思う。 あの辺の集合論の基本演算ができないと位相空間論でも詰む。 「集合・位相こそそれまで習った計算中心の数学と一線を画する数学科らしい数学」みたいな先入観のある人も少なくないかもしれないけど、全くそんなことはなくて、基本的な計算演習を疎かにしている人が多すぎるだけだと思う。
最近機械学習方面でなぜか話題の測度論・確率論ではまる理由、大抵ハードな集合演算+実数論周りの極限処理の暴力的な演習量の足りなさだといつも思っています。測度論・確率論の議論、集合論部分がリアルにつらい一方でそこをカットして来る応用の人が多いので本物の地獄になっている気分があります。
そういえば学部レベルでの測度論も地味に集合演算が重たかったのを思い出しました。そう考えるといかにもありそうな話ですね……。
ちなみに私は冗談抜きで確率論・測度論に耐えられません。作用素環でも直積分まわりで測度論・確率論を酷使するのですが、処理しきれず挫折しました。ルベーグ積分の極限処理と測度論・確率論の処理は全然違います。「市民感覚の確率論の本が欲しい」とよくいうのはこの深い挫折に基づいています。
ちなみにくるるさんによる次のような話もありました.
「基本的な計算演習」がここでどのようなものを指すのかはわからないのですが、普通に数学をやってきたくらいの人は、∀∃または∃∀の形の論理式に当たる概念(例えばG_δやF_σ)が出ると最初は完全に詰まるので、そこは練習しないと越えられないと思う。 という話は @kadamasaru さんが何度もされてますが。機械的に論理式を解釈していけばちゃんと証明になっていくじゃん!みたいなのは少なくとも本学のレベルでは通用しない印象。
よく「努力できること自体が才能」という話もありますが, 何の役に立つかもわからないタイプの数学に没頭できるのは確かに才能かもしれません. いいことなのかどうかは別問題です.
TwitterでRTで回ってきた話です.
前にブログのネタにしたことあるけど、平均値の線形性 E [a X + b Y ] = a E [X ] + b E [Y ] とかも、ちゃんと証明するにはフビニの定理とか必要なはずなんだけど、雑にしか説明してない本が多い。
ここから少しやりとりして次のような記事が出てきました.
間違っているのでリンク先は読まなくて構いません. これを見て少し考えたのですが, よく統計の本に書いてある期待値の定義を杓子定規に考えると, 確かに期待値の線型性に関する E[X+Y] の認識は破滅するかもしれません. きちんと確率空間上の可測関数とその積分というセットアップで見れば何の問題もなく, 無意識にそれで補完してしまっていて, 気付きさえしませんでした.
前にどこかで書いた気もしますが, 高校の確率のセットアップをきちんとやると実はかなり大変です. 試行回数を増やすことは積空間・積測度を考えることにあたります. たまに大学受験の問題でも確率に関する級数が出てくることがある (少なくともその記憶がある) のですが, その構成には無限積空間・無限積測度が必要です.
大学受験のレベルなら可算積で済む一方, 確率積分などを考えるときは非可算の積がところどころで出てくるので, 微妙な回避処理が必要でかなり大変なところがあります. 学生の頃, 非専門の身で時々その辺の面倒な処理にぶちあたり, 確率論には挫折したままです.
それはそれとして, 最近統計の勉強会でずっと講師役をやっていて, 黒木さんのipynbを読んでいます. 特に先週次のipynbを読み終えました.
これまでの蓄積もあるとは思いますが, 本腰を入れて読んでようやくある程度全体像が掴めるようになりました. この資料はお勧めです. あえて数学的に細かいところには踏み込み切っていない (ギチギチに証明を書き切っていない) ようなので, 細かい計算はともかくまずは全体像を掴みたいという人にむしろお勧めです. 一部の計算は他の資料に詳しく書いてあることもあるようです. 私はいまKL information and descriptive statistics.ipynbを読んでいます. これも数値実験つきでなかなかよさそうな資料です.
Twitterで時々浮上してくるこの話題, いつも思っていることを何となくツイートしました.
ベクトル解析を微分形式で書くのがいいとかいうやつ、数学はツール・言葉で、みんながそれを使わないと意味がないので数学部分だけ伝えたところで意味がなく、その分野の教科書を全部微分形式で書いて揃えて教科書シリーズを作るくらいの労力をかけないと何の意味もない。勉強しても共通言語にならない. この微分形式で書くというやつ、物理でよくやる近似周りの議論とどれだけ相性がいいのかよくわかっていない。微分形式のルールに則ったお行儀のいい近似のほうが色々捗るみたいな研究も必要なのだと思うが、面白くなくて誰もやらなさそう。
物理で微分形式が役に立つというのをどういう視点で強調してコンテンツを作ればいいのかがいまだによくわからない。数学・幾何だと幾何的な情報を持つ・コホモロジーを記述できると言えるが、物理で使うとき、必ずしもこういう話はせず「方程式が綺麗にまとまる」くらいの話ばかり見かける。 あとは計算が楽になるというやつ。計算が楽になるのは間違いなくご利益だが、それで「こんな風に物理の理解が深まる」という感じで使われているのをあまり見かけない。そして実際ここがよくわからないので、何かコンテンツを作ろうにもどういう切り口にすればいいのかいまだにわからない。 電磁気学を公理的に微分形式で書き進めるという本があるのだが、相対論のために記述がこう色々と面倒になっていて、逆にかなりややこしくなっている気分がある。曲がった時空などへの対応もすぐできるとか書かれていたが、それがどこまでの利点になるのかよくわかっていない。 特に必ずしも相対論的な定式化を意識しないタイプの議論でどこまでどんなご利益があるのか。幾何と関係がある以上、位相的な効果が出てくる電磁気の問題や量子力学の問題では便利なところもあるのだろうが、特に工学的なところでどの程度ご利益になるのかわかっていない。 理論物理方面の話だけ考えていればいいわけでもない。数値計算への応用があるのも知っているが、工学の人がどのくらいスクラッチで数値計算コードを書くのかもよくわからない。数学だけ勉強して物理・工学の本を微分形式で自力で書き直せというのも無茶がある。 あと物理・工学への応用を考えるとき、テンソル解析と微分形式による処理がどのくらい気分が違うのかなどもよくわからない。 あと応用向けに微分形式をやるという話にどれだけの意義があるかわからない事案として数学のPDEの人達の流儀がある。幾何解析だといわゆるテンソル解析になるだろうしふつうのPDEでベクトル解析の代わりに微分形式を使おうという人をみたことがない。こういうのが徹底的に書いてある本、洋書でもある?
ツイートでは「こんなのがある」とだけ書いて面倒で文献紹介をしませんでしたが, 具体的な文献を知っている範囲で一応紹介しておきます.
Hehl-Obukhovの本, 時間の方向を特別扱いしないといけない局面があり, そこの扱いで記号も面倒になっていてあまり読むのはお勧めできません. 面白い試みだとは思っていますが, ふつうの人が読むには趣味的に過ぎます.
我らが久徳先生からのコメントもちょっと載せておきましょう.
安直に微分形式を役に立てようとするなら積分量を定義するところかなあ。テンソル解析だけだと不変性が怪しいので
完全に数学としての幾何の本でもテンソル解析スタイルで進めて不変性もがんばって示す本はよくあるので, この不利・不便さを超えた物理として意義がどの程度あるのかがわかっていません. よけいな数学的苦労を背負い込ませるだけの大義名分がないとなかなか勧めづらいです.
いま別に進めている幾何の方は, 物理のことを何も考えておらず, ふつうに幾何・微分幾何をやるだけで, 微分形式にはご利益があるというより空気のような存在で, 吸えないと即死するみたいなタイプの不穏ささえあります. リーマン面も細部は適当に流しつつ, わかる部分だけTeXでノートを書いて日々少しずつ復習して細部を埋めていくスタイルで勉強を続けています.
何を読んでいたのかのメモさえ残していない昔のノートと, 適当な英語の講義ノートPDFで勉強していて, 日本語の訳語がわからないことが時々あります. いくつかリーマン面の本のストックがあってもいい気はするので, 何か日本語の本を買おうかとも思っています. 証明や議論の構成でも参考になるでしょうから.
集合・位相はもちろん必要で, 多少の多変数まで含めた微分積分, 線型代数, 多少の代数とそれなりに予備知識が必要なのは厳しいところですが, 逆にそれらをモチベーション豊かに勉強できるのがリーマン面のいいところです. そこから広がる世界も深く広く, 超弦関係の物理でなら実際に使うのもひとつお勧めポイントです.
ぜひあなたもリーマン面やりましょう.
プログラミングに関しても, 既にリリースしたコンテンツをもとに勉強会をしていて, それがそろそろ一周終わります.
一通りやってみて改めて思ったのは, プログラムはメンテが必要で本当に面倒くさいということでした. メンテが極限まで減らせるのにしないとやっていられそうにありません.
いろいろあって, その勉強会では前半でIT基礎知識, 後半でコンテンツで数学・プログラミング学習という形でやっています. プログラミングもちょっと突っ込むとIT基礎知識が割といろいろ必要で, それに絡めてやはりアルゴリズムとデータ構造に近い形で数学遊びできるネタで何かやるのがよさそう, というか, そうでないとコンテンツのメンテが面倒でやっていられない, という感触があります. 一通り終わったらデータ構造とアルゴリズムをやる一方で, Project Eulerを進めるタイプの勉強会にしようかと思っていろいろ考えています.
いつも以上にとりとめがないですが, 今回は勉強のログとコンテンツ制作雑感といった感じで, こんなところで終わります.
ではまたメールします.
とりあえずはTwitterからコンテンツ紹介を.
MITでは,コンピュータサイエンスの授業の準備に, シェルやvim, git, デバッグ等,便利で基本的なツールを「授業では何百時間,キャリアでは何千時間使う」として,1ヶ月学ぶ授業が開講されているようですね https://missing.csail.mit.edu/2020/ 講義動画等が公開されていますが,他大学もやったら面白いのでは
MIT なので当然のように英語です. ここ数ヶ月は微分幾何しかしておらず, そして今月はといえば本当にリーマン面しかしていません. プログラミングのコンテンツ整備・勉強が完全にストップしています. しかし毎週二時間, クローズドでプログラミングの勉強会はやっていますし, 中高生向けのコンテンツ整備もやっていく必要があるため, いつかはもっと本格的に踏み込まなければいけない話です.
MIT の教育ノウハウが叩き込まれていると思うので, 自分用の備忘録としても紹介しておきます.
以前メルマガに書いたか何かしたとも思うのですが, 「勉強のアドバイスをするとアドバイス"した側"の成績が上がる」という話, 最近改めて感じています.
特にクローズドの統計の勉強会で私が黒木さんの統計の資料をもとに話しています.
一度読んでそれなりに把握したことでも, 講師役で話していると頭の使い方が切り替わります. 話している最中に「これはこういうことだったのか」と私自身が謎の納得を深めることがあります.
不思議なものでオンラインの勉強会であったとしても, 実際に時間を共有して反応を気にしながら進めるのは全然違います. メルマガで数学系の解説を書いているのも形式的には「教える」モードなのに, 少なくとも私に関してはどうも違うようです.
人のためなどと四の五の言う前に, 自分自身の勉強のためにこそ人に教えるのがいいという気分さえあります.
もちろん他の人に参加してもらうためにいい感じに興味関心を擦り合わせる必要があり, そこをどう調整するかが私自身の今後の課題なのだと思っています. いま実際にやっている勉強会も実質的に聴衆は一人というのがあります. 忙しいのに毎週時間を作って参加してくれるのでありがたい限りです.
何週間が塩づけにした幾何の話というか, 勉強のログを少し共有します. 幾何の専門の人には自明すぎるほど自明と思いますし, きちんと書いてある本も探せばあるのでしょうが見つけられていません. もしあなたが幾何に興味がある一方, 幾何の理解度が私と同程度だというなら参考になるはずです.
複素多様体では実多様体と比べて局所理論がちょっと面倒になっています. もちろん線型代数の話でタイトル通り複素化です.
複素化自体はどの本にも書いてありますが, なぜ必要なのかが書いてありません. そして以前リーマン面を勉強したとき, 何も考えずに当然と受け入れていたことがまさに複素化が必要な理由そのものであることに, 最近改めて気付きました.
面倒なので一変数に限定して書くことにすると, 複素化する理由は $dz$ と $d \overline{z}$ を使いたいからです. つまり (余) 接空間を複素二次元にしたいからです. リーマン面だと $dx$, $dy$ を $dz$ と $d \overline{z}$ に置き換えられる, という感じで複素化と言わずにさらりと出てくる部分がまさに複素化なのでした.
一般論も書いておきましょう. 一般に多様体の次元と接空間・余接空間の次元は同じです. 複素多様体の複素次元が $n$ のとき, 接空間も複素 $n$ 次元です. これをどうにかして複素 $2n$ 次元にしないといけません.
ここで複素 $n$ 次元は実 $2n$ 次元です. この実 $2n$ 次元を複素化すると複素 $2n$ 次元の空間が作れます. 複素 $n$ 次元は複素化しようがないので, いったん実 $2n$ 次元を経由するのが複素化です.
ここ数ヶ月の集中的な微分幾何学習でようやく気付いたという話でした.
数週間空いてしまったので, 項目だけ立てて何を書こうとしていたのか忘れてしまいました. 来週以降, また適当に幾何の話をします. 三次元での曲面論でのいわゆるガウスの驚異の定理なども, まじめにきっちり詰めて証明もノートにつけて, ようやく気分が掴めてきました. この辺の話もきちんとまとめたいと思っています.
ではまたメールします.
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
基本的には公開にしているオンライン勉強会の記録です.
今回はいくつかTwitterで見かけたコンテンツなどを紹介します.
フィールズ賞受賞者であるBorcherdsのYouTubeチャンネルがあります.
これ以外にもいろいろな研究所や数学者のYouTubeチャンネルがあります. 基本的には英語なので英語がわかる人は聞いてみてはどうでしょうか. Borcherdsに関してはやはり超一流の知見が散りばめられた講義のようで, 知人の数学者もよく聞いていると言っていました.
時々「英語はちょっと」という人がいて, 英語系のコンテンツを勧めるのはどうしようかと思うことも増えてきました. 語学系, 特に英語のコンテンツ・勉強会をはじめた理由はこの辺にもあります. 最低限英語が読めないと数学・物理の勉強は本当にきついです. 実際, 数学で何かわからないことがあると英語で検索することがよくありますし, そして Math Stack Exchange や適当な PDF で問題が解決できることがこれまたよくあります.
YouTubeだとリスニングが必要ですが, 上記webサイトやPDFなら学校英語で完全にカバーできます. そうはいっても今更, という人も多いようなので, 「理工系のための語学」という感じで勉強会をやっています. 数学科卒でいま翻訳をやっているという人が参加してくれています. 楽しい・勉強になると言って実際, 毎週積極的に参加してくれているので, それ相応の内容であってきちんと価値のあるものを提供できるはずという自信がついてきました.
もしあなたが興味があるなら, 上記の記事や勉強会の様子を公開しているYouTubeの動画を見てください. ただし私は吃音があり, YouTube は聞きづらいかもしれないので予めご了承ください.
現代数学探険隊を買ってくれた理論物理学者の松尾さんと, 試験的に「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」というオンライン勉強会をやっています. それに関して次のページでコメントをまとめてくれています.
これも勉強会の様子はYouTubeに上げているので, 興味があれば見てみてください.
単純にタイトルを見ただけの話ですが, 私が作っている現代数学観光ツアーや, いま幾何入門としてまとめているコンテンツと内容がぴったり重なっています. おそらく私は自分の勉強も兼ねてもっとこってりと, そして別の視点で同じような内容を改めてまとめることになるでしょう. もしあなたがいますぐ概要を掴みたいと思っているなら, ぜひ買ってみるといいのではないでしょうか. 2300円と安いのでもしあなたが大人なら冒険してもいい値段です. 中高生だとさすがに高いとは思うのですが.
そもそも私が買って読んでレビューするべきところではあります. もしあなたがこれを読んでみたなら, ぜひレビューをまとめてもらえると助かります. 記事を書いたら教えてください.
これも大事なので.
これは自覚しづらいことでもあるけれど、 創造力や集中力の低下は、体力の低下に直結している。 アイディアがどんどん生まれるのは動ける身体がベースにあって、 脳の前頭葉が活発に働くからだ。 「自粛期間で創造力や集中力が落ちた」と感じる人には(僕もそのひとり) 基礎体力づくりをおすすめしたい。
「数学は体力だ」という数学関係者には有名な話がありますが, やはり体力は非常に大事です. 数学と言わず日常生活でももちろん同じです. 特に最近は別の意味でも重要になってきてしまいました.
私はもともと体が弱く, ちょっと不安なのでジム通いはいったん止めてしまいましたが, エアロバイクを買ったので毎日二時間やっています. ゆるく漕ぐだけでその間は適当にコンテンツを作っています. 最近だと語学系のコンテンツを整備しています.
前もメルマガで書いたように, 筋トレはいい感じの人体実験でもあり, 日常に活きる科学といった趣もあって面白いので, 再開したいとは思っています. あまり長引くような器具を買う方がいいのかもしれません.
私も時々引用する河東先生のセミナーのやり方ページ, 先生が定年退職したらどうなるのかといった事を呟いたらコメントをもらいました.
国立大学法人のウェブは、国会図書館がアーカイブを公開する。例えば、件の記事は https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11573930/www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/sem.htm
他にも既にいろいろなアーカイブが残っているようです.
小林治先生の超コンパクトにまとめられた「講義資料・セミナー資料」、退職されてから閲覧できなくなってしまい残念に思っていたが、保存されている! https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9531540/www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~kobayashi/
もしあなたが国立大学のサイトから何か大事なモノが消えてしまって悲しい思いをしたことがあるなら, こちらで探してみてはどうでしょうか.
現代数学観光ツアーのアンケートで 「応用に出てくる数学を数学的にきちんとやるとこんなにきついのか」といったコメントがありました.
これ, いい加減きちんと整理したいというのがあります. まず一回一回の配信分がそれだけで独立させるべきボリュームです. 整理自体は終わったのですが, 配信に関して改めてどうするかを考えているところです.
もうひとつは, そもそもが初期の物理・数学系にゴリゴリに特化した読者向けだったことによる内容のハードさです. そろそろ適性なレベルの数学系コンテンツを作り直さないといけません. その前哨戦が松尾さんとの勉強会なので, ぜひ松尾さんの勉強会に関するYouTube勉強会を見てみてください.
今回も書くべきネタがたくさんあって, 幾何の話ができませんでした. ネタがなければ次回書きます. 今回はこんなところで.
ではまたメールします.
毎週アウトプットとして勉強会をやっているので, そのうちで記録を公開している英語の勉強会の記事をシェアしておきます.
こんなに真面目に英語を読むのははじめてなので, 毎回今まで・ふだんどれだけ適当に英語を読んでいるかを痛感します. ここでまじめに読んでいるおかげでふだんの英語の読み込みにも役立っている気分はあります.
統計の勉強会でも黒木さんの ipynb を読んでいます. これも面白いもので, 自分で整理しつつ読んでいるときには気付かなかったことも, 勉強会でまさに話している最中に気付くことがいろいろあります. 勉強会は聞くよりも話す側で参加した方がいいという話を改めて実感しています.
完全に人によると思うのですが, 最近私がやっている復習までセットにした勉強法を紹介します. それは「とにかくノートを作りつつ毎日少しずつ見直す」です. ここでのノートは TeX で取っていて, いろいろなミスを復習しながら直しています. 単純な数学的なミスはもちろん, あとで見たらギャップがあったところを追記したり, 日本語がおかしいのを直したりもしています.
あとで修正しやいので TeX によるノート作りを勧めます. PDF 化するとスマホやタブレットに入れて持ち運ぶのも便利で, 隙間時間でも勉強できます.
私の場合は基本リモートワークなのもあり, 朝と昼に本当にのんびりできる時間があります. そこでコーヒーを飲みながらのんびり読んでいます.
おそらく完全に個人的な事情なのですが, ふつうに教科書を読むよりも自分が書いたノートを読む方が私は集中できるようなのです. たぶん, 理由は次の通りです.
ふつうに教科書を読んでいると飽きてくるのですが, それを適宜まとめた自分のノートだと読み続けられます. 特に現代数学観光ツアーや現代数学探険隊は自分が面白いと思ったことを, 自分が面白いと思えるように書いているので, よけいに飽きません.
集合論の入門の本や入門的な記述など, いまでもいろいろな勉強や調査で読むことがありますが, どうしてもすぐにだれて来ますが, 自分の集合論ノートだと不思議といくらでも読めます.
もしあなたにもこうした心あたりがあるなら, 単に教科書を読むだけではなく, ぜひ自分でノートを作ってみてください. ノートのおかしい箇所を修正しながら復習でき, 理解の定着をはかる上では非常に効率的で効果的です.
TeX は環境のセットアップがめんどうなので, オンラインの overleaf を使ってもいいでしょう.
私はいろいろな都合と趣味によって overleaf は使っていませんが, 前に少し使った感じではかなり便利でした.
TeX のコードについては現代数学ビギナーズマニュアルにも多少の記述はありますが, ある程度まとまった数学コードがあるソースとして, 昔作ってとりあえず公開してある次のリポジトリを見てもらうといいでしょう.
PDF も生成して置いてあるので, 比較しながら見てもらうと TeX の勉強にもなるはずです.
学生時代に書いていたノートへの継ぎ足しで, 正直ソースというか書き方自体はかなりひどく, 書き方は参考にしない方がいいです. どんなソースを書くとどんな出力が得られるか, よくあるコマンドとその説明といった形ではなく, ある程度まとまった文章ベースでの出力確認として役立ててください.
最近は関数論・リーマン面が楽しく, 休日も一日中やっています. 他にやるべきこと, 作るべき・整理すべきコンテンツがあるのに全然手がついていません. 私にとって触りやすいレベル・内容で ホモトピーを含めたトポロジー・層の勉強もついでにできるのが非常にいいです. どうしても代数トポロジー・純代数・幾何の趣が強くなりがちなところでもあり, 解析面からアプローチできるのが本当に便利です.
ちなみに, 関数論から多少ずれますが, 集合・位相から代数トポロジー・微分幾何に触れるコンテンツとして, シンガー・ソープの本はよくまとまっています.
正直あまり読みやすいとは思えませんが, 多様体の基礎まで含めて要領よく書いてあります. 明示的にそうは書いていませんが, 結果的にファイバー束レベルでの接続・平行移動の話まで書いてあります. 読み込むのは大変ですが, 眺める分には楽しいでしょう.
関数論に話を戻すと, 関数論・リーマン面を勉強するといろいろできていいという話を具体的に書いてあるのは, 例えば以前も紹介した次の本です.
これも出たときに買うだけ買っていまだにまともに読んでいないのですが, 目次から伺える内容自体は最高です. 確か圏の部分がかなりイレギュラーな書き方をしているとか何とか見かけた気はしますが, 数学のプロになるわけでもないならそんなに気にしなくてもいいとは思います.
同じ著者の線型代数・微分積分と集合・位相の本の続きという水準のはずなので, その基礎知識がないと厳しいとは思います.
ちなみにリーマン面というか被覆空間論でもガロア被覆という話があり, 実際にデッキ変換群と有理関数体の拡大という形で関係するので, 数学原論でガロア理論があるのもおかしい話ではありません.
あと本にもよる部分ですが, 関数論・リーマン面方面からあっさり多様体に入門してみるのはひとつお勧めのルートです. ふつうに多様体論の本を読むと, どうしても実多様体論に関するこってりした話が続きます. それを使っていろいろやるのは楽しいのですが, 「一度はやっておくべきだがそう何度もやりたくない」系の面白くない話が続く部分があります. リーマン面でさらりと複素多様体に触れると, いわゆるベクトル場がどうこうといった面倒なことが起きにくくなります. ベクトル場を抜きに直接微分形式を定式化する方法があり, それで微分形式を議論している本もあります. 複素一変数なので記号も重たくならない利点があります.
いいことづくめなのでぜひリーマン面をやりましょう. 私はまだ勉強できていませんが, ディーバー方程式など, ゴリゴリの解析学・偏微分方程式を使っていろいろやる手法もあり, 代数・幾何・解析のいろいろな視点から勉強でき, それら自体の勉強にもなるというお得なことしかない分野です.
ちなみに先程のシンガー・ソープは, 多様体論の面倒なところを最小限にして応用まで見せてくれるのもいいところです. 読みやすければもっといいのですが.
もう少し具体的な幾何系の勉強のヒント的な話をする予定だったのですが, リーマン面の話などが長引いてしまったので今回はこのくらいにしましょう. 次はもっときちんと幾何の話をする予定です.
ではまたメールします.
今週の公開コンテンツとしてはこの記事/動画だけです. 裏で猛スピードで幾何系のノート作りをしつつ, 数学・物理のための語学という感じのコンテンツを作っています. 数学方面はしばらくノート整理で動けない (楽しくて他が手につかない) です.
ちなみにクローズドの統計勉強会では黒木さんのコンテンツを勉強しつつ, これらをプログラミングも込めて順番に勉強していけるように整理・整備しています.
雑に勉強していたのを気合入れてやりはじめたので, 少しずつ細部の様子が見えてきました. 自分の勉強の記録にもなるので, 焦らずきっちり整理していこうと思っています.
つい先程, Twitter で森の未知さん (若手の数学者) とちょっとした会話をしました. 次のツイート周辺の会話です.
ちょっと進んだ数学の分野の馬鹿みたいな計算練習がやりたい。
実際こういう問題を作る必要は教員として感じるんですよね。 例えば写像の逆像の計算問題とか。
いま私が欲しいというか作りたいと思っているのは、色々な定理の証明それ自体をいわゆる論理の部分を問題の小問で分解して、計算をさせるタイプの問題です。証明の流れを概観できる利点もあります。小さなclaimに分けるみたいな気分で。YouTubeに流せるミニコンテンツを作ろうという気分もあります。
最近途切れている YouTue での線型代数や力学のコンテンツはここへの布石でもあります.
とりあえず細かいところは気にせずゴリゴリ計算するだけの動画にしかなっていませんが, これだと 1 コンテンツ・1 動画が長くなりすぎることもわかりました. 見るのも作るのも大変なので自動小分け法としても上のアプローチは大事と思っています.
森の未知さんのコメントにもあるように, 集合や位相を計算ドリルの手法で勉強するというのは大事です. 新しく問題それ自体を作るのはけっこう大変ですが, 証明それ自体を計算問題化するのなら上にいったように小さな claim をつむげばいいので大分楽になります.
どの分野でも適当な計算練習が必要です. 数学は証明というか論理が強く出がちで一般には計算が軽視されている雰囲気を感じます. しかし代数や幾何であっても一定量の計算は絶対に必要です. ホモロジー代数の可換図式の処理なども「計算」です.
すぐにはコンテンツは作れませんが, もしあなたが数学の本を読むのに苦労しているのなら, 証明を計算に分割できるように工夫するとだいぶ読みやすくなると思います. ぜひ工夫してみてください. いつになるかわかりませんが, いつかはやる予定です.
いっそどなたかやってくれないでしょうか?
最近は語学コンテンツ作成と幾何ノートの整理の合間にちょこちょこ統計をやるという感じの生活です. 大分前から超弦理論や一般相対性理論での必要性からか, 幾何を勉強してみたい人が一定数います. どういう感じで作っていくといいかを考えるため, 2年くらい雑な勉強をしながら方向性を探っていました.
もういい加減四の五の言わずに具体的にノートを作りつつがっつり勉強しようと思って作りはじめたら, 当然のように今までより遥かに理解が深まってきたので, 2年をドブに捨ててしまった気分になっています.
それはそれとして大雑把に掴んできた気分はあるので, 具体的な話と絡めながら幾何の勉強をしたい人向けのコメントをしようと思います. 基本路線として, 私は学部が物理, 修士で解析学専攻なので, 数学的背景としては一般理工系の人達と共通部分が多く, もしあなたが幾何の勉強をしてみたいと思っているなら参考になるはずです.
結論から言うとがんばって関数論をやろうという方向でいま考えています. これに向けて話を展開させます.
まず線型代数と微分積分を軸に計算練習しながら幾何に挑むなら, 小林昭七『曲線と曲面の微分幾何』に代表される古典的な微分幾何でのアプローチはあると思います. 最近, 工学でも幾何の需要が高まっているとかいう話もありますし, とりあえず幾何らしい話はできます.
ただ, 数学としての微分幾何との距離が恐ろしく遠いように感じます. リーマン幾何につなぐ構成の本もありますが, あまり接続の仕方がよくないように思います. いわゆる第1基本形式 (リーマン計量) と, それを E,F,G などで書くまさしく古典的なスタイルがあり, 記号として計量の記号は導入してはいますが, 何かこうリーマン幾何や多様体論とのつながりが私にはうまく感じ取れない本ばかりという気分です.
逆にベクトル束の微分幾何・リーマン幾何の一般論をある程度やったあと, 曲面論に落としてくる流れでようやく古典的な曲面論の幾何がようやく掴めたくらいの気分があります. これはそもそも私は幾何系の感覚が薄く弱い上, 本腰を入れて勉強をはじめたのがベクトル束からだから, という異様な勉強順序が理由だと思います. 何にせよ微分積分と線型代数の計算練習に幾何的な直観を載せるにはいいと思うのですが, 多様体論などのいわゆる現代数学としての幾何につなげるのは私には厳しかったというのがあります. あとリーマン幾何などをやっていると, 多様体の位相と曲率などで基本群が突如出てきて, この辺の勉強が雑なままなので結局気分を掴み切れない部分がまだあります.
そこで何を選んだかと言えば関数論です. 多変数だと層のコホモロジーの母胎でさえある分野ですし, その中でネーター環といった可換環論の基礎的な部分も出てきます. 解析学としてもディーバー方程式などのアプローチがあり, 代数・幾何・解析が多方面からモチベーション豊かに勉強できてやはり本当にいいとつくづく感じています. 実際, 次のノート作りのターゲットはここです.
次という以上, いまは違うところをやっています. それが何かというとリーマン面, つまり1変数の関数論です. リーマン面自体が超弦理論などで本当に出てくるというのもあります. しかしそれ以上に重視しているポイントがあります.
まず物理学科では留数定理などの計算の道具として勉強しますし, 関数論ユーザーとして一定の土地勘があります. 実際問題として関数論がカリキュラムに組み込まれた理工系の学科は少ないように思いますが, ふつうの微分積分・ベクトル解析からの発展として勉強しやすい分野とは思います.
他には解析接続のような, よく聞く格好よさげな話の終着点として出てくる分野であることです. 私も複素多様体のような方面の方がかえってきちんと勉強する機会が多かったくらいで, 実はあまり真面目に勉強しきれていません. そしてこの筋を追いかけると, 多変数と違ってホモトピーの基本的な話を総ざらいする必要が出てきます. ホモロジー・コホモロジーはいたるところで出てきますが, ホモトピーが私にとって解析学と絡めて気分が掴みやすい形で出てくるところがいまだにわかりません. その数少ないというか唯一の分野です. 関数論なのでコホモロジーは当然のように出てきます. その意味で解析学からの位相幾何入門としてもかなりすぐれた分野なのではないかと見ていて, その検証のために本腰を入れた勉強をはじめたところです.
他にもジュリア集合やら何やら複素力学系との関係もありますし, これはプログラミング・お絵描きと絡めて遊んでみたいテーマです. 代数曲線論として代数幾何への入門として機能する部分もあります. さらにリーマン面自体いまでも研究されているほど汲めども尽きぬ分野です. 楕円関数論などの議論もあり, 単品でも面白くこれまた代数幾何入門としても機能するテーマがあります. これだけでも一生遊べる分野です. 複素領域での常微分方程式論といったテーマもあります. いい加減きちんとアタックするべきだろうと思い, 手始めにふつうにリーマン面を基礎から勉強しているのが今のフェーズです.
本当は幾何系の話をもっといろいろ書こうと思っていたのですが, リーマン面への導入だけで尋常ではないボリュームになってしまいました. 幾何系の勉強のヒント話は来週も続ける予定です.
ではまたメールします.
細かいことは何もわかっていませんが, とりあえず数学情報を共有します.
【ご報告】 あの定理に出会い、憧れてから十余年。 博士号取得後、あの定理に真剣に向き合い始めてから約四年。 この東北・仙台の地における我々の仕事について、 ようやく一つの形にできたことをここに報告致します。
Green-Taoの定理を有理数体の定理と見た際に一般の数体に拡張可能かという問題に関し、Terence TaoがGauss数体の場合を2006年に証明しました。Taoは一般の数体の場合にも成立すると予想し、少なくとも整数環がUFDかつ単数群が有限群(10個しかない)の場合には証明できるだろうと予想していました。 これに対し、我々はTerence Taoの予想を全ての数体に対して精密な形で解決しました。名付けて「数体の素元星座定理」
フィールズ賞の業績にもなったグリーン-タオの定理の拡張が証明された, という話です. もちろん, まだプレプリントを出しただけなので, 数学者集団の厳しいチェックに通るかどうかという部分はあります.
グリーン-タオの定理はフェルマーの最終定理よろしく, 「中高生でも意味はわかるが証明が破滅的に難しい」タイプの定理です. そしてグリーン-タオの何が面白いのかいまだによくわかっていませんが, 関さんの話なので面白いことは絶対に間違いないと思っています. 新年早々景気のいい話でもあり, とりあえずシェアしておきます.
11-12 月, 毎週の怒涛の出張対応で生活習慣が破壞され, ペースが掴めずにメルマガも出せていませんでした. 今月以降も仕事が忙しくなりそうでどうなるかわかりません. YouTube 動画など日々の形のコンテンツをどこまで出せるか微妙ですが, 裏では方向性を決めてコンテンツを作り続けています.
いくつかオンラインの勉強会をやっていて, それは強制的に半公開になるので少なくともそこでの成果は外に出せると思います.
ようやく統計学に少し慣れてきたので, 統計学・機械学習系の勉強会ではベイズ統計とそのプログラミングを, 黒木さんのツイートや資料を整理するところからはじめていこうと思っています.
中高数学 + Python 勉強会はそのコンテンツ自体のブラッシュアップと, これの Julia 化を目指してやっていく予定です. 上の黒木さんの統計コンテンツの整理で Julia に触れるので, それと並行して進めます.
あとは語学, 特に英語です. アインシュタインの相対性理論の原論文, 学部 2 年でのドイツ語原文へのアタック以来の再挑戦です. あのときは物理以前にドイツ語にやられましたが, 今回は私の語学力もあがっている上, 英語論文をメインに据えたので問題なく読み進められるでしょう. 1 回 1 時間で 1 文進むか進まないかという進捗なので, 他に参加してくれている人達が飽きてしまわないか問題があり, これを飽きさせずに継続させられるか, 私のコンテンツ力が試されています.
語学に関してこれはこれできちんと進めますが, これだとそこそこの量のコンテンツを読み切らないといけない問題があり, もっといい意味でつまみ食いできるコンテンツを作らないといけないこともわかったので, 並行して短期集中で勝手気ままにつまみ食いが許されるコンテンツ案を練っています.
上記語学系コンテンツ案はいまコンテンツ自体を仮組しながらブラッシュアップしています. その中でも反省的に盛り込んでいるのは, 私が数学・物理方面でガチガチのコンテンツしか作れないことです.
ときどき「文系プログラマー」みたいな人からの相談を受けていて, 最近の機械学習関係で中高数学の内容+プログラミングでいいのがないかという話があります. ごく単純に機械学習という話なら, この辺は本以外にも Udemy での動画コンテンツなどいろいろなコンテンツが出ているので, わざわざ機械学習素人の私が作る必要はないと思っているところです.
ただ, 私が作った中高数学+プログラミングのコンテンツの案内ページにも書いたように, 私がほしかったタイプのコンテンツがいまだ完全に不足しています.
この方面はこれでまだいろいろ作る予定ですが, もう 1 つ根源的な問題があります.
数学に苦手意識を持つ人達の話を聞いていると, 「数学的思考」みたいなものに対する憧れみたいなものもかなりあるように思います. これをどうしようかと.
「数学的思考」とやらが何なのかもよくわかりませんが, 何かそれっぽいモノは見せたいという気分があります. 新型コロナで完全に止まって久しいものの, 地元の中高生向け理工系学習支援の中にも, 何というか, 「文系向け数学・数学的思考訓練」みたいな要素は取り入れたいと思っていました.
ただふつうに数学・物理でやってしまうと, 私はガチガチのものしか作れないのでどうしようかという問題に帰ってきます. それならそれらしきことを別のモノに載せてやればいいのですが, どうしたものかわからず, プログラミングと組み合わせてみたという気分もあります.
ここで文系自認の人なら, 数学よりもまだ語学の方が親和性があるだろうというのが 1 つ, プログラマーなら英語ドキュメントは読まないといけない機会はあるからそれと絡めればもう少し何とかなるのではないかというのが 1 つ, 一般理工系でも英語に触れる機会は多いのに理工系視点での語学コンテンツはあまりないのでそこを埋めたいのが 1 つ, という感じで「語学で学ぶ数学的思考」という気分のコンテンツを作ってみています.
最終的に理工系中高生に向けたコンテンツ展開を考えていますし, 数学・物理は理工系にとっての言語でもあります. そこで「理工系のための総合語学」という立て付けにして, しばらく数学・物理・プログラミング・英語 (語学) で進めてみようと思っています.
去年から勉強内容を本格的に幾何にシフトしました. 現代数学探険隊の案内ページでも 「指数定理などの幾何の重要な定理の勉強にここで紹介した解析学の知見は役に立つ」 と書いていましたが, 本当にきちんと役に立つ内容に仕上げられているのがわかって, 改めて安心しました.
とりあえず軸になる本を決めてそれを読み進めてノートを取りつつ, 自分のノートを見直してわかりにくい記述をゴリゴリ埋めていきつつ, 「この定理もほしい」「これは別のところに移動させたい」など構成を練っています.
微分幾何をメインに進めていますが, とにかく線型代数です. 関数解析方面とはまた違う線型代数・微分積分のミックスで, 線型代数がまるでわかっていない・使えていないことを痛感させられ, 厳しい気持ちになっています.
もう少しで微分幾何の基礎の基礎に関わる内容について一通りノートが取り終えられるので, 次はトポロジー関連の話を解析学からアタックする方向を考えています. 具体的には関数論をやります. 1 変数だとホモトピーもかなりよく出てきますし, 多変数なら層のコホロモジーでゴリゴリにコホモロジーができるはず. それ以外にもネーター環など可換環の基本的なところも必要になって, いろいろな所を解析学ベースで勉強できる利点がある分野です. 改めてきちんとノートを取って進める予定です.
多様体論のノートは作りかけで止まっているので, それもじっくり進めようと思っています. ホイットニーの定理やらなめらかな三角形分割やら調和積分やら, 基本的な定理の証明がまとまった本がなく, 本当にいらついています. ド・ラームの本にホイットニーは載っていて, 捩形式の議論もあればカレントによる調和積分もあるものの, 何か読みにくくて放置したままとかいう状況で, 多様体のノート作りをしばらく放棄していました. コンテンツ公開するときにこれでは困るので, まだしばらく幾何系のコンテンツが公開しにくい状況です.
いま整備しているのは微分幾何でもベクトル束を前面にゴリゴリに押し出した記述なので, もっと他のコンテンツを整備しないと, という気分です.
ちなみに YouTube でしばらく線型代数系のコンテンツを集中投下していたのは これで線型代数の整理が必要になったその成果です.
超弦理論や指数定理に興味があるという人がときどきいます. そこではやはり微分幾何が基本的な道具です. 先々まで行けば他にもいろいろありはしますが, 少なくとも私が把握できている素朴なレベルの指数定理では, 最低限, 私と同レベルで線型代数が制御できないとどうにもなりません. ぜひ線型代数をゴリゴリとやってください. 多様体の基礎がない状況でどこまでできるかは微妙なところですが, ベクトル束を勉強するといい感じで必要な線型代数の知見やレベルがわかります.
多様体の基礎から調和積分まで, 過剰な一般化がなくベクトル束もきちんと書いてある本として, 北原・河上の『調和積分論』を勧めておきます.
私はいったんディラック作用素と楕円型方程式の解析からのノートを作ったのですが, この本は多様体の基礎からはじめて, 熱方程式のアプローチで調和積分にアタックしています. 熱方程式からの調和積分ノートを作るときのために参考文献としてストックしてあって, なかなかよさそうです. 誰か読んでくれるならオンライン勉強会をやってもいいくらいです.
あとは解析学から入れる幾何としてモース理論もやろうと思って幾星霜です. 有名なミルナーの本もある程度読んだことがあるのですが, いくつかの命題の証明が当時の文献に丸投げされている箇所があり, 「そんなものが手に入るか」と思って放り投げた記憶があります. 幾何の本はこんなのばかりでどう勉強しろというのかと思っていて, それが現代数学探険隊を作りはじめたモチベーションの 1 つでもあります.
ちなみにモース理論は微分積分, 特に微分をやっていると何故か幾何がわかるといういい話です. もう少し具体的に言うと, 高校で散々やった導関数の増減表からのお絵描きを激烈にハードにやると, それできちんとグラフの概形よろしく多様体の情報が取れることを示す理論です.
一応モース理論も文献を 2 冊紹介しておきます. 幾何の人に教えてもらった本でかなり有名な本のようです.
後者はフレアーホモロジーから触発されたという理論構成で, ソボレフ空間などをゴリゴリ使います. これを読んだときソボレフ系の数学に対してまだまだ不慣れだったので, 私には厳しい本でした. いまならがんばればもう少し読めるとは思いますが.
前者はミルナーの本をもっと丁寧にした本だと思えばいいでしょう. たぶん. CW 複体の基礎だけは仮定されていますが, CW 複体のホモロジーはきちんと書いてあります. 多様体の基礎はどうしても仮定されてしまっていますがそれは仕方ありません. 現代数学探険隊の解析学編, 幾何としては明らかに不足してはいるものの, 陰関数定理・逆写像定理と多様体論の関係について最低限触れた上で, ベクトル場と微分形式もできる限り多様体論との接続がいいように書いておいて本当によかったと思っています. 出せるコンテンツがいまだに全く何もないわけではないと言えるので.
いろいろやりたいことはあります. まずは線型代数含め, 関数論と幾何のための代数の整備みたいなあたりを YouTube に出そうとは思っています.
今年も地味に・地道にやっていきましょう.
ではまたメールします.
発端のツイートはこれ.
https://twitter.com/chokudai/status/1331878035314786306 これ厄介なのが、数百時間とか学習して、「結局これさえ分かってれば出来るんだね!」って本質を理解した上級者さんが、初級者にそれだけ教えれば十分だと勘違いしちゃうケース。訓練して洗練された結果シンプルな思考回路が自分の中に出来たのを、「自分は遠回りした」と勘違いしちゃうのよね。
https://twitter.com/poyothon/status/1332100736507789312
数学の教科書はマジでこれなのでやめてほしい。 学問の対立を煽るとかじゃなくて、実際に数学科の人達が「行間を埋める」をして苦労して教科書を読み解いてる。 本に書かれてる順序と人が最初に理解するときの論理の順序が大きくかけ離れてる。(最近はそうじゃない教科書も増えたらしいけど)
これに対する私の連続ツイート.
私は院での数学と学部の物理と多少のプログラミングしか知らないが、何故か他の分野は何かを理解した気になりやすいだけで、数学のリアクションの方が普通なのではないかという気分がある。学部の専門だった物理、そして工学の本は何が書いてあるのか本当にわからないし数学の方がまだわかる。 https://twitter.com/poyothon/status/1332100736507789312
これ、数学科以外だと該当学部学科の学生は自分野の教科書をサラサラ読めるという話なのだろうか。少なくとも物理はそんなことなかったが。どういうふうに世界を見ているのか、本当にわからない。哲学や宗教学、神学などでも同じように本サラサラよめるのだろうか。 そもそも数学に限らず「議論をその時々の自分なりに細かいところまで追いきれた」以上に何かを理解できた記憶・経験がないので、元ツイートの意味というか理解という概念自体が本当にわからない。皆そんなにいろいろ理解できるものがあるのかといつも困惑している。 数学の本、気持ちが書いていないとかいうそうだが、とりあえず物理は何が書いてあるのだろうか。謎の計算と物理学者の気分だけが書いてあるという気分で、その気分が取れないと何もわからない。工学はもっとすごい。最後に自然(実験)と合えばいいとしか書いていない気がする。何を「理解」すればいいのか.
それこそ一流の数学者が執筆陣の岩波の「現代数学の基礎」シリーズだとか、はじめと最初に理論の概要と目標、現代数学への展望コーナーがあったりするので、こういう人たちが何を読んでいるのかが割と本気で気になる。それらに書いてあることが何もわからないというならわかる.
数学科では教科書で定理の有用性とか応用例を挙げると破門される決まりでもあるのかってくらい何も書いてくれない
「何も書かれていない本には確かに何も書かれていない」という程度の意味にしか思えないのだが、具体的にどんな本を読んでいるのか教えてほしい。
あと物理でいうと謎の気分の引き写しだけで、正しい気分が書いてある本は激烈に少ないのでは。きちんと気分が書いてある本がたくさんあるなら、みんな熱力学で困ったりしない。何の話をしているのか全然わからない。そんなに熱力学はいい本たくさんあるの。 非数学サイド、とりあえずエントロピーの意味・意義について過去の引き写ししかしていない熱力学の本を破滅させてから文句言ってほしい。あと何かよくわからない量子力学の本もつぶしてほしい。 数学の本が難しいという人、何なら読めるのかを教えて欲しいし、その理解度的な何かを自己測定する方法なども教えて欲しい。 コンテンツを作るのでこの辺を改めてずっと考えているのだが、私が聞く限り数学の人間は少なくとも理工系の他分野の本を読むときも広い意味で「何が書いてあるかわからない」というケースをよく見かけるので、数学科の人間を引き合いに出しても情報量全くない気分がある。何見てもわからない種族では。 https://twitter.com/poyothon/status/1332100736507789312
「人が最初に理解する論理の順序」という、適当に18歳以上などに制限するにしても人類レベルの大きな話、それだけ普遍性のある(数学科向けの?)数学の話もどの程度あるのかよくわからない。順序もおそらくそこまでの知識・経験に強く依存する。これは線型空間と実数論と集合と位相を基本装備した状態からの論理(これ、正体は何なのだろう。そこからして齟齬がありそう)展開、だいぶ趣違うのでは。
あと、学部で微分積分を教わった郡先生が講義中に言っていて今でも覚えているほど印象的だった数学科学生の理解のエピソードがあってそれは「接ベクトルは曲線に接したところに住んでいるのではなくてあくまで別の空間の原点から生えている。これが分からなくて理解が遅れた」というのがある。 当時の私の感覚だとおよそ直観的ではなく何を言っているのか多分よくわかっていなかったが、主張としてはおそらく接空間の話だろう。これもおそらく、人によっては数学の本の議論の順番でないと本当に何も分からない可能性は十分にありうる。元ツイは人の理解の多様性を排除したひどい話とさえ思える。 多分学部一年で松本幸夫の多様体の基礎で接空間を見たときにすぐには分からなかったが、適当にしばらくしてから「これがあの郡先生の話か」と思ったような記憶がある。多様体の気分、最近ようやく少し掴めてきたくらいなので当時の「理解」などとたかが知れすぎていて厳しい気分はある。
おさえておくべき有名な多様体のホモロジー・コホモロジーの計算が馬鹿みたいにたくさん書いてある本ないの。ホモロジー代数の一般論よりも計算がたくさん書いてある本を読んでみたい。洋書ならあるか? これ、逆に一部であってもコホモロジーが計算できて教育的な例がどれだけ系統的にあるか、みたいなところもある。 本当に知らないので馬鹿みたいに計算をし続けるコンテンツを勉強ついでに作りたい気分もある。
そういえばbioのところに難聴と書いてある高校生にフォローされているのだが、よくあるYouTubeの動画講義、しゃべりに重点がある系統のが多い気がするし、吃音に起因する私の書くだけの動画、作る分にも視聴する分にも障害者対応の気分があり、逆にこれを貫くべきという気分になってきた。
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
先週出張もあって忙しくていまひとつやる気が出ず, メルマガを書きませんでした. ふだんオフィスにずっといる中, 外で実証実験していたので肉体的に非常に疲れていて, コンテンツ制作などプライベートでやるべき作業も全然できませんでした. 今週と来週も 1 泊・2 泊の出張があるので, その中でどう体力と時間を作るかが課題です.
ここ最近はずっと幾何のための線型代数をずっとやっています. コンテンツの準備じたいは複素多様体の局所理論のための線型代数パートに入りました. ここで困ったのは幾何の復習ノートで複素多様体を少しやっていて, そこと少しかぶってしまっていることです.
いろいろな事情から同じ内容をまとめ直すのは仕方ないとして, 無目的に同じコンテンツを作っていられるほど暇ではないので, 既存の幾何ノート, 特に多様体の基礎のノートで何をどこまで書いたか確認・整理中です.
その一方で「幾何のための代数・線型代数」シリーズを作るために ベクトル束の微分幾何をやっていて, やはりある程度現代的な微分幾何で, ベクトル束を無視してはいけないという気分も出てきます. ベクトル束を早い段階から導入できる多様体論の基礎コンテンツも作りたい気分があり, この 2 つをどううまく噛み合わせて進めるかがいまの課題です.
幾何の理解, 特に直観的な理解は全く進んでいないものの, 確実にきちんと計算できるようになってきていて, 幾何的腕力がついている気分はあります. 引き続きやっていきます.
Mathpedia はまだ構想の第 0 段階らしいのでまた少し違うものの, 最近 Mathlog なり何なり数学の記事系のコンテンツやプラットフォームが増えているようです.
このあたりで私が気に入らないというか困っているのは, 記事レベルの断片的な知識ばかりで体系的な知見を自分の中にためるのが難しいことです. Wiki もリンクがいっぱい張られているとリンク先も全部見たくなり, 思考が発散してきちんとたまらない気分があります.
もちろんどんな勉強スタイルで何をどう勉強したいかに強く依存しますし, 皆が皆そう思うわけはないのは前提として, それでも私がほしいタイプの方向性で発展している気分はありません. 他の人が何をどう整備しても, やはり最後は自分なりのノートなりコンテンツなりを作るしか, 自分の気に入るコンテンツが手に入らない気分はどんどん高まっています.
そして同じように思う人もきっといるはずなので, その人達に向けてどう動くかがいまの私のテーマです. 動画作成して, コンテンツの種類・メディアを増やしつつ, 明示的に何をどう作っているか見せてはいますが, 言う程体系的にかっちりしたコンテンツはリリースできていません. いい加減何か体系的なコンテンツを出したいと思っています. もちろんマネタイズも意識しながら. 前から言っているように, 数学でどう食べていけるようにするかは私の活動のメインテーマの 1 つなので.
現代数学探険隊をやってみて出て来た課題も多いので, それを乗り越えたコンテンツを作りたい気分もあります. 解析学はある程度既知として, 解析学の知見を活かしつつ幾何に向かうための代数コンテンツをリリース前提で きちんと体系的に整備しはじめています.
内容的には抽象論ばかりになりがちな代数を, 解析または幾何からサポートするタイプのコンテンツからはじめる予定です. 何にせよ微分積分と線型代数は基本中の基本なので, これを軸に攻めようと思っています. 現代数学観光ツアーや, 現代数学探険隊での代数ミニマムで素案は出していますが, 今度は幾何を意識してもっと内容を拡充する予定です.
YouTube は計算系コンテンツの拡充の一環として作っている面もありますが, 単純な数値計算だけが計算ではないので, ゴリゴリ計算していろいろな理解を深めていけるコンテンツがうまく作れないか, ずっと検討しています.
方向性自体ははっきりしているのですが, 相変わらず細部については試行錯誤を続けていてあまりまとまりがありません. とりあえずこんな感じで進めているよということで.
ではまたメールします.
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
とりあえず数学・物理・プログラミング・語学あたりを大横断した勉強持ち寄りミニパーティーを定期開催するのをやりたい。できる限り毎日ゆるくゆるく続けたい。その場で「これわかんねえな」という10分をみんなで過ごすとかそのくらいのゆるさを許容する感じで。
先程つぶやいたツイートです. 微妙な反響があったので企画を立ててちょっとやってみようかと思います. 先程思い立ったばかりなので, 適当に趣旨などをまとめてまずは Twitter で募集をしてみます.
Twitter で Mathlog というサービスが立ち上がったそうです.
最近数学関係のサービスがやたらたくさんできてきています. 私自身数学は数学で勉強したいことがいろいろあるので 数学方面のコンテンツ作りなどはやめませんが, もっと本格的に物理方面に舵を切っていいだろう, または切らないとという気分が高まっています.
動画作りで計算メインの古典力学をしばらくやっていたのは飽きたので休止中ですし, 物質の安定性も完全休止状態なので, 実際問題改めてきちんと勉強したい物質の安定性を軸に再開しようと思っています. 他には電磁気や熱力学, 相対論や量子力学など, いわゆるふつうの物理も何かゆるくはじめたいところです. この辺のゆるいスタートに上の勉強持ち寄りミニパーティー企画を活かせないかというのもあります.
何にせよやりたいことは掃いて捨てるほどあるので, 飽きないように適度に分散させつつ, 引き続き実験していきます.
書こう書こうと思っていた Mooc ネタのツイートメモをいい加減供養します. いま改めて見たら 2019/2 のツイートでした.
Paul のツイートだけ引用しておきましょう.
MOOCについて私見も含め ・現在の技術でバーチャル大学は難しい ・大学の講義の一部をMOOCにしても教育効果は下がる ・実際にMOOCの利用は下火に ・社会人の再教育など特殊な用途でMOOC自体は今後も残る 普通に考えてそうだろうなあと思うことでも,データに基づくことは大切
日本でMOOC元年と言われた2013年にすでに海外では下り坂だった https://doi.org/10.1241/johokanri.57.367 実際,数学の場合にe-learning的なものだけで勉強を進められるかというと,よほどの超技術でもないと難しいように思う。ただ,MOOCに限らず新しい技術をどう教育に取り入れるかは継続して考えないといけない。
色々ご意見をいただきました。社会人など大学に来るのが難しい方に対して,復習や新しい技術の習得などの用途にMOOCは残るでしょう。また,研究・教育youtuberみたいにワンポイント・レッスンが増えるかもしれません。初学者に基礎から教える大学では,MOOCを中心に据えるのは難しいのでしょう。
新型コロナでオンライン講義・ハイブリッド講義がどうのとなっています. MOOC がどうかはともかく, しばらくはオンラインをうまく使わないといけないのは間違いありません.
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
今週土曜, ちょっと用事があってプチお出かけしました. それで疲れ果てて土曜日はおろか日曜日も使い物にならず, 動画が作れませんでした. プログラミングの勉強会はやったので最低限のタスクはこなしたとみなすことにします.
最近引きこもりで体力が一段と落ちている感があります. 給付金でエアロバイクを買って毎日やってはいますが, 今後はもう少し負荷をかけてもっと体力作りに意識を向けることにします. 以前も「筋トレの科学」みたいな話をしたように, いまこそ数学を続けるための体力増強みたいなテーマが大事だと痛感しています.
いつも通り infinity_topoi さんのやっている事案です.
大学の数学の家庭教師を募集している人(生徒側も講師側も)、リプライとか送ってくれればRTで拡散しますよ。ただ、多分生徒側が貴重なので、生徒側の人が送ってくれれば講師をやりたい人たちから連絡が行きやすいかな。
このメルマガを読んでいる人, どちらかと言えば生徒側の方が多いような気がするので, 興味がある人は Twitter にアカウントを作ってリプライを飛ばしてみましょう.
すぐに流れてしまう Twitter でしか連絡できないみたいなのが厳しい気分もありますが, 仕方ありません.
前々から微妙に縁がある数学カフェが NPO 法人化して活動の幅を広げるというアナウンスがありました.
Twitter を見ると「もくもく会」をやっている案内などもあるので, これももしあなたが興味あるなら積極的に参加してみてください. 毎日だと大変で私はいま 1 つやる気合が湧かないことをやってくれています.
私の観測範囲が数学方面に偏り過ぎていてよくわかっていませんが, 物理方面で似たようなことやっている人はいるのでしょうか? その辺も探して何をしているか把握したいところです. もしあなたが何か知っていることがあれば, ぜひ教えてください. 私も最近少しずつ物理にシフトしていますし, 他の人がやってくれていることがあるなら, かぶらない方向で何かやりたいと思っています.
何はともあれ, 私の復習兼ねてのコンテンツ整備が当面の行動予定ではあります.
現代数学探険隊の購入者の方々からほとんど反応がない (一人だけ反応があった) ので, それなら一般展開しても大丈夫かという気分が出てきたので, もう少し待ってみてからまたちょっと別の動きというか案内をしようと思います.
購入者の方からのリアクションがないのは, 参加のメリットをうまく伝えきれていないのが原因なのでしょう. このご時世にあまりメリットごり押しなのもどうかという気分がありつつ, 何かもっと楽しそうな雰囲気は出した方がいいのだろうとも思っています.
準備は大変な一方, 少人数勉強会の日常への組み込みはできてきたので, まずは着実にコンテンツと知見を積んでいくようにします.
こんな感じで基本ひたすらに失敗を続けていますし, 特に最近はメルマガでも具体的に話をしているつもりです. たまに「自分もコンテンツを作ってみたい」みたいなコメントはもらうので, 悪いところは捨てていいところは拾って, ぜひあなたもいろいろ実践したり, 紹介しているコミュニティなどに参加してみてください.
ではまたメールします.
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
今週, 金曜に体調を崩したので作成コンテンツは少なめです.
今週, ようやく現代数学探険隊の購入者・受講者の方々に案内を出しました. 何らかの理由でメール不達になってしまっている方がいらっしゃれば, ご連絡頂ければ別途ご案内し直します.
とりあえずは少しずつでもいいから必ず毎日勉強をしようの会にしようと思っています. 私もその日勉強したことを小まめに報告しようと思っています. この手の報告はメルマガでやったら鬱陶しいですが, コミュニティ内でちょこちょこやる分にはいいのではないかと考えています. 何はともあれ, やってみては調整していきます.
私がパンクするので本格的にはやれませんが, かえってそれがいいという話もあるので, 以前から紹介しているもくもく会的なプチ勉強会もできれば, と思っています.
金曜日, 体調を崩して語学の勉強会をキャンセルした上, 頭痛も残っていて気分が乗らなかったので, 土曜日の動画作成もさぼりました.
少しのことで身体の調子が気分にも影響しますし, 心身の健康は本当に大事だと改めて痛感しました.
これから冬になり, さらに身体の健康を維持するのが難しくなってきます. 私はただでさえ身体が弱いので, 体調管理に気をつけます.
一時期力学の動画を作っていました. 微分幾何をきちんと勉強しようという以前からのモチベーションがあったので, そちらは勉強ついでにコンテンツ制作が精力的に進められていますが, 物理の方のコンテンツ作成が滞っています.
必ずしも「物理」でなくても, 偏微分方程式やベクトル解析・関数論の計算でもいいとは思っているのですが. 飽きないように適当に混ぜ混ぜしつつ, そろそろ偏微分方程式や関数論の計算からはじめようとは思っています.
まだ完全に体調が戻っていないのか, 文章を書く調子が上がらないので今回はこんなところで.
ではまたメールします.
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
月・金は勉強会だけにしました. 無理して動画を作ろうとすると疲れて破綻するので, ゆるく進めることにしました.
物質の安定性と量子測定理論は 適当なタイミングできちんとやろうと思っています. 月曜の「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」で 触れる話題にしてもいいでしょう.
6 回かけてまだ序文の第 3 文までしか進んでいません. 単語の解説をほとんどしていないにも関わらずこの進度ですが, まだまだ解説し足りないほどに解説することがあります.
単語の解説はどう考えても追いつかないので, 本文解説のコンテンツ作成がメインで, 単語は少しずつ作っていくしかありません.
はじめは単語編をざっと作ってしまい, 文法は学校の勉強で十分, 読解は自分でがんばって, 自分 1 人でつらいという人には勉強会的な形でのコミュニティ応用的な コンテンツ提供スタイルを考えていたのですが, 何をどう考えても単語コンテンツの整備が最後になりそうです.
読解編もコンテンツを作っていると, 思っていたよりも解説するべきことが多いことがわかりました. 勉強会に参加してよくコメントをくれる人が数学系出身の人で, 物理をよく知らない状態で参加してくれているので, 逆に物理に関わる各種背景知識をきちんと解説するモチベーションになっています. 単純な物理の話なら他にいくらでもコンテンツがあり, さらに言えば私よりも詳しい人もたくさんいるので, 純粋に英文, ひいては一般の文章読解の精度をあげるのに重要な物理の話をしています.
私自身, 英語のいい復習+学習になっていて, 楽しくなってきました. やはり人を巻き込んだ勉強会スタイルの勉強は楽しいです.
あなたもぜひやってみてください. いまリアルで勉強会でできない状態ですが, 数学・物理だとかえってオンラインの方が興味関心が重なる人を見つけやすいでしょう. よくも悪くも zoom 会議は定着しはじめていますし, そうした知見をプライベートに応用するいい機会です.
前から言っているように, 語学コンテンツ作成自体, 去年からの中高生向けコンテンツ・サービス展開への布石です.
私は昔自分が通っていた柔道の道場の稽古への参加ついでに運営協力もしているのですが, そこに通っている高校 3 年生の事情を聞いています. いまちょうど推薦試験の季節で, 今年は推薦の面接もオンラインになっているようです.
私の地元だと高校生だけではなく, その親の IT スキルも高くないのが一般的で, 不安に思う親の相談に乗っています.
この半年, よくも悪くもオンライン教育をせざるを得ない状況で, 教育学・教育工学関係の人達がいろいろ知見を出してくれています. 私も Twitter でゆるく追いかけている人がいるのですが, 本来, オンライン授業やら授業・教材への ICT 機器活用といった話以前に, 連絡帳や文房具としての ICT 機器利用, 日常に IT を埋め込む工夫こそが最優先という話をしています.
ここ数週間の感じだと, 少なくとも私の地元では, この日常に IT を埋め込むという方向性から 話を組み直した方がいいのだろうと思いはじめました.
具体的にどうするかはまだ何も考えられていませんが, 相談している地元政治家の先生に改めてこの方向からの話をしておこうと思っています.
Chromebook ももう少しプログラミング環境について考える必要はありますが, 文房具として本当に使えるという実感が出てきました. 11.6 インチで軽めなので持ち運びもしやすく, セカンドマシンとしての使いどころは完全に確定しました. 使ってみないとわからないことは多いと, これも改めて実感しています.
本当は先週現代数学探険隊の購入者の方々にメールを送る予定だったのですが, 時間が取れずまだ連絡できていません.
とりあえず何が必要か聞くだけ聞いてみて, その意見を見つついろいろ試して広く展開するための方針を探る予定です.
現代数学探険隊では具体例はたくさん紹介していますが, 具体的な計算はあまり取り込めていません. いま作っている Youtube 動画講義シリーズは, その計算練習編の外出しでもあります.
もっと基本的な線型代数や微分積分, 関数論, フーリエ変換, 偏微分方程式関係の計算が全然できていないので, その辺をカバーしつつ現代数学探険隊の本編の理論と絡めていくのがいいかとは思っています. 何にせよきちんとコミュニケーションを取る必要があり, 全てはそれからです.
関係される方, もう少しお待ちください.
読者アンケートで, 最近 2 年のメール配信全体についての感想として 次のようなコメントが来ました.
少なくとも今年に入ってからは, こう考えているがまだできていない, 考えていることをこんな感じで実行しているという感じで, 具体的な話しかしていないつもりなのでちょっと驚いたのですが, 何をしてほしいのかがよくわかっていません.
具体的に書けという話がメインなのでしょうが, 個人的には常に具体的な構想と取った行動を書いているつもりなので, 抽象度が合ってはいないのだろうとは思います. 具体的な行動結果はコンテンツにしているので, メルマガだけでは概要にしかなっていないと言われたらそれはそうかもしれません. もしかしたらそういう話でしょうか.
まだ予告・概要の話しかしていないことに関しては, 読者の誰かがやってくれると嬉しいなと思って書いているので, そういうものです.
あと読んでいて面白くなければ, メルマガは気楽に解除してください. 試行錯誤はあるにせよ, 役に立つ・意味があると思うことしか書いていないので, それが噛み合わない方に時間の無駄遣いをさせるのは本位ではありません.
メルマガで言ったかどうか忘れましたが, 最近はメルマガの内容をサイト https://phasetr.com にもあげているので, わざわざメルマガを取らなくても問題ありません. コンテンツも最近はほぼ全部 YouTube かサイトにあげています. フル公開していないのは, プログラミング勉強会くらいです.
長くなりましたが結論を言うと, まだしばらく, 今年に入ってからのスタイルを続けるので, 感覚が合わないなら気楽にメルマガ解除してください. つながる形はいろいろあります.
今回はこんなところで終わります. ではまたメールします.
いつも通り今週のコンテンツから紹介します.
今週 (先週?), ちょびちょびコンテンツ制作をさぼっていて, 物質の安定性と量子測定理論の動画が作れていません. 勉強会をぶっこんだというのもあります. ペースが無茶と言えば無茶なので, ちょっと考えた方がいいのでしょう.
途中アドリブで適当なことを言ったらそれがおかしくて反省しました. アドリブを効かせられるような頭の回転はないので, よけいなことは言わないようにします.
また 1:1 での会話と思えばいいかもしれませんが, YouTube の動画講義に耐えるクオリティではないと思うので, その改善も大きな課題です. 頭の回転の悪さと吃音がかなり大きな問題になっていて, 本質的なので厳しいところもありますが, それならそれで何ができるかを考えないといけません.
理工系向けリベラルアーツと称して英語のコンテンツ制作, 勉強会を開いています. 今回は論文の第 1-2 文の単語を 4 つ紹介するだけで終わったのですが, understand の解説で改めて思ったことがあります. 日本語の理解という言葉, 解像度が低いというか抽象的だなと思うようになりました.
まだきちんと理解しきれていないところがあるのですが, いまのところ 「理解する」と訳される単語の understand, apprehend, comprehend は次のような意味のようです.
これは数学や物理の勉強の仕方でも大事です. いろいろな知識は仕入れられたがいまひとつすっきりしない状況は understand できていない状況で, それなら一般論や抽象論を勉強するといいのでしょうし, 一般論を勉強しているときに曖昧模糊としてよくわからない状況ではまず apprehend を目指し, 具体例を徹底的にいじり倒してみるとか, 自分の理解の様子を詳しく分析するのに使えるでしょう.
私自身, いままで「理解」という単語の解像度が低く, きちんと説明しきれていなかった気分がありますが, 何か少し掴めた気がしています.
この辺りまで突っ込んでリベラルアーツと呼べるレベルにまで仕上がったコンテンツ作成を目指して勉強会を進めています. 上に載せたように勉強会の動画は YouTube にもあげて, 記事も作っているので, 使える時間に合わせて眺めてみてください.
Twitter でも書いたのですが, お金の突っ込み方・使い方がいいと思います. 特に理学の人はお金に対する忌避感が高いので, お金をクリーンに使っているように見せることがとても大事だと思っています. その辺が本当にうまいので感心しています.
そして「寄付したい」「協力したい」という申し出も自然と出ているようで, そういうのは私は全くできていないので, その辺, 私は下手なのだろうと反省しています.
だからといってこれからどうするかという問題があり, いまの 1 番の課題です.
この間もブログにはあげたと思うのですが, 現代数学探険隊は共通言語として使いたい関係上, これを無料化する方向でいろいろ探っています. 既にお金を払ってくれた人に対する話もあるので, 当然いろいろ配慮は必要で, それが大事なポイントです.
まずは既に買ってくれた人向けに何かやってみて, そこから広げていく予定です. 復習的なミニ勉強会をやる方がいいのか, もっとアドバンストなことをやった方がいいのか, 具体的に聞きつつ進めます.
私もふだんの仕事があって時間が取りきれないこともある中で, できる限り私自身の負荷もなく, 意味のあることがどれだけできるかが勘所です. 負荷をかけなくてもできる数学みたいな部分をもっと追う必要があると思っていて, 自分に負荷がかかるようなことをやっていてははじめから破綻しているので, 何をどうしようか工夫のしどころです.
現代数学探険隊の無料化からの展開, 既に大量のコンテンツを持っている現在の出版社などにも真似してほしいと思っているので, きちんとしたビジネスモデルの形にしたいと思っています.
とりあえず今回はこんなところで終わります. ではまたメールします.
いつも通り今週のコンテンツから紹介します.
最初の記事のところにも置いてありますが, 「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」の第 1 回をやりました.
明日 (10/5) に第 2 回をやります.
一応, 面白いと言ってもらえたので, まずは私が持っていてほしいと思っている「物理のための数学的センス」についてもう少しいろいろ話したあと, 数学的な詳細に入っていこうと思っています.
数学的な詳細について念頭に置いているのはまず実数論です. 実数論で距離空間論と位相空間論の話をして, それらの議論の中で集合論の記法や議論に慣れてもらうという流れを考えています.
あとは適当に必要なら平行しながら ヒルベルト空間論を中心にした関数解析・線型代数をやろうと思っています. 一通り終わったら量子現象の数理にあるような話題でも詳しく見てみる予定です.
何にせよ, 関数解析の基本的な概念と物理・気分を把握してもらわないと困るので, しばらくその辺の話をします.
現代数学観光ツアーよりももう少し現代数学探険隊よりの話をしている気分があるので, もしあなたが現代数学探険隊の内容に興味があるが, 買うのはちょっと, と思っているならぜひ眺めてみてください.
なかなか進められていませんが, 物質の安定性や量子測定理論まわりの YouTube の話も, 同じく現代数学探険隊の気分で進めます.
第 4 回まで来ましたが, 話の感じから改めてコンテンツ制作の方針ももう少し突っ込んで話した方がよさそうだと思い, 文法がなぜ大事なのかといった話もしています. いまだはじめの 2 文さえ終わっておらず, 次回, この 2 文の単語の話をしますが, 終わらなさそうな気がします. 焦って進める理由が何もないので, のんびり進めます.
実際, このレベルでゴリゴリに進めることこそ理工系の語学に必要なことだと思っています. 特に工学は下手をすると文章の誤読や書き方の悪さで人が死ぬからです. 理学, 特に数学は気楽なものですが, 理工系と銘打った以上あまり気楽なことをやっているわけにもいきません.
勉強会自体は語学としての英語メインですが, 中高生向けの物理・数学・プログラミング・英語というコンテンツラインナップの中で, 物理は自然とコミュニケーションするための語学, 数学は物理に対して言語学, プログラミングは語学 (言語学レベルの話はとりあえずしない予定) という感じで, 全体的に理工系のための語学という気分があります. 特にプログラミングにも活きる形で英語・文法と付き合いたいと思っていて, そのあたりまで視野に入れた上で英語コンテンツで文法をどう捉えて取り組むかが課題です.
数学科出身で翻訳をやっている人が参加してくださっていて, いろいろコメントを頂いているのですが, やはりプロは違うという感じのコメントをくれるのでとても助かっています. まさに勉強会をやっているご利益を感じています.
準備以前に人集めが大変だとかいろいろ課題があるのはわかりますが, いまは https://connpass.com/calendar/online/ などオンライン勉強会を簡単に案内できるサービスも増えているので, あなたもぜひやってみてください. 数学の勉強会もあるので, 面白そうなのがあれば一参加者として参加してみるのも一手です.
いま見ていたら次のようなサービスもあるようです.
実際語学の勉強会を毎回話す前提でやりはじめて, 毎回 1 時間は話さないといけないので嫌でもコンテンツ制作が進むようになりました. もしあなたが何かをやる弾みがつかないと思っているなら, 主催で自分が話す前提で無理やりはじめる手があるというのはお伝えしておきます.
「ぐだぐだになるかもしれないがそれでも進む」, 「ぐだぐだなのが嫌ならはじめから参加しないで」と強調しておけば, お互い楽だと思いますし, そのくらい振り切ってまずはスケジュールをおさえるのが大事です.
前も紹介したと思いますが, 特に交流などを目的にせず, とにかく作業・勉強をしようというオンラインの「もくもく会」スタイルもあります.
特になかなか勉強する時間が取れないというタイプの人は, スケジュールをおさえる目的でこの手の催しに参加するのをお勧めします.
この辺, せっかくメルマガをやっているわけで, むしろ私が主催して何かした方がいいのだろうと思いますが, 無闇やたらに勉強会を主催しすぎたせいで全く時間的な余裕がありません. それでも, 興味があるという人が多ければそれなりに何か考えるので, もしあなたに何か希望があるならアンケートに書いておいてください. YouTube の動画コンテンツ作りの時間をそれに割り当てることはできるので, 何か考えて実行・実験します.
今回はこんなところで終わりましょう. ではまたメールします.
いつも通り今週のコンテンツから紹介します.
今週はちょっとしたお出かけをする機会があって肉体的な疲れがあり, 動画を作れなかった日が何度かありました. 無闇やたらに勉強会を増やした関係で今後動画を作れなくなる日も出てきそうで, どう調整していくかが課題になってきそうです.
まずは積分論入門への入門をさっさと作り終えたいです. 微分幾何もプレプリントの微分幾何パートがそろそろ終わるので, 電磁気本体の話をしようと思いつつ, 飽きてきたから他の話をしようかとも思っています. 一般相対性理論まわりの話, 具体的な計算をしようかとも思っています., ホッジまわりの線型代数的な話も詰めたいですし, やりたいことは山程あります.
いまは F# と Julia で Project Euler を解いて, シコシコと GitHub にあげています. これをもとにコンテンツを作ろうかとも思ったのですが, 方向性が見えないので GitHub にあげるだけにしています. Python のコンテンツは勉強会をしつつブラッシュアップをしていますが, これをもっときちんと宣伝しないといけません. 必要な人はいるはずなので, ちゃんと届ける責務があります.
最近の動向からすると数学・物理系プログラミングの文脈では Julia をやるべきだと思うのですが, いまひとつ気分が乗り切りません. F# が触っていて楽しいのでこれをやりたいというのが 1 つあります. さらに中高生向けの動きとして Chromebook を使ってみようと思い, 買いました. 買ったマシンは容量が 32GB しかなく, 余計なソフト・ツール・言語がそんなにバリバリ入れられません. 何でどう遊ぼうか, そして 1 回書いたコードがいつまでも動いてほしい問題の解決のため, いっそ Common Lisp やってみようかという気分になりつつあります.
記事にも書いたように何はともあれ Chromebook にエディタとして Emacs は必ず入れますし, そこと相性がいい Common Lisp は 1 つ決定打なのではないかと. ただ, いまどきの中高生に教える言語か? という気分もあり, そこでうじうじと Julia と悩んでいます. 勉強しても損はないと思うので, とりあえず Common Lisp を勉強しようと思います. コンテンツ化を意識しつつ勉強したいです. Common Lisp による数学系ライブラリなども調べないといけません. Scheme だと Racket が数学方面もやたら発展しているようですし, Common Lisp でも何かあるはずなので, そのあたりもきちんと掘る必要があります.
Try Jupyter でも Scheme があるので Scheme は割と大事な選択肢という気分もありますが.
何ににせよ, プログラミング関係はもっと強化したいですし, 数学・物理以上に強化が必要なところです.
アンケートでコメントが来ていたので簡単に返信しておきます. 現代数学探険隊はお値段が張るのでテイストを知るために現代数学観光ツアーに登録された, という方がいました. 現代数学探険隊と現代数学探険隊はだいぶ気分が違うので微妙なのですが, 強いていうならいまやっている動画シリーズの方がまだテイストが合っていると思います.
具体的にどうテイストが違うかというと, 現代数学観光ツアーはとにかく概要をざっと見て慣れ親しんでもらうことが目的です. 一方現代数学探険隊は細部をとにかく細かくやって細部を理解してもらうことが目的です.
このあたり, 集合・実数論・位相くらいは公開してもいいかとは思っていますし, この間記事にもしたように, コンテンツ無料にして数学のオンラインサロンという名の勉強会をメインにしたサービスを立ち上げるかという気分もあります.
集合と位相はいろいろな人が意識を向けるので, かえって実数論をもっと充実させた上で公開するのかいいような気分もあります. 私が 1 番見てほしいのは実は実数論だからというのもあります. 少なくとも距離空間への接続はとてもよく, 積分論を勉強する上でも大事です.
さっそく 9/28 (月) から松尾さんとはじめる「理論物理学者に数学を教えようの会」でも集合・位相をきちんと勉強したいという要望が出ているので, 公開用のすっきりしたコンテンツをそこで整備しようかという気分もあります.
いろいろ考えつつ実践・研究しているところです. 引き続き私の活動を注視してもらえれば, と思います.
ではまたメールします.
まずは今週のコンテンツのまとめをします.
今週は寝落ちしてしまったり, いろいろ平行して作業していたら文章を書くだけ書いて動画化を忘れていたりで, 動画コンテンツが少なくなってしまいました. 習慣が途切れると非常にまずいのですが, 今日はもう時間が取れないので明日から立て直します.
今週, 語学の勉強会も 1 時間やったのに 録音ができていなかったという最悪の事故を起こしてしまったので, その辺も再発防止策が必要な状況です.
GitHub へのプッシュをよく忘れるのですが, とりあえず Project Euler を地道に解き進めています. 物理サイドの視点からは微分方程式がいいと思っていて, 実際プログラムもいろいろ書いていますが, 数学サイドの視点, それも中高生に勧める視点からはそれだけというのもどうなのかと思い, 紆余曲折を経ていったん Project Euler に焦点を絞ることにしました.
やってみるとわかりますが, 少なくとも前半の簡単な問題の中には手計算でもできる問題があり, 数学というより算数で処理できる問題もあります. それでもプログラムにバグなく起こすのはかなり大変です.
このあたりやはりアルゴリズムの構成や意識に目が向くので, 1 ついい入門だなと改めて感じています. 結局私の趣味で F#, 実用性から Julia のコードを書くようにしています. この 2 言語, 特に F# はもっと慣れたいと思っています.
前回のメルマガで現代数学探険隊の感想を頂いた, というので松尾衛さんのお話をしましたが, そのあと数学市民ともう少し突っ込んだ話をして, 企画を進めることになりました.
私からは「理論物理学者に物理を教わる」では面白くないので, 「その辺の市民がなぜか理論物理学者に数学を教える」だったら異様で面白いのでは, という話をしたところ, それがよさそうだという話になり, 私からはとりあえずそれをやることにします.
とりあえず現代数学観光ツアーなどもあるので, その辺も整理しつつ, 物理のための解析学という感じで何かやっていこうと思っています. 趣味で数学・物理をやろうとしている人ではなく, 明確に物理学者なのでこれまで以上に物理オリエンテッドな話をする予定です.
メルマガを書くまでに概要ページを作ろうと思っていたのですが, 今週は忙しくて間に合いませんでした. 連休がまだ 2 日あるので, その間に書き上げる予定です.
まだ細かいことは決めていない (相談していない) のですが, Zoom でオンラインセミナーやりつつ, その録画を YouTube に放流する形を考えています.
人が多くなると大変そうなので, とりあえずオンラインセミナー自体はクローズドで進めることにしました. もしあなたがこの勉強会に興味があるなら, YouTube に放流するのでそちらを眺めてみてください.
何にせよ連休中にどんな内容をどんな感じでどう進めるか, 何を目的にこの勉強会をするのか, 数学市民との意図の違いやら遠い目標やらを改めてまとめる予定です. ここまでメルマガやコンテンツ, さらには各種コンテンツの案内ページで書いてきたことを, 今の状況・進捗に合わせてまとめます.
次回のメルマガではその記事自体は確実に発表できると思うので, 楽しみにお待ちください. 再来週くらいからは勉強会をスタートさせたいと思っています.
今回はこんなところで. ではまたメールします.
まずは今週のコンテンツのまとめをします.
休日, あまり作業できなくて進捗感がないのですが, 何だかんだでそれなりに作れているのかと安心しました. 線型代数と情報理論, 符号理論は 現代数学観光ツアーで作った分を整理して作り切りました.
現代数学観光ツアーは改めて整理しないと, とずっと思っていたので動画しつつ改めて整理して, PDF としても再構成していこうと思います.
Twitter の河東セミナーニュース bot https://twitter.com/kawahigashinews で Jones の訃報が流れてきました. 67 歳だったそうです. 竹崎正道先生の 80 歳記念の研究会のあと, 「昔からの仲間もどんどん亡くなりはじめ, 娘にも先立たれたが, 友人や息子のような人々がこんなにもたくさんいる」 などと言っていたことを思い出します. 竹崎先生, また悲しい思いをしているのだろうという気分です.
Jones の訃報を見て, ついでに作用素環系の情報を探っていたら, 作用素環系ニュースをいくつか見かけたのでついでに紹介しておきます.
北大に河東研の人が准教授になっていて, 戸松さんはどうなったのだろうと思っていたら, 戸松さん, 北大から早稲田に移っていました. 私が院にいた頃, 戸松さんはポスドクだったので, 時の経過を感じます.
メールで宣伝してほしいと頼まれたので, 宣伝しておきます.
上のページにある通り学内者優先だそうですが, 学外でも状況によっては OK らしいので参加してみたい方は連絡してみるとよいのでは, という話です. さすがに平日は私は厳しいので参加できませんが, ようやく今週から量子測定理論の動画を作る体で勉強をはじめますし, 興味だけはあります.
あとその人から「ZOOM で量子情報の講義を聞く会の参加者募集」とのことです. 以下引用.
量子測定に特化しているわけではないのですが、 量子情報の講義動画をZOOMで画面共有して、 疑問点などを話し議論を深める勉強会をしたいのですが、 参加してくれそうな知り合いがいないので募集できないでしょうか?
見ようと思っている講義動画は、 Reinhard F. Werner https://scholar.google.com/citations?user=yNI3gVcAAAAJ&hl=ja Mathematical methods of quantum information theory https://youtu.be/vb0ZEsATUcw シラバス https://tjoresearchnotes.wordpress.com/2018/09/10/mathematical-methods-of-quantum-information-theory/
他の友人とToplogical Order 関係の動画を一緒に見たときに分からないとこなどを 議論し理解を深めていったのでそれを量子情報の勉強でもやりたい。
教科書を予習して発表する必要がないため、ゼミの担当者が準備不足になることがない。 忙しくて予習ができない人も参加できる。 一人で動画を見ると集中できないとか別のことに時間を使いたいとか言い訳言って見ないので、 2人以上で見ることで動画に集中でき、 日時を決めて毎週コンスタントに動画を見て勉強する機会を動機づけにしたい。
ということだそうです. 私は参加しませんが, 興味があるという方は取り次ぐので, メールで返信お願いします.
この辺, トラブルになったときにどうするか問題もあるとはいえ, 私のメルマガに登録している人は興味関心もそれなりに似ていると思いますし, 交流も活発化させられたらいいなという気分だけは前からあります. 勉強会に関する告知・宣伝協力をしてくれという話が具体的に来たので, 試験的にやってみようと思います.
これ, 主催者の情報も伝えないと参加要望出しづらいのではないかという話もあり, 告知・宣伝要望を出すなら出すでこの辺の当たり前の要件を 自分から書いてきてほしいという気分もありつつ, 何をどこまで情報を出していいのかわからないのでその辺手探りです.
むしろ今回の件でその辺の案内募集要項を受けるフォーマットを作ればいいか, という気分です.
これはこれで希望者がいたら, その人と上の希望を出した当人とのやり取りの結果を教えてもらって, 募集の仲介するのに必要な情報を聞き取るための フォームを作ろうと思っています.
@Infinity_topoi さんのサイトで知った @phasetrbot さんの微分幾何の講義動画視聴中.テーマ選び絶妙,数学/物理スタイルを行き来しながら,抽象的な定義と具体的な計算のギャップを埋める計算の細部の実演.こういうコンテンツを渇望していました
http://mmatsuo.com/ を見るといま中国にいらっしゃるようですが, いままさにゴリゴリと作っている微分幾何系のコンテンツを見て, 「具体的な計算を重視しつつ, 物理スタイルと数学スタイルを行き来しながら進むので物理の自分には理解しやすく, 数学の本を読むための訓練までできて, こういうのを求めていた」というメールを頂きました.
物理系の勉強をしてみたいという人の目標の 1 つにやはり相対性理論があり, 一般相対性理論のために多少は微分幾何をやらねばならないというのを前から思っていました. 物理, できれば工学的なイメージまで持ちつつ, 微分幾何の最低ラインが一通り勉強できるコンテンツを探していて, 5 年くらい前から光学迷彩のプレプリントを見つけました.
ちょうどいい感じでまとまっているのでこれを紹介すればいいが, どうしたものかと思っていたところに YouTube でコンテンツ紹介するタイプの人も出てきたので, それならプレプリント紹介スタイルでやればいいと思って作ったコンテンツです. この辺の題材の選択まで含めて物理サイドからは取り組みやすいとの高評価を頂きました.
もう少し楽に読めるかと思ったら, 物理スタイルの記述がろくにわからず, 「このくらい計算できるでしょ」「他の本にあるでしょ」という感じで, 細部が全然わからないことも多く, 数学の本の対応する記述を読んでようやく埋めるとか 本末転倒みたいな感じで苦労して読解していたのが, かえって功を奏したようです.
微分幾何の計算, n 次元で考えると計量は大まかに n^2 個の成分, 接続係数 (クリストッフェル記号) は大まかに n^3 個の成分があり, 計算がハードで有名です. これまでその辺は適当に避けてきたのですが, 今回改めてきちんとやろうということで計算を詳しく書いたので, その辺まで含めて「とにかく計算できるようになろう」という視点で 重要なコンテンツが作れたと思っています.
自分が重要だと思って作った部分がまさにフィットしたということで, 私の嗅覚も捨てたものではないと改めて確認できたのが収穫です.
現代数学探険隊 https://phasetr.com/mtexpdf1/ も買ってくださったようで, これも物理向けにモチベートしてくれるコンテンツですごくいいとのことでした.
「一般ゲージ理論と共変解析力学」http://mmatsuo.com/cam/ の本も近刊で, 気になっていたので, 将来的に関連する研究に活かしてもらえるよう, またいろいろなコンテンツを作っていこうと思います. もう少しでプレプリントの微分幾何部分のノートが作り終わるので, それが終わったらいったん電磁気には進まず, ホッジ理論まわりの線型代数と関係する幾何の基礎コンテンツを整備する予定です.
もとが数学市民 https://twitter.com/Infinity_topoi 経由だそうなので, 3 人で対談コンテンツとか撮ってみたらまた面白いのではないか感もあります.
Mathpedia https://mathematicspedia.com/ が猛烈なペースでコンテンツを作っているので, 改めて宣伝しておきます. そして上に挙げたブログの記事で『最終的には「森の中の山道」を目指す』という目標が掲げられています.
私はある視点から見た大きな姿・全体像を見せることと, 自分の生育歴から面白い具体例や計算に特化した話を作っていくのをメインに据えています. 分野と目標がいい感じにずれていますし, 集合・位相系をかなりしっかりやってくれるようなので, もしあなたが Mathpedia 方面の話に興味があるなら, ぜひ追いかけてみてください.
具体例に関する議論や, いろいろな定義にまつわる話もしていて, この辺はある程度アプローチが似ている部分があります. 数学をやっていて誰もが苦労する部分はあり, その辺を埋めたい・埋めてほしかったというのはよくわかります.
私の場合はかなり物理よりの例を出しますが, 私には出せない純血の数学人から, 純粋に数学的視点で見て重要な例が出てくるので, 私とはまた違う味の話や例が見られます. これも Mathpedia で見てほしい点です.
例えば可換環論のページはそういったことにチャレンジしている。可換環を調べる手法には環の内部構造であるイデアルに注目する方法と外部構造である加群(とホモロジー代数)に注目する方法があり、Serreによる正則局所環のホモロジー論的特徴づけはエポックメイキングな出来事であった・・・
専門から遠い可換環でのエポックメイキングな事件は掌握しきれないので, こういうのも書いておいてもらえるとやはり助かります. 私は私で物理・数理物理の視点からやはりいろいろ書いています. 勉強する上で大事だからと思ってやってきましたが, 同じことを考える人がいて, 「やはり大事だな」と改めて確認できました.
大分長くなってきたので今回はこのくらいにしておきましょう. ではまたメールします.
新たな動きとしては, 理工系向け語学の勉強会をスタートさせました. その第 1 回を動画で公開してあります. 参加者は理工系出身の大人ですが, 面白いと言ってもらえたので, この方針は 1 つの方向性だと自信が持てました.
1 時間あるので軽い気持ちで見られる内容ではありませんが, 勉強会の資料は記事を公開してあり, そのリンクも以下で紹介しているので, 興味があれば記事だけでも眺めてみてください.
現代数学探険隊でも言及した, 位相空間の定式化で使うネットとフィルターの話, Mathpedia に記事が載ったので紹介しておきます.
現代数学探険隊でも書いたように, チコノフの定理の証明の簡略化としてよく使われる議論です. 簡略化といっても, その前にネットまたはフィルターの議論の準備が必要なので, 本当に簡略化されているのかは微妙なところですが, 証明だけに着目するならすっきりシンプルにはなっています.
私自身フィルターはあまり使いませんが, ネットは作用素環でときどき出てくるので多少馴染みはあります. しかし私はいまだにネットやフィルターがよくわかっていません.
上記ページにある程度の一般論を追いかける程度は特に問題はありません. 問題なのは, ネットやフィルターでないと掴まえられない世界の位相です. 具体的には, 私が扱う空間はノルム空間や内積空間がメインですし, 弱位相を取るにしてもそれなりに強い性質を持つ空間です. 特に強位相で考えるなら距離空間になります. 距離空間は第 2 可算公理をみたすかなり強い空間です.
一方, ネットやフィルターがその威力を 1 番発揮するのは, こうした可算公理が成り立たない空間です. 最近 Twitter で話題になって圏論的に位相空間論を議論するという本 https://www.math3ma.com/blog/topology-book でもネット・フィルターの話が出てきます. ここでは [0,1]^{[0,1]} に直積位相を入れた空間が第 1 可算ではないとか, P.58 の例 3.5 で収束する点列を持たないといった議論がぱっと追えません. 第 1 可算公理をみたさない厳しい世界に慣れていないため, 何をどうすればいいのかすぐにわからないのです.
さすがにがんばれば何とかなるとは思いますが, これに割く時間があるなら他のことをしたいのできちんと考えていません.
ツイキャスでも infinity_topoi さんが話していたのですが, 位相空間論といっても対象とする分野によって必要な位相空間は大きく変わるので, 自分の趣味に合った位相空間を勉強するのが大事ということでした. 確かに関数解析系で非ハウスドルフ空間を触るのはほとんど意味がありません.
単に推測ですが, 複素幾何などで層が必要な人達でも, 非ハウスドルフの位相空間をゴリゴリやるのは違うのではないかと見ています.
かといって層が必要な人達がハウスドルフだけやっていればいいというのは違うでしょう. 少なくとも幾何で出てくる非ハウスドルフな層の例はきちんとおさえておくべきです. 代数解析だと代数的な事情を重視するために, 第 1 分離公理さえ満たさない位相空間が出てくると聞いています. その辺の温度差を吸収した多彩な位相空間のコンテンツがあるとありがたいです. 関数解析系はとりあえずヒルベルト空間論とバナッハ空間論をやっておけば十分で, さらには実数論も重要です. この辺は現代数学探険隊にまとめてあるので, 興味があれば眺めてみてください. 募集・案内ページを見るだけでも様子はわかると思いますし, 別途無料で配布している参考文献集から関数解析の適当な本を見繕ってもらっても構いません.
p進解析だと超距離とそこから出てくる位相空間が完全非連結だったりする関係で, 実数や複素数体上の関数解析とはまた趣の違う関数解析です.
書くべきことはたくさんありますが, とりあえずこのくらいにしておきましょう.
久しぶりに現代数学観光ツアーに高校生からの回答がありました. 「DVD に傷がついても見られるのは何故かに興味がある」みたいなコメントがあったのですが, いまちょうど動画でその部分を作り直しているところです.
PC のブラウザ, 特に Chrome から見ているなら, 次のツールで 5 倍速くらいにしつつ, 一時停止を併用するとテンポよく見られると思います.
私自身を含め, 動画よりも文章がいい派もいるのは知りつつ, 文章のリリース方法を決めてきれていなくて何もできていませんが, そちらもそのうち何かします.
現代数学観光ツアー, 内容としてはいまでも面白く役に立つとさえ思っていますが, いかんせんボリューム設定などがおかしすぎる欠点があります. はじめて作ったミニ講座だったので, 気合が入りすぎていたとかいろいろな理由はあるにせよ, ちょっとよろしくない部分も目につくコンテンツです.
毎日新しい動画を内容から作るのも大変なので, 整理する目的も兼ねて動画を作っています.
大分前のアンケートで質問をもらって, 回答を書いたままで放置しているようだったので, いまさらながら回答を放流しておきます.
当時の回答なので自分自身「何の話だ」と思う部分もあるのですが, 少し書き換えたり記述を追加した上で適当に放流しておきます.
次のような質問を頂きました.
高校までの数学をやりきっても大学レベルの数学には余り結び付かないと聞くことがあります。中高数学をやり直しても無駄になるのでしょうか?
いま作っているミニ講座でも書いていることなので, 簡単に紹介します.
まずどういう視点で中高数学をやり直そうとしているかによります. 大学レベルの数学といって物理などの応用向けの数学, 特に微分積分や線型代数を想定しているか, 集合・位相のような数学科の数学を想定しているかでも変わります.
大学レベルの数学に結びつかないのは当然と言えば当然で, 単純に高校数学が簡単すぎるからです. 「実用」に足るレベルではないのです. これは小学校のマラソンレベルで速く走れるからといって, 42.195km のフルマラソンに耐える力はないという程度の意味です.
もちろん必ずしも無駄なわけではありません. 小学校のマラソンも走れる程度の体力もないのに, フルマラソンに耐えられるはずがありません. 基礎体力向上のためには役に立ちます.
もう 1 つ大事なのは, 大学の数学では一般性と抽象性が高くなる上に, 読む本によっては取っつきやすい具体例が取り上げられていません. 中高数学はその具体例を提供してくれます.
そして大学の数学でも一定の計算練習が大事です. 中高数学はその計算練習ネタを提供してくれる側面もあります. 大学数学の演習書ももちろんありますが, やはりそう簡単ではありません. 下手な本を選ぶとふつうに本を読むよりも大変です. 特に昔エリートしか大学に進学していなかった頃に 書かれた古い本は恐ろしく難しいことがよくあります.
エリートがエリート向けに書いているわけで, 「このくらいでわかるだろう」の水準が噛み合わないのは当然です. よく「解析入門と言いつつ解析門前払いになっている」 という言いがかりをつける人がいますが, 「お前が対象なのではない」というだけです. それはいろいろな意味で.
適切な本を選ぶのも大事なことで, それがあるから参考文献をいろいろ紹介しています. あと, 私は数学・物理を本格的に勉強する前提で本を選んでいるので, 上で「解析門前払い」と書かれた杉浦光夫の解析入門を推薦書に入れていたりします.
実際私はこれを一通り眺めた (完全に理解して頭に入っているとは言っていない) のですが, 証明が非常に丁寧で, コンテンツを作るときや復習するときにも実際によく参考にしています.
この本が厳しいのは, もちろん数学科水準の内容であること, そして他の本ではなあなあで済ますことをいちいちギチギチに書いているので, 通読しようと思うと心底鬱陶しいことです. 辞書として使うと非常に役に立ちます. 実際, 先程書いたように, 私はこの本を辞書として使っています.
あと紹介しようと思って忘れていたのですが, 最近, 東工大の加藤文元さんが書いた大学教養数学に対応する, チャート式の演習書があります.
詳しく読んでいる人に様子を聞くと, 加藤さんの執筆による本体はよくても, 演習書の出来にはいまひとつな部分はあるようです. それでも 1 つ定番になりそうな本ではあるので, 紹介くらいはしておきます.
先程書いたように大学の数学といって何を指すかも大きな問題です. 物理などの応用に使うための数学と, 数学科の数学でかなり趣が違います. 高校までの数学は物理などの応用に使う, 微分積分や線型代数 (ベクトルと行列) がメインです.
一方, 数学科の数学をやる上では集合・位相との戦いが必須です. これは中高の数学をいくらやったところでほとんど意味はありません. 知識ではなく純粋な数学的体力だけが求められます.
私は学部が物理学科で集合・位相が必修でした. 大学受験の数学は本当に駄目で, 私は数学科進学ははじめから考えてさえいなかったのですが, 物理学科の大半の人間が撃沈していた一方で, 私はむしろ数学科の数学世界に高い耐性を持っていたようで, むしろ取り組みやすいくらいでした.
どうやら本質的な向き不向きはあるようですが, 少なくとも数学科の数学を勉強する上で表面的に必要なのは, 予備知識ではなく数学に挑む気概と尋常ではないレベルの忍耐, そして数学に没頭する時間です. こちらは知識としての中高の数学なしでダイレクトに挑戦できます. 試しに挑戦してみるのもいいでしょう.
次の PDF は何度かリンクを共有している参考文献集です. この中にお勧めの集合・位相の本とその簡単な書評もあるので, ぜひ参考にしてください.
最近だと数学市民による Mathpedia も参考になるでしょう.
これは管理者が数学科卒で非常に強い人なので, 内容的に一定の信頼がおけます. 参考書ページに簡単な書評もあるので, そこにある範囲の本については参考になるでしょう. 最近できたばかりでまだ充実度は低い面があるものの, 私がカバーできる範囲とは全く違うところが強い人ですし, これからの充実を期待しています.
まとめると, 何を意図して中高数学をやるかによります. 大学数学の「理論」学習のための準備としてはほぼ使いものになりません. 簡単すぎるからです. 一方, 最低限の基礎体力をつけたり, 理論だけで理解を上滑りさせないように具体例を触る目的なら, 中高数学の復習には一定の意味があります.
どちらにしろ, 中高数学はただただ箱庭であって, 完全に実用もしくは数学のための数学になる大学の数学を勉強する上では限定的な意味しかありません. 基礎体力がないなら, 大して役に立たないことを承知で, 歯を食いしばって中高数学をやるしかないでしょう.
数学科の数学に挑むことが前提なら, とりあえず集合・位相の本を読んでみてください. 予備知識はほぼ不要です. いまはオンラインの数学教室もありますし, 適切な指導者をつけることをお勧めします.
参考までに書いておくと, 動画作成のために数学・物理を復習もしながら計算の詳細を詰めていますが, 本や論文で「読者に任せる」と書かれた 1 行の計算結果を出すのに 2 週間くらいかかったこともありますし, 何ならこれで軽いくらいです. 学生の頃は 3 年くらいしてようやく計算できた (計算できただけでわかったわけではない) みたいなこともよくありました. この手の苦労を少しでも減らしたいなら, きちんとお金なり適切な対価を支払って指導者をつけましょう.
私がぱっと思いつく (覚えている) のは次の 2 つです.
他にも探せばもう少しあります. これ以外にほぼ無料で参加できる, 相互扶助勉強会もいくつかあります.
上の 2 つはもともと対面の教室ですが, このご時世なのでオンライン指導もやっていると思います. すうがくぶんかは 1 時間あたり 7,000 円が相場です.
どう控え目に言っても高いですが, もし私がやるにしても同じくらいの金額をチャージするでしょう. そのくらいしないと労力に見合いません.
では今日はこんなところで. またメールします.
まずは近況報告がてら今週作ったコンテンツのまとめから. 20-30 分かかる動画もあるので, 興味のあるコンテンツだけでも眺めてみてください.
私は動画はよく倍速再生して見ていますし, ものによっては 5-6 倍で見ることもあります. Chrome または Firefox なら Video Speed Controller という 16倍速までできるプラグインがあるので, ぜひ使ってみてください.
メルマガでは上の記事集に突っ込んで書いただけでまじめに宣伝していませんでしたが, この表題の勉強会を開いてみることにしました.
詳しくは次の記事にまとめています.
現時点で 4 人参加して頂けるようなので, 楽しみにしています. これも作る作ると言って何もできていなかったのですが, 勉強会をやると宣言してからは「作らないと参加してくれる方に失礼だ」モードになって, コンテンツ制作に時間を割くようになりました.
他人を巻き込んで無理やり進める手法, 劇薬ですがやはり効果は抜群です. 現代数学探険隊の講座を作っていたときのように, 毎日毎週, 準備でだいぶ忙しくなりますが, がんばってやっていきましょう.
参加者自体はまだ募集しているので興味あればどうぞ. 現時点で数学系の人が参加することもあり, 物理は読解に必要な範囲で軽く説明しますが, 記事などでも強調してある通り, 語学系のコンテンツを作るために私の語学力を上げるのが趣旨です. 物理や数学には深入りしないのでもしあなたが参加希望されるなら, その前提のもとでご参加ください.
ちなみに原論文を読むための数学・物理学習に関しては次の本がお勧めです.
後半は実際に原論文の翻訳を読む形で原論文にアタックしています.
次のツイートを見かけて改めて思ったことです.
量子力学の本質とかいうのはよく知りませんが, 水素原子の解析からはじまる QED の数理物理が私の大学院生活の原点なので, 物質の安定性を改めてきちんと勉強する体で Lieb-Seiringer の Stability of Matter を読む動画を作りたいと思っています.
あともう一方, 量子測定に関しても数学・数理物理スタイルの本があって, それも理解があやふやなままです. これを読む基礎は現代数学探険隊で書いていますし, これまた勉強ついでに読む動画を作りたいです.
最近, 古典力学と微分幾何ばかりなのに飽きてきたので, もう少しバリエーションを増やしてローテーションで動画を作ることにしました. 微分幾何は個人的な趣味もあるので継続ですが, 力学は特殊相対性理論をやる予定だったのを物質の安定性に変えようかと思っています.
線型代数は現代数学観光ツアーでも触れた, 符号理論に関わる有限体とその上の線型空間論あたりが終わったら, 上記の量子測定理論の本を読もうかと思っています.
どちらも片手間で読むような本ではないのですが, わからないところはわからないと投げていくスタイルの動画を作ればいいか, くらいの気分でいます. 作者がよくわかっている系の動画と, わかっていないのにいい加減なことをいう動画はありますが, 勉強しつつ「わからないものはわからない」と素直に言うタイプの動画はあまり見かけませんし, 「わからないことをわからない」と素直に言えることが大事だという話もよくあるので, むしろそれを実践してみようという気分です.
何ににせよ, いま進行中のシリーズを落ち着けてからなので, はじめるまでもう少し時間がかかりますが, 見切り発車で適当にやっていこうと思います.
こういう趣味に走ったことをしているから中高生向けの話が進まないのですが, おさえるとストレスになるので仕方ないと割り切っています. だからこそ勉強会で他の人を巻き込んで強引に進めているわけで.
ではまたメールします.
それなりに数があるので, 興味のあるものだけ眺めてみてください.
ぜひ次のリンクからチャンネル登録もお願いします.
勉強に限らず, なかなかやりたいことが続かないという人がいるようです. よく言われることをまとめただけではありますが, 参考になる方もいるでしょうから, 簡単に紹介しておきます. もしあなたがやりたいことがあるのに続かない悩みがあるなら, ぜひ採用してみてください.
「継続は力なり」とよく言います. 実際, 何をやるにも膨大な練習・訓練を積まないことには一定の水準には到達しません. 頭を使わずただたやっていても出来るようにはなりませんし, それ以前にそもそもコツコツとやり続けること自体に高いハードルがあります.
言うは易しといういつもの話ではありますが, 続けるにはどうすればいいか, 定番でしかも効果の高い方法を紹介します.
毎日決まってやることを決め, それを淡々とやることです. これが全ての前提です. どうやって続けるかの工夫が以下の 5 項目です.
雑に軽くやるというのは, はじめから完璧を求めないことです. 完璧にできるならはじめから何も困りません.
子どもに対する教育を考えてみてください. できなくても何度もくり返させるはずです. 「できない」と泣く子どもをやさしく励まして, 少しできるようになったら大げさなくらい褒めるはずです. こういうのが大人, もっといえば自分に対しても必要です. とにかく続けることを第一に, 雑でいいから毎日少しずつ, そして必ず実行しましょう.
「英単語を毎日必ず 5 つ覚える」というように具体的に量で設定することです. ここで特にはじめのうちは前日の分を忘れていても構いません. 原理的に無理です.
ちなみに 5 個覚えるというような定量化がしにくいタイプのタスクもあります. 勉強用に本を読むとして, そのページ数で決める方法もありますが, 難しい本だとそれだけで 1 日の時間が溶け切ることもあります. そういう場合は毎日 5 分読む, 10 分読むという時間の区切りにすることも大事です. そして「それ以上の時間はやらない」というタイプの制限も大事です. それだけで 1 日の時間を溶かし切らないようにする工夫です. 私はこれで毎度痛い目を見ています.
特にはじめのうちは休む日を入れないとうんざりして挫折まっしぐらです. 休むときは休む, やるときはやるというメリハリも大事です. いろいろ試してみて自分にとっていい塩梅を見つけてください. 継続してみてはじめてわかることでもあります.
私としては, 平日に 5 分でも 10 分でもいいから毎日やることにして, 週末は完全オフ, みたいなスタイルを勧めます. 週末の休みは一日しばりの予定が入りやすく, かえって何かしづらいときが多いのです. 週末は使えるときのボーナスタイムという扱いにして, 平日にどれだけのことがやれるかという基準で考えるのを勧めます.
要は「やらなければいけないこと・やるべきことをやらざるを得ない状況を作る」ことです. 勉強結果を毎日 SNS で報告するといったことでも構いません. 私の場合はメルマガを書く・勉強会を主催するという部分で嫌でもやらざるを得ない状況を作っています. 心構えや気持ちではどうにもなりません. そうせざるをえない環境の整備が重要です.
環境の整備と言われてもわかりにくいかもしれません. 具体的には「人を巻き込む」と思ってください. 例えば定期的に誰か, それも尊敬する人相手に報告するとなると, 「こいつ挫折したな」と思われたくない, といった気分が強くはたらくようにもなります. こういう強制力をうまく使いましょう. 単にがんばるというだけの「心構え」ではなく, 人を巻き込んだ形での「心構え」にするのがポイントです. 私の場合は勉強会の主催という形で人を巻き込んで継続させている部分があります.
最後に改めて要点をまとめておきます.
1 番お勧めなのは人を巻き込むことです. ふつうの人は「何だあの嘘つき」と言われたくないので, そういう部分でがんばる強制力がつきます. この強制力をうまく持ち込むのがポイントです. ぜひ試してみてください.
ではまたメールします.
まずは今週作ったコンテンツの一覧から.
記事 - 2020-04-19_introduction オンラインプログラミング勉強会 - 2020-08-12 数学を市民化するプロジェクト/メルマガから - フランクリンの「生まれたての赤ん坊が何の役に立つか、あなた答えられますか?」と科学・技術の倫理 - 2020-08-01_hw オンライン プログラミング勉強会 - GitHub
力学 - 質点系の全角運動量と保存則 - 質点系の全エネルギーと保存則
幾何 - 計量テンソルの導入 - 計量テンソルの変換則・不変性 - 計量テンソルと体積形式 - 極座標のリーマン計量・体積形式, 反変ベクトルの変換則
今度から主催している勉強会の資料もアップしてみることにしました. 毎日必ず何か 1 つコンテンツを作って出すことを日課にしていて, それに追いまくられていてあまり何もできていない感があります. リストを見てようやくできてはいるなという気分になれます.
他のやるべき勉強が止まっている部分があるのが厳しいところで, 時間配分の下手さを感じます. いまメインで進めているコンテンツ, 一度はやった計算であるにも関わらずはまると数時間簡単に持っていかれるので厳しいです. だからこそ計算練習コンテンツをたくさん作らないとと思い, 現代数学探険隊の補足コンテンツとして改めてがんばって作っています.
最近プログラミングの新コンテンツ制作・勉強が完全に死んでいて何も書けません. 一応物理教育とプログラミングという点で 1 つ参考になる論文を紹介しておきます.
これは Haskell, 特に強い型システムを使って, 「プログラムに物理を教える」スタンスで数値計算とともに 物理を教えるという教育プログラムに関する論文です.
既にこういう講義を実践しているという話だったので, 著者にメールして公開できるコンテンツはないのかと聞いたら, 本を書いているといって草稿を送ってくれました. まだ全くの書きかけで参考になるレベルではなかったのですが, 非常に気になっている話ではあります.
ライブラリ自体は公開されているのですが, hmatrix を使っていて, これが OpenBLAS などに依存しています. Mac ならともかく Windows で動かせなくて挫折した苦い記憶もあります. いまなら WSL があるのでセットアップももう少し楽だとは思いますが.
この辺, 1 ヶ月くらいいろいろがんばって挫折した苦労があるので, この間リリースしたプログラミングコンテンツでは環境構築不要にするため, そしてレビュアーの方からのコメントもあったため, Google Colaboratory 前提にがんばって調整したという経緯もあります.
あとは infinity_topoi さんが精力的に動いているので, こちらでも宣伝協力しておきます.
Mathpedia あたり, もしあなたが数学系のコンテンツを作ってみたいが 1 から自分で作るのはちょっと, と思っているなら, ためしに参加してみてはどうでしょうか. 求められるハードルはそれ相応でしょうが, 必ずしもゴリゴリの数学科の数学でなくても, 工学的視点から数学みたいな感じでもそれはそれで大事なコンテンツとみなしてもらえるような気はします.
あと YouTube コンテンツに関しては基本的に何らかの意味で 数学をゴリゴリにやっている・やってきた人達ばかりが紹介されているので, 興味があるところだけでも見てみるといいのではないでしょうか.
私も今後は以前の無料公開系コンテンツの整備も含め, 解析系のコンテンツを作っていこうと思っています. 特に測度論・積分論・関数解析あたりへの入門の入門くらいのやつを. これも本当は先週のうちに作りはじめる予定だったのですが, 力学と微分幾何の計算のコンテンツの計算ではまりまくって全然進められていません. 何とかします.
ではまたメールします.
Twitter メルマガで宣伝協力しようと宣言したので宣伝です.
次のアカウントの人の活動の宣伝です. 後半で数学面を中心にある程度この人の人となりを書きます.
私は実際に中の人に会ったこともあります. 数学に対する十全な訓練を受けている人で, Infinity_topoi さんの数学は信頼できます.
メールアドレスも公開になっているのですが, それをここに張っていいかどうかわかりません. ツイートを見ると辿れるので, 必要ならメールを送ってみてください.
Twitter を見るとコメントが RT されているので, 眺めてくるといいでしょう. 実際によくある要望で共感する人も多いはずです. あとでここにも引用します.
まだブログの記事もそんなにないので, ざっと眺めてみるといいでしょう. 例えば次の「市民向け数学コンテンツ」など.
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まずはどんなことをしようとしているのか, 上記ブログから引用しましょう.
ツイキャスでも話しましたが、その一つの目的は「数学の敷居を下げる」ことです。自分は学生の頃から問題意識を感じていましたが、どうしても大学の数学は極めて丁寧な取り扱いが求められる一方で教科書等が必ずしも丁寧とは言えず「実は別に大したことのないハードル」を苦に感じて苦手意識を持ってしまう人が多いと思います。また、一度大きな抽象化を挟むことによってその抽象化のモチベーションが分からなくなり、迷子になってしまう方も多い筈です。
そういった「ギャップ」を丁寧に解説することによって、そういったギャップを消滅させようという試みがこのプロジェクトです。
大きく言えば私も同じことをやっているわけですが, この人の場合は純血の数学で, 特に圏論方面に強い人です. 私が全くカバーできない範囲なので, 圏論や位相空間論に興味がある人はぜひ動きをフォローしてください.
次の記事を見てもらうとわかるように, 代数幾何系の幾何の素養もあります.
もしあなたが大学に通っているか通ったことがあるなら, 大学の教員やその講義を見ればわかるように, 自分の中で理解しているからといってそれをうまく伝えられるかどうかはまた別の問題です. そして Infinity_topoi さんはその伝える方面の能力も優れています. どうも自分の理解を深めること自体が他者への説明力を上げることに繋がるタイプの人のようです.
Infinity_topoi さんの話で大事なことはたくさんあるのですが, とりあえず「市民向け数学コンテンツ」の次の一節を引用しておきます.
こういった依頼を行う上において、有償で依頼をするということは非常に重要な要素だと考えている。どうしてもこのような普及活動というのは無償のボランティアになりがちだ。しかし、それでは研究を生業としている方々にとってはメリットが存在しない。自己犠牲的な活動はサステナビリティに欠けるのも事実だ。
前から言っているように, 私が有料コンテンツを作っている理由もまさにこれです. 正直, 私がやっている範囲ではメルマガ配信スタンドに契約したり何だりで, 利益はないか赤字のレベルです. それでもきちんとお金を産めるようにすることが大事だと思い, 有料サービスをいくつか展開しています.
「多少なりとも食っていくことに繋がるなら自分もやってみるか」, そう思ってくれる人が少しでも増えるようにと思って.
いろいろ言うべきことはありますが, とりあえず教育意欲と能力の高い人が戻ってきたので, みんなで応援して盛り上げましょうということで.
最後に, Twitter で RT されている, 「こんなコンテンツがあったらいいな」も共有しておきます. 本来は Twitter の正式な方法で引用するべきですが, さぼります.
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入口に案内するだけでなく、ある程度の基礎的な事柄まで 経路に沿って案内するような入門解説があれば助かります。 読み物では満足できない。教科書を読むほどの気力はない。 さりとて雰囲気だけでも分かりたいという我侭な願望です。
どうしてもこれ迄の歴史や経験が本と紙ベースなのでwebベースな数学百科の詳細なもので具体例が沢山コンパクトに(詳細と矛盾しない形で)纏めてあり直ぐ確認できるもの
気軽にセミナーを開ける仕組みも欲しいですね。大学レベルに限らず「数Ⅰの教科書を読んでみようセミナー」とか「生活に役立つ確率統計の初歩セミナー」とかを中学、高校生も含めた誰でも参加できる感じで。あんまり大人数なのは良くないだろうから同じようなセミナーが同時多発してもいい。
独学では行間を埋めるのは難しく、解けない演習問題はスルーするしかないとか。
各科目の講義動画があれば将来の日本人の資産になると思う。線型とか群論はいくつかありますがすごく丁寧なのばかりですね。大学の講義くらいのスピード感でしてくれる動画もあれば選択肢が増えていいかも。作る人大変すぎでボランティアの域超えるので、クラウドファンディングして資金集めとか
必要な定理への最短経路(逆引きの必要「経費」集とでもいいますか)への手引きと、それに一味足したもう少し先には、、、なる先達のコメント (教科書読んだらいいわけですが、こういうコンテンツもあっても良いなぁと)
実例いっぱい欲しいわね。
勉強したことが正しく理解できているか見てくれて適切なコメントをくれるメンターの存在、分からないことを相談しあえる仲間の存在。
工学的応用の例示
改めて書いておくと, この中のいくつかについては自分なりに作ったコンテンツもあります.
実は自分の中での 1 番のお気に入り, 京大であった関西すうがく徒のつどいで話した内容を DVD 化した「よくわからない数学 色々な反例で遊ぼう」です. Amazon でもレビューつけてもらえています.
これ, いま法外な値段の中古品しか出ていないのですが, Amazon からの納入依頼が来なくて新品が送れない状況です. 久しぶりに思い出したのですが, YouTube で公開した方がいいのかという気もしています.
あとこの DVD, 高知工科大学の全教授が見かけて「こんなタイトルの DVD を作る馬鹿は面白いに違いない」とメールをくれて, 実際に大学で講演するきっかけになったコンテンツでもあります.
講演の様子は動画にして YouTube に上げてあります. 上記ページにリンクがあるので興味がある方は見てください.
ではまたメールします.
まずは今週のコンテンツから.
力学 - 角運動量と保存則 https://youtu.be/oUzc22dsfio - 地表に固定した座標系での運動方程式 https://youtu.be/er9sR9SdOfY - 自由落下とニールの曲線・フーコーの振り子 https://www.youtube.com/watch?v=k0EQgamEUQk&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=37&t=0s - ビリアル定理・断熱定理 https://www.youtube.com/watch?v=KbRaQ0LdwQM&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=38&t=0s
幾何 - ヘルムホルツ方程式と関数論 https://www.youtube.com/watch?v=KwQa558ZJgU&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=10&t=0s - 3次元の理論に向けた知識の整理 https://youtu.be/YbFWWRut-p8&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=11&t=0s - ベクトル場と無限小変位の変換則・極座標の変換行列 https://youtu.be/JTX8Vlrd4D0
記事 - 小学校高学年での分数の除法: 割り算を逆数の積とみなしつつ小中連携 https://phasetr.com/blog/2020/08/02/education-fraction/
興味あるのをぜひ眺めてみてください. 動画については Chrome と Firefox には Video Speed Controller という拡張があるので, これを使うといい感じで早送りできます. 16 倍速まであります.
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最近オンラインの勉強会にいくつか参加しています. 自分が主催していて毎回自分が喋る数学・プログラミング系の勉強会が 1 つ, 自分が主催していて適当に担当変えつつの統計・機械学習系の勉強会が 1 つ, 知人が主催していて聞くだけのホモロジー代数の勉強会が 1 つです.
これにアインシュタインの特殊相対性理論の論文を 原語+英語で読もうの会がはじまるかもしれない, という感じ. これは数学・物理系ではなく語学系の知り合いとやるやらないの話をしているところで, 数学・物理というよりもドイツ語・英語, 特に英語の勉強用です.
中高生向けのコンテンツとして数学・物理から学ぶ英語, みたいなのを作ろうという話を以前したと思いますが, それのためです. コンテンツにドイツ語原語をどこまで入れるかは未定ですが, いくつかの言語で翻訳があるので, その辺を比較しながら読もうと思っていますし, コンテンツにもある程度盛り込みたいと思っています.
興味がある方向けにいくつかリンクを紹介しておきます.
他の言語でもあるとは思いますが, いま興味があるところを検索して探してきただけです. 著作権的なものがどうなっているのかよくわかっていないのでアレな気分はあります.
ちなみに, どうして多言語の視点を重視しているかと言うと, 単純に面白くするため, 何をどうしても必要な暗記を楽に, そして楽しくするためです.
例えば日本語というか感じでも, さんずいがあれば水系の意味というのがあります. 英語や他の言語でも単語に似たような構造があるわけです. 例えば英語で sp とあれば適当な意味で「破裂」のイメージがあります. ディズニーランドでもスプラッシュマウンテンというアトラクションがありますが, その splash は水がシュパーンと飛び散る意味で, 日本語としての擬音のシュパーンもまさに sp です. (シュパーンという擬音, これ, 日本語にもとからあったのでしょうか?)
他には speak も話すのは口から音を飛び散らせるから「話す」のイメージに持ち込めますし, sparkle も光が飛び散る感じのきらめき・輝きのイメージです. この辺, 「数学は類推の学問」とも言われていますし, 実際に適当な類推力の涵養はとても大事です. その辺を単語・言語をまたいで強化するパワーをつけてもらいたいわけです.
あと, こういうのがあった方が理工系の生徒・学生は取り組みやすいとも思います. 私が知る限り英語は単語レベルだとドイツ語 (ゲルマン系) が本流で, フランス語 (ロマンス系) がその上に乗っかっている構造です. そしていわゆる難単語はフランス語の標準的な語彙だとも聞いていますし, この辺を同時に攻めると私が面白いといういつもの話です. いつだって私は昔の自分がほしかったものを作っていくスタイルなので, このスタイルでやってみようと.
あと, 中高数学・プログラミングの軸でもいくつかやりたいことがあります. そしていつも通り迷走しています. アルゴリズムは自分のためにもやりたいのですが, 全然進んでいません. 言語も F# が猛烈にやりたいものの, 情報がとにかく少なく厳しいので, 再び Julia を検討する方向で考えています.
数学ネタもどうするか悩み中で, 代数方面で何かないかと思っていて, 符号理論・暗号理論方面から, 計算がたくさんできるタイプのネタをうまく持ってこられないかと探しています.
暗号理論も興味あるのですが, 楕円曲線みたいな方向だと私の勉強が多くなりすぎてコンテンツがすぐに作れない問題があります. 勉強しながら小出しにするテクニックはなくもないですが, 多分途中で飽きそう.
一方, 符号理論は線型代数パートがあり, 線型代数は幾何ともいろいろあって, 量子情報・量子暗号は量子力学だから線型代数大事みたいな趣があります. この方向で何か数学・物理・プログラミングに持ち込めないかと画策しています.
この間リリースした「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」で 偏微分方程式 (PDE) まで 一通り扱っていますが, これ以上の PDE は本当にゴリゴリの世界でかなりつらいため, 別の方向で検討しています.
統計系でも線型代数必要だし, 需要も多いので何かやりたいです. 単純な統計・機械学習方面なら既存のコンテンツがたくさんあるというか, 出てきていますが, これも物理方面から私が気に入る方向性で何かやりたいです.
動画シリーズの古典力学が一段落したら, こちらは特殊相対性理論にうつる予定で, これはこれで線型代数が大事です. 動画シリーズの微分幾何も光学迷彩が一段落したら, ホッジのスター作用素やら何やらの線型代数部分にうつろうと思っていたので, 再来月くらいには線型代数に入れるといいなという気分です.
メルマガで活動報告の形で振り返りをしていることになりますが, 報告のたびに迷走しまくっている感が顕になります. 実際 1 年以上何がいいのかよくわからなくて迷走しています. とにかく勉強したことをコンテンツにまとめて出力する方向に切り替えたので, 多少なりとも進んでいる気分にはなっていて, 精神衛生は多少向上してきました.
他にもセミナーのような形で人を巻き込んでやっていく計画がいくつかあります. 無駄に自分を追い込んでどうする, という気分もありつつ, そうしないとコンテンツ制作が進まないのもわかったので, 本当に社会は厳しいなと痛感しているところです.
引き続き迷走を続け, 報告・共有を続けます. ぜひあなたも何か作って共有してください. 特に数学・物理・プログラミング系のコンテンツを Julia で作ってまとめていってもらえると私が喜びます.
ではまたメールします.
今週のコンテンツから案内します.
力学 - 保存力場, そして場の概念 https://www.youtube.com/watch?v=4coP0WI5c38&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=31&t=0s - 保存力の例, 角運動量とトルクの定義 https://www.youtube.com/watch?v=5RvzENYnMn8 - 軌道角運動量の極座標表 https://www.youtube.com/watch?v=DZUXbndyGZw
光学迷彩の数理 ハリーポッターの透明マントの科学 - イントロダクション https://www.youtube.com/watch?v=Lm3ZNsf9Zmg - フェルマーの原理と光の経路 https://www.youtube.com/watch?v=Y2DhuH_yq-c - 共形変換と二次元の理論 https://www.youtube.com/watch?v=YbK-3-lP7co&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=9&t=0s
いまは日替わりで力学と幾何をやっています. 実は力学も最初の運動学でちょっとした微分幾何を議論しています. それなら微分幾何も平行してやるといい気がしてきたこと, ふつうの古典力学が一通り終わったら, 復習も兼ねて特殊相対性理論から一般相対性理論に流そうと思っているので, その前哨戦という趣もあります.
もともとこのコンテンツ群自体, 現代数学探険隊の計算練習パートから派生している事情があります. 計算こそ丁寧にしているつもりではあっても, 微分幾何の方は幾何の議論の基礎的なことをあまり議論していないので, どうしようかという気分はあります.
それはそうと光学迷彩の方で, 先週メルマガを書いたら物理のプロから次の文献を教えてもらいました.
これは動画で紹介している本はリーマン幾何で議論している一方, それはうまくいかないという定理があるようです. それは「方向」をきちんと考えていないから, ということで, 方向を考えられるフィンスラーでやってはどうかと 純理論的な提案をしているプレプリントです. フィンスラー幾何は名前しか知らず, チャーンが本を書いていることくらい知らない, と思ったらまさにその本が参考文献に入っていました. ここに興味があるならチャーン達が書いた本を読むといいでしょう.
ちなみにフィンスラーについては前にフィンスラーと経路積分みたいな論文を見かけたことがあります.
両方ともぐぐって上の方に出てきた文献でまともに目を通していません. ちゃんと議論があって続いている対象だと言いたいだけです. フィンスラー幾何はリーマン幾何以上に何も知らないので, これ以上はコメントできません.
話を光学迷彩に戻すと, Amemiya-Nishiyama-Taki 論文も 2012 年なのでいまはもっと進展しているでしょう. もしあなたが何か面白い発展・文献をご存知でしたら, ぜひ教えてください. 私に対応できる幾何力があるなら紹介したいと思います.
あと動画コンテンツについてコメントもらって, これが面白かったので簡単にここでも共有しておきます.
たぶん 1 番の勘所は「(コメントしてくれた人にとって) 動画は勉強するのに向かない」という話なのだろうと思います. いくつか意図があってあのスタイルなのですが, 動画では勉強しづらい・できない点に関しては私も同じです. ふつうに文章を読む形で自分のペースでやりたいクチです. ただ, 最近の中高生は本よりも YouTube の動画を見て勉強している (人もいる) と聞きますし, 可能性としてそこにも届きますように, という気分です. あんな動画を今時の中高生が我慢して見るか? という疑問はとりあえず無視しています.
実験的にあんなのでもないよりいいと思っているのでやっています. もっと言えば「あんなのでいいなら自分でも作れる」という人はいるでしょうし, そういう目的もあります.
ちなみの動画は LyX https://www.lyx.org/ で式と文章を書きつつ, 動画としては Zoom の録画を使っています. PC さえあれば作れてカメラなども不要です.
動画として音がないのは異様とも言われています. 実際音を入れるくらい, 質を問わないなら作業的に私には何でもないのですが, 少しでも手を抜いてコンテンツを作りやすくして, 習慣構築のリハビリをするのが目的だからサボっているのが 1 つです.
もう 1 つは私の特性です. 今回の指摘を受けて改めて考え直したところ, どうやら私は勉強 (情報の受け入れモード) に入るとき, 音があるとそちらの情報も受け入れてしまい, 気が散って勉強できないようです. 「出力モード」だと音があっても問題ないようなのですが. そして発達障害の診断確定済みの知人がいて, 音に対する知覚過敏があるようで生活音でさえつらいそうで, 余計な音はない方が入れたくないという気分があります.
この間リリースしたコンテンツの案内ページでも, 「万人向けのコンテンツはなく, 少なくともこういう人はこのコンテンツには向いていない」という説明をつけています. 人や状況によって善し悪しは変わるので, 自分が対象としている層にとってよいものを作ろう, という話でした.
今回の動画コンテンツについては私の動画作成習慣づけ作りの面も強く, 誰向けというのもそれほど強く意識していないので, そういう部分も出ている趣はあります.
音については「せめてしゃべればいいのに」と思う人がいるかもしれません. ただ, 話も入れるのに関しては「失敗」事例があるのです. YouTube に音声入りの (自分でしゃべった) コンテンツは公開状態でもいくつか挙げています(非公開コンテンツもある). それに対して「しゃべり方が気持ち悪い. 障害者か?」というコメントがついたこともありますし, Twitter でも知人から「聞きづらいし話すのやめた方がいいのでは」と言われたことがあります.
私は吃音という発話障害があって, この点, 本当に障害者なのです. Twitter での知人とは「そうはいっても話す練習もしないといけないし」みたいにコメントしたところ, 「話す練習は別でしたら? 視聴者に聞きづらさを押しつける形になっているがそれはいいのか」みたいに言われたこともあり, いまデイリーで作っている動画コンテンツではしゃべらないことにしています. 音を入れず, 話さえしないのにはこういう理由もあります.
ついでにあの動画の作成意図はもう少しあるので, その辺も書いておきましょう.
あれは「TeX の教育・LyX の布教」の側面があります. 私が学生だったころ, TeX の勉強はかなりのハードルがありました. 「これはどう書いたらいいのか?」というタイプの話です. いわゆるサンプルコードがほしいという問題です. 実際に TeX で書いて見せて, 「この式はこう書ける」というのを見せる意図があります.
あとは手計算の代わりに LyX で計算するという手法です. 計算ノートの電子化もついでにやろうという話でもあります. 昔は私も手書き一辺倒であり, TeX は計算結果をまとめるだけであって, Lyx (TeX) で計算できるかと思っていました. 実際いまでもモノによっては手書きでないとつらい計算はあります.
ただ, あとでコンテンツを作ることまで考えると, TeX・LyX で直接計算ノートを作っていくのにメリットが出てきました. 微分幾何の長く鬱陶しい計算が必要な場面で, 転記ミスが多くて大変だったとき, コピペで済む TeX 打ちノートが便利だったこともあります. あとミスを一括置換できるのも魅力の 1 つです.
いまのところハードな不等式評価をするときは, 自分のノートテイクの都合でまず手書きにしますが, それ以外はほぼ直接 TeX・LyX でやっています. 特に微分幾何系の添字が面倒な計算は TeX・LyX です. この辺を宣伝するのも動画の目的の 1 つだったりします. 字が綺麗なわけでもなく, 最終的にマルチユースする前提だと電子記録がかなり大事なので, もしあなたがコンテンツを作ってみたいと思うなら, ぜひ一度試して自分に合っているかどうか検証してみてほしいです. 計算ノートをそのまま配布できたりもするので便利です.
いまの形の動画は学習コンテンツとして使いものにならないにしても, 計算ノートは需要があるはずなので, どこかで公開したいのですがどうしようかは検討中です. 他の数学系 YouTuber の人達は note で販売していたりしますし, そういう形を試してみようとは思っています. YouTube 動画化した分だけでももう 120 ページを越えたので, 本当にミニコンテンツになってきています.
ではまたメールします.
今週から作ったコンテンツをきちんと書くことにしました. 力学に関しては次の動画です.
微分幾何とその計算シリーズは次の動画を作りました.
力学は引き続き標準的なコースをあっさりめで, 計算重視で進めていきます. 微分幾何の方はメタマテリアルに関する次のプレプリントの数学解説の形で議論を進めてみようと思っています.
私も全くもって詳しくありませんが, メタマテリアルは「光学迷彩」の物理のようです. 一般相対論の手法, つまり微分幾何を光学に持ち込んでいろいろやる話です. ネタが面白い上に微分幾何が一通りまとまっているので取り上げるのに良さそうと思い, 取り上げることにしました. 動画にするのは著作権がどうなるかという話もあり, かなり微妙と言えば微妙です.
海外には論文紹介系 YouTuber もいるようですが, 内容に細々と踏み込むタイプがどこまで問題ないのか, 私はよくわかっていません. 何にせよ手元の計算ノートをひっそりと公開する分にはそこまで影響なさそうなので, それ自体は適当な形で公開する予定です.
毎日, 無理やりにでも動画を 1 つ作る習慣は何とかできあがりつつあります. 引き続きやっていくので応援よろしくお願いします. ぜひチャンネル登録や動画のシェアや動画への評価もお願いします.
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さて, ようやく Google Colab 対応版のコンテンツをリリースしました. 通告していた通り, 今度は有料版として公開しています.
詳しいことは上記ページに書きました. 基本的に有料化以外の記述は変えていません.
もしあなたが無料版を受講していて「これはいいものだ」と思ったなら, 「お布施」してもらえると嬉しいです.
せっかくなので有料化について改めて少し書いておきます. お金のやりとりというと嫌な感覚になる人もきっと多いでしょう. 私自身, 昔はそうでした.
実はある出来事をきっかけにかなり感覚が変わりました. 今日はその話をしようと思います.
もう 3-4 年前の話ですが, 単発のコンテンツだけではなく, (ミニ) 通信講座を作りはじめたときです. 現代数学観光ツアーです.
これは当初の想定が数学科・物理学科学生向けで, かなりやりすぎでボリュームもおかしいので, 適当に調整・再構成して作り直そうかとは思っています.
それはさておき, これを作っている中で次のようなメールやアンケートをもらいました.
こんないいものを無料で受講させてもらえるなんて申し訳ないので, 少なくても申し訳ないが受講料を振り込ませてほしい.
かつてニコニコ動画ではいいコンテンツに対して 「振り込めない詐欺」というタグがついていたりました. まさに「こんないいものを無料で見られていいのか」という話です. 本当にこういうメールを自分がもらえるのかと驚きました. あと, 「いろいろ質問などもしたいが, ただでさえこんないいコンテンツを無料で受講させてもらえているのに, そこまで要求するのは申し訳ない」というメール・アンケートも頂きました.
無料だからこそかえって人の学習を妨げてしまっているのかという衝撃です.
ちゃんとお金をもらった方がいいことさえあると, 本当に心から実感した瞬間です. 以前, 救急車の出動に関して, 無料であるよりも有料の方がかえって気持ちよく呼べるという話を聞いたことがあります. こういう話だったのかと.
他にも語るべき話はいろいろあると思いますが, 今日はこんなところにします.
ではまたメールします.
最近は日々の TODO を決めて淡々と暮らしていて, 日々浅く広く勉強をしている感じで, 前のように猛烈にしている感じがなく, あまり何かをしている感じがありません.
しかし, 日々の TODO で計算をしつつ, そのまとめを YouTube で動画投稿しているので, コンテンツ整備はきちんと進めています.
これはいったん PDF を準備してから動画にしています. 動画よりも自分のペースでテキストで読みたい方も多いと思います. 何より私がその手のタイプです. 最近, 大学なり何なりでオンライン講義が話題になっていますが, 動画講義よりも資料の PDF を配ってもらった方が嬉しいという声もよく聞きます. この PDF もある程度まとまったら, きちんとチェックした上でリリースしようと思っています.
あと微分幾何は線型代数まわりの暴力的なテンソル計算があり, それは PDF よりも TeX の形でリリースしたいと思っています. 微分幾何はコンテンツを作るという体で, 自分自身改めてきっちり勉強し直しています.
他にも各種計算ノートを徐々に整備を進めていきます. その他プログラミング系のコンテンツも準備を進めているので, そちらもお待ちください.
今回は手短かですがこのあたりで. ではまたメールします.
今回は現代数学観光ツアーのアンケートで気になる回答があったので, コメントするためのメルマガ配信です.
数学は基礎が全くないためか、不明な記号をみて、いやになります。式の展開が省略しており、先に進めない。
問題解決につながる応用を意識しています。数学でも、物理でも、具体的な動作を可視化するような、サンプルプロブラムと簡単なコード解説があったらいいなと思います。
前者については世に詳しいコンテンツがたくさんあるので, 私個人の活動としてはそれらを案内するに留めていて, 特に自作コンテンツはありません. 大事なのは後者だと思っていて, 特に後者のコンテンツは準備しているので, そのコメントです.
まず, 現代数学観光ツアーは上記のどちらも全く意図していない講座です. 一方そうしたニーズがあることもわかっている (いた) ので, 専用の講座も準備してあります. たぶんこちらの方が勉強の役に立ち, 面白いとも感じてもらえると思うので, 改めて案内します.
それは次の 2 講座です.
詳しいことはリンク先の案内ページをぜひ読んでみてください. ここではそれぞれを改めて簡単に説明しておきます.
前者は無料講座で, 微分方程式をプログラムを書いて数値的に解くことを通じて, 中高数学を概観する講座です. ここでは細かい式展開よりも, 中高数学を概観すること, プログラムで可視化することを重視してテンポよく進めています.
後者は有料講座ですが, いまはまだ無料公開中です. ようやく再調整が終わったので, いま有料化に向けて準備をしています. 無料でお試ししてみたければいまのうちです.
再調整で何をしていたかというと, コンテンツをレビューして頂いたとき, Google Colaboratory を標準環境にした方がいいのでは, というご指摘を頂いたので, その調整をしていました. 毎日少しずつ確認し, 約半年かけて調整が終わったので, その調整版を有料コンテンツとして近々リリースします. もちろん本質的な内容は無料版と変わりません.
簡単に内容を紹介すると, 前者の講座を受けて, もう少し数学をきちんと解説する講座にしています. もちろん可視化を中心にプログラミングを使いながら. 最近や統計学や機械学習への応用を目指したコンテンツもたくさん出ています. 同じようなコンテンツを作っても仕方ないので, 別の軸を据えてコンテンツを作っています. それは次の 2 つです.
特に微分方程式はアニメーションを作っているので, 見ているだけでも面白いと思います.
あと, 微分方程式に関しては, 教材としてまとめきってはいませんが, プログラムと動画自体はいろいろ作っています. 次の GitHub のリポジトリにはいくつかの言語でのプログラムがあり, その数値解のアニメーションを YouTube にあげた動画のリストです.
これも興味があれば参照してください. 「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」を見たあとならある程度はわかると思います.
あと, 少し別の話で, 中高で出てくる数学が何の役に立つか, 式を一切使わずに解説したコンテンツもあります.
これも詳しい内容は上記リンク先のページに書いてあります. 興味・必要に応じてぜひ受講してみてください.
まだまだバリエーションが足りないとは思っているので, 引き続きいろいろなコンテンツを作ろうと思っていますし, いまも実験的にいろいろ作っています. 基本はメルマガで告知していくので, ぜひメルマガをチェックしてください.
ではまたメールします.
YouTube のコンテンツ作りだけは何とか続けています. タスクを詰め込み過ぎなだけではありますが, 他の作りたいコンテンツ制作が止まっています. タスクを整理しないといけないと思いつつ, 「やりたいことだから」とタスクを残し続けて精神的な負債がためています. 多分あなたも心当たりがあるであろう, 例の嫌な感じです.
時間は短くてもいいから毎日やるべきこと, コンテンツ制作は曜日でやることを区切るなど, 適当なメリハリをつけようと思います.
さて, メルマガタイトルにもしたネタです. 現実逃避で Twitter をしていて, そこでいろいろコメントしたことをまとめました.
両方とも物理系の人との会話の記録です. 数学学習のモチベーション向上に役立つと思うので, こちらでも紹介しておきます. この辺も動画コンテンツにした方がいいのだろうとは思います. というか, 今本当にこれを書いているときに思ったのですが, 動画コンテンツ化すべきですね. TODO に積んでおきましょう.
で, 動画です. 力学の本をいろいろ読んで, 物理で出てくる計算訓練の体で数学の具体的な計算練習をするという形のコンテンツを作っています. もしあなたが物理を勉強したい, またはそのために数学を勉強しているなら, ぜひ眺めてみてください.
多少は数学の人にも取り組みやすい形で書いているつもりです. 数学向け丁寧さが足りなければ足りないで, ぜひその旨教えてほしいです.
よく同人作家の人なり何なりが言っていますが, 読者コメントは本当に嬉しいです. もちろん批判的なコメントでも結構です. コメントをつけてもらえると制作意欲に繋がるので, ぜひコメントお願いします.
あとチャンネル登録やシェアもお願いします.
コンテンツを作りたいという方もいらっしゃるので, 一応書いておくと, こういうのを地道に言い続けるのはとても大事です. 言うほど人は気にしていませんし, そもそもそれほど真剣に自分の活動を見てくれている人はいません. そういうものです. こういう「宣伝」が鬱陶しいと思う人はこちらに興味がなく, 勝手に離れていきます.
こちらが気にかけるべき人は, 自分に継続的に興味を持ってくれて応援してくれる人, ともに歩んでいこうと思ってくれる人です. 「こんなことをやっている」という主張は積極的にしていきましょう. 主張しなければ伝わりません.
言うだけではなかなか伝わらないので, 私自身がそれを実演している形です. 「確かにそんなに言うほど鬱陶しいとは思わないな」と思ったら, ぜひあなた自身でもやってみてください.
引き続き次なるコンテンツ制作のために勉強も続けています. 先日何度かメルマガにも書いたように, 70 歳を越えた方さえ, 新型コロナの解析で出てきた SIR モデルの数理を理解したいと言って, 微分方程式の勉強のために私のコンテンツを受講しているというメールを送ってくださいました. そういう謎の気概を持って地道にみんなでやっていきましょう.
ではまたメールします.
最近, 無理やりにでもコンテンツ作成モードに切り替えようと奮闘しています. 実際, ほぼ毎日力学に関わる動画講義を作っています.
YouTube に日々アップしているので, ぜひチャンネル登録して確認してください.
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コンテンツ作成といえば, プログラミング+数学系については, 引き続きアルゴリズムとデータ構造まわりの勉強をしています. 他にも離散数学のようなところで参考になるいいコンテンツがないかも探索中です.
競プロまわりで素因数分解ネタがよく出ていますし, Project Euler もあるので, まずはその辺かとは思っています. 次のページだとか.
他にも何かいいコンテンツ, もっと言えば方向性がないか探しています. もしあなたがいいネタをお持ちなら, ぜひ教えてください. できる限り中高生でも挑めるレベルの数学ネタだと嬉しいです. 非専門もはなはだしいので感覚が全くなく, どこから探索すればいいかも検討がついていません.
名前だけは知っている整数計画法も, ちょっと何かしようと思うと一気に難しくなるとかいうのを見かけるので, どうしたものかと思っています. 交付金もあるので, 数理モデル入門みたいな本を何冊か買い漁って読んでみようかとも思っています.
数論系の探索問題・研究課題みたいなのももっとあると思うのですが, これも非専門の壁に阻まれています.
前も書いた気がするのですが, アルゴリズムとデータ構造まわりだと, numpy, matplotlib, sympy のようなライブラリは必要なく, 書いたコードが腐りにくく, かつ根源的な意義は持ち続けるタイプのコンテンツになってくれるのではないかと思っています.
いままさに整備中のコンテンツでさえ, 既にライブラリまわりの微妙なバージョン問題が起きているので, この辺は死活問題なのです. ライブラリなしの徒手空拳で扱えて, しかもプログラミング技術向上と数学力向上に役立つコンテンツが作りたいのです.
こちらもそろそろ試作品を作りはじめようと思っています. がんばらなければ.
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あと無料配布していたプログラミングコンテンツ, そろそろ再整備が終わりそうです. 有料化する予定なので, もしあなたが興味はあるがお金を出すほどのものなのかと思っているなら, いまのうちに手に入れておくといいでしょう.
自分でもコンテンツを作りたいという読者の方がいるので, やはり改めてこれもお伝えしておきます. 無料だと確かに多くの人に届きます. 無料なら見てみるか, そういう考えの人もいるからです.
一方で人は無料で得たモノを大事にしません. ダウンロードするだけして全然使っていない・読んでいない, そんな積読コンテンツをたくさん抱えている方も多いのではないでしょうか.
お金を払ってまで得たものだからこそ大事にする, 真剣に勉強するという話もあります. 有料化は相手を真剣にさせて勉強の効果・効率を挙げてもらうための 1 つの手段とも言えます. 最近これもどうなのか, という話はありますが, それでもまだ一定の効果・意味がある視点でしょう.
あと, これもやろうやろうと思ってできていませんが, 月額 200 円程度の「お布施」を募って, ミニファンクラブ的なことをする人も増えてきています. ゆるいコミュニティと言ってもいいでしょう.
これも前書いたと思いますが, 数学ガールで有名な結城浩さんが note のサークルを使って, 月 200 円で運営しているコミュニティもあります.
サポートの使い道も次のように書いています.
いただいたサポートは、本やコンピュータを買い、 さまざまなWebサービスに触れ、 結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださるのも大きなサポートになりますので、 よろしくお願いします。
これ, 本当に大事です. 今回, 私も直接的に情報がほしいと書いていますが, 知見を深めるための費用があると本当に助かります. 私が有料のコンテンツを販売している分は, ほとんどメルマガなどの運営維持費に消えるか, 持ち出しです. これがなくなるだけでもかなり助かるのは実感としてあります.
他にも pixiv 絡みのコミュニティ運営サービスなどもありますし, そういう活動もぜひ参考にしてみてください.
今回はこんなところで. ではまたメールします.
相変わらず競プロの勉強をしつつ, プログラミング系コンテンツの案を練りつつ, 関係する勉強を進めています.
タイトルにあるように, やるやる詐欺になっていた動画コンテンツの作成をはじめした. まだはじめて 1 週間も経っていませんが, 現状ほぼ毎日作っています.
いまのところ, ネタとしては力学に出てくる計算を中心にしています. もともと現代数学探険隊の付録として計算問題を大量に作ろうという話があり, できる限り物理をネタに取ってこようとしていました. そのついでに物理コンテンツも整備しようとしていて, 何やかんやで方針が定まらずに右往左往していました.
今回, 計算ノートを整備するという体で, 物理の本を読むのに必要な数学を紹介しつつ数学を復習しながら, 計算の詳細を埋める形でコンテンツを作っています.
1-2 時間かけて計算ノートを書き, その結果が 30 分程度の動画になっている状態です. 私自身, 生活含めていろいろやるべきことがありますし, 動画の時間が長いと見るのが大変でもあるので, 計算ノート作成時間ももう少し短くしつつ, コンテンツの時間も短くして作成・視聴ともに楽になるように調整していきます.
これで必要な計算を確認しつつ, 現代数学探険隊の付録コンテンツも充実させていこうと思っています.
あとは実際に着実に続けていくのが大事なので, それをがんばっていこうと思います.
念のため, 最後に現代数学探険隊がどんなコンテンツなのか, 紹介ページを案内しておきます.
毎度案内しているように, このページを読むだけでも数学・物理の勉強に役立つようにしています. もしあなたが勉強のヒントがほしいと思っているなら, ぜひ眺めてみてください.
ではまたメールします.
最近, 具体的なコンテンツとしてのアウトプットはありませんが, データ構造とアルゴリズムや競プロに関するプログラムをゴリゴリ書いていて, その成果物としてのプログラムは GitHub にアップしています.
競プロが楽しいのはそれとして, 今の私のレベルで難しい問題に取り組みすぎていた問題があり, 他のことが完全に疎かになっていました. 私は熱くなるというか, 一度集中すると他のことが全くできなくなるタイプです. そのあたりの悪い癖が出ています.
競プロは問題を解くことでアウトプットしているのでまだましですが, 他の勉強内容のアウトプットが完全に止まっています. 何とか都合をつけて復活させるので, もうしばらくお待ちください.
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アウトプットといえばインプット方面で, また新しく面白そうな本が出ました. 宣伝しておきます.
最近いろぶつ先生の熱力学の本の査読といい, 熱力学づいています.
この本, 目次を見てどういうスタンスで何をやるのかと思っていたら, Lieb-Yngvason スタイルだと気にいらない点が多く, 自分なりに再構成したというタイプの公理論的熱力学だそうです. 清水明さんの本よろしく, エントロピーからはじまるようです.
まだ出たばかり, 買ったばかりなので, 読み終わったらレビューを書く予定です.
第 1 章で多様体の基礎や微分形式を論じています. 新井先生の本はとにかく馬鹿がつくほど丁寧です. その辺を復習したい人にもいいかもしれません.
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物理系コンテンツへの仕込みがなかなか進んでいませんが, それでも今年に入ってから熱力学の本を 2 冊読んでいるので, 熱力学からやっていけという御託宣なのでしょう. この辺もやっていきます.
今回は短いですが, この辺で. ではまたメールします.
本格的に勉強をはじめたばかりなので当然ではありますが, 競プロ, 全然できないです.
「探索」系の問題も多いのですが, 高校の頃, 順列・組み合わせで苦しんでいたことを嫌でも思い出します. 逆にそのリベンジと思えばいいのかと思い, のたうち回って勉強しています.
一応改めて宣伝しておくと, AtCoder では企業主催的なコンテストもあります.
最先端のデジタル技術、IoT機器や人の行動から生まれた複雑なデータを有効に活用することで、 より安心・安全な社会を実現していくためには、 これまで以上に高度なアルゴリズム構築力やプログラミング力を持った人材がキーになると考えています。 本コンテスト参加者の皆さまが、こうした先端技術や複雑化したデータを駆使して、 安心・安全な社会の実現に向けた新たなビジネスを生み出している、 あるいは誰かのそうした挑戦を後押ししている。
この辺の背景があるので, それなりに中高生にとっては投資対象になるのではないと思っています. 順列・組み合わせ系, そして因数分解などの中高数学もよく出てくるので, その手の数学遊びにもいいはず.
さらに数学に重きを置いたプログラミング問題集みたいなのがほしい人もいるかもしれません. そういう人にはプロジェクトオイラーを勧めておきましょう.
本当にだいぶ前にちょっとやって, そのときはまだプログラミングの腕もしょぼかったので, 挫折したままです. いまやったらまたもう少し違うか, とも思っています.
これもこれで世界的に有名ですし, 数学特化型なので, AtCoder でもっとまともになったらこれも取り上げて何かしようと思っています.
AtCoder が全然できなくて, YouTube 動画作成などが滞りまくっています. この辺, 1 つ何かやりはじめると他が完全に疎かになる悪い癖が出ています. 他にもやるやる詐欺化していることがたくさんありますが, がんばって何とかしていきます.
AtCoder に集中していて他はほとんど何もしていないので, 今回はこんなところで.
ではまたメールします.
何はともあれ宣伝協力からはじめます.
紹介文は次のような感じ.
熱現象を数理物理学的に厳密な形でとらえ、熱力学の公理論を説く。 必要とする数学として、多様体の入門的な理論も解説する。
まず新井先生の紹介を簡単にしておきましょう. 私が (学生でないにも関わらず) いろいろとお世話になった先生です. 私は学部 3 年から新井先生の本と論文で育っていて, 新井-廣川論文で一般論が書かれていたのを具体例に適用した, というだけの修論を書いた程度には仕事にお世話になっています.
学生時代に読み込んだ本の誤植を新井先生に送り, それを覚えてもらっていたようで, 「とても助かりました」と言ってもらえた記憶もあります.
もちろん最低限の数学的体力は前提ですが, 馬鹿がつく程丁寧なので新井先生の本が読めなければ, 作用素論方面の量子系の数理物理はまず何もできないでしょう.
そんな新井先生の新作なので当然内容が気になるわけです. 専門も比較的近いし, 完全にオーバーラップもあるところなので Lieb-Yngvason 流に行くのかと思ったのですが, 多様体とか言っているので何だろうと.
ちなみに Lieb-Yngvason 流というのは次の記事で少し触れています.
熱力学ではよく形式的な微分形式が出てくるので, その辺の話をするのでしょうか. 相転移や臨界現象でいろいろ厳しい部分があるはずで, ちゃんとやろうとすると超関数を飛び越えてカレントが出てくるはず. 300 ページもないのに何をするのか心配になるほどです.
いい復習なので読みますが. これをネタにして数学者のための熱力学みたいな YouTube 講義動画も作ってみたい気もします. 動画作成が止まっているのでそろそろ新作を作らねば, というのもあります. もう少し待っていてください.
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さて, プログラミングです. 先週も書いた通り, アルゴリズムとデータ構造の勉強をしています. 記録は次のリポジトリ.
まだ 1 度本の写経をしたという程度で, 全く理解が進んでいません. C++ で書かれた本の内容を F# で書き直すのも手つかずですが, 少しずつ進めます.
アルゴリズムとデータ構造の勉強をしていて思うのですが, プログラミングという面では面倒な言語機能を使わなくてよく, 最低限の言語機能だけ覚えたあとは純粋に頭と技術の勝負なので, プログラム用コンテンツとしてはメンテが極小で済みそうなコンテンツです.
数値計算をやっていると高速化は最重要課題ですし, アルゴリズムとデータ構造はそこにモロに関係する話でもあります. もっと速くからきちんとやっておくべきだったと悔やまれてなりません. いまが 1 番若いわけで, これから取り返していきましょう.
アルゴリズムとデータ構造は就職前後に, 知人から「プログラミングするなら基礎教養だから」と言われて, 本当に簡単に勉強しただけで全く身についていないのを痛感しています. 特に競プロでは問題が少し難しくなっただけでもう手も足も出ません. 初学者の苦しみを味わい抜いています.
プログラミングが少しできる程度ではどうにもならない, 頭の使い方のレベルの話なので, 歯を食いしばってやるしかないのでしょう. 半年から 1 年鍛えればもう少しましになると思うので, 少しずつ競プロ界隈の人達とも交流して, これが実社会にどう活きるか/活きているかといったところにも突っ込んでいきたいと思っています.
先日リリースしたプログラミング系コンテンツのページにも書いたように, 最終的には理工系中高生に対して社会で生き抜くための力も身につく教育をしたいと考えていて, 実際にアルゴリズムを組み上げられる力は大事だと思っています. 予備知識としては数学や物理よりは比較的少ないようにも思いますし, プログラミングを鍛えてから数学や物理に入る方法もあります.
そのためには私自身がもっと強くならないといけません. 最低限アルゴリズマーと同じ世界観を共有できないと, 話が通じないですし, 信頼もしてもらえないので.
というわけでやっていきましょう.
ではまたメールします.
最近 F# のお勉強が楽しくて数学・物理系コンテンツの作成はさぼり気味です. やはり間が空いてしまうと再開させるのも大変なので, 面倒でも毎日きちんと続けて習慣化しないと厳しいものがあります.
それはそうと F# が楽しいわけです. Haskell をはじめて見たとき, 「こういうふうにプログラムが書きたかった」という感じのプログラミングスタイルで なかなか感銘を受けたのですが, Haskell は純粋性なり後方互換性ぶっちぎりだったり, 過激すぎるところ, F# はいい感じのバランスです.
ここで詳しく話すようなことでもないので省略しますが, Haskell と OCaml はエコシステムが Linux/Unix 系を前提にしているような部分があり, Windows で使いにくく, なかなかつらかったのですが, Microsoft の全面的な支援がある F# は当然 Windows でも楽に動かせるので快適です.
割と最近まで「.NET 系だから Windows でしか使えない」と思っていたのですが, かなり前から Mac, Linux でも使えるようになっているとのことで, びっくりしました. 最近 Microsoft は OSS 界隈にも強く貢献していますし, .NET 系だからエンタープライズ用途に使えないこともない言語です.
ここしばらくメルマガでも書いていたように新たな言語学習に関して迷走していたのですが, 成熟したエコシステムという面でもよさそうで, しばらく F# をやっていこうと思っています.
F# の概要については次の記事がお勧めです.
F# に恐ろしく強い人が書いた記事で, 参考になります. 最後に参照されている F# for fun and profit と Wikibooks/F# Programming のうち, 特に前者を少しずつ読み進めています. 前者はブログなのですが, PDF でも提供されていて, それが 1930 ページあるとかいう凄まじい量です. のんびり読んでいます.
後者は簡単な言語リファレンスという風情で, ざっと眺めるにはいいです. F# にはまともな本が見当たらないので, その意味でもちょうどよいように思います.
いい機会なのでデータ構造やアルゴリズムも再勉強しようと思っていて, 関数型用のコードを GitHub に上げています.
本などを含め Haskell のコードから引き写したりしていて, F# としてはこなれていない部分もあるかもしれません. もし詳しい方がいらっしゃればぜひ教えてください.
ついでに AtCoder もはじめてみました. 最近コンテンツもリリースしてそこでも明白に掲げているように, 中高生向け教育に本格的に乗り出したいと思っています. プログラミングコンテンツも作りたいので, その参考でもあります.
また, アルゴリズムやデータ構造については日々更新の激しいライブラリを使ってどうこう, ということもなく, コンテンツのメンテナンスも比較的楽そう, そしてプログラミング技術向上も兼ねた意義も高いので, 改めてかっちりやる意義を感じているところです.
AtCoderJobs のように技術向上が仕事に直結する話でもあり, 鍛えた技術が社会で活きる様子も多少は想像しやすいだろうとも思っています.
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話は打って変わって, 大分前にリリースしたコンテンツ, 数学駆け込み寺に来たアンケートの回答をちょっと紹介したいと思います.
内容の前にアンケート回答をくれた方がすごいのでその話をします. 実際にときどきいらっしゃるのですが, 何と 73 歳の方です. いろいろあって, 昔から挫折しっぱなしだった微分方程式に挑みたい, というので登録されたとか.
私は病気があるので, そもそも 73 まで生きられるか事案もありますが, 73 まで生きて, それでもなお「昔から挫折しっぱなしの数学を何とかして理解したい」 みたいな執念を燃やし続け, 実際に挑戦を続けるなんてできるだろうかと思わされます.
具体的にどんなコメントが来たかというと, 導関数の言葉の意味です. 導関数は英語だと derived function で英語でも「導かれた」という意味です. 「微分によって導かれたから導関数というのだ」と説明を書いただけなのですが, 「忘れていたり読み飛ばしていただけかもしれないが, ようやく名前の気分が掴めた」というアンケート回答を頂きました.
量子力学の波動関数など, 数学や物理では概念の名が体を表していないことも多いので, 名前にこだわり過ぎるのもよくないのですが, こういう話もきちんと書いた方がいいのだと改めて思った次第です.
ちなみに線型代数での言葉遣いに関して, 最近次のような動画も作りました. ぜひ見てみてください.
最近このコンテンツ作成が滞りがちなので, がんばります. 期待されていると思うとやる気が出るので, ぜひ YouTube のチャンネル登録もお願いします.
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最後になってしまいましたが, 表題の「詰将棋から始める ε-δ 論法」は木原さんの YouTube 動画です.
Twitter の bio にあるように, 数理論理や計算可能性などのプロなので, その辺のプロの感覚が活きた解説です. 最後にゲーム理論の紹介などもあります. 動画としてもかなりよく出来ていると思うので, ぜひ見てみてください.
ではまたメールします.
最近, ろくにアニメや漫画を見ていません. ゲームはなおさらです. 昔はあんなに好きだったのに.
そんな中 Twitter を見ていたら, いまハンターハンターのキメラアントが無料で公開されているようで.
キメラアントは途中で止まっていたので, いい機会だと思ってちょっと眺めてみました.
キメラアント編, 全編にわたって異様な緊張感に満ちていて, 何なのだろうとはじめて読んだときからずっと不思議でした. 世間的な評判も非常によいようですし, 何か人の心に強く訴えかける要素があるのでしょう.
いろいろと胸を打つシーンがあるわけです. とりあえず 1 つ挙げておきます.
この話には「かわりに祈る時間が増えた」という, よくネタで出てくるシーンがあります.
武道家を理想化しつつカリカチュアした姿として, ひたすらな正拳突きやらある種の宗教性を帯びさせるのまではある意味誰でも思いつきます.
すごいのは感謝の一日 1 万回の正拳突き, 練習の果てに 1 万回の正拳突きにかかる時間が一日一時間を切る, そして最後に祈る時間が増えたみたいな形にもっていく構成です. 馬鹿でも思いつくようなことを徹底させ, ここまで昇華させるのが本当に凄まじく, 冨樫義博は少年漫画の書き手として本当に天才なのでしょう.
ネタとしてよく引用されるようなキャッチーさ, 本編の流れの中でのインパクト, どれをとっても尋常な仕事ではありません.
あとネテロの「祈りは心の所作」というのも本当に好きで, まさに私にとっての数学という趣があります.
何にせよ, 久し振りに漫画に触れて, とても楽しい時間でした.
これで思うのは, 数学なり物理なり何なりで, 楽しさを謳うタイプの言説です. これ, 本当に筋が悪いと思っています.
エンタメのプロがそれに特化して死力を尽くして作った作品が世の中にたくさんあるわけです. 数学や物理がこれと楽しさで勝負してどうにかできると思うのは, よく言えば破綻していますし, 傲慢とさえ思います. そこを勝負所にしてしまってはどうにもならないでしょう.
ちなみに私の現行の行動指針は, 既に「目覚めてしまった」ものの, なかなか勉強のよすがに辿り着けない人への橋渡しをすることです. 各種無料コンテンツが概要を説明する方向に振り切っているのもそれが理由です. あと, なるべくふつうのコンテンツで見かけない話をしようとしています.
「楽しい」系は成功しているかはともかく, それを狙っていろいろやっている人は多いので, 別の線を意図的に狙ってやっています.
最近は役に立つ, 特にお金になる・それで食べていける方向性をはっきり示す線もやっています. 先日リリースしたコンテンツはその 1 つです.
生きていれば数学はできると信じて, とにかく「泥水」をすすってでも生きていこう, そういう感じが出せないかと思っています.
実はこの間, 73 歳の方から, 最近の新型コロナで時々言及される SIR モデルを勉強しようと思い, 微分方程式を勉強しようという中で私の無料講座に辿り着いたというご連絡を頂きました.
いろいろあって若い頃にきちんと勉強できず, これまでの人生でも何度か挑戦してきたが歯が立たず, それでもまだなお挑戦し続けるというのが本当に凄まじいの一言です.
私は中学 3 年で白血病になりました. 同じく新型コロナで「喫煙習慣があった人は, 既に肺がダメージを負っているから肺炎のリスクは極めて高い」という話があったように, 私も闘病で既に身体に大きなダメージがあると言われています.
そもそも 73 歳まで生きられるかという問題はありますが, 仮に生きられたとして, 若い頃からの執念を燃やし続けられるのか, 新たなことに挑戦する気概を持ち続けられるのか, そういうことを思います.
ところで, さっきの話で「泥水」のような言い方をすると工学の人に失礼な気しかしないので, 何かいい言い方を考えています. もしあなたにいい案があれば, ぜひ教えてください.
ではまたメールします.
先週メルマガを書くのをすっかり忘れていました. GW 中ほとんど進捗がなく, あまり書けることもありません. むしろ進捗がないこと, そしてその理由自体があなたの参考になるかと思い, それを書くことにします.
進捗が少ない理由の 1 つは先日リリースしたコンテンツ, 「プログラミングで数学を」の Google Colaboratory 対応の中で sympy の調整がうまくいかなかったことがあります.
先々週きちんと動いたコードがうまく動いてくれず, 公式情報もどこにあるかよくわからない状況で怒り狂っていました. これだからはプログラミングは, という気分になるのですがだからこそ自分が作らねばという事案なので, さめざめと泣きながらがんばります.
ただ, これは進捗が生めなかったメインではありません. 主力は次の 2 点です.
どちらも共通点は「新しいことをやろうとしている」です. 人間, やり慣れていないことをやるのは精神的な負荷が非常に高いです. あなたも, GW 中何かこれまでさぼっていたことをやろうとして, 結局やれなかったみたいなことがなかったでしょうか? それはまさに「新しく何かすることへの精神的な負荷」の問題でしょう.
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まず Julia. これは新しい言語で最低限の勉強が必要になってしまい, アウトプットの習慣が一時的にでも途切れてしまったのが 1 つの原因です.
その上, エディタの設定やら何やらの環境構築がうまくいかず, それで嫌になってしまったというのもあります.
ちなみに環境構築については, ふだん使いのエディタである Emacs での Julia プラグインの話です. Linux ならご機嫌なのに Windows だと M-x term がうまく動かない問題で破滅する話のようです.
この 2 点, 特に後者のせいで 新たに数値計算コードを書く動きどころか, Julia の勉強さえ完全に止まってしまいました.
習慣が途切れてしまうと復活させるのが本当に大変で, たったの数日途切れただけで破滅しました. 仕方ないので, まずは気楽な Julia の勉強から習慣を復活させます.
あと Julia と数値計算関係に関して, 黒木さんから次のいろいろなコメントをもらっています.
そのうちブログにもきちんとまとめますが, あなたの参考にもなるでしょうから先にシェアしておきます.
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次は YouTube 講義です. Twitter アンケートでとりあえずやることは決めましたし, 実際問題としてネタも十分にあり, 動画の作り方なども何 1 つ迷う要素がありません.
さらに言えば Google Colaboratory 用調整のための毎週 2 時間の zoom 勉強会などもっとハードなことはできているのに, もっとちょろいはずのことができていません. ちなみに YouTube 講義動画は, 事前に 15 分程度の動画になる内容のメモを準備しておいて, それを LyX で文字/式を書き, 動画による画面キャプチャで作る想定です.
これまで勉強会をしてきて 15 分でやりきれる内容がどのくらいかもわかっています. しゃべらなくてもいいので, それが必要不可欠な勉強会よりもハードルが低いはずなのに, いまひとつ食指が伸びないというか, 精神的なハードルを感じるのです.
これについては, 他人を巻き込んでしまっていて強制力がある勉強会と違って, コンテンツ制作は自分だけで閉じていて強制力は自分の精神力しかない違いがあります.
他人を巻き込んで無理やり回すことの意義は理屈でわかっていますし, 実際にオンライン勉強会を 2 つやっていて実践面でもわかっていたはずなのに, 改めてこんな形で強制力をどう作るか問題に直面しています.
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メルマガ読者の多くの人にとって, 私はかなりアグレッシブにいろいろなこと/新たなことに挑戦し, 行動する/できるように見えていると思います. それでもこの体たらくです.
1 人で何かしようとしてもなかなか進みません. どうにかして他人を巻き込んで何かするようにしましょう.
人を巻き込むというのは次のくらいのゆるいやつでも全く問題ありません.
次のような感じの「オンライン勉強会」です.
毎週土曜日の午後に時間を決めて各自が独自にRust関係の作業をする会です 最初と最後にslack上で報告をします rust-jpのslackに参加しておいて下さい rust_mokumoku channelで行います 途中参加・途中抜け自由です。主催者はたまに寝落ちします
私がこれに参加しているわけではありませんが, こんな程度でも本当にだいぶ違います. 移動時間などを考えてもなお 1 番ベストなのは, やはりリアルに集まることです. もちろん現状, 社会的にリアルでこんなことができるわけでもないので, オンラインで何かする次善の策を取るしかありません.
もしあなたが GW に何かしようと思っていてうまく始動できずに GW を終えてしまったなら, 必ず参考になるはずです. どうすれば他人を巻き込めるか考えてみてください. メルマガ読者用の「もくもく会」があってもいいのかな, とも思っています.
ではまたメールします.
最近プログラミング関係のことばかりで, ふつうの数学や物理系の話が何も進められていません. 広い意味で仕事に関わるというのもありますが, プログラミング関係はやっているとあっという間に時間が溶けること, 半端な状態だと気持ち悪くてやめられないことが重なっています.
無駄なことをしているわけではないとはいえ, やろうと思っていること, 並行して進めたいことができていないのは精神的によろしくない面があり, そろそろどうにかします.
ちなみに最近よくある YouTube での動画講義コンテンツを作ろうと思っているのですが, 吃音があって, 実際に YouTube のコメントでも 「喋り方が気持ち悪い. 障害者か?」みたいなコメントがついたりしたこともあります. 実際問題として聞きづらいことはコンテンツとして見たときに どうしようもなく欠点ですし, 作成に二の足を踏んでいるのはその辺の精神的な負荷がないわけでもありません. それなりに対策もあるので地道にがんばります.
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で, プログラミングの話. まず, 最近コンテンツをリリースしたわけですが, これに関しては近い知人相手にオンラインの勉強会をやっています.
もちろんちゃんと作ったコンテンツですが, 勉強会用コンテンツ/講義用コンテンツとして使ってみると, いろいろ気になるところは出てきています. これ自体をコンテンツとして見るのと講義用コンテンツにするのとで やるべきことは違うのでどこまでどうするかは考えどころですが, 修正するべきは少しずつ修正していこうと思っています.
1 番修正したいのは Google Colaboratory 対応です. 当初全く想定していなかった分, 特に sympy 利用に関わる部分で明らかな不備があることはわかっているので, その辺を改めてチェックして Colaboratory 対応を進めるのも勉強会の目的です.
Colaboratory 対応を進めないといけない強い理由があります. 最終的に中高生向けコンテンツにしたいからです. 実際にコンテンツをリリースしてから質問でもあったのですが, ローカルに環境を構築するのはやはり大変です.
数学・物理への学習意欲があっても, パソコンに詳しくない中高生には大変でしょうし, 周囲の大人のカバーが得られるとも限りません. かといって環境構築手順を説明するのも大変なので, 私としてもサボりたい部分です. コンテンツのメンテナンスもできる限りなくしたいので, そう思うと環境は Colaboratory 固定にしたいのです.
これも質問をもらってようやく気付いたのですが, 世間的にはまだ 32bit os が現役で動いているはずなのです. そして Anaconda の Windows インストーラーを見ると, 最新の 2020-02 版にさえ 32bit os 版があります. 32bit os については対応しないと言い切るのも一手です. しかしそれだけで済むような話ではありません.
もちろん Colaboratory がいつまで続くかという話もありますが, その辺のデメリットは引き受けざるを得ないでしょう.
という感じで Colaboratory 対応を少しずつ進めています.
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実際にリリースするまとまったコンテンツとは別に, 自分の勉強も兼ねた散発的なシミュレーションコンテンツの勉強をしています. こちらが Julia です. しばらく Rust・gnuplot・ffmpeg で作っていました. ffmpeg はいいのですが, gnuplot の部分がかなり厳しくなってきました. 歴史があるので情報はそれなりにありますが, いまの私では探しあてるのが非常に面倒です. うまく情報が取れず, 情報が取れてもうまく調整できなかったりするので, 可視化部分は Python を使ったりもしています.
ただ 1 つ簡単なシミュレーションをするだけでもいちいち 2 つの言語にまたがった処理を書く必要があり, 本当に面倒です. 1 つにまとめたいものの, Python は遅くていらいらするし, Rust だといい感じの可視化ライブラリが見つからず, 数値計算それ自体のライブラリもまだまだ整備途上です. Go で Gosl という科学技術計算系のライブラリ群はありますし, F# でも機械学習・科学技術計算系のライブラリ群はあります. ただ, 情報が少ないという欠点があります.
自分だけの勉強用ならまだいいのですが, 最終的に勉強した成果をコンテンツにしたいわけです. 私が作ったコンテンツで勉強したあと, もっといろいろ勉強してみようと思った人が 勉強するのに厳しい言語・ライブラリを使うのはどうなのか, という話があって, この辺は選びづらい状況があります.
そこで Julia に目をつけました. 標語として「Python のように書け C のように速度が出る」という話もあります. 最近流行りで人口も増えています. 情報もポツポツ出はじめ, 何より私の周囲にもやっている人が多くなってきた感じがあります. 何かあったときに私自身も相談しやすいので, 言語選びは 2 ヶ月くらい迷走していますが, 一応しばらく Julia で遊んでみようと思います.
勉強の成果は次の YouTube のリスト, そしてそこの概要欄, GitHub に載せていくので, ぜひチェックしてみてください.
2 次元だと一般論として強い制約がついてしまう事情はありますが, 3 次元の力学系になるとかなり一般的に嫌な (面白い) 現象も出てきます. ベクトル場と積分曲線という多様体論で基本的な概念を視覚的に掴むヒントにもなりますし, 数値計算にもいろいろないいところがあります. 何より, きちんと突き詰めればこれで飯も食えるわけで, 中高生向けの教育コンテンツにうまく組み込むことを意識しながら進めていこうと思っています.
ではまたメールします.
先にアナウンスからはじめます.
ようやくずっといっていたコンテンツをリリースしました. 登録ページはまだまだ作り込みが足りないとは思っているのですが, このままではいつまで経っても終わらないので公開に踏み切りました.
いつも通り登録ページを眺めるだけでも勉強・参考になるようにしています. 特にもしあなたが自分自身でコンテンツを作っていきたいと思っているなら, ぜひ参考にしてください. 私自身, 勉強していて困ったこと, 具体的なニーズをまとめています. こういう具体的なニーズを拾っていくことが大事です.
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ずっと有料と言っていましたが, 昨今の事情を見て無料公開することにしました. いつもそうですが, 無料公開だからといって手を抜いているわけではありません.
ただ, よくも悪くも無料公開の形にしたので, ここからさらに反応を見てブラッシュアップしていこうと思います.
また, 変な話ですが, 私自身のサイトや私または他の方の GitHub 含め, 既にどこかにコードまたはその断片があるコンテンツでもあります. ポイントなのはこの「断片」というやつで, どこか 1 コンテンツにまとめておいてあると嬉しいのに, という話があり, それを実行したのがこのコンテンツです.
的確にまとめ上げることもそれ自体極めて重要かつ大変なタスクです. コンテンツを作るときはこういう視点も持つといいでしょう.
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あと, このコンテンツをネタにして, 少数の知人相手にオンラインの勉強会をすることにし, ちょうど今日第 1 回を開きました.
概要は次のページにまとめています.
せっかく無料公開にしたので, ぜひ上のコンテンツをもとにオンライン勉強会をやってみてください. 本当に中高生に使ってもらうコンテンツとしてどんどん改良していきたいので, 勉強された方はぜひコメントをください. 「確かにそれはいかん」と泣きながら修正・改善します.
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さて, タイトルの『数学原論』の話をしましょう. 結論から言うと 4/13 に出た次の本です.
この本, 圏・層を軸に代数・幾何・解析, 特に代数・幾何をやろうという本で, 私が代数・幾何系のコンテンツとして思い描いていた内容が詰まっている本です. まだ全く読めていないのですが, パラパラ眺めるだけでも楽しいです.
誰でもサクサク読めるような本ではありえません. ただ, 数学のある程度大きな姿を掴むこと, いろいろな分野の結びつきを見るには適した本であることは間違いないでしょう. もしあなたが数学に興味があるなら本棚に置いておいて損はありません.
読み込んで状況を掴んだら, この知識を前提にしつつ, ここには載っていない方面の微分幾何系コンテンツが作りたいです. そのときはプログラミングも絡めて何かしたいと思っています. 微分方程式・力学系・微分幾何は相互に重なりがある分野ですし, 前二者は目下数値計算をゴリゴリやっているところです. うまい落とし所を探りつつ勉強している最中です.
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何にせよ, ずっと懸案だったコンテンツがリリースできたので, これからは YouTube 講義を中心にミニコンテンツをバリバリ作っていこうと思います. 作り込みがまだ甘いとはいえ, やはりかなりすっきりしました.
ブルドーザーのようにいろいろやっていくので, 私のやり方の悪いところは真似をせず, いいところはどんどん取り入れる形であなたもコンテンツを作り, 世に問うてみてください.
ではまたメールします.
楽しくないからといって中高数学+プログラミングコンテンツの 紹介ページ作成をサボりまくっています. いつまでも負債として精神的な重荷になっていくので, さっさと対応した方がよく, やらないから余計に紹介ページ作成への精神負荷が高まるという悪循環です. ここまでわかっていてなおやらないというのが人間, という趣があります.
一応書いておくと, 数値計算に関するコンテンツを作っているわけで, その知見を貯めつつ情報も出していくのは大事で, プロモーションの一環と言えなくもありません.
言い訳はこのくらいにして, 今週の活動記録をシェアします. あと最近いろいろなところで有料コンテンツの無料公開の流れがあるので, 上のコンテンツは当初の想定とは変えて当面無料公開する予定です. 興味はあるがお金の問題が, という人, 特に中高生の人はもうしばらく待っていてください.
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相変わらずずっと数値計算をやっています. 大まかにいって今週は次のような方針です.
まだ勉強中なので何もわかっていないのですが, ふつうのちょっと凝った数値計算だとメッシュを切る必要があり, メッシュを切るだけならともかく, そのパースや出力/可視化があまりに面倒です. 特に適当なコンテンツ化まで考えると, 手軽にプログラムを読み書きしたいのです. 一方, 格子ボルツマン法や粒子法はそのメッシュ生成の手間がある程度減るという話を見かけたので, とりあえず勉強しようという感じです.
流体は見ていて楽しい現象がたくさんあり, 流体系の計算ができるこれらの方法に興味を持っている状況です.
次の動画はネットにあった Python のサンプルコードを実際に実行した結果です.
動くサンプルコードを見つけたので, これを Rust 移植してプログラミングの感覚を掴んでいく作戦です.
数値計算はプログラムのバグなのか, そもそもの数学的な設定がおかしいのか, 離散化などの理論麺の問題なのか区別しづらく, きちんと動くサンプルコードを前提にそれを移植したり, 書き直したりする方向で進めるのがいいと思っています. 馬鹿みたいに雑にコードを書いては GitHub に挙げつつ, YouTube に動画を上げている理由がこれです. 他の人の勉強の参考にもなるし, おかしかったりしょっぱいプログラムについては指摘が受けられるだろうと.
最初に書いたコンテンツの続きとして何を意図していて, どんなことができるかを具体的に見せる目的もあり, いろいろな動画を事前に作っている面もあります.
格子ボルツマン法もそうですが, まだ粒子法についてまともなサンプルを探せていません. 可視化まで含めて何かいいサンプルコードをご存知の方はぜひ教えてください. C/C++ や Fortran でもがんばって読みます.
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さて, 次はジェネラティブアートです. 次の本を眺めました.
Rust の勉強もしたいので, これを Rust で書き直そうかと思ったのですが挫折しました. Python (matplotlib?) や JavaScript の canvas を使えばやりやすそうな気もしましたが, 面倒なのとあまり食指が動かず, いまは放置としました.
次のページを見ると, やはりこの分野では Processing がいい出来のようです.
上で紹介した本はプログラムもきちんと載っていますし, 必要な範囲の中高数学の復習もあったりするので, もしあなたが興味あるなら買って読んでみるといいでしょう.
ところで, 本の中でシェルピンスキーガスケットが出てきました. 有名なマンデルブロー集合もありますし, フラクタルやら力学系の話にすれば目で見て楽しく, かつ微分方程式論だと思い, その方向を模索すべく (2 次元) 力学系で検索して見つけたのが, 例えば次のページです.
いままさにこれを Rust で実装しています. YouTube に動画であげてあります.
これ, 実装が非常に簡単な割に見て楽しいので, 常微分方程式系/力学系はもっとやってみたいと思っています. 常微分方程式ならサンプルコードがなくても実装が楽なので, もしあなたが面白い方程式がたくさん載っている本をご存知なら, ぜひ教えてください.
ここまで書いて思いましたが, Twitter で近そうな幾何の人にも実際に聞いてみることにします. いままさに聞いた結果がこれです.
もしあなたがこの辺に興味があるならぜひ読んでみましょう. 私もこれから眺めますが, いまの私の力では面白さを感じられずにスルーしてしまう可能性もあるので, 「この辺が面白かった」というのがあればぜひ教えてください.
引き続き数学・物理・プログラミングでやっていくので, 何か面白い情報があれば教えてください. そして紹介するので, コンテンツを作ってください.
やはり何かを作っているとそのシェアという形で情報発信しやすいですね. 当たり前ではありますが, 改めて発見しました.
ではまたメールします. 数学と向き合っていきましょう.
仕事の関係もあるものの, 最近本当に 1 日中数値計算をしています. いま本当にフルリモートでスペックがそこそこいい Linux ノート PC がずっと手元にあるので, 仕事が終わったあとも引き続きで数値計算プログラムを書いている状態です. いいのか悪いのかわかりませんが, 完全に趣味と仕事が一体化した状態で驚くほど楽しいです.
全部きちんと記事にしているわけではありませんが, 少しは具体的な情報を出した方がよかろうと思い, 節目で次のような簡単なまとめ記事も書いています.
Rust は速くていいですね. よくある差分法の簡単な数値計算コードが for で直移植できて, しかも工夫しなくても速いはずなので本当に便利です.
適当な頻度で GitHub にコードを挙げているので, もしあなたに興味があるなら, 是非眺めてみてください.
たまにサボりますが, 動画はもっと頻繁に上げています.
今年の目標はバリバリコンテンツを作っていくことで, この程度であっても作り続けるのは大事なことだと思ってやっています.
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年始からずっと言っている有料コンテンツですが, 偏微分方程式パートが重過ぎると思い, もっと軽めのコンテンツに書き換えました. そもそも中高数学復習系のコンテンツであり, そんなに重くしてどうするという部分はあったので.
ただ, 四則演算をやりきれればここまでできるというのは示したかったので, 1 次元の移流方程式・波動方程式・拡散方程式・ラプラス方程式, そして 2 次元の波動方程式を紹介するのに留めました.
動画はやはり YouTube で公開しています. 必ずしもプログラムを動かせる状態で勉強するわけでもないでしょうから, そういう状態でも動画を見て楽しめるようにする意味もあります.
そして Python でやっていて, きつい部分がありました. 次の 2 次元の波動方程式です.
これ, numpy で書いて matplotlib で動画にもしているのですが, 10×10 の格子で 300 ループしかしていないのに, 信じられないくらい重かったです. 何度も回す気も失せたのできちんと時間をはかっていないのですが, そんなに時間がかかるの? とうんざりするレベルです. Julia 投入, 割と真剣に検討するべきかもしれません. 最近本も出たのでそういうタイミングなのかとも思ってしまいます.
ただ, 仕事にも関わる Rust・Haskell と並行して新しい言語を勉強しつつ, 数値計算自体の勉強をしつつ, 数学・物理・プログラミングにコンテンツを作るのも大変なので, どうしたものかという感じ. コンテンツの Julia 版作ってくれる人いないかと探したいレベルです.
ちなみに Julia は最近数学者・物理学者もよく使っているようで, 黒木玄さんは Twitter でよく Julia による数学・統計学コンテンツを放流しています. その辺の資源も使えるようになるので, いま Julia はかなりいい選択肢だと思います.
もちろん将来のことはわかりませんが, 何か 1 つの言語に慣れておけば他の言語を勉強するときも圧倒的に楽になるので, 遊び倒しやすいネタ・言語から入るのは本当にお勧めです.
スケジュールは遅れに遅れていますが, 新たなコンテンツのリリースと, もっとバリエーション豊かなミニコンテンツ群を作る方針は変わっていません. もうしばらくお待ちください.
今回はこのあたりで. ではまたメールします.
最近, 本業も忙しいと言えば忙しいのですが, それ以上に数値計算が楽しくてコンテンツリリース用の作業をサボりまくっています. note のサークルの準備なども止めてしまっていて申し訳ないのですが, 何にせよ, 中高数学と物理に向けた動きにとっては必要なことでもあります. 気長に待っていてください.
まず, 今度リリースするコンテンツは Python で作っていますし, コンテンツとしてはメインの言語は Python にする予定ではいます. しかし, 大した計算をしていないにも関わらず, Python は既に遅くてイライラしています. 耐え切れないので, いま勉強も兼ねて Rust・Gnuplot・ffmpeg でコーディング・可視化をやっています.
上記記事にもあるように, GitHub にコードを上げていますし, YouTube にも動画を上げています. GitHub はともかく, YouTube のチャンネルはぜひ登録して眺めてみてください. 今度公開するコンテンツについても, それで作れる動画については YouTube に公開しています. どんなことをするのか興味があれば, そちらも眺めてみてください. 特に次のリストにまとめています.
チャンネル登録は次のリンクからどうぞ.
OpenFOAM による計算でもない限り, 必ずしも見ていて楽しい動画だとは思いませんが, 写経しただけのコードとはいえ, 書いたコードが動くと作っている分には楽しいです.
いくつか買ってみた本を読んだあと, 工学的なゴリゴリの数値シミュレーション以外に, ゲーム系の物理 CG にも手を出してみたいのですが, どうしたものかと思っています. ちょっと調べると Autodesk の Maya がデファクトスタンダードのようですが, 高くてつらいです. 中高生ならかえって教育機関・学生向けプログラムが使えるのかもしれませんが, 私が使えません. 積んだままの Processing の本も改めて読んでみようとは思います.
CG アート系の人達が何をどうしているかも知りたいところですが, その界隈に知り合いがいないし, 何だかんだリアルの交流の方が濃密になっていい一方, いまの状況でそれはない, というのもあり, いろいろ考えています.
最近, 社会の状況に合わせて, 自学自習とそのためのコンテンツ整備・提供が進んでいます. Twitter で相互フォローで, 何度かやりとりしたこともある物理学者による, 物理系のコンテンツも紹介しておきます.
まだできたばかりで整備中のようですが, 興味があれば眺めてみてはどうでしょうか. 最近数値計算界隈ではやりの Julia で作っているようです.
Julia と言えば, 本が出るようです.
この間地雷を踏んだばかりのコロナ社なので非常に不安なのですが, 興味はあります. いまはいろいろな都合から Rust・Gnuplot・ffmpeg で攻めていこうとは思いますが, もしあなたが Python に食指が伸びないなら, Julia はいいかもしれません.
とりあえず, 今は買った本を中心に, いままで勉強したことがない有限体積法・格子ボルツマン法・粒子法をやろうと思っています. 工学というか, 企業での応用などを考えるとおそらく有限要素法がいいのではないかと思うのですが, これはメッシュを切り, それを読み取り, さらに出力する部分を書く, いわゆるプリ・ポストの部分がまず大変なのです. プリ・ポストの処理を書きたいわけではないので, とりあえずその手間が少なくできそうな計算手法を勉強しています. いつかはやらないといけないとは思うのですが.
そして, 改めて数値計算を再勉強していて, これは本当に勉強がつらい分野で厳しい気持ちになっています.
数値計算のプログラム、何をもって正しいとすればいいかもわからないし、本当にやりづらい。むしろわからないからこそ数値計算させるという趣もあるので、とにかく厳しい。Cでいいからコードサンプル欲しい。でも産業廃棄物はやめて欲しい。市民なのでとにかくわがままを言う。 あと、線型代数パワーも込めて有限要素法をやるのもいいとは思うのだが、あまり大量のコードを書きたくない問題がある。これに限らず、サンプルあるやつ1次元と2次元ばかりで3次元も書け感あるし、かと言って3次元つらい問題もある。
ある程度寿命の長いコンテンツを作るという前提で, 言語まで含めて何をどう作るかはかなり悩ましいです. それもあってプログラム系はあまり作ってこなかったのですが, もうそうも言っていられる時代ではないという気分もあります.
何はともあれ, いろいろ実験していきます. さすがに来月には YouTube 講義も本格化させたいので, コンテンツリリースもがんばります.
ではまたメールします.
今回はビジネス系のネタを最初に持ってきます.
いい加減やるやる詐欺になりつつあるので, 中高数学とプログラミングのコンテンツの販売に向けて案内ページの作成をはじめました. まだ書きかけですが, 次のような感じで作っています. もしあなたが興味あるならぜひ見てみてください.
念のため書いておくと, まだ販売ページは作っておらず, リンクもありません, リンク先に飛んだところで売り込みがかけられるわけでもないので, 安心して (?) 眺めてください.
いつものことですが, このページだけ読んでも意味があるようにしています. 私自身いまのコンテンツ事情に不満があり, それを解消するための第 1 歩と思って作っていて, それが具体的に何なのか, 今回のコンテンツは何を意図してどう解決したのかを語っています. もっと言えば私の勉強ログでさえあります. 自分の勉強ログ自体コンテンツになると知ってほしいというのもあります.
他にもこの辺を勉強するときに何にどう困るかを私が先に体験しておいたので, もしあなた自身これから勉強しようと思っているなら, 先にハマり所がわかって便利でしょう. 私は子どもの頃, まわりの大人に理工系の相談ができなくて本当に困っていたので, それができる大人を増やすのが 1 番の目的です.
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今日は何か Twitter で数学の勉強に関していろいろ適当なことを書きました. いくつか面白い反応もあったので引用しておきます.
数学の話、数学というより日本語がまともに読めていない問題が極めて大きいと思う。理系、文章読めなくても計算できれば何とかなってしまうから、根本的に文章を読む訓練の問題があると思っている。熱力学が難しい理由も物理法則が方程式ではなく文章になっているからではないか説を考えている。
数学理解の上でセミナーが大事というのは、理解の確認をするためには当人にそれを自分の言葉で語らせると見えやすくなることを使っていて、時間をとってまとめて喋らせる機会をセミナーで作っているに過ぎない。要は出力確認で入力の正当性を確認している。
中学生や高校生に数学を教えていると,文章から図に翻訳することが苦手になっている生徒に多数遭遇してきました。
数学ができない原因の一つが国語の読解力という話、私が知る範囲の物理の人間を見ていると、少なくとも大きな要因の一つなのだとは思う。計算ができても日本語の文章が読み書きできる保証はなく、読解力が上がる保証も特にない。
本当に不思議なのだが、他人にいい加減なことを吹聴して数学関係者が激怒する以外に数学の理解が甘くて困る事案、何かある?学部の時、実験のレポートで微分方程式を解く時に「解を何とかと仮定して定数を求める」と書かなかっただけで「いい加減だね」という工学系の教員がいるくらいの状況があるのに
これ、学部2年のときなのだが、相手が何を言っているのか本当にわからなかった。あと、学部3年の固体物理で電子工学出身の担当教員がベクトルの内積をベクトルで割った量をベクトルと呼んでいることもあった。これでもNatureに論文を通したりしている.
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上で紹介したコンテンツと合わせて, しばらく物理の数値計算にフォーカスをあてていろいろやっていこうと思います. その一環として前回ブログの記事も紹介した本はいま C から Rust 化しています.
ここに Rust のスクリプトをあげているので, 興味がある人は見てみてください. ほぼ C の直移植です. Python だとある程度速度を出すために numpy のブロードキャストで書く必要があり, それを合わせるのが大変だったので Rust での直移植に変えました. C よりはよほど書きやすいです.
いまは動画を作るポスト処理を CSV からの matplotlib+ffmpeg での mp4 にしています. 動画を作る部分が重くて (遅くて), もう少し何とかならないかと思っています. もしあなたに何かいい案があるならぜひ教えてください.
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あと, この間書いた note のサークルですが, 人柱として有料での質問箱みたいなのを実際にやってみようと思い, いま準備を進めています. 人に挑戦しろと言っている以上, やはり自分が先陣を切ってやらないといけないでしょう.
他にもいろいろやろうと思っていることはあります. 少しずつ進めていくので, ぜひ参考にしてください.
ではまたメールします.
最近, 仕事関連で勉強が必要なことが多く, コンテンツ制作に時間が割けていません. 生活がかかっているので手が抜けない問題もありつつ, これはこれで楽しいのもあり, コンテンツリリースが伸びに伸びていてよくないのですが.
一応その勉強の記録もつけて記事や成果物 (コード) にしているので, 興味のある方はどうぞ. まずは買った本の書評的なところか.
この本のコードを Python で書き直していて, 次のリポジトリに置いています.
計算結果のアニメーションは YouTube の次のリストにまとめているので, ぜひ眺めてみてください.
これからも継続的にプログラムを書いて動画にしていくので, ぜひ YouTube チャンネルにも登録してください. 短い動画だと 10 秒ありません.
また, この間も具体的な (有料) コンテンツを紹介しましたが, 数学科のゴリゴリの数学はともかく, 物理を勉強するときにはプログラミングはかなり役に立ちます. いろいろな点から数値計算は本当に勉強しにくいのですが, その辺は整備を進めていきます. 今後, 関係する情報も増やしていく予定ですし, 何でもいいので, 1 つ言語を決めて勉強してみてください.
私の好みではありませんが, 言語としてとりあえず Python をお勧めしておきます. 機械学習などで入門系のコンテンツが世に溢れているからです. 数学とも絡めつつ, ある程度入門的なコンテンツが揃っているのは Python だろうと思います. ちょっと何かするだけですぐに速度がほしくなるので, そういうときは C/C++ または Fortran になるのでしょうが, いきなりこれはハードすぎます. 環境設定も大変なので. 何がいいか・適切か判断できないならとりあえず Python でいきましょう.
私もいままさに Python による数学という点のコンテンツを作っています. Python の解説も多少はつけていますが, きちんと解説しようと思うとそれだけで本 1 冊ですし, バージョンアップ対応も大変なので, それは世間のコンテンツにお任せすることにしました.
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プログラミング利用は来年以降の物理への展開を意識していますが, 中高数学の勉強への展開もあります. 先のコンテンツもそこを狙っています. そもそも中高数学の勉強としていい (らしい) 本の話があったので, 念のため共有しておきます.
えーーなんと小倉先生この流れで『入門問題精講』紹介されてたのか。 私も教科書だと勉強しにくいと思う人にはこれオススメと言おうとしていた。 意見が合いすぎて自分の考えに自信出てきた笑(てか何回引用RTしてるんだ
時間がなくまだ私自身は中身を確認できていないのですが, MathEdr さんはかなり信頼できる人なので, この人の発言ももチェックしておくといいでしょう.
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そして本題の「数学質問箱」です. 有料のサービスで, 「グレブナー基底大好き bot」さんが主催しています.
【月額・数学質問箱】 月額1000円で数学の質問し放題の「数学質問箱」を始めましたぶな。 現在は「グレブナー基底」の質問の回答をしていますぶな。 今度は質問できるジャンルが増えていく予定ですぶな。 あったらいい数学分野などありましたら、 リプでお知らせくださいぶな。
グレブナー基底 bot さんは次のラノベを書いている, かなりのイレギュラーです.
私は一度お会いしたこともあって, 叶数理さん主催の同人誌を一緒に書いたこともあります.
代数に関しては龍孫江さんが担当するとか何とかいうのを見かけました.
龍孫江さんも YouTube や note でいろいろコンテンツを作っているので, もしあなたが代数に興味があるなら追いかけるといいでしょう.
ただ, 私のメルマガを読んでいる方はあまり代数代数した代数方面に興味が強いとは思えないので, その辺が難しいかもしれません. ただ先の note には集合論もあったので, 数学の基礎としての集合論や位相には対応してくれそうなので, そうしたところに興味があるなら参加してみるのも一手です.
ちなみに, この手のサービス, 私がやるなら解析系で, 解析のための線型代数みたいなところも守備範囲に入ります. 興味がある方が多ければやろうと思わないでもないのですが, 需要あるのでしょうか? 通信講座でも質問が大量に来たときにさばくのが大変になったことがあり, どういう塩梅でやるといいのかが見えていない部分があります. 人柱としてやってみるべきだ, という話もあるので, ずっと検討していることではあります.
やってほしいという方が多ければやろうと思うので, 何かあればメールへの返信なり, 読者アンケートなりで要望をあげてもらえれば.
ではまたメールします.
先週は仕事が立て込んでいてあまり何もできていません. 家に帰ってからも仕事関連の勉強をしています. 知見自体はたまっているのですが, なかなか提供に足るまとまった形・レベルになっていません.
ひとまず仕事に関わる勉強ついでにやっている, いろぶつ熱力学の査読メモツイートと, 量子系の状態概念に関するブログの記事を紹介しておきます.
いま並べてみて気付いたのですが, 両方とも状態概念の話でした. 平衡状態と基底状態の数理については私もそれなりに専門的なところに触れたので, いろいろ言いたいことはあるのだと改めて感慨深いです.
あと, コードを全て公開できているわけではないのですが, OpenFOAM による数値実験, 自前で Python を書いた数値実験やアニメーションサンプルは, 次の YouTube のリストに突っ込んでいます.
もしあなたが数値計算主体の物理や数学の勉強に興味があるなら, ぜひチャンネル登録してみてください. 継続的にいろいろやっていく予定です.
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コンテンツの制作は一通り終わったものの, 販売向けの準備が全然できておらず, その方面の状況報告もできていません.
コンテンツの追加というか作り直しも入るのですが, 販売プラットフォームも再検討していて, いまごろになっていろいろ悩んでいます.
ちょっと試してみたいと思っているのが次の Udemy です.
もともとアメリカの会社だったのをベネッセが買い取って, 日本国内向けの展開もあります. これをやってみようかとも思っています.
ただ, Udemy のコンテンツは基本が動画で, ある程度しゃべらなければならず, 吃音の私には厳しい面があってどうしたものか, という悩みがあります.
買う人にとって音声が聞きづらい動画でしかないので, 私の言語障害は文字通り受講の障害にしかなりません. Amazon での DVD 販売でもしゃべっていて, それで駄目というコメントをもらっているわけでもないので, ある程度はどうにかなるか, と思わないでもないのですが.
それはそれとして, Udemy にも「文系向け Python での統計学」みたいな講座もあります. 時々 90% オフとかいう異常な値段になるようで, この辺の話に興味がある人は Udemy を受講してみるのもいいのではないでしょうか. ちなみに, これからプログラミング系の話はかなり強化していきますし, しばらく Python は 1 つの軸になる言語だろうとも思うので, Python の勉強をしておくと私の情報も受け取りやすくなるだろうと思います.
中身を見ていないので良し悪しはわかりませんが, レビューはいいようなのでとりあえず次のコースを紹介だけしておきます.
あと 3 日間は 24000 円が 1620 円とかいう異常な値引き状態のようです. 30 日間の返金保証もあるようですし, とりあえず買ってみてもいいのではないでしょうか.
もしあなたが自分でコンテンツを作ろうとしているなら, 「このくらいの内容でこの値段帯で出せるのか」という発見にもなるでしょう. あと数日は異様に安い値段で買えるので, 多少なりとも自腹を切ってみるのも大事です.
ではまたメールします.
相転移プロダクションの関根良紹です.
現代数学観光ツアーのアンケートで中学生からのコメントがあったので, それに答えるのが今回のメインです.
いつも通り本題はあとにして, まずはシェアしたい情報から. 今週はあまり報告すべきネタ・進捗がないなと思いつつ, 足立区の理工系教育提案でまとめた情報があったことを思い出し, まずはそのシェアをしておきます.
区議・職員の方に共有した PDF を次のリンク先に貼っておきました. 興味があればぜひ読んでみてください.
プログラミング教育と教育系 YouTuber として有名なヨビノリたくみさんの情報です. A5 で 5 ページ程度なので絶対的な量は多くはありませんが, メールの文章に書くのは長いので PDF にしてあります.
次は以前も共有した, いろぶつ先生の熱力学の教科書の査読に関する雑感を Twitter でつぶやいた内容もまとめです.
もしあなたが物理・数学を勉強しようとしているのなら, 勉強するうえでの参考になると思います.
最近は OpenFOAM によるシミュレーションの動画を毎日投稿しています. まだほとんどチュートリアルをやっているだけで, 必ずしも (いまの私にとって) 面白いシミュレーションばかりではありません. しかし物理とシミュレーションは今後の活動のメインにしていく予定なので, 地道に準備を進めています. リストにしてあるので, 気になる動画だけでも眺めてみると楽しいでしょう.
ぜひチャンネル登録もしてみてください. やろうと思って挫折しているシリーズもいくつかあり, その辺の取り組みの死骸も見えます. もしあなたが自分でコンテンツを作ろうと思っているなら, その辺の試行錯誤と挫折感, とりあえずいろいろやってみること, 誰でも見える形でログを残しておく意味なども考えてみてください.
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さて, 中学生から現代数学観光ツアーのアンケートに関する話です. 何度か書いていますが, これは結果的にいろいろ設計をミスしているので, いい加減刷新したり, そもそもとして新たな無料講座を作るなりしないといけないと思いつつ, 何もできていません.
現代数学観光ツアーも, 中高生の頃の私が読んだら喜んだだろうと本気で思って作っていますが, どう考えても一般的ではないので.
とりあえず, 中高生も読め, これまた面白いはずだと信じている講座として, 無料講座として公開している次の講座をお勧めしておきます.
現代数学観光ツアーはきつすぎると感じたらぜひこちらを受講してください.
通信講座一覧ページも念のため.
もう 1 つ, 上記「自然を再現しよう」の続編として, いままさに準備を進めている, 仮題「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」があります. いったんレビュー結果も反映し終わっていて, 今回のコンテンツとしてはいったん完成はしています.
今後, これは本当に中高生向けコンテンツを作る上で, 叩き台にしていくコンテンツという位置づけですし, 本当に中高生に受講してもらって感想を聞きたいこちらの事情もあり, メールなり何なりでコメントくれればコンテンツをお渡しするので, 興味があればぜひ連絡をください.
よくも悪くも, 深く味わうにはプログラミングの知見が多少必要になってしまうので, ふつうの中高生が味わい突くすのは大変とは思いますが, 環境構築なども含めて実際どのくらい大変なのか, それはそれで知りたいところです.
ちなみに, いまのうちならレビューの名目が立ちますし, 中高生には無料でプレゼントします. もしあなたが興味を持っているなら連絡をください.
早く販売まで持っていって気分的に身軽になりたいですね. がんばりましょう.
ではまたメールします.
本題の前に諸々のコンテンツ制作について, 現状を報告します.
中高数学・プログラミングに関するコンテンツは, いったんレビューとその対応も終わって, いまはコンテンツ紹介用のページを作っているところです. その状況報告をできれば, と思っていたのですが, タスクの進捗が悪く, まだお見せできるレベルの内容がありません.
今月販売まで行ければいいなと思っていましたが, スケジュールがずれにずれています. 焦ってゴミができても意味がないのでじっくり進めます.
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昨年末, 体調不良で流れた地元の理工系教育向け提案で, ようやく区役所の人と話ができました. キャリア教育の視点から進めるとどうか, という提案を頂いたので, それに対する素案を作ってお送りしたところです. これも地道に進めます.
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タイトルや中高数学コンテンツとも絡む話として, やはり来年以降の物理の入門系のコンテンツに向けて, プログラミングというかシミュレーションも強化しないといけないと思っています. それで, OpenFOAM による数値シミュレーションを, 勉強ついでに Youtube に放流してみることにしました.
流体の代表的なシミュレーションを一通り動かしつつ, チュートリアルの内容をいろいろな領域で数値実験し直し, さらには電磁気に進みたいと思っています.
OpenFOAM に詳しい方がいらっしゃったらいろいろ教えてほしいです. 物理の教科書に書いてある, 基本的な系に関して一通りシミュレーションを作ってみたいです. 乱流のような大規模計算が必要な系をどう処理するか, そこまで難しくなくとも無限系をどうシミュレーションするかなど, いろいろな問題があることはわかっています. 時期的にリアルの勉強会をするのも厳しいので, オンライン勉強会で講師役やってくれる方いたらぜひお願いします.
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さて, 本題です. 何かというと, 現代数学観光ツアーのアンケートで次のようなコメントが来たのです.
現代数学観光ツアーに期待することを教えてください 兎に角、物理数学が分かりやすいこと
私はこの「わかりやすい」というのがいまだによくわかりません. そもそもとして「わかる」「わかった」というの自体がよくわからないのです. 生まれてこの方, 何かがわかったと思えた経験は 1 度しかありません. 大学受験の頃, Z 会の問題を解いていて, 合計で 20 時間近く考え続け, その末にようやく解けたときです. もう 20 年近くも前のことなのに, 「これが『わかる』というやつか」「確かにこれは感動的」と思ったことを 今でも覚えているほどに印象的でした. そしてこれくらいしか経験・記憶がありません.
はじめて勉強したときすっきりせず, 何年か経ったときに「確かにそれはそう」, または「何でこれがわからなかったのだろう」という感じで, 勝手に理解が深まっていたことは何度となくあります. ほぼいつも長いこと「わからない」を続けて, 年単位で関連する勉強や実践をいろいろやり続けた末に, レベルアップによっていつの間にかクリアしていた, そういう経験しかなく, 強いていえば全てがほぼ例外なく私にとっては「わかりにくい」のです.
アンケートを見ていてわかりやすさを求める人は確かに多いのですが, わかりやすさとは何なのか, いまだによくわかっていません.
ちなみにちょうど昨日, 数学者と Twitter で次のような話をしていました.
丁寧じゃない本は著者が無能なだけでしょ、特に誤植だらけの本は著者の注意力が足りないと評価している
そういう風に思っていた時期が私にもありましたが、知識が十分にある人が読む場合は余り丁寧に説明しない方がわかりやすい、ということが往々にしてあるんですよね。
そもそもとして丁寧さ自体が状況、相手が誰かに依存する概念でしょう。ゴリゴリの専門家相手なら気分の話を丁寧にした方がいいでしょうし、学生がゼミをやるなら証明の細部を丁寧にした方がいいでしょう。その辺の定義を明確にしない時点で数学スタイルの議論は発散してしまいます。
確かに元のツイートはどういう意味での丁寧さを論じているのかわかりませんね。私は証明の細部を書くか書かないかという丁寧さという意味で捉えましたが。
3 番目が私のコメントです. 丁寧さであってわかりやすさではありませんが, 人によって意味が大きく変わりうる未定義用語でふわっと話していると, まともに意思疎通できません.
証明や議論を丁寧に書いてほしいという意味での「わかりやすさ」なら, それはそうだとはいつも思います. しかしこの証明の丁寧さが人によって変わるのです. 例えば, 現代数学探険隊では後半のある程度まで進んだところで, 「ここまで来たらこのくらいの記述の粒度でいいだろう」 と思ったところに「もっと詳しく書いてほしい」というコメントが 何度も来たことがあります.
ネタ自体が本質的に難しくなっている後半部分で, 私自身これは難しいだろうと思ったところ, あえていえば本当に難しいところは丁寧なのですが, 「ここまでの議論で身についているはず」, 「これはもう多少省略しても大丈夫だろう」という ごく基本的なところでとにかく徹底的につまづいているコメントが来たのです.
上の 4 番目のじょんじょんさんのコメントにもあるように, くどいと逆に読むのが疲れてわかりにくくなることがあり, それでさらっと省略した部分に初学者がつまづくのです.
話がずれてきたので戻しましょう. 最近コンテンツを作る方に回ってほしい, というメッセージを出しているので, それとも合わせて書きます. 「わかりやすさ」をどこにどう設定しているのか, それをはっきりさせましょう.
例えば私が作っている無料コンテンツは, たいてい「大きな姿を掴むこと」を目的にしています. 高いところから全体像を見ることに特化しているので, 細部の説明はほぼありません. 細部まで知ろうと思って読むと, わかりづらいどころか何もわからないでしょう.
細部が詳しいコンテンツは既存の教科書を勧めればいいと思っているので, リストを作って紹介しています. いろいろあると悩むというのもよくわかるので, 最近はあえて数冊に絞って紹介する機会も増えています. さらに前提が揃わない本をいろいろ買ってつぎはぎで読むのも大変だろうから, ということで現代数学探険隊という学部レベルの解析学の多くを 1 つにまとめた通信講座・コンテンツを作っています. いろいろなレベルのいろいろなわかりやすさを意識してコンテンツを作る必要があります.
物理数学・教養数学ももっといろいろなコンテンツを作りたいと思っていますし, 足りていないとも思っています. 既にあるコンテンツはそれとして勧めつつ, もっといろいろな人がいろいろなコンテンツを作ってくれないかと思っていて, それで今年から「みんなもコンテンツを作ろう」という話をしはじめています.
私が目下 1 番やりたいと思っているのは, 各種の具体的な計算をとにかく丁寧にやっていくコンテンツです. 上でも書いたように, 理論は長期間の没頭でその世界観を馴染ませる必要があり, コンテンツでどうにかする話ではありません. そして理論に関しては既存のいい本がいくらでもあります.
全体像についてはそちらに任せて, ピンポイントで計算を追いかけるコンテンツがほしいです. これなら, 1 つのコンテンツも短く小さくなり, 作りやすくなる, というのもあります.
いま数学系のコンテンツ制作を一所懸命やっているのも, 細かい理論よりもまずは強引に計算をやり切る腕力で捻じ伏せろ, という話をあまり聞いてもらえず, 理論の勉強を一所懸命しようとする人が多いからです. その要望に応えるためです.
やるべきことはたくさんあり, 理想は遠いです. 一歩ずつ進んでいきましょう.
ではまたメールします.
ここ最近, 割とお金の話をたくさんしてしまっていて, 数学と物理の話が聞きたいのにもううんざり, という人もいらっしゃるようです. 情報を出す方向として「一緒に数学・物理をやる人を増やそう」から 「一緒に数学・物理のコンテンツまで作る人を増やそう」 に少しシフトチェンジしたこともあり, ちょっと申し訳ないとは思っています.
この間 Twitter でいろぶつ先生の熱力学の本の査読の話をしたら, 物理の人と少し盛り上がったのでその話をまとめようかと思ったのですが, まだまとめきれていません. 今回は各種メールの返信やアンケートから, 私にとっては同じ, もしくは関連する話題が振ってきたのでその話題にします.
まず来た内容を転載します. その 1 はミニ講座, 中高数学駆け込み寺に関して来たメールです.
これまでの記事, なかなか時間が取れず, 未読のままとなってしまっておりました. 最近ようやく生活が落ち着いてきたので, この機会にフォローさせていただきます.
二月中に, こちらのメールのアンケートを返信させていただきます. ペースについていけず恐縮ですが, 今しばらくお時間をいただきますようお願いいたします.
その 2 はこの間のメルマガへの返信です.
なお, 物理の本を読むのなら, 物理の数学は付録の部分の数学で十分と書かれていましたが, この付録の部分が十分読者に答えていないものが大部分ではないでしょうか. おそらく多くの方の意見ではないかと思っています.
これだけ見ると関係なさそうに見えるかもしれません. もちろん直接的には関係ありませんが, 「時間」の観点からは似た話題なのです. コンテンツを作ろうという人だけではなく, コンテンツを受講しようという人, 何か勉強が必要または勉強したいという人にも関係ある話題です.
まず前者に関して明白なのは「時間が (取れ) ない」ことです. 中高数学駆け込み寺は 1 回 5-10 分で読み切れる分量を意識して作っています. この時間で読み切るためには細部を気にしてもらっては困りますし, とにかく読み切って大きな姿を掴むことに集中してほしいという体にもなっています.
つまり 5-10 分の時間を作るのも厳しい, そういうコメントなわけです. これがいいとか悪いとかではなく, 「それはそう」という話で, その辺の話をするのが今回の目的です.
状況はいくつかありえます. 例えば家で老親の介護をしている人は気が休まらず, 本当に 5-10 分の時間さえ作れないでしょう.
そうでなくても, いろいろな状況があります. ものすごい忙しくなると時間・肉体以上に精神的な余裕がなくなります. そうなると少しの隙間時間であっても本当に小休憩を入れたくなりますし, そうするべきでもあります.
そしてさらに, たいていの人は数学や物理を知らなくても困りません. 勉強するモチベーションはあるのかもしれませんが, 必要性に乏しいのです. 優先度が極めて低く, 上げる根本的な理由もありません.
特に中高数学駆け込み寺の受講者となると, 数学が苦手だったりもう忘れてしまって勉強するにも時間がかかるという人も多く, 数学する精神的なハードルも高いのです. 5-10 分の勉強時間を作るためにも十分な精神的余裕・準備が必要です.
コンテンツの受講時間だけは 5-10 分であっても, それにいたるもろもろの時間・余裕が必要で, それがない・取れない問題です.
このあたり, 何というか, いわゆる自己啓発というか, 時間管理みたいな話もした方がいいのだろうかとも思っています.
ここで少しコンテンツ作成側の人向けの話をします. 何かというと, コンテンツを受講してもらうために, 時間という相手の大事なモノをもらう必要があるのです. 大事な話・面白い話をしているからといっても, それを受け取ってもらうため, 楽しんでもらうために時間を出してもらう必要があります.
これまでの話は大事なモノとしてお金しか挙げていませんでした. 実際には無料のコンテンツであっても時間をもらっています. 可処分所得という概念がありますが, 仕事など生きていくのに必要な時間を差し引いた, 可処分時間とでも言うべき概念が考えられます. そしてその可処分時間をもらっています. 「時間を奪っている」とさえ言えるでしょう.
どうすればその時間をもらえるか, きちんと考える必要があります. そして「いい時間を過ごせた」と思ってもらえるような, 時間を無駄遣いさせない良いコンテンツを作る必要もあります.
このあたりに関しては, 先日からメルマガでも書いているプログラミング系コンテンツが作り終わったので, プロモーションの形で具体的にどうすればいいか, 私がどうやっているかを紹介します. もしあなたがコンテンツ制作に興味があるなら, ぜひそれを追いかけてみてください.
ここからその 2 の話です. 再掲しましょう.
なお, 物理の本を読むのなら, 物理の数学は付録の部分の数学で十分と書かれていましたが, この付録の部分が十分読者に答えていないものが大部分ではないでしょうか. おそらく多くの方の意見ではないかと思っています.
まず, この認識が全然違います. 何が違うかというと時間の使い方の問題であり, どんな環境でどう時間を使っているかとも言えます.
まず結論から言えば, 単純な数学知識ベースの議論では, 本当に付録に書いてある内容しかないのです. 数学科の人が物理の本が読めるかという問題でもあります. 数学の本で証明を読み込んでもあまり意味はありません. いろいろな定理を知っているかどうかにもそれほど意味はありません.
問題は物理の実際の議論の中で必要な数学を見極めて使えるようにすること, ハードな計算に耐える計算力です. これはまさに物理をやることそのものなので, 付録ではなく本文を読む以外に勉強のしようがありません.
実際の物理ではいろいろな近似を使う話もありますし, 数学的にはおかしい, 数学としては暴力的な議論・計算もあります. 強いていうならやるべきは付録の充実よりも, 本文での計算のフォローを増やすことです.
ちなみに, 数学だと付録だけで厳しいことはよくあります. 例えば基本的な微分積分や線型代数の本を読み込んで, まずはその世界自体に親しむこと, そしてそれ以上に微分積分や線型代数の証明の詳細が追えないことにははじまらないからです. 数学の付録はその辺はカバーしている前提での, 本当に単なる知識ベースの整理でしかありません.
物理の話に戻りましょう. ここから時間とその使い方の問題です. まず大前提として, いくら優れた指導者が適切な指導をしてくれたとしても, 当人が勉強しなければどうにもなりません. この点, 例えばスポーツと同じです.
勉強していないと言いたいのではなく, 絶対量としての勉強の時間が足りていないのです. 1 月勉強しないといけないところを 1 時間しか勉強していないのでは, 何をどうしたところでできるようになるわけがないのです.
はじめに書いたように, たいていの人は物理をやらなければいけないモチベーションも環境もありません.
究極的な比較対象としては物理学科の学生です. 極端に言えば, たいていの学生は物理をやる気はなくても 単位取得して卒業するモチベーションはあります. 少なくとも卒業できる程度には物理をやる必要があります. この強制力があり, 困ったときには適当な助けが得やすい環境があります. このカンフル剤で無理やりにでも適切に時間を使わざるを得ない環境にあります.
あと物理だと「論述」にもほぼ必ず計算が必要です. 少なくとも学部だと勉強内容はほぼ理論です. とりあえず計算できないとはじまらないので, 理屈 (数学) はともかく, 物理の現場で必要な計算をごり押しするのです. もっというと, 数学科の学部 3 年でようやく出てくるような, 超関数, フーリエ解析, 偏微分方程式論に学部 1-2 年から対応せざるを得ないので, 理論など勉強も理解のしようもありません. 物理の現場の計算練習で何とかするしかありません.
付録が足りないのではありません. 実際に付録の以上の数学の知識は使っていなくて, あとは鍛え上げた剛腕で処理しています. 剛腕を鍛えること自体も物理なので, さっさと物理をやりましょう, 物理をやるしかありません, そういう話です.
理論がわからなくても剛腕で押し通す, 押し通さざるを得ない状況に追いこまれていて, どうにかせざるを得ないのです. 付録で足りないというのは物理をやる気がない, そう言ってもいいくらいです.
また, 独学でふつうに本だけ読んでいると, この手の剛腕を鍛えるカリキュラムがない問題もあります. 独学だとカリキュラムの存在も知らず, 必要性に気付くことさえできないと言ってもいいでしょう. そして剛腕を鍛えるには膨大な時間が必要です. 見るだけなら単純なことであっても, スポーツで何かの技術を習得するには膨大な時間がかかるのと同じです.
少なくとも早稲田の物理では, それまでに全く勉強していない数学に関して, 物理的なモチベーションの説明さえほとんどなく, 四の五の言わずに計算練習をしろ, という必修の演習の時間があり, 単位も設定されていました. こういう意味でも環境が整備されていて「指導」もあったのです.
私の実体験でもあるので, もう少し話をしておきましょう. いまはよくわかりませんが, かつての早稲田の物理では「物理学研究ゼミナール」というのがありました. 学部 1 年で研究室にお邪魔して, 何か実験させてもらったり何なりして, ちょっと難しい話にも触れてみましょう, みたいな感じと思ってもらえばいいです.
いろいろあって, 私は 2 つやることになりました. はじめの 1 つは学部 1 年なりたてで 複素関数論に関する発表をするようにという話になりました. もちろん本を読んでみようとして読んでもみましたが, 何一つわかりません.
もう 1 つはブラウン運動の解析です. ちょっと実験した上で, 拡散方程式を調べて発表するという話で, 私は拡散方程式を具体的に解く手法として フーリエ解析に関して発表することになりました.
勉強開始は学部 1 年の夏の時点でした. その時点で数学の講義は 1 変数の微分関係の話で, 多変数の話も全くやっていない頃に 偏微分方程式とフーリエ解析について発表しろと言われるわけです. 偏微分方程式もフーリエ解析も, 数学の本を読んでも当然何もわかりません.
「物理とフーリエ解析」という本があったので読んでみました. いま読めばそれなりによくまとまった本とも思えるのですが, 学部 1 年の夏の時点だと, 講義では力学で常微分方程式の議論で四苦八苦している程度の状態です. 例として X 線の解析などが出ていたのですが, 当然電磁波, 電磁気学です.
大学レベルの電磁気はわからない, 大学レベルの振動・波動の議論もわからない, X 線も当然よくわからない, 出てくる多変数の解析もわからない, 当然のように出てくる留数定理 (関数論) もわからない, この状態で何とか発表を数学ではなく物理として形にせざるを得なかったのです.
ここでヒルベルト空間だの何だのにも手を出したり, 数学の本も読み漁ったのが 1 つの契機で, 結局その方向に進みさえしたわけで, 「三つ子の魂百まで」という感さえあります.
物理学科だと, 本当に数学の理論がわからなかろうが計算だけはできるようになれ, 習うより暴力的な物量で慣れろ, 物理の現場で何とかしろ, そういう状況・環境に追いこまれますし, そういう時間の使い方を叩き込まれます.
私がいた頃の早稲田の物理学科の教育方針がいいとは思いません. 数学の計算練習をさせるのは必要だし構わないが, さすがにもう少し物理のフォローを入れろとは思いますし, その辺を結実させたのが現代数学観光ツアーでもあります. もちろん現代数学観光ツアーも数学に偏り過ぎなきらいはあり, もっと物理っぽいのは作る必要があるとは思っていますが, 純粋な数学サイドから見れば, 相当に物理 oriented です.
いろいろ書きましたが, 言いたいのは「この付録の部分が十分読者に答えていない」のではなく, 読者が勉強の仕方を知らない (本なり何なりで説明していない) こと, 付録の使い方と勉強の仕方 (時間の使い方) がよくないこと (きちんとした説明がないこと), 社会人は要求される暴力的な量をこなす時間が取れないこと, たいていの人は物理・数学を勉強する必然性がなく, それを強制する環境が現状大学の物理学科をはじめとした物理が必要な環境にしかないことなどです.
学生でもない限り, 暴力的な量をこなす時間が取れないことは仕方ありません. その分, 時間というか期間がかかることはしっかり認識する必要がありますし, このあたりをきちんと指導してくれる指導者または環境を見つけ, 活用することが大事です.
まだ時間が取れないのでしばらく先にはなりますが, 私が物理系のコンテンツを作るなら, まずは電磁気あたりで適切な物理の問題を持ってきて, それに関する計算を遂行することを目的にしたコンテンツを作ります. いわゆる物理的な意味・議論は既存の物理の本を読めば済むので, 計算にフォーカスしたコンテンツを作り込むでしょう.
かなり長くなりました. 今回はこの辺にしておきましょう.
ではまたメールします.
今回も本題の前にミニビジネス的な話をします. 知っている人は知っていて, 私も各種講座の中で紹介している数学ガールの著者, 結城浩さんの note のサークルです.
プログラムの本で知っている人も多いでしょう. これは月額 200 円で運営されています.
公式からの案内は次のページにあります.
何がよさそうかというと, いい意味で気楽なことです.
結城さんだから, というのもありますが, コンテンツにずっと触れていると, そのコンテンツを作っている人にも興味が出てくることがあります. 特に最近は「この人はどんなことに興味を持っているのだろうか?」, 「ちょっと応援したい」みたいなことを考え, 実行する人も多くなっています. かつてニコニコでは生放送などに課金する人もたくさんいましたし, もちろんいまも YouTube の生放送なり何なりで応援課金する人はいます. そういう仕組みができあがりつつあるのです.
ゴリゴリにコンテンツを作るのは大変なのですが, 気楽に, それも多少なりとも活動資金を得ながら, コンテンツを作るのは励みにもなります. 実際に応援してくれている人がいるのだと.
ちなみに数学系, それも大学受験などではなく, 完全に大学の数学に踏み込んでいる人もこの辺に取り組んでいたりします.
一方は京大の数学専攻の人で, もう一方もそれなりに数学がきちんとできる人なので, こちらもこちらで「強すぎる」人ではありますが, 月額 140 円とか, 1 つ 300 円みたいな気楽な値段設定がポイントです.
さらに大事なのは, YouTube では完全に無料でやっておいて, その資料を販売, という形でお金をもらっていることです. ここにお金を出してくれる人は, コンテンツを買っているのではなく, ほぼ純粋に応援の気持ちなのです.
生臭すぎますし, 「売上」はどのくらいかと聞けるわけでもありませんが, その売上は純粋な応援の気持ちの定量化なので, コンテンツを作り続ける励みにもなります. 多少なりとも本当に金銭的な支援にもなるわけで, 馬鹿にしたものでもありません.
もちろん, 私自身, この辺にはきちんと取り組んだことがなく, あまり体感もありません. 言うだけ言いっぱなしなのもよくないですし, 私自身動いてみないとな, と思っているので, いま作っているコンテンツが一段落したら, YouTube コンテンツを作りはじめるついでにはじめてみようと思っています. メルマガでも適当に情報は共有しようと思っています.
とりあえず, 最近は「マネタイズ」にもいろいろあること, そしてマネタイズの形も変わりつつあることは意識しておくべきでしょう.
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ここから本題です. 最近, 無料講座の「応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう 中高数学駆け込み寺」のアンケートが よく来ます. そして時々コンテンツや講座の意図がうまく伝わっていない, と思うこともあります. もちろんこちらの作り方もよくないと反省する面はあります.
ただ, それはそれとして, 人は他人の言うことを本当に聞かないこともきちんと意識する必要があります.
人に何か言ったとき, 「前からずっとそれ言ってるでしょ」と言われ, 言われてみればそうだった, という経験がないでしょうか. 人は他人の言うことを本当に聞いていません. もっといえば, そのときは一応聞いてはいてもすぐに忘れます.
今回だと次のようなコメントが来ました.
和尚がさらりと行っている式の説明が素人にはかなりキツイということがわかった。 馴れないスペイン語を読んでるみたいな感覚で、 意味をつかむことに終始してしまいその奥行きをみる余裕がもてないというか、
講座の趣旨が「まずは全体像をきちんと見よう」なので, 式の説明をさらりとしかやっていないのは意図的ですし, 考えてほしいのは式の意味でもありません.
ちなみにこれは第 3 回へのコメントでした.
正直なところ, この講座の特に前半は, これを読んで何かわかるようなことは何も書いていません. 講座名にも「応用からの中高数学再入門」とつけてありますし, 登録ページにも「微分方程式が物理, 経済, 生物で使われていることを見る.」としか書いておらず, まさに「使われていることを見た」だけです. 1 回が 5-10 分で読み切れるボリュームにおさえている事情もあります. 登録ページでもコース紹介では「見る」「眺める」としか書いていません. 「理解する」のが目的ではありません.
こう書くと「ちゃんと読んで受講しろ」というメッセージかと思うかもしれません. そうではなくて, この講座を受講する理由は人によってまちまちで, こちらの意図に合わせて受講を決めたわけでもなく, こちらの意図に沿って勉強するわけでもないのです.
考えるべきこと/やるべきことはいろいろあります. 例えば実際問題として「ここが足りない」「ここがほしい」というメッセージでもあります. コメントを見ていてそういう人が多いなら, 「ではその足りないところを埋めるコンテンツを作ろうか」となるわけです. この辺を丁寧にやっていると, 前半で「この人はよくやってくれるから応援しようか」となっていく公算も高まります.
冷静に考えると, ネット越しでいろいろやろうと思うと, 応援の意思を伝えるのは実はなかなか大変です. 最近, 特に若い人だとメールベースのコミュニケーションはかなりハードルが高いと感じるようですし, かといって必ずしも LINE 交換するような状況でもなかったりします.
はじめの note のサークルも, 結城さん自身がいろいろ注意コメントをつけています.
しばらくは、結城が日々の活動記録をときどき投稿する予定ですので、 掲示板でゆるやかに交流しましょう。 掲示板は参加メンバーだけが読み書きできます。 参加後の自己紹介などは不要。 投稿を読むだけの参加でも大歓迎です。
別に自分から何かしたいわけではなく, ただ見ていたいだけ, という人もいるのです. そういう人にとって応援メッセージを送ったり, アンケートに答えたりするのはハードルが高いのです.
こういうとき, ニコニコ動画などの界隈でよく言われていた 「お布施」という言葉がよく合うように思います. まだこの感覚をうまく言葉にできていないのですが, 必ずしも「ありがたや」という気持ちだけから来る行動でもなく, 場合によっては悪意でさえある不思議な言葉/文化です.
ただ, それでも, お金は誰にとっても大事です. その大事なモノを突っ込む程度には興味関心を持っている姿勢を示すのが, 「お布施」です. そしてどうすればお布施をもらえるかというより, どうしてもらえれば自分はお布施を払いたくなるかを考えるのがいいようにも思います.
それはそうと, 来週, 中高生向けの学習支援提案について, 役所で話を聞いてもらう機会を作ってもらえることになりました.
いろいろな人に実際にリアルでやってほしいので公開しています. ぜひ積極的にやってみてください.
ではまたメールします.
ここ最近, あまりアンケートに答えられていなかったので, その回答をしてみます. 今後 1-2 年で集中的にやろうと思っているターゲットである, 高校生からのコメントがあった, というのもあります.
実際に自分でコンテンツを作ってみようという人もいますし, こんなコメントがつき, どんなところで困っているかを知ると, コンテンツを作るヒントにもなるはずです. もしあなたがコンテンツを作ろうと思っているなら, そういうスタンスで眺めてください.
いきなり脱線ですが, 宣伝をしておきます.
知っている人は知っている, 琉球大の「いろもの物理学者」こと前野さんが熱力学の本を書いていて, それの査読者を募集しています.
このツイートから募集ページに行けるので, もしあなたが興味があるなら, ぜひ査読に参加してみてください.
私は最近仕事で熱力学を使う羽目になりつつあるので, 復習も兼ねて査読に参加します.
ツイートからも辿れますが, 念のため参加の上での注意を転載しておきます.
これから査読していただく段階のものですから、 エラーや私の誤解による間違った記述などが含まれている可能性がありますので 「これで勉強しよう」という意図で査読に参加することはお勧めしません。
昨日の日記に、「これで勉強しよう」という意図で 査読に参加することはお勧めしません、と書いたのですが、 熱力学を全然知らない人は参加するな、という意味ではないです。 「知らない人から見るとここが難しい」という指摘はとてもありがたいので。 そういうわけで「よく知らない人の立場で査読するぞ」という、 ありがたいお気持ちでの参加でしたら、ぜひお願いします。
いま冒頭の数ページだけ読んだ段階でも気になるところがあり, コメントを書きながら読み進めています. 査読として問題点を明らかにするためという範囲ではありますが, 疑問があればかなり丁寧な返答が返ってくるだろうとは思います. 期間は短いですが, 前のめりに参加するならかなり得るところはあるはずです.
熱力学に興味があったがまともに勉強できなかったと思っているなら, 査読期間の短かさもあって, かえって集中して熱力学に取り組めるでしょう.
現代数学観光ツアーに高校生から, ある意味苦情的な内容のアンケートが来て, まさにその通りという趣の内容だったので, まずはその回答や展望からはじめます.
端的に言って「難しすぎる」という話です. まず毎度の言い訳からはじめると, あの講座は自分と似た感性で, ガチガチの物理・数学系の人だけが読む想定で作っています. 中高生の頃の自分が読んだら喜んだろうと思う内容で, 理解できるかどうかをほぼ一切考えていないので, それはそう, という反省点があります.
第 3 回については, 工学部の教員から 「難しすぎて読むのやめた」というアンケートまでもらっていて, ある程度理解したいという人も当然いるはずで, その点, 本当によろしくないのです.
こういう言い方もアレですが, 腐っても学部は早稲田, 修士は東大に入って曲がりなりにもそこで学術的には それほど大きな問題なく生きてこられた方なので, 私の感性なり数学的耐性なりは異常な方に振り切れているはずです.
アンケート項目で「面白い」にもチェックは入っていたので, 大枠としては同じような感性を持っている高校生にも 通信講座が届いていることには安堵はしていますが, 表に出ている講座が少なすぎる大問題は何とかしなければ, と改めて危機感を覚えました.
もう少し理解にも重点を置いた入門講座は作りたいと思いつつ, さらにゴリゴリの現代数学探険隊を作りはじめてしまい, 対応ができていない部分でもありました.
今年からはもう本格的に中高生向けの展開も考えはじめたので, コンテンツは充実させていきます.
現状の現代数学観光ツアーも, いまの 1 回分を独立講座にしてまとめるべき内容ですし, その辺も整備を進めています. やることがてんこもりなのですが, 優先度を設定しつつ進めています.
もう少しまともに中高生に向けたコンテンツとしては, 次の講座があります.
現代数学観光ツアーがきつすぎると思ったら, ぜひこちらも受講してみてください.
こちらにもアンケート回答はちょこちょこ来ています. ちょっと気になる回答があったのでコメントします. 大学所属の研究者かつ科学教育をやっているという方らしく, こう余計に気になったので.
「対応ルール」という見方をすれば、数列も微分方程式もベクトルも関数も同じものである、というのは目からウロコ、でした!
実はここ, 純数学的には微妙な書き方で, はっきり言えば誤解を招きかねない書き方をしている部分です. 数学の人間だけが気にすればいいと言えばいいところですし, プログラミングの視点/中高数学復習の視点としては, それなりに意味もあり, 害も少ないかと思って書いた部分です.
数学的にどう問題かはあとで書くことにして, まずプログラムを書くときの視点から改めて書いておきます.
プログラムを書くときのことを考えると, 関数も数列もベクトルも配列またはリストで表現します. 微分方程式も解だけ考えれば関数なので, やはりプログラム上での対応物は配列またはリストです.
こう思えば数列も微分方程式もベクトルも関数も, 広義の対応ルールで, 数を並べた配列です.
プログラム, 特に数値計算プログラムを書いたことがあるなら, この辺はおそらくごく自然な発想になるだろうと思います. 現代の科学教育では, 研究でも卒業後の進路に関する話でも, よくも悪くもプログラミングは欠かせない存在になりつつあるように思います. 現在の科学教育にそういう視点がどこまであるのか, かなり気になりました. 逆に言えばそこにいろいろやるべきことがあるのだろうとも思います.
いままさに次のような企画提案を進めているので, そこでも活かしたいところ.
最近は小学校でのプログラミング教育をどうするか, みたいな話もよくあります. 現場で対応しきれないのでは? という懸念も含めて.
ここでも次のようなツイートを見かけますし, この辺もどうなのかといろいろ思うところはあります.
小学校のプログラミングの授業はこれで十分と思われ
スイッチサイエンスは、大人気のシングルボードコンピューターの最新モデル「Raspberry Pi 4」を手軽に利用することのできる、「Raspberry Pi 4 スターターキット(4GB RAM版)」を2020年1月30日に発売しました。
中高生にプログラミング教育をしようと思うと, そのマシンの調達も必要です. それをどう調達するか, マシンとして何を選ぶか, 資金面からも大きな問題です.
アメリカだと子ども向けにはタブレットであっても, 中高生に持たせるならやはり適切なスペックのノート PC で, 現状, そうでなければ少なくともプログラミングに関わる クリエイティブな活動には耐えきれない, とかいう話も見聞きします. どうしたものかと.
むしろ科学教育に対しては, それを物理・数学に関して受けただけであって, 科学全般に対して教育学を勉強したわけではありません. 専門的な知見や蓄積についてはそもそもアクセスする方法すら持っておらず, 自分・自分の身近なところの状況だけ見て, 「こういうのがあると嬉しかった」, 「こうしてくれると嬉しかったのに」という視点でしか活動できていません. 科学教育専門の方からのコメントをもらうと, その辺の自分の穴だらけさを改めて感じ, これでいいのかと恐ろしくもなります.
中高生の教育にも関わろうとしていて, それなりに子どもの将来に影響する活動を展開しようとしているわけですし, 最近の大学入試でベネッセが見せてくるような地獄を 自分が作り出さないとも限りませんし, 将来への配慮なく個人の狭い了見でやりきれる話でもないので.
さて, いい加減数学的な問題について書きましょう. 一言で言えば, (十分に一般化された) 関数は単に対応ルールと思ってよく, むしろそう思うべきなのですが, 数列とベクトルはもっと特殊な対象だからです.
一言で言えば, 両方とも次元が違うだけで, 両方ともベクトルです. そしてベクトルは線型代数の対象であり, ベクトルが住む空間は線型空間であり, ベクトルはその制約を受けて, 和とスカラー倍が定義できる対象でなければならないのです. そして単なる対応ルールである関数には, 和もスカラー倍もへったくれもないのです.
これが中高数学として問題ないのは, 高校で出てくる関数は実数値または複素数関数しかなく, 実数値または複素数値関数の全体が線型空間になっていて, 本当にベクトルとみなせるからです.
再びここで問題になるのは, 講座の中でこれらが同じというのは対応ルールというより, ベクトル・線型空間の視点から見て同じであると言っていることです.
この線型空間という抽象論とその視点こそ, 大学教養の線型代数で 1 番難しい部分です. そこを理解する上で障害になりかねない記述で, その悪影響を懸念しています.
抽象線型空間論が必要な人がどこまでいるかなど, 数学サイドから見て考えすぎという可能性もありますし, むしろ抽象論を意識した数学サイドの気の回し方こそ, 応用サイドから見て邪悪な可能性もあります.
そのあたりの塩梅は難しいです. 通信講座を展開してみて, 思った以上にいわゆる文系の方も多く受講していること, 私が物理出身で早稲田水準で見てさえ抽象論への理解が厳しそうであること, 最近仕事で工学系の人との付き合いも増えている中での状況判断など, 振り切ってこう書いてもいいだろう, むしろこう書くべきではないか, そう思って書いた部分ではあります.
それでもやはり, 私の中の数学部分が「これはまずい記述になりうる」 と思いつつ書いた部分ではあるのです.
既に大分長くなっていますが最後に改めて. 中高数学駆け込み寺の続編の有料コンテンツを作っていて, もう少しで叩き台が作り終わります. これの査読に参加してくれる方を募集します. 参加したいという方はこのメールに返信を下さい. 作り終わり次第, 個別にコンテンツの叩き台をお送りします.
前提として, 中高数学駆け込み寺と同じく, Python を使ってプログラミングします. 私個人でカバーしきれないので, 基本的に Python と必要なライブラリのインストールは 自前でやりきれる人を前提にします.
一応, Anaconda というサービス (?) を使ったり, Google Colaboratory を使えばインストールなしで 大半は動くとは思うのですが, Google Colaboratory での動作を完全確認するのも大変ですし, そういう点も込めた「査読」またはチェック依頼という話でもあります.
コンテンツは Jupyter Notebook 形式で配布するので, コードを写経する必要はありません. さらにコンテンツを完全に Jupyter Notebook 形式だけにしているので, 既存の本であるような, Jupyter Notebook にはコードしかなく, 本を一緒に見ながら勉強しなければいけない, といった面倒はありません. nbconvert を使って HTML 形式でも配布するので, 一部のアニメーションこそ実行できませんが, スマホでいつでもどこでも勉強できるようにしています.
プログラミングを軸にして中高数学を復習するコンテンツで, 上の中高数学駆け込み寺よりもう少し踏み込んだ議論をしています. 最近, 機械学習関係で統計学絡みのコンテンツは増えているので, その動きも見つつのコンテンツです.
ただ, 私はあくまで物理・数学系ですし, そういう視点からの議論がないのが非常に不満です. そこで微分方程式に関する議論を最後に突っ込んだところを 1 つの特長としています. 最後は流体力学に関する偏微分方程式を議論して終わります.
これも念のため書いておくと, 常微分方程式パートについては, 既存の中高数学駆け込み寺をそのまま収録する形にしています. 当然, この講座を受講していない方も対象にしていますし, レベル感もありますし, 既に受講された方にとって何度勉強してもいい内容だとも思ったからです. そして既存の配布コンテンツは全て Jupyter Notebook の形にまとめているわけでもなく, Jupyter Notebook にまとめた形で提供すれば, コンテンツ全体の一部として提供する範囲では, それだけでも十分な意義があると思ったからです.
あと, これもきちんと書いておきましょう. コンテンツを作ろうと思っている人に向けて, 有料にする意義を説明しておきます.
これまでコンテンツを作ってきて, 何度か言われたことがあるのです.
最後のコメントはまた別問題ですが, 上の 2 つは適切な有料コンテンツさえあれば, 気兼ねなく質問できたはずで, 貴重な教育機会を奪っているとも言えるのです. もちろん無料で勉強できるのはいい部分もあります. しかしやり過ぎると教育という, 優秀な人達の豊富なマンパワーが必要なところで, そこで食べていけるはずの人達の食い扶持を奪うことにも繋がります.
もう 1 つ「責任」の問題もあります. 実際, 私自身直面した問題でもあります. 無料でやっていると, 続ける責任が何もありません. 「もう余裕がなくなったのでコンテンツを公開し続けられなくなりました」, 「作る余裕がなくなったので今後はもうコンテンツを更新しません」, こういう話になります. 実際, 進めていたプロジェクトが頓挫したことなど何度もあります.
一方で, 有料の通信講座は 2 年にわたる内容がありますが, 有料で提供しているモノが「もう作れません」では無責任にも程があるので, 2 年間, 本業と並行して毎週新たなコンテンツを作り続けるのは大変でしたが, それでも続けられたのは有料ゆえの責任感です.
有料になると受講できる人数自体はもちろん絞られます. しかし受講する人達も「元を取ろう」と真剣になりもしますから, 学習意欲は多少なりとも高くなるはずなのです.
それ以外にも, 世間のよくない風潮として, 無料のコンテンツは「その程度の大したことない内容だ」と刷り込まれている部分もあり, 無料だとそもそも気合を入れて勉強しない・できないという問題もあります.
この辺のいろいろなことを考えながら, 有料・無料を使い分けてコンテンツを作っています. この辺の判断基準もぜひ参考にしてください.
ではまたメールします.
まず本題と全く関係ない話をします. 次のツイートに量子ハッカーとかいう単語が出てきました.
多分世界的に、その量子チャンネル特有の脆弱性を見つけてサイバー攻撃をする「量子ハッカー」人材の奪い合いになる気がする。裏側の部隊はもちろん、正規の表部隊でも。
Twitter 検索するとどうやら FGO (Fate Grand Order) でも出てくる単語のようですが, たぶんそちらの話とは関係ありません.
要は量子情報をきちんと知って応用できる人の話です. 情報系の本質的な素養は 0 とはいえ, 私も多少なりとも量子系の人間ですし, やはりハッカー (クラッカーではない) にはそれなりの憧れを持っています. こう言われたらやりたくなるわけで, 量子情報の勉強をはじめてみました.
改めてやりはじめてみて思うのは, やはり量子測定理論は楽しそうだが量子情報だとだいぶ興味関心が違うこと, 楽しみ方がよくわからない厳しさがあります. 一人だと心が折れるタイプのやつだという感覚があります. まあできる限りがんばってみます.
ちなみに一緒に勉強してみたいという方, いるでしょうか? 自分一人だとどうしても雑になる一方, 誰かと一緒にやると細かいところまで詰められてよいので, 興味がある方いらっしゃれば一緒にやりましょう. 数学ではなく物理がやりたいので, 必要な数学的予備知識はほぼ完璧な方がいいです. 具体的には数学科水準で線型代数ができて, 量子力学の基礎はおさえている方がいいです.
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ここから本題です. 前回, 地雷コンテンツをどう避けるかという話をしつつ, 数学・物理の勉強を続け, 応用していく上でプログラミングが大事になりつつあって, それをどうするか, というような話をしました. そして実際, その手のコンテンツを改めて作っているとも.
今年から本格的に中高の理系教育に乗り出しますし, 自分のようにコンテンツを作っていく人をもっと増やそうという心算もあるので, それに絡めた話をします.
まずコンテンツを作ろうという人に向けてお話をします. これは今後, 私自身もこういうスタイルを使ってコンテンツを作っていき, そして販売もしていこうという話でもあります. 中高生に向けて理工系教育をする上で, それで具体的に食べていけるという話もしなければならないと思っています. 知っている人は知っているポスドク問題も, 収入・生活の問題だからです.
ちなみに今回はやりませんが, 上で書いた勉強会も適切なスタイル・方針でやれば, そのまま有料の勉強会にできます. 自分は自分として勉強しつつ, それでお金がもらえる話にもできます.
こう書くと「ふざけているのか」と思う人もいるようですが, 実は割とふつうのことです. 大学の教員でも, 自分が興味ある分野で勉強しようと思っていることを, 学生セミナーで学生にやらせて勉強するという人が本当にいます. これは研究, つまりそれで食べていくこととも直結しています. もちろんそれで研究することまで含めているので, 学生自身, その勉強したテーマで研究できるようになる可能性も十分にあり, その意味でもおかしな話ではありません.
こういうスタイルで有料勉強会を開くのもありなので, もしあなたに興味があれば, ぜひやってみてください. 一定の力量があって指導するというスタンスを持つなら, 数学・物理・プログラングなら需要はあるはずです.
買うだけ買って全ては読み切っていないのですが, 1 つ参考になりそうな本として次の本を勧めておきます.
いまよくも悪くも科学技術計算では Python が覇権を取っています. 最近は Julia が出てきたり, 速度面では C/C++ の代わりに Rust が台頭しつつあるようです. ただ, それでも基本的な情報量は Python が圧倒しています. いま流行りに流行っている統計学・機械学習関係も 射程距離に入るからです.
よほど強いこだわりがない限り, とりあえず Python を勉強するのを勧めます.
私は速度面の問題なども気になるので, いま Rust をメインに勉強したりもしていますが, 実は一番使ってみたいのは F# です. 次のページを見て, C# のライブラリ群も使えてかなりバランスがよさそうで, かつ成熟していそうだからです.
ふだん仕事で Haskell を使っているので, 別の関数型言語を使うことで仕事に直接活きるだろうとも思っています. いろいろやりたいことはあるのですが, なかなか時間が取れません.
あと上の記事を書いた人と Twitter でやりとりして, F# での数学には致命的なほど情報がない問題もあるようでした. いまの状態で細かいことを調べつつやっていくのは大変なので, 会社でも微妙に話題に上がったことがある Rust にしようと思って Rust にしました.
もしあなたが F# の数学に詳しいなら, ぜひ教えてください.
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話を元に戻しましょう. 自分で勉強しつつ, そのネタで有料の勉強会を開いたり, コンテンツを作ったりする話です. 実は私の中でいまの話とも大きく関係するのですが, 実は最近, 少なくともプログラミング界隈では 海外の大手出版社が次のようなことをしはじめています.
例えば次のページ・本での MEAP がまさにそう.
これ, MEAP began July 2017 Publication in April 2020 となっていて, 3 年近くかけてまだ完成していないわけで, こういうのが本当に商業ベースに乗っているのです.
先の話とどう関係しているかと言えば, 「自分はよく知らないテーマでの有料勉強会開催」も, 要は作りかけのコンテンツです. 別に有料にはしませんが, 私の量子情報学習に関していえば, それに必要な最低限の数学と物理は備えていて, 必要ならそれはフォローすると言えるわけで, これが「作りかけ」にあたります.
最近流行りの工業系クラウドファンディングも同じです. こちらはもっと積極的に, 先行投資してくれた人達には安価に提供するから開発費がほしい, そういう名目でさえあります.
前もどこか・何かで書いたような気がするのですが, 教材作成サイドとしてお金を取ることの「メリット」はあります. 何かというと, もうお金をもらってしまっているので, 完成に対する強い義務ができるのです.
完成を前提に何かしようと思うと, やっているうちに「これでいいのか」と思いはじめ, 作るのをやめてしまうのです. 数学・物理に限らずコンテンツを作ろうとしている人が身の回りにたくさんいるのですが, みな途中で心が折れます. それを強制的に立て直すのがお金をもらったことに対する義務感です.
実を言うと, 私が以前有料の通信講座を作ったときはまさにこのスタイルでした. 配信に追いつかれないようにはじめに 2 ヶ月分程度は作っておきましたが, あとは最初に受講された方のペースに追いつかれないように, 作りながら進めていたのです.
そうはいっても, と思う人はいるでしょう. そこで今度, 私自身, この手のクラウドファンディングスタイルのコンテンツ販売をやってみようと思います. ぜひその様子を見てどうするといいか, どんなスタイルなら自分でもできそうか, 見極めてみてください.
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最後に補足しておくと, もともと私はニコニコに数学・物理の動画を上げるところからはじめました. いわゆるボランティアで無料でコンテンツを作っていたわけです. そこから通信講座作成・メルマガ配信などで経費がかかる活動がはじまり, このくらいはペイしないとさすがにきついと思いはじめて今にいたります.
スタートは無料ベースでも構いません. 取り組み方はいろいろあります. ただ, 私がやってみつつ, 他にもいろいろな人の活動を見たり話したりしてきて, 一定の商業ベースに載せないとそもそも継続性がなくなることはわかっています. 無料だとかえって変な人が入ってきて, 文句ばかり言われて嫌になる, そんな様子も見てきました. 楽しく続けるためにも何かしらの形でマネタイズはどうしても必要なようなのです.
自分自身を含め, いろいろな人が痛い目を見てきた末の話なので, ぜひ参考にしてください.
ではまたメールします.
ここ数日 Twitter ではオリエンタルラジオ, 中田敦彦の「YouTube 大学」が燃えていますが, いかがお過ごしでしょうか.
これに関していくつか共有しておくべきことがあると思い, メルマガを書いています. 結論から言うと, 「どうやっていいコンテンツを探せばいいか」です.
実はこれ, 私もよくはまる問題です. 数学に対してさえそうです. 例えば, 非専門の分野では数学でさえどんな本がいいかわかりません. そもそもどんな本があるかさえわからないし, どんな分野があるのかさえわからないので, ぴったり興味がありそうなモノ・こと・分野があっても, 気付くことさえ難しいのです.
これもはじめに言っておくと, 私の対処法はゆるく薄く専門家とつながっておくことで, Twitter はまさにそのために使っています.
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もちろん, 現実的には皆が皆, 私のような対処法が使えるわけでもありません. そしてはじめに書いたような, 少なくとも専門家から見てよろしくないコンテンツを掴まされる厳しさもあります.
そしてもちろん, 世の中, 専門家から見てよろしいコンテンツだけが望まれているわけではありません. それでも私のメルマガをわざわざ読んでいるあなたは, しっかりしたコンテンツで勉強したいと思っているはずですし, 自分自身でもそういうコンテンツを作っていきたいと思っているはずです.
そこで特にこれから自分でコンテンツを作っていこうという人に向けて, 簡単に状況を話しつつ, 私がこれからやろうとしていることなども簡単に説明しようと思います.
まず次のツイートとリプライを引用します.
ざっと見た感じでの印象ですが、YouTubeで歴史を学ぶのはやめたほうがよさそう。数学を学ぶのはまあまあいけそう。 それは、はむかずさん、数学動画に地雷探知能力が働きますから。地雷探知能力を持たない初学者にはきついです。
これははじめに書いた中田敦彦問題です. 数学にもいいコンテンツはあります. 例えば大学の数学科, それも京大の雪江先生 (著名な先生です) の講義なども配信されています.
ただ, これに辿り着けるか問題があり, さらに「京大の数学? 私についていけるのだろうか」問題が出て, 辿り着けても見ようとしない人もいるでしょう.
大学の講義だとある学科に特化した形になってしまうのも問題です. 自分の専門は違うがある他の分野の議論が必要になり, そして自分の問題意識や言葉で語られたコンテンツがほしいのにない, という問題もあるでしょう.
要は物理数学みたいなものです. 工業数学やら経済数学みたいな形ならありますが, 「物理出身だが遥か昔のことでもはや物理さえ怪しい. 物理に程よく触れつつその勘を取り戻せて, 必要な数学もバランスよく説明してほしい」 という虫のいいコンテンツがあるかといえば, まずありません.
物理数学だとそこまでの物理の知識などは仮定されていて, そこさえ怪しくなっていると物理出身の人でさえ厳しいのです. あなたもそうかもしれません.
こういう問題があるので, 物理数学のような山ほどコンテンツがあるテーマでも, 独自の視点でコンテンツを作る意義はあります. そもそも自分も勉強し直す過程をそのままコンテンツにすることこそ 大事だったりします.
物理数学なり何なりに関して, 最近一般向けにうまいところを突いているのはやはりヨビノリでしょう.
私は耐えがたいのでもう見ていないのですが, あなたにとっていいコンテンツである可能性はあるので, 紹介しておきます. 本もあるので, 必要なら買ってみてください.
もちろん酷評している人もいます. まさにヨビノリ (予備校のノリ) のノリが合わないのでしょう. 万人受けするコンテンツを作ることなど無理なので, 一部の人に酷評されようとも, 自分の信じる「よいコンテンツ」を作る気概が必要です.
こんなレビューがあったりもします.
執筆されたたくみ先生のYouTubeチャンネルは大学数学を主に扱っており、 当然、わたしには理解できないハイレベルの講義がほとんどなのですが、 先生の持つ独特の雰囲気、 人柄の魅力により「冒頭のボケだけでも見てみようかな」なんぞとつい再生ボタンを押すことがあります。
そんな、たくみ先生の扱うレベルの講義を少しでも 理解できる日がくるかどうかはわかりませんが、 少なくとも、ド文系のわたしが抱いていた「数学」に対する嫌悪感は消えていました。
わかるかわからないかではなく, コンテンツから滲み出る人柄とかそういうレベルの話もあるのです. 特に最後の『少なくとも、ド文系のわたしが抱いていた「数学」に対する嫌悪感は消えていました。』 は人によっては本当に決定的な要素です.
そのヨビノリ筋の話をもう少ししておきます. ヨビノリのたくみさんは「教育系 YouTuber」界隈ではすでに一定の知名度があるので, その知名度を活かしていろいろやれるわけです.
その中で次のような話があります.
数学検定1級に9歳で最年少合格した少年に会ってきた話 https://note.com/yobinori/n/nf00745ab61d9 どのような教科書や参考書を使って勉強したのか?という質問に対し 少年「そういうものは持っていない。全部YouTubeを見て勉強した」 すごい。数学者や科学者による講義動画がもっと必要なんだろうな
どちらかというと, これが今回の本題です. よくも悪くも YouTube のコンテンツで勉強している子供達がいるのです. ここに「子供向け」のいいコンテンツを置くことはかなり大事になってきています.
はじめに書いた中田敦彦問題はここでも出てきます. YouTube に限らず, コンテンツはいつでもどこでも玉石混淆です. そして玉石概念も人によって変わります. 私が作るような「ゴリゴリのコンテンツは嫌だ, それは石なのだ」 という人ももちろんいるわけです.
一方で私が作るようなコンテンツこそ求めるものだった, そういう人もいるわけです. 年始のメルマガで書いたように, 今後中高生向け教育に本格的に舵を切ろうと思っているので, そこに向けて布石として YouTube コンテンツを作っていこうと思っています.
ちなみにネタとしては私にとってはド定番・ド直球の物理・数学融合ネタです. もっといえば, そこにプログラミングまで絡めます.
前から言っていますし, 昨日・今日も Twitter で呟いたのですが, 数学と物理, 数学とプログラミング, 物理とプログラミングのペアでできる人はいても, 物理・数学を専門とする学生のレベルで学部 2-3 年程度の知識を持ちつつ, プログラミングもある程度できて, しかも物理や数学に関する数値計算の知見を持つ人となるとほぼ絶無です.
まず物理と数学を学部 2-3 年のレベルで両立している人がほぼいません. 大学には一定数いますが, コンテンツの形で社会に広く出てくることがありません. こういう人たちでプログラムができる人ももちろんいますが, 逆にこの手の数物系大学関係者でプログラムの話をする人がほぼいません. 実は物理よりの理論系なら「研究にプログラムも使っている」人はこれまた一定数いますが, それを何らかの形でコンテンツに練り上げてくる人がいないのです.
私はこの辺の微妙な匙加減を突こうと思っています. そのための第一弾の無料講座が先日も案内した https://phasetr.com/mrlp1/ です.
何かタイミングでもあるのか, 最近新たにいくつかアンケートで反応が来ています. いまはこれを拡充して中高数学, 特に高校数学をプログラミングの視点から ある程度網羅的に扱うコンテンツを作っています. あと 1 月くらいでできそうです. 使う言語をマニアックにしても仕方ないので, 言語は Python です.
あとで案内ページにも書くのでここにも書いておくと, 最近機械学習の隆盛があって同じようなコンセプトの本はたくさん出ています. ただ, numpy を使って純粋に数値計算ばかりする本が多く, 厳密な数式処理も必要な中高数学の復習には向かないと思っているので, sympy の解説を多く盛り込んでいます.
sympy を使って高校数学を解説している本も見つけました.
きちんと中身を見切ってはいませんが, 大まかに言えばコンセプトは同じだろうと思います. 雑に眺めただけのせいで見落としたのかもしれませんが, sympy を使っていることはあまり強調していないようでした. もったいないと思います. これ, sympy の解説もちょっとゆるい (少ない) ようですが, 私の新たなコンテンツはもう少しこってり紹介しています.
ここまでの話だと「二番煎じをやってどうする」という突っ込みが来るでしょう. ここで私の趣味が発動します. 物理ネタとして微分方程式の話もします. 上で紹介した無料講座では常微分方程式の話だけでしたが, 偏微分方程式の話も盛り込みます. それも応用上重要な流体力学からネタを取ります.
これもついでに言っておくと, 数値流体力学という巨大な分野があり, 大学でも精力的に研究されています. そして企業でも実運用されています. いまの私の仕事も強く関係しています.
入門レベルで偏微分方程式の数値計算をそこまでゴリゴリにやるのは無理ですが, 最近のプログラム+数学コンテンツは機械学習ネタばかりで, 子供の頃の私が知りたかった物理関係の話が全くありません. なのでその辺まで 1 パックにしたコンテンツを作るのが目的です.
一応, 最低限のプログラミングが読み書きできる人向けのコンテンツとして企画・制作しているので, そのままふつうの中高生向け教材に転用するのはどう考えても無理ですが, これを元にブラッシュアップさせていくつもりです.
こう書くと, 自分なりの独自性をコンテンツの内容に 組み込まないといけないと思う方がいるかもしれません. しかし先程ヨビノリ話で書いたように, 滲み出る人間性や人柄の「ファン」になる事案もあります. 全く同じ内容であっても, 「あなたが語っている」ことそれ自体に独自性がつきます. もしコンテンツを作ってみたいと思っているなら, ぜひ挑戦してみてください.
自分が詳しい分野の話をする必要さえありません. 人によっては教えてもらうことよりも, 一緒に勉強していこうと思っている人とともに歩んでいこう, そういう要素を重視している人もいます.
いいコンテンツができたと思ったら教えてください. 共有すべきコンテンツ・内容ならメルマガでも紹介します.
ではまたメールします.
次の無料講座のアンケートで, 物理出身の方から「相対性理論がやりたい」, 「相対性理論の数学をものにしたい」 みたいなコメントが来ました.
アンケートの性質上, 短文でポンと書かれていて意図が正確に掴めておらず, 私との認識のギャップもあるでしょう.
それを承知の上で, あくまで物理として一般相対性理論を 1 から勉強する (し直す) 前提でいくつか書きます. わかっているかどうかは別として, いわゆる教養の数学は使えて, 学部 2 年くらいまでの物理の本は読めることを前提にします.
結論から言うと, 物理をやりたいなら物理に集中すべきで, 相対性理論に関わる数学を勉強するのは控えるべきです. ここでいうのは多少なりとも数学科の数学水準で勉強しようとすることで, 例えば多様体論を勉強しようとか, リーマン幾何を勉強しようとか, そういう話です.
物理として勉強していく上で大事なこともあり, それも書きますが, まずは数学面の話をします.
たいていの一般相対性理論の入門書には, 必要な数学的予備知識も書いてあるはずで, そして数学に関してそれで十分なはずです. そこにある数学の解説が読めないなら, そもそも一般相対性理論を勉強する水準に逹していません. 「習うよりも慣れろ」の側面もあるので, 本を読み進めてとにかく使い倒して慣れることも考えるべきです.
どうしてもその数学解説を読んでもわからない・使えない場合, 何がハードルなのかはあなたの状況によりますが, 1 つ, というかおそらく 1 番ありうるのはテンソル解析でしょう. それ以外で詰まるのは教養レベルの数学が使えない以外に考えられません. (私はそういうレベル設定で考えています.) これも数学の本を読むより, 電磁気学あたりでベクトル解析をゴリゴリ使い倒せるようにするのがいいと思います.
一応, 数学科水準での数学の勉強が, とりあえず物理として一般相対性理論を勉強しようというとき, ほとんど役に立たないことも説明しておきます.
まず, 一般相対性理論に必要な数学は準リーマン幾何 (擬リーマン幾何) です. これが数学としてまともに書いてある本は日本語ではないように思います. 岡部洋一さんの「リーマン幾何学と相対性理論」はありますが, もちろん数学科の数学の本ではありません.
一般相対性理論の数学の解説で足りないならこれを読んでみるのも一手なのかもしれませんが, それはまた別の話です.
ちなみに洋書なら準リーマン幾何について書かれた本や, 準リーマン幾何と一般相対性理論について書かれた数学の本もあります. もちろんこれらを読むためには基本的な数学を知っていなければなりません. 特に基本的な幾何の素養 (多様体論・リーマン幾何) はありつつ, 準リーマン幾何だけはよく知らない, というタイプの人に向けて書いてあったりもするので, 凄まじいハードルがあります.
この間 Twitter でも少し書いたのですが, 多様体に必要な数学というと集合やら位相やらをイメージする人が多いようです. しかし, 実際にはそれ以上に, 微分積分と線型代数の力が問われます. 例えば, 物理で出てくる添字だけのテンソルではなく, テンソル代数という代数の理解が必要です. そこから商空間を取って微分形式の空間を作るので, 数学科の数学の水準で線型代数の基礎事項を身につける必要があります.
微分積分・微分方程式論に関してもかなり甘く見ている人が多いように思います. まず微分積分に関して, 必要なのは陰関数定理・逆写像定理です. これを使う部分こそ非数学科の人には大切であるにも関わらず, これらを使い倒せることが前提にされています.
微分方程式に関しては幾何に耐えるレベルで常微分方程式論を勉強している非数学科の人はまずいません. 必要なのは常微分方程式の解の存在と一意性に関する議論です. 指数写像のようなリーマン幾何に関わる基礎事項で, この定理が引用されます. 局所解と大域解の存在の違いが幾何として本質的なので, そこまでわかっていないと詰まります.
物理学科の人間が物理を勉強する適切なスタンスを身につけているなら, その辺はいくらでもどうとでもなるのですが, 「数学」にこだわる姿勢を見せた時点で, たぶんそのスタンスが発動しません.
一般の理工系の人と話していて, 「微分積分と線型代数はわかるんだけど」と言われることがあります. そしてそれはたいてい「ある程度計算ができる」程度の意味しかなく, 上でコメントした必要最低限の水準には全く達していません. 経験上, 全くです. 逆に言えば, 幾何を数学的に勉強する上で, そのくらい線型代数と微分積分の水準が尋常ではないほどに高いのです. 身近な若手の物理学者を見ていても, そこまでわかっている人はそういません. 理論の人であっても, です. 数学として幾何をやるにはそのくらいの要求水準が課されると思ってください.
もちろん, あくまで一般相対性理論の物理に興味がある人にとっては, 単に物理がやりたいだけなのにそこまで要求されるのは耐えがたいでしょう. 実際, 必要ありません. だから, はじめに書いたように, 一般相対性理論の入門書にある解説でどうにかしてほしい, そう書きました.
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さて, そろそろ物理の話をしましょう. 大人になってから再勉強する人がよく陥る問題があります. やたら本格的でぶ厚く難しい本を読みたがるか, 薄くてわかりやすそうに見えつつ, 必要な説明さえ省略されていてかえってわかりにくい本を読んでハマるか, です.
1 つの対策は状況と目的に応じて読む本を変えることです. 元の講座, 「応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう」 の募集ページにも書いたので参考にしてください.
一般論は上で紹介した募集ページの記述に任せて, ここではもう少し具体的に書きます. 薄めで全体像を掴みやすい本としては, ディラックの『一般相対性理論』を勧めます.
文庫本で 172 ページなので驚くほどに薄いです. 江沢先生のコメントや挿絵もあります. まずは細かいところは気にせず, わからないところがあっても深くは気にせず, この本を最低でも 2-3 回は眺めて全体像を掴みましょう.
そのくらいはやってからきっちりした本を読むようにしてください. 残念ながら本格的なタイプの本について, 私は詳しくありません. 定評のある本くらいは知っていますが, きちんと読み込んだわけでもなく, 物理の本の最近の出版動向も追い切れていません.
有名どころは次の記事にまとまっています.
やはりシュッツは有名です.
全く読めてはいないのですが, 次のような本もあります.
ふつうに物理として勉強するだけなら, 一般相対性理論の本はたくさんあるので, いろいろ眺めてみてください.
本の紹介記事にもあるように, 必ずしも一冊の本をくまなく読み切る必要はありません. 一冊 4000 円も出せば買えるので, 何冊か買ってみるので手です. 知覚に図書館があるなら, 購買申請してみるのもいいかもしれません.
私は既に感覚が麻痺してはいるものの, おそらく一般的に見て本に対して 4000 円が安いとは思いません. しかしこれで年単位で遊び倒せると思えれば, 相対的には安い買い物だろうと思います.
そうは言っても 4000 円が出せない状況にある人もいるでしょう. あなたもそうかもしれません. そして中高生読者もいるので念のため書いておくと, 物理学者が講義ノートを公開してくれていて, ネットで検索すればそれが出てきます. いろいろな意味で質は保証されていません (計算がかなり省略されていたりもする) が, 勉強はできます. 探せば YouTube で講義動画も上がっています.
英語の動画を紹介しましたが, 英語で探せば本格的な講義録も見つけやすくなることはお伝えしておきます. 200 ページ近い本のような講義録さえあります.
いろいろ探してみてください. そしていいのがあれば教えてください.
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ここまで読んでいる方がどのくらいいるのかわかりませんが, 熱心に読んでくれたあなたのために少しアナウンスします. 結論から言えば, 物理の勉強会をやろうかな, というところです.
いままで数年間, 今回のように「物理のための数学を勉強したい」 という方は多く, そのたびごとに 「数学よりも物理に集中しよう」と言ってはきたのですが, それでも数学をやりたいという方のためにずっと数学方面を整備してきました. ただ, やはりいい加減物理の話もしないといけないとは思っています.
今年から中高生向けの話も本格化させますし, そこでは理科, もっと言えば工学よりの話もしたいですし, そうなると物理の話は本格化させざるを得ません. 一般相対性理論のようなゴリゴリの理論物理の本格始動は来年からと思っているのですが, 早い段階で調整ははじめたいと思っています.
そこで, とりあえず相対性理論にしぼって, これを本格的に勉強してみたいという人がいれば, オンライン勉強会を開きます.
ただいくつかの条件があります. このオンライン勉強会では私は講義しません. いわゆるゼミ形式で, 参加者が発表します. 週に 1 度, 1 時間を考えています.
ここ 1 年くらい, 私も発表者側に回るオンライン勉強会をやっていて, そちらの様子は掴めつつあるのですが, 私が主催しつつ私が全くしゃべらないゼミ形式はやったことがなく, IT 知識や持っている周辺機器など含めて, 参加者の状況が掴めない状況で募集するのもはじめてなので, その点, かなり挑戦なのです.
スマホだと厳しいでしょうから, PC かタブレット利用が前提になるでしょう. TeX が使える人は LyX でやるのもお勧めです. 講義で書いた内容があとでそのままノートとして配布できるので.
相対性理論といっても特殊と一般がありますし, まずは特殊相対性理論という方もいるでしょう. もっと言えば, 関係する数学さえ怪しいという人もいるでしょう. そういう人であっても必ず講師サイドに回ってもらいますが, 読む本などは配慮します. 例えば次の本は特殊相対性理論に関して, 高校数学くらいからはフォローしてくれています.
少なくとも都市圏ではリアルの勉強会をしているところがあるので, リアルの勉強会を希望される方はそれを探してみてください. リアルにすると地理的な問題が出てくるので, ここではやりません.
参加希望者がいなければ今回はやりません. 逆に希望者がいれば 1 人でもやります. もしあなたにご興味があるならどうぞ.
念のため書いておくと, ゴリゴリの物理の学部生や院生が来るとは思っておらず, 基本的には趣味でのんびりやる勉強会になる想定なので, そういうつもりで参加表明して頂けると助かります.
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この間, 9 歳の男の子が YouTube で講義動画を見て勉強している, という記事を見かけました. 先日メルマガで宣言したように, 今年から中高生向け教育に本腰を入れるので, YouTube に講義動画を上げるのも大事なのだろうと思っていて, その辺もいろいろ検討中ではあります.
ではまたメールします.
明けましておめでとうございます. 今年もよろしくおねがいします.
さて, 早速
本当は去年のうちに宣言しようと思っていたのですが, 去年の年末は体調不良でヘロヘロだったので, このタイミングになりました.
去年はどんなことをしようかとずっと迷走していて, 後半も後半になってようやく次の方向性が見えてきました. そして少しずつその方向性に向けて進めていて, そのための資料が上の 2 つの PDF です.
去年, 広い意味での知人が地元の区議に当選しました. そこでこの人の伝手を辿って, 地元の中高生を相手にした教育サービスが展開できないかと思い, そのために作った提案書が最初の PDF です.
2 つ目の PDF は, 区議の方から区の担当者に話をつないでもらえたので, その人と話すときの参考資料として作りました. 本当は 12/24 にその初回面談をする予定だったのですが, 体調不良で流れてしまい, いま新たなスケジュールを調整中です.
詳しい話は資料を見てもらうことにして, 要は長いことかかったものの, ようやく新たな方向性に踏み出しました. もともと数学・物理系の情報発信をはじめたときにも 中高生向けの活動をやりたいと思っていたので, その意味では 10 年越しです. まだ腰を上げただけでこれからどうなるかもわかりませんが, 去年, 1 つでも具体的な新しい動きをはじめただけでも大きなことです.
何故この資料を公開したかというと, あなたにも同じようなことをやってほしいからです. 時々, 数学・物理以外でも, 私のようにコンテンツを作ったり情報発信してみたいという方がいます.
これまであまり情報発信の仕方それ自体について, ほとんど話をしたことがありませんでした. この手の話ももう少し出した方がいいのだろうとも思い, 今回改めて具体的な提案書を出してみました. 早稲田・東大出身を前提にした話など, そのまま使えない部分もあるでしょうが, 話の骨子は使えるはずです. ぜひ参考にしてください.
そして実はこの提案には裏テーマがあります. それは実際に中高生にお金を稼ぐこと, 将来の生活まで意識してもらうこと, できればその実践までやってもらうことです. プログラムを教育の 1 つの軸に入れている理由でもあります.
区向けの提案としてそのまま盛り込むと問題が起きそうなので, 明確には書いていません. しかし私の地元に関していえば, 昔の私のように家が貧乏で学費を稼ぐ必要がある子供もいるでしょうし, そういう点も含めて「食っていく」意識を持ってほしいのです.
これに関して, ちょうど昨日, 次のような中学生の話を聞きました.
月収数十万を稼いでいる中学生で, その稼ぐための勘所を伝えるコンテンツを販売しています. いまの時代, もはやこういう中高生は珍しくありません. こういう「強い」中高生を育てたいのです. もっと言えば私自身こういう強い中高生になりたかったですし, 「昔自分がほしかったモノを作る」というのは私がコンテンツを作り, 情報発信する強いモチベーションの源泉なので, ここまで見据えた活動をしたいと思っています.
ここまで書いて思い出したのですが, 実は去年, コンテンツ作成や情報発信に関するコンサルもはじめて, クライアントが 1 人できたのでした. 来年, この手の活動も本格化させるべく今からいろいろ考えています.
このコンサルのためにも自分自身でいろいろ実験して, 新たなコンテンツを作って展開していきます. まずは中高大の数学を連結したプログラミング系のコンテンツを作るのが第 1 目標です. これも去年から企画をはじめて制作に取りかかっています.
今年はこんな感じで, 本格的に中高生向け数学・物理, 中高大連携, 広い意味での生涯学習・職業教育みたいなところをやっていこうと思っています.
最後, 流れを無視した話になってしまいますが, 物理や物理に関する数学について, 質問・要望を頂いたので念のため案内しておきます.
いまある無料の講座は次のページにまとまっています.
一応, 公開できる状態のモノもあるのですが, まだここのページに追加できていません. その辺は今年どんどん追加していくので, しばらくお待ちください.
それぞれの講座で設定したレベルや内容については, 各登録ページを見てもらえばわかります. 登録ページだけ見ても勉強になるように書いているので, 興味があるコンテンツはぜひ登録ページを眺めてみてください.
また, 有料にはなってしまいますが, 解析学, 特に学部の物理で出てくる解析学を 数学的に厳密に展開した PDF コンテンツを販売しています.
最近, 物理や工学でも幾何の重要性が高まっています. 解析学に集中した内容ではありますが, 幾何にも直接活用できる内容です. 幾何系の講座を作っていて, やはり何だかんだでちょっと踏み込んだことをしようと思うと この解析学講座の内容はガチガチに必要になるので, 自分の知識を整理して, 自分が苦労せずわかるように丁寧に証明もつけておいてよかったと思っています.
書くべきことはもっといろいろあるのですが, 長くなってきたので今回はこの辺で終わります. 去年は迷走し続けていたものの, 後半でようやく方向性が見えてきたので, 今年はそれに向けて突っ走ろうと思います.
ではまたメールします.
今年という単位で見るともう後半も後半ですが, 学生からすると折り返しのタイミングで, 後期がはじまるタイミングです.
改めて数学の勉強をやっていきたいので, 勉強の仕方や参考文献を教えてくださいという相談がいくつか来ました. メルマガを出していない間, そのあたりの情報も整理したのでまとめて案内します.
次の URL でいろいろなレベルに応じた 参考文献や勉強法を紹介しています. 100 ページ近いボリュームがあるので, 必要なところを読んでみてください.
これはここまでいろいろな相談を受けたときの回答や, 各通信講座で案内している参考文献や勉強法をまとめています. 小説やドラマなどライトに数学を楽しむ, 中高数学を深める, ゴリゴリに大学数学を勉強する, いろいろな視点からの案内をまとめています.
それぞれの方向性に応じて具体的な文献も紹介していますし, 私が作ってきたコンテンツ全体で紹介している 200 以上の参考文献一覧もついています. まだまだ整備中ですが, 本格派コンテンツの現代数学探険隊の内容も含めた索引も入っています. 専門用語だけ眺めていても楽しいと思うので, こういう要素も入れてあります. 思い思いの楽しみ方をしてください.
さて, ここで 1 つ上の文献一覧の問題を指摘しておく必要があります. 私が何か新しいことを勉強するときにいつも思うことでもあります. それは文献をたくさん挙げられると, どれで勉強すればいいか,どれを買えばいいかで悩むことです.
例えば最近, 中高生向けの英語コンテンツを作ろうと思っていて, 改めて既存の英語コンテンツを眺めてみたり, 英語だけではなくフランス語などのコンテンツも眺めてみたりしました. (ちなみにいま考えている英語のコンテンツは 「相対性理論で学ぶ英語」というコンセプトです.)
どんな本がいいか, ネットで検索したりするわけです. たいてい本の 6 選だとか 26 選, みたいなのが引っかかります. 自分で勧めるときのことを考えても, 人によって合う合わないがあるから, いろいろ挙げておくので本屋さんで具体的に見てみてね, としたいわけです.
英語の学習参考書くらいならまだしも, 理工系の専門書がたくさん置いてある本屋などそうはありません. そうした品揃えがある図書館もそうはありません. 中身を選ぶということ自体に高いハードルがあるのです.
あと理工系の本のお勧めという話でいうと, 例えば理工系の教養数学として線型代数, 微分積分, ベクトル解析, 関数論, フーリエ解析, 微分方程式などがあります. 必要知識が多い分野の本は, 仮定される予備知識も多くなりますし, 本ごとに仮定される知識も変わります.
実際, 「物理のためのフーリエ変換」のような本だと, 具体例に波動方程式や電磁気やら出てきて, 事前にある程度の物理を知らないと手も足も出ないようなこともあります. 岩波数学講座のシリーズものであっても, 正式な読む順番があるわけではなく, 本の間に知識や必要な数学的体力のギャップがあります.
こうしたギャップには私も苦しみました. そこでそれをカバーするため, 1 冊でまとまった内容をカバーするコンテンツが必要と思い, 作ったのが次の現代数学探険隊です.
これはもちろん有料ですが, もしあなたがこの内容に興味があるなら, ぜひ購入してください. 詳しいことは上の案内ページに書いてあります.
ちなみに, 上のページ自体, 数学や物理の勉強に役立つ「コンテンツ」になっているので, ぜひ読んでみることをお勧めします.
少なくとも応用上大事な解析学まわりに関して, ゴリゴリのコンテンツはこれでいいと思うので, 今後は中高数学や, 物理などで必要な範囲の数学を物理に必要な範囲のレベルで議論するといった コンテンツを作っていきます. それも楽しみにしてください.
ではまたメールします.
メルマガもだいぶご無沙汰になってしまいました. さぼっていたわけではなくて, 知人と実用向きの統計学の勉強会をしていたり, いろいろなコンテンツの企画を考えてはそれ用の勉強や資料を探したり, 既存のコンテンツを調査したりといろいろやっています.
数学的に深いところにまで突っ込んでいく本格的な講座は 1 つ作ったので, 今度は中高数学, そしてそれと大学教養レベルの数学をつなぐ コンテンツ作りにフォーカスして考えています.
その 1 つとして「応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう」 という無料講座は既に作って前から公開しているので, もしあなたが興味あるなら, ぜひ受講してみてください.
いま, とりあえずこの続編的な講座を作っています. まだ作りはじめなのですが, サンプルを公開しておきます.
最近, 統計学からの数学需要は増えているようですし, プログラムを書いて計算させることの重要性も上がっているので, その点にも配慮して高校数学と大学教養数学をブリッジする方向の企画です.
まだサンプルではありますが, 悪名高い ε-δ を数値的に確認したり, 具体的な数値解析での評価戦略との関係とそのご利益, みたいな部分も書いています.
こんな感じのことも書いてほしい, みたいなことがあればぜひコメントください. 反映させたコンテンツを作っていきます.
それ以外に, 特に学生さんだと新学期がはじまる頃で, いくつか質問も来ています. それに対するコメントも返す予定です.
ではまたメールします.
久し振りのメルマガです.
最近, いろいろなところで幾何まわりを勉強している人をよく見かけます. 情報幾何だったり, ベクトル解析の現代化という文脈だったりいろいろあるようです.
どこまで固い動きなのかはわかりませんが, 最近は機械工学でも積極的に力学系の議論や, そのための幾何教育を取り入れていこうとしているようです.
近年発達した数学理論 (微分幾何、多様体理論をはじめとした幾何学的解析手法)を 積極的に取り入れて、 解析制御をおこなうことが、その手段です。
こんなのもあります.
【研究室に入ってから学ぶこと】 研究テーマ次第ではありますが,非線形制御理論, 微分幾何学(多様体論),力学系理論,ロボティクスなどは研究室の共通言語になりますので, これらを学びながら研究を進めていきます.
何にせよ, 純数学ではないところでの幾何の需要が増えているようです.
いままでいろいろな人の様子を見たり, 話を聞く中で多様体論の勉強ではまるところがあるようです. それを適当にツイートしたのを PDF にまとめました.
数学関係者だと自明すぎてあまり意識しないところですが, 物理含めた応用系の人達にとっては盲点になっているところなので, その辺の人はぜひ眺めておいてください.
現代数学探険隊も一段落したので, この辺もコンテンツを整備していこうと思っていますが, 転職してから仕事が忙しいというか楽しすぎて, そちらにかかりきりでコンテンツの制作方面であまり動けていません. そろそろはじめたい.
幾何に関連してもう 1 つ. 「量詞と古典の物理と幾何」という研究会が 2019/08/02 (金) 10:00 ~ 2019/08/03 (土) 17:00 で開かれます.
平日込みなので微妙ですが, 私は参加します. もしあなたがご興味あるなら, ぜひ参加してみてください.
研究会なので誰でも簡単に理解できるような内容を期待されると困りますが, 最先端の話に触れてみたいと思っているなら, いい機会だろうと思います.
今回はこんなところで. またメールします.
メルマガを書くのもご無沙汰になってしまいました.
書いたかどうか忘れたのですが, 実は去年 10 月に転職して, いまは数値解析系のプログラマーをやっています. それに合わせて物理をシコシコと再勉強していて, そろそろアウトプットをはじめようと思っています.
勉強会もいろいろ企画してやってみて, うまくいかないものもあり, 次への改善点を検討しているところです.
勉強会は zoom を使ってオンラインセミナー形式でやっていて, それを動画にしたりしています. いくつか試験的に YouTube に上げたりもしています.
明日から新年度なので, 1 つギアを上げてコンテンツメイキングを 本格的に再開します.
年始の目標からだいぶ遠ざかってしまったので, そろそろ気合を入れ直していきます.
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あなたも年始に決めた目標があったかもしれません. そしてそれがうまく進んでいないかもしれません.
8 割以上の人が 2 月には目標達成を挫折する, というデータもあるとか.
明日から心機一転, あなたも数学や物理の勉強を再開しようと思っているかもしれません. ちょっと奮発して本を買ってみて, モチベーションを上げようと思っていたり, 今まで勉強したことがない分野に挑戦してみようとしているかもしれません.
そこで今までいろいろな講座などで紹介してきた文献紹介を 1 つにまとめた PDF をシェアします.
https://phasetr.com/members/myfiles/file/2019-03-31_reference.pdf
ゴリゴリの数学や物理を勉強してみたい,
こんな要望にも応えられるような文献紹介コンテンツになっています. ここ最近の文献/コンテンツの情報を追加しきれていないのですが, 十分参考になるでしょう. 数値計算/プログラミング系の話も多少あるので, そういうところからも攻めてみてください.
リスト内のコンテンツは量が多すぎて選びきれない, あなたはこんなふうに思っているかもしれません. もしあなたが数学をきっちりフォローしたコンテンツがほしいと思っているなら, 現代数学探険隊の PDF コンテンツもお勧めてしておきます.
ここまでの様子を見る限り, 通信講座版よりも, PDF コンテンツの方がかえって要望が多そうな気がしたので, PDF 版だけリンクをつけておきます.
何度も書いているように, 案内ページ自体も 1 つのコンテンツとして読む価値があるように作っているので, 特にあなたがまだこのページを読んだことがないなら, ぜひ読み込んでおいてください.
ゴリゴリの現代数学にとどまらない, 勉強の仕方一般についてもコメントしています.
ではまたメールします.
メルマガで書いたかどうか忘れたのですが, 去年の年末, コミケの合同誌に寄稿しました. booth で買えるので, 興味があればどうぞ.
コミケの会場では 150 部くらい売れたそうです.
で, これで集合論のネタを書きました. それもあって, 少し集合論を勉強し直して, 次のプレプリントを眺めました.
圏論的な集合論に関する話です. 圏論的というのは圏論を本質的に使うという意味ではありません. いわば集合一元論ではなく, 集合と写像の二元論として集合論を定式化しようという話です.
知っている人は知っていると思いますが, 有名な ZFC 公理系による集合論では全ての数学的対象は集合です. もちろん関数も集合ですし, 円周率のような数ですら集合です.
これ自体はそういうものか, と思える余地はあります. しかし ZFC の集合論の議論をそのまま素直に捉えると, 「集合としての円周率はどんな要素を持っているか?」 という言明が意味を持ってしまいます.
純粋な公理的集合論の文脈でこそ意味はあります. しかし数学の日常会話でこう言われても, 「この人, 数学わかっているのだろうか」と思ってしまうような質問です.
この辺の「気持ち悪さ」を解消しようというのが 上のプレプリントの内容だと思ってください. 8 ページしかないので, 気楽に読めると思います.
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そしてタイトルの話. 大分前, 本格的に筋トレをはじめた, という話をしたのですが, それはずっと続けています. 最近, 私の観測範囲で筋トレが流行っているのでそれも受けつつ, いろいろあって柔道もやっていてそのため, というのもあります.
しばらくやっていて, 面白い/続けられると思った理由が おそらく他の人と違うので, それについて書いてみようと.
一言で言えば, 筋トレを実験科学だと思っているのです. 基本的に私は理論屋さんよりで, 実験に関してはずるずるですが, 実験としての筋トレは楽しいなと.
一言で言えば, 適切なトレーニングをした上で, 適切な栄養を取って適切に休めば, ちゃんと筋肉がつくわけです. 鬼のような再現性があるので, まさに科学.
もちろん細かくいうといろいろあって, 筋力をつけたいのか, 筋肉をつけたいのか (筋肥大させたいのか), 筋持久力をつけたいのかでやるべきことが変わります. 私はそれぞれ興味があるというか必要なので, いろいろ考えながらやっています.
個々のトレーニングについて YouTube で動画を見てみたり, それだけだと全体像が掴めないから本を買ってみたり, YouTube で気に入った人が販売しているコンテンツを買ってみたりもしています. 本はともかく, コンテンツはなかなかいい値段がするので どうしようかと悩んだものの, 投資と思って買ってみたりしました.
眺めていて面白かったのは筋トレに関する理論.
超回復うんぬんというのを聞いたことがあって, 古いコンテンツだと確かに超回復という言葉が出てきます. しかし最近 (どのくらい最近なのかは不明) は ストレス応答という話になっているそうです.
この理屈が正しいかどうかという話がしたいわけではありません. そもそも専門外もはなはだしいのでよくわかりません.
私が面白いと思ったのは, そういう「理屈」はともかく, きちんとトレーニングしてきちんと栄養を摂って, きちんと休んでいれば, きちんと筋トレの効果が出ることです.
いわば理屈は後付けであって, 圧倒的な再現性のある実験事実は変わらないことです. ふだんゴリゴリの理論をやっているので, こういう実験事実が何より優先される世界を, 自分で実験して確かめるというのは初体験です.
学生時代の実験は理論としても既に確立されたことを 単に確かめるという趣が強いです. そんな中, 実験事実は圧倒的に正しいとして, 理論がまだコロコロと変わっているというのが面白い.
物理はかなり安定していて, 学部で勉強する基礎理論が崩れるというのは考えづらく, 数学も理論が崩れることはそう考えられません.
スポーツや医療関係はしょっちゅう基礎理論が書き換わる (?) という話は聞いていて, 何となくは知っていたものの, 筋トレを通じてその世界に少し足を踏み入れたのが新鮮で面白かったのです.
人によっては難しい要素もあるとは思いますが, 科学を実感できるので, 実験科学として筋トレを捉え, 実践してみるのは, 実感として面白かったので, あなたにもぜひお勧めしたいです.
反応があれば, いろいろ眺めていて面白かった筋トレ系のコンテンツも紹介します. 数学や物理と同じく, 無料の範囲でもいろいろできるしわかるのですが, ある程度体系的にまとまっていて全体像をきちんと掴めるのは 有料のコンテンツになってしまいますね. 時間をお金を買う感覚です.
無料でどこまでがんばれるか試してみたのですが, やはりお金を出してしまった方が早い部分はありました. その意味でも参考になった経験です.
今回はこのくらいで. 書きたいと思うことはいろいろあるのですが, 日々知見を貯めていて更新されていくので, なかなか綺麗にまとまっていきません.
何にせよ, またメールします.
現代数学観光ツアーのアンケートを見ていて, あまりきちんと紹介していない本を 紹介するタイミングだと思ったので, メール書きます. 半年くらいシコシコやっていた, 幾何に関する話の簡単なまとめでもあります.
最初に前提を書いておきます. 既に定年を迎えた方で, 『昔の夢「数学をしたい」をもう一度』ということでした. いまの予備知識・数学的能力については, 記述がなくてよくわからない状況です. これ, アンケートにきちんと 項目をつけておかなかったのが敗因でしょう.
今後アンケートフォームは一本化する予定なので, いったんふだんのメルマガ用の フォームには項目追加しておきました.
よく的確なアンケートを作るのはプロの仕事, というのを聞きますが, あれは本当だ, というのを アンケート取りはじめて痛感しています.
それはさておき, 本のお勧めです. まず「測度, トポロジー, 関数論への再挑戦ガイド」 というコメントがありました. 統一感がなく, なぜその 3 つなのか, というのもわからないのでなかなか困ります.
この論文を読んでみたい, とかもっと具体的な「こんな問題にアタックしてみたい」みたいなのがないので.
それはさておき.
質問された方がどのくらい数学の基礎学力を お持ちかよくわからないので, まずは一番予備知識と能力が少なくても 切り込んでいけるトポロジーに関して本を紹介します.
とりあえずトポロジーを基礎から概観する目的では, シンガー・ソープの「トポロジーと幾何学入門」 をお勧めしておきましょう.
東北大助教の黒木さんの推薦コメントの ツイート URL も紹介しておきます.
この本のいいところは集合と位相空間が 異様にすっきりまとまっていて, 代数トポロジーの基礎である ホモトピーとホモロジーも書いてあり, 多様体と微分幾何入門まで盛り込んである本です.
黒木さんのコメントにもあるように, 簡単に読める本というわけではありませんが, 200 ページそこそこにいろいろ書いてあるので, ある程度大きな姿を見通すのにとても便利です.
測度論が少し特異で, その他 2 つと どういう関係で書いているのかが掴みかねています. 食い合わせがあまりよくないと言ってもいいでしょう. ルベーグ積分論とどういう区別をつけているのか, という話もあります.
関数論も幾何の色彩が強くなっているので, 他 2 つを幾何と思うなら, 幾何的測度論を眺めてみると楽しいのかもしれません. ただ, 幾何的測度論の本は測度論をある程度知っている前提で 書いてある方が多いでしょうから, 入門や再挑戦にはあまり適切な方向性ではありません.
ルベーグ積分と関数論の絡みであとで少し書くことにして, 測度論についてはルベーグ積分論または確率論で 勉強してほしい, ということだけ書いておきましょう.
関数論の入門としては, 以前, 早稲田・東工大の学生に対してセミナーをしたときの 原稿を紹介しておきます.
A4 13 ページくらいで 1 変数関数論の大枠を紹介しています. 現代数学観光ツアーとスタンスが違うので, 証明が割ときちんと書いてあります.
その当時の活動のモチベーションなどいろいろな理由から, 英語の原稿だけしかありません. 和訳は作る時間が取れていないままです. アンケートを見る限り, 英語を苦にしなさそうな感じがあったので, 紹介することにしました.
最近の関数論は幾何との関連が強くなっています. そうでなくてもリーマン面は 数学として (複素) 多様体が出てきた地でもあり, ホモトピーやコホモロジーとの関係も深いので, トポロジーの実践の地として真っ先に目指すべき場所です. 以前紹介した Forster の本を改めて紹介しておきます.
リーマン面に限らずトポロジーを含めても, 幾何で調和積分論は基礎教養です. これは楕円型の偏微分方程式論との関わりが深く, 必然的にルベーグ積分論との結びつきが強いので, その線から測度論, ひいてはルベーグ積分論の 動機づけをするといいのではないかと思います.
もう 1 つ, ヘルマンダー流の多変数関数論では, 関数解析を駆使したディーバー方程式の理論があります.
これも全くもって簡単な本ではありません. 私にとっても, 多少の必要性があって学部 4 年でアタックしたとき, 非常にきつかった本でさえあります. 現代数学観光ツアーのメインである 関数解析と関数論の関係として 1 つ重要な要素があるので, 紹介しておきました.
最後, 簡単にまとめておきます. 急ぐことでもないと思うので, まずはシンガー・ソープをじっくり読むのがいいのではないでしょうか.
現状の現代数学観光ツアーは 一般の位相空間論をほとんど議論していないため, 測度論はともかく, トポロジーや関数論を勉強するには向いていません.
来年は現代数学観光ツアーの再編を予定しているので, そこで位相空間論のイントロもちゃんとやろうかとも思っています. 私が勉強した講義・本と, 解析的な志向性の強さから, 現代数学探険隊では実数論からの導入という流れにしていますが, これは幾何の人からすると必ずしもとっつきやすいわけではない, という話も聞いています.
どうやって導入するか悩むよりも, いろいろな導入を作ってしまう方が楽そうなので, まずは私の趣味で作り直して, あとはいろいろな導入の流れを考えていこうと思っています.
というわけで改めてシンガー・ソープへの Amazon リンクを貼っておきます.
日本語だと中古しかなく, しかも高いので, 英語の安い中古を買うのも一手です.
今回はとりあえずこんなところで. またメールします.
先日宣言した通り, いまは量子力学の観測理論を勉強しています. いつも通信講座などでも書いているように, まずは大雑把な全体把握のために 本を流し読みしていて半分を過ぎたくらいです.
思った以上に, というか, ほぼ完全に正作用素値測度の話でした. まだ観測理論の議論を正作用素値測度の 議論に帰着させる理由が見えていません.
最後の章で正作用素値測度を議論する 理由が議論されるようです. 本来は先に読んでしまうべきでしょう. 急ぐわけでもないので, 何となく本の順番通りに読もうと思い, 初読の順番としてとってあります.
実は 11 月からいろいろな目的があって 多言語学習塾というのに入り, そちらの勉強も進めています. かなりてんてこまいです.
平日は毎日 1 時間オンライン講義があります. やってもやってもいろいろなことを忘れるのですが, 毎回の授業でくどく復習してくれるので, 非常に助かっています.
特に雑に読んでいる関係上, 量子力学の観測理論の勉強をしていても, 細かな定義をすぐに忘れます.
こういうのを思うと, コンテンツまたは講義で細かく復習を入れていくのは 大事だなと改めて思います. こういう実感を掴むためにも, 純粋な学習サイドに回る機会を作るのも大事なことがわかりました.
いま中高数学のオンライン勉強会でも, いったん私の講義として概要を話しているところですが, そちらも丁寧に復習しないといけないと思っています.
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ただでさえ忙しいのにさらに忙しくなってしまいますが, 来年の種蒔きがしたいので, 簡単なアンケートをします. 最近久し振りに多少なりとも物理らしいことを勉強しているので, その辺の絡みもあります.
タイトルに書いたように, 来年は物理の勉強会をしようかと思っています. これまで何年も数学の話ばかりしていたので, そろそろ物理をやろうと. ある程度数学・物理ができる人相手を想定していて, さらに東京近郊でのリアルの勉強会を考えています.
メルマガ読者の中には 恐ろしく広範囲の趣味・志向を持つ人がいるので ここでの「ある程度」はレベル設定が難しいのですが, どんなに低くても高校数学はクリアしているくらいを考えています. そうしないと大学レベルの物理ができないからです.
もしあなたが参加希望されるなら, 何を勉強してみたいかなどを教えてください. いつもの Google のアンケートだと誰だかわからないので, メールに返信する形で回答お願いします. リアルの勉強会のために会議室を借りる必要があるので,
大事な注意です. こちらは毎回会費として, 貸し会議室の利用料も含めて事前に一人二万円ほど頂く予定です. ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちなみにこちらは私が一方的に講義するスタイルではなく, 参加者の皆さんが何かの本を輪読していくスタイルを考えています. 理由はこちらの方が絶対に定着するからです.
最初は 5 人くらいで, 様子を見て隔週から月一くらいでできたらいいな, と思っています. Facebook のグループあたりで 参加者用の交流の場というか, 日々の質疑応答の場も準備する予定です.
集まる人にもよるのでまだ何とも言えませんが, 次の本あたりを使って量子力学か相対論の入門的なところを かちっとやろうかと思っています.
集まった人の要望にもよるため, あくまで本や内容は未定で, 上に挙げたのはいまの想定です. 自分でゴリゴリできる人よりも, 勉強の助けがほしい人が来るだろうという見込で, そうなるとこのあたりだろうか, という感じで選びました. 相対論の方は数学の解説も詳しいので.
あとは相対論と量子力学をやってみたいという人も多いので, そこを重視したというのもあります.
念のため. どうしても今すぐ高校レベルの物理をやってみたい, そして教えてほしい, という方は 大学受験の予備校利用を検討してみてください. 高校生に混じって講義に出るのが恥ずかしかったり, 身近にリアルの塾などがなくても, 最近はサテライトの映像授業もあります. もちろん月額 980 円で授業取り放題, というサービスなども出てきています.
今回の物理はリアルでみっちりやる想定ですし, いまの大人向け学び直し市場の相場感も見ながら 費用感を考えています. 安くしすぎると本業でやっている人達の首を締めることになり, それは絶対にやりたくないからです.
貸し会議室の費用などもあり, 有料にはなってしまうのですが, もし興味があればぜひご連絡ください. 現状の技術では, やはりオフラインでないと できないこともたくさんあるので.
ではまたメールします.
一時期, 量子力学で有名なハイゼンベルグの不等式が 破れているという話題がありました. その破れに関する小澤の不等式で有名な小澤正直さんの これまでの論考がまとまった本として, 『量子と情報』という本が出ました.
これ読んだら面白かったので紹介しておきます.
もともと青土社の『現代思想』という雑誌への寄稿なので, 数学的な記述はほぼありません. 話題が話題なので, 物理の言葉自体は乱舞していますし, 最低限の量子力学の知見がないとさすがに 内容をきちんと理解することは無理ではあります. それでも, 雰囲気は掴めるはずです.
もしあなたが量子力学の基礎理論に興味があるなら, ぜひ買ってみてください. お勧めです.
これで終わっても何なので, 多少は感想を書いておきましょう.
以前, 小澤の不等式が話題になったとき, それ程興味なくてあまりきちんと追いかけておらず, これでようやく状況が何となくわかりました. もともとハイゼンベルグは測定誤差の話をしていたのに, いつの間にかゆらぎの話に変わっていて, そのギャップを正確に追いかけることが話のキモでした.
この辺, あまりきちんと勉強していなくて, いわゆる射影仮説がいまや否定されていて, それも小澤の不等式が成り立つ理由の 1 つのようです. 射影仮説が否定されているのを知らなくて, さすがに驚きました.
私は観測理論について何もわかっていないことがわかったので, 大きな収穫です.
小澤正直さんは超準解析も使ったりしているようで, その辺は私の制御の及ぶところではないにせよ, フォン・ノイマン以来の作用素論/作用素環論による 量子論の数学的定式化を比較的に素直に継承しているはずで, 私は数学的バックグラウンドはかなり近い方です. そういう事情も手伝ってかなり興味が湧いてきました.
知識のブラッシュアップも含めて, いままで量子情報関係の話を勉強してみようと思いつつ, あまり手が出ていなかったのですが, この本を読んで, 私は量子情報というよりも 観測の理論あたりの基礎理論にこそ興味があることに気付けたのも収穫です.
何冊か文献を教えてもらったので, 何となく新しめの方がいいかと思い, 奮発して次の本を買いました.
約 20,000 円です. 1 冊でこの値段とか信じられないくらい高いですが, 洋書の専門書だとだいたいこのくらいですね. かなりつらい.
せっかく買ったのだし頑張って勉強します. 幾何系の勉強やらコンテンツ制作などはいったんストップして, しばらくこれの勉強に集中しようと思っています.
小澤正直さんの本を読んだ感想ももう少し書きます.
最後のところで代数的場の量子論関係の話も出てきました. このあたりも小嶋泉先生の話で前から興味あったところなので, かなり面白かったです. これも勉強してみたい.
そこの記述で Halvorson という人が出てきます. 修士での専門を決めるべくいろいろな本や文献を流し読みしていた頃, この人の教科書 (? レビュー?) を読んだことがあります. ずっと数理物理の人だと思っていたのですが, 科学哲学の人だというのをはじめて知りました.
これの所属を見ると, 確かに Department of Philosophy, Princeton University とあります.
これ見るとけっこう若い. しかも本来, (数学としては) 圏と数理論理の人っぽい.
Curriculum Vitae 見ると, 基本的にはガチガチの哲学畑の人のようです.
この人, 何をどう考えても私より 数学も物理もできますね. 国内外問わず, 数学・物理系の数理哲学・科学哲学系の人は それぞれ数学なり物理なりかなり出来る人がいるのは知っていますが, そのタイプの人です.
こんな形で学部 4 年の頃に知った名前, Halvorson と出会うことになるとは思いませんでした. 純粋に数学としても面白いところだと思っているので, 改めて勉強意欲が湧いてきます.
改めて紹介し直しておきますが, 私が作った通信講座またはその PDF 版は, 小澤正直さんの仕事を追う上での数学的基礎はあらかたカバーしています. 興味あればぜひどうぞ.
先程紹介したこれから読もうとしている本でも, 簡単なところは復習があるとはいえ, いま軽く眺めた限りでは私の講座で扱っているレベルの内容は 事実を紹介しているだけで証明はないようです.
私のコンテンツでなく, 何を使っても 勉強できる内容ではありますが, 数学の本だと物理的なところに関するコメントはまずありません. 多少なりとも物理に配慮された新井先生の教科書シリーズにしても, どこまで読むか・揃えるか考える部分はあります.
ここであえて『量子と情報』に関わる内容に触れている部分を 全ておさえようと思うと, 量子力学の数学的構造の I, II, 量子現象の数理, 量子統計力学の数理あたりが必要です. これでだいたい 25,000 円くらいします.
上で紹介した観測理論の本も約 20,000 円ですし, 専門書を揃えるとやはりこのくらいかかってしまいます. いまやある程度ネットで拾える コンテンツでも勉強自体はできます.
今度は勉強を続けるための環境整備, 具体的にはわからないことがあったときに 質問できる人々がいるかどうか問題もあります. このあたりも改善していきたいです.
ちなみに. 上で紹介した Halvorson による arXiv の文献で, 形式的には AQFT が勉強できます. ただ代数的場の量子論という分野自体, 私は修士の頃に数学力が足りずにアタックできず, まずは興味がありつつ出来るところからはじめようと思い, 新井朝雄先生方面の 構成的場の量子論に照準を合わせたという経緯があります. 半端ではないほど難しいので注意してください.
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環境と言って思い出したのですが, 先日も案内した中高数学のオンライン勉強会, 5 人くらい集まって, 来週あたりからはじめる予定です.
主婦の方や高校生も参加しています. その辺の事情がいろいろあって, いったん連絡手段を LINE にしています. 興味ある方は連絡先を教えるので, 個別に連絡をください.
ではまたメールします.
前のメールから一月空いてしまいました. 2 年間来る日も来る日も作り続けていた通信講座を 一通り作り終わり, 次に何をしたものかと考えつつ, この一月は幾何を雑に勉強していました.
その中で小さめの動きを 1 つ, そして新たなトライアルを 1 つやることになったので, その報告とお誘いです.
まず, 数学系 VTuber の人達と, コミケで合同誌を出すことになりました. 他にもいるのかもしれませんが, 次の 2 人が主催です.
数学ネタなら何でもいいらしいので, 最近いろいろ勉強もしている物理と幾何, そしてプログラミングみたいなところで書く予定です. 12/10 が締切なのであまり余裕がなく, 直近はこれにかかりきりになるでしょう.
で, もう 1 つ. これはメールタイトルの通りです. 中高数学に関して改めてちゃんとモノを整備しようということで.
何を作ったらいいのかわけがわからない, というのもあるので, もう実際に人集めてオンラインセミナーしつつ, 具体的に要望なり何なりを吸い上げていこうと思います. 一人, 具体的にやろうという人を見つけたので, こちらも開催決定です.
基本的には中高数学を復習したい大人向けを想定しています. 基本的には大人の復習向けにやりますが, 中高生ももちろんウェルカムです. ただし, メインの対象の大人はそれをモチベーションにできないので, 学校の試験対策みたいなことはやりません.
あと, 実際に運営している通信講座の 案内ページでいろいろ書いている方針, つまり, 大枠を掴むことを重視して, 細かい理解はあとから少しずつつけていくスタイルを 考えているので, 今すぐ, やっているところを 1 つ 1 つ丁寧に理解したい, みたいなところはあえて目指しません.
オンラインセミナーのノリに関しては, だいたい次のページ, 特に前者のような感じです.
いまの想定では, 中学数学を雑に眺めたあとに 関数と微分積分を中心にして雑に高校数学を眺め, そのあと少しずつ興味関心の高いところ, そして高校数学の大事なところを深掘りしていく形です.
もしあなたが興味あるなら, このメールに返信する形で参加表明してください. 無記名のアンケートに回答されてもこちらから個別に連絡取れないので, ご注意を.
最近流行っているので, zoom を使ってオンラインセミナーやろうと思っています.
少なくとも iPhone にはアプリがあるので, それでも OK です. もちろんパソコンでも動きます.
今回はこのくらいで. ではまたメールします.
新たな動きに関するお知らせです. 年のはじめだか切り替わりのタイミングで, 今年は中高数学系も強化したいと言いつつ, なかなか対応できていませんでした.
理由の 1 つが何をしたらいいか, どんなコンテンツを作ればいいかわからなかったことがあります. そこで, もう実際に会って聞こうと思います.
2 つ手段を考えました.
今回, 勉強しようと思った経緯はともかく, 結果としてとにかくいまは中高数学をやってみたい, という方向けに話をする機会を作ります.
できればリアルで会う機会を作りたいので, リアルの勉強会・相談会またはセミナーも何度か開きたいと思っています. 場所は私が行きやすいところということで, 東京近郊 (山手沿線) です.
勉強会は適当な会議室をおさえるので, 事前に会場代の実費を頂こうと思っています. 開催時間と勉強会の内容によっては, 終わったあとの懇親会 (これも実費) も考えています.
Skype 相談に関しては, 実際, スウェーデンにお住まいの方さえいらっしゃいます. そこまですごくなくてもさすがに遠方で来られない, という方はいらっしゃると思うので.
念のため事前に書いておくと, 私は吃音があって話すのに難儀する部分があり, こちらの話が聞き取りづらいこともあると思います. それはご了承ください.
実際にどんなことを勉強しているのか, 勉強したいのか, 何で困っているのか, 座談会的に聞いてみたいですし, 必要なら軽く私が話してもいいかな, と思っています.
私がふだん散々情報を出していますし, あなたの話が聞いてみたいので, あまり私がゴリゴリと話すことは考えていません. むしろそこで聞いたことを元に, 新しく何か作ったり, 全体に情報を出すことを目的にします.
何というか, 参加資格は中高数学をやってみたい方です. それ以外に年齢や性別などは問いません.
参加希望の方は次の内容を書いて このメールに返信してください.
他にも聞きたいことができたら, やりとりの中でさらに追加で伺うことにします.
大学レベルの数学や物理に関しては, もうコンテンツがありますし, メルマガでもちょくちょく流しているので, 今回, そちらは考えていません. (要望がよほど多ければやろうとは思います.)
Skype 相談はともかく リアル勉強会に関しては, 続くメルマガで通達がなかったら, 希望者がいなくてお流れになったと思ってください.
ではまたメールします.
購読者アンケートで何か次のようなコメントが来ました.
「高校の力学くらいならまだしも, 「式や計算を抜きにして直観的に理解する」というのは, そもそもありえません. 何となく雰囲気を知ることと, 深く理解しようともがくのは全く別の営みです.」 この一節に強く共感するものです. 筆者には是非巷の物理, 数学の学習者に好評のある「物理数学の直感的方法」 「相対性理論の直感的方法」などについて御意見, 書評等お聞かせ願えれば有難いです.
何というか, 世間的な意味で「批判的」な文章を書くことを 期待されているように感じました. 書き方が曖昧なので何とでも取れるとはいえ, こうした本が出版されている状況そのものに対してさえ 批判的な感じもします.
ちなみに『物理数学の直観的方法』の著者, 早稲田の応物で数理物理系研究室に入ったそうなので, 応物か物理かという違いだけで基本的に私と同じ経歴です. 早稲田では大学院で 「先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻」 になるほど応物と物理は入ったあとの垣根がないので, 年次以外は本当にほぼ同じです.
『物理数学への直観的方法』は学生時代に読んだので, それに対するコメントを書くことにしましょう. 本へのリンクも張っておきます.
最初に結論から言えば, 理解のために必要なことは全てやる必要があり, 直観的な理解も絶対に必要なので, 上掲書も使えるところは使い倒せという他ありません.
私もよくやってしまうのであまり人のことは言えませんが, 多分このコメント書いた方, 少なくとも『物理数学の直観的方法』は読んだことないのではないでしょうか.
序文を読むとわかるように, 表に出てきたコンテンツはともかく, 「既存のコンテンツと学習者のニーズのギャップを埋める」 という意味では私も全く同じことをしています.
そして, 基本的な対象は計算できるようになっても, その意味がうまく腑に落ちなくて困っている, というよくある具体的なニーズに応えている本です.
ここ何回かのメルマガで 「きちんと計算できるようになりましょう」と書きました. 次に来るステップは「計算はできたが何をやっているのかわからないし, 計算結果をどう理解すればいいかもわからない」です. 少なくとも『物理数学の直観的方法』は このステップに対する対策・回答です.
今回, 細々としたことまでは書きませんが, きちんと物理や数学を勉強しているなら乗り越えるべき壁です. 「この一節に強く共感する」とか書いていますが, 本当にその一節だけ切り取って, 勝手に共感されてしまっている気分です.
今回は数物ゴリゴリ型 (の非学生) と 数学・物理をさらに応用したい方, 特に学生さん向け両方に関してお話します. この本, 学生の頃に眺めたことがあり, そのときの記憶を元にしているので, 多少おかしなことがあるかもしれません. もちろん本当はきちんと読み直した方がいいのですが.
まずは『物理数学の直観的方法』の本自体に関する一般的なコメントを書き, 次に数学・物理が非専門の方に対するコメント, 最後にゴリゴリ型の方に向けたコメントを書きます.
本自体に関するコメント
まずは次の Amazon ページの中身検索で序文を見てみてください.
「何よりも厳密さというものを絶対的に尊ぶべしという, 近代数学の掟」という, どう考えてもこの人, 数学がそうならざるを得なかった経緯や歴史を 全くわかっていないのでは? という地雷文が出ていますが, 非数学科の学生にはだいたい同じことを 思うであろう内容が書いてあります.
例えば次の 1 節.
大学の数学の講義というのはえてしてこのようなものであり, 一体何のためにそういうことを行うのかについて, あまり明確に語ってくれないのである.
不満はこれだけにとどまらない. 目的ばかりではなく, 概念自体のあら筋だけでも説明してくれれば, 学ぶ側としてずいぶん楽なのだが, 大部分の先生はそれもしようとしない.
年次はだいぶ違うとはいえ同じ大学の学部・学科所属であったこと, 大学という環境の使い方などあらゆるところで 突っ込みたいことはあるものの, たいていの学生の実感としてはそれなりに 共感するところがあるのではないでしょうか.
1 つだけ, 時間制限のある講義で教えてくれないと嘆くなら, 講義のあとに研究室に押しかけていくなり, 教官が忙しても院生に聞くなり, 取れる手段はいくらでもあるので, 講義だけで何とかしようというのが そもそもの知的怠惰だとは言っておきます.
昔は大学に進学する人間じたいが本当に ごく一部のエリートで言われなくてもそのくらいわかるし, そもそも研究者という生業を選ぶくらいなのだから, 教えてくれなくても自分で勝手に考えるという種族であり, それでも不明点があるなら質問や議論に行く種族でもあるので, そのギャップはあるのだろうという感じもあります.
それはそれとして, 本の話に入りましょう. 一言で言うなら, この本は既存のコンテンツやサービスのギャップを 埋めるために作られています.
そして語る対象と内容が違うだけで, 私も同じことをやっています. 私の場合は関数解析系の解析学に関して, 純粋に数学的な話と物理への応用両方をやっています.
この本, 復刻版も出ているくらいですし, 一般的に評判はいいはずで, きちんと市場のニーズはおさえられているはずです.
学生の頃の記憶を掘り起こすと, 例えばベクトル場の回転がなぜあの形になっているのか, もしくは何故あの形で回転が表現できているのか, といった, 誰でも一度はぶちあたるであろう問題を それなりにきちんと解答を与えています.
いまと昔で状況で違いますし, 私もチェックはしきれていないので, 他にもいい本は出ているかもしれません.
ただ, それでも歴史の審判をくぐり抜けつつ, 新書で 1,166 円と安いので, 私のメルマガの読者の方なら 手元に置いてもいいだろうとは思っています.
あと, 念のために書いておくと, 「何よりも厳密さというものを絶対的に尊ぶべしという, 近代数学の掟」というのが地雷だというところ, 例えば現代数学観光ツアーでは 第 1 回の面積に関する議論で何故厳密にやらないと いけなくなってしまったのかを紹介しています.
実際に理論系の学生であるという程度に 基礎体力があるゴリゴリの物理・数学系の人向けに作っていて, 実際にコメント頂いているように, どう控えめに言っても簡単ではありませんが, 受講されていない方や改めてもう一度受講してみたい方はどうぞ.
厳密さを絶対的に尊ぶべきというのではなく, 一定の厳密さを保たないと矛盾だらけになってしまったから, ある意味, 仕方なく, できる限りの精度を保つようにしているのです. 厳密さを絶対的に尊ぶべきなら, 全員公理的集合論などまでやるべきでしょうが, そうなっているわけでもないので, 際限なく厳密さを要求しているわけでもありません.
非数学系の学生さん向け
次に非数学系の学生さん向けのコメントです. 例えば物理専攻の 2 年程度なら うまいこと使いこなせるでしょうし, 人によっては本当にぴったりはまるでしょう. それ以外でもある程度物理の素養があれば いい感じにはまる部分はあるだろうと思います.
上にも書いたように, 私はこの本を「計算はできるがその結果が腹に落ちない」 という人向けの本だと思っています. もう少しゆるめて「計算に苦労はするが, 式と現象をうまく対応づけて理解していこうという基本的な姿勢があり, 物理に対してある程度の直観がはたらくようになっていて, 多変数まで含めて微分積分にもある程度の親しみがある」程度は必要です.
後者の事情をもっとはっきり言えば, 「大学受験を突破した」程度ではかなり厳しいだろう, ということです.
これに関して, 私は苦い思い出があります. 早稲田の物理では 1 年のとき, 物理学研究ゼミナールというのがあります. 応物にも対応する科目があります.
上のページで「研究」というコメントがあります. これは実際に研究室に行って, 実験してみたり, その考察をしたりもします.
もちろん研究といっても本当に論文が書けるような内容ではなく, どちらかといえば 1 年から研究室に遊びに行きやすくするような, 学科側からの配慮という感じがあります.
私はこれでブラウン運動をやりました. 実際に研究室の設備を借りて実験するところと, ブラウン運動, 特に拡散方程式の解析をするところが 発表のテーマになっていました.
私はここで拡散方程式の解析部分を担当しました. もちろんフーリエ解析です. これが本当につらかったのです.
最終的にまわりまわって, 広い意味ではフーリエ解析に関する数学の道に進む程度には 「3 つ子の魂百まで」事案になってしまいました.
何が困ったかというと, 数学と物理両面で困ったのです. 物理の学部生がふつう考えるなら, フーリエ解析の数学は微分方程式論の枠で見るでしょう. 数学の微分方程式論の本を読んでもさっぱりわかりません. 実際に私が眺めたのは関数解析系の本でした. 今読んでさえ厳しい本かもしれませんが, そういう判断能力がないのです.
発表時期は確か 12 月だったので, 勉強していたのは学部 1 年の夏から秋です. いわゆる応用数学, 物理数学系の本を読んでも, 数学の基礎体力がないので耐えられません.
偏微分の計算くらいはできても, 偏微分方程式を解き切る力があるかと言われると無理です. 後期にはベクトル解析の講義もはじまっていましたが, この発表用に勉強しているときには まだマクスウェルや波動方程式を扱えるだけの力はありません.
というわけで数学色が強いアプローチはどうにもなりません.
かと言って物理色が強いアプローチもつらいのです. 具体的には「物理現象のフーリエ解析」を読みました.
物理色が強くなると, 当然物理的なイメージも前に押し出してきます. 偏微分方程式の導出というテーマもあります. そして物理ができなさすぎて, これらに全く対応できません.
物理系の文献になってくると, 物理的な直観をうまく表現してくれる部分があるので, デルタ関数もゴリゴリ出てきます. これに関連した計算ができることも 物理的な直観も両方要求されます.
手元に文庫があるのでいま改めて眺めると, このテーマでコンテンツを作るなら, 多かれ少なかれ自分でもこんな感じで書くだろう, と思える内容です. しかし物理学科の学部 1 年でさえ, 「物理現象のフーリエ解析」はきついのです.
記憶ベースではありますが, 「物理数学の直観的方法」は 「物理現象のフーリエ解析」ほどハードではありません. しかしそれなりの物理的・数学的感覚は備えていないと読めません.
Amazon のレビューも見てみてください. 例えば次のようなレビューがありました.
親切な説明では無いと思う
高校生に勧めたい等のレビューを見て買ったが、知識がある人のための本だった。 線積分やら面積分なんて高校でやりましたっけ…?
「知識がある人」というコメントがいろいろな意味で目を引きます. 線積分や面積分を知っているだけではどうにもならないでしょう. やはり「計算はできるが, ただそれだけ」状態にある人が 基本的な対象だろうと思います.
せっかくなので物理学研究ゼミナールの思い出を もう少し書いておきます.
ブラウン運動の解析だから, ブラウン運動もきちんと勉強した方がいいだろうと思って, 大学の図書館で「ブラウン運動」と書かれた本を 読んだことがあります. わかる人にはわかる, 飛田武幸のブラウン運動です. 学部 4 年くらいでようやく知ったのですが, これはゴリゴリの数学の本です.
学部 1 年の頃, 当然高校の化学でやる ブラウン運動しか知らないので, 「これ, 何をどう考えても私が知っている ブラウン運動ではない」 と思って困惑した記憶があります.
これはこれでまわりまわって, 修士で場の量子論の数学に関連して 確率解析的なアプローチがあって, それ用の勉強をするところで 4 年がかりで 学部 1 年の頃の伏線を回収しました.
数物ゴリゴリ型
この数物ゴリゴリ型, 少なくともアンケートの回答というレベルでは, 例外なく「元文系」という方です. こうした方々には厳しい本だろうと思います.
「物理数学の直観的方法」は, 大学の正規の教育課程の中で「計算はできるが, イメージが湧かない」タイプの人向けの本です.
「とりあえず超弦理論を勉強してみた」といった タイプを読者に想定していません. 物理の例に挙がるのは古典的な電磁気学や熱力学, 解析力学であり, それなりに古い本なので最近の幾何との交点についても 深い言及はありません.
古典論の物理とそのための数学の計算的基礎があることが前提です. 自己申告を見る限り, とりあえず超弦理論を眺めてみて, やはりきちんとやるには必要そうだから量子力学を眺めてみて, そこからさらに解析力学に, というような, 大学のカリキュラムから見て非正規のルートを通っていると, この本を読むのに暗黙に仮定されている 物理的・数学的な素養が育っていないはずです.
物理数学系に関しては次の講座のテーマとして考えていて, まずはミニ講座を作るための計画を練りつつ, 幾何の視点を強化するべく再勉強しています.
他にもプログラミングも絡めた, 中高数学よりの展開も考えていて, うまいこと複数の流れを合わせて ミニ講座群を構成したいと思っています.
うまい構成が見つからなくて, 止まってしまっているプロジェクトもありますが, 裏で少しずつ進めているので, 期待していてください.
ではまたメールします.
年単位で物理の話をろくにしていないような気がしたので, 少し物理よりの話もしておきましょう.
今回の話のメインターゲットも, 基本的には趣味で物理や数学をやりたい人の方で, 他の専門がある人には微妙にはまらない部分があります. それでも, これまでのゴリゴリの数学の話にくらべれば, 遥かに参考になることが多いと思うので, 気楽に眺めてみてください.
ずっと言っているように, 物理は計算ができてなんぼです. 物理は数学を使った議論をメインに据えられるほど, シンプルで簡単な分野です.
高校の力学くらいならまだしも, 「式や計算を抜きにして直観的に理解する」というのは, そもそもありえません. 何となく雰囲気を知ることと, 深く理解しようともがくことは全く別の営みです.
わざわざ私の情報を受け取ろうという人が, 単に何となく雰囲気を知りたいだけ, ということはありえないと思っているので, ここまで言い切って書いています.
前置きが長くなりましたが, まずは計算できるようになることが大事です. 細かいかどうかはともかく, 使う数学に関して厳密な証明を理解する必要はありません.
ベクトル解析や常微分方程式論など, 一部の議論では物理や応用上のハートに沿った証明もありうるので, そういうところでは証明つきで勉強した方が 理解しやすくなることすらあるでしょう. それはそれでうまい塩梅で勉強してください.
いきなり話が逸れましたが, 物理のための数学, さらには他の応用のための速習物理という観点からは, とにかく使い倒して感覚を掴むことが大事です.
そのとき, 1 つの軸になるのは電磁気です. なぜかというと, 物理数学で大事な次の数学が全て出てくるからです.
いまあなたがどういうステータスであるにしろ, 電磁気の本を眺めて, これらが現場でどう使われているかを確認して, 勉強のモチベーションにすることをお勧めします.
現代数学観光ツアーでもコメントしているように, 無限次元の線型代数という側面もあるので, 上の 4 つに線型代数は自動的に含まれています.
相対論まで入れれば, 有限次元の線型代数も完全に射程圏内です. 状況をまとめて知るには格好の材料です.
もちろん量子力学でもいいのですが, うまくやらない限り, 物理的にも数学的にもよけいな要素におされて, 注意が散漫になりかねません.
ぎりぎり物理としても直観的に理解できる範囲にありつつ, 物理数学の腕力を鍛えられる電磁気を軸に 物理数学の力を鍛えるのはお勧めです.
そのための具体的な本ですが, とりあえず一冊勧めるとしたら次の本です.
この本のいいところは計算が丁寧なところです. 付録でベクトル解析も載っていますし, しょっぱなにデルタ関数のフーリエ変換と, 留数定理による定積分計算が出てきて, 物理数学のフルコースが冒頭から味わえることもポイントです.
電磁波の理論は計算が本当にうっとうしいので, 計算が詳しい文献は助かります. 特に独学するときには.
他には次の本も割とこってり系です.
私の電磁気は学部のときの知見がメインで, ここ最近の本や洋書の探索までは追いついていないので, 数学系のコンテンツ制作が落ち着いたら, きちんと再調査したいとは思っています.
一方, もしあなたがもっと物理に軸足を置きつつ, 数学にも触れたい, という方向性なら, そして特に物理自体も基礎からやらないと, と思っているなら, やはり力学をやるのが最善です.
常微分方程式の議論がメインなので, 数値計算で遊んでみるのもやりやすく, 数値シミュレーションの範囲で「目で見て遊ぶ」のもやりやすいです.
シミュレーションに関しては, 中高数学の復習という観点から, Python コードも紹介しつつ常微分方程式を議論した 無料の講座があるので, 必要なら受講してみてください.
解析力学まで行くと, 物理としてもまた 1 つ深い地点に辿りつけますし, 量子力学や統計力学への準備もなります.
場の解析力学という観点からは, 流体力学への導入にもなります.
流体力学もいろいろな物理数学の導入に使えますが, 中心的な概念の 1 つ, 応力が割とややこしいのがつらいのではないかと思います.
テンソル解析が本当によくないので, その辺もつらく厳しいところ. 微分形式にすると今度はそちらの数学的基礎で苦しむので, 何をどうやっても厳しいとは思うのですが.
何にせよ, 物理数学の全体像を現場で見たければ, 電磁気の本を眺めるのをお勧めします.
電磁気も各種シミュレーションが発達しているはずなので, その辺を知見を教育にも盛り込めれば, と思っているのですが, 私にシミュレーション方面の知見がなさすぎて, あまり具体的な動きにできていません.
レンズの設計なども広い意味では電磁気ですし, いろいろ遊べる要素が多いとは思うのですが, 私が工学系応用に弱いため, そちらもあまり具体的な動きにできません.
読者のどなたか, 講座作ってくれませんかね? その筋の人, 絶対いると思うのですが.
今回はこんなところにしておきます. ではまたメールします.
結論から言うと, リーマン面を勉強しようという話です. 参考文献含め, 順にコメントしていきます.
ここ 1-2 ヶ月, 新たな物理数学系ミニ講座への展開のためもあり, 本業の仕事のためもあり, 微分に関する諸々を再勉強しています.
となると, 幾何をきちんと考える必要があります. 微分法そのものが幾何の色彩にあふれているからです. そこで改めてふつうの多様体論も勉強し直しています. この基礎固めをきちんとしていないと, ミニ講座もぐたぐだになって, 再構成/再作成が必要になるので, 新講座はいったん作るのを止めています.
参考文献紹介のためもあり, 多様体論はいろいろな本を漁って, 見比べつつ勉強しているところです. このあたりの詳しいところは, そのうち (といっても数ヶ月は先) 情報を出します.
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で, 幾何入門のお勧めです. 改めて書くと, リーマン面を勉強しようという話です.
私は背景として物理学科卒で, 修士は数学科, 特に解析学専攻なので, 数学としては感覚がある解析から アタックしたいと思っています.
そのあたり, 解析学に猛烈に特化していること以外, 数学的な背景はたいていの物理系統の 非数学科の人と同じです.
同じというのはだいたい次のような内容を 知っているということです.
フーリエを無理やり表現論やリー群論と絡めるなら, だいたい全て幾何とのつながりがあります. むしろ多様体論の基礎基本として, 知らないことには話が先に進みません.
一方で幾何の基礎教養もかなり広いです. 特に, 要望が多い超弦理論関係の数学となると, 幾何のほぼ全てと関係があるといってもいいくらいです. どこまできっちりやるかはともかく, まずはいろいろな分野の様子, そして関係をつかめるような形で勉強することも大事です.
いま自分がどこにいるのか, いま自分が勉強していることが数学の中でどう展開していくのか. 各種通信講座でも書いているように, これらを感じられるようにしつつ勉強するのが大事です.
その中で, リーマン面はやはり非常に優秀な分野です. 先日も書いたとおり, 次のような分野を, 1 変数関数論を軸にして一気に勉強できます.
ガロア被覆に関連して当然代数の ガロア理論も関係してきますし, コホモロジーに関連して代数の基礎知識や 基本技術も仕入れられます.
解析としても, アプローチ次第では, 偏微分方程式論に首を突っ込むこともでき, これはこれで幾何解析というゲージ理論と関係する 分野の基礎体力を鍛えることにもつながります.
全体的に幾何, 特に微分幾何は, 代数・解析・幾何をバランスよく勉強しておく必要があり, 歯をくいしばって勉強するとそれだけご利益があります.
そこでいま読んでいるのは, 先日も宣伝しておいた Forster の Lectures on Riemannian Surfaces です.
これはまさに上で書いたことが網羅されている文献です.
まだほとんど読めていませんが, 東北大助教の黒木玄さんは Gunning の Lectures on Riemann Surface を推薦していました.
私の手元にあるのはタイプライターによる本で, その時点でかなり読みにくいのですが, 内容に関してはお勧めらしいので, ここでも名前を挙げておきます.
他にもリーマン面の本は和書でもいろいろあるので, 面白そうな本やアタックしやすそうな本があれば, それを読んでみてもいいでしょう.
ただし, 現状, 数学科のための数学というスタイルの本しかないはずで, 基礎知識として要求されていることが少ないとしても, 数学への耐性と覚悟が絶対的に要求されます.
いろいろなレビューを見ても, 数学科水準でのわかりやすさに関するコメントしかないはずなので, そういうつもりで見て, そういうつもりで挑まない限りはどうにもなりません.
リーマン面は共形場理論でも大事な理論です. 共形場理論は現代数学でも特別な位置を占める理論で, 幾何だけでなく, 作用素環や確率論とも関係があります.
ここ数十年, 共形場理論に関わる数学でフィールズ賞が 何回も出ているほどに活発に研究され続けています.
超弦理論としても, AdS/CFT の CFT が共形場理論 (Conformal Field Theory) なので, 基本的な意義があります.
というわけで, もしあなたがちょっと突っ込んで現代数学を勉強してみたいというなら, その一歩としてリーマン面を目標にするのは, なかなかいいと思います.
物理学科レベルでいいので, 1 変数関数論は知らないとさすがに厳しいでしょうし, 位相空間論もないと厳しいでしょう.
関数論はともかく, 位相空間論に関しては, どのくらいのことを知らないといけないか, 雰囲気を掴むために見ておくという使い方もありでしょう.
それで Forster の 10,000 円を出すのは きついとも思うので, そういう場合は適当にネットで PDF を探しましょう.
英語で探せば講義資料を含め, 100 ページオーバーの PDF もたくさん置いてあります.
調べきれませんし, 内容も精査しきれないのでここでは紹介しません. むしろ何かいいのがあれば教えてください.
ちなみにもしあなたが, 比較的軽めのノリで, 集合・位相から微分幾何を勉強したいというなら, シンガー・ソープの本がおすすめです.
もっと物理のノリでやりたければ, シュッツの本がいいでしょうか.
中原の有名な本もあり, こちらの方が内容が現代的ではありますが, 数学色は強くなっています.
全部和訳があるので, 英語が嫌なら和訳の方でもいいでしょう. 超弦理論を追うなら英語の情報を追えた方がいいので, 和訳にこだわるのはお勧めしない, ということくらいは言っておきましょう.
今回はこんなところで. もしあなたが物理数学ミニ講座をご所望なら, もうしばらくお待ちください. 物理で実用的な微分として, 流体力学の物質微分などもあり, これは幾何学的にはリー微分です.
物理からも数学からも, 改めてきっちりやっておかないとろくなことにならないので.
ではまたメールします.
読者の方から紹介して頂いたので.
案内ページの内容を一部コピペしておきます.
======================= 日時: 2018 年 10 月 13 日 (土) 場所: 学士会館 320 号室 東京都千代田区神田錦町 3-28 tel:03-3292-5936 地下鉄都営三田線又は半蔵門線「神保町」下車
プログラム 13:00 ~ 13:10 開会の辞 13:10 ~ 14:00 永長直人 (理化学研究所創発物性科学研究センター・東京大学工学系研究科) 「固体電子系における量子位相の幾何学と物性」 14:10 ~ 15:00 向井哲哉 (NTT 物性科学基礎研究所) 「冷却原子実験の発展とその応用」 15:10 ~ 16:00 川口由紀 (名古屋大学工学研究科, 昨年度久保亮五記念賞) 「原子気体 BEC におけるトポロジー」
(講演時間の内訳は, 講演 40 分と質疑応答 10 分) 申し込みは不要です. ご興味のある方は是非ご参加ください. 会場の定員は 100 名です. シンポジウム終了後に, 第 22 回久保亮五記念賞贈呈式が行われます. =======================
時間があるので私も参加する予定です. あなたも興味があるならぜひ参加してみてください.
今回は手短に. またメールします.
アンケートで質問が来て, 今後のためにもある程度まとめた方がいいだろうと思い, 回答します. 特に超弦理論を勉強したい系の方だったので, その前提で書きます.
割とこう日本語が崩壊した感じの文章が送られてきていて, 何を言いたいのかよくわからなかったので, 意図が汲めたところだけ回答します.
まずは多少具体的に多様体論に アタックするための最低限の武装の話をします. そのあと, 少し話を広げた話をしていきます。
まず私の基本的な認識とスタンスに関して改めて書いておきましょう. 私の各種講座に参加されている方は 主に次の 2 パターンです.
アンケートなどの回答を見ている限りの話ですが, 実際, 後者には学生の頃は文系だったという方が割と多く, 特に超弦理論が勉強したいという方がよくいます. この 2 つで勉強のスタイルや方法, 読むべき本も全然違います.
今回は超弦理論をやってみたい という方からのコメントなので, 後者の物理・数学ガッツリ系の話をします.
まずやってみてほしいのは, 実際に多様体の本を眺めてみることです. 多様体に限らず, たいてい前書きに必要な知識に対するコメントがあり, 本によっては冒頭または巻末付録にまとめがあります. それを見て確認してください. このあたりはどんな分野を勉強するときにも必要な作業です.
その他役に立つのは数学科のカリキュラムを見ることです. 学年を経るごとに基礎知識からそれを前提した議論へと 進んでいくわけで, それを見てもある程度判断できます. 教官の講義用資料ページにもいろいろ書いてあることがあります.
これをやっているのかどうかわからなかったのですが, 最低限このくらいはやっておけば, 自力で何とかできることが増えます.
その上でもう少し具体的な話をしましょう. 多様体論でギリギリ最低限必要なのは線型代数と微分積分, 常微分方程式の理論です.
詳しい話は追々していくとして, 必要なのはいわゆる理工系教養の数学の 一番難しいところです. ~~~~~~~~~~~~~~~~
つまり抽象的な線型空間論, 陰関数定理と逆写像定理をはじめとした多変数の微分積分, 常微分方程式の解の存在と一意性, そして初期値への C^1-級依存性に関する議論などです.
多様体論を勉強していると, 自分がいかに線型代数と微分積分を理解していないかを 思い知らされます. 特にあなたが数学科で正規の数学教育を受けていないなら, 自分で「ある程度わかってきたかな」というレベルでは 全く足りません.
だから駄目だと言いたいわけではなく, むしろ多様体論を勉強することでそれらの理解を深めにいく, という覚悟で臨む必要があります.
これは本を執筆する前提が変わるからです. 同じ微分積分の話をするにしても, 工学への応用なのかゴリゴリの数学科向けかで, 著者が読者に期待することが全く変わります.
それと同じようにして, 多様体論に挑むという時点で一定の数学的耐性が仮定されています. これは知識だけの話ではありません. 極端に言えば, 集合論や位相空間論は, 予備知識はほとんど仮定していない本は多いですが, 尋常ではないレベルの数学的耐性を要求しています. 読み進めながらさらに鍛え上げることも要求しています. 上の「レベル」感はこの意味で捉えてください.
実戦を重ねてみて, いまの自分の力量では話にならないことを知り, どんな議論や定理がどう使われているか, それを自然に受け入れられるようになるまで 血反吐を吐きながら取り組む必要があります.
その辺の理工系の学生よりも遥かに 線型代数と微分積分の理論に 精通している必要があるのだと思ってください. その程度の根源的なパワーが要求されています.
特に質問された方は文系出身とのことですし, 数学科水準で要求される理解の水準もわからないでしょうから, 初学段階ではまず確実に多様体論に跳ね返されるでしょう.
そこで「まだ自分の力が足りないのか」と思うのではなく, 多様体論とのバトルで強制的にレベルを上げにいく, という気概や発想の転換が必要です.
陰関数定理と逆写像定理, そして常微分方程式の解の存在や一意性定理は, 証明を眺めることにも意義があるタイプの定理なので, 必要なら証明を見直すのもいいかもしれません. しかしこれは使い倒してその意義を体得すべき定理でもあります.
だから, とりあえず多様体論の本にアタックして, とにかく使い倒すことで強制的なレベル上げをはかってください.
一方, 陰に陽に必要な知識ではあるものの, 集合と位相は実際どの程度要求されているのか 正直あまりよくわかっていません.
私は物理学科の学部 1 年で, よくわからないうちに正規の講義で叩き込まれたので, 集合・位相の基礎知識なしで 現代数学にアタックしたときの感覚がわかりません.
多様体論の入門レベルだといわゆる集合・位相は そんなにいらないのではないかと勝手に思ってはいますが, 実際のところどうなのかはよくわかりません.
接ベクトルの定義では曲線の同値類を使います. それ以外でも具体的な多様体の構成でも同値類が出てきます. そして多様体の定義そのものに同相のような 位相空間論由来の概念が出てきます. これらはふつう集合と位相でカバーする内容です.
ただ, この辺はゴリゴリに勉強しなくても, 気分と常識で十分にカバーできるのではないか, という気はします.
「気分では無理だった」というのであれば, むしろそのテスト結果を教えてほしいくらいです. それならそれで「多様体をやろうというなら, もう諦めて集合・位相をやってください」と言えるようになるので.
当たり前ですが, 突っ込んだことをやろうと思うなら, 何をどう考えても位相空間論を きっちり仕上げる必要があります.
次は線型代数です. もしあなたが行列式や固有値・固有ベクトルの計算問題が 解ける程度で「線型代数ができる」と思っているようでは, まるで理解が足りず, 話になりません.
必要なのは抽象的な線型空間論です.
こうした操作の全てで線型代数の抽象論が出てきます. これ以外にも線型代数ができないと, 幾何のありとあらゆる場面で何もできません. 早い段階で諦めてきっちり数学をやってください. いつまでもずるずる半端な状態でいるのは, 時間と労力の無駄です.
ベクトル束は指数定理の基本的な対象でもあり, これが理解できないのでは超弦理論に進む上で話になりません. もちろんすぐにわかるようになる必要はありません. しかし 1 つのステップとして決定的です.
そしてゲージ理論では族の指数定理がアイデアのレベルから 大事なようで, 指数定理の理解が甘いようでは ゲージ理論系の議論で困ると聞いています.
これ以外にもファイバー束, 特に主束の議論でリー群が出てきます. リー群も線型代数の理解が問われる分野なので, どれだけ自分が線型代数を理解していないかが 嫌というほど思い知らされるでしょう.
今回の話からは大分離れますが念のためコメントしておきます. ミラー対称性関係に進もうと思うと, 代数幾何に関わるハードな議論があり, 代数系ももっと勉強する必要があります.
これは微分多様体とはまた趣の違う 代数多様体の議論が必要です.
ミラー対称性に関しては有名な基本的な文献が ネットにあるので紹介しておきましょう.
私はこの文献はほとんど全く読めません. 以前紹介されたことがあるので, 言及するだけにしておきます.
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またもう少し違う方面からコメントします. 今度はむしろ物理の話: 最近の数学の展開もあり, 超弦理論に興味がある人が必ずしも 物理にも興味があるとは限りませんが, 私のメルマガの読者の方には超弦の物理に興味がある方も多いので.
まず私の基本的な認識や方針は, 現代数学探険隊, 特に通信講座の案内ページで書いたことにあります. 何度も基礎の振り返りをしないでいいように, 集合・実数・位相など基礎を叩き上げるのが, 結局一番早くて楽です.
これ, 何度も有料コンテンツの宣伝をしているように思われるようで, それが鬱陶しいという方もいらっしゃるようです. しかしこちらとしては, 何度も聞かれることに対する返答としてまとめたものであり, さらにいろいろな情報やコメントをまとめて書いたページ, そしてコンテンツなので, 結局回答する内容はここに書いてあることなのです.
多様体論ではサードの定理で測度 0 が出てきますし, 微分形式からの代数的トポロジーで調和積分論 (楕円型の微分方程式論) が出てきたり, ベクトル場とフローでは常微分方程式の解の存在と一意性, 初期値への C^1-級依存性などなど, ちょこちょこと解析学の知見が出てきます.
幾何でもフレドホルム作用素はよく出てきます. そしてこれは話題としては作用素論なので, これもきちんとカバーしています.
超弦理論の数学といってもいろいろあります. その中で特に指数定理やゲージ理論のように, 多様体上の微分方程式論が大事な議論があります. そういうところでは直接的に 現代数学探険隊の内容が活きてきます.
そして何より, 超弦理論をやるなら最低限物理に対する理解も必要で, その中では各種解析学が絶対に必要です. そこもケアしないとどうしようもないので, 超弦に興味があるなら, とりあえず現代数学探険隊の内容を確認してください.
どうしても私の有料コンテンツを買いたくないというなら, それはそれで構わないので, 案内ページに書いてあるカリキュラムをもとに, 対応する本を買って勉強してください.
講座のラスト, 微分論とベクトル解析の章では, R^m 内に限定してはいるものの, 実際に多様体論を議論しています. 当初そこまでやる予定はなかったのですが, その方面に興味がある人が多いので, もう盛り込んでしまおうという判断です.
名著, ミルナーのモース理論のように, R^m 内の多様体に限定して議論を進めている本は 実際にありますし, それほど不当な扱いではありません.
今回は多様体に行き着くにはどんな数学が必要か, という話だったのでこのくらいにしておくことにします. 今回の内容を叩き台にして, 幾何系の勉強案内のコンテンツを整備する予定です. もっと参考文献もつけます.
ではまたメールします.
メルマガに書きたいことはたくさんあるものの, なかなか書く時間が取れていません. かなり面白そうなイベントなので, 忘れる前に優先して案内しておきます.
上の PDF の下の方に申込ページへのリンクがあります. 近日公開予定だそうなので, あなたも時間があうならぜひ参加してみてください.
私も参加してみようと思っています. そもそも申込を忘れないようにする必要があって, まずそれが一番の問題です.
野尻美保子さんと田崎晴明さんの宣伝ツイートも 紹介しておきます.
キログラム原器を廃止して、 プランク定数から重さを定義する単位系の大改訂が予定されています。 学術会議ではこれを記念するシンポジウムを 12/2(日曜日)に行います。 特に学生、学校の先生などこに来ていただけるとうれしいです。 http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/265-s-3-1.pdf
このシンポジウムは参加する価値があると思う。 単位は科学・技術の根本的な基盤だし、 単位の定義から原器がなくなるのは人類の文明にとって大きなイベント。 おまけに超高精度の時間測定を実現した (数年以内にノーベル賞を受ける可能性が高いとされる) 香取さんも登壇する。
申込を忘れないようにしないといけません.
今回はこんなところで. ではまたメールします.
Twitter で大学教官のある呟きを見かけたので 共有しておきます.
トップツイートはこれ.
続くツイートも一緒に引用しておきます.
学生の中に社会人の方が工学部に再入学してきている。 やはり勉強し直さないといけないと思ったそうだ。 自分が仕事に使ってきたことと理論の繋がりが 専門の講義を聞いている最中に感じられて楽しいそうだ。 ただ、どうしても数学が弱く、 数学で躓いてなかなか先に進めないそうだ。
「今勉強していることが将来役に立つよ」と言っても、 若い普通の学生にはなかなか伝わらない。 その学生も周囲の若い人に言ってるそうだけど、 もどかしく感じているようだ。 「若いときに勉強してとにかく詰め込んでなかったら、 なかなか先に行けない」というのは確かだが、 若い時はわからない。
大学低学年での非数学科向け数学教育 (微積、線型、微分方程式・ラプラス展開、 ベクトル解析、複素解析、フーリエ解析、確率統計など) が将来必要であることくらいは 学生も感じ取ってはくれている。 が、ある程度理解して楽しくなるステージにまで なかなか到達できない。
特に注目してほしいのは次の部分です.
「若いときに勉強してとにかく詰め込んでなかったら、 なかなか先に行けない」
わかりやすいので何度も引き合いに出してしまうのですが, 先日紹介した超弦理論を勉強してみたいといっていた 文系出身の方,
けっきょく適当な時期, それも若くて湯水のように時間が使える頃に, 意味がわかるか, 理解できるかを棚に上げて, とにかく基本的なことをたくさん 詰め込み, 叩き込まなかったことが効いているわけです.
もちろん理工系というわけでもないのに, 数学の基礎など叩き込めるわけはありません.
ここで言いたいのは, 面白くないとか面白くないとか, いまの自分がやりたいかやりたくないとか関係なく, それを生業とし, その未来を自ら作り出そうとしている 教官陣が学生のこれから先の永い人生でもきっと役に立つはずだ, そう信じて組み上げたカリキュラムに沿って, とにかく徹底的にやっていくのが大事だということです.
細かな動きについては外れることなどいくらでもあるでしょう. それでもこれさえやっておけば, 後で新しいことにもいくらでも追従できるはずだ, そういう内容がカリキュラムとして組まれているわけです.
むしろ興味がないことであっても 強制的にやらせることがカリキュラムの意義です. 何といっても興味があることは言われてなくても 勝手にやる前提なので, 面白くないことこそカバーするべきだ, とさえ言えるでしょう.
興味にかまけてさぼっていると, 何十年ごしで痛い目を見るという話で, これは健康問題にも重なります. 若い頃の不摂生が, というやつです.
よく言われる話ではありますが, これを読んでいるあなたも, けっきょく今が一番若いのです. やりはじめるなら今ここからで, 以前どうだったかというのは全く関係がありません.
そして人は忘れる生き物なので, 最初の気合は即刻なくなります. 覚悟を決めてじっくり取り組んでいきましょう.
もしあなたが物理または物理の応用に興味があるなら, まずは古典力学からやるのが大事です. 何だかんだで一番大事ですし, 物理で必要な数学も一通り出揃います.
あなたが化学なりその他一般の理工系の方なら, 力学と電磁気をきっちりやれば, 数学の知識も計算用の基礎体力も両方身につくので, まずはこれを馬鹿みたいにやりましょう. 実際, 物理学科の学生は頭がおかしくなるほど これを叩き込まれるのです.
学部一年のころ, 私の友人で, 試験直前に「対角化される夢を見た」と言っていた男がいました. 悪夢にうなされるくらいやるのです.
あなたがある程度数学科の数学の水準まで 数学をやりたい・やらねばならないなら, 取り組むべきはやはり実数・集合・位相です. 参考文献集でも取り上げているので, あなたが適当な通信講座を受講されているなら 既にご存知かもしれませんが, 初学者へのお勧めは次の本です.
『集合と位相 そのまま使える答えの書き方』というタイトルで, よくあるしょっぱい本かと思いきや, 話題を絞って証明を丁寧に書いた本で, 非常にいい本です.
ページ数も少ないので読み切りやすく, 適切な図もたくさん入っているところもポイントです.
四の五の言わず, とにかく基本的な分野をやるのが, 結局一番楽です.
ここで強調したいのは, それが「楽だ」ということです. 特にあなたが社会人で数学や物理を勉強し直そうとされているなら, 先々の進んだ内容・勉強したい内容はそれとして 横目で見てニヤニヤしながら, 徹底的に基礎を叩き込むことからはじめましょう.
ではまたメールします.
最近は多少なりとも物理に意識が向いているので, ちょっと物理の話を.
もうリアクションなくなって, もしかしたらメルマガ講読解除されたのかもしれませんが, 先日超弦に関する勉強に関して多少のやりとりもありました.
物理の勉強に関して大事なことに関して, 簡潔にまとまった動画を Twitter で見かけたので共有しておきます.
・物理におけるイメージとは。 ・物理ができない人はどこでつまずくか。 (引用元: 苑田尚之、ハイレベル物理、東進、2000年)
ちょっとアレですが, 私のサーバーにも動画を上げておきました.
内容を簡単にまとめておきましょう.
講義中の口頭ベースの話なので, 前半と後半でちょっと話が変わっている部分もあります.
ここで私が強調したいのは, 引用部での最後のところ, 「計算もせずに感覚でわかることは絶対にない」というところです.
プロですら直観が効かない世界は掃いて捨てるほどあります. ある分野の専門家であっても, 他の分野ではずぶの素人同然の判断しかできないことも 日常茶飯事です. これは物理の他の分野であってさえそうです.
自分の直観を修正してくれるのは, 何よりもまず実験事実であり, 実験が及ばない世界に関しては, 基本法則に則った計算結果しかありません.
超弦のようなちょっとやそっとで 実験の及ばない世界で頼れるのは もう計算しかありません. だから計算できないのは, 数学できないのはもうどうにもならないのです.
いあま私がメインで作っている 数学科レベルの数学のコンテンツの内容を 最大精度で理解しきる必要は全くありませんが, 式を読み書きして計算できないのは論外です.
うるさいことを言いはじめるといろいろあって, 勉強と研究はまた違う, 勉強は好きでもないし実際苦手でさえあるが, 研究は好き, という人ももちろんいますが, これは研究者を目指す人向けの話なので, また全然違う話です.
そして, 何度も書いているように, 物理の啓蒙書を読んで楽しみたい, という人ではなく, それでは満足できないからもっときちんと 物理やりたい, という人が集まっているのだと思うので, だったらきちんと計算できるようになりましょう, そのための数学的体力をつけましょう, という方針で情報を出しています.
ちゃんと計算できるようにしてください.
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関係するようなしないような話ですが, ゴリゴリの現代数学の通信講座作成が 一段落したので, 大人向け数学復習的な内容に関して, 21 世紀の教養数学と勝手に題した方向性で コンテンツを検討しています.
イメージとしては理工系の学部教養レベルの 数学入門のためのコンテンツ, くらいの位置づけです.
試作品第一弾がこれ.
最近はやりの統計学入門も 兼ねた内容として考えています. 基本的に非物理・数学系または統計に興味がある人, 他には物理に興味があって数学を勉強したい人向けで, 中高の数学はある程度親しみがある人くらいを想定しています.
どのくらいのどんな内容が需要ありそうか, 実際に試作品を作ってみて 検討しているところです.
前回の失敗があるので, レベル感がおかしくないか, といった点が大きなポイントです.
何かコメントや要望があれば教えてください.
ミニ講座への登録はこちらから.
できあがってから「これじゃ使えない」と言われてもきついので, 細かくコメントもらえた方がありがたいです. 自分が作りたい, そして昔の自分がほしかった ごついコンテンツはもう作ったので, 今度はきちんとニーズにあったコンテンツにしたいです.
ごついやつはごついやつできちんと 一定のニーズは拾えているとは思っていますが, やはりマニア度が高くなりすぎてしまいます.
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さらに, これと通信講座補足コンテンツとしての 計算練習章のために いろいろ文献やコンテンツをあさって勉強し直しています. 私としては知っている事実の詳しい確認の方が多いので, これまでと違って気楽に本が読めて 気持ちが楽です.
これまでは発展的な内容の紹介をするために, 専門とは遠い分野の本を読むことが多く, やはりかなり消耗していました.
いくつか面白いのがあったので, それもシェアしておきます.
まず微分方程式系統で面白かった概説書として, 『東京大学工学教程 基礎系 数学 非線形数学』があります.
最初の 1 章に線型作用素の理論があり, 通信講座の作用素論と常微分方程式に書いたところが いい感じにすっきりまとまっています.
他のところも相転移関係, 力学系やソリトンの話が書いてあって, 概要を掴むのにはかなりよさそうです.
工学教程とはいえ, 数学分冊なので, 気分的に数学よりの印象です.
あと, 幾何の復習と知識定着のために, リーマン面の勉強をしています. その文献として Forster の本を読んでいます.
1 万するので気軽に勧めにくいのですが, 被覆空間というトポロジーとの関連からはじまり, 層とコホモロジー, 接ベクトル抜きの微分形式の直接定義, 超関数を導入しつつの調和形式などの解析的な議論など, 話題がてんこもりです.
もちろんリーマン面抜きの 1 変数関数論は 知っている前提ではありますが, 代数・幾何・解析の基本的なところが さらえてお得感があります.
超弦理論でもよく出てくる AdS/CFT の CFT (共形場理論) でもリーマン面は大事なので, もしあなたがこの辺に興味があるなら, 1 つの基点になる分野でしょう.
他にも通信講座のベクトル解析の章で 強く参考にしたスピヴァックの本も勧めておきましょう.
異様に簡素な記述で, 面倒になりがちな陰関数定理と逆写像定理の証明も読みやすく, やはりお勧めです.
和訳も昔からあり, 新版も出たのですが, 品切れのようでAmazonでは中古が 8,806 円とかいう 高値で出ています. 英語の方がまだ安いので, 英語で読んでしまいましょう.
ちなみに和訳は学生の頃昔の版で読んで, continuously differentiable を強可導とか 変な訳語で訳してあって閉口した記憶があります. 新版にしたときに訳語も見直したそうなので, この辺は改善されているのだろうとは思いますが.
何にせよ, 定価なら 3000 円くらいだったはずなのに, 馬鹿みたいな値段になっているのは頭来ますね.
3 冊合わせると 20,000 円突破するので, なかなか厳しいとは思うのですが, 面白そうと思った本はぜひ眺めてみてほしいです. 学生さんなら大学の図書館行きましょう.
ではまたメールします.
苦節 2 年, ようやく有料の通信講座として 作り続けていた現代数学探険隊を 一通り作り終えました.
このページのコンテンツです.
値段や募集ページを改訂し, PDF を購入された方には更新案内済みです. もしあなたが PDF 購入済みなら, メールを確認しておいてください. 届いていない場合は念のため迷惑メールフォルダの確認もお願いします.
当初, 2 年で終わらせたいが 2 年半から 3 年になるかも, と思っていたところ, ほとんどぴったり 2 年で終わりました.
通信講座に関して教えてもらった人が 「何だかんだでこのくらい, と思って狙ったところに実際に落ち着くから, 最初の想定はきっちりやっておいた方がいいよ」 と言われて, どうかな, と思っていたら, 講座の期間設定に関してはぴったりそれではまりました.
参加者もだいぶ増えたのですが, もちろんもっと増やしたいです. そろそろ物理の話もしたいのですが, 数学的基礎のレベルが揃っていてくれないと なかなかそういう話もできないので.
無料のミニ講座も含めて, もっとコンテンツの布陣を充実させていくので, 楽しみにしていてください. 現代数学探険隊にしても, タイポの修正や索引を充実させるなどの課題が まだ残っています.
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新たに追加した最後のベクトル解析の章, R^n 内の多様体とはいえ, けっきょくベクトル解析の中で 多様体を議論してしまいました.
当初の構想ではもっとあっさりすます 予定だったのですが, 曲面論があまりに面倒で, これなら多様体を導入しても大して変わらないか, という話になってしまいました.
それに合わせて外積代数や微分形式, 特異単体やある程度一般的なストークスの定理を議論しています. もしあなたがご興味あるならぜひどうぞ.
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実際に通信講座としてコンテンツを作ってみて, いくつか反省点や実際にこれから修正していく点があります.
自分でもコンテンツを作ってみたい, という声はちょくちょく聞くので, その参考のため, そして何より自分用のまとめとして 情報をまとめておきます.
いまパッと思いつくのはこのくらいですが, 思いつき次第手元にまとめていこうと思います.
大人向け通信講座用コンテンツとして毎日空き時間にちびちび勉強する, PDF コンテンツとして必要なところを辞書的に調べるという コンテンツの特性上, あるところをパッと見たとき, できる限り記号や概念の意味がわかるようにした方がいいのです.
これは多様体の仮定に第 2 可算性を仮定する, といった本の最初に書いてあって, あとはもう言及しない, みたいなことはよくあります.
ここで参照用の定義や節を適宜入れた方がいいだろうと.
特に通信講座では各回はその回の分の PDF しか配布しないので, ある程度は各回の先頭にまとめておいて, 「どこに書いてあったっけ?」と探さなくていいようにした 方がいいだろうという感じです.
これは使っているシステムに宿題という機能があったから 入れてみた, という側面があり, あまり使い方を練り込めていなかった部分です.
いろいろな形で印象に残しやすくするため, そして講座の改善につなげていくため, その回の感想を書いてもらったりする「宿題」もあり, ふつうに問題を出していることもあります.
ここに今回のまとめをする課題を入れたり, 前にやった大事な事実の確認や, 次回触れる内容の復習を入れておくとか, そういう活用もあるべきですね.
他の講座の募集ページ含め, くり返し書いていることとして, 意味はよくわからなくても, 何となく言葉を知っているだけでも全然違う, というのを強調しています.
もちろん意味まで覚えていられればベストですが, まずは言葉だけでも心に刻みつけておいてほしくて, 宿題はそういう用途にも使えるなと改めて思っています.
これは実際にこれからやっていく課題です. 本当はこれも含めて 1 章にして最終的なコンテンツとして展開する予定でしたが, この間「物理やるなら計算できてなんぼ」と言ったのと絡めて, もう少し一般的に別枠で展開した方がいいな, と.
もちろん PDF を購入された方と 通信講座を最後まで受講された方には無償で提供します.
この方針転換と合わせて, 数学的に厳密な極限交換をきちんとやるようなタイプの計算はもちろん, 物理でやるような厳密ではない計算についても フォローしていくことにしました.
これはちょびちょび進めていきます. 計算については PDF でごりっと販売する方がよさそうな気はします.
同時並行で考えている中高数学だと, かえって計算だけ延々やっていく通信講座があってもいいような気はします.
このあたりは対象にもよる部分です.
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まずは読者のレベルの底上げをはかるための 無料の講座を整備します. がっちりした内容の講座はもう作ったので, 今度はもう少しゆるく, いわゆる物理数学的な内容とレベルにしていこうと思っています.
最近, 機械学習だの何だので統計のための数学, みたいなところもあるので, そういう層も折り込んだ講座内容を考えています.
何だかんだいって, やはり 2 年講座を続けられた秘訣は, 有料講座にしたことです.
数学じたいはやめろと言われてもやっていきますが, 通信講座を作るという骨の折れる作業は, さすがに有料講座を提供しているという責任感なしでは続けられませんでした.
終わったばかりでまたすぐに有料講座だとあまりにつらいので, それも込めてしばらく調査しつつの無料講座で, 次の構想を深く練り込んでいこうと思っています.
メルマガだとあまり感想メールなどの反応がなくて悲しいのですが, Twitter だと割と反応くれる人が多く, その手の話の内容に関して 具体的に相談できる人も何人かいるので, その手の人にはいろいろ協力をあおぎたいですね.
先程も書いたように, 物理の講座も作りたいのですが, 物理の講座をやるなら物理に集中したくて, 途中で数学の話をしないですむようにしたいと思っています.
まだしばらくはそのための数学講座を整備していくつもりです.
ちなみに物理の講座を作り, 有料で提供してみたいという方がいらっしゃれば, ぜひやってください. 必要があれば適宜宣伝協力などもしますし, 募集ページの作成などのサポートもやります.
有料講座やるなら, いわゆるレベニューシェアのコンサルティング的な形で, 入ること前提ですが.
この辺はきちんとやらないと逆にあとで余計な責任問題が起きて, お互いに苦しくなるので, ちゃんとしておきたいですね.
適当な意味での責任が発生しないと, かえって長続きしないことをこの 2 年で学んだことが 一番の収穫かもしれません.
とりあえずは有料講座のブラッシュアップと, 無料講座の大量生産に勤しみます. ぜひそれを楽しみにしていてください.
ではまたメールします.
この間, 超弦理論に関する話を少ししました. 念のため, 私の考えをもう少し書いておこうと思います. 今回は数学それじたいよりも それを使って何か, 特に物理を勉強したいという人向けの話です.
あと物理の勉強という言葉で 私が意図する中身も説明します.
まず, 私のところにやってくる時点で, いわゆる啓蒙書レベルでは満足できず, がっちり勉強する意志があるのだと思っています.
物理に対する態度もいろいろあります. アンケートを見ていると 情報やら応用化学やら いろいろな専攻の学生さんがいますし, 物理それじたいが応用の対象で, そのための数学強化が目的の人もたくさんいます.
もともと私だって物理の学生なので, その辺の気分はよくわかります. 実際学部 2 年くらいまで物理よりも 数学を勉強する機会の方が多いくらいでした.
ひたすらに腕力を鍛えないといけなくて, スパルタでつらいのです.
話を元に戻しましょう.
ここで, 勉強したい物理が学部レベルの物理, 特にふつうの量子力学や統計力学にあるなら, この間書いたような無茶は言いません.
むしろ微分積分と線型代数をどこまで 強化できるかがキモで, 関数解析的な認識があると両方を鍛えられるから便利, というくらいの気分です.
書きっぷりはともかく, 現代数学観光ツアーはまさにその視点で書いています. プログラムによるシミュレーションまで含め, このくらい数学の視野があれば 学部レベルの物理を勉強するのに 十分な水準だろうと思います.
最近は物性系の理論物理であっても トポロジーが必要になっていたりする事情もあります.
しかし学部レベルの物理でいうなら, 現代数学観光ツアー以上にハードな数学は まずいらないでしょう.
集合・位相もヒルベルト空間に特化して勉強すれば十分ですし, それもほぼ線型代数で出てくる有限次元の内容を かっちりやれば十分です.
一般相対論も, 準リーマン幾何とかいったりはしますが, 微分積分と線型代数をきっちりやっておけば 困らないでしょう.
問題というか大変なのは, 超弦理論に興味がある人達です. この分野, そもそも基本的な語彙じたいが 尋常ではありません.
余剰次元の話で出てくるカラビ-ヤウ多様体は, 定義それじたいのために ケーラー多様体に対する基本的な語彙が必要です. 独学分を無視するなら, 数学科の学部 4 年で到達するような内容です.
一年中毎日数学をやっていて, 自他ともに数学への耐性があると思っている人々が 湯水のように数学の勉強に時間を使った上で 4 年かけてようやく辿り着く世界です. しかもそれでようやく入口くらいなわけで, もう尋常ではないのです.
そして半端に進んだことを勉強してしまうと, 基本的な勉強をするのが億劫になります. そこで億劫になる前に基礎をとにかく叩き込め, そういうコンセプトで現代数学探険隊を運営しています.
興味津々の状態で超弦理論の世界を覗いたあと, もっとちゃんと勉強しようと思って 古典力学やら電磁気学やらを勉強しようと思っても, 「多分知ってないと駄目なんだろうな」という程度の思いで やりきれるほど甘くないですし, 何より何がどう超弦理論の理解につながっていくかもわからなくては, 勉強が続かないでしょう.
スポーツでも派手な技を披露するためには, 基礎体力や筋力の向上, 地道な訓練が必要です.
スポーツだとこの辺の基礎がないと, 怪我という肉体的に痛い目を見るのでわかりやすいのですが, 勉強だとこういう痛い目を見ないので, やばい状態が見抜けません.
基礎の訓練なしでやるのは 精神的・知的に緩慢な自殺に向かっているとさえ言えます. これで逆に参っている人を何人も見かけたからこそ, もういい加減基礎からきっちりやりませんか? というストーリーを描いてサービスを展開しています.
そしてあくまでも物理は物理できっちりやることを考えています. ここでいう「きっちり」は物理で出てくる計算を 物理のレベルでやりきれることです.
とにかく計算が追えなくて困るというのは, わかりやすく痛い目を見るための方法でもあります. まだ基本的な力量が足りないのだと.
いつも困るのですが, 半端な人に限って 次のようなファインマンの有名なエピソードを持ってきます: 細部は怪しいですが, 大意は合っているはず.
==== ファインマンが学生と議論しようとしていた. 学生が黒板に向かって計算をはじめると, ファインマンがこう言った. 「計算はいい. その現象に対してどんなイメージを描いているのか, それを教えてほしい. その上で議論しよう.」 ====
この話を適当に引用して, 「計算よりもイメージ作りの方が大事」みたいなことを言ったりします.
これ, 本当に本末転倒です. 直観ではどうにもならないからこそ, 数学に頼って方程式を立ててゴリゴリ計算して, その結果を一所懸命物理として解釈するという 戦略を取っているのが物理です.
計算はできて当然, その後にようやく物理がはじまるくらいの気分があり, 計算できない人はそもそもスタートラインにさえ 立てていないと思っています.
前回, 「計算は追えているのか」と書いたのには こういう背景があります.
ディラックの有名な言葉で 「この方程式 (ディラック方程式のこと) は私よりも賢い」 というのがあります.
これはディラック方程式を 一所懸命計算して出てきた結果を考えると 思いもよらない話がいろいろ出てきたという経緯によります.
計算自体が大事な思考様式なので, それが抜けていてはどうにもならないのです. 計算しないのはそもそも頭使っていない, 何も考えていないくらいに思っています.
ファインマンにしても, ファインマンダイアグラムは どんな認識のもとで何を計算しているか 理解しやすくするための方法という側面があります.
経路積分にしても新たな計算手段の提案という側面があります. ファインマンの有名な仕事は どう見通しよく計算するかに焦点があって, むしろファインマンは計算に 一家言ある人とさえ言えるでしょう.
だから計算は大事だし, そのための数学的な足腰から 作ってしまおうと言っています.
ちなみに数学でもこの手の事情はあります. 定理は証明したし例も作ったが, その論文の著者がその例の意義を理解しきれていないという事例があります.
次の河東先生の論文のコメント集を見てみてください.
該当箇所を引用します.
==== 1998 年の春と秋にイギリスでやった. 私の論文中最長のもの. Ocneanu と Xu のやっていることは見掛けはまったく違うが, 同じもののはずだ, という Evans の洞察で始まった. 両方とも私の [18] の 例が元になっているのに, 私はまったく気づいていなかった. それは私は最初 DHR 理論が全然わかっていなかったからだ. ====
一通りの証明が終わったあと, それをどう理解してどう使っていくか, これがまた別の話で, 難しいことがたくさんあるのです.
それはそれとして, ここまで超弦までカバーできるような 厳格な数学的基礎に的を絞りすぎたので, いわゆる物理数学水準にまで厳格さを落とした 講座を作る必要があるな, というのを感じています.
やるべきことはまだまだたくさんあるので, 地道にがんばります. あなたも地道に数学なり物理なり, さらに自分の専門なりを地道に深めてください.
一所懸命宣伝したおかげか, 現代数学探険隊に参加してくださる方が ここ数日でけっこう増えました.
まだもっと増えてほしい, 物理の話ができるくらいの数学の基礎は早く身につけてほしいと思っているので, 改めて宣伝しておきます.
さっさと基本的な数学の足回りは固めてしまいましょう. 急がば回れで, 最初にゴリっとやってしまうのが結局早くて楽です.
ではまたメールします.
昨日のメールでアンケートへの回答に さらに回答がありました. 他の方にも参考になると思うので, メルマガ上でさらに回答します. (購読者アンケートから回答されているので 直接やりとりしようにもできない事情もあります.)
きりがないのでやめておきますが, これでもレベルが足りてないのでしょうか? あと 10 年かかりますか?
いろいろ書いたのですが, 結局, 回答して頂いた方の状態が 全然わからないという一言に尽きます.
あと 10 年というのは 「少なくともあと 10 年は遊び続けられるネタがある」 という話で, むしろいい話だと思っています.
少しずつ突っ込んでいきましょう.
物理に関してどのくらいのレベルなのかは, 情報が少なくても何とも言えません. (解析力学や電磁気の復習がいるという自己認識の時点で 超弦まで数年レベルの距離があるだろうという感じはあります.)
数学としては次のコメントなどから判断する限り, 基礎の基礎から叩き直す必要があります.
そもそも有限の線分を, 点に細分化するという事は, 無限に分けるということですよね. しかし, 有限なものを無限に分ける事自体矛盾しているような気がします.
この誤解に関してはどこからどうコメントすればいいのか わからないレベルです.
そもそも集合の記号自体難しいし, 全単射などは, 知りませんでした.
全単射はともかく, 集合の記号が難しいと思ってしまうようでは, 先は本当に長いです.
誰でもここからはじまるので, いいとか悪いとかいう話ではありません. 単純な事実として 10 年を見た方がいいレベルで 先は長いです.
朝起きてから夜寝るまで物理や数学をやっている, 専門の学生がようやく 4-6 年で到達するレベルなので,
仕事のかたわら趣味でやる大人が 2 倍程度の期間で何とかなるなら むしろ異常なくらいの優秀さだろうと思います.
そんなに自分の物理や数学の理解力に自信があるのでしょうか. それはそれで感心しますが, そこまでできる人に差し延べられる手を 私はもっていません.
そんなにできるなら, 本当に勉強の記録をコンテンツ化してほしいです.
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物理に関してはいろいろな意味で何とも言えないので, 数学サイドからの参考情報を出しておきます.
私の知る限り, 物理ベースで超弦理論に必要な数学として, とりあえず次の江口徹さんの文章があります.
これ, 東大数理の大学院の志望者向けに教官が書いたファイルです. 私が修士の頃にも見た文章なので もう 10 年以上前の文章で, 超弦の発展ぶりからすれば, もっと爆発的に必要な数学は増えているでしょう.
上の PDF には 表現論・複素多様体論・低次元トポロジーと 具体的に書いてあります.
数学サイドからのちょっとしたまとめ コンテンツも紹介しておきます.
7 ページなのでさっと眺めてみてください.
ここで「3 カラビヤウ多様体」とあります. これはいわゆるコンパクト化の 6 次元分にあたる空間で, 複素多様体です.
カラビ-ヤウ多様体はケーラー多様体であり, 第 1 チャーン類が消えることで特徴づけられます. チャーン類は複素多様体上のコホモロジー類として定義されていて, リッチ形式と書いてあるように曲率が重要です.
D ブレーンのところで導来圏が出てきます. これがまた抽象論の極みで, 集合論の記号で難しいというレベルでは あと何年かかるかわかりません.
導来圏周辺だけに特化すれば これ自体は 1-2 年もあれば何とかなるかもしれませんが, 導来圏を使っていろいろやることが目的なのであって, それだけ知っていても何にもなりません.
念のため言っておくと, 大学に入ってから何だかんだで数学を 15 年続けていて, 数学で修士は取っている私ですら, 専門外なので本当に気合を入れて, 腰を据えて挑まないと基本的な文献さえ読めません.
超弦の物理の様子をほとんど知らないので, 「本当にここまでいるのかな」という気はするのですが, どこまで深く理解しているかはともかく, 私が知っている超弦理論周辺の人は 導来圏を名前くらいは確実に知っている感じがあるので, たぶん常識的な数学なのだろうとも思っています.
このあたり, 「ああ, あのことね」とサクっとわかるでしょうか? 少なくともカラビ-ヤウくらいをさっと調べて 感じがつかめないようでは, 物理と並行して数学を勉強する前提だと 5-6 年平気でかかると思います.
他にも連接層の導来圏だとか, シンプレクティック多様体やら何やらいろいろあります. しかも 6-7 ページを見る限り, 物理とダイレクトに対応している部分があるようなので, たぶん知らないと駄目なのでしょう.
あと, ミラー対称性に関して数学者サイドが まとめた文献も紹介しておきます.
952 ページあって, 物理の視点からの話もいろいろ書いてあるようです: 目次のレベルで言っているだけで, 中身は確認しきれていません.
ちなみに私はこれの P.25 からすでに厳しいです. 射影空間や層の基本の基本なら「知って」はいても, 超弦理論の幾何で要請されるレベルの「理解」は持ち合わせていません.
私が想定しているのはこれらをきちんと制御できるレベルです. 私は専門外なので, 理論物理レベルの理解であっても, あと 2-3 年は軽くかかるレベルの話です.
最後にもう一度. 10 年かかるというのは むしろ異常な猛スピードだと思ってください.
物理はおいておいて, 数学だけでも学部 4 年から修士レベルの内容がバンバン出てきます. 理論物理ベースなのでもっと雑な勉強でもよく, 純粋な数学にかかる程の時間はかけなくてもいいかもしれませんが, それでも物理と並行して勉強する前提で どう控え目に言っても 3-4 年はかかるでしょう.
別に研究者になろうというわけでもないなら, ゆっくりであっても何ら問題ないと思うので, 何でそんなに期間を気にするのかよくわからないのですが.
この間メルマガでも書いたように, 3 行の不等式処理に 4 週間かけ, 著者に何度か質問してようやく解決, というくらいの進捗もざらですし, 何でそんなに理解力に自信があるのかが不思議です.
「いつまで経っても進まない」と思って 挫折しないといいのですが.
何はともあれ今回はこのくらいで.
またメールします.
昨日のメールでアンケートへの回答に さらに回答がありました. 他の方にも参考になると思うので, メルマガ上でさらに回答します. (購読者アンケートから回答されているので 直接やりとりしようにもできない事情もあります.)
きりがないのでやめておきますが, これでもレベルが足りてないのでしょうか? あと 10 年かかりますか?
頂いたコメント, 結論としてはこういう回答でした. で, 私の回答を結論から言いましょう. 頂いた文章を私のフィルターで解釈するなら, 十年かかるでしょう.
これ, 読者の皆さんがどう思うかよくわからないのですが, 私はむしろ「10 年は遊び続けられることが確定している」 という認識で, とてもいい話だと思っています.
ぜひやってほしいというか, もっと強く, 勉強の記録を コンテンツとしてまとめてほしいくらいです. それこそ売り物になるでしょう.
ここで私の想定 (要望と言ってもいいかもしれない) は, 物理はさておき, 「理論物理ベースで超弦理論のための 数学も理解しようと思っている」という状況です.
この点からすると, このコメントをされた方, 前回回答した集合論に対するコメントを見る限り, 数学的にはマイナスからのスタートくらいの気分です.
超弦ではなくてふつうに量子力学や相対論というなら 集合がどうのという話はしなくていいと思っていますが, 超弦はちょっとそれだと困るように思います.
少しずつ細かい話もしていきましょう. まずは物理, そして定義の確認から.
マクマホンの本に関する内容で 「こんな内容だった」という文章のまとめを頂いています. これはこれで役に立つ人もいそうなので, 転記しておきましょう.
========引用開始 マクマホーンさんの本は, 読んだことありますか? 僕的には, 簡単だと思って, 以前そう書きました. 第 2 章から本格的になりますが, そこも解析力学的に変分原理で, 相対論的点粒子と南部・後藤のひもの方程式を導出しています. 相対論的点粒子のラグランジアンから, 南部・後藤のひものラグランジアンを推測する部分は, 素晴らしい. 二種のひもを区別する為に, 境界条件の事がかいてある. 力学なら当たり前で特殊解にひつようだから. 天下り的にポリヤコフ作用を紹介. 量子化が, 南部・後藤のひものラグランジアンだと困難だから. 共形ゲージで固定して計算を進める. 光錐座標の導出 作用の書換え→ひもの方程式の書換え 共形ゲージで固定して, ひもの方程式が波動方程式に, 解の形がわかるので, それをモード展開, それぞれ開いてひも, 閉じたひもと. 第 3 章 EM テンソル, ポリヤコフ作用の対称性から連続の方程式が. ここは現代物理的に, ネーターの定理より, 対称性から出てくる保存量を紹介. ゲージ固定として, パラメータ付け替え不変性およびワイル不変性を採用. 第 4 章 ひもの量子化 弦座標 正準運動量 およびひものモード係数に第 1 量子化. モード係数が振動子である事が, 量子力学のハミルトニアンの式からわかる. ヴイラソロ演算子の紹介 後に世界面上の共形対称性から, 共形変換をつくる生成子, これこそヴイラソロ演算子である. 量子論においては, 中心拡大を含み, アノマリーがあるが, 共形場理論的にこのアノマリーが相殺されるのが, ちょうど 26 次元. また EM テンソルとヴイラソロ演算子の関係も重要で EM テンソルどうしの OPE からセントラルチャージの共形アノマリーを確認. →ゴーストの EM テンソルのどうしの OPE の第 1 項と相殺. 質量演算子→スペクトル解析→タキオン状態を確認. 両ひものスペクトル解析を簡単にやってる. 共形場理論の説明. ウィック回転から. 複素変数の導出. →ポリヤコフ作用の書換え→変分原理→ひもの方程式導出 共形変換の生成子, 2 次元共形群, など. ひもの方程式→モード展開 あと BRST 量子化を軽く説明. まず RNS 超弦から. ボソン項に, ディラック場のラグランジアンを追加などです. ========引用終了
超弦の物理, 私はよく知らないので 正しいのか私には判定できませんが, 知っておかないといけないキーワード集としては 役に立つのでしょう.
そういえば, マクマホンといわず, 私は超弦理論の物理の本を読んだことがありません. 大栗さんの啓蒙書をレビュアーとして 読んだことがある程度です. 超弦の数学方面はちょこちょこ眺めています.
それはそれとして.
まず確認したいのは, 上に書いた内容に関して, 計算は完全に追えているのでしょうか?
この計算が追えるレベルにある人が 前回の集合関連のコメントをするとは思えないので, 本当に謎です.
もっと言うと, 上の内容が「わかる」というなら, その時点で私よりも物理も数学もできるとしか思えないです.
そして物理, それも超弦理論のような 非直観の極みのような量子論の分野で 計算を追い切れない状態で 何かを「理解」できるというのが想像できません.
この辺, 「わかった」というのは どう定義されているのでしょうか?
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ここからは数学の話.
私の知る限り, 物理ベースで超弦理論に必要な数学として, とりあえず次の江口徹さんの文章があります.
これ, 東大数理の大学院の志望者向けに教官が書いたファイルです. 表現論・複素多様体論・低次元トポロジーと 具体的に書いてあります.
こういうのがわかっていそうにないのに, 超弦のことが何かわかるのだろうかというのが疑問です.
数学サイドからのちょっとしたまとめ コンテンツも紹介しておきます.
7 ページなのでさっと眺めてみてください.
ここで「3 カラビヤウ多様体」とあります. これはいわゆるコンパクト化の 6 次元分にあたる空間で, 複素多様体です.
カラビ-ヤウ多様体はケーラー多様体であり, 第 1 チャーン類が消えることで特徴づけられます. チャーン類は複素多様体上のコホモロジー類として定義されていて, リッチ形式と書いてあるように曲率が重要です.
D ブレーンのところで導来圏が出てきます. これがまた抽象論の極みで, 集合論で挫折するようでは手も足も出ません.
「ここまでいるのかな」という気はするのですが, どこまで深く理解しているかはともかく, 私が知っている超弦理論周辺の人は 名前くらいは確実に知っている感じがあるので, たぶん常識的な数学なのだろうと思っています.
このあたり, 「ああ, あのことね」とサクっとわかるでしょうか? 少なくともカラビ-ヤウがわからないと 致命的なように思うのですが.
他にも連接層の導来圏だとか, シンプレクティック多様体やら何やらいろいろあります. しかも 6-7 ページを見る限り, 物理とダイレクトに対応している部分があるようなので, たぶん知らないと駄目なのでしょう.
あと, ミラー対称性に関して数学者サイドが まとめた文献も紹介しておきます.
952 ページあって, 物理の視点からの話もいろいろ書いてあるようです: 目次のレベルで言っているだけで, 中身は確認しきれていません.
ちなみに私はこれの P.25 からすでに厳しいです. 射影空間や層の基本の基本なら「知って」はいても, 超弦理論の幾何で要請されるレベルの「理解」は持ち合わせていません.
で, 集合論が記号じたい難しいという人が, 数学や物理の知人が周囲におらず, 指導者も身近にいない状態で大人が勉強を進める前提だと, この内容は余裕で 10 年コースでしょう.
物理の勉強しながら平行して進めることになるのでしょうし, 理論物理レベルのパワー押しですら そのくらいかかっておかしくありません.
期間的な話について, もう 1 つの判定基準を出しておきます. 現代数学観光ツアーが軽く理解できるというなら, 数学としてはあとは幾何だけなので, 大分軽くなるでしょう: 半分にはなるはずです.
物理は物理でまた別なので何とも言えませんが, 数学としてはあと 3 年くらい頑張れば, 論文を読んで楽しめるレベルになるだろうと思います.
この 3 年というのは私が大学院進学レベルで 集中して幾何と代数の勉強をきっちりやれば, そのくらいはいくだろう, という見立ての上での数字です.
現時点の私の数学力と数学への耐性を見込んでこの数字なので, それを越えられる自信があるなら, もっと短期の計画を立ててもらっても構いません.
何でこう言っているかというと, ただでさえ数学の勉強なんてうまく進まないのに, 「想定より遅れている」なんて思ってしまうと, それだけで余計な挫折の原因になるからです.
もっと気長に気楽に構えた方がいいのでは? という感じで.
何というか, 超弦理論のレベルをボディビルダーの コンテスト優勝者レベルと思うなら, 現代数学観光ツアーの前半部分は 腕立 5 回できるくらいだと思ってください. まずは腕立 10 回くらいはできてもらわないと 何も話が通じません.
物理に関しては状況がよくわかりませんが, 数学に関してはこのくらいの状況だろうという認識です. 地道にがんばりましょう.
ではまたメールします.
昨日メールで現代数学探険隊の PDF の連絡をしたら, 新たに何人か購入されている方が いらっしゃいました.
ありがたいですし, 身が引き締まる思いですが, それはそれとして,
クレジット購入された方で, メールがエラーになってしまっている方がいるようです.
販売ページはサイトで公開しているとはいえ, 昨日の今日での購入なので, メルマガ読者の方だろうと思います.
購入の申込なのでおそらく 名前は本名だろうと思うのですが, それをここで出すわけにもいかないし, メールアドレスも出すわけにいきません.
個別でもメールは送ったのですが, 念のためメルマガでもご連絡しておきます.
PayPal からの受領通知が来ているのに PDF のリンク通知が送られてきていない! という方がいらっしゃったら, ご連絡ください.
銀行振込は定期的にチェックしていますが, 振り込んだら連絡入れて頂けるとスムーズです.
一応, 改めて購入ページへのリンクを貼っておきます.
くり返しですが, このページ, 見るだけでも あなたの勉強の参考になるように作っています.
買う買わないは別にして, ぜひ一読してみてください.
ではまたメールします.
予告通り頂いたアンケートに回答します. 現代数学観光ツアーの第 1 回へのコメントでした.
これ, オーバーキルすぎるというクレームを 多数頂いているので, あと一月くらいで現代数学探険隊を 一通り作り終わったら, 物理数学的な内容に特化しつつ, ばらしてミニ講座を作り直す予定です.
それはそれとしてアンケートで頂いたコメントに 回答していきます.
たまにいらっしゃる, 超弦理論に興味があるという方ですね. 超弦を明確に指定されるのには 文系だという方も多いようで, 毎度「そうなのか」と驚きます.
結論を先に言っておくと, 物理・数学を専門にする学生でさえ 4-6 年程度かかるので, 10 年計画で勉強を進めてください.
では具体的にコメントをつけていきます.
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しかも極限, 積分ていう代数的演算が文字通り幾何学との繋がりがわかって,
あくまで数学をやっている立場からのコメントとして, 極限はともかく, ふつう積分を代数的演算とはいいません. 確かに足し算という代数的な演算の極限ではあるのですが.
そもそも有限の線分を, 点に細分化するという事は, 無限に分けるということですよね. しかし, 有限なものを無限に分ける事自体矛盾しているような気がします.
何か根本的な勘違いがあります. 確かに純粋な有限集合は無限個にわけようがありません. しかし, ここで言っているのはそういう話ではありません.
有限の長さの線分とか, 有限の大きさの長方形とかいう意味での有限性を議論しています.
少なくともこの中には無限個の有理数は入っているので, 無限個の点は入っていますし, それらを両端とする区間を考えれば, 区間も無限個あります.
僕は, 大学は文系でしたが, その時から独学で相対性理論を勉強したものです. それ以降, 量子力学から弦理論に至るまで, 色々本をあさって読みましたが, いまいちよくわかりませんが. 具体的な事を言うと, 英語のマクマホーンさんの弦理論は, 読めましたが, ポルチンスキーさんの邦訳の本は, よめませんでした.
マクマホーンの本というのは次の本でしょうか?
「これは読めた」とのことですが, 「読めた」の定義は何でしょうか? 他のコメントを見る限り, この本を読みこなせるような物理・数学力は ないように思います.
むしろ, これを読めるなら 私よりも数学も物理もできるはずで, 私からコメントできることないくらいですね.
それから基礎物理や数学がたりないのではないか? と思い, 力学, 電磁気学, 熱力学, 解析力学, , 数学では, 複素関数, フーリエ解析, 群論ぐらいはやろうと順番ずつ計画してやっております.
物理はさておき, 超弦に必要な数学としては全く足りません.
あと経路積分がいまいち分かりません.
何をもって理解とするのかよくわかりませんが, 複素関数やフーリエ解析がわからない程度の 状態で理解できるものではありません.
あと共形場理論なんかも, 良さそうな本は, 絶版になっていて, アマゾンで数万円になっているのが現状です.
この辺, 詳しいことはあまり知りませんが, ネットを探すと英語の PDF がゴロゴロ転がっているので, そういうのを見繕うのも一手です.
超対称性理論にいたっては, そもそも本があるかどうかさえ, わかりません.
どういう認識なのかよくわからないのですが, ググればすぐにたくさん出てきます.
前提にしていることがたくさんあるので, どんなに低く見積もっても 学部 4 年の物理学科水準の力がないと 読めません.
関根さんには, これについて何か助けて頂ければと思っております.
超弦理論は数学としても物理としても研究最前線で, いわば長い下積みが必要な分野です.
物理また数学漬けの学生生活を送る 物理学科または数学科の学生ですら, 4 年以上かけて辿り着く地平なので, 10 年計画くらいで勉強を進めてください.
あとワークチャットなのですが, iphone アプリ入れたのですが, チャットには入れません. 何故でしょうか?
情報少なくてどうアドバイスすればいいのか よくわからないです.
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ここでは簡潔に回答しましたが, まさにこの手の要望に応えるために作ったのが 現代数学探険隊です.
この講座を受講し終えたとしても, 超弦のために必要な物理は全くカバーできませんし, 何より超弦に必要な数学, 特に幾何もカバーしきれていません.
それでも, 10 年計画のうち, 数学の基礎を作る 2 年の内容としては 1 つきちんと方向を指し示す内容にはなっています.
実際に購入・受講されるかどうかはお好みですが, 勉強の方向性として確実に役に立つ内容になっているので, 下の 2 ページはぜひ読み込んでみてください.
この質問された方に対しては, お勧めは PDF よりも通信講座です. 基本的な集合論などの足腰から鍛える必要があり, 最初からきっちりやってほしいからです.
あと仕組みとして毎週メールで 強制的にコンテンツを送り続けるので, 長い目で見た勉強のペース作りのサポートもできるからです.
超弦理論は数学や物理学専攻であってさえ厳しいので, 啓蒙書を読んで楽しむというレベルではなく, 本気で勉強してみたいというなら, どうしてもそれ相応の覚悟が必要になってしまいます.
その覚悟に応えるための第一歩としての コンテンツは準備しているので, 必要なものはぜひ参考にしてください.
千里の道も一歩からです. めげずにやっていきましょう. 私も引き続きコンテンツを作り続けていきます.
ではまたメールします.
つい先程, 5 週間はまっていた 計 3 行の証明のギャップ埋めに成功し, 現代数学探険隊の偏微分方程式パート, 特にシュレディンガー方程式の解析に関する節を作り終えました. そのあまりの開放感にメルマガを書いてしまいます.
当たり前と言えば当たり前ではありますが, いくつか参考文献を見比べつつ, 講座を作っています.
基本的には以前読んだことがある文献を中心にしていて, 不明点やさらなる面白ポイントがないかを調べるために, 新たな文献も漁るスタイルで書き進めています.
以前読んで完全に詳細まで埋め切っていなかったが, 何とかなるだろうと思っていた文献のギャップが埋められず, 本当に苦労しました.
しかも著者にメールして確認したところ, やはり一部は本の記述が間違っていたこともわかり, そこにいたるまで 2 週間かけていました. あまり詳しく勉強したことがない 調和関数に関する議論がつらく, 非常に苦労しました.
私の専門は大きく言えば解析学ではありますが, 専門外の話題で学部 4 年から修士レベルの内容だと, 本当にこのくらい苦労するのもふつうです.
世間には
「数学がわかる人は わからない人の気持ちがわからない」
とかいうわけのわからないことを 言う人も多いようですが, ちょっと専門外のことを眺めるだけで, もうわけわかりません.
そういうのを伝えるのも大事だろうと思い, あえてメルマガを書いている部分もあります. たった 3 行で 5 週間ですが, よくあることです.
やっている間に微分パートもできたので, 追加コンテンツが入った PDF は, コンテンツ版を購入された方には連絡しています. 値上げもしたので, 新たに購入を検討されている方はご注意を.
ちなみに, もしあなたがまだ このページを見たことないなら, ぜひ眺めてみてください.
買う買わない関係なく, 数学の勉強の仕方のノウハウも書いてありますし, PDF の目次も書いてあるので, それを参考にしてあなた自身の勉強の道筋を つけるのにも役立つはずです.
むしろ, そういうふうにも使ってもらえるようにも 書いていて, これ自身コンテンツになっていると 思っています.
通信講座もあと一月くらいで一通り作り終わるので, 新たな通信講座ネタを考えています. まずはちょびちょび作っている中高数学系の講座の 継続的な調査/開発と, 物理数学系の講座のための基礎知識を持ってもらうための 無料のミニ講座を作ることを考えています.
まずは集合位相ネタと, 微分積分の基礎ですね.
現代数学観光ツアーはハードすぎたので, もっとゆるく, 短いボリュームでいくつか作ってみて 反応・様子を見ていくつもりです.
人口的に言っても当然ですが, やはりゴリゴリの数学よりも, 応用向きというか, もう少し軽めの需要の方が 遥かに高いことも改めて感じたので, そういう方を少しずつ準備しようと思っています.
あと, 現代数学観光ツアーで 何か長めの感想+質問ももらったので, 近いうちに何かしら回答する予定です.
やはり超弦関係やりたい, という話でした. 超弦は辿りつくまでですらハードで, 一足飛びにどうにかなるものではありません.
じっくりやってもらうしかないのですが, その「じっくり」をどう進めるかが問題です.
何度か書いてはいることとはいえ, 私自身勉強を重ねていますし, 多少考えていることも変わっていれば, 知っている参考文献も増えています. その辺を改めてまとめるいい機会と思って回答つける予定です.
ではまたメールします.
ワールドカップ, ベルギーの試合で 盛り上がっていたようですが, 素人が見ても感動するモノが見せられる類の活動, 本当にすごいと思いますし, 数学でそういうことができないかだけを 考えていたい方の市民です.
さて, この間メールで質問が来ました.
いったん回答はしたのですが, 先日も答えるのが大変な質問が来ましたし, 改めて質問フォーマットを作らないといけないか, と思っています. 今回の質問に関して困った点をまとめる形で 注意点を書くことにします.
これ, 私が他の人に質問するときにも大事なことなので.
まず質問は次の通りです.
================================= 位相空間論について学びたいです。 位相空間論について分りやすく説明している教科書や参考書があれば教えてください。 マセマシリーズの純粋数学版みたいなのってありませんかね? =================================
先日も質問に対するコメントで書いたように, 情報が全然ないので意味のあることは何も答えられません. ついでにいうとマセマシリーズは読んだことがないので, 「マセマシリーズみたいなの」と言われても 何もわからないという.
で, 回答です.
================================= 「わかりやすい」の定義もなければ 目的も何もかもわからないので、 何もコメント出来ません。
時々Twitterで数学関係者が話しているように、 抽象性の極みに行かないと見えない世界があって、 そこを得られない限り わざわざ位相空間論をやる意味もありません。
適当に制限されたところでやれば十分です。 目的に合ったレベルの抽象度の本を探して読んでください。 物理のための位相空間とか、 工学のための関数解析だとかモノはいくらでもあります。
ピュアな位相空間論に興味があるなら、 既存の本で良書とされる本を適当に選んでください。 人の趣味もあるので、いい本を適当に選ぶなり、 私が適当な講座の中で紹介している本なりから適当に選んでください。 =================================
あまりに雑な内容で, こちらも回答しきれず, 一次回答として簡潔に書いて返しました.
2 日経ってまだ返事はない状態です. 毎日メールを見る人ではないのかもしれませんが, 返信ないのは失礼ですね.
それはそれとして, 何がわかると適切にコメントが返せるかという観点で いろいろ考えてみましょう.
まずほしい情報として思いつく内容をいくつか列挙してみます.
このくらいのことがわからないと, 意味のある回答は返せません.
それぞれコメントしておきます.
=================================
位相空間を勉強しようというとき, 集合論を知らないならまずそこからです. 微分積分にしてもε-δの認識は前提にしたいし, 線型代数にしても抽象的な線型空間論のレベルで把握していないなら, 位相空間論のための予備知識や数学的体力は 0 と言い切れます.
特に ε-δ と開集合の抽象化への道は かなり強く関係があり, できる説明そのものが強く制限されます. 根本的な言葉そのものが通じない, がんじがらめの状態になってしまいます.
あと「初学者」とかいうのは本当にやめてほしいです. もっと具体的に算数からしてダメとか, 中学数学から怪しいとか, 理工系教養の微分積分や線型代数なら大丈夫だが ε-δや線型空間論はわからないとか, 物理で出てくる範囲のフーリエ変換, ベクトル解析, 関数論は問題ないがそこで打ち止め, だとか, 代数専攻で解析の不等式評価が本当にきつい, とか詳しく書いてほしいです.
=================================
無目的にとにかく位相空間論をやってみたいというなら, とりあえず四の五のいわずに既存の本を読んでもらうしかありません. 私の主観で言うと議論が丁寧で, 議論のギャップが少なく内容を追いやすい本はたくさんあります. (あなたにとって「わかりやすい」かどうかは別です.)
関数解析方面に進むための位相空間論ということなら, 距離空間やノルム空間で十分に慣れてから 位相空間に進む道が考えられます.
点列を一般化したネットやフィルターの収束で 議論を押し切るスタイルさえありえます. 対応するいいコンテンツが思いつかないのが難点ですが.
幾何方面の勉強のための位相空間論なら, やはり開集合の話を素直にやらないと意味がありません.
=================================
これに共通認識があると思っているような 人間と話が合う気がしません. これほど ill-defined な言葉もないでしょう.
タイミングよく次のようなツイートを 見かけたので紹介しておきます.
分かりやすさは聞き手の属性・状況に依存するので、 普遍的な「分かりやすい説明」というものは無いと思います。 相手に合わせて説明内容を変えられる人が 「優秀」とは言えるでしょうが、 それはもう、 「頭の良さ」とは別の「スキル」とでも言うべきものでは。
これがあるので, 上で「わかりやすい」と書かずに 「議論が丁寧で, 議論のギャップが少なく内容を追いやすい本」と書きました. それも, あくまで (今の) 私にとっての話です.
わかりやすいかどうかというより, 私が「ほしい」説明は時と場合によって 次のようなケースがあります.
これ以外には次のようなこともあります.
物理のための数学, みたいなところだとまさにここでしょう.
ちなみに, 私が無料の講座で提供しているのは, 上のリストの前半, 大雑把な状況認識に関わる内容です. 俯瞰してくれるモノをあまり見かけないからです. そして細かく徹底的に, というのが有料でやっている講座です.
わかりやすさをどこに持ってくるかで 回答するべき本やコンテンツが変わります. ほしいモノがあるならそれに見合った精度の情報を 出してほしいですね.
マセマと言っている時点で 中高生とは思えないので, いい大人ならそのくらい言われなくてもやってほしいです. Twitter のような短文しか書けない 伝達手段を使っているわけでもないので.
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これは「マセマシリーズの純粋数学版」と 言ってきた部分とも関係します. 私はこのシリーズ, 一度も読んだことないので, 「みたいな」と言われてもわかりません.
他の知りたいことにもあるように, こういうのがあると, 私と違う世界で生きている人だ, というのがわかります. 私のゴリゴリの数学系の感覚で 回答してはいけないのがわかります.
あと持っている本で「これはこういう理由で いまほしい本ではない」みたいなことも言ってくれないと, 同じ本を勧めたときに「いやそれはちょっと」みたいに言われて, 「それならはじめからそう言え」という話になるので.
「これとこれを読んだが挫折したので, こういう視点で本を探している」というのを出してほしいです.
あと「難しい」とか言われても, 簡単にすぐわかることなど何もありません. それは大学レベルと言う必要すらありません.
どの程度までの苦労ならする気があるのかを はっきりさせてくれないと, 「がんばる気がないなら無理でしょ」と言うしかないので.
こういうの, ダイエットやら筋トレやら, いろいろなスポーツやら何やらと同じです. 最後にはどこかしらで気合とか覚悟が必要です.
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これ, 割と真面目な話なのですが, 「英語はちょっと」と言ってくる人は その時点で敬遠します. 特に自称文系の人に言われたら 瞬間的に怒りのボルテージが高まります.
こういうときこそ, よく批判されている読み書きの英語が 死ぬほど役に立つからです.
それはそれとして, 英語なら本もたくさんあって, しかも世界中の人が本を書いているので, バリエーションが圧倒的に増えます.
例えば次のようなサイト, サービス, コンテンツがあります.
450k Monthly Readers と言っているので, この数字を信じるかはともかく, 一定の読者はいるはずです.
あと実際に本も出ていて Amazon のレビューもいいようなので, そこそこいい内容なのではないでしょうか.
ちなみに私は次の ebook は買ってみました.
正直, いまひとつ私にはピンと来なかったのですが, 世でウケているコンテンツとして 研究する価値はあるのだろうとは 思っています.
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最近, かなり純度の高い位相空間関係の話が 割といろいろなところで使われています.
パーシステントホモロジーは かなりいろいろなところで聞きますし, 私が知る限り, 情報系 (?) で 「ネットワークのトポロジー」というときの トポロジーは位相幾何の意味なので.
既存の本やコンテンツがどこまであるかはともかく, そういうネタを紹介する手掛かりになります.
むしろこういう情報を出してこない人, まともに勉強する気があるのか疑わしいとさえ思っています. 正直, 貴重な時間をそんな人に使いたくないですね.
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応用が目的であっても, 諦めて数学は数学と割り切って数学スタイルで勉強するなら 選べるコンテンツ・紹介できるコンテンツが増えます.
数学分はほどほどに, と言われたら, その時点でほとんど私が知っているコンテンツがありません.
本当にたったいまちょろっと調べたところ, 次のようなページを見つけました: 「topology engineering applications」で調べた結果の 上の方のページです.
厳密にはさっきの話ですが, やはり日本語でいいのが見つからないなら 英語で探してほしいですね.
どうしたって興味関心と仮定できる能力や 時間配分が違うので, 数学者は数学関係者向けにしか書けません. それでもバリエーションは増えてきたと思いますが, 限界があります.
そういえば, 最近次のような本が出ました.
数学者からするとこういう感じになるだろう, という例として挙げておきます. まだ読めていないのですが, 目次を見るだけでも何となく伝わる雰囲気があり, かなり良さそうです.
研究ベースだと「トポロジーうんぬん」というのが 工学系でも割といろいろあるようです.
例えば次のページ.
この辺, どこまで各専門で 学生向けコンテンツに降りて来ているのでしょうか. 専門外なのでこのあたりは様子が見えていません.
いろいろ書きましたが, これ, どこにどうまとめるかを思案中です.
ではまたメールします.
現代数学観光ツアーの終了時アンケートの項目 「この講座に参加してどんな数学を身につけたかったですか?」に, 「数学よりの物理数学 (例えば, ブラケットよりヒルベルト空間論)」 という回答があったので, ちょっとコメントしてみました.
式も少しあるので, PDF にしてあります.
「数学よりの物理数学」という 言葉に対する認識が おそらく根本から噛み合っていないので, たぶんコメントされた方の ほしい情報ではないだろうと思います.
ただ, それでも他の方の役には立つだろうと思ったので. もちろんあなたの役に立つことを願って, メルマガに流してみました.
休日はじっくり仕事ができる日なので, 仕事に戻ります.
ではまたメールします.
さっき Twitter で適当につぶやいたのをまとめたので, メルマガでもシェアしておきます.
この間, アンケートで関数解析のことを書いてほしい, というのが来ていたのにちょっと応えてみた形です.
前も書いたように, ここ 2 年くらい, 現代数学探険隊をずっと作っていて, 関数解析はそっちで嫌というほど議論しているので, メルマガでまでやる余裕がありません.
おかしなことを書くと速攻でツッコミが入ることもあって, Twitter はある程度無責任に書き飛ばせるので, そっちだと時々関数解析系の話もしています.
大半がろくでもないツイートばかりなので, フォローするのは必ずしもお勧めはしませんけれども.
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今日, 宣言通り 若者のための現代幾何入門に行ってきました.
メルマガ読者で参加された方はいたのでしょうか.
今回, 植田一石さんの初観測に成功した (隣に座った) ことも報告しておきます.
当たり前ですが, 専門外もはなはだしいので, 層の定義などのごく簡単な内容だった最初の 2 時間以後, 内容はほとんど全くわかりませんでした.
知識だけはある前半部分でも, 今までピンと来ていなかったことについて, 改めて指摘を受けることで少し理解が深まったところもあったので, 十二分な収穫がありました.
特に Mittag-Leffler の定理の (コホモロジー的な) 意義, 当の昔にわかっていてもおかしくなかったのに, 今日の話でようやく少し意義がわかりました.
よく「数学がわかる人は数学ができない人の気持ちがわからない」 とかいういい加減なことを言う人がいますが, 違う分野の話を聞くだけでちんぷんかんぷんなわけで, 上のようなことをいうひと, 本当にふだんよほど頭を使っていないのだろうと思います.
たった今気付いたのですが, 今日の話の概要はだいたい次のページにある PDF にまとまっているようです.
あとで今日の講演の手書き原稿も スキャンしてアップする, みたいなことも言っていました.
久し振りに東大に行ったので生協の本屋にも行ってきました. 本屋, 本当に物欲が刺激されます.
いくつかほしい本はあったものの, 先日置く場所がないために大量に本を捨てたばかりなのもあり, 買いはしませんでしたが.
本を読んではミニコンテンツやミニ講座を作る, というフローをもっと回したいのですが, やはり本業のせいでなかなか時間が取れません.
数学を本業にできるよう, マネタイズをがんばらなければならないという思いが 日に日に強まります.
ではまたメールします.
Twitter を見ていたら講演会の情報が流れてきたので シェアしておきます.
ちなみにテーマや日時は次の通り.
次のように書かれているので, それ相応の内容です.
講演者には、修論のネタを探している大学院生を念頭に置きつつ、 意欲的な学部生から研究者まで幅広い層に興味の持てるような 講演をして下さいという(やや無茶な)お願いをしています. どなたさまも奮ってご参加下さい.
関東の方限定にはなってしまうだろうと思いますが, 東大観光, そしてふつう滅多なことでは入らない 東大数理観光みたいな感じで 参加してみてもいいのではないでしょうか.
私も少なくとも 6/16 の方は参加する予定です.
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話を大きく変えて. Twitter で前からの知り合いに, 中高数学の復習+Python のお勉強的な感じで, 前からやっている無料の通信講座を勧めてみて, ちょっと感想をもらいました.
第3.5回の「ある程度の食べやすい分量で 毎日少しずつ進むのが大事なのではないか」というところです。 わたしは勢いに任せてやりがちなのですが、 すると復習の時間の確保は難しいわ寝食の時間を犠牲にするわで大変になるので。 ペースの管理難しいですよね。
目の前に大きな(関心の高い?)課題があると平行して 作業を進めるのが難しいこともありますね。 また主観で全然構わないので 方法論的なものを紹介してもらえると嬉しいです。
上の無料の通信講座, 各回の合間に勉強の仕方だとか, ちょっとした tips みたいなのを挟んでいます.
継続は力なり, という話に対して, 21 日継続できればそれはずっと続けられる, とかいう話もあるらしく, 21 日以上の講座にしようと思って, 1 日おきに小ネタをいろいろ紹介しています.
その 1 つがよかったようで.
せっかくなので, 最後にその内容を転載しておきます.
募集ページから登録すれば無料で読めるので, 役に立つかも, と思ったら登録してみてください.
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今回は募集ページでも説明した, 分厚い本を読むのはつらいという話をします. ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ふつう分厚い本はそれだけ説明が丁寧です. 数学はわかりづらい, わかりづらいとよく言われます.
それに合わせて懇切丁寧な本があり, 600 ページを越える本もあります. 参考までに何冊か買ってみましたし, 確かに本当に基本的な内容を こってり丁寧に説明しています.
高校受験用に中学 3 年生の子に 貸してあげたら, それを見た中学生 1 年の女の子が 「説明が丁寧でわかりやすい!」 とかなり気に入ったようです.
そのままその子に貸してあげました. 500 ページくらいあるのに鞄に入れて 学校にも持っていると聞きました.
ただ, そういう本を大人が読むのは つらいこともあるでしょう. 確かに読み進めやすいけど, 分厚いから「まだこんなにある...」 みたいな感じになるようなのです.
本だから厚さはわかりますし, 形式的には「いまこの辺にいる」というのはわかります. しかし数学的な理解の度合いが 読んだ量に比例するとは限りません.
特に微分積分はふつう本の後半に回ります. で, ここがリベンジのメイン, そんな方も多いです. 文系で経済や統計学でも良く使いますからね.
そこに来るまでに挫折してしまうと, 逆に絶望感が深まるのではないかと, そう思っていて, そこへの対策は立てておいてほしいです. この講座はその問題に対する私からの回答です.
ちょっと余計な話もしましたが, 大事なことは, 分厚いのを一所懸命最初から アタックしていくのではなく,
ある程度の食べやすい分量で 毎日少しずつ進むのが大事なのではないか, そういう狙いに基づいて通信講座にしています.
手元に分厚いのがあると, ついつい頑張ってしまう人がいます.
そして最初のペースが保てなくなってくると, 勉強じたいは続けているのに 「最初は頑張れていたのに」と 必要以上に自分を責めてしまって, やる気がなくなる, あなたにもそんな記憶がないでしょうか?
だからもう一定以上進めないように, そして一回の分量は少なめにして 配信していって, 強制的に私の方から ペースを作っていくことにしました.
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ではまたメールします.
メルマガはしっかりしたのを書かないと, という気持ちが強過ぎて, メルマガで全然共有していないので, 改めて軽く進捗をお見せしておきます.
これは会社でプログラマ向けに, 統計学のための中高数学復習勉強会 というのをやりはじめて, そのために作ったコンテンツです.
マニアックなことを書きすぎてしまうのが本当によくなくて, もっとさらっとポイントおさえて書きたいです.
年始に今年は中高数学のやつをきちんとやる, といいつつ, ある程度見せられる形になるレベルでは 思うように進んでいなくて, メルマガとかモニターのやつには全然出せていません.
で, ちょこちょこ作っているのを頭の整理と コンテンツの整理を兼ねつつ, 会社で勉強会の講師をやっている状態です.
これに関係するコードの整理もやらないといけません. ちなみにコードは GitHub の次のところに置いてあります.
近々もっときちんと整理する予定です.
今回はこんなところで.
ではまたメールします.
久し振りに量子系の話をしたら, その筋の人からいくつかコメントもらいました. 共有するのをサボっていたので, いい加減共有します. あと, 最後にいくつかコメントもらっていることがあるので, それに回答しておきます.
まずウィッテンがまた情報系のプレプリントを出しました. (という情報を 2 人から教えてもらいました.) (さらについでに言うと, Twitter でも話題でした.)
まだ全く読めていません. 古典系の話から量子系の話までありますし, 情報系の話は本当に何も知らないので, このくらいはおさえないとまずいのだろうとも思っています.
とりあえず, ふだんから 「雑な勉強法はそれはそれで大事」 「言葉だけでも知っておくと深く勉強するときにも役に立つ」 みたいなことを言っているので, 言葉だけでも改めて確認するために 流し読みしようとは思っています.
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で, その他にいろいろ教えてもらったことがあるので, 共有しておきます.
原・田崎イジング本の謝辞に名前がある, という話をしましたが, 共立出版のイジング本のサイトに序文の PDF があって, それに名前きちんと書いてあることを教えてもらいました.
これ, 確か前に Twitter で 田崎さんに直接コメントもらった記憶も思い出しました.
あと量子情報あたりの文献やコンテンツに関するいろいろな情報です.
私も数理科学の量子情報と物理学のフロンティアを買いました。 以前のメルマガで河東さんの講義の動画の情報が知らなくて有益だったので、 今回の数理科学の記事に関係しそうな動画の情報をおくります。
まず、吉田紅さんの講義がPerimeter研究所のVideo Libraryで見れます。 少なくともToric Code とColor Codeを扱っています。吉田紅さんの講義は7回目からです。 https://www.perimeterinstitute.ca/video-library https://www.perimeterinstitute.ca/video-library/collection/iqc-quantum-error-correction-gottesman-and-yoshida
他にペリメータのVideo LibraryにはMARTIN-MARTINEZさんの相対論的量子情報の講義などもあるようです。 https://www.perimeterinstitute.ca/video-library/collection/psi-2017/2018-relativistic-quantum-information-martin-martinez
Tensor Networkに興味をもった方には、 物性研の研究会の動画があるので、紹介した方がいいかもしれません。 http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/public/tnqmp2016/program.html
Twitterで流れていて未視聴ですが、youtubeに 大栗博司さんのEntanglement and Geometry 01-04があるようです。 https://www.youtube.com/watch?v=f_TmZZ9zBzc
無料で読める量子情報の文献情報です。こちらも共有します。 Preskill以外の文献は正式に出版されたもののドラフトです。 Preskillのものも出版予定だと思います。
John Watrous : The Tehory of Quantum Information https://cs.uwaterloo.ca/~watrous/TQI/
M M Wilde ; Quantum information theory のarXiv のDraft版 From Classical to Quantum Shannon Theory https://arxiv.org/abs/1106.1445
John Preskill http://www.theory.caltech.edu/~preskill/ph219/index.html
藤井啓祐 Quantum Computation with Topological Codes https://arxiv.org/abs/1504.01444
あとこんなのも.
私は既存の教科書だと、次の2冊がいいと思うのですがどうでしょうか? 2冊ともあまり和書には書いていない話題を扱っています。
Ballentine, Quantum Mechanics: A Modern Development http://amzn.asia/7ntZVhk
Peres, Quantum Theory: Concepts and Methods http://amzn.asia/5mRZqsE
紙面の関係でどうしても話題が少なくなるので、 量子情報は量子情報の教科書で学んだ方がいいと思いますがどうなんでしょう? 量子情報のための量子力学なら量子情報の教科書にブラケット記法の説明などとともに書かれています。量子情報の教科書で説明されている純粋状態と混合状態、密度行列、量子測定理論(POVM測定など)、量子エンタングルメントなどの量子力学版が欲しいのでしょうか? 量子力学基礎論はどのような内容が知りたいのでしょうか? Bellの不等式、Marminの魔法陣、Kochen Speckerの定理、量子測定理論、一般確率論とかでしょうか?
あと何か表現論関係の話.
SPT相関係で射影表現が出てくるのは、 確か前メールで送った物性研のテンソルネットワークの研究会の押川正毅さんの講義にも出てきたはず(うろ覚え) または、2015年の千葉大学での戸塚圭介さんの集中講義の資料の第4章 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~keisuke.totsuka/lecture_notes.html
田崎さんと戸塚さんの両方で参考文献として挙げられているのは、 D. Perez-Garcia, M.M. Wolf, M. Sanz, F. Verstraete, and J.I. Cirac, String order and symmetries in quantum spin lattices https://arxiv.org/abs/0802.0447
ここら辺は以下の出版された教科書のドラフトで勉強をしようと 思っているのですが、時間がとれていないのが現状です。
Peter Woit Quantum Theory, Groups and Representations: An Introduction http://www.math.columbia.edu/~woit/QM/fall-course.pdf
表現論の件ですが、 杉浦・山内の「連続群論入門」 は図書館で借りてきました。 時間がある時に読みたいと思います。
林正人さんの「量子論のための表現論」は、 中古を持っていて読んでいなかったのですが、 今見ると射影的表現と書かれて射影表現の説明が書かれているようです。 こちらから、読んでみようと思います。
また、昨日か今日のarXivのWitten のA Mini-Introduction To Information Theory https://arxiv.org/abs/1805.11965
に林正人さんが謝辞に名前が出ています。
メルマガを読んでいる方, 時々ゴリゴリの研究畑の人もいるので, そういう人には多少なりとも役に立つでしょう.
あなたがもしそちらの畑でなくても, 研究者が見ている世界を垣間見る機会なので, 無料のやつはどんどん触れてみてください.
みながみな, 1 から 10 まで隅々まで 論文を理解したいというわけでもないですし, 何となく雰囲気がわかるだけで 楽しいし十分ということもあるでしょうから.
ちゃんと理解したいと思うのなら, ちゃんと数学または物理をやってもらうしかないので, がんばって勉強しましょう.
現代数学観光ツアーの最後に文献案内をつけているので, それでぽちぽちやってください. いま見たら物理の文献, 全く書いていないですね.
次のページにいくつか情報を載せているので, 必要なら適当に眺めてみてください.
有名だからとりあえず突っ込んだだけの本も多く, 必ずしも全部は読んでいませんし, 読んだ本も隅々まで読み込んだわけではありません.
もちろん必要なら現代数学探険隊も使ってください. 通信講座と PDF コンテンツ販売両方あります.
「よくわからん」と言っておくと, 勝手にいろいろ教えてくれるこの状況, 本当に最高なので, あなたも積極的に情報発信して仲間を作りましょう.
知人 (と言っていいか微妙ですが) が次のように言っていました.
インターネットだと, 発言しない人は生きていないのと一緒.
この人, ネットを使ってビジネスを展開している人で, そういう文脈での発言でもあります. ただ, やはり存在を示さないとどうにもなりません.
ほしいものがあれば, きちんと手に入れようとがんばらないといけなくて, 奇蹟を待っていてもどうしようもないという, 身も蓋もない現実です.
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ここからは頂いたコメントに対する返信です.
数学でも確率、ギャンブル学に興味があるのですが、 確率や統計について初心者が学びやすい本などはありますでしょうか?
ギャンブル学, ちょっと調べたのですが, これ, 「数学」ではないですね.
あと, 何でもかんでも知っているわけでもないので, こちらがギャンブル学について知っているような前提で 書かれるとすごい困ります.
あと初心者というのも, 小学校の算数も覚束ないと言う人から, 大学の数学はよく知らないという人までいて, どこを想定すればいいのかもよくわかりません.
ギャンブル学が何かもよくわからないし, 出ている情報も雑で, 詳しく聞き取るのもめんどいので, 回答は断念しました.
あまりにも厳しい.
そしてもう 1 つ.
関数解析の事も書いて貰えたらいいと思います。
何か継続的に似たタイプのコメントが来るので, 多分同じ人だと思います.
ここ 2 年, 現代数学探険隊で関数解析の話を延々書き連ねていて, メルマガでまで書きたくないという感じがあります. メルマガ, やはりまとまった情報を出すために使っていて, 書くのにかなりの気合と時間がいるので.
Twitter はちょこちょこ書き飛ばせるメディアなので, そちらを見てもらえば多少はカバーできるだろうと思います. 実際, この間も関数解析とか作用素論的な つぶやきを見てコメントしたりしていたので.
関数解析について言いたいことは 現状, ほぼ全て現代数学観光ツアーにまとめてありますし, 本質的にそれを越えることは言えないので, 受講していないならぜひそちらを見てください.
これ, 私が知っていることは とにかく叩き込んであります. そのせいで挫折者が増えすぎたらしくて実にアレですが.
もっときちんと知りたければ, 先程と同じく, 参考文献を案内しているので, そちらを読んでみてください.
ネットに (多分ちょっとアレな感じで) 落ちている 本も紹介していますし, どうしてもお金が作れないという状況でも それでカバーできるはずです.
お金をつめるなら現代数学探険隊を受講してください. 集合論の時点から関数解析との関係を 延々と展開し続けています.
このへん, 「それならこれ読んで」 と言えるコンテンツを準備しておいたので, だいぶ楽になりました.
まだまだバリエーションが少なすぎるので, もっといろいろ作りたいですし, 早く現代数学探険隊のコンテンツは作りきりたいですね.
https://github.com/phasetr/math-textbook これも海外の人の watch もあったりしますし, 英語のコンテンツも作って世界展開もやってみたいですし.
夢と希望だけはいくらでもあるのですが, 時間と資金がないというアレです. 私もいい年なので, 本気で数学によるマネタイズをしっかりして, 数学をきっちりやれるような体制を作らないといけません. 引き続き地道にマネタイズを模索していきます.
ではまたメールします.
きちんと紹介しているところがあまりないので, 改めて簡単に案内しておきます.
あまり自分のコンテンツを体系立てて紹介していないのは よくないな, と思っていたところで, さっき現代数学観光ツアーのアンケートで 次のような回答が来ていました.
「数学や物理を勉強したいが, どこから始めれば良いのか分からないので, きっかけとして」
この間も Twitter で少し話をしたというのもあり, 簡単にいまある講座を紹介しておきます.
次のページにまとまっていて, 最後のごついやつ (現代数学探険隊) 以外は無料です.
数学と物理の手始めということなら, 次の「応用からの中高数学再入門」がおすすめです.
詳しいことは登録ページを見てください. 最近, 次のようなコメントも頂いています.
全く同じ内容のコンテンツを 次のページでひとまとまりの PDF にして出してみています.
プログラミング言語 Python を使ったシミュレーションも つけているので, プログラミングで遊んでみたい方の 導入としてもいいだろうと思います.
あと, 中高の数学はこんなところでこんな役に立っています, というお話だけ (式は出てこない) 講座として 「中高数学駆け込み寺 役に立つ数学」というのも作っています.
これは上のと逆に, 最初, 中高生またはその親向けに Kindle 用に作って, 今も有料で売っている電子書籍の内容を, そのまま無料の通信講座にしています.
現代数学観光ツアーは, 当初, 適当に要望も聞きながら作ったとはいうものの, 当時はゴリゴリの数学/物理系の人向けだけが集まっていたので, 内容と方向性もそうなってしまっています.
新しいのを作りたいと 2 年くらい言っていて, 有料の通信講座を作るので手一杯で, 新しいのが作れていません.
現代数学観光ツアーは, 本当に学部 4 年分の解析学を一気に眺める内容で, あれで何かが理解できるということはありません. 登録ページで書いているように, 大きな流れを掴んでもらうことだけを意図しています.
式をもっと入れてほしいという, 正直よくわからない要望もあったのですが, この講座の目的はそこではないので. やるなら新しいミニ講座をたくさん作って, そっちでやります.
ちなみに, きちんと理解してもらうことを目的にするなら, 現代数学観光ツアーみたいに雑にやらずにもっときっちりやりますし, その結果が現状 3000 ページ近くある「現代数学探険隊」の内容です.
これだけ書いてもまだ現代数学観光ツアーで書いたことを 5-6 割かそれ以下の内容でしかありません.
取り急ぎ, アンケートに対して簡単にコメントしておきました. 平日, 配信するべき内容をサボっていた分がいくつかあるので, またあとでいくつかメールします.
Twitter で話題だったので, 数理科学 6 月号を買ってみました.
この特集が今回のメルマガタイトルです.
執筆陣が Twitter にもいる人だったり, 実際に見たことあったり会ったこともある人だったり, 指導教官だったりでなかなか楽しいです.
今月から会社の勉強会で 「統計学のための中高数学復習」講座をやっていて, 記事によっては統計や情報系の様子を 見るのにも微妙に役立つようです.
河東先生が出てきていることからも, 物理的にも数学的にも専門と割と近く, その意味でも楽しいです.
本当に適当に, いくつか備忘録がてらの メモも兼ねてコメントしておきます.
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まず, トップの上田先生の記事. ゲージが大事でその幾何構造が大事, というのがのっけからあり, 最近の動向にも合わせるなら, 量子系の議論にももっと幾何的な視点を 取り入れないと駄目っぽいです.
現代数学探険隊の探険パートにも もっと幾何のコメント増やすようにしましょう.
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沙川さんの記事, P.20 の 注 19 で次のような記述がありました.
ただし定理 1 を連続変数 ($L^1$ 空間) に拡張するには, Hahn-Banach の分離定理など関数解析が必要である.
いまはやりの量子情報でも, 多少なりとも関数解析の話が出てくるので, 通信講座なりコンテンツなりで 量子系の数理といって関数解析やっているのにも 多少は意味を感じてもらえるのではないかと思います.
ちなみに沙川さん, 作用素環のノートだとかも公開しているので, もしあなたが興味あるなら覗いてみるといいでしょう.
ただし英語です. ぽしゃるかもしれない検討中の企画の内容を ぼろぼろ出していいのかという気はしますが, 先日から言っている院生さんの勉強ノートは 日本語で作用素環の基礎もすっきりまとまっていて, この特集内でコメントがある冨田-竹崎理論などまで 書いてあります.
改めて眺めているのですが, 趣味が近いこともあり, 解析学特化のコンテンツとしては かなりお気に入りなので, 何とかして公開/販売したいですね.
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この記事, いくつかスピン系に関する記述がありました. 特に吉田紅さんの記事ではトーリックコードのループ, みたいな記述があります.
これはイジング模型の中で, 確率幾何とか何とか言われているようで, いろいろな議論があります.
この点に関する解説として, 次の原・田崎の本を勧めておきます.
これはイジング系に特化させた, 数理物理的に徹底的な解説です. 以前にこの本の公開査読をやっていて, それに参加していまして, 謝辞のところに私の名前が載っています.
ただ, 出版されたときは絶望的にお金がなくて買えず, それ以来何か買うタイミングを逃したままになっていて, 自分できちんと確認していません. 田崎さんから載っていると Twitter で教えてもらったのでちゃんと載っているはず.
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大栗さんの記事は, この間紹介したウィッテンの話とも関係あると 思っていいのでしょうか. タイトルとしてはそういう印象を受けます.
これのイントロ, かなり明快でよく書けている気がします. 私はごく単純な特殊相対論的な 場の量子論しか知らないので, 一般相対論と量子論ミックスで起きる現象の 困難の一端がちょっとわかりました.
具体的には P.47-48 の ブラックホールに関する記述です. ちょっと引用しておきましょう.
一方, 相対性理論では, エネルギー $E$ は 質量 $m$ と $E = mc^2$ と関係しているので, ある領域にエネルギーが集中していると, その領域は大きな質量を持つことになる. エネルギーを高くしていくと, その領域はブラックホールの事象の地平線に包まれ, 外部からは観測できなくなる. エネルギーが高いほど, 事象の地平線に包まれる部分は大きくなる. つまり, 高エネルギーの現象が, 事象の地平線の存在によって, 短距離の自由度を隠してしまう. これは高エネルギーにいくほど短波長の自由度が重要になる, 量子力学からの期待とは異なる.
イントロ最後の次の記述も, 物理の人から言われると不思議な感じがします.
この応用の例として, 重力を含む有効理論が数学的に整合性を持つ理論に 昇華されるための判定条件について最近の研究を紹介しよう.
あとこの記事, 専門外であることもあるのか, 物理的な概念に数学が強く絡んでいることにやたら目が向きます.
例えば P.48 右下方の 「その非自明な表現に属する物質」というところ. これは対称性を表す群があり, その群の表現に関連した概念で, これを「表現に属する物質」と書いているわけです.
3 節, AdS/CF 対応と量子誤り訂正符号の話, 作用素の表現論が出てきていて, これ, まさにどストレートに趣味のところで楽しいですね.
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河東先生の記事, 以前メルマガだかどこかでも書いた, とても大事なことがあるので, それを引用しておきましょう.
有限次元んでも十分に難しく, また興味深い現象が起こるのである. 上述のチョイの言葉として, $2 \times 2$ 行列はかなり易しいが, $3 \times 3$ 行列は十分に難しく, 無限次元に近い, というものがある.
私は昔, 大学 1 年生のときの広義で, 微分積分学は底が深くずっと先までつながっているが, 線型代数学は底が浅い, と言われたこを覚えている. 今考えてみるとそのような見方は全く間違っていると思う.
P.63 で冨田-竹崎理論が出てくること, 相対エントロピーの話が出てきます. これは先日のウィッテンの論文でも出てきた話題です.
相対エントロピーというと, 私は修士の頃に読んで, 実際に修論の発展形でも少し使った 次のレビューの論文を思い出します.
1 つ目のリンクが何というか正式版で, 後 2 者がプレプリントです. 2 つ目は mp-arc というプレプリントサーバーにあるページです.
これは非平衡統計力学での平衡への回帰を扱った論文で, 数学的に重要な拡張が議論されています. いろいろなところで何度か紹介している論文です.
この論文, 実際にセミナーでも読んだ論文です. 最初は他の本のセミナーをやっている裏で 予習しながら読んでいたのですが, ある 1 行がどうしてもわからず, 1 ヶ月くらい悩んでいたことがあります.
ダイソン級数という, 物理の形式論でもよく出てくるタイプの級数が出てきます. これ, 以前京大 RIMS での量子場の数理に行ったとき, 新井研の臼井さんの講演でも出てきて, 有限温度版で似たのがあると言って紹介したことも思い出しました.
同じく新井研の臼井さんと二口さんの arxiv のプレプリントへのリンクも適当に紹介しておきましょう.
プレプリントが 2015 年で止まっているの, もう研究やめてしまったのかと心配になりますが, どうなんでしょうか? 適当にしか探していないせいで 見つけられていないというだけならいいのですが. 下の 2017 年の研究会のやつを見る限り, 臼井さんは生存しているようです.
記事に戻って. 4 節のコンヌの埋め込み問題の話, なかなかすごいことになっているようで.
作用素環専攻だったのに作用素論とか, 非相対論的な場の量子論や量子統計ばかりやっていて, ほとんど作用素環らしい作用素環を知らないのですが, 改めてもっときちんと数学としての作用素環やりたいですね.
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あと, 番外編として, 表紙裏の SGC ライブラリーの近刊, 「物性物理のための場の理論, グリーン関数」がちょっと気になります. 結局, 大学院レベルの物理, 特に 1 番趣味の物性理論が いまだにほとんどわかっておらず, 勉強し直したいとずっと思っています.
早く通信講座の基本的な執筆を終わらせて, 新しいことやりたいですね. もうそろそろはじめて 2 年になりますし, 自分自身再勉強にもなるので 飽きることは全くないものの, 小さめの新しい企画をたくさん立てて回したいです.
最近, 通信講座の関係で, 解析学に関する基本的な足回りは固まりつつあり, 通信講座の探険パート執筆のための 幾何の概要に対する知見も増えていますが, やはり新しいことをもっと組織的にやらないと, そしてやり続けないと駄目な気がしています.
量子力学もきちんと勉強し直したいです. 以前 Twitter で東北大の堀田さんに, 量子情報や量子力学基礎論的な話題も盛り込んだ, 新しいタイプの教科書ないですかね? 的な話をしたことがあるのですが, そういう教科書がほしいです.
量子相転移と絡めた量子 1 次元系であっても circuit QED だとかいろいろな進展があり, 形式的には (行列係数の) 常微分方程式で済む事情もあり, 入門レベルの話題ももっといろいろ選べるように思います.
通信講座のコンテンツを一通り作り終わって, 時間をもっと使えるようになったら, 自分の勉強も兼ねつつ, 小さなコンテンツをたくさん作っていきたいです.
死ぬほど時間がほしいですし, 時間を自由に使えるようにするために, 金銭的な自由も大事だな, と最近本当に強く思っています. 数学徒にもできる副業的なところは もっと開拓していきましょう.
ではまたメールします.
連投に連投で申し訳ないのですが, 質問が来ているので回答します.
「私にもついていけるでしょうか?」という質問を頂きました. ちょっと意図をつかみかねているのですが, まず今回案内した PDF 販売に関しては, 本を買うのと同じだと思ってください. 自分のペースで勉強してくだされば問題ありません.
これがもし「難しそうな内容の本についていけるだろうか?」 という話なら, 基本的に証明はこってりと書いているので, ある程度数学ができる人からすれば 回りくどくて鬱陶しい, もう少しすっきり書いてもらえないだろうか? と思われるようなレベルの丁寧さだとは思っています.
もちろん, それでもいくつか質問を頂くので, そのたびにちょこちょこと記述を修正しています. 記述が詳しくなる方向の修正です.
当然といえば当然なのですが, 質疑のやりとりをしていて, 私もかなり発見があります.
「ここは区別して書かないと, 慣れていない人は混乱するのか」 と言った知見も少しずつたまっています.
頂いた質問とそのやりとりそれ自体も PDF に収録しているので, それも参考になるだろうと思います.
何にせよ, 証明や議論は丁寧に書いているとはいえ, 現代数学観光ツアーのような適当に面白いところだけ 読んで楽しんでもらえれば十分なコンテンツと違い, 現代数学探険隊はゴリゴリの数学科の数学を厳格に展開しています.
それを本当にきちんと理解してもらうことを目的にしている以上, あなたに一定の決意と覚悟を要求せざるを得ない部分があります.
それについては, 究極的にはがんばってください, としか言えません. 「誰にでもわかる」なんていい加減なことはいえません. こちらから出せるものは絞り出しています.
そもそもとしてこってり系のコンテンツをほとんど作っていないので どのくらいの感じか, サンプルをお見せできなくて申し訳ないのですが, 費やしているページ数という形で丁寧さを表現しておきます.
ふつうの本, 例えば有名な松坂和夫「集合・位相入門」が 320 ページ程度で集合・実数・位相を 一通り議論しているところ, 現代数学探険隊では A5 の大きさで, 集合論で 400 ページ, 実数論で 140 ページ, 位相空間論で 590 ページという感じです.
ルベーグ積分も 656 ページあります. 関数解析も本によっては 100 ページ程度で さらっと終わらせる内容を, 量子系の具体例の解析も込めて やはり 400 ページ近く使って議論しています.
復習や探険パートで重複する話題を 何度もしている分も含めての長さですし, 何より長ければいいというものではありません. それだけ通読するのが大変ですから.
私としてお勧めの使い方はやはり辞書ですね. 頭から読んでいくのは大変と思いますが, 辞書として適当につまみ食いすると楽しいと思います.
何か質問があれば何らかの手段で連絡してください. ではまたメールします.
連続で申し訳ないのですが, 現代数学探険隊 PDF 販売に関して 質問が来たのでいくつかお返事しておきます.
まず銀行振込に対応しました. 今回, 通信講座の方の現代数学探険隊と違う 決済系のテストをしていて, 銀行振込は自分で手動確認します.
ちょっとタイミングが遅れると思いますが, ご了承ください.
で, もう 1 つ. 次のような質問が来ました.
該当分野に関するメールでの質問は可能とのことでしたが, スカイプなどでの質問は受け付ける予定はないのでしょうか? メールでは, どうしても限界があると思いますので.
これは非常に際どい質問なので, 考えていることをきちんと書いておこうと思います.
まず, 最初のところにコメントしておくと, 「該当分野に関するメールでの質問は可能」 とは書いていないはずです.
「PDF コンテンツの内容に関する質問はもちろん可能」と書き, 次のように書きはしました.
PDF コンテンツ以外の学習相談をして頂いても構いませんが, 内容によってはお答えしない・できないことがあります. 例えば私が作った PDF コンテンツ以外のコンテンツ以外への質問は原則としてお受けできません. ただし, 「ある本にはこう書いてあり, それはこの PDF の記述とは矛盾するようだ. どう理解すればいいのか」といった質問にはきちんと回答します.
該当分野というのが何を指すか不明瞭です. そして危険です.
例えば線型代数と言われても, 正標数の世界の話や p 進の話は入門レベルでも 私は耐え切れないでしょう.
p 進については強三角不等式の世界は 実数/複素数の世界と本質的に大きく違っていて, 本当に私の直観が効きません.
p 進の人も「実数は異常で本当に気持ち悪い」と 良く言っていますし, 線型代数であってすら少し外れるだけで, もう私の制御圏外です.
あと, いまのところ Skype はやる予定がありません. 募集ページにはっきり書いていなかったかもしれませんが, 現代数学探険隊の通信講座の方では, 宿題提出でポイントがたまる仕組みになっていて, たくさん出した方にはポイント消費で Skype なりで直接質問できる機会を提供するようにしています.
Skype だと時間を合わせる必要があり, その時間調整も必要で, さらにどんな質問が来るかわからないので 答えきれないことも増えるだろう, という事情があります. その他, これから書くように, いろいろな負担があって厳しいです.
これ, 特に情報発信をやっていこうという方には 特に参考にしてもらいたいのですが, 常識的に考えて, 1 章 4000 円相当の 売り切りコンテンツのサポートで, そこまでやると, プライベート含めて 本当に生活に差し障りが出ます.
最近, 労働問題がいろいろ取り沙汰されているように, 「安売り」するとそのサービス維持で身体も心も壊します. 自分が壊れるだけでも問題ですが, 数学のサービスが完全に展開できなくなり, 多方面に影響が出てしまいます.
だから「安売り」はしません. 他の「お客さん」にとって明らかに不利益になるからです.
参考までに, 通信講座の方でも 比較対象に出している「和」のサービス内容と 金額を改めて紹介しておきます.
受講チケット 50分チケット1枚あたりの料金 7,000円~
「和」はリアルの教室で, 場所による間接経費込みの値段であることもおさえつつ, 50 分で 7,000 円「から」という値段設定であることを 考えてみてください.
Skype 相談にしても, 本来このくらいの価値がある対応だろうと思います.
実は以前, 相談だけもらって 結局連絡が来なくなったためにぽしゃったのですが, 個人指導するという話がありました.
このとき「1 時間いくらでどんな質問でもしていい, というような指導は無理か?」との相談を受けました.
これ, 質問者側からすれば, その 1 時間を有効活用するために いろいろと質問をしたくなるでしょうが, 質問を受ける側からすると本当に大変です.
ぱっと答えられることばかりではないですし, 事前に準備しておいてそれに回答, とすると, 今度は準備で膨大な時間を使います.
1 時間の話をよどみなく効率的にやろうと思うと, 準備にかかる時間は 3 倍ではきかないでしょう. 実際, 文章にすれば 3 行の回答を作るのに ほぼ 1 日費したことがあります. この 1 日は休日の朝起きてから夜寝るまで, というレベルの「1 日」です.
1 時間 5,000 円にしても 準備 3 時間+1 時間の質問タイムで計算すると, 時給たったの 1,250 円です. これはどう考えても割に合いません.
私もそうなのでよくわかりますが, 数学・物理系の人達はお金の話を嫌います. 「そんなにお金が大事か」という方もいらっしゃるでしょう. あなたもそうかもしれません.
しかし私が潰れるといまやっているサービスも 全て潰さなければならなくなります.
本当にサービスを長く続け, 仲間を増やしていきたいなら, 自分を強く守る必要があり, それは譲ってはいけない線です.
だから, PDF コンテンツの内容に限定してしか 質問を受け付けない, という厳しい制限をつけてもいます.
そしておそらく, この値付けを私の知り合いに言うと, 「安売りしすぎだ」 「お客さんのこと, 本当に真剣に考えてる?」 と怒られるだろうと思っています. 「そのサービス回せる自信あるの? 無責任だよ」 とまで言われるかもしれません. そのくらいかなりギリギリの線でやっています.
自分でも何かをやってみたいという方, この辺に気をつけてサービスを組み立てるようにしてください.
「このくらいならいいだろう」という無理が つもりつもって心身を壊してしまって, そのサービスが続けられなくなっては あなたのサービスを楽しみにしている 他の「お客さん」にとっても不幸です.
私はこれで本当に数学や物理を専門にしている人が, その専門性を武器に食っていける道を 作ろうと思っています.
お金の話が苦手な, 本当に純粋な人達が, 罪悪感を感じないどころか, 喜んでお金をもらって, 相手も幸せにできるような道を作ろうと思っています.
そのためにも安売りにつながりかねないところは 譲れない一線です.
いま次の展開として, 先日お話した, 関数解析系, そして量子系の数理を専門とする 大学院生の勉強ノート販売について 案を練っています.
当人が私と方向性が一緒と言っているくらいなので, 内容じたいも本当に好みの方向で, あなたにもぜひ紹介したいですし, 何より, 上で書いたように学生さんの 学費の足しにもなるようにしたいですし, 考えることがたくさんあります.
近いうちにそちらも案内するので 楽しみにしていてください.
ではまたメールします.
先日, ウィッテンの場の量子論と 量子情報理論の論文を紹介したとき, 紹介するのを忘れていた気がするので, 改めて紹介しておきます.
2018-04-9~13 に, 京大で河東先生が 代数的場の量子論に関する集中講義をしたそうです.
私は河東研の学生だったにも関わらず, 学生時代に河東先生の講義を受けたことがありませんでした.
講義がうまいというのは聞いていたのですが, 修士修了後, Summer School 数理物理で はじめた講義を聞いて, いや, これはすごいと感心したのを覚えています.
で, 今回紹介する講義も非常にクリアな講義で, さすがです.
時間が取れず, まだ 2 回目までしか 見られていないのですが, 専門がかなり近いという理由はあるにせよ, かなりの名講義です.
先日案内したウィッテンの論文ともども, ぜひ勉強してみてください.
この論文も何かコメントなり 解説書こうと思ったのですが, これ以外のコンテンツ準備で時間が取れず, 頓挫したままです.
先日も「もう無料の通信講座は作らないんですか?」 という問い合わせも受けてしまって, 作りたい作りたいと口だけになってしまっているのが 悲しいです.
今年で有料の通信講座のコンテンツ作成に けりをつけて, 新しいことやりたいですね.
そして念のためもう 1 度. 昨日連絡した現代数学探険隊の PDF コンテンツ販売, まだ見ていないなら ぜひ次のページを見て内容を確認してください.
数学や物理を勉強する上で 参考になることを書いているので, 必ず参考になるところがあるはずです.
ではまたメールします.
大分時間がかかってしまいましたが, 現代数学探険隊の PDF コンテンツ販売の準備が整いました. 次のページを見てください.
何度かご案内している現代数学探険隊ですが, いくつかのコメントを頂いています.
その中で特に次のようなコメントがありました.
=========== 自分のペースで勉強したいので 通信講座に対しては興味ないが, コンテンツ自体には興味がある, ===========
=========== 知っている分野をいちいち再勉強したくはないが, 知らない分野のコンテンツはほしい. ===========
そんなご要望にお応えして, 今回, 現代数学探険隊を PDF コンテンツとして 販売することにしました.
他の無料コンテンツや通信講座の募集ページと同じく, このページだけでも数学や物理を勉強する上で ヒントになることがたくさんあります.
ぜひこのページを読み込んで, あなたの数学ライフに活かしてください.
ご自分でも通信講座やコンテンツ作成, 数学や物理の情報発信をしてみたいという方も 何人かいらっしゃいます. そうした方にとっても参考になるはずです.
言うべきことはこのページに盛り込んであるので, 今回はこのくらいにしておきます.
ではまたメールします.
最近, 無料講座へのアンケートに ほとんどコメント返せていないのですが, 全く返さないのもさみしいので, ピックアップしてコメントします.
何度でもくり返して言い続けるべき 大事なこともあるので.
最近, また 60 代, 70 代の方からのコメントあって, 私もここまで生きて数学と添い遂げたい, という気持ちを新たにしたこともあり.
第 1 回に関するコメントです.
此の文章に限らず学習者に理論物理の素養を要求しているのでしょうか?
実際に受講される方がどう思うかはともかく, 私の意図としては気楽な「観光ツアー」なので, 素養は特に何も仮定していません.
で, 何度でもくり返す大事な話なのですが, 私はこれを中高生の頃の自分に向けて書いています. そして中高生の頃の自分がこれを 理解できるなどとは全く思っていません.
むしろ細かな数学に関しては 何一つ理解できないでしょう.
ただ, それでも昔の自分は絶対にこれを 読んで喜ぶはずだ, と思っているから, 馬鹿みたいに何百ページもがんばって書いたのです.
これも良くいうのですが, 小学生が宇宙やら何やらの話を 真剣な眼差しで聞いているシーンは 時々テレビで流れたりします.
いまだに研究も活発な分野ですし, どれだけ簡単にしたとしても子供が 理解できるような内容であるわけもありません.
それでも子供が真剣な眼差しで憧れの目を向けるのは, 1 つにはそれを真剣に語る大人の心意気に胸を打たれているから, というのがあると信じています.
いい大人が全身全霊をかけて, 一所懸命がんばって追いかける価値のあることだと, 伝えているその心が大事なのだと思っています. 現代数学観光ツアーもそのつもりで書いています.
これもはっきり書いておくと, 現代数学観光ツアーの記述は 根本的に説明としては粒度も何もかも無茶苦茶で, 何かを理解できるような内容ではありません.
これをもとに数学を眺めてもらって, 興味があるところが出てきたら, 最後の参考文献集を使って 興味に合わせてゴリゴリ勉強してもらうための素材です.
その意味で, そもそも何かを理解してもらうことを 目的にしてさえいません.
問, 計算練習問題, 等の学習者への課題 (宿題と言うと人によっては拒絶反応を起こしてプレッシャーで高熱をだして卒倒する人がいるかも知れないので) が在っても良いのではと.
これも強いていうなら, 興味のある分野を自分で調べて, 自分で勝手に突っ走っていって, 面白いことを見つけたら私にも教えてください, という課題を出しているつもりです.
ふだん Twitter だと本当にいつも そういう感じでやっています.
そして実際, Twitter で知り合った頃は 学部 1 年くらいで, その頃は知識としては私の方が上だったから 私からいろいろコメントしていた人達が, いまや大学院生です.
わからないことがあって質問すると 逆にいろいろ教えてくれるようになってきました. 求めているのはこういうのです.
知らないことは山程あって, こっちが知っていることはいろいろな形で出すから, こっちが困っていることがあったら SOS を出すので助けてほしい, そういうのがやりたいので.
ではまたメールします.
前のメールで書くと言った確率の話です. 改めて書いてお願いしておかないといけないし, くり返し伝え続けないといけないこともあるので, そこまで含めて.
お願いの話はあとに回して, まずは質問に答えます.
数学でも確率, ギャンブル学に興味があるのですが, 確率や統計について初心者が学びやすい本などはありますでしょうか?
というのが来ました. まずギャンブル学ってなんだ, というところからはじまり, 知らないのでちょっと調べたらギャンブルの社会学とか ギャンブルの情報学とかいう話が出てきて, 何か大雑把に言って次の本の話っぽいです.
「本の内容」も引用しておきましょう.
人はなぜ賭けるのか? ― 人間の歴史あるところ賭博の歴史あり。 心理学、歴史学、社会学、文学、教育学、法学など、 多角的、複合的な知の動員によってギャンブルを吟味検証した異色の論集。 「ギャンブル学」事始め。
これ, 「数学」ではなく, 私の力ではどうにもならないので, とりあえずスルーしておきます. 少なくとも上でコメントがある分野, ぜんぶ人文か社会学で, ギャンブルの情報学という文脈で確率なり統計なりが 出てくる程度の話でしかないようです.
読者の方で何か面白い文献とかご存知の方いらっしゃれば, ぜひ教えてください. 数学と物理以外の話をやらないわけではないですが, 知らなすぎて何もコメントできないのがつらいところです.
あと, 「初心者が学びやすい」というのは これまでの経験上, コミュニケーションの齟齬を 高確率で発生させる危険ワードで, 取り扱い注意な感じです.
何とも言いづらいのですが, とりあえず大学受験の参考書の「ハッとめざめる確率」あたりをお勧めしておきましょう.
これ, 極端なことを言えば 大学受験に関する確率問題が解けるようになるだけで, 必ずしも実用に役立つ確率や統計に対する 知見が深まるわけでもないのですが, 確率で遊び倒して慣れる方が優先だろうと思い, この本にしてみました.
最近人工知能やら何やらで統計学ブームが来ていて, その手の本は爆発的に増えています. ある程度プログラム書けるなら, そういう方面から攻めてみるのもいいでしょう. 次の本だとか.
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で, 以下お願いに関する話です. きちんと継続的に整備しつつ, どこかにまとめておかないといけないですね.
質問して頂くのはいいのですが, その場合は次くらいの内容を書くようにしてください. 「初心者」を自認する方は特にお願いします.
これまでのやりとりでのはまりポイントを きちんとまとめてこなかったので, あまり精度のいい書き方になっていないですね. これから整備していきます.
この辺の情報がないと, 適切な答えが返せず, 1 番困るのは適切な情報がほしいと思っているあなたです.
適切な質問を練り上げる力が育っていないとこういうときに困ります. 実際, 上に書いた質問事項も練り上げきれていないので, いま現在進行形で私が困っています.
こういう話, 研究フェーズで決定的に大事で, 博士課程だときちんと鍛えられることになっていて, 博士の価値はここにある, ということになっています.
問題を練り上げる訓練みたいな通信講座とか, ある種の問題集みたいなの, あったらよさそうだと今思いました.
いろいろな意味ですぐはできないので, 時間かけて考えてみることにします.
まとまりないですが, 今回はこのくらいにしておきましょう.
ではまたメールします.
朝起きたらちょっとした反響があったので, それをシェアしておきます. 確率の話についても問い合わせがあったのですが, これが長くなりすぎたので次回に回します.
専門が何なのかいまだによくわかっていないのですが, Twitter 経由で知り合った物理の人が メルマガに登録されていて, この間のメールへのコメントで 今年の 3 月に出たウィッテンの論文を教えてくれました.
ウィッテンは歴史学科卒からの物理転身で, 数学最高の賞であるフィールズ賞を取った魔人です. 超弦理論に関する議論でいまもなお世界をリードしています.
で, そのウィッテンが冨田-竹崎理論にフィーチャーした プレプリントを出したので, 解説をしてほしい, とかいう凄まじい無茶ぶりが飛んできました.
冨田-竹崎理論は数学的に私の専門だった作用素環の大理論で, この竹崎は昨日のメールでも紹介した竹崎正道先生です.
いまプレプリントを読んでいますが, さすがウィッテンというべきか, 異様にまとまっています. かなりよさげなので, 興味があればぜひ読んでみてください. 私も読んで, あとで適当にコメントする予定です.
あと, プレプリントの内容とは関係なく, 「冨田-竹崎理論にはこんな方向からの近付き方もある」 という解説をちゃちゃっと書いたのを先の物理の人に送っておいたので, それをこのメルマガでも共有しておきます.
相手が相手なので相対論的場の量子論と 量子統計は前提にした内容になっていて, そう簡単に読める内容ではないでしょう.
ただ, 現代数学観光ツアーのように, 数学・物理的に進んだ世界の様子を, 啓蒙書のレベルを越えて触れ, いろいろな分野を横断して世界を眺める, そういう点からするときっと役立つはずなので, こちらでも共有しておきます.
多少研究の話も入れているので, そういうのが好きな人はぜひ眺めてみてください.
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現代数学探険隊のページで, 「超弦理論をやる上でもこの講座の内容は役に立ちます」 と書いておきました. これは超弦理論で出てくる幾何的な議論をやる上でも, 基本的な数学の知識はいるし, それをきちんとカバーしているということ,
微分幾何系の議論の中で非線型偏微分方程式なども出てくるし, そうした解析学の基礎はきっちりやるから, その意味でも役に立つという意味で考えてい, 超弦理論との関係という意味では 作用素環のことは考えていませんでした.
しかし, 実際には作用素環や代数的場の量子論の 基本的な成果に興味が持たれつつあるようです. 思った以上に本格的に意義のある内容になりそうで, むしろ驚いています. ここまでの展開はさすがに想像していなかったので.
現代数学探険隊で作用素環自体はかっちり議論しませんが, 現代数学観光ツアーでは散々紹介したように, 関係ある話はいたるところに散りばめています.
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この冨田-竹崎理論フィーチャー, 実は別の意味でもタイムリーなのです. 昨日次のように書きました.
また別の新しい企画が立ち上がっています. 具体的な動きはまだ形になっていませんが, いったん, こんなことも企画しているよ, ということで近い内に案内だけは出します.
まだ金額など基本的なことも調整ついていなくて, ぽしゃるかもしれませんが, いろいろ考えていてやりたいことの 1 つでもあるので, 企画案を公開してみます.
実は Twitter で知り合った大学院生の 勉強ノートを販売してみよう, という企画を進めています. A4 で 1300 ページあるので相当の量です.
この学生さん, 当人が私と趣味が似ていると 言っているくらいなので, この勉強ノートで扱っている内容は 私の趣味関心ともよく合っています.
特に作用素環も議論していて, 冨田-竹崎理論も載っているのです. これ, この場で告知しろ, というどこかの誰かからの メッセージだろうと思ったので, 案内してしまいます.
参考までに, この PDF の目次を載せておきましょう.
これ, ここまでで A4 で 1300 ページ程度のボリュームです. まだ追記していくとのことでした.
これは元が自分向け勉強ノートですし, 完全に定義・定理・証明のスタイルで, 必ずしも定義や定理の解説などは入っていません.
しかし, この構成それ自体が 1 つのストーリーになっていますし, 関数解析系の解析学の王道と呼べる流れです.
ふつうの位相空間論さえありませんが, 関数解析系にフォーカスさせきって, ストレートに研究の現場までの道を描いている清々しい構成です.
現代数学探険隊はいろいろな意味で, その関数解析系数学の王道を崩しています. それは勉強しやすくするため, そして数学の基礎を固めるという意味でです. 完全に関数解析にだけフォーカスするなら 私もこれに近い構成にしただろう, という内容で, 本当に趣味が似ています.
まず真っ先に線型代数おさえるよね, 積分ははやめにやりたいけど, 微分もやっておかないとあとで困るから 微分は先行投入したくなるよね, とか.
現代数学探険隊とまた少し違う趣で, これ自身, 通信講座化させてもいいような 構成だと思っています.
むしろ, この学生さんとうまく連携できて, これをコンテンツ展開できれば, 作ろうと思っていたアドバンストコースも こちらのコンテンツを案内すればいいだけで済み, その時間を他のコンテンツ制作に使えるようになり, 私の活動としても凄まじいメリットです.
現代数学探険隊の PDF コンテンツとは 切り口が違いますし, 重なる部分があるにせよ, 平行して販売する事にも十分な意義があります.
現代数学探険隊だと, ある意味で関数解析系の数学から見て 「よけいなこと」もいろいろやっています. そしてある程度集合や位相の知識がある方からすると, 過剰に基本的すぎるでしょう.
そうした「よけいなこと」よりも, 関数解析系の実戦的な内容をストレートに突き進みたい, という方にはお勧めの内容です.
もしあなたがこれに興味があるなら, もう少し待っていてください.
ではまたメールします.
お問い合わせを頂いた内容に いろいろ返信したのですが、 メルマガで共有した方がよさそうなこともあったので シェアします.
まずは前者から.
数学物理学で生きておられる 先生のブログや生き方にふれられる ホームページがありましたら教是非えてほしいです。
サイトでも書評を書いていたりするのですが, 「数学まなびはじめ」はまさに数学者の生き様が書かれていて, 非常に面白いです.
竹崎先生は直接お会いしたこともあり, 特に印象深いので, その記事は引用しておきます.
現代数学観光ツアーなどでも紹介していますが, 深谷先生のエッセイ「数学者の視点」も 激烈面白いのでこれは本当にみんな買って読んでほしいです.
これも書評を載せておきましょう. これと「数学まなびはじめ」はとにかくみんな買ってほしい.
紹介したすぎて本題からずれてしまいました.
研究者のブログやサイトはいろいろあります. 日常を知りたいということなら, Twitter がお手軽です.
1 人研究者を見つけると, そのフォロー・被フォローから近い分野の研究者が大量に見つかるので, それでフォローを増やしていくといいでしょう.
Twitter にはたくさん研究者がいますが, ここでは日頃からゴリゴリ物理や数学の話をしている人の アカウントをいくつか紹介します.
佐々さん, 田崎さん, 大栗さんは ホームページ (日記サイト) も持っています. 大栗さんは超弦理論の研究者として著名なので, ホームページ含め追いかけると楽しいと思います.
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ちょっとした読書案内です. ちょうど今日メールが飛んできたこともあり, サイエンス社の別冊 SGC ライブラリの電子版で, 超弦理論に関わる数学や物理の冊子が いくつか売られているのを紹介しておきます.
現代数学探険隊のページで 超弦理論に興味がある方も多い, と書いています. 実際, 今回問い合わせされた方も 超弦理論に興味があるとのことでした.
この辺, やはり需要があるんだな, と改めて感じています.
さて, 上のライブラリーの本ですが, それぞれの本はだいたい 200 ページです. それだけの薄さで高度な内容も議論しているので, 読むのに予備知識も必要ですし, 議論や説明も飛ばし飛ばしになっている部分があります.
しかしこれは欠点ではなくいいところです. ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
啓蒙書だと一般受けを狙って 式がほとんど書かれていませんし, 説明が断片的にならざるを得ません.
かといってもう少し勉強してみようと思っても, ゴリゴリの専門書しかありません.
上のページにある電子版の本も, 基本的にはゴリゴリの本ですが, その本は専門的になりすぎず, その分野への導入にはほどよいレベルになっています.
もちろん読者対象として一定以上の 専門能力を持つことを前提にしているので, 専門家向けの入門や概要ですが.
で, これをどう使うかが問題です. ある程度の予備知識からはじまり, 200 ページくらいでそこそこまとまっているので, どんな勉強をどうしていけば 超弦理論まで辿りつけるか, それを見通すために読むのです.
細かいところがわかるわけがない (私が読んでも細部は追い切れません) ので, 大きな雰囲気を掴んでください.
そして, 基礎的なことを勉強するときに, 「いまやっていることは将来こんなところにつながる」 というのを少しでもイメージしやすくし, 勉強のモチベーションアップに使ってください.
この使い方は現代数学観光ツアーの スタンスとも一致しています. 細かいところはさておき, 大きな姿を掴んでもらって, 勉強のモチベーションアップに 役立ててもらうことが大事にしています.
あとサイエンス社のこのライブラリを応援したい, そんな理由もあってあえてこれを紹介しています.
先日, Twitter でも愚痴ったのですが, ゴールデンウィークに衣替えがてら 大掃除したとき, もう家に本が置けないので 本を大量に処分しました.
最近あまり読んでいないというだけで, まだ時々読むだろうしずっと手元に置いておきたい本を, です.
紙の本, もう家に置く場所がないので, いわゆる電子書籍を売ってほしいのです. 漫画だとファイルの容量などまで含め, またいろいろな問題があると思いますが, 特に数学や (理論) 物理の学術出版は ほぼ字だけですし, PDF だと非常に容量も軽くおさえられます.
だから epub がうんぬんというよりも, TeX で原稿出てくるのだろうし, 素直に PDF 出してほしいのですが, なかなかそうなりません.
その中で PDF を出してくれているので, これは応援したいと思っています.
雑誌の数理科学なども PDF で出してほしいし, Web+DB が 10 年分の記事を DVD でまとめて 出しているような感じで, 過去何十年分を DVD で出してほしいとか もっとやってほしいことはいろいろありますが, そのためにも PDF 販売が盛り上がってほしいのです.
本来, 時代の先端をひた走る技術・学術出版は, それに合わせて革新的なスタンスを取ってほしいのですが, 現状, IT 化の動きが非常に遅いように感じています.
規模の問題もあるのでしょうが, プログラミング関連の書籍で有名な オライリーは PDF 販売していますし, 英語だと GitHub で公開しながら 本を執筆していることさえあります.
大学側も書籍や論文誌を置くスペース問題がありますし, けっこう大事だと思っています.
もう 7-8 年も前ですが, 獣医学の教官が「最近は本も論文も PDF で読んでいて, すっかり紙で文献に触れなくなった」 と言っていました. よくも悪くもそういう時代になりつつあるので, 学術出版もそういう動きをしてほしいです.
紙は紙でどう考えても保存の用途には強いですし, いろいろなビジネス上の都合や海賊版的な 問題もあるのは知っていますが, それを何とかすることこそ出版業界の仕事でしょう.
いい加減長くなりすぎてきたので, 今日はこの辺で切ります.
先月くらいから言っている PDF 販売について, また別の新しい企画が立ち上がっています. 具体的な動きはまだ形になっていませんが, いったん, こんなことも企画しているよ, ということで近い内に案内だけは出します.
ではまたメールします.
ここ数日, Twitter で漫画村に関するネタが出ていて, 無料かつ合法的に読めるサイトがいくつか紹介されています.
昨日, これから有料コンテンツの準備中だよ! と言っておいたあとに「どういうこと?」 とあなたは思っているかもしれません.
何人かの方から, 自分でも数学や物理の情報発信をやってみたい, という声を頂いていますし, そうした方のことも考え, その辺の事情を簡単に説明しておきます.
まず第 1 にどう考えても食い合う サービスではないからです. 基本的に私の活動は既存のコンテンツを活かすために いろいろなギャップを埋めることが目的です.
ビジネスライクに言うなら, 既存のコンテンツを勉強してもらった上で, そこで大いに困ってもらう必要があるとも言えます.
あともう 1 つ. いろいろなところで言っているように, 私自身の活動の当初の目的は数学や物理の話が できる友達を増やすことです. そしてそれはいまも変わっていません.
お役立ち情報はきちんと共有しましょうね, ということです. で, そういう情報を出し続けると, 今度は「こんな情報があったから共有しますよ」 と逆に情報をくれる人も出てきます.
世間的に世知辛く言えばいわゆる give and take ですが, 逆に言うなら数学/物理界隈での give and take をもっと気楽にやろう, ということでもあります. もともとその気が強い文化も持っていますし.
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さて, いい加減サイトを紹介していきましょう. 参考ツイートなどは次の通り.
サイトの情報を簡単に抜粋していきましょう.
あと私からも数理物理系の arXiv を紹介しておきましょう.
ここは上の https://arxiv.org とかぶっているプレプリントもあります. ファインマン物理学は私のサイトでも紹介したことがあります.
これ以外にも, 現代数学観光ツアーの中など, ネットに (おそらく合法ではなく) 落ちている文献の ダウンロードを紹介していたりしますし, 必要ならいろいろ物色してみてください. 「こんな情報はない?」という要望があれば, 出せる情報は出すつもりです.
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ここまで書いて改めて思ったのですが, やはり英語情報が多いですね. MIT では講義映像を公開していたりしますし, 英語で勉強できて, かつ独学を続けられる 尋常ではないレベルの気迫があるなら, 独学もかなりやりやすくなっているのではないでしょうか.
一応書いておくと, 独学でハードルになるのは, やはりカリキュラムの非存在です.
学校での勉強だと好き嫌い関係なくとにかくいろいろやらされます. これは, 興味があってもなくても一通り, その時代の専門家が大事だと思う基礎を眺め渡せるという点で重要です.
面白いところしかしないとなると, 結局いろいろなところが穴だらけになってしまい, あるところで足元をすくわれたり, 基礎がないために必要な情報があってもそれを理解するのに やらなかった分のツケを支払わされることがあるからです.
これも尋常ならざる気迫があれば乗り越えられることですし, そうでなくても乗り越えなければいけないことではあります.
余計な話をしてしまったので本題に戻ります. それは英語の話です.
少なくとも IT 関係の技術系だと, 最新の情報に関してはふつう英語情報が 1 番早いです. 文献の量も多いですし, ソフトのマニュアルやドキュメントも当然英語です.
そういう状況であるにも関わらず, 私の会社でも技術系の人が「英語が読めない」ということはよくあります. 本当に全くお手上げということもないと思うのですが, 理解に苦しむレベルで忌避感を持つ人はいます.
これから 10 年以上先にどうなるかはともかく, 直近, 英語が読み書きできなくて困ることはないと思うのですが, 数学や物理を独学する上では英語が読めて聞けると明らかに得ですね.
最近 4 技能とか言われているように, 書くのと話すのはまた別です. とりあえず情報を受け取れればいいので, そのための読む/聞くが大事です.
この辺も以前検討したことはあって, 例えば次のような本はあります.
これに限らず, もっと理工系のための英語, みたいなコンテンツやサービスがあってほしいですね.
現代数学探険隊でも数学や物理で役立つ英語表現, みたいな節を作っていく予定なのですが, これはもっと本格的に展開したいと前から思うだけは思っています. どなたか一緒にコンテンツ開発しようという人いないですかね? 時間的な制約もあって, さすがに 1 人で作りきれないので.
サイトで「理工系のための歴史」みたいな本ももっとあると嬉しい, みたいな話をしたこともありますし, こういう話も本当はもっとやりたいです.
あと, この辺に関して 1 つ実体験を紹介しておきます. これもどこかで書いた気がするのですが, フランスは数学が強く, しかもやつらは代数幾何を中心に 大事な文献をフランス語で書くことがあります. 他にもいろいろあってフランス語を勉強しようと思ったことがあり, 実際に多少勉強していました. 大学の第 2 外国語ではドイツ語だったので, 本当に大学を出てからの独学です.
あなたが大学で第 2 外国語を勉強したことがあるなら たぶん納得してくれると思うのですが, きついのは暗記です.
ヨーロッパ系ならある程度英語とも単語が似通っているので そこからの類推が使える場面はあります. ただ, それでも定期的に触れない限り, 記憶には定着しません. フランス語でもそれで非常に苦労しました.
最近は全く勉強していないので, 文法も怪しく勉強のつらさを実感しています.
で, 言いたいのはそんなことではなく, フランス語の勉強に数学を使うことです.
最低限のフランス語と英語, そして数学を一定以上理解していることが条件ですが, 一時期, 数学の論文を読むことでフランス語を勉強していたことがあります. 具体的には Serre の論文を読んでいました.
数学それ自体をある程度わかっていて, その文献で議論されていることがわかっているなら, 「ここにはこう書いてあるべきだ」というのが数学的な内容から 規定されるわけです. それを使ってフランス語を読み, 理解していこうという趣旨です.
実際, これは想定外の効果がありました: 暗記の役にも立ったのです.
明白に覚えているのは si の意味です. 英語の if の意味で使われます. これ, ふつうに勉強しているときには何度やっても覚えられなかったのですが, Serre の本で出てきたときに「ああ, これは if だね」と辞書を引かずに 意味を類推できました.
すごいのはその後で, 数学の中で出会ったあと, この意味を忘れていないのです. もはやふだんフランス語には触れていないのに, 何年経っても忘れていません.
この忘れにくい覚え方・出会い方が大事です. もしあなたが英語に苦手意識があるのなら, 自分が得意なところに引きつけて理解する手法を取ってみてください.
念のため言っておくと, 小説は難しいです. 日本語でも会話文で省略なり何なりよくあるわけで, 口語表現などにも馴染んでおく必要があります.
他にも最近出版系の人に翻訳に関する話を聞いて それはそうか, と思ったのですが, CM に流れているフレーズが文章中に出てくることがあって, そういうのは英語そのままだとほぼ理解不能です.
よくある「聖書を理解していないと英語の新聞が読めない」 みたいな話と同じです. イギリスなりアメリカなりの日常を理解していないと 全く意味が理解できないことが多々あります. 日本の古文が理解しにくい原因でもあります.
話が逸れましたが, 数学を仲介にして英語なりフランス語なりを理解するのは 割といける手法だと思っています.
もちろん一定以上の数学じたいへの理解を前提にした上で.
もし数学がある程度できる上で英語をもっときちんとやりたいと思うなら, ぜひ洋書を読んでみてください. そのとき, 今回紹介した文献やサイトを使ってみてください.
洋書を買おうと思うといろいろとハードルがあるでしょうが, 無料で手に入るなら「買ったけど読めなくて損した」 みたいな事態にはなりません.
個人的には英語よりも「数学で学ぶフランス語」が本当にほしいです. メルマガ講読されている中のどなたか, フランス語の方の専門家, それも数学に対して拒絶反応を示さない人, 紹介してくれませんかね?
ではまたメールします.
最近全く返事できていないのですが, 各種通信講座のアンケートに ポツポツ回答が来ています. その中で強烈なのがあったので紹介します.
40 代の専業主婦の方で, 現代数学観光ツアーの第 3 回に対するアンケートで, 「大変興深く面白いです.」というコメントを頂きました.
はっきりと主婦を名乗って参加される方は 多分はじめてで, かなり驚いています.
この回, 多くの人を叩き落とす回らしく, 急に難しくなったという声もよく聞きます. それに対して, 次のような内容評価を頂きました.
最近, 現代数学観光ツアーには 「もっと 1 回 1 回を短くして」 だとか 「難しすぎる」だとか, ゴリゴリの数物系という 当初の想定を越えた範囲を越えた層の方からは 厳しいコメントを貰っているので,
「喜んでくれる人がいた. 良かった」 と多少なりとも安堵しているところです.
で, 本題はここからです. 「私は数式が好きなので数式ももっと学びたい気持ちがございます.」 というコメントがあったので, いちおう改めて宣伝をしておこうかと. 個別に送ろうにも, アンケートに連絡先を記入するようになっていないので, 全体メールで送ります.
現代数学観光ツアーが一通り終わってからも 案内があるのですが, もっと数学を勉強してみたい, という方向けに現代数学探険隊という 通信講座を用意しています.
詳しいことは次のページにまとめているので, ぜひこちらを読んでみてください.
面白そうだ, と思ったら, ぜひ参加してみてください. 無料期間もあります.
参加しなくても, 数学を勉強する上で大事なことを いろいろ書いていて, 単純にページを眺めるだけでも参考になるはずです.
あと, 何人かの方から要望を頂いていたのですが, この通信講座で使っている PDF を 単独でコンテンツ販売するためにいま準備中です.
通信講座としてのサービスがない分, 単純な金額だけなら PDF コンテンツ販売の方が安くなっています. サービス内容自体が根本的に違うので, 金額も当然別体系にします.
この PDF コンテンツはこれを読み進めていく教科書というよりも, 「辞書」という立ち位置なのではないかと思っています.
何にせよ, 近い内, 1 月以内には案内を出す予定なので, もう少し待っていてください.
ではまたメールします.
時間もないのにやってしまった感があるのですが, 埋もれかねない文章なので, メルマガでも公開して供養しておきます.
私の「物理の数学」に対するスタンス表明でもあるので, もしあなたがそういうのが好きなら, 読んでいて楽しい文章だろうと思います. 「いや, その考えは違う」みたいなのまで含めて.
このメールの最後にも書いておくので, 興味があればコメントもらえると嬉しいです.
学生の頃, Amazon で東大出版会の線型代数入門に 書評を書いたことがあって, それに関する話です.
物理の勉強をするのに抽象的な線型代数が とても役に立つのでこの本を読んで 勉強しましょう, という話です.
そしてこれにとある数学系の人から 2 年前にコメントがついたので, それに対してコメントをし返したのに さらにコメントがついていたことに今気付いたので, またコメント返した, という話です.
私のメルマガを読んでいる方は 物理にも興味があることも多く, 参考になることも多いと思うので, そのコメントはともかく, 上の書評はぜひ読んでおいてください. ついでに次の togetter のまとめも役に立つはずです.
せっかくなので, この書評を書いた理由も書いておきましょうか.
いまはもう消えているようですが, 物理の関係者を名乗る人が 「この本を読んでも物理の役に立たない」という しょうもない書評を書いていたのです.
全く知らない人の書評ですが, その当時, それが物理関係者として あまりに恥ずかしかったので, カウンター的にコメントしたのです.
さらにその後, 学部 4 年のときに書き換えたのが今の書評です. もう数学に行くことは決まっていて いろいろ勉強していました.
最後の汎関数積分とかいうあたりを追記しました. あと, 内容は本質的に変わらないものの, 気に入らなかったので, 全面的に書き換えた記憶があります.
で, 今回返したコメントは次の通り.
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私は早稲田の物理を出ていますし, 修士では東大数理 (作用素環専攻, 特に場の量子論と量子統計への応用) を 出ているのでその立場で改めて書いておきます.
まず主張が数学サイドに偏りすぎていて, 物理の視点がほぼありません. それが本当に困ります.
あなたは数学者が書いた物理の本などではなく, 物理または工学の人間が書いた 物理の本を読んだことがあるでしょうか?
直交関数系などもちろん ヒルベルト空間論が背景にある数学は ゴリゴリ出てきますが, 関数解析を知らないと 読めないようには書いていません.
実際知らなくても読めるし, 読めて物理が理解できないと困ります. 物理の学生だった人間としての実感でもあります.
物理といっても東大数理の河東先生が 代数的場の量子論の界隈を指して 「あの人は自分は物理と言っていますが, あの内容から論文のスタイルまで見て どう考えても彼らは数学ですよ」という レベルの人もいますが, 一方で量子系とはいえ実験の人まで いろいろいます.
そして私は実験の人まで含めて考えています. その上で関数解析までやるくらいなら 物理をきっちりやる方がよほど 大事だと考えています.
あなたは何をどこまで意識して 「(数学としての) 解析学が大事」と言っているのでしょうか? いまこの話はあくまで量子力学の 物理の理解に重点があります. その上でゴリゴリの数学が必要か, という話をしています. そして私はいらないと思っています.
しかし早稲田大学の友人は 1 年生の段階で松坂和夫の本くらいの分量と 程度で集合論の超元帰納法までは必修です. 選択科目では物理学と関係が深い解析学や 位相空間論を理論的な数学として学びます. 明らかに使わないなら役に立たないなら教えません.
実験系の方が人数多いという前提で 書きますが, 早稲田の応物・物理のほとんどの学生 (中ではほとんど一体. 実際院では 1 つの専攻になっているし, 実数論・集合・位相は応物の学生までやる), 位相空間論使っていないと思いますよ.
宇宙論で一般相対論, 準リーマン幾何必要な学生でも どこまでゴリゴリの数学が必要か, 使っているかと言われるとけっこう怪しいような.
また彼が出席した学会では 非常に高度な数学が使われていたそうです.
超弦系の学会なら当然すさまじい 数学使うでしょう.
ただ, 絶対多数を占め, 工学まで含む実験系で そんな数学の話が出てくるとは思えません.
学会の話をしようというなら そこまで情報持ってきてください. 私は一部の理論系の話がしたいのではありません. 物理の話をしてほしいです.
最近は機械工学でも 力学系や微分幾何が必須の素養になりつつあるらしい https://www.jsme.or.jp/uploads/sites/6/files/kiriki7.pdf というのも見かけていますし, 一般の理工系にとって必要な数学の素養は 高くなっているようですが,
ガチガチの関数解析の知見や 超関数論がどこまで量子力学の 「物理」を理解するのに必要か, 研究するのに必要かと言われたら, どう考えてもそこまでの深度は求められていないでしょう.
あなたは物理学科の視点で 量子力学の理解について考えているのでしょうか. それがまずわかりません. 私はここで数学の人間の意見が 聞きたいのではありません.
あなたはどんなスタンスを取った上で 関数解析系の数学の重要性を説いているのでしょうか. 数理物理という話なら, 私はまさにそこが専門です. それもゴリゴリの量子力学・場の量子論の数理物理です. むしろこのスタンスで言うなら, 必要な数学が足りないから 自力で作らざるを得ないという視点で取り組んでいます.
もう 1 つ教育面からの話もあります. 私はある程度一般向けの数学や 物理のコンテンツや通信講座を作っていますが, そうした人達にも量子力学は憧れの的です.
そしてそうした人達に 「量子力学を理解するのに 関数解析が必要だから 関数解析をやりましょう」と言うか, と言われたらそうは言わないですね.
ハードルが高すぎるし, 実際にいらないでしょう. 線型代数で十分です. (これは私が求めている 線型代数のレベルもそれはそれで 相当に高いといえば高いのだろうとも 思っています.)
極限制御こみの関数解析の視点は 工学上大事だから理工系一般に対して 関数解析のハートはおさえた方がいいとは 思っていて,
そういう通信講座も作ってはいますが, 量子力学の物理の理解に必要か, と言われると, 2018 年の時点でそれはないです.
Twitter 上で研究者を含めて 物理の人とも交流していますが, その人達があなたが言うほどの 関数解析系の数学をきっちり おさめているとは思えませんし, 少なくともいまの時点で困っているとも思えません.
あと研究に関係するところからも. ミレニアム研究所のナビエ・ストークスの 解の存在と一意性のように, 数学的には大難問であったとしても, 物理や工学ではゴリゴリ使われているわけで, その中でどうやって数学科ベースの数学の学習の 意義を説くつもりなのでしょうか?
量子系の数学でも, 学部 3 年の講義で扱われるような内容が いまだに数理物理の研究最前線だったりします: これはまさに私の研究テーマでもあります.
数学科の数学ベースの議論では 学部 3 年の物理すら満足に議論できません. その上で「物理をやるのに 数学科ベースの解析学が必要」などとは 私は口が裂けても言えません.
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そしてそうした人達に 「量子力学を理解するのに 関数解析が必要だから 関数解析をやりましょう」と言うか, と言われたらそうは言わないですね.
この辺, 現代数学探険隊の募集ページで 「ゴリゴリの物理学科の学生ならともかく, 物理がやってみたくて数学にも興味がある, という人ならこういう数学にも興味があるだろう」, みたいな言い方してしまっているものの,
あくまでも物理がやりたくて 数学はそんなにしたくない人向けには やはり上記コメントのように言いますね.
何をどうしたところで, 物理にとってあくまで数学は単なる道具ですし, たいていの理工系の人間にとっては 物理も単なる目的達成のための道具でしょう.
趣味で数学やりたい人ならともかく, 趣味で物理やりたい人であっても 数学はただの道具でしょう.
数学にフォーカスがない人間に対して そこに過剰に負荷を強いるのはよろしくない, というスタンスですね.
何かコメントしたいことがあれば, このメールに返信するなり, このあとにある連絡先のどれかに コメントするなり, 適当な手段でどうぞ.
2/25 の感想も教えて, みたいなコメントももらったのですが, それを書く時間が取れそうにありません. それでも何か記録は残しておきたいので, 次回の案内と合わせてコメントしておきます.
今回は次の 3 本立てでいきます.
次回数学カフェ 3/10 への案内
現代数学観光ツアーの感想への回答
急に難しくなると評判の第 3 回へのコメントでした. 例の 73 才の方から.
ルベーク積分は関数の極限を使って, フーリエ級数のような形で積分を定義していると解釈していいのでしょうか?
どう理解されたのかよくわかりませんが, フーリエ級数と比較している点で多分全く違うだろうとは思います.
定義がよくわからなくても, もっと言えばルベーグわからなくても困ることないと思うので, あまり気にしないでください.
バリバリの解析学勢は死ぬほど困るので, 死ぬほど気にしてください.
フーリエ変換のところはわかった気にさせてくれました.
これもどう捉えるといいのか, どうすればいいのかよくわかっていませんが, 「わかった気になる」ということにほとんど価値を置いていないので, こういう感想もらうというのは私の意図通りでなく, 講座作りに失敗しているな, と思ってしまいます.
いまさら言うまでもなく, あまり意図通りに稼働していない講座ではあるのですが.
数式を用いて説明してくれたほうがたとえ話をするよりわかりやすいと思います.
今見直したのですが, たとえ話というのは何を指しているのでしょうか? ふつうたとえ話というと数学や物理外の卑近な話, という感じだと思っていて, あまりそういう話を入れた記憶はないし, 見返した限りどれのことなのかよくわかっていません.
ただ知らない記号もあるので記号の意味を丁寧に説明してくれるとほかの参考書を読むときにたすかります
これは講座の目的の捉え方の違いですね. 「こんな記号でこんな議論を展開する世界がある」 というのを知ってもらうことが目的であって, 細かい記号の意味を説明することを目的に作っていません.
反応を見ながら作っていて, 途中から少し方向性が変わったりもしたので, 歪みは間違いなくありますし, 当初想定のバリバリの数学/物理以外の人が 大量に受講されている, という, 私にはありがたいものの, 受講された方にははた迷惑でしかない 議論の展開でただただ申し訳なくなるところです.
結論としては, 来年, ちゃんとしたミニ講座をもっと作るので, しばらく待っていてください, というところでしょうか.
今年の目標は現代数学探険隊の完結と, 中高数学の講座の運営開始, そして様々なマネタイズ方法の実践と 成果出しで, たぶんこれだけで今年が終わります. この 3 つ, どれも死ぬほど気合入れないと できないので, まずはこれを片付けます.
今年は勝負の年です.
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次のネタにいきましょう.
下記の天才たちの物語を調べて動画で紹介して、貧乏学生を鼓舞されたし
という, 割と謎のコメントをもらいました. 下記の天才達というのは次の面々のようです.
天才アーベルや・グロタンディークの晩年・ポアンカレ予想を解き受賞を辞退した天才・戦時中の岡潔・南部先生・佐藤幹夫など、どん底での意志の凄さに頭がさがります。
これ, 私もいろいろ知ってはいますが, もちろん私が知らないことや資料もあるでしょうし, 参考資料教えてくれればいいのに, やってくれ, というならその手間を惜しむな, いいものを作るのにきちんと協力しろ, という感.
あと, 全般的にまとまりがなく, 何がメインの主張なのか全然わからなかったですね.
もっと言うと, 「どのメールに対するコメントなのかを判定するため、 該当のメールのタイトルを教えてください」 と書いているのに, 「補助金を受けたことによる事務コスト増大」とコメントされていて, いや, それ, 「manavee 解散で考えたこと」でしょ? という感じで意思疎通できなさそうな雰囲気を感じます.
何にせよ, 長文コメントだったので, ちょっとコメント返そうかと思います. 次のあたり.
無料動画で学べることは今後とも無くならないとお思います。 それは現在はYOU TUBERという、東大ほか有名大学の院生などが 動画投稿で稼ぎまくっています。また膨大な東大・京大・海外の名門大学の 講義が無償で見れるからです。
例えば実際に何年も前から MIT の講義なども公開されています. 東大数理もビデオアーカイブスといって講義を公開しています.
これらについて, 以前記事を書いたことがあるので, あなたが興味をお持ちならぜひ読んでみてください.
これもう 5 年も前の記事でした. 今でも基本的な考えは変わっていません.
その記事には書いていないことを書いておきます. 一流の教官の給料が馬鹿みたいに高く, 学費も馬鹿みたいに高い MIT が講義の動画などを公開する理由です.
それは端的に言って, オンラインで配信する講義に 彼らにとって本質的な価値がないからでしょう.
発展が早い分野だとどんどんアップデートされていく 最新の知見が随時更新されつつ提供されていくのは 非常に魅力的で, その点価値は高いです.
しかし単に知識を身につけ, 勉強するだけのことに彼らはほとんど 価値を置いていないのだろうと思っています.
価値を置いていないというより, やって当たり前のことなので, このハードルも越えられないやつが 何をする気なの? という感じ.
そこまでやっている大学が, それでもリアルに人を集めるのは, 人を一箇所に押し込めて, リアルにコラボさせることこそが 大学の機能なのだと考えているはずです.
社会でもテレワークの導入などの効率化が 謳われている中, IT 関係でも世界のトップを走る アメリカの大学がわざわざ人を集めるのは, そうした「効率」を重視していては 賄えない世界があって, それこそ重視しているのだろうと考えています.
人と人のリアルのネットワークと協働が 大きな流れを生み出すのであって, 時間も空間もともにして濃密な関係を築くことこそ 重要なのだろうと.
それでもいろいろやれることはあるはずですし, 実際に私が目指しているのも このリアルのネットワークから外れた世界で 何をどうするか, ではあります.
先程の記事にもあるように, ネットで勉強できることは山程あるのに, 自律的にできない人が多いことの方こそを 問題にしています. 「できない方が悪い」と突っぱねても仕方ないし, そここそが「ビジネスチャンス」でしょうし.
これは本当に頑張らないといけないと思っていて, 今年の大きな目標です.
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最後.
とりあえず応募ページをぺたり.
今回は流体と幾何という話で, 行こうと思っていたのですが, 時間管理的にそれどころではなさそうなので, 今回の参加は見送りました.
来年に向けた下準備もあるので 流体と幾何はちゃんとやりたいのですが, 来年いろいろやる余裕を作るためにも 今年は勝負なので, 切って捨てる勇気を発動させます.
で, 2/25 さんの松本さんの講演ですが, 多分私が 1 番質問をしていたと思います. 思っていたのとはかなり違いましたが, とりあえず幾何は多少なりともお絵描きできて うらやましいという印象が第一です.
解析だと不等式ゴリゴリなので, どうしたものか, というアレです. 代数の人も分野によっては厳しそうな. 暗号だとかの役に立つ系の話はあるにせよ, 身近であっても直接目に見えるわけではない応用が 死ぬほどあるので.
ちなみにこのあたりの数学応用ネタについては 次の無料講座でいろいろ紹介しているので, 興味があればどうぞ.
数学カフェについては Twitter アカウントあるので, これもチェックされるといいでしょう.
あと自分の感想はともかく, 他の人の感想がいくつかあがっているので, それは紹介しておきます.
松本さんがスライドを公開し, 講演の感想も書いているので, 興味があればこれも読んでみてください.
もう一度参加募集ページも張っておきます.
学生時代, 直接専門に関係なかったので, 幾何はほとんど勉強できておらず, 本当に基本的なことも全く身についておらず, いま急ピッチで自分の頭に 幾何の世界を形作ろうとしているところです.
道は長い.
何か今回やたら長くなった気がします.
ではまたメールします.
以前わたしのサイトで紹介したことがある manavee (マナビーと読むらしい) という 学習サイト/サービスがたたまれていました.
サイトの manavee.com からのアクセス解析があり, どんなふうに言及されているのか, と思ったらサービスが閉じられていたという.
メルマガの読者の方の中には 教育サービスとまではいかなくても, わたしのように数学や物理の情報発信をしてみたい, 広い意味で教育サービスに興味がある, という方が何人かいらっしゃるようです.
もしあなたがそうしたことに興味があるなら, 発起人の花房孟胤さんのコメントが面白いので, ぜひ読んでみてほしいです.
どこまで本当か, などはともかく, それ以外にもいくつか関連するコメントもあり, それも勉強になります.
サービス運営という点から, 私が気になったポイントを紹介しておきます.
法人化後は、次のような難点が表面化しました。はじめに、決算書類の作成や会員とのやりとりを始めとする継続的な経理・総務コストに貴重な人的資源を宛てざるを得なくなった点。
第三の反省点は、ある財団から補助金を頂いたことに起因する、無限に続くとも思われた事務コストを発生させたことです。
本件から得られた教訓は、紐付きのお金は大変面倒になりうるということです。社会課題を解決できると見込まれる人材ならば、労働時間の1割ほどを資金稼ぎに費やすだけでも十分な報酬を得られると思います。数千万程度の資金であれば、個人でやりくりする見込みも十分に立てられるため、余計なステークホルダーを介在させないという選択肢も妥当です。
一言で言えば, 事業にともなって必然的に起きる事務作業と, 金銭面の配慮です.
私にしても確定申告があったり, メール配信に関わる事務作業がいろいろあります. コンテンツ配信のためにサーバーにファイルを置く, といったことも事務作業でしょう. こういう時間は馬鹿になりません.
コンテンツを作ってサービス展開し, それらだけ考えていればいいわけではなく, いわば守りの部分, 価値や利益は生まなくても やらなければならないことがあります.
こればかりはやってみないとわからないことです.
あと資金面. manavee じたいは究極的なところでは 資金繰りに問題があったわけではないようですが, サービスを続けようという場合は いつだって資金的な問題が出てきます.
ボランティアというところも大きいですね. 以前から震災のボランティアに関する有名な話として, 次のような話があります.
18:00 ごろになると必ず引き上げてしまう ボランティアの人達がいて, 「他の人達は残ってがんばってやっているのに」, と陰口を叩かれていたが, かたくなにそれを守っていた. しかし, 他の人達がボランティアの支援をやめていく中, 最後まで継続的に支援を続けたのは 18:00 頃になると帰っていく人達だけだった.
ボランティアはしょせんボランティアであって, 余裕がなくなったら自発的に続けられないのであり, 引き上げざるをえません.
そしてもちろん, それが悪いわけでは全くなく, 余裕があってはじめてできることで, 無理のないようにやっているからこそ続けられる, という当然の話です.
これは全てにおいてそうです. 生活が 1 番なわけで, 余裕がないなら生活に集中せざるを得ません.
あなたは単に数学や物理を勉強したいだけだと 思っているかもしれません. しかし仕事や家事で手一杯だったら, 数学どころではありません.
何か新しいことをやるには, 必ずそれに見合った余裕が必要です.
最初の話と絡めるなら, 事務作業がその余裕を奪っていくわけで, それは manavee のサイトにも書いてあったことです.
私の活動に関してもコメントするなら, 一時期は完全に無料, つまりボランティアベースでいろいろやっていました.
Amazon での DVD 販売にしても, 有料での販売というより, ニコニコ動画や Youtube や Twitter ではなく, Amazon というメディアで展開している, というくらいのつもりでした.
ただ, こういうのは強制力がありません. それは受け手側はもちろん, 作り手側にとってもそうです.
いくつかのプロジェクトは 余裕がなくなったとき, 結果的に真っ先に切られていきました.
余裕がないと駄目だ, というのはこのときに本当に痛感しました.
あともう 1 つ, 先日博士を取った知人達と話したときにも 話題になったこととして, 「有料でやることの意義」があります.
それは作り手側から見た コンテンツやサービスの質の担保はもちろんですが, 受け手側の気持ちもあります. それは「お金を払ったのだからちゃんとやろう」 という意識です.
以前, Twitter で Springer 祭りというのがありました. Springer という世界的な専門書を扱う書店が, 書籍の PDF を無料で提供, というのをやっていたのです.
で, これでいくつか本を ダウンロードした人たちがいました. しかしその本を読んだか, といったら読まないのです.
自腹を切ったわけではないから痛くないので, 読もうという気がしないわけですね.
ついでにいうともう 1 つ, ボランティアと余裕と絡めていうと, お金を出したとしても 強制力がないと続けられないということです.
小中高, そして大学の力の 1 つは, 試験をはじめとして, 勉強をやらせる強制力がそれなりにあることです. 生徒/学生どうしのある種の同調圧力も 使いながら勉強するような強制力があるわけですね.
私がやっているような通信講座には 圧力・強制力はつけようがありません.
しかし勉強しやすくする配慮は必要で, それはなるべくコンテンツを小分けにして 渡す, というところです.
一部の講座ではまだ全然徹底できていませんが, 継続性を上げるために, 1 つ 1 つを小さくして, 小さな成功を積んでいけるようにする, というのも大事です.
もちろん私も含めて, 人間の心や意志なんて脆いことこの上ないので, 配慮の上に配慮を重ねなければ 長続きするようなことはできません.
manavee もトータルで見れば 継続性に難あり, という問題を抱えていたわけで, 事業の継続性は決定的に大事です.
続かなければそこに込められた 思いも途切れてしまうので.
あなたが単に数学や物理の勉強をしたい, というだけであっても manavee に書かれていたことは大事です.
この講座にはお年を召した方もいらっしゃいます. そうなると金銭面の問題から大学どころか 高校進学を諦めて中卒で社会に出た方もいらっしゃるかもしれません. もしかしたらあなたもそうかもしれません.
私の母も大学に行きたかったそうですが, 高卒で働き出していますし, 私の父は中卒です. 私自身も博士に行きたかったものの, 金銭面の問題から修士で社会に出ています.
金銭面の心配, 事務作業に代表される「よけいな作業」に わずらわされること, 「事業」の継続性などは誰が何をやるにしても立ち塞がる壁です.
私にしても, ふだんの会社員の仕事がなければ もっといろいろコンテンツ作れるし, サービスも立ち上げられるのに, と日々思っています.
有料サービス展開に向けて本格的に舵を 切りはじめたのはいい加減, こうした事情に本格的にメスを入れようと思ったからです.
あなたもぜひ自分なりに何か参考にしてみてください.
ではまたメールします.
manavee.comは、2017年3月31日を以って、サービスの運営を終了いたしました。 【利用者の皆様へ】
利用者の皆様には、ご不便をおかけして申し訳ありません。
授業動画は、Youtube上で引き続き掲載しており、利用できるものもございます。
しかし、授業動画を引き続き掲載するかどうかは、それぞれの先生の判断に委ねられておりますので、利用ができなくなる場合もございます。
どうぞご容赦ください。
NPO法人manavee代表理事 花房孟胤
【支援していただいた皆様へ】
本サービスについては、個人寄付、法人寄付をはじめとして、様々な形で応援していただきました。それは、本サービスの継続的な発展が期待されていたからであったと考えております。この度、manavee.comの運営を終了することで、そうした未来への可能性が閉ざされることになります。皆様の期待に応えられず、申し訳ありません。
【参加された先生の方々へ】
本サービスの運営は、先生として参加していただいた大変多くの方々の協力で成立しておりました。第一に、manaveeの活動に参加していただいてありがとうございました。第二に、本事業を通じて掲げていた目標を達成することができずに申し訳ありません。
授業動画の撮影は骨の折れる作業ですが、膨大な活動の積み重ねによって1万を超える授業をインターネットに公開することになりました。
活動の初期には、顔を出して授業を公開するということは一般的でなく、心理的な抵抗の強いことでありました。実際、アップロードした動画は、批判を受けたり、好ましくない自体を引き起こしたこともございました。こうしたリスクを一緒に背負って活動し、また実際に発生した多くの問題に対応していただき、ありがとうございました。
同時に、こうした先生方の膨大な労力の結集を、十分に活かしきれなかったことについて、情けなく思っております。すでにmanaveeという活動を終了する以上、manaveeの活動の枠内ではこの点について満足のいく責任のとり方ができません。重ねて申し訳ありません。
本活動とサービスは、先生方の想像もできないほどの膨大な労力なしには、利用価値のあるものにはなりませんでした。感謝の念に堪えません。
【経緯】
創業・運営・終了した者の責任として、これまでの経緯を整理した上で、反省点を以下に述べます。
<理解の前提>
manaveeは、社会的企業でした。社会的企業とは、利益の最大化を第一の目的とする代わりに、社会課題の解決、緩和を目的とする団体です。
社会課題として、例えば自然破壊など環境に関する課題、介護など医療に関する課題などいくつかに分類されています。そして我々は、教育に関する課題を取り扱う団体でした。より具体的には、「日本の大学受験における地理的・経済的格差」(2012年 - 2013年5月)、「日本の受験における地理的・経済的格差」(2013年6月 - 2014年5月)、「日本の教育における機会格差」(2014年5月以降)を解決する課題と定めて活動してきました。
<社会的企業の失敗>
社会的企業が失敗するのは、第一には課題が消滅すること、第二には、課題に対する解決策が有効でなくなることが挙げられます。第二の場合には、同じ課題に対して別の解決方針に変更することで、社会的企業として意義のある活動を継続することが可能です(ピボット)。manaveeは、第二の場合が当てはまり、課題を効果的に解決することができませんでした。また、ピボットについても失敗しました。
<解決の失敗>
manaveeの失敗について説明するとき、時間的な変化を考える必要があります。
2012年4月から2014年5月までの間は、キャンパス制度の失敗でした。「キャンパス」という大学生サークルを主にした団体を組織すること(キャンパス制度)で、授業動画の制作を試みました。この活動は、2013年の活動をピークにして限界を迎え、諸々の試行錯誤にもかかわらず、一定の規模以上に拡大したり、安定的に継続することができませんでした。
2014年5月、キャンパス制度の継続的な運営はできないと判断し、別の解決策を模索するため、事業部を立ち上げました。先に言うピボットを試みるためです。事業部では、manaveeに所属するメンバーの内的な動機をもとにプロジェクトチームを結成し、事業化を支援する形式をとりました。結果的には、大半のプロジェクトが途中で頓挫し、キャンパス制度とmanavee.comによる授業の制作、配信に代わる仕組みをつくることができませんでした。
2015年10月、団体として事業を立ち上げる能力、体力がないと判断し、事業部制度は失敗しました。manaveeはこの時点で、当初の解決策に次いで、新しい解決策を模索するピボットについても失敗しました。2015年10月から2016年6月まで、代替の解決方針を模索しましたが、manaveeの枠内で活動を継続する合理性がないと判断したため、manaveeという活動全体を失敗したと判断しました。
【反省点】
失敗した地点から本プロジェクトを振り返ることで、反省点を挙げて検討します。
第一の反省点は、活動開始当初に想定した法律関係にあります。具体的には、動画コンテンツの著作権が講義作成者の先生にあるという点です。manaveeは、Youtubeと同プラットフォーム上にて定められた方法でのみ使用するというように権利を限定する形で、先生方との法律関係を結びました。この背景には、当時大学生であった私のナイーブな良心があります。ボランティアで依頼するにもかかわらず、その上動画の著作権までmanaveeに所属するというのは公平でないと考えたため、上記のように自ら権利を制限する旨を明文化した経緯があります。
結果的には、その法律関係が原因となって、その後の発展の妨げとなりました。協業を持ちかけていただいた企業との連携が進まなかったり、動画コンテンツの新たな利用方法を試行錯誤すべき段階でも、先生方の逐次の承諾が原則となり、実務的に対応できなくなりました。さらには、manaveeの運営終了に際しても、いくつもの譲渡の相談があったにもかかわらず断念せざるを得ませんでした。動画コンテンツを有効に使うという点ではむしろ、著作権を一括してマナビー側に帰属させるべきでした。
第二の反省点は、manaveeにNPO法人格を与えたことです。manaveeの法人化の動きが始まったのは2013年です。当時、組織の拡大と知名度の向上にともなって、「ちゃんとした」組織になることが組織内では義務感のように感じられていました。その結果、「一般社団法人かNPO法人か」という二者択一のもと、NPO法人になるための手続を開始しました。判断に際しては、認定NPOになった際に寄付金が経費扱いになるという点がメリットとしてあげられていました。
法人化後は、次のような難点が表面化しました。はじめに、決算書類の作成や会員とのやりとりを始めとする継続的な経理・総務コストに貴重な人的資源を宛てざるを得なくなった点。次に、NPOの理念を後ろ盾にした保守的な意見が通りやすくなり、社内全体が保守化した点。第一の点は、NPO運営のみならず小規模法人の運営では一般的な課題であるため割愛します。
保守化の問題については、予見できずに悔やまれる点です。社会課題の解決というのは、元来、困難を伴うため、柔軟な発想と試行錯誤の繰り返しが必要になります。しかし、NPO法の立法趣旨がそもそも「市民活動の発展」にあるように、NPOにおける意思決定は多数決原理が原則です。実際、NPO法人化の後は、常識的で妥当な結論が支持され、一見して非常識な提案や奇抜な論理が受け入れづらくなる傾向が生まれました。実務的にも、1つ1つの意思決定を総会で後追いしたり、実現可能性の低いリスクの対応について時間を使う(いわゆるゼロリスク症候群)など、NPO法人を取得する果実がほとんどないままにコストと制約だけが増加する結果となりました。
結論としては、リーダーが責任と裁量を引き受けて一貫した意思決定をすることを目指していた我々の団体には、NPO法人は適しておりませんでした。
第三の反省点は、ある財団から補助金を頂いたことに起因する、無限に続くとも思われた事務コストを発生させたことです。
2013年末に同財団に申請したことがきっかけとなり、100万程度の補助金をいただきました。もともと、プロジェクトの採用担当者がmanaveeについて認知があり、アドバイスを受けて実際の利用用途とは異なる事業内容を申請したことが原因となり、監査の段階で問題が表面化しました。
同財団が申請時の書面通りの厳格な成果物を要求する一方、実際のプロジェクトは人員が変更になったり、プロジェクト内容の変更があったため、齟齬が生まれました。さらに、manavee内では継続的にバックオフィス業務に従事する人員がおらず、エビデンス作成にも多大な労力を要しました。
本件から得られた教訓は、紐付きのお金は大変面倒になりうるということです。社会課題を解決できると見込まれる人材ならば、労働時間の1割ほどを資金稼ぎに費やすだけでも十分な報酬を得られると思います。数千万程度の資金であれば、個人でやりくりする見込みも十分に立てられるため、余計なステークホルダーを介在させないという選択肢も妥当です。
100万という金額でも補助金を申請した背景には、マナビーの創業当時からビジネスモデルの脆弱さを指摘されていた危機感がありました。NPO法人格取得後には、創業者個人の持ち出しの状態を寄付と補助金によって解決するという道筋が想定されており、そこに向かってのアクションでした。
第二、第三の反省点には、主観的には共通した問題を見いだせます。すなわち、代表者として自分自身が正しいと考える解よりも、社会的な正しさを優先したことへの後悔です。私自身は、法人格の必要性や目指すべきビジネスモデルについて判断しきれていませんでした。自分で判断できなかったため、その場ではなんとなく正しいと思われた解をとりあえず選択してしまいました。このことが重大な悪影響を呼び込みました。
不透明な試行において道しるべとなるのは、結局のところ意思決定の一貫性であって、リーダーとしては常に自分が確信できる判断を貫くべきでした。社会的な正しさを窺って日和見をすることとは反対の考え方です。その観点から言って、とりあえず真っ当な組織を取り繕うためにNPO法人格の取得に手を出したことや、ビジネスモデルがないことを理由に組織の永続性を疑われた回答として補助金に申請しはじめたことは、間違いだったと言えます。
こうした日和見を許したのは、代表者として私自身の勉強不足と経験不足です。
法人格の問題であれば、民法を手にとって法人についての整理された考え方を学んだ上で判断すべきでした。資金の不安については、社会で自分の能力を換金する経験を積むことで、自分が使える金額感を育てておくべきでした。
社会課題は、その重要性にもかかわらず、現行の公的な制度や経済合理性の観点から見合わないために残されてきた課題であって、万人が納得する常識的なアプローチを積み重ねても、成功は見込めません。この度、manavee.comのサービスの停止だけでなく、manaveeの法人まで解散させる理由は、このようにもはや団体を自由な試行錯誤ができない環境にしてしまったためです。
【ご連絡】
必要がございましたら、以下のメールアドレスにまでご連絡ください。
communication.manavee@gmail.com
【注意】manavee.comについて、譲渡の相談を受けることがたびたびございますが、ソースコードについては特段の価値のあるものでなく譲渡する合理性が見いだせないこと、また動画コンテンツについては権利的な問題でmanaveeの判断で利用を許諾できないことなどを理由に、基本的にお断りすることになります。
明日というか今日 2/25, 数学カフェがあるので行ってきます. それについては最後に紹介します.
最初に何を書くかというと, おそらく同じ方からいくつか一斉に アンケート回答があったので, それをピックアップして答えておきます.
何とすさまじいことに 73 歳の方でした. アンケートで 60 オーバーの方がいることは 把握しているのですが, たぶん 3 人目くらいの 70 代の方です.
まず現代数学観光ツアー第 0 回アンケートから.
関数とは何だろうという本で関数解析とは複素解析で複素数を扱わない段階では関数解析とは言わないことと複素数を扱うのが本当の解析でそれで数学のいろいろな分野がいっぺんに見通しがよくなると読みました. とても楽しみです.
この本でしょうか.
そしてこの本の著者, この人でしょうか.
教員紹介分を抜いてきましょう.
これまで研究して来たのは偏微分方程式論と複素解析の境界領域です。(1)複素解析を使って双曲型偏微分方程式の解の特異性について調べる (2)正則関数を係数とする複素領域の線型偏微分方程式の解がどこまで解析接続できるかを調べる (3)複素数の位相をもつ指数関数を用いて調和関数を積分表示する (4)数理物理に現れるパンルヴェ解析を参考にして、非線型偏微分方程式の特異解を構成する――というテーマを主に手がけて来ました。応用数理 (逆問題) に関する研究も多少はしています。 著書は『明解複素解析』『高校生のための逆引き微分積分』『関数とはなんだろう』『実例で学ぶ微積分知恵袋』の4冊があります。
複素数を扱うのが本当の解析というの, この人のただのポジショントークという感じがしますね.
物理や諸工学など, 実に限定しないと意味がない世界, 実係数での偏微分方程式論も正しく数学で, それも「本当の解析学」です.
私もバリバリの複素係数の関数解析ユーザですし, そういうスタンスの著者がいてもちろん 構いませんが, まあ人によるよね, という感じ.
そもそも人によっては $p$-進解析の人もいますし, こっちは「数学の王道」数論で出てくるので, こっちの方が多様な世界が 交錯する数学という感じもします.
- 現代数学や物理を勉強するときにこんなのがあったらいいのにな, というのがあれば教えてください: 記事 URL http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20140620/PDFLectureNotesOnUniversity
今後の学習案内として, 参考文献一覧は最後に紹介しています.
で, この手の文献の一覧の難しさを少し. まず真っ先に挙がるのは, 上の文献を読み進める難しさです.
一貫したスタンスで書かれたわけではなく, いろいろな著者がいろいろな理由で 書いた文献なので, 「これらを順番に読んでいけば無理なく 自然に数学を理解していける」 という形になっていないことです.
私は多くの人が独学で数学を勉強するのが大変な理由がここにあると思っています. そしていくつかの通信講座群でこれらの問題を解決するための手法を提案しているつもりです.
この講座は解析学の大きな姿を見せるのが目的で, 順序よく勉強するという方向はまたちょっと違うのですが.
ただ上のいろいろな文献をつまみぐいにも利点があります. それは著者のスタンスが色濃く出ることです. 教科書だと網羅性を意識するので, 端々に著者の個性が滲み出ることがあっても, 初学者がそれを認識するのが大変です.
よく Amazon レビューで数学をよく知る人が その本のいいところを紹介してくれています. しかし, 自分で読むときに実際にそういう 読み方ができるかというとなかなか難しいわけで.
独学の難しさはこうしたギャップを どう乗り越えていくかにあると思っています. モチベーションを上げるための 面白いトピックに触れ続けること, その一方で基礎的なことを 着実に積み上げること,
この 2 点をバランスよくこなすための サポートをするのがこの講座の目的です.
この講座単独だといろいろと微妙なので, 他の本や雑誌, 私の他の講座もいろいろ見てみて, 肌に合うものを探してください.
ここからは現代数学観光ツアー 第 1 回に関するアンケート回答.
- 面積と集合の関係がよくわからなかった. 面積を定義するのに連続無限でなく加算無限を使わなければいけないということを理解すればいいのかと思ったが
可算無限・非可算無限という言葉そのものが 集合論の言葉だ, というところです. 面積についてきちんと考えようと思うと, 必然的に集合論の言葉が必要になるという話です.
- もっとこうしてほしい, といった要望があれば教えてください: 先に集合論を説明してくれたほうが理解しやすかった.
集合論が必要になるモチベーションを先に語る, という構成で書いているので, この構成じたいは変えるつもりはありません.
講座に関して全体的に書き方にもっと工夫は必要で, それは何度も突っ込みを受けています.
これを書き直すというよりも 新しいのをどんどん作るつもりで考えています. 2018-02 時点でメインの通信講座があと半年から 1 年くらいで 終わるので, それが終わったら本腰を入れたいと思っています.
がんばらなければ.
次は中高数学駆け込み寺の第 3 回から.
$\alpha$ と $\beta$ が具体的に何を意味しているのかよくわかりません.
大雑把に言えば $\alpha$ は増加率, $\beta$ は減少率です.
とりあえず Wikipedia を引用しておきます.
この講座はロジスクティス方程式の細かい話をすることは意図していないというか, そもそも私にその能力がないのであまり深いところには突っ込めません.
この講座, いろいろなところで使われている微分方程式という道具を紹介し, それに必要な数学が何か, そしてそれがどんなところでどう使われているかを見ることが目的なので, 現象の説明に深入りすることが目的ではありません.
それに興味があれば, それぞれ個別に専門書があるので, それを見てほしい, そういう気持ちですし, それをやりたければきちんと数学をやるしかなく, そのための勉強のサポートをしようというところが目的なので.
いま, Twitter でちょっとだけ話題になった 物理数学 2.0 のネタを考えるために 幾何の再勉強中です.
まあどれだけ幾何わかってなかったの, という感じで疑問が死ぬほど出てきて 本当に困っています.
それもあって明日というか今日, 次の数学カフェに参加してきます.
この講師の松本佳彦さん, Twitter で軽くやりとりしたこともあり, 1-2 回お会いしたこともあります. とても穏やかな人です.
いま見たら 5 名ほど空きがあったので, このメルマガでも案内しておけばよかった, と今さらながら思っています.
毎月やっているらしいので, 東京近郊の方は次回参加してみてはどうでしょうか? ちなみに毎回, この勉強回のための予習もやっているようで, そういうのに参加するのもいいと思います.
東京は本当にいい環境ですね. そしてこの環境が使えない人達のために, オンラインの環境を充実させなければならない, と決意を新たにしています.
あとちょっと思ったのですが, 私に会ってみたい, という方いらっしゃいますか?
数年前は早稲田とか慶應とか東大の 学生相手のセミナーとかよくやっていたのですが, 仕事なりコンテンツ作成で忙しくて全くやっていません.
要望があるならやってみてもいいかと思っています.
ちなみに前にやっていた講演やイベント一覧です.
DVD の元ネタにした京大遠征も もう 5 年前ですね.
ではまたメールします.
件名のような質問を頂いて, それに対して回答するのに 1 時間くらいメール書いていて, せっかくなので共有しておきます.
その内容は最後に書いておくことにして, その他の連絡をしておきます.
この間, Twitterで次のようなツイートを見かけました.
====引用 物理はそろそろ特殊関数は縮小して、 物理数学2.0として多様体とか 微分幾何や代数の基礎や位相や測度の初歩を教えるべきだと思う ====
実は最近, 集中して取り組んでいる有料講座の 現代数学探険隊も関数解析の終盤に 差しかかってきて, 講座の当面の終着点に近づきつつあります.
構成を考えながら論理的に隙なく順序よく コンテンツを作るだけでも厳しいのに, 単純に書くのに時間と労力もかかり, 内容的な難しさも上がっているので かなり大変な状況になっています.
中高数学も塩梅がわからなくて 苦労しています.
そのへんの現実逃避も兼ねて, 仮題物理数学 2.0 として, 本当にふつうに物理をやるための数学の 準備的な感じでイントロを作ってみました.
1 週間くらいまえに作った内容で, いまの時点で既に幾何方面への勉強と 練り込みが全然足りていないですし, 今の時点で既に講座の流れに不満もあります.
ただ, これはこれで参考になる人も いるだろうと思うので, 放流しておきます.
はやく物理もやりたい, と思いつつ, その前段階の数学で死ぬほど 時間を取られているのが現状です.
ちょっと書くつもりが大分長くなりました. 以下, 頂いた質問への回答です.
====以下, 返信内容
なかなか難しい質問です. 最初, ちょっと悲しい感じの話をせざるを得ないのですが, 本などは後で紹介するので, 適当に流し読みしてください.
何が難しいかというと, 「調べる」というのが何をどこまで意図しているかによるからです. 下手なものを調べると現代数学の最奥にまで 突撃するので, 私の手にも負えません.
よりにもよってラマヌジャンとなると, フェルマーの最終定理並に「何が問題かはわかっても ちょっと詳しく調べようと思うと途端に破滅的に 難しくて手に負えない」タイプの話もあります.
級数, とにかく何かを無限個足しているだけなので, 上辺を知るだけなら簡単ですが, 解決が尋常ではないほど厳しいことが多いです.
まず単純に, 高校くらいの論理的厳密性で議論するなら, 数列のあとにすぐ級数の理論にいけばいいので, 適当に高校の数学の本を読んでもらえばいいでしょう.
どんな級数を想定しているかわからない (ラマヌジャンはよくわからない異常なことをたくさんしている) ので何とも言えませんが, ラマヌジャンがやったことからすると 高校レベルで調べられる級数には当然限界があります.
厳しいことで有名なラマヌジャンの仕事の 1 つです. これは数学界のノーベル賞と言われる フィールズ賞に関わる話で, おそらく taguchi さんの想像を遥かに越えるレベルで 尋常ではないレベルの数学が必要になります.
次のような話もあります.
数学に限らず魅力的なものは 破滅的に難しいことも多いので, 中高高校程度の勉強をいくら一所懸命やったところで, それらを理解するのにはほとんど何の役にも立ちません.
中高の数学それ自身に楽しみを見出せるなら別ですが, ラマヌジャンの仕事を知りたい, 調べてみたいというのなら中高の数学は頭に来るほど無価値です.
雰囲気を知って楽しみたいというならともかく, 調べてみたいというなら, 本腰を入れて数学をやる以外の方法はありません.
何も知らなくても見ていて楽しい プロスポーツなどと決定的に違う, 本当に嫌な話です.
何か素人めに見て楽しむ方法や, 軽く遊べる道があればいいのですが, なかなかそういうのが見つかっていないのが実情です.
級数の理論はいわゆる解析学なのですが, ラマヌジャンとなると整数論の香りづけも必要です. 私の知る限りでは 1 番論理的に寄り道なく その筋の数論と級数という話に辿りつけそうなのは 私が知る範囲では次の本です. (読んだことはありません.)
おそらく論理的には最短経路で 数論と級数の理論に辿りつけるでしょう. ゼータをはじめ, 数論的な級数もいろいろあるので, いくつかは何となく触れるようになるだろうとは思います. これを直接読みこなせるのなら.
純粋に数論と級数論というなら, まず通るべきはここまでに紹介した 2 つの道のどちらかでしょう. 中高の数学をあてもなく満遍なくやっていたところで 数論と級数論への理解が深まるわけではないので, 具体的に何をするかはちょっと考えないといけません.
広く解析学への知見を広める, という意味では私が作った次の 2 講座をいちおうお勧めしておきます.
前者は中高レベルの数学がどこでどんなところに使われているか, という観点から微分方程式を議論しています.
後者はガチガチの大学数学です. 最初の方で級数の理論を扱っているといえば 扱っています.
いちおう私が作っている通信講座の一覧も張っておきます.
数学に限りませんが, 理工系のネタを探すとき, 日本語文献に限定しない方がいいです. 英語に限ってもいいので海外の本まで視野に入れるべきです. 量とバリエーション, そして一般向けの本ということでいうなら, 質も高いものに出会える可能性があがります. 何のために学校で英語をやっているのか, という話でもあるので.
その他, 日本語でラマヌジャン周辺の数論に関して ある程度一般向けの本まで含めていえば, 黒川信重先生の本もいくつかあります.
級数はともかく, 数論に関してはいろいろな一般向けの本もあるので, そういうのを読んでみるのもいいかもしれません.
有名なサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』も 保型形式という適当な条件下で級数にもなる 数論的対象にまつわる人間ドラマを描いているので, まだ読んでいなければぜひ読んでみてください. これは文句なく面白いです.
ろくな答えが返せず申し訳ないのですが, 現状, 人類がアマチュア的に数学を楽しむ方法が あまり知られておらず, 数論関係の級数を調べる, というふうにネタを限定しまうと特に厳しくなります.
ラマヌジャン関係の数論と級数というところからは大きく離れますが, 最近, 大人向け中高数学の復習をする有料の通信講座の準備中で, そのモニター募集中です.
かなり遠回りになるでしょうが, ご興味あればどうぞ. 今年中には書き溜めた分をある程度修正し, 実際に講座をはじめようと思っています.
ではまたメールします.
久し振りのメルマガになってしまいました.
お金を頂いて通信講座を作っているわけで, 講座と直接関係のないことであっても 毎日いろいろ勉強しています.
現代数学探険隊の募集ページでは 幾何との接続についてもいろいろ 書いているので, 特に幾何はちょこちょこ勉強しています.
で, 最近, ようやくモース理論を少し勉強したのですが, やはり面白そうだ, という感じでちょっと テンションが上がっています.
そのテンションのまま メールを書いています.
幾何の素人からして, モース理論と言えばミルナーなわけです.
ただ, ウィッテンの仕事でモース理論も 装いを新たにしたところがあったわけで, それを承けた展開はどうなっているのだろう, と思うわけです.
Twitter で適当に呟いたところ, 幾何の人から次の本を教えてもらいました.
並行してこれ以外にもイントロ系の PDF を眺めていて, 何となく雰囲気は掴めてきたので, この本をまず 1 周させようと思っているところです.
これ, ゴリゴリの解析という趣があり, 解析の人が幾何に近づくには かなりいいのではないかと思っていて, それで今回紹介しようとメールを書いているところです.
これに関して情報探索中, 中高数学の講座向けの コンテンツも見つけたので, それを自分なりにアレンジした コンテンツを中高数学講座のモニターにも 流してあります.
モニターはまだ募集中なので, 興味があればぜひ登録してコメントください.
本題のゴリゴリの話に戻します.
一応書いておくと, ゴリゴリの解析というのは, 本当に数学科の解析学という意味でゴリゴリで, ソボレフ空間とか出てきます.
現代数学探険隊では ルベーグ積分パートでソボレフ空間を 扱っていますし, 偏微分方程式を議論するところでも 基礎は議論することになりつつあるので, 講座の続きで幾何を勉強したいという方に ちょうどよさそう, と思っています.
そもそもモース理論をほとんど知らないから, 関係を語れないから, と思っていま必死で勉強をはじめたところです.
ちなみにあなたがソボレフみたいな ゴリゴリの解析を知らなくても, ミルナーのモース理論は読めるはずです.
こっちの少なくとも最初の方は 学部教養レベルの数学しか使っていない (はず) なので.
n 次元空間に埋め込まれた多様体, とくにトーラスをイメージして 議論を進めていて, ミルナーの本は初学者で 取り組みやすい本です.
幾何と解析の交点という意味で, ちょうどいい感じでおすすめできますね.
何か今日はメールの内容が あっちこっちに飛んでいますね. まあいいか.
ウィッテンからの流れに関して ごく簡単に説明しておきましょう.
ウィッテンからの流れは 論文にもある通り, 超対称的量子論を使った議論が背景にあります.
モース関数を指数関数の肩に載せた 関数を外微分作用素に引っかけて 新たに外微分作用素を作ります.
そしてこの外微分作用素に関する (ド・ラーム) 複体を作って, ホッジ理論をやる, というのが大雑把な流れです.
ホッジ理論は楕円型作用素の ラプラシアンの解析なわけで, ゴリゴリの解析です. これは楽しそうなわけですよ.
モース理論自体, ポアンカレ双対性を高さ関数の 時間逆回転として理解するなど, 幾何的示唆に溢れた理論で, これ自体楽しい理論 (ということを今さら知った) なので, せっかくだしあなたもやりましょう.
そうは言っても読み切れるかもわからない 本を買うのはちょっと, とあなたは思っているかもしれません.
割と気楽にさらりと全体像を掴める PDF がネットに落ちています. 私もこれで大雑把なところを掴みました. ぜひこの辺を眺めてみてください.
ではまたメールします.
時間ぎりぎりで 2018 年に 食い込んでしまうかもしれません.
今年は仕事はプロジェクトで炎上し, プライベートは現代数学探険隊で手一杯で, あまり何もできなかったという感覚があります.
かといって現代数学探険隊で 経験を積んできたわけで, 残ったものもきちんとあります.
今年やり残したことが そのまま来年の目標です. 具体的にはやろうやろうと言って 全くできていなかった,
中高数学向けの 有料の通信講座を本格的に展開します.
どうして有料にこだわるかは あとできちんと説明するとして, まずは現代数学探険隊の反省に立ち, 最初は無料のモニターを募集して 小さくはじめます.
ぜひ次のフォームから 登録しておいてください.
不定期になると思いますが, どんなに長くとも 1 週間に 一度はコンテンツを流していきます.
さて, 今年の反省と それを受けた来年の目標を 宣言しようと思います.
正確には今年というか去年からの 内容ですが, 2 年かけて次くらいのことをやってきました.
他にもメルマガ書いたり, チャットワークで試験的に コミュニティの運営をはじめたり, こまごまとしたことは他にもあります.
この 2 年で私が一番 進んだと思っていること, そして価値があったと思っていることは,
有料サービスを本格的に 展開しはじめられたこと, そして 1 年半近くで 15 名と なかなか寂しい状況ではあるものの, ゴリゴリの現代数学の通信講座という 極北の市場でも需要はあると具体的に示したことです.
これをはじめたおかげで, 逆に他の活動に回す時間も限られてきたので それは良し悪しですが, 強制的にコンテンツと実績を積み増せるという意味では 非常に強力な環境ができました. どマニアックな方向に関して, 確実に 1 つ, 人にも言える成果が出せたと思っています.
数学でやれるのだから, 他の人がいくらマイナーな分野でやっていても, これ以上の数字は必ず出せる基準が作れたはずだと.
私があえて有料の講座も作った理由は, 他の専門家にも同じようなことを やってほしいからです. 何より私が参加したいからです.
そのためには屍の山を 積み上げなければならず, それをやろうと決意しました.
もう 1 つは, 現代数学探険隊をはじめて思ったことで, お金が絡むと責任が発生するということです.
お金をもらっているから, さぼるわけにもいかないし, やめるわけにもいかないのです.
当たり前ですが, これは強制力がはたらきます. これのおかげであれだけの コンテンツを作れたわけで.
もちろん広告を打ってみたり, 他の実験や活動資金にもなりますし, お金があってはじめてできることも あるので, お金の重要性を 改めて感じています.
多分実験系の方だと, 試薬買ったり装置買ったりで, 嫌でもそういうシビアさが 身についているのだろうとは 思いますし,
金銭面の理由で博士進学を 断念したのだから, 私自身わかっていたであろうに, まだまだ何も見えていないのか, と反省しきりです.
逆にできなかったことは, 今までの殻を破り切れなかったことです. どうしてもマニアックな方, マニアックな方に行ってしまいます.
ターゲットを広げる方向が弱く, 当初の目標であった, 実際にもっと広い層に届けるという部分が 甘かったのが反省点です.
そして来年の目標はまさにここです. 今度こそ本格的に中高数学くらいの 広い層を狙った有料通信講座を立ち上げ, それだけでも食べられる程度に収益化することです.
あえて人数出しましたが, どマニアックな層狙いでも 15 人いるのだから, どう考えても有料講座にしても 10 倍は人いれられるだろう, それができなければどこかしらおかしい, そのくらいの感覚でいます.
いま実際にリンクをクリックしてくれて, 配信したコンテンツを見てくれる人, という意味で熱心に参加してくれている人は, どうやら 100 名程度のようです. まずはこれを 10 倍に増やしたいですね.
これができれば, それが私の声が届く人が増えるから.
やはり鍵は習慣化というか, 生活に組み込むことだと思っていて, それを具体的にはじめました.
これまで通勤時の時間や隙間時間を使って, 有料の講座を作っていたのですが, その時間を一部切り出して回すことにします. やはり日々ちょこちょこ作っていくのが強いことを この 1 年半で実感したので, その小さなステップを刻み続けます.
どこまでの需要があるかはわかりませんが, 自分で物販ビジネスをしている知人から, 大久保さんから数学マーケティングの勉強のために 数学がやってみたい, という相談も受けています.
そういう層もどう取り込むか, どうすれば取り込めるか, そのために何をどう見せていくかが課題です.
あとまた少し違う視点から耳目を集めるという点で, ちょっとした YouTuber 的なことをやってみようと 思っています.
これは社会の動き, 特に実際に市民の人目をひくという 芸能関係のネタをしっかり調べ, 勉強して,
そこから数学と物理に どう繋げるかという 動画をひたすらに作っていこうと思います.
数学ネタというよりも, 社会の動きを知ること, そこにどう数学・物理を当てこんでいくか, そして 1 数学徒として 私がそれらの情報を受け取っているかを 緩く発信していく形を考えています.
こちらはいわゆる数学の話はしません. あくまで一般層に向けて, 一般層による再生数を重視し, 見てもらえるものを作るのに こだわろうと思っています.
他にも語ろうと思えばまだありますが, いったんこのくらいにしておきます.
現代数学・物理系の話は あと 1 年くらい現代数学探険隊と, チャットワーク上での日々のやりとりに 限定されるでしょう.
それ以外に力づくで動かす話として, 中高数学の通信講座もやっていきます.
まずは無料のモニター募集中です. ぜひ次のフォームから 登録しておいてください.
ではまたメールします. よいお年を.
来年具体化したい動きと 多少は関係があるネタを紹介しておきます.
日本数学検定協会賞というのがあって, それを受賞した女子中学生の 業績がちょっと話題になったので.
RT 日本数学検定協会賞を受賞した女子中学生の受賞作品「フィボナッチ数列は2進数でも美しいのか」Python3 でプログラム書いて実験しててすごいぶな。 http://www.rimse.or.jp/research/pdf/5th/work10.pdf 自由研究っていうと物理や化学を連想しやすいぶなけど、数学×コンピュータの実験数学的なものもすごく面白いぶなよね。
やりたいと思いつつ, ミニ講座を 1 つは作りつつ, なかなかきちんとできていないので, ネタがあったら紹介するくらいはしようということで, 今回紹介しました.
プログラミングも絡めて, 物理や大学レベルも含めた理工系ネタと 中高数学の接続, というテーマで 作ったミニ講座があります.
他にも代数幾何で世界的に著名な 飯高茂先生が最近出している次のシリーズもあります.
基本的には数論で遊んでみよう, という話ですね. 第 1 巻しか読めていませんが, プログラムとまで明言はしていないし, ソースコードがあるわけではないものの, パソコン利用についてははっきりと書かれています.
プログラムと数論と言えば素数夜曲もあります.
あとプログラミング+物理なら, 例えば次のような本もあります.
他にネット上の記事もいろいろありますし, 私が以前書いたコードもいくつかあります.
プログラムはメンテナンスが大変で, 何よりもっときちんと勉強が必要なので, まだ私の活動として本格展開はできませんが, 遊び道具として使ってみたいとは思っています.
もしあなたが興味あるなら, これらの本を眺めてみるなり, プログラム書いて遊んでみるなりしてみてください.
私の趣味ぶっ放しでよければ, 他にもいろいろな本やコンテンツを 紹介するだけはできます.
ではまたメールします.
私が展開している無料の通信講座, 現代数学観光ツアーに, 久し振りに明示的に高校生の参加者が現われました.
彼女または彼から第 1 回の内容に関して 質問を頂いたので回答をつけてみました. アンケートに回答を出してくれたタイミングから 遅れてしまいましたがないよりはましだと思ってもらえれば.
これでわかるのかどうか, 全くもって自信はないのですが, とりあえず 1 つ手を打ってみました.
議論用にチャットワークでのコミュニティも作っていますし, そちらの方が機動性と相互作用がよく コミュニケーションできるので, ぜひそちらにも来てください.
メールのフッタにも案内あるはずですが, 本文にも載せておきましょう.
念のため書いておくと, アカウント名は本名である必要はありません.
質問も 3 つくらいは回答せずに溜まっています. いつかはきちんと回答したいと思いつつ, 時間が全く取れていません. すみません.
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とりあえずそれはそれとして, 今年の総括というか来年の目標というか, 年内にその辺に関するメールをもう 1 つ出す予定です.
来年こそは中高向け数学講座をゆるくはじめます. もうそういうルーティンを生活に組み込ました. これも案内を正式に出すので, もうちょっと待っていてください.
ではまたメールします.
現代数学観光ツアー 第 7 回のアンケートで勉強の仕方に 関する質問がありました.
具体的には次のような内容です.
文献が非常に多く紹介されていました. ある本を読むにも自分は数年かかってしまいそうなものばかりのように感じました. 数学がわかる人たちは, これらの文献を小説でも読むようにサクサク読めてしまう怪人なのでしょうか? または, 文献を読むコツみたいなものがあるのでしょうか? (「学問に王道はなし」といいますが, あれば知りたいです) 「数学の本の読み方もまだ全然身についてなくて, ひどい勉強の仕方をしてました・・・・」とありました. (P279 の下段.) 数学の本のよい読み方やよい勉強の方法があるということでしょうか? (脳内セミナーは, よい勉強方法にあたると考えておけばよいでしょうか?) 今までの人生の中で, 本を戦略的に読んだことなどありませんでした. 現在, 49 歳で人生の半分以上を過ぎており, この先できれば効率よく勉強していきたいと考えています. こんなこと聞くな, 自分で考えろと言われそうですが, 教えて頂けたら幸いです.
第 7 回で紹介した文献もありますし, 受験用をメインに私自身が書いた電子書籍などもあります. それは最後に紹介するとして, まずはいろいろな勉強法があるし, 使い分けなければいけないことに関して改めて説明します.
まず目的に応じていろいろな 勉強の仕方がありえます. 数学を勉強するというだけでも, いろいろなスタイルがありえます.
例えば, 学部から大学院にかけて 数学科で数学を勉強するという前提だと, 基本的な知識を身につけ, その運用力を 上げるというフェーズです.
この場合は, 本をはじめから 最後までみっちり読み込む 必要があるでしょう.
一方, 物理学科で数学を勉強するという状況なら, 物理にも力を割かなければいけないわけで, 物理に必要な数学を 要領よくおさえている必要があります.
理論よりもいろいろな計算を やりきるパワーが必要に なるときの方が多いです.
そもそも, 物理の学部 3 年程度で 勉強することになる流体力学では, 基礎方程式であるナビエ・ストークス方程式が, いまだ解の存在と一意性に関する満足な 状況になく, ミレニアム問題と呼ばれる 7 つの有名な未解決問題に リストアップされています.
数学科ベースの数学で言うなら, 最先端の研究レベルでまだなお, まるで足りないわけで, 勉強とかいうレベルではなく研究です.
数学科の数学でいってもいろいろありえます. 先程は学部から大学院で基礎知識を 身につけるフェーズに関して書きました.
研究, それも研究者として生きていくことを 意識すると大きく変わる部分があります.
一言で言えばのんびり勉強している暇はありません. あとで紹介する『数学まなびはじめ』その 2, 岡本清郷さんのところで書かれているように, 論文の主定理を探して自分に必要な結果だけを どんどん取り出していく, といったスタイルの勉強です.
というわけで, 数学を勉強するというだけでも, 状況に応じていろいろなやり方があります.
いつも言っているのですが, 数学や物理に限らず何でも同じで, 銀の弾丸などは存在しないことを 肝に命じる必要があります.
目的に応じて適切な勉強法を 使い分けてください.
実際, 具体的な勉強法については, 各通信講座のラストで, その講座の対象受講者に合わせて いくつか勉強法を提案しわけてもいます.
細かいところに関しては, 以下で紹介する参考文献を眺めてみてください.
数学に限らず, ゴリゴリに 学術的にド専門の勉強をする場合は 『新・数学の学び方』と 『志学数学 -研究の諸段階 発表の工夫』, 『独学のすゝめ 大学受験勉強法 あなたが大学受験で失敗・後悔しないために 私はなぜあなたにいい大学・難関大に入ってほしいのか』 が特に参考になるでしょう.
細く長く勉強を続けていくことが目的なら, 『たかが数学, されど数学』が参考になるはずです.
資格試験のような勉強が必要な場合には 『独学のすゝめ 大学受験勉強法』 が特に使えると思います.
最後, 勉強の仕方に関する本の案内です. 適当にコメントもつけておくので, 興味がある本を眺めてみてください.
コメント: 学部 1 年のとき, もとの『数学の学び方』を読んだ. 「こんな風にやるのか」と思って, 素直に実践していった. 今思うと全然書かれている風にできていなかったが, それでも小平スタイルの勉強法に学部 1 年で触れられたのはよかったと思っている. 願わくば中高生のときに知りたかった. そしてそんな気持ちがあったからこそ受験関係のプロジェクトをはじめた.
『数学まなびはじめ』
コメント: 問答無用で面白いので早く買って読むべき. ブログに何人かの人に関する書評というか感想を書いているので, 興味があればそちらを見てほしい. 特にその 2 の岡本清郷さんの研究者としての勉強法は, 研究ベースの勉強について参考になる.
『志学数学 -研究の諸段階 発表の工夫』
コメント: 数学会の会誌で河東先生が「とりあえず買って読むべき」と書いたほどいい本. 数学者の卵への思いやり溢れる穏やかな筆致で話が進んでいく. 一般の人が「数学者はこんなことを考えながらこんなことをしているのか」という感じで読んでいっても十二分に楽しめるだろう.
『たかが数学, されど数学』
コメント: 山形大数学科の数学エッセイコンテストで入賞していた作品. 理学部や数学科の HP 改訂でどこにあるのかわからなくなってしまった. 数学エッセイの過去ページも見当たらない. 人類の損失レベルの素敵な文章なのでどうにかしてほしい. 仕方ないので手元にある分を自分のサーバーにアップした. 著作権的によろしくないのだろうが, 皆に読んでほしいのでこちらで公開している.
『独学のすゝめ 大学受験勉強法 あなたが大学受験で失敗・後悔しないために 私はなぜあなたにいい大学・難関大に入ってほしいのか』
以前連絡したような気がするのですが, Math Advent Calendar 2017 というのがあります.
ここで記事を書いたのに その連絡をしていませんでした.
記事はメールタイトルの通り, 量子論の数理とリーマンのゼータです.
時間がない中で強引に書いたので, 説明不足の点はありますが, 参考文献はいろいろつけてあります.
ぜひ, 興味があるところを つまんでみてください.
あと, 現代数学観光ツアー, 小旅行 2 のアンケートに来ていた質問に 簡単に回答しておきます.
具体的には次の質問です.
現代数学探検隊に参加すると位相を深く理解でき, 小旅行 2 の素数無限個の証明が理解できるようなレベルに達するのでしょうか?
細かい話はさておき, 素数無限個の証明の理解に関しては, 何ら問題ないレベルにまでは 問題なく到達します.
もちろん, きちんと継続的に, 地道に勉強を続けてもらえることは 前提ですが.
私のメルマガ, 何をどう考えても私より 数学できる人から中高の数学を勉強しようという 人までいろいろいて, なかなか「深い理解」の定義が難しいです.
それはそれとして, 現代数学探険隊の水準は 関数解析系の解析学に関する 位相空間論に関して, 基本的なところはきっちりおさえます.
いちおうちゃんと書いておくと, 上で「関数解析系の解析学に関する位相空間論」 と限定したのにはきちんと理由があります.
例えば幾何にとっての位相空間は, 微分幾何だともっと微分多様体論を 意識した構成にした方がいいでしょうし,
代数幾何を意識するなら, 必ずしもハウスドルフではない 位相空間, 特にザリスキ位相にも もっと強くフォーカス当てたくなります.
解析と言っても代数解析では, 代数幾何なみにピーキーな 位相空間が出てくるので, またちょっと趣が変わります.
以前, 数論幾何をやっている人に お酒を飲んでいるときに かなり真面目な顔をして 「位相空間は甘え」と言われたこともあり, 分野によって必要な位相空間は けっこう違います.
関数解析だと基本はノルム空間であり, 弱位相でも局所凸線型位相空間くらいには なってくれていて, 私が知る限り, ハウスドルフではない空間はあまり出てきません.
しかし代数幾何ではザリスキ位相が ハウスドルフではなく, さらに実用的な位相空間として有名だったりします.
この「実用的」というのが曲者で, 代数幾何は符号理論や暗号理論など 応用でも重要な分野で, 冗談抜きで社会でも使われる実用性があります.
与太話が長くなってきたので 改めてまとめると, 関数解析系, 特にハウスドルフな位相空間に 関しては完全に数学科の学生とも 張り合えるレベルの内容は網羅しています.
かなりじっくりやっているので, ちゃんとやれば必ず身になるはずです.
集合と位相をおさえておけば, 現代数学を独学するための 基礎体力は完全に身につくので, そのつもりで気合を入れてコンテンツを作っています.
一所懸命作っていますし, 何よりもともと物理学科で そこから数学科に進んだ身として, 「自分がほしかった」と思う内容を 作り込んでいます.
お試し期間などもつけているので, 興味があればとりあえず 気楽に参加してみてほしいです.
安いとは言えないにせよ, 無茶な料金設定ではないと思っています.
この辺, 私がこうしたかなり 突っ込んだマニアックな内容の通信講座を 成功させることで, いろいろな分野のポスドクの人達の 収入源を作るための第一歩にも なると思っています.
成功させる義務がある, と勝手な使命感に燃えてさえいます.
というわけで何度でも しつこく宣伝しておきます.
ではまたメールします.
今回はプログラミングも絡めた通信講座に 関して問い合わせを受けたので、 それに対する回答です。
質問があれば、メール含めて いくつか公開している適当な手段で 連絡してください。
で、メールなど私にしか通知が来ない手段だと、 私が動けないときに何も 応答できない問題があります。
交流できる場としてせっかく チャットワークを作ったので、 コードに対する質問含めて何かあれば、 チャットワークに登録して、 次のリンクからグループ参加申請して、 そこに質問投げてもらえると嬉しいです。
他の方が回答してくれるかもしれないですし、 むしろそういうのを期待して作っています。
最近本業が燃えていて、 さらにプライベートの方でも いろいろな実験的な活動をしています。
返信が死ぬほど遅くなる可能性もありますが、 気長に待っていてください。
忙しい忙しいと言っていると何もできないので、 無理やりにもで何かやろうと思い、 次のアドベントカレンダーにも登録してみました。
これ、Python x Math でネタ書く人もいるみたいですし、 ご興味ある方は自分でも記事書く方で参戦しても 楽しいのではないかと思います。
「中学・高校レベルでも実用的な話題でもなんでもいいです.」 とのことなので、別に気にせず書けばいいと思っています。
むしろ「中学・高校レベルのこんな勉強したいのだが、 いい情報が取れなくて困っている!」みたいな こと書いてもいいと思いますし、 堅苦しい企画ではないはずなので自由にやればいいのでは? ということで、 advent calendar の宣伝協力しておきます。
来年 5 月にプロジェクトが一段落するのですが、 ここからエンドに向けて本業が さらに燃え上がっていく予定です。
数学・物理関係の話で対応できるのは 極小におさえざるを得なくなってしまいますが、 ご意見や質問じたいは随時受け付けているので、 気楽にコメント投げてください。
やりたいことは山程あります。
ではまたメールします。
だいたい 1 月前に チャットワークでオンラインコミュニティを 作ってみる, という案内をしました.
こちら, 私の中で当面の 運用スタイルが見えつつあります.
それを連絡しつつ, 再度募集をかけてみようと思います.
まずは数学・物理マニアックスから.
実際にやってみて, メルマガに出すほどのボリュームではないものの, 何かちょっとやっていることを報告したい, という欲求がありました.
例えば, いま実際にこんな コンテンツを作っていて, こんな感じになっている, という報告だったり,
コンテンツのためにこんな視点で こんな本をこんなふうに勉強している, という話だったりです.
最近だと, 物理と幾何に関する本を 読んでいたりしたので, その様子をちょこちょこ報告したり,
読んでいる幾何の本の, その日読んだ分を簡単に まとめたり, といったところです.
実際に私がどんなふうに 勉強しているかをリアルタイムで 流しているので, それもけっこう参考になるのではないでしょうか.
今だと有料講座の現代数学探険隊の コンテンツ制作のために 関数論 (複素解析), 特にリーマン面 を 復習していて, その話もちょこちょこ書いています.
そしてこれまたメルマガで 出すほどではないちょっとした コンテンツを試験的に出してみたりもしています.
そのコンテンツはメルマガでは流さないので, あなたがそういうゆるい感じのコンテンツを 見てみたいなら, 気軽に参加してみてください.
数学・物理駆け込み寺に関しては, 具体的にどうしていこうかと 思いつつ, 参加者の方とも ちょっとやりとりしてみています.
こっちもそろそろメルマガで流すための ガッチリしたコンテンツのもとになる ミニコンテンツを作って配布していこうかな, と考えています.
有料講座を作るのに忙しく, こうした小さなアウトプットの機会がないと, 私自身, なかなか新たなコンテンツを 作っていけない状態なので, そういう感じで活用してみるのもいいかと思って.
そんな感じで私自身, 自分の勉強のためにも利用しつつ, ゆるく運用しています.
ご興味あれば気軽にどうぞ. 私もメルマガと違って, かなり気楽にコメントしています.
ではまたメールします.
アンケートを見ていると, やはり 1 人で勉強するのが大変, という話をよく聞きます.
そこで, 試験的にちょっとした オンラインコミュニティを 作ってみます.
リアルの場には集まりづらい, だからこそオンラインでいろいろ 展開してきた経緯もあるので, ある程度オンラインにこだわります. 海外から参加されている方もいますからね.
あなたがもし興味があるなら, ぜひ参加してみてください. 参加方法は後半に書いてあります.
コミュニティの目的は, メルマガや通信講座参加者の交流です.
単純にいま自分が勉強していることで, わからないことがあったら 質問を投げてみてもいいです.
質問についてもちろん私も 時間があれば議論や回答に参加するつもりですが, 一定以上勉強されている方が 解答したりしてくれると面白いですね.
何より人に教えることこそが 一番の勉強です. 一時期受験関係でも 情報発信していましたが, そこでは人に教えるのが 難しいなら自分に対して授業しよう, ということで「脳内授業」という 方法をお勧めしていましたし.
他には, 人を募って オンライン勉強会を 開くための場として 使ってもらうのでもいいです.
以前 Skype+Pixiv 絵チャットでのセミナーを やったこともあるので, その辺のノウハウはお伝えできます.
教えること, もっと言えばアウトプットしてこそ 知識や経験が身につきます. そういう場に使ってもらえれば, と思います.
あまりこういうことは 言わないことがいいのでしょうが, それでもあえて書いておきます.
これははじめてやることであり, まさに研究です. その意味でうまくいかないことが前提です.
試験的な展開なので, 将来的にどうなるかもよくわかりません. 実際どんな人が集まるかもよくわからないので.
とりあえず, ぜひ気楽に 参加してみてください.
これも念のため. わざわざ大人になってまで 数学や物理をやろうという人に そんな人はいないとは思うのですが, マナーの悪い人には適切な対処を取ります.
ちなみに.
コミュニティは 2 つ作ります. 1 つは数学・物理で マニアックなところをメインにするやつです. こっちはもうぶっぱなしでやりましょう.
特に継続的に作り続けている有料講座の コンテンツを作っていて, ちょっとしたネタはいくらでも 湧いてくるのですが, メルマガに書くほどのボリュームでもないので, そういうのが結構眠ってしまっている 気がしています.
そういうネタを気楽に 流す場としても使えないかと考えています.
もう 1 つは中高数学や理科に関する コミュニティです.
マニアックなコンテンツや ミニ講座に参加される方は 割と好き勝手にやれる能力が 既にありそうなので,
単純にそれを伸ばすようにすれば いいだろうと思っています.
しかし中高数学や理科向けに関しては もっとサポートあった方がいいのかな, と.
「ここがわからないんですが...」 「私も実はよくわからなくて...」 「いや, 実はそこはすごく難しいところで...」
みたいな話ができるだけでも だいぶ違うのではなかろうかと思っています.
こちらは何か手頃な大学受験関係の 問題集などをもとに, 単なる解答だけではなく, 着眼点に関して説明するとか, ちょっと違ったことをしようと思っています.
以前, 大学受験生を指導したことがあって, 2 ヶ月くらいでその子達の 数学や物理の偏差値が 15 くらい上がったことがあります.
特別なことをしたわけでもなく, 筑波を目指していた子達で もともと優秀というのはあったにせよ, 私の言っていることや指導方針にも 一般性や一定の効果があるな, と改めて思ったので,
そのときに作ったコンテンツを もとに, ちょっと何かしてみようかと 思っています.
ツール・サービスに何を使うかというところで, 実名だと嫌な人もいるかと思うので, Facebook のような実名メインではなく, チャットワークでやってみます.
あなたがチャットワークのアカウントを 持っていないなら, 作成が必要です. 無料なので適当なメアドで 作ってみてください.
私自身, どうなるか全く予想がつきません. 実験的に気楽にやってみます. あなたがご興味あるなら, ぜひ参加してみてください.
そして単に参加するだけではなく, 積極的に行動してみてください. 「こんなのがわからない!」というのを出して, それに対して何か議論するとか, 有意義な場になればいいなと思っています.
ではまたメールします.
先程お送りしたプレスリリースの URL, 直したつもりがリンクが壊れていたという指摘を頂いたので, 再送します.
プレスリリース http://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_201709061614152431248138.html 論文 https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.119.100601 arXiv https://arxiv.org/abs/1603.07857 https://arxiv.org/abs/1706.10112
1 本目の arXiv の論文の冒頭が読めないという指摘も頂きましたが, 私も Firefox で見ていると読めません. ダウンロードすれば読めるはずです.
それで読めなければもうわかりません. 環境ごとの問題という感じしかしないので, ご自分で調べてみてください.
ではまたメールします.
久し振りの純物理ネタです.
知人 (といってもいいはず) が, 論文出したというのを Facebook で言っていたので, 読もうという決意表明と宣伝がてら, シェアしておきます.
量子力学から熱力学第二法則を導出する論文が Physical Review Letters から出版されました。 プレスリリースと論文のURLは以下の通りです。
プレスリリース http://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_201709061614152431248138.html 論文 https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.119.100601 arXiv https://arxiv.org/abs/1603.07857
前もメルマガで純粋状態の統計力学的なネタを 紹介した記憶があります. 論文じたいは arXiv から取るのがいいでしょう. 無料です.
概要を知りたければプレスリリースで 日本語の文章をざっくりと読みましょう.
Facebook で「読む」とコメントしたら, 次のコメントを頂きました.
どうもどうも。 証明を読んで「これだと短時間領域だけじゃないか!」と思った場合には、こちらもどうぞ。 https://arxiv.org/abs/1706.10112
こちらは 10 ページ程度です. 合わせて 60 ページくらい.
適当に読んで, 余力があれば, コメント/感想を流す予定です.
これは本当に楽しみ.
ではまたメールします.
最近, 筋トレが面白くてはまっているので, その理由をお話しようと思っています.
数学かどうかはともかく, 物理や科学には確実に関わることなので, 「筋トレなんて興味ない」と言わず, ぜひ話に付き合ってください.
知っている人は知っている, 「数学は体力だ」という話があります.
前々から言ってはいたものの, 私自身はほとんど実践できていませんでした. 方々で言っているのでご存知の方も多いと思うのですが, 私は中学 3 年で白血病になり, それ以来まともに運動していない期間が 20 年近くあったからです.
体力がなくて困っていたからこそ, その意義を痛感していたとも言えはします.
いい加減何とかしようと, 小学校の頃からお世話になっている道場で 3 年前に中学の頃にやっていた柔道を再開したのですが, やはりふつうの人よりも明らかに 体力もなければ力 (筋力) もありません.
中学 2 年生にすら乱取りで ボコボコに投げられる始末です. それが悔しいということもあり, 筋トレを始めました.
死ぬほどきつくて毎度嫌になるものの, それはそれとして筋トレが面白いです.
何というか, スポーツ科学とかその辺の科学からすれば もはや激烈自明なのでしょうが, ある種目で鍛えられる筋肉が 限定されているというのがひどく面白いです.
これの何が面白かったかというと, 例えばベンチプレスでダンベルを 持ち上げるのに腕を使うにも関わらず, ちゃんとやると腕はそれほど疲れず, ちゃんと胸の筋肉に来るところ.
もちろんやっている重量が軽いこともあるでしょう. しかし本当に腕よりも胸にくるのです.
ダンベルカールをやっていると二頭筋にしかきませんし, 他の種目でもかなり影響が限定できます.
ショルダープレスも形式的には腕で ダンベルを持ち上げているのに, 疲労が来るのは肩です. もちろん肩の筋肉を使って上げているからです.
腹筋をやっていて腹にくるとか そういう自明な話ではなかったのがすごく面白くて, それで続いている感じもあります.
他にもきちんと休まないと 筋肉が壊れたままでむしろ筋肉が痩せていくとか,
栄養を取らないと身体が回復せず, 筋肉がつかないとか, 激烈自明のことが本当にクリティカルに効いてきます.
つい毎日ハードに, と思ってしまっていました. しかしこうした子供でもわかるようなことが きちんとできていなかったことを知りました.
自分でやれる科学といった感じで筋トレやるのは, 実はめちゃくちゃいいのではないかと思いはじめています.
これは通っている道場で子供達の指導を しながら思うことでもあります. どうすれば生活に根差した形で 数学や物理を叩き込めるだろうかと.
いろいろ調べてはいたのですが, 筋トレの科学という観点から話をしてみるのは どうか, ということで自分自身を 実験台にして奮起してみたところでもあります.
半年くらい色々調べつつ, 実践しつついい本やコンテンツを探し, 実践もしてきました. プロテインとかサプリを買って試したり, といったことまではじめました
最近, 仕事が忙しく残業や休日出勤も増えている上, もともと健康ではないですし, そろそろいい年なので, ちゃんと身体に気をつけようと思い, 本腰を入れはじめた, という感じです.
近いうちミニ講座を作ったり, いいコンテンツを紹介したりしたいです. 自分が変にまとめるよりも, これを読んで, といった方がいいことも多いので, いいやつをお勧めようと思っています.
筋トレをしたいという方はもちろん, 筋肉をつけるためには何をすればいいか, 筋肉がなぜどうつくのか, そのためにはどうすればいいのか, というスポーツ科学的なことを知りたい方にも ぜひ読んでほしいコンテンツがあります.
筋肉を作りたいなら それはもちろんタンパク質もいるよね, という話もリアルに実感しています. ある程度ハードワークしなければ 筋肉つかないというのも改めて実感しました.
軽い筋トレをいくらやっても全く筋肉がつかなかったのが, ダンベルで毎回今までにはないレベルの きつさでやってみたら, 一週間で明らかに筋肉がついたりしましたし.
ちょっとの筋トレですぐに筋肉がついたのは, それだけ私がろくに運動をしていなかった, 筋肉/筋力がなかったという証拠でもあります.
しかし栄養まで考えてちゃんとトレーニングしたら 1 週間で結果を実感できたというのも 本当に面白い経験でした.
数学や物理のためにも, あなたもきちんと身体を動かしましょう.
身体を動かすということでいえば, 大学院のセミナーで高尾山ハイキングセミナーをする 人もいるくらいですし, 数学科秘奥義の散歩もあります.
それからすれば, 身体が動きはじめると 頭も動きはじめるという感じがあります. こもって勉強・研究もいいですが, ちょっとした運動も取り入れてみてください. 軽いところからはじめるための 方法もいろいろ考えて実践した結果もまとめます.
数学をやっていると心身ともに消耗するので, 心身の健康と体力は本当に大事なこと, 改めて実感しています.
最近, 筋トレを実験とみなして 色々遊ぶのが本当に楽しいです. しかしつらい.
ではまたメールします.
次のようなお便りを頂いたので, とりあえず思うことをつらつらと.
いつもメイル送信ありがとうございます。 当方も貴殿の様な講座を立ち上げたく 研究、調査に励んでいます。 それに関連して最近「12才が書いた量子力学」という本に はまっています。
入門と専門の中間部分について書いたとのことで 貴殿の講座で扱っていない部分と思いますが 貴殿の見解をお聞かせくだされば 幸いです。
最初に断わっておくと, 私はこの本を読んでいませんし, 読む気もないです. いかにも, といった感じの地雷臭しかしないので.
目次の記述が妙に気になるので, 後半で内容も読まずにそこだけ突っ込んでおきます.
まず次の部分, 指示が曖昧で 何を求められているのかわかりませんでした.
入門と専門の中間部分について書いたとのことで 貴殿の講座で扱っていない部分と思いますが 貴殿の見解をお聞かせくだされば 幸いです。
何に対する見解なんでしょうか? 「入門と専門の中間部分について書いた」という部分? それとも「貴殿の講座で扱っていない部分」という部分?
まずは前者, 「入門と専門の中間部分について書いた」という部分に 対するコメント要求と思って書きます. 結論から言うと, 上掲書の 入門と専門の定義がよくわからないので何とも言えません. ここでは適当に私が思うところを改めて書いておきます.
人の趣味は多種多様なので, いろいろな人がいろいろな思いを載せて いろいろ作ればいいんじゃないでしょうか.
Amazon のレビューを見ても, 彼の作った「12才が書いた量子力学」で喜ぶ人がいるのだし, それはそれできっと意味があったのでしょう.
ちなみに一番これは「しょっぱいな」と思ったのは 内容紹介の次の記述.
10歳の頃には物理学の他にも天文学、 歴史、哲学、医学、論理学、経済学、 法学などあらゆる学問分野の本を読み漁り (最盛期には年間3000冊)
「いや, 1 冊読むだけで 1 年かかるのでは?」 と思っています. ろくな読み方をしていないか, その程度の本しか読んでいないのでは? という感じしかしないですね.
これ, ペレ出版側の大人の事情的な, コピーライティングなのでしょうし, こういうところに惹かれる大人もいるのでしょうが, これが覿面に嫌ですね. これだけでこの本を読む気が失せるレベルの 嫌なコピーです.
この点については我らが伊原先生の 『志学 数学』を勧めておきます.
特にこの P.17 の記述を引用しておきましょう.
「自分は一ヶ月に一冊読んでいる」などという先輩な仲間に惑わされないように. 本質的なところを感じとれない人の方が, すぐ数値的な評価をしたがる. 数学者になる, ということは, より深い価値がわかる人をめざす, ということでもあると思います.
もちろん, これはこれで「偉い先生のお小言」のように思い, 不快感を感じる方も多いのでしょう.
ペレ出版の人達はこの辺のことは「わかっている」でしょう. それよりもこの本のターゲット層に響く言葉として, 「年間 3000 冊」を挙げたのでしょう. それはそれでマーケティング, コピーライティングとして理解できます.
そしてこの辺, 決定的な認識のギャップというか, はっきり言えば嫌悪感というかある種の倫理観が出るところですね.
数学や物理などのアカデミックな人達が 踏み越えられない一線であり, マネタイズするときのハードルです.
実際, 私もこの手のコピーは受け入れられないですね. ならどんな文章をどんな人達に向けて書いて 届けるのか, それについては実際に募集ページを見てみてください. 理工系の知人に見せると「あれもうさんくさい」と よく言われるのですが, いまの私に書ける精一杯ギリギリのラインです.
あと言葉に対する書き手側の意識と受け手側の意識の問題もあります. 例えば, 私の認識では, 現代数学観光ツアー 物理のための解析学探訪 (http://phasetr.com/mtlp1/) は入門です.
「小学校の面積からはじめているし, 中学校の頃の自分が喜ぶと思って書いた. 紛うことなき入門用コンテンツである」 といまでも思っています.
ここでの「入門」はゴリゴリの数学・物理系の 志向を持つ人への入門という意味ですね. 「解析門前払い」と名高い 杉浦光夫の『解析入門』で言うところの, 入門もこの意味であろうと思います.
この認識からしてずれていそうな気がするので, コメントに苦慮しています.
ちなみに「中高数学に挫折したのでリベンジしたい」 とか「昔挫折した中高数学をじっくりとやり直したい」 という意味での「入門」を想定して 「応用からの中高数学再入門 中高数学駆け込み寺」 (http://phasetr.com/mrlp1/) を作りました.
ここでの入門は「役に立つ」という視点から 数学の世界に入ってみましょう, 特に興味関心がある人が多いっぽい 物理への応用を意識したところから, まずはどこに何を使うのかを知ることからはじめましょう, という意味での入門です.
懇切丁寧にわかりやすく, というタイプの入門ではありません.
これ, いまスウェーデンの理学部数学科に通ってらっしゃる方 2 人のお子さんを持つ方から, 「内容は結構腰を据えて読まなければいけないようなものが多かった」 というコメントを頂いたので, 「そんなに難しかったのか」とか 「もっと気楽に読み進めて大きな姿を 視界におさめることに意識を向けてほしい」とか 思ったりしました.
なかなかうまくいかないものです.
すでに大分長いですが, 「貴殿の講座で扱っていない部分」について.
私の認識だと, 私が作っているコンテンツやサービスは 「入門, または入門から専門への橋渡し」です.
数年前までは数学科や物理学科の学生向けに, 学部 1-2 年が大学院または研究最前線を見る, というスタンスの「橋渡し」セミナーをよくやっていました.
DVD にもした「よくわからない数学 色々な反例で遊ぼう」は 京大で開催された数学のイベント, 関西すうがく徒のつどい (通称つどい) で, 学部 1 年や高校生にもできる「研究」くらいのスタンスで 勉強から研究への「橋渡し」としたという認識でいます.
こういう認識なので, やはりこのコメントを寄せてくれた方とは, きっと決定的に認識がずれているのでしょう.
一応言っておくと, その認識のずれはいいとは悪いとかいう話ではありません. 強いていうなら私の認識のずれは 多分大きな問題で, それで「マネタイズ」したいというのなら, むしろ致命的な問題でもあるのでしょう. 実際よく言われることでもありますから.
最後, ちょっとした目次へのツッコミを.
第3章 数学的定式化―量子論から量子力学へ
本読んでないので量子論という言葉と 量子力学という言葉を どう定義して使っているのかわからないものの,
私の感覚だと量子論の方が抽象性が高く, 「極微の世界の物理」くらいの意味で 使われている方が多い印象です.
一方, 量子力学は有限自由度かつ非相対論での 量子論, くらいのイメージがあります.
前期量子論とかその辺の言葉の上っ面を適当にかじって, 量子論から量子力学とかそういうイメージで 言葉を使っているんでしょうか? このメールを下さった方, コメント頂けると嬉しいです.
第4章 内在的矛盾と解釈問題―量子力学は正しいか?
地雷感高まる節タイトルで, やばそう. 内在的矛盾というの, 何を言っているのかは気になりますね. 「量子力学は正しいか?」という問いも, 量子力学がどう定義されているかにもよりますし.
相対論的量子論や, 必然的に出てくる (無限) 多体系の扱いを考えると, その時点で相当厳しい感. 水素原子も励起状態が固有状態になっていて, そのままだとレーザーも作れず, どうしたって量子電気力学, 場の理論が必要です.
有限自由度の量子力学では記述しきれない, というかなり限定された意味なら量子力学が 間違っているかどうかはともかく, 間違いなく限界はあります.
他にも気になることはあったのですが, とりあえず簡単にコメントできることと言えば このくらいでしょうか.
こんな人間がこう考えてこう活動している, というところを紹介できると思ったので, いろいろ書いてみました.
今回からメルマガにアンケートフォームもつけてみました.
他にもいろいろ連絡手段は出していますが, 匿名の方が送りやすそうな気がするので. 何か思うところがあれば気軽にコメントしてください.
この間、日大生物資源の教官、 濱田龍義さんのお話を聞いて来ました。 内容はタイトル通り「数学ソフトウェアの世界」です。
知っている人は知っている、 DVD から起動できて数学系ソフトウェアが詰まっている MathLibre (旧 Knoppix/Math) を開発されている方です。
一言で言えば面白かった、という話をするわけですが、 まずはもっともっと宣伝すべきいいソフトがあるので、 きっちりその宣伝をしておきましょう。
MathLibre は DVD 起動で数学系ソフトウェアが 大量に使えるようになります。
厳密には DVD で Debian ベースの Linux 系 OS を立ち上げ、その上でソフトウェアを使う、 という形です。
純粋なソフトウェアという観点からは、 GeoGebra や SageMath が特に話題に上がっています。 世界的なプロジェクトとしても動いているので。
SageMath は「応用からの中高数学再入門 中高数学駆け込み寺」でも使っている Python を基盤言語とするソフトです。
超大雑把に言えば、 Mathematica のような総合的なソフトウェアです。
ちなみに上記講座の申込ページはここ。
上記講座では特に numpy, matplotlib を使っていて、 これも SageMath に取り込まれています。
SageMath のページはここ。
確か Windows はインストールが 死ぬほど面倒だった気がします。 面倒なインストール抜きでオンラインで使いたいなら、 次の CoCalc にアクセスしてみてください。
一方 GeoGebra はもっとお絵描き的にも使える楽しいソフトです。 もちろんかなりのハードユースにも耐えます。
こちらもオンラインで使うことができます。
GeoGebra か SageMath は開発にも 参加してみたいと思っていて、 どちらに参加するか検討中です。
GeoGebra は JavaScript が基盤言語になったようです。 JavaScript はインストール不要で動かせるので、 プログラミング系の通信講座を作るうえで こちらの方がいいかな、と思って心が揺れています。
ただ、最近、JavaScript は動きが激しすぎて ついていけないですね。
数学のように、一度証明されたらそのままの形で ずっと使えるならいいのですが、 続々と新たなライブラリは出てくるわ、 実行環境のブラウザもどんどんバージョンアップして 古いコードのメンテナンスが大変だわ、 と数学と物理の片手間でやるにはハードすぎるのです。
どなたか、JavaScript シミュレーション的な方向で 一緒に講座作ってくれる方いないでしょうか? そういう本も出てはいて、 遊んでみたいと思いつつ、なかなか時間が取れていません。
基本的な宣伝もすみました。 いいものはどんどん共有したいですね。 では講演本体の内容を簡単にお話していきます。
ちなみに講師である濱田さんの 今の所属は生物資源学科です。 しかし専門はバリバリの数学、微分幾何です。
この辺、あなたが大学院くらいまで行っているなら 多少は意味わかると思います。 「何でこの人、専門全然違うのにこんな学科に所属しているの?」 という例のアレです。
それはそれとして内容の話にうつります。 昔、TeX もない頃は大島利雄先生による 大島ワープロなどの数式入力ソフトもあったとか、 歴史的な話もいろいろあり、 昔から大島先生はすさまじいことやっていたのか、 と改めて衝撃を受けました。
灘の生徒だったころからプログラミングをやっていた、 とかいう話が出て、「大島先生、灘だったのか」という新知識。 確か元学生で現東大教授の小林俊行先生も灘だったような。
大島先生の謎エピソードとして、 東大の数理の学科長になったときの 有名なエピソードがあります。
ふつう学科長になると忙しくなるので、 研究も進みにくくなりますが、 大島先生は逆に論文増えたそうです。
理由がすごくて「時間がないので研究用の ソフトウェアを作る時間を削ったから」 という話でした。
この話は他の東大の先生から伺いました。 数学の研究をするにあたってまずライブラリを作るそうで、 もう何なの、と思わざるを得ません。
大島先生、城西大に移ってからは、 数学教育にもプログラムを積極的に取り入れているそうで、 行列を入れたら基本展開してくれるソフトを Risa/Asir で作って講義でも使っているという話をしていました。 こういうのも取り入れてみたいですね。 夢だけはどんどん膨らんでいきます。
数学者トークで言うと、森重文さんの話がありました。 濱田さんが大学院の頃にデファクトスタンダードだったという 久保ワープロに関して、森さんは開発に携わっていたそうです。 どうも森さんはアセンブラを書ける数学者として一部で有名らしく、 「100 ページの論文を書いていたら落ちた」から 何とかしようというので関わってきたそうです。
他の分野の様子はよく知りませんが、 数学で 100 ページの論文は滅多になく、 本当に大論文でそんなもんよく書くわ、という話がありました。
科学史にも関わる部分では、 ソフトウェアに関して記録が残っていないという話がありました。 古いコードは全く保存されていないし、 ある教官がやっていたとしても、 退官されるとそれが引き継がれずなくなってしまう、という話です。 コードなども残っていないそうです。 計算機関係の科学史を追う上でかなり面倒なことになっていますね。
ここで、ソースコードと実行環境の保存に関しては、 他にも問題があります。
実用的な話としては、昔書いたコードが動かない場合、 バージョンアップが必須です。 言語の改良でパフォーマンスやセキュリティも上がるので、 コスト (要はお金や人的資源) が合うなら、 素直に書き直します。
役に立つライブラリもどんどん出てきていて、 そうしたライブラリは古いバージョンに対応していないことも多いので、 新しくできるならそうした方がいいわけです。
これを科学史研究の観点から見ると大変なことになります。 ふつうに考えれば古いコードを持っていても仕方ないので、 削除してしまいます。 少なくとも積極的にメンテナンスしたり、 保持しておく理由がありません。 実際にそういう状況になっています。
こうすると、昔のコードやその実行環境が どんどんなくなっていきます。
一般に科学関係だと古い装置があっても、 それは実用にとってはほとんど意味がないので、 実用的には取っておく必要がありません。 歴史的な経緯からの意味はあるにしても。
例えば有名な話として、キュリー夫人のノートはいまだに 放射能を持っていて、ふだんは鉛の箱に入れて保管されていて、 閲覧するにも免責同意書にサインして防護服を着て閲覧しなければならないそうです。
そしてこの問題は他の文化遺産にもはねていきます。 観光資源としてお金になるとかいうならまだしも、 場所や保管代でむしろ出費の方が大きいなら、 廃棄する理由の方が大きいですから。
そういう問題があって、 こう、難しいと。
とても世知辛い話ですし、 数学系の人は特に猛烈に嫌がるとは思うのですが、 お金の話をします。 実際、講演のときにも最後に大きな問題として 取り上げられていたのです。
先の科学史のための資料・史料保存は そのものずばりですね。 管理・維持に途方もないお金が必要です。
先のキュリー夫人の研究遺産の管理を考えてください。 記事にもあるように、 キュリー夫人の研究室をそのまま保持するなら除染が必要でした。 放射能を持つ物質を保管するなら当然厳重な保管が必要で、 人もお金も必要です。
キュリー夫人となるとノーベル賞受賞者であり、 世界的にも有名なので、取り壊したり廃棄するとなったら それなりに大きな反響が出るでしょう。 科学者団体からも抗議声明が出るのではないかと思います。
かといって、その保管の手間とお金をどこの誰がどう払うのか、 という大きな問題があります。 いつまでもどこまでもひたすらにお金がついて回ります。
一般にマネタイズ能力の弱い学者では、 解決しきれない問題です。 特に継続的に施設設備と 専門的な知識を持つ人材を雇い続けるための 大きな金額が必要です。
単に装置などの形を残しておくだけならまだしも、 それらを動かせるようなレベルにまで メンテしないといけないとなると、 さらにコストが跳ね上がります。
これを無駄といってしまうと、 科学館や博物館が死滅しかねません。 深刻な問題です。
ただ、これがまた難しいです。 先日、ニュースで日本最古の ティンパニーの話題がありました。
東京芸術大学の前身の東京音楽学校の 教師・ドイツ人音楽家・アウグストユンケルから 1904年に贈られたことを示す JUNKERの文字が刻まれたティンパニーについて、 東京芸術大学・元特任教授・瀧井敬子は 「もっとも古いといって間違いないと思う。 オーケストラが日本に根付く過程をしめす貴重な物的証拠」と話す。
これ、あなたはどう思うでしょうか? 「貴重な資料だ。ぜひ保存しなければ」と思ったでしょうか?
小平邦彦先生のように、 数学、または数学者と音楽には 割と親和性があります。
しかし「いや、オーケストラが 日本に根付く過程と言われても 特に興味ない」という方もいらっしゃるでしょう。
もっとはっきりいえば、 単にティンパニーがあればいいだけではなく、 きちんと場所と時間と人、さらにお金を使ってこれを 保管しようというときに「そこまでやる意味はどこまであるのか?」 と言われて、きちんと答えられる人は まずいないのではないでしょうか?
先のキュリー夫人の研究遺産に関しても、 どの程度までその意義を見出せばいいでしょうか? 実際、音楽関係者と予算の取り合いになるわけで、 他人事ではありません。
よくある「何の役に立つ」問題とも強く関係します。 私の専門である数学や物理なら、 「いや、役に立つから」と言い切れるし、 何なら「あなたがそれを知らなくても、 理解できなくても一切関係ない」と まで言い切ることすらできるでしょう。
専門家を育てる必要はあって、 彼らに対する教育が第一で、 数学を知らなくてもほとんどの人は困らないし、
何なら日常生活を営む上で、 数学よりも勉強すべきことはたくさんあるとすら言えます。 学校の勉強にしても理科や法律、歴史などの方が よほど重要と判断できる 真っ当な判断基準も作れるでしょう。
しかし、科学史上の史料についてまで 「いや、これ役に立つから」と言い切るのはなかなか厳しいです。 明らかに有限な場所・人・お金をどう配分するか、 という問題まで絡んでくるときにどうするか、という問題です。
別に答えがあるわけでもなく、 ただただ厳しいです。
そしてこの問題は数学ソフトウェアにも同じ問題があります。 これも 1 つの大きな要素はお金です。 実際に講演の後半でマネタイズに苦労しているという話が出ました。 濱田さん自身「DVD を無料で頒布したら よけいマネタイズ厳しくなるのに何でそんなことやってるの?」 という指摘を受けている、という話もありました。
GeoGebra はイギリス政府だかの補助があり、 まだ何とかなっているそうですが、 SageMath は本当に資金が厳しいそうです。 教育用の用途だけでなく、研究用の用途もあり、 企業活動などの実用上の用途もあります。
企業からの寄付もあるとはいうものの、 まるで足りないそうで。 特にオープンなソフトウェアの開発ではよくあることですね。 開発者はボランティアでやっていることも多く、 家庭の事情など何かしらの理由で開発しなくなる、 できなくなることも多いので、 継続的に回したければやはりビジネスにするしかありません。
開発を進めるためには開発者が必要で、 それも場合によってはプログラミングだけでなく、 数学にも精通した高度な人材が必要です。 そんな人は引く手あまたなわけで、 そうした人に開発に集中してもらいたければ、 雇ってしまってそれで 生活できるようにしてしまうのが一番でしょう。
ポスドク問題と同じで、人には生活があるのです。
一方、多くの人が使うからといって、 それにお金を出すかはまた別の話です。 なくて困るかと言われると 必ずしもそんなことはないので。
GeoGebra、SageMath ともにオンラインで ソフトを使える環境も整備されています。
充実したハードウェアを持たない人や、 必ずしも身の回りにコンピュータに 詳しい人がいなくても使えるように、 という配慮もありますし、
使いやすい環境を用意して知名度をあげて、 寄付を募るといった目的もあります。
ただ、このオンライン環境も維持管理に人とお金が必要です。 「なら、やめれば?」と言われてもそういうわけにもいきません。 いわゆる「理念」というやつです。 そして理念だけでは食っていけない、 という世知辛い話でもあります。
私も、それこそ継続的に寄付したい、 と思いはしても、なかなかその余裕がありません。 こういうとき「稼ぐ」という意味での 自分の明らかな無力さを強く感じます。 本当に、きちんと稼げるようになって、 こういうところに少しでも寄付したり、 開発にも参加したりしたいです。
そういう話をしたので改めて言及しておくと、 私がやっている活動でも同じです。
細々としたことを抜かせば、 事実上、いまはほぼボランティア状態でやっています。 上記のソフトウェア開発や災害救助なども含め、 ボランティアの限界はまさにボランティアであることです。 ボランティアで活動できる余裕があることです。 余裕がなくなった瞬間にその活動は止まってしまいます。
私もある時期、一年程度、 ほとんど全く活動できなくなったことがありました。 そのときに改めて痛感したことでもあります。
「きちんと活動を続けるためには、 マネタイズすること、きちんと継続に回し続けられる ビジネスにすることが大事だ」と。
DVD を作って Amazon で販売してみたり、 直近では有料の通信講座を 運営してみたりしている理由の 1 つでもあります。
何度か言っているように、これはもちろん、 他の専門家にも、その人独自の色が強くでた、 有料の通信講座などをやってほしい、というメッセージでもあります。 特にポスドク問題が起きているので、 そうした人達が生きていく術としても確立したいと思っていて、 そのための「人体実験」としても実験・活動しています。
生きていなければ数学もできません。 もっときちんとこの社会で生きることも考えなければならない、 そんなことも改めて考えさせられた講演でした。
今後、こうした世知辛い系統の話もしていく 機会が増えると思います。 1 つにはそうした状況を伝えないといけないと思うからです。 特に中高数学向けの通信講座には、 必ずしも現在の大学院の状況を ご存知の方ばかりではないからです。
上に書いたように、私が愛してやまない研究者達が 研究を続けながら生きていけるように、 私なりのポスドク問題への対処法の研究や、 その研究発表も兼ねています。
重たい話をしたいわけではなく、 私にとっては生きることも数学なのです。 生きていなければ数学できませんし、 そのための生計を立てることも数学です。 一数学徒の生き様を眺めてもらおうと思っています。
「また変なことやっとるわ」と気楽に眺めていてください。 その筋の方々も「これなら自分でもできる」と思ったら、 ぜひやってみてください。
私がやっているメルマガや通信講座は トータルでのべ 1000 人の読者がいるので、 面白い話があればどんどん共有します。
通信講座の「今後の勉強の指針」とか 参考文献紹介の中で、 他社サービスや大人向け数学塾なども 紹介していますし、その一環です。
現代数学観光ツアーのアンケート解答も滯っているし、 メルマガもネタはあるのでどんどん発刊したいですね。 試験的にポッドキャストもやってみたいと思っています。 引き続きいろいろがんばります。
ではまたメールします。
先日, ある読者の方から, 聞きたいことがあってもメールだと ハードルが高くてなかなか連絡しづらい というご相談を頂きました.
それはそれでよく聞くので アンケートを使ったりもしているのですが, それはそれで双方向の やりとりになりづらいからちょっと, という話もあるようで.
というわけで試験的に 連絡先としていくつかのサービスの アカウントを公開しておきます.
Twitter が一番アクティブですが, どれもきちんとチェックしています. そして Twitter が一番 ろくでもないことばかり言ってもいますが, ふだんからたいがい数学と物理の ことしか考えていないのが一番伝わるのも Twitter でしょう.
ご興味あればぜひフォローしてみてください. あとアカウントを持っていらっしゃる方は Facebook ページにもいいね! しておいてもらえると嬉しいです.
すべてに丁寧にお返事するのも なかなか難しいのですが, すぐに答えられることなら なるべくお答えしていこうと思います.
何かあればお気軽にどうぞ.
ではまたメールします.
Amazon で予約していた本が今日届き, とりあえず 1 周さっと眺めて面白かったので, 興奮さめやらぬ状況でとりあえず感想をまとめました.
本は次のリンクから飛べます.
ご興味ある方はぜひ次の URL から 記事に飛んで読んでみてください.
私の読書メモ程度ではありますが, ある程度物理寄りの視点というか, 代数的場の量子論, 量子統計力学の数理的な 視座からのコメントを載せています.
私のメルマガに登録したり, 通信講座を受講されている方なら, 本と合わせて記事を読むと 楽しみがさらに増えると思います.
中高数学駆け込み寺の方だと 大分参加されている方の趣が違うので, 微妙なところではありますが, 面白がる方もいるかと思ってご連絡しておきます.
記事にも書いたのですが, 山下さんは院のときの 1 つ上の先輩です.
研究室が同じだったので, それなりに似た方向性はあるわけで, 現代数学観光ツアーの続編のような内容とも言えます.
具体的にはフーリエ変換と双対性の議論, 群の表現論からはじまるので, まさに現代数学観光ツアーの 最後の部分を進めたところからはじまります.
あなたがもし現代数学観光ツアーが楽しめたなら, これもきっと楽しめるでしょう. ぜひ買って読んでみてください.
詳しいことは記事に書いたので, この辺で.
ではまたメールします.
Twitter で musubimeriron さんの ツイートを見かけたので, 備忘も兼ねて記事を書きました.
いちいち記事に飛ぶのも面倒という方も いらっしゃると思うので, メルマガの最後に転載しておきます.
見やすい方で見てください.
一番言いたいことを簡単にまとめておくと, 予想の否定的解決のために反例構成をした, というところに注目してほしいです.
私が展開している通信講座, 現代数学観光ツアーや現代数学探険隊でも強調していますし, Amazon で販売している 「よくわからない数学 色々な反例で遊ぼう」 https://www.amazon.co.jp/dp/B00FYU9LQ0 ではそのもののメインテーマとしている反例,
これが実際に (まだプレプリントですが) 論文になっている具体例なのでぜひ紹介したい, というところです.
すごいレベルになると本当に反例を作ること それ自体が創造的な営みなわけなので.
久しぶりに Amazon の販売ページみたのですが, 私の DVD を国内正規版とか言って 中古で売っている人がいました.
しかも値段が新品とほとんど変わらない. やるならもっと安く売ってあげればいいのでは, という気しかしないですね.
何なのでしょう.
記事中でもコメントしていますが, 現代数学探険隊 http://phasetr.com/mtex1/ では, 実際に自分でも小さく反例を作っていくようにしてほしい, それを基軸に据えて講座を展開しています.
具体的に宿題として出していますし, 毎回解答もつけています. それ以外にも例・反例はをたくさん挙げていますし, その例が先々の数学や物理でどんな意味を持つか, どう面白いのか, どう重要なのかも たくさん解説をつけています.
ご興味ある方はぜひ参加してみてください. ちなみに上で紹介した DVD は, 参加者特典として無料で見られるようにしています.
2 週間のお試し期間があって, その間でも見られるようにしています.
何か意図に反して宣伝のようになってしまいましたが, そのくらい反例構成は大事ですよ, ということで.
以下, 記事の転載です.
またメールします.
==== 私は真偽判定する能力を持たないが, ツイートを見かけたのでとりあえず張っておく.
これは衝撃的です。 A counterexample to the Bernhard-Jablan unknotting conjecture https://arxiv.org/abs/1705.05985
結び目理論の未解決問題10 https://matome.naver.jp/odai/2133489552895746501 の一つでしたが、否定的に解決されました。
Bernhard-Jablan解消予想がもし正しいとすると、原理的には、結び目解消数が帰納的に決定されることになるので、非常に都合が良過ぎる予想ではある。
2 つ目のツイートで「結び目理論の未解決問題10」 に関する Naver まとめが張られていて 「何でそんなに異常なまとめが Naver にあるのだろう」と思ったら, musubimeriron さん自身のまとめだった.
私の結び目理論への知識は, 学部 4 年のときにちょっと講義に もぐった程度でほとんど何も知らない.
Jones 多項式関係で 院のときの専門だった作用素環と こう割といろいろ関係があるとか, 3 次元時空での代数的場の量子論での DHR-DR 的な話でも組み紐群が出てくる (はず) だとか, その程度しかない.
ただツイートの中にある反例を挙げる形での 否定的解決というのがかなりツボ. 私が運営している通信講座,
現代数学探険隊 http://phasetr.com/mtex1/ は, 例や反例を自分で作っていくことを重視して 数学学習していこうという 趣旨で内容を構成しているので, 反例を作ることで本当に論文になる話として メルマガでも流そう.
あとプレプリントをパラっと眺めて 気になった点を挙げておこう.
The bulk of the work needed to reach these conclusions was carried out by computer.
ある意味 4 色定理とも似通っているのだろうか, プログラムで片をつけた部分も大きいとのこと. 最近中高数学駆け込み寺 http://phasetr.com/mrlp1/ という 中高数学復習のための無料のミニ講座で, 多少のプログラムもつけて講座を展開している.
数学とプログラムの遊び方みたいなところは 最近かなり気にしているので, その点でもとても気になる.
SnapPy https://www.math.uic.edu/t3m/SnapPy/ という Python によるソフトもあるようなので, やはり Python をもっときちんとやらねばならないか, という気になっている.
個人的には Haskell をやってみたいのだが, グラフを手軽に書く, 数値計算も手軽にやる, そういったところからすると資料が少なく (というか観測範囲でほぼない) Haskell で やるのは極めてハードルが高い. となるとやはり Python かという感じ. これも頑張らないといけない.
2017年4月25日 16:30~18:00 の 慶應の微分幾何・トポロジーセミナーで 勝良健史さんが次のようなタイトルの 講演をするそうで.
URL も張っておきました. 平日の夕方の早めの時間, 参加しようもないのですが, 中身がとにかく気になるので.
一応内容も転載しておきましょう. 上のページに行くと見られます.
本講演では, 局所コンパクト群の例から始め, ユニタリー表現やポントリャーギン双対などの話題を通して, C環という概念が自然と現れることを見たあとに, 群や空間の量子化の考え方などを例を通して説明する. 講演の後半では, 対称群の量子化として導入された魔法陣 C環に関して既に知られている事や最近分かったことを解説する. 特に魔法陣のサイズが 4 のときは, 魔法陣 C*環が 3 次元射影空間をクラインの四元群 2 つの直積群の作用で割った orbifold から 4 次正方行列への連続関数のなす環として表現できることを説明する. この結果は 16 年度の小川正瞳君による修士論文の結果に基いている.
魔方陣 C* 環とか名前の時点で 既に勉強したすぎる概念なので, 本当にずるいですね.
知人に聞いたところ, オリジナルは次の論文とのこと.
リンク先は arXiv のプレプリントなので 誰でも読めます.
非可換幾何や量子群の話のようです. ぱらぱらと眺める限り, 何となく読めそうだし俄然興味が高まってきます.
悲しいことに今すぐ読める暇もありません. ただあなたは読みたいと思っているかもしれません. とりあえず講演概要に関して簡単にコメントしておきます.
まず勝良さんからですね. 勝良さんは大学院の研究室の先輩です. 何度かお会いしたこともあります.
いま何をやっているのか正確なところは全くわかりませんが, 私が大学院生だった頃はグラフ C* 環の あたりをやっていました.
グラフというのは情報理論, 離散数学とかそのへんでも出てくるグラフのことです. グラフから C* 環を系統的に構成する方法があって, 群の表現論あたりも絡めて何かごにょごにょやっていた という曖昧な記憶があります.
Kazhdan の property-T という言葉だけ よく覚えています.
群の表現, 特にユニタリ表現との関係については, 次の定理が重要です.
定理 C* 環の任意の元は ユニタリ作用素の有限個の和で書ける.
実際には 4 つの和で書けます. C* 環の functional calculus を使うと 適当にユニタリが定義できて, それで処理できます.
このあたりからユニタリ作用素さえ作っておけば いくらでも C* 環の元が作れてうんぬん, という話ができます.
functional calculus は 作用素の関数を作ろうという話で, Stone-Weierstrass の定理を基礎に 正規作用素の多項式を連続関数に持ち込んで, とか, Cauchy の積分定理を レゾルベントに適用したりとか,
はたまたスペクトル定理で 定義したりとかいろいろあります. スペクトル定理からは von Neumann 環の話も関係してきます. 両方とも射影が重要だからです.
内容を見る限り, 修論を見るとほどよくいろいろな 数学に触れられそうなので, 修論を読んでみたい欲求にかられています.
最悪勝良さんに問い合わせてみるまである.
何はともあれ, あなたがご興味あるならぜひアタックしてみてください. P.6 からの 3 節はじめを見ると, 有限集合上の話や, 有限次元の行列環の話をするようで, がんばれば読めるところもいろいろありそうです.
最後に. このメール, 私が作っているもろもろの講座なり メルマガなりに登録している人あてに送っているため, 知らない方もいらっしゃると思うので, 改めて宣伝しておきます.
現代数学, 特に解析学に関して, 非可換幾何とかのネタも盛り込んである, 無料の通信講座を作って運営しています. 興味があればぜひ次のページから登録してみてください.
あなたが既に登録していて, 今回の講演や論文に興味があって, 非可換幾何ってなんぞ, と思ったなら該当回を復習してみてください.
ではまたメールします.
平行稼働している現代数学探険隊に関連して, 調べたものの何か中途半端になってしまっていた ネットやフィルタの収束に関して資料をまとめました.
供養と思ってまとめたら 割とよさげな内容になったので, 現代数学探険隊にも適当な形で統合する予定です.
ただ一般向けにも公開する前提で作ったので, まあいいかということで公開します.
記事にも書いたのですが, フィルタのうち特に極大フィルタは 超フィルタとも呼ばれ, 超準解析でも出てくる概念です.
超準解析自体がマイナーですが, これはこれで興味がある人も多い話でしょう. その意味で役に立つこともあるだろうし, 必要な人もいるだろうということで.
現代数学探険隊の講座でやっていることも もう少し具体的に知りたいという要望も頂いています.
登録されている方の中にはどう考えても私より 数学できるだろうという方もいらっしゃいます.
その意味でも無理に参加させようという気は全くありませんが, 入った方がいい人・入るべき人に 二の足を踏ませてしまうのもよくありません.
これに限らずちょっとしたサンプルを 改めて公開してみようと思っているので, ご興味ある方はぜひ眺めてみてください.
ではまたメールします.
先日撮影した動画の案内です.
数学を効果的に伝えていくために 私はある勉強会に参加しています.
そこで映像コンテンツを作る コンテンツ制作実践会があり, 表題の通り「数学は何故役に立つように見えないのか?」 というタイトルのミニセミナーをして, その映像を YouTube にアップしました.
次のページに動画をはりつけてあるので, ご興味ある方はぜひ見てみてください. 中高数学に関する通信講座を作った理由についても 改めて説明しています.
吃音 (いわゆるどもり) があって 聞きづらいと思うので, スライドの元原稿もセットで 貼ったページになっています.
吃音で聞きとりづらいのを よく動画で人に聞かせようと思ったな, と自分でも思います.
しかし吃音は吃音はなかなか 理解されないところがあるため, これはこれで, 吃音というのはこんな感じで うまく話したくても話せないのだ, というのもついでにお伝えできるかと 思ってやっています.
これさえなければもっと動画や 音声コンテンツも作れるのですが.
黒板やらホワイトボードやらに証明を 書いていくタイプの動画については 吃音で言葉が出なくても書けばいい という裏技があります.
一時期動画も作っていたので, それはそれでまた作りたいと考えています. 幾何をやるなら図を描きたいので, そういう場面では活用したいですね.
感想があればぜひ教えてください.
記事・動画へのリンクをもう一度張っておきます.
ではまたメールします.
関根 (相転移P) です.
先日, 40 代で 2 児の母, そして理学部数学科に 通ってらっしゃるという方が 現代数学観光ツアーに新たに参加されました. http://phasetr.com/mtlp1/ こんな人が本当にいてしかも参加してくるのか, と衝撃を受けました.
その方からのアンケート回答を読んでいて 改めて思ったのは, この講座はこの講座でいいと思っているのですが, いろいろな意味で重すぎるのは否めないことですね.
もうちょっとゆるいのも急ぎ整備していかないと, また新たな挫折を生んでしまいそうなので それが気がかりです.
で, 同じ感じの内容に関して もっとさらりとすっきりまとまったものが 数理科学 2017-04 号で 特集されていたので紹介しておきます. https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01N37MED9/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B01N37MED9&linkCode=as2&tag=phasetr-22&linkId=25adb692d25c12421da5eb52312e98d4
関数解析的思考法のすすめとして, 線型代数, 微分積分からの流れ, 微分方程式論との関係, 量子力学との関係, 作用素環, 確率論と関数解析, リーマン幾何と関数解析, 工学と関数解析, こんなラインナップです.
数理科学の今回の特集に触れられた範囲の 確率論, リーマン幾何, 工学ネタは 現代数学観光ツアーでほぼ触れていませんが, それ以外はかなり近い範囲を扱っています.
これからはもっと軽めのトピックごとに特化した 「現代数学観光ツアー」を作っていこうと思っています.
そしてその第 1 弾で扱おうと思っていた ストルム-リウビル系の話題に 触れられている記事があって, 考えることはみな同じなようですね.
もちろんページ数の制限も全然違いますし, いまの私が勉強を進めながらカバーできる範囲も あるので, 視点は当然変わってきます.
ストルム-リウビルの後には もっと作用素論的な方向, 一般論の方向でもう 1 つミニ講座を作る予定なので, そこにもつながる形で内容を作ります. いま目次を作り込む形で大枠と 細かな部分の想定を詰めているところです.
近々具体的に募集ページを作るので, ご興味のある方はどうぞ.
ではまたメールします.
前回から今回にかけての内容で, 割と最近の成果がまとまった本として 次の本をおすすめしていきます.
私も参加していた Summer School 数理物理 2013 の 講演内容をまとめた本です.
内容の大雑把なところに関しては 当時レポートを書いたので参考にしてください.
でははじめましょう.
前回少し作用素論方面の話をしました. 関数解析系の量子系の数理の核の 1 つは ハミルトニアンの解析です.
ふつうハミルトニアンは線型作用素だから 作用素を調べることになり, そこで作用素を研究することに特化した 作用素論の出番になるわけです.
その作用素を詳しく調べるために確率論を使う手法があります. 物理としてはいわゆる「経路積分」の厳密解析にあたります. 場の理論では特に超関数を変数とする関数の積分論になるため, 汎関数積分と呼ばれることがあります.
前者の新井先生の本は丁寧でいいんですが, 論文を読むには全く足りません. この方面の 1 冊目には最適だろうと思います. 量子力学だけでなく場の理論の話も書いてあります.
Simon の「Functional Integration And Quantum Physics」もありますが, これに限らず Simon の本は難しいです. 読むにしても新井先生の本で きっちり基礎を固めた後にしましょう.
後者の廣島先生の共著の本は 完全に場の理論の本です. 正確には粒子系と場のカップリングを考えているので, 粒子系, つまり量子力学の話ももちろん書かれてはいます.
ただこれ, 確率論に関するかなりの予備知識が必要です. いきなり Levi 過程の話が出てきます. その確率論や確率過程, そいて確率積分に関しても基本的なことが 新井先生の本にいくらか書いてあります.
この方面に進むにしてもまずは 新井先生の本を読むのをお勧めします.
量子電気力学に関する解析でも 汎関数積分を使った結果に決定的な成果があります. 対応する結果を確率抜きの純粋な作用素論で証明したり, 作用素環で見てみたりといった研究をするにも, ある程度は結果をフォローできないといけません.
研究フェーズの話ではありますが, 楽しいところなのでぜひトライしてみてください.
確率論じたいの参考書もいくつか紹介しておきましょう. まずは舟木先生の本をお勧めします.
例えば分布の収束の定義について 「どうしてこういう定義なのか」という 「気分」についての説明もあり, 初学者が疑問に思うところを丁寧に潰しています. 舟木先生の教育力, 経験が光る本です.
Markov 鎖の場合に限ってはいますが エルゴード性に関する記述もあります. 確率積分は書いていないので, 別の本を読む必要があります.
確率論の基本的なところについては 西尾さんの確率論も証明が丁寧で 読みやすくていい本です.
あとできちんと書く
確率積分に関しては初読は 新井先生の汎関数積分の本を勧めます.
突っ込んだ内容に関しては, 例えば次の本が有名どころです. 読んだ本もあれば きちんと読み込んでいない本もあります. 順に舟木直久, 長井英生, 渡辺信三, エクセンダール, カラザス・シュレーブです.
結論から言うと廣島先生の本が研究に直につながる本です. しかしここにいたるギャップが激しいです. 関数解析だけでは足りず, 確率論に関してもかなりカバーするべきことがあります.
作用素論の定理の確率的証明だとか 確率的解釈のようなことも面白いので, 数学としてもかなり面白いところです.
少なくとも作用素論と確率論という 2 つの分野の交点にあるわけで, 複数の分野をまたがる話に興味があるなら 挑戦するべき価値のある話です.
くり返しになりますが, 専門書と入門のギャップ, 特に関数解析だけではほとんど足りません. そこを埋めるのがかなり大変です.
私が知る限り, 直接量子系の話とはつながらない 部分も含めて確率論をふつうに相当かっちりやった上で 対応していかないといけません.
ダイレクトに絞っているのは 新井先生の本です.
しかしこれでは明白に分量が足りません. そこを埋める, それもダイレクトに埋めてくれる 具体的な本はないと思います. 何かご存知でしたらぜひ教えてください.
一応, 厳密にはこれが私の専門です. 研究室は作用素環が専門の東大の河東研だったので, 本来はここです. 修士論文では作用素論しか使いませんでしたが, その後の展開では積極的に絡めています.
河東先生は相対論的な場の理論でしたが, 私は非相対論的な場の理論と量子統計方面です. 量子統計は, 河東先生の指導教官である 竹崎先生の巨大な仕事があるので, むしろその血を受け継いだ感じがあります.
学部の頃の指導教官筋で言えば, 私の指導教官のさらに指導教官は黒田成俊先生ですが, そのさらに指導教官が加藤敏夫先生です. 加藤敏夫先生は量子力学の作用素論の大家ですし, 実際に加藤-レリッヒの定理は修論でも使いました.
直接の指導教官よりも先祖返りして, 指導教官の指導教官とか そういう人達の強い影響下にある研究をしています.
ちょっと話がずれました. 具体的に作用素環の話をしましょう.
相対論的場の量子論, 非相対論的場の量子論, 量子統計でそれぞれ微妙に違う趣があります.
しかしどれも基本的なところは同じで, Bratteli-Robinson が聖典です.
全部読む必要はなく, 最低限おさえるべきは次の節です.
少なくとも作用素環の基礎である 2 章と, KMS の 5.3 は必ず読みましょう. KMS に関連して 3 章の半群理論が そこここに出てくるので, 必要なところをピンポイントでやるもよし, 必要だからと全部ガッとやってもいいです.
非相対論的場の量子論だと ほぼ作用素環の基礎だけで事足ります. むしろ作用素環の基本中の基本, GNS construction が魂です. 作用素環的な赤外発散処理のための道具です.
非相対論的場の量子論でも 有限温度との関係がありますし, 量子統計も自然と視野に入ってきます.
有限温度なら平衡状態を議論しないといけないし, そうなると KMS 状態の話になります. Bratteli-Robinson の 5.3 節ですね. KMS は冨田-竹崎理論との関係も極めて深いので, 冨田-竹崎理論は必ずやりましょう. これは 2.5 節です.
2.5 節の冨田-竹崎理論は weight に関する フルの理論ではありませんが, 場の理論への応用上は十分です. 必要になったら weight の場合の理論は 適宜結果だけ使えばいいでしょう.
相対論的場の量子論の散乱理論では weight を使おうという話もあるようで, そういうところでは関係してくるのでしょう. ド専門の話で完全に研究マターです.
Bratteli-Robinson を読んだら 論文がかなり読めます. 私が見ている範囲の作用素環を使う非平衡量子統計では 作用素論もある程度必要だったりはしますが, その辺は新井先生の本を読めば十分です.
論文になってしまいますが, Bratteli-Robinson の話の拡張でもある Derezinski-Jaksic-Pillet の PERTURBATION THEORY OF $W^*$-DYNAMICS, LIOUVILLEANS AND KMS-STATES は楽しいです. 作用素論との絡みもあるので, ぜひ読んでみてください.
あと相対論的場の量子論に関してもう少し補足しましょう. 河東先生がやっている方面の話です. 概要を把握するには最初にも引用した次の本がベストです.
これについて詳しく突っ込むには次の本を読みましょう.
Bratteli-Robinson 程度は知っていないと話になりません. 特に冨田-竹崎理論は全開で使っています. むしろ魂です.
この方面だと実際に河東先生がやっているように, 非可換幾何を介して幾何が絡んできたり, 低次元の話でジョーンズ多項式が出てきたり, それ以外にも共形場が絡むところでは 頂点作用素代数をはじめとして いろいろな数学が関係してきます.
明らかにいろいろな数学が交錯する分野です. あなたが数学に興味があるのならとても楽しい分野です.
あとは私の好みでいうなら $C^*$-力学系の話とスペクトル解析みたいなところですね. 数年前に亡くなってしまったのですが, Borchers がこのあたりをやっていた人です.
これは多変数関数論と超関数論を駆使しつつ, $\mathrm{R}^{d+1}$ の作用素環上への表現として $C^{*}$-力学系を考え, そのスペクトルを調べるという話です.
このスペクトルは粒子の情報も含んでいて, 相対論的場の量子論のやはり基本的な話を 数学的にがっちり議論するテーマです.
あなたが興味があるなら 「Quantum Field Theory as Dynamical System」という 論文を読んでみるのがいいでしょう. これを詳しく解説したのが上記の本です.
作用素論から見た私の専門はスペクトル解析ですし, やはりスペクトル解析好きなんですね. 多変数関数論や超関数論で, その分野じたいではあまり有名ではないし, 古い話を使うのですがそういうところがまたかなり好きで. どなたか興味がある方いれば一緒に勉強しましょう.
あと多変数関数論と超関数論が絡むところとして 楔の刃の定理 (edge of the wedge theorem) があります. これは代数解析への展開があります.
代数解析は全く手が出ていないのですが, 興味だけはずっとあります. これについては次の本に書いてあります.
場の理論関係だと最近そんなに話を見かけません. しかし量子力学に関しては河合隆裕さんが 何かいろいろやっている感じがします. 例えば Borel 総和法だとか, 完全 WKB 解析とかですね.
本もあるのであなたがその辺に興味があるなら 読んでみてはどうでしょうか.
私はこの本はきちんと読んだことがありません. 以前眺めた限りでは 1 次元の話をいろいろやっていて, 代数解析勢は常微分方程式論をいろいろやっているので, その辺の話なのかと勝手に思ってはいます.
代数解析の話は全く追えていませんが, イジングやスピン系の厳密解など 代数解析は昔から量子力学, 場の量子論, 統計力学とある程度の関係があります.
もはや関数解析の初学どころか 関数解析の話ですらなくなっていますが, まあいいでしょう.
長くにわたってごちゃごちゃと書いてきました. 数学パートが死ぬほど長くなりましたが, バリバリド専門, お気に入りの話をしたので こんなものでしょう.
量子力学と関わる関数解析の全てとはさすがに言えません. しかしある程度の広さはおさえたとは思っています.
現代数学探険隊の募集ページ, http://phasetr.com/mtex1 でもいろいろ書いたように, 幾何や代数, 数論との関係もあります. (このページ, 相当長いので 必要なところだけ適当につまみ読みしてください.)
関数解析以外にも興味がある数学を いろいろやってみてほしいですね. 幾何については最近コンテンツ制作が滯っていますが, 微分幾何・幾何解析関係の話も少しずつやっていく予定です. そちらも楽しみにお待ちください.
物理の話もしたいんですが, 最低限の数学の話を準備できないことには なかなか話ができません.
それに合わせてミニ講座は いくつか準備しようと思っていますし, がっつりやりたい人には 現代数学探険隊 http://phasetr.com/mtex1 もあるので ご興味あればぜひどうぞ.
毎度こんなに長い返信はしきれませんが, 何か質問があれば時間がある限り答えますし, みなに共有する価値があることは積極的にシェアします.
こんな講座を開いてほしいというのもあれば, 要望を挙げてみてください. どこかに何かの形で反映させていきます.
ではまたメールします.
まずは復習.
前々回は物理をやりたいのか, それとも数学をやりたいのか はっきりさせようという話で, 物理を数学的にきちんとやろうと思うと 学部レベルの物理すら厳しいという話をしました.
前回は数学をやろうというなら, という方向で軽く新井先生の本や, 日合-柳の本の紹介をしました.
さらに大雑把に 5 種類の方向性を挙げ, そのうちの最初, ヒルベルト空間の一般論や抽象論が ほぼいらない物理に関する数学を 具体的な本とともに紹介しました.
その 5 種類は次の通りです.
今回は後半の 4 つを紹介します. 2 番目, 微分方程式の解析に関して話をしましょう.
これは何をやるかによって 一般論・抽象論がかなり必要なところも出てきます. 例えば初回に説明した散乱理論は 作用素論に関する抽象論がかなり出てきます.
自己共役作用素の解析も必要になるので, そこで作用素論の一般論が必要になる局面があります.
当然ソボレフ空間論も必要なので, 前回の Lieb-Loss 程度のソボレフ空間論は カバーしておく必要があります.
数学としては非線型シュレディンガー方程式も 視野に入ってくるので, そちらに進んでもいいでしょうね.
非線型シュレディンガーは ソボレフや偏微分方程式の基礎を みっちりやった上での話なので, その基礎部分に関して参考文献を紹介していきます.
関係が深い話も多いですから, 前回紹介した Lieb-Loss の Analysis は 相変わらずお勧めの 1 冊に入れられます.
散乱理論のような作用素論の趣も強いところは ヒルベルト空間の一般論・抽象論が必要です. これに関しては日合-柳は相変わらずお勧めですし, 新井-江沢の『量子力学の数学的構造』もお勧めです.
『量子力学の数学的構造』の II 巻の後半は 基本的に場の理論・量子統計をやるときに 必要な内容なので, 飛ばして構いません.
具体的な作用素の自己共役性や 散乱理論の一般論など, 量子力学の数学に関してもう一歩踏み込んだ本としては 同じく新井先生の『量子現象の数理』がお勧めです.
高いのでおいそれと買えとは言えませんが, 私は専門の関係で読むしかなかったので 買って全部読んでいます. 本質的なものでもないですが, 誤植はいろいろあったので それは新井先生にお送りしています.
研究会で会って自己紹介したとき 「丁寧な誤植訂正を送って頂いて ありがとうございました. とても助かりました」と言って頂いたこと, 今でも覚えています. その程度には新井先生の本や論文を 読み込んで育っています.
Hausdorff-Young の不等式など Lieb-Loss の Analysis レベルの 不等式処理力は前提とした上で, 『量子力学の数学的構造』や 『量子現象の数理』のネタも 1 章で ある程度証明までカバーしつつ 量子力学の散乱理論に深く踏み込んだ本として 磯崎洋先生の「多体系シュレディンガー方程式」は なかなか面白いです.
一般論・抽象論が必要とは書いたものの, 全部 $L^{2}$ 上で考えておいて問題ありません. 基本は全部 $L^{2}$ ですからね.
数学として, 微分方程式としての取り扱いなら, 方程式の解の存在といった議論も視野に入ります. 時間発展を考えるときは発展方程式の議論で, Hille-吉田の定理などはふつう抽象論レベルでやるでしょう.
偏微分方程式も主戦場は $L^{p}$, $W^{k,p}$ だとはいえ, 関数解析の一般論・抽象論は必要です.
これについてはやはり 偏微分方程式関係の本がいいですね. 関数解析の抽象論からカバーしてくれる本としては, もともとフランス語でそれが和訳された ブレジスの本がいいバランスです.
上の URL は日本語版へのリンクです. しかし最近改めて英語で出た バージョンの方をお勧めしておきます.
ページ数が増えているので「ちょっときつい」と思うかもしれません. しかしこれはフランス語の英訳ではなく, 新たに書き直されたバージョンです.
各章末の発展的な話題にも最近の進展が反映されていますし, 実係数しか扱われていなかったのが, 付録で複素係数までカバーするようになりました.
複素係数まで含めた関数解析の本としての 完成度も高まっています. そして分厚くなった理由の 1 つとして, 演習問題の回答がついたことが挙げられます.
もともと関数解析からはじまり, $L^{p}$ の不等式やソボレフ, Hille-吉田など関連する重要な話題もカバーしつつ, 変分を基礎に具体的な線型方程式の解析も やっていて広い範囲をバランスよくおさえた本でした.
その完成度がさらに高まっているので これは本当にお勧めです. その後非線型解析に進むにしろ, 基礎としておさえておくべき内容です.
関数解析の基礎があるなら Evans の本もお勧めです.
この本は次の 3 本立てです.
具体的に解けるところで偏微分方程式に親しみ, 線型の理論でソボレフ含め 偏微分方程式の本格的な理論への地ならしをし, 最後に非線型方程式の基礎を見るという, こちらもバランスのいい構成です.
半群理論も線型の Hille-吉田だけでなく 非線型半群も議論していますし, その辺もいたれりつくせり感があります.
非線型方程式を射程に入れているなら, 読んでみていい本でしょう. 東大の偏微分方程式の研究室の 学部 4 年セミナーでも使われている本なので, その意味でも確かな内容です.
これはばっちり私の専門です. もう少し広げて話すこともできるのでしょうが, 半端な話をするよりは特化させることにしました. 量子統計は微妙ですが, 場の量子論は射程距離に入れて話をします.
私は新井先生の本と論文を読んで育ち, その中で抽象論もバリバリやってきましたし, その方面が基礎です. どうしても $L^2$ の具体的なところを離れた議論, いわゆるヒルベルト空間論が必要不可欠です.
これに関しては新井先生の本が一番です. まずは『量子力学の数学的構造』を読んでから 『量子現象の数理』を読みましょう.
ここからさらに量子力学方面に進むなら Cycon, Froese, Kirsch, Simon の本でしょうか.
新井先生の本は奇蹟のように読みやすいですが, これはそこまで読みやすくはありません. 気合を入れないと読めない部分も増えます.
場の理論に行くならこれもまた新井先生の 『フォック空間と量子場』ですね.
『量子力学の数学的構造』, 『量子現象の数理』と来て 『フォック空間と量子場』を読めば, 作用素論的な方面の場の理論の論文が読めます. 少なくとも新井先生の論文はかなり読めます.
I, II と上下全部合わせるとページとしては 1700 ページくらいあるのでしょうか.
こう思うとかなりのボリュームに 感じるかもしれません. しかし新井先生の本は本当に読みやすいので 体感はもっと軽いです.
他の昔の本で半ページくらいの証明を 3-4 ページ程度に渡って 懇切丁寧に書いてくれているのだと思ってください.
実際に Reed-Simon と新井先生の本で 何かの定理の証明を比較したとき, そういうことがありました.
新井先生の本が読めなければ おそらく他の本は全く読めません. 他の本や論文を読むのは本当につらかったですからね.
ここに来ると一冊一冊がもう専門書のレベルで 1 万円越えたりしますし, 学生で大学の図書館を自由に使えるならともかく, 大人なら事実上本を買うしかありません.
余計なことは考えず新井先生の本を 買った方がお金を無駄にしないですみます.
私の専門が近い話で 書けることが増えてきたせいで またかなりのボリュームになりました.
また残りは次回に回します. 確率論は勉強しきれていないのですが, 最後の作用素環に関しては修士の頃の 研究室レベルでの専門なので, また多少詳しい話になるでしょう.
数学的にもいろいろ関係することが増えるので, 数学をやりたい人には楽しい話になるはずです.
ではまたメールします.
前回, 「Hilbert 空間メインの関数解析の初学には 日合•柳の『ヒルベルト空間と線型作用素』をお勧めしたい」 という記事へのリンクを きちんと張っていませんでした.
いちいち検索するので面倒と思うので, 念のため張っておきます.
あと関連する記事ももう 1 つ.
他にも関係する記事はいろいろあるのですが, 思い出せないのでまずはこの 2 つを.
それはさておき, 前回, 量子力学の勉強のために ヒルベルト空間論や関数解析を勉強したいと 思っている方から, 具体的に何をどう読もうか, という相談を受けたという話をしました.
それに対してまずは数学をやりたいのか, 物理をやりたいのかはっきりさせること, そして物理をやりたいなら, 現代数学観光ツアー以上の ヒルベルト空間論はやったところで無意味だから, さっさと物理を勉強しようと言いました.
数学的に厳密にやろうとすると, ちょっとしたことが既に研究最前線マターであることを, いくつか具体例を挙げて紹介しました.
厳しめのことを書きましたが, 私は実際にその方面, つまり数学的に厳密なスタイルで 物理をやる数理物理を専門にしていたので, どれほど大変なのかの実体験があります.
甘くはありません. しかし非常に楽しい分野ではあります. 少なくとも私にとっては.
というわけで書いていたら楽しくなってきて, とんでもないボリュームになりました. 1 回では長すぎるので何回かに分けて配信します.
今回からは数学よりの話をします. 量子系の数理といってもいろいろあります. それは扱いたい物理による話で, 質問された方がどの辺を意図しているのか, それがよくわかっていないので 何とも言えないところはあります.
先に質問者に聞けばいいじゃない, という話でもありますが, ある程度は網羅的に説明しようと思ったので, まあまずは情報を出そうという感じです.
まず具体的に書名が挙がっていた 新井先生の『ヒルベルト空間と量子力学』と 『量子力学の数学的構造』に関して.
『ヒルベルト空間と量子力学』はきちんと 目を通していないし, 増補版は余計見切れていないものの, 少なくとも『ヒルベルト空間と量子力学』の旧版には スペクトル定理は使うだけであって, 証明が書かれていなかったはずです. その代わりに水素原子に関する議論が載っている, そういう認識です.
新井先生方面, つまり作用素論的な方面から言うなら, スペクトル定理抜きの議論には魂が入りません. 新井先生の本を読んで量子系の話をするなら, 最初から『量子力学の数学的構造』を読んだ方が早いですね.
水素原子の解析にしても, ハミルトニアンの自己共役性に関して, 続編の『量子現象の数理』で加藤-Rellich の定理からはじめて 1 章まるまる割いて議論されている程度には面倒ですし, 議論するべきこともたくさんあります.
『量子力学の数学的構造』を読む前提なら, 『ヒルベルト空間と量子力学』を読む理由をあまり感じません. 中途半端にやってもね, という感じ.
あともう 1 つ, 一般には『量子力学の数学的構造』を勧めないと書いた理由です. これは単純で, 記事ではヒルベルト空間メインとはいえ 「関数解析」に焦点を当てたからです.
新井先生の本, 特に『量子力学の数学的構造』と 続編にあたる『量子現象の数理』は, 極端なことを言えば, 新井先生の視点から量子力学に関わる数学にフォーカスしています.
関数解析の基本的で大事な定理でも, 本で扱っている範囲で使わないなら解説がありません. 『量子現象の数理』に ようやくハーン-バナッハが出てきますが, 証明がありません.
ハーン-バナッハの定理は ブレジスの本で一番最初に証明する定理ですし, 関数解析の魂となる基本定理の 1 つです.
ツォルンの補題を使うので, 集合論への耐性を必ずしも要求していない 『量子力学の数学的構造』からの流れでは 証明に触れられなかったのでしょう.
あとで触れる作用素環の話だと どうしてもハーン-バナッハがいるので, そういう方面に興味があるならやらざるを▼え
しかし日合-柳の本は, 付録まで含めると関数解析の本として立派に使えます. リース-マルコフ-角谷の定理までありますし, こちらなら関数解析をやったと言える内容です. スペクトル定理の証明もあるし, 量子力学の数理でもときどき出てくる コンパクト作用素の議論もあります.
量子統計やるならある程度トレースクラスの議論も 必要ですし, その意味でも無駄ではありません. そういうわけで日合-柳をお勧めしています.
数学的にもリース-マルコフ-角谷の定理を使って スペクトル定理を証明していてなかなか気分がいいです. リース-マルコフ-角谷の定理も証明も載っていて, 至れり尽くせり感が素晴らしい良書です.
関数解析の基本定理は都度やると 割り切るなら新井先生の本だけでもいいでしょう. きちんと勉強していれば数学力もつきますし, その段階で改めて関数解析のふつうの本を読めば, 苦労なく読めるはずですから, それはそれで一手です.
さて, ここからは物理のテーマごとに 合わせた数学という方向で話を進めます.
現代数学探険隊の募集ページで 量子力学がいろいろな数学と関係していることを お伝えしたので, そちらを見た方は何となくはご存知でしょう. 一応募集ページのリンクも張っておきます. 長いので, 読むにしても 必要なところだけ読んでもらえれば結構です.
ここでは詳しい話に踏み込むので, 私が知っている分野・範囲の話しかできません. 幾何は一切抜きにしてゴリゴリの解析方面の話です.
数学から言うと大きくわけて次の通りです.
これらは全て独立しているわけではなく, お互いに深く関係しています. 全ての数学をきっちり勉強しきるのは難しいですし, 好き・嫌いまたは得意・不得意があるので, ふつうはどれかをメインにします. 私は作用素論・作用素環論を使う方面で, 量子力学というよりも場の理論・量子統計に重きを置いています.
下の 3 つに関してはヒルベルト空間論を こってりやる意味があるし, その必要もあります.
まずはヒルベルト空間の一般論が それほど必要ないところからやりましょう. 大雑把に言って先のリストで 上から順にヒルベルト空間の一般論や, 関数解析の抽象論が必要になっていきます.
これは $L^{2}$ やソボレフ空間 $H^{1}$ が主戦場で, 特にそこでの不等式評価がキモです.
本としては Lieb-Loss の Analysis が 突き抜けています.
これはこの分野の世界的権威である Lieb (と Loss) が応用の現場を意識して, とっつきづらい関数解析の抽象論には 一切触れず $L^{p}$ の中で議論しきろうと書かれた本です.
ヒルベルト空間やバナッハ空間上での 基本定理は全て $L^{p}$ で議論されています. ルベーグ積分の定義からはじまってはいますが, 事実上ルベーグ積分は既習が前提です.
この本, Lieb-Loss の「現場の数学」を貫き通しすぎて, 抽象論がないからといっても 全く簡単ではありません.
それは不等式評価が苛烈だからです. 具体的な $L^{p}$ や $H^{k}$ での議論であり, 物質の安定性のように ハードな評価が必要な分野への応用も意図しているため,
ふつうの数学書で滅多に見かけない 最良定数評価もきっちりやっていて そういう部分は本当にきついです.
ただ量子力学への応用を意識して, ソボレフ空間の議論も過度に一般化せず, 詳しい議論はほぼ $H^{1}$ と $H^{1/2}$ に限定しています.
後半で量子力学, 特にシュレディンガー方程式の 解析にも関わる, クーロンポテンシャルの解析や ポアソン方程式などの議論があった上で, シュレディンガー方程式自体の議論もあります.
固有値評価に関する詳しい議論もあれば, 量子化学で重要な密度汎関数でもある トーマス-フェルミ汎関数の議論もあって, そこまで含めて参考になります. まさに量子系の数理という感じです.
ただトーマス-フェルミに関しては 引用されている原論文を読んで方が わかりやすいですね.
以前, 実際にこの辺を専門にしたいと 言っている院生から Lieb-Loss の Analysis のトーマス-フェルミパートが わけわからん! という相談を受けたので, トーマス-フェルミに関する セミナーをやってこともあります.
どうしてもわからないところがあったので, 原論文をあたってみたら その方が遥かにわかりやすかったという話です.
物理として何をやるかは難しいところですが, Lieb-Loss を読み終わったあと Lieb の方面としては物質の安定性や BEC がとっつきやすいでしょうか.
BEC でも議論される Gross-Pitaevski 方程式は 非線型シュレディンガー方程式と呼ばれるタイプの方程式で, 非線型の偏微分方程式論をやるという手もあります.
何はともあれ同じく Lieb が書いた本として, Stability of matter と The Mathematics of the Bose Gas and its Condensation (Oberwolfach Seminars) を勧めておきましょう.
どちらもかなり難しいです. 基本的に使っている数学は $L^p$ や $H^1$ と そこでの不等式評価だけで, 一般論・抽象論の出番はほぼありません.
また長くなってきたのでまた切ります. 残りは次回に回します.
読者の方からメール頂いた話で, 多分他の方にも役に立つだろうから いったん全体への返信という形でお返事します.
量子力学を深く勉強するために ヒルベルト空間論, 関数解析をやろうとしていて, それに対する本の選択とかそういう相談です. たぶん.
Twitter というか私のサイト http://phasetr.com に 「Hilbert 空間メインの関数解析の初学には 日合•柳の『ヒルベルト空間と線型作用素』をお勧めしたい」 という記事を書いていて, その中に『新井先生の『量子力学の数学的構造』があるが, 一般にはあまりお勧めしない』と書いたりしました.
その方がこれを読もうとしていたそうなので, それでどうしようか, という問い合わせです.
ちなみにこの人, 量子力学の数理, 特に量子測定などで知っている人は皆知っている 小澤正直先生に相談して von Neumann の 「量子力学の数学的基礎」を勧められたものの, 古いから新井朝雄先生の「ヒルベルト空間と量子力学」を読もう と思っている, とかいう訳のわからないことを言ってきました.
世界的な研究者に相談しておきながら, そこで勧められた本を無視して ど素人が勝手に自分の趣味で本を選ぶという行為が そもそも全く理解できなくて衝撃を受けました. 世界的な研究者の時間を奪っておいて, その話を聞かないとか何がしたかったのか全くわかりません.
率直に言って, すごいことするな, 何のために小澤先生に相談したんだ, こいつは何を考えているんだ, と.
確かこの人, もともと量子化学の研究者だと 言っていたと思うのですが, ふだんからこんな感じでやってたのでしょうか. 謎です.
小澤先生を無視しつつ, 何で私なんぞの意見あてにするんだ, 重鎮の意見を無視するのにこっちの意見は聞くのか, 何なんだと.
それはともかく, 参考になるところはあると思うので 私の見解をまとめます. いつも言っていることとはいえ, あなたははじめて聞くかもしれませんし, 改めていうことにも意味はあるはずですから.
究極的なところからはじめます. 数学をやりたいのか, 物理をやりたいのかをはっきりさせてください.
あくまでも物理がやりたいというなら ルベーグ積分や関数解析をいくらやっても無意味です. 本当に無意味です. 数学はさっさと捨てて物理をやりましょう.
何故無意味かというと, 学部 3 年レベルの量子力学で出てくる話ですら, 数学的に追いきれないことが山程あるからです. これは私やあなたが愚かだから, とかそんなちゃちなレベルではありません. 現実問題として研究マターです.
あなたが研究者なら「そうは言っても 皆がやっていない穴とかあるんじゃないの? そういうところなら何とかなるのでは?」 と思うかもしれません. 残念ながらそんな都合のいい話はありません.
優秀な人が一所懸命やってできるところは たいがい潰されています. 残っているのは本質的な ブレークスルーが 5-10 個ないと進まない, そういう感じと思ってください.
具体例を挙げましょう. 物理の学部 3-4 年でレーザーに関する話, 量子光学的な話をやります. これを厳格にやろうと思うと 非相対論的量子電気力学が出てきます.
そしてこれは 2017 年現在でも 数理物理の研究最前線です.
もう 4 年も前の話ですが, これよりもう少し簡単な Nelson モデルの散乱理論に関して Dybalski さんからメールを頂いたことがあります. この人はもともと相対論的場の量子論の散乱理論を 研究している人で, 具体的なモデルの研究ということで, 非相対論的場の量子論にも踏み込んできたようです.
多体系の量子論, 量子統計に関するプレプリントを arXiv に上げたときに「自分も多体系に興味があって 研究しているからぜひ論文を読んでほしい」というメールでした.
そのときメールで教えて頂いたのは次の論文です.
これ, 電子と場の相互作用系なのですが, 扱う電子は 2 つですからね. 1 つでも厳しいというのが現状です.
この時点でまともな物理の人なら 「数学的に厳密な話なんて 全く使いものにならないな」と 思うでしょう.
もしかしたらあなたは「これは場の理論だから 厳しいのでは?」と思ったかもしれません. しかしその見込は甘いです.
例えば数学的に厳密な量子力学の散乱理論ですら, 2 体はだいたい何とかなったものの, 3 体で既に研究の最前線のようです.
最後の PDF が一番状況がよくわかるでしょう. 9 年前の話ではありますが, 3 体問題が難しいという絶望的な話をしています. 数学ベースであっても散乱理論の研究は 50 年以上続いているので, 一般の N 体に関する知見が この 8 年程度で爆発的に広がったとは思えません.
数学的に厳密な話など いくらがんばったところでこの程度です. もちろん数学サイドなら別にいいのです. 数学として面白いならそれでいいし, 実際磯崎先生がそれで数学会の賞を取るほどに 面白い話が展開できているわけですから. もちろん世界的にも認められている業績です.
しかし物理としては 2 体, 3 体の散乱で いくらシャープな結果が出ても, ご利益は何も感じないでしょう.
こんなことしたいですか? という話です.
というわけで, 物理がしたいという人はヒルベルト空間論や 関数解析をやっている暇があるなら, さっさと物理にうつりましょう.
現代数学観光ツアーで紹介したレベルの 話がおさえられていれば十二分です. 関数解析というよりも線型代数の適用範囲を もっと積極的に広げたよ, 一度慣れておけばいろいろなことを 統一的に眺められて便利だよ, そのくらいの認識でほぼ完璧です.
あなたは現代数学観光ツアーを知らないかもしれないので, 一応改めて宣伝しておきましょう. 次の URL から登録ページに飛んでください. 講座の説明もしてあります. 無料ですし気に入らなければすぐ登録解除もできます.
長くなってきので, 残りは次に回します. 次回は数学をやると決めた場合の対応です.
ではまたメールします.
アンケートで希望が多かった幾何について, 第 2 回を作りました. 次の URL から PDF をダウンロードしてください.
記述が粗いところもありますが, あとで適宜詳しくしようとも思っています.
これまでの文は次の URL からも取得できるので, 参考にしてください.
最近のメルマガはサイトにも転載してあるので ご興味あればこちらもどうぞ.
中高数学を微分方程式の数値計算から見直し, プログラミングとも絡めて展開している 中高数学駆け込み寺という企画についても載せています.
次回から多様体の話に入ります. 数学科の数学の基本的なスキルセットを持っていないと きついと思いますが,
逆にどんな道具がどのくらい必要なのか 測る目安にもしてください.
またメールします.
先日, 現代数学観光ツアーとこちらの本家の 数学と物理のぶっ放し系のメルマガで 登録されている方の現状アンケートを取りました.
その結果で割と要望が多かった現代幾何に関して, いったん初回分を次のようにまとめました.
次の URL から PDF をダウンロードしてください.
本編は 1 番最後の 01_01 からはじまります. 前 2 つはイントロです.
現代数学観光ツアーでやった話, 特に代数-幾何対応を前提に進めています. 代数パートがまさに層なので, 層の話からはじめています.
いまのところ証明はあまり詳しくしていません. 必要なら次のセールの論文を読みながら眺めてみてください.
こうなると, むしろもっと全面的にセールの論文から 議論を持ってくればよかった気がしないでもありません.
理工系の教養レベルは大丈夫, そんな方が多かったですが, 集合論や位相空間論は大丈夫なんでしょうか?
その辺はもう全開で使いまくってるんですが.
現代数学観光ツアーでその辺の参考文献は紹介してますし, いいかと思ってやってしまっています.
超弦理論にアタックしようとされている方で まだ学部生の方もいらっしゃるようですし, このくらいの数学がいるんだよ, というイメージにもなるかと思って.
ある程度進めてきたら少しずつだれてくるし, 飽きてもくると予想しています. 誰がだれるって私がだれる.
そうしたら量子系のネタで物質の安定性でも やろうかな, と考えています. こっちはバリバリルベーグを使う ハードアナリシスになる予定です.
超弦みたいなのじゃなくて量子力学やりたいんだ! って方はもうしばらく待ってください. 交互に適度に進めていく予定です.
最近忙しくてどこに何を流したのか 忘れつつあるんですが, 中高生または中高数学が復習したい大人向け講座として, 中高数学駆け込み寺という企画もやっています.
ご興味ある方は次の登録ページから登録してください.
次の URL からはこれまでに配信した分の情報が辿れます. 物理, 工学から見たいわゆる役に立つ方面の話をしています. プログラミングに関する話もしているので, そっちに興味がある方もぜひ参加してみてください.
ではまたメールします.
週末でようやく平日に情報収集して仕入れた小ネタを 多少なりとも消化できました.
その辺はふだんブログにメモとして残しているばかりで あまりメルマガにまで流していません. 久し振りにその辺も流してみようかと思います.
バナッハ空間
発端は次のツイート
バナッハ空間で「有界閉集合はコンパクト」と「有限次元」って同値なの
これに対して p 進大好き bot 答えて曰く:
@__dingdongbell なんかnが大文字になってしまいました。 Q^nは全体が有開閉かつ非コンパクトなのに有限次元。
@non_archimedean なるほどありがとうございます・・・ (ちなみに逆は成り立つんですか…?)
@__dingdongbell 「有界閉集合がコンパクト」→ 「0次元または体が局所体か有限体」なので、 体が局所体または有限体の場合のみ考えればよく、 その場合はバナッハ空間が直交化可能(l^2空間と同型)なので 正規直交基底を持つ場合を考えればよく、
@__dingdongbell 正規直交基底は有界離散部分集合を定め、 離散集合がコンパクトであることは有限集合であることと同値なので、 有限次元であることが示されます。
@non_archimedean 知らない事実のオンパレードでしたorzありがとうございますm(__)m
@__dingdongbell 「有界閉がコンパクト」→ 「reductionが有限次元」は簡単に言えるので、 最初から正規直交基底を持つことが分かっている状況なら もっと簡単に示せますけどね。
そしてしばらくやりとりが続いて私が首を突っ込みます.
@non_archimedean @__dingdongbell これ、 体が実数か複素数なら元の同値は成り立つのでしょうか? wikipediaには局所体に実数、複素数を含めることもあるとか 書いてあって付値あたりの話をまるで知らないので判断つかない状態です
@phasetr @__dingdongbell 僕は非アルキメデスのみ考えていましたが、 RとCでも成立します。 正規直交化可能性は成り立ちませんが、 同値性を示したいだけならリースの補題から同様に無限離散集合を作れば良いです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Riesz%27s_lemma
@non_archimedean @phasetr なるほど、ありがとうございます
これはもとの命題が実数と複素数なら成り立つと思っていた (証明も読んだはずだがパッと思い出せなかった) ので, かなり驚いて「実数と複素数でも本当に成り立つんだったか」と 不安になって思わず聞いてしまったという経緯です.
超有名な事実ですが非アルキメデスだと反例が あると知って本当に驚きました.
ちなみに R や C 上の議論は次の PDF, 特に最終のページの命題に綺麗にまとまっています.
非アルキメデス体では本当に R や C 上の関数解析の 直観がまるで効かないことを改めて実感しました.
潮汐力
発端は次のツイートです.
PDF への直接リンクは次の通りです.
確かに面白いんですが, これ, 序盤で次のように出てきます.
地球物理・惑星物理の専門家にとっては完全に解決されている問題なのだが、 門外漢たちが何度も誤解を蒸し返しているのである。
この話が中心になるのかと思っていたら, 物理の人間からの考察がメインで, 「いや, 完全に解決された視点で話した方が速くて正確なのでは」 という気持ちになりました.
こういうコンテンツももっと出した方がいいのだろうな, とは思っています.
身近なネタというか何というか. あまり「遊び」のある話ができていないのは ずっと懸念点として持っています.
一般の熱エンジンの効率とスピードに関する原理的限界の発見: 要は熱力学
これも適当に Twitter で見かけた話です. いくつか関連リンクを張っておきましょう.
PC watch の記事が端的にまとまっています. 慶應のプレスリリースもかなり丁寧に書いてあります.
時間がなくて読み込めていないけれども原論文も張っておきました. アンケートの中に「論文が読めるようになりたい」と書く方もいたので, 一応論文もぺたっと張ってみた形です.
プレスリリースなどにもあるように, 正確には熱力学の枠ではなく (古典) 統計力学の枠でやっています.
少なくとも平衡系の熱力学には原則として 時間の概念はないのでそもそも効率の話をできるわけがありません.
確率過程論と統計力学との関係だとか, 不等式で限界評価する議論だとか, いろいろなポイントがある論文っぽいので読んで楽しそうな感じはします.
ちなみに不等式による評価を結論とする 議論は熱力学では大事です.
プレスリリースにもあるように 「何かができない」という形での明確な主張を持つ言明が多く, その不可能性が不等式で表現されるタイプの理論だからですね.
潮汐力に続き, 物理小ネタももっと紹介したいし 論文の紹介もやりたいですね. そしてこの辺が楽に通じるように 読者レベルの底上げ用コンテンツの整備も急がれます.
がんばろう.
またメールします.
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