MISC¶
MISC¶
ピカチュウパイセンによる物性理論向け日本語文献のリンク集 in Togetter¶
はじめに¶
ピカチュウパイセンによって Togetter にまとめられていた.
http://togetter.com/li/525304 物性理論向け日本語文献のリンク - Togetter とりあえず, 仮まとめだん.
流れを追っていないのだが. この辺が発端だろうか.
ほほう. これを超えるものを用意せよと…. http://twitter.com/fujisawamasashi/status/350208239369060353
references -解説記事- https://sites.google.com/site/fujisawamasashi/home/study/references 最近, 更新をサボっているけど….
物理でいうと私も物性理論の人間だが, ここにあるネタ, 原さんと田崎さんの話にややかすっているくらいで, ほとんど何も知らないことを改めて思い知らされる. 物理も数学も半端で本当に何にもならない.
Togetter のメモ¶
ネット上の情報は時々何の前触れもなく消えるので, Togetter を転載しておく.
超伝導
超伝導の普遍性と多様性 (理論)/ 斯波 弘行 http://t.co/nooThCYiFR #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:19:55
いろいろあるね. 相関の強い電子系における超伝導 http://t.co/1AAPpInoX2 cometscome_phys 2013-06-27 21:00:22
強相関電子系の異方的超伝導 : BCS 理論からエキゾティック超伝導へ http://t.co/2bqW16rz45 cometscome_phys 2013-06-27 21:01:33
スピン三重項超伝導体の d ベクトル http://t.co/uePoTW3rky #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:03:58
スピン 3 重項 p 波超流動研究の新たな展開 : アンドレーエフ束縛状態とその多面性 http://t.co/mfqBYCmvWm #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:05:52
超伝導転移及び Andreev 反射と Josephson 効果~「超伝導 Night Club 」会員の手引き ~/ 浅野 泰寛 http://t.co/rmHkeJAlii #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:57:49
解説:空間反転対称性のない系での超伝導/ 林伸彦 http://t.co/xidXR3Zj9X #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:32:05
準古典近似を理解する上でのおすすめ:PrOs4Sb12 に対する多バンド超伝導の理論/ 麦倉雅敏 http://t.co/xYj6xAMHLP #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:28:04 Content from Twitter Green 関数
松原から実エネルギーへの解析接続なら:最大エントロピー法講座/ 武藤 哲也 http://t.co/gOeaITjMU8 #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:55:21
歴史的なことも含めた話:統計力学における Green 関数/ 阿部 龍蔵 http://t.co/UOa7TfBUu0 #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:10:49 Content from Twitter 強相関
強相関電子系の物理/ 川上 則雄 http://t.co/ZZTtbwzliO #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:09:42
多電子系の遍歴・局在・秩序化/ 倉本 義夫 http://t.co/L2e2R2rlke #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:02:48
遍歴と局在のはざ間でせめぎ合う電荷・スピン・軌道自由度 (第 52 回物性若手夏の学校 (2007 年度),講義ノート)/ 求幸年 http://t.co/zOEasOyWOY aki_room 2013-06-27 21:43:43 Content from Twitter "0 次元系"
近藤効果の系譜 : 重い電子系と量子ドット/ 上田和夫 http://t.co/UqkSIbeAPK aki_room 2013-06-27 21:17:10
ダイアグラム展開に基づく連続時間量子モンテカルロ法/ 楠瀬 博明ら http://t.co/GBB1pL5wyj #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:53:05
動的平均場理論の基礎と応用/ 楠瀬博明 - 愛媛大学理学部物理学科 量子物性理論研究室 http://t.co/IoIWN0hNKN aki_room 2013-06-27 21:19:44 Content from Twitter 1 次元系
1 次元量子系 : 共形場の理論と朝永・ Luttinger 液体/ 川上 則雄 http://t.co/03nuKeMAna #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:22:55
わかりやすいベーテ仮説:1 次元量子系の厳密解とベーテ仮説の数理物理/ 出口 哲生 http://t.co/cC0ZzmQJuS #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:04:31
量子スピン系の理論 (講義ノート)/ 田崎晴明 http://t.co/eRy2O0iBvY aki_room 2013-06-27 21:23:30
低次元強相関電子系におけるクロスオーバーと相転移 : 電子系繰り込み群ミニマム (第 47 回物性若手夏の学校 (2002 年度),講義ノート)/ 岸根順一郎 http://t.co/vHoARoFING aki_room 2013-06-27 21:31:02 Content from Twitter
@aki_room Renormalization-group approach to interacting fermions http://t.co/k8GPXZvyuw なお, 英語でもいいなら電子系のくりこみはこれをれこめんどなう. aki_room 2013-06-27 21:34:27
S=1/2 Heisenberg 梯子模型の密度行列繰り込み群による研究/ 成島毅 http://t.co/mB3XoQzlEA aki_room 2013-06-27 21:22:31
「密度行列繰り込み群」の変分原理/ 西野 友年ら http://t.co/Pij53VFmO9 #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:24:34 Content from Twitter 物性と高エネルギーの境界
密度行列繰り込み群の最近の話題 : テンソルネットワークに潜むエンタングルメント構造/ 松枝宏明 http://t.co/iuMqCU6OfA aki_room 2013-06-27 21:08:05
トポロジカルな弦理論とその応用/ 大栗博司 http://t.co/sI9fBGD8ba aki_room 2013-06-27 21:06:40 Content from Twitter トポロジカル・ベリー位相 量子ホール効果
量子ホール効果 : 進展と展望/ 青木秀夫 http://t.co/CYHcS0bFiJ aki_room 2013-06-27 21:06:22
量子ホール効果 : その意義と幾何学的および代数的構造/ 初貝 安弘 http://t.co/7ouoCJ3Czy #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:40:21
グラフェンの特異な物性とカイラル対称性/ 初貝 安弘 http://t.co/b7PNbfrAVT #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:37:18
スピンホール効果とスピントロニクス/ 村上修一 http://t.co/CQx2KI8xZG aki_room 2013-06-27 21:06:02 Content from Twitter トポロジカル絶縁体
トポロジカル絶縁体の物理/ 村上修一 http://t.co/iWfgWQwbz8 aki_room 2013-06-27 21:05:04
Z_2 トポロジカル絶縁体の 3 階建て理論/ 井村 健一郎 http://t.co/GKdZJf7NQJ #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:14:08
トポロジカル絶縁体の理論に関するノート/ 御領 潤 http://t.co/FqnH4a55EG #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 21:15:56
Lecture note "Topological insulators" - Kentaro Nomura (ページの一番下) http://t.co/KBvWGKSBCQ aki_room 2013-06-27 21:27:26 Content from Twitter ベリー位相
固体電子論におけるベリー位相/ 永長直人 http://t.co/CTpY0Dd44s aki_room 2013-06-27 21:03:39
ベリー位相を再考する/ 藤川和男 http://t.co/BubfCv9PNn aki_room 2013-06-27 21:05:39 Content from Twitter 熱統計力学・非平衡物理
<特集>線形応答理論から 50 年-非線形・非平衡の物理学 http://t.co/e66YradQAh aki_room 2013-06-27 21:09:31
ブラウン運動と非平衡統計力学/ 田崎晴明 http://t.co/wnPpxuDoBv #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 22:25:45
動的縮約の構造/ 蔵本由紀 http://t.co/T0XPl9RZow #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 22:29:14
液体のダイナミックスと非平衡物理学/ 吉森明 http://t.co/Q89EsD3LOx #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 22:24:09
パターン形成の数理/ 小林亮 http://t.co/72aLwpIM0J #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 22:34:16
振動しネットワークのダイナミクスとゆらぎ/ 郡宏 https://t.co/9F61nwjlxY #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 22:33:16
詳細つりあいを満たさないモンテカルロ法 (最近の研究から)/ 諏訪秀麿・藤堂眞治 http://t.co/OxgAaVdNhz aki_room 2013-06-27 21:15:46 Content from Twitter 輸送現象
非平衡輸送現象 : 輸送現象における計数統計を学ぶための基礎 (講義ノート)/ 齊藤圭司 http://t.co/8jgPRbpcZ2 aki_room 2013-06-27 22:07:19
1 次元非対称単純排他過程の厳密解 (講義ノート)/ 笹本智弘 http://t.co/lbNzBmNHDZ aki_room 2013-06-27 21:39:42
ランダム行列理論とメゾスコピック系/ 今村卓史 http://t.co/Efnm9KOKSp aki_room 2013-06-27 22:07:40
微小な系の電気伝導 : 多体効果と非平衡電流に関する理論/ 小栗 章 http://t.co/ZHi8i38VhW #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:13:25
グラファイトシートの電子物性 : ナノグラフェン/ 若林 克法ら http://t.co/f8E45OP1ZX #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:16:37
グラフェンの電子物性とナノスケール効果/ 若林 克法 http://t.co/RnQ07pqnib #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:39:13 Content from Twitter ガラスから量子統計・量子情報
ガラス転移理論の新展開 : 動的不均一性とモード結合理論/ 宮崎州正 http://t.co/pIuEAYuMV0 aki_room 2013-06-27 21:12:54
スピングラス模型の臨界点と双対変換 : 厳密解を求めて/ 大関真之 http://t.co/CN2INeWcob aki_room 2013-06-27 21:11:41
量子アニーリング/ 大関真之・西森秀稔 http://t.co/gKmNjhhs89 aki_room 2013-06-27 21:11:02
量子計算超入門/ 藤井啓祐 http://t.co/si77mYik3O aki_room 2013-06-27 22:00:59
量子統計力学の基礎付けについて/ 杉田歩 http://t.co/vwgBBKX4Eb #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 22:31:24 Content from Twitter 研究に困ったら?
和達三樹 最終講義 - Todai OCW http://t.co/LV6GWs0Xv1 aki_room 2013-06-27 21:51:53 Content from Twitter 分類に困ったら? あとで分類します…きっと. (aki_room)
フェルミ原子光格子系の基礎知識/ 奥村 雅彦 http://t.co/YKl6ce0Elw #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:54:41
フェルミ原子ガス超流動における BCS-BEC クロスオーバー/ 大橋 洋士 http://t.co/RwH4hDjR0K #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 23:15:29
内部自由度を持ったボース・アインシュタイン凝縮体 : スピノル BEC におけるトポロジカル励起/ 川口 由紀 http://t.co/r7Ob5eyCfZ #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 22:56:52
第一原理計算 : バンド理論の基礎/ 小口 多美夫 http://t.co/sjIAjmE3VP #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 23:18:12
水の電気分解はどこまで分かったか? : 第一原理計算で見えてくる物理/ 大谷 実 http://t.co/6KSCKnOg5B #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 23:12:30
相対論的バンド理論による電子状態と磁性/ 山上 浩志 http://t.co/6ngF9kJSyB #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 23:09:40
「悪魔」との取り引き : エントロピーをめぐって (最近のトピックス)/ 田崎晴明 http://t.co/PVB16STaZg aki_room 2013-06-27 23:07:08
「ゆらぐ界面」をめぐる実験と理論 (最近のトピックス)/ 田崎晴明 http://t.co/c5N9DRxZiu aki_room 2013-06-27 23:06:18
非平衡定常系のボルツマン因子 (最近の研究から)/ 小松 輝久 , 中川 尚子 http://t.co/cIkl8eYGLy aki_room 2013-06-27 23:11:59
南部理論と物性物理学 (<特別企画>南部陽一郎,小林誠,益川敏英 3 博士ノーベル物理学賞受賞記念)/ 青木秀夫 http://t.co/sxGHvchg2D aki_room 2013-06-27 23:10:54
量子スピン鎖における磁化プラトー/ 押川 正毅 , 戸塚 圭介 , 山中 雅則 http://t.co/CwQMPpz34y aki_room 2013-06-27 23:09:57
スピンはそろう : 強磁性の起源をめぐる理論/ 田崎晴明 http://t.co/EeRfy3iHRN aki_room 2013-06-27 23:09:00
動的分子場理論/ 佐宗 哲郎 http://t.co/9NCgboUPFG #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 23:20:50
非 Gauss 過程の揺らぎのエネルギー論/ 金澤輝代士 http://t.co/8iqcWp9R8e #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:54:40
非平衡物理学/ 吉森明 http://t.co/8skq5Ldd7c #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:47:53
ボーズ・アインシュタイン凝縮の生成, 観測およびその理解/W. Ketterle, D. S. Durfee, and D. M. Stamper-Kurn http://t.co/ibCY2Vya8u #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:12:24
量子測定の原理とその問題点/ 清水明 http://t.co/lHFDn9xPO8 #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:05:16
熱力学とランダムネス :付録/ 佐々真一 http://t.co/9i8BFAz40n #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:04:40
カオスの物理/ 矢木雅敏 http://t.co/oAN1N1o85P #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:04:13
高分子の相転移とダイナミクス / 川勝年洋 http://t.co/9BZOP7nbHb #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:03:26
ソフトマター統計物理の基礎概念/ 堂寺知成 http://t.co/rF72jwVjBe #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:02:34
近可積分系の諸問題をめぐって –安定性の視点から - / 伊藤秀一 http://t.co/5dZzNADzk7 #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:01:57
場の理論と統計力学- くりこみ群の見方 -/ 原隆 http://t.co/xO5hNiffTq #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-28 22:00:48
AdS/CFT 対応の超伝導理論への挑戦/ 前田 健吾 http://t.co/UZPUDw40Mz #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-28 16:49:53
磁場下の超伝導/ 池田 隆介 http://t.co/hAzmJ1B2c6 #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-28 16:46:44
平衡超伝導電流に働くローレンツ力とそのホール係数/ 北 孝文 http://t.co/f2DhABrKXh #物性理論ミニマム cometscome_phys 2013-06-27 23:55:55
モンテカルロ法の前線/ 福島孝治 http://t.co/PM0W6jG0Ry #物性理論ミニマム Perfect_Insider 2013-06-27 23:42:34
非線形性とくりこみ/ 大野克嗣 http://t.co/EV52U9gBsk aki_room 2013-06-28 23:01:04
実演レプリカ法/ 樺島祥介 http://t.co/aKnFeS2NFp #物性理論ミニマム
ラベル¶
物理, 物性
細谷曉夫先生の「戦後に生まれ, 物理を志して」¶
本文¶
東工大の細谷曉夫先生の回顧録のようなものを見つけた. これだ. 「戦後に生まれ, 物理を志して」というタイトルになっている.
細谷先生, 勝手に量子情報の人かと思っていたのだが何か分野を転々として, 色々とはちゃめちゃにやっていた人だった. 何といっていいか分からないが, ほーへー, という感じで面白かった. 内山龍雄先生が豪傑という話は良く聞くが 「龍雄先生の冒険」という自費出版の書物があるという. 是非読みたい. 細谷先生にメールしたところ, 近い内に PDF をアップされるとのこと. 正座待機して待っている.
個人的には数学者関係のエピソードが面白いので, それを引いておこう.
引用¶
また, 佐藤幹夫先生が京都の数理解軒研究所で月末の土曜日に開いていた可積分系のセミナーに, 阪大の伊達悦郎さん達の紹介で参加した. 一年も立たないうちに, 数学者達の具体例を一般化するパワーに圧倒され落後した. 佐藤先生のエネルギーと食欲だけはよく覚えている.
この頃になると, 数学者との付き合い方が少し分かつて来た. 被らは概ね脇が国く, いい加減なことを言わないように心がけている. 言い換えると波長域が狭いので, こちらの方から波長を合わせる必要がある. しかし, いったん壷にはまると数学の集中力と概念を一般化する方に辻舌を巻く. 黒川信重さんは例外で波長域も広く, 質問には間髪入れず答えてくれて, しかも立ったままペンを走らせてレジュメを紙に書いて下さる. 冗談を 3 分おきに言える能力とともにビックリすることが多かった.
追記¶
f_hiroki さんからコメント頂いたので.
細谷先生はよく言ってました。> 冒験者の大部分は失敗し、ごく少数のものが新しいコンセプトを切ち開くのではないだろうか? 私には失敗を覚悟で冒険することが、{僥倖によって定職を得た科学者の道徳的義務とさえ思う。@phasetr
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2016年3月4日
あとここを見ると, 『龍雄先生の冒険』は再販検討中らしいので, めっちゃ正座待機している.
ラベル¶
物理
久徳先生と f_hiroki さんに一般相対論についていろいろ教えてもらったので¶
文献案内¶
久徳先生と f_hiroki さんにいろいろ教えてもらったのでメモ.
@life_wont_wait 手元に Dirac と Pauli の本はあるのですが, もう少し突っ込んだ + 現代的な内容の一般相対論の本がないかと探しています. 佐藤-小玉あたりが適切でしょうか
@phasetr 質問が漠然としていてよくわかりませんが, どのくらいの期間でどういう方面の勉強 (あるいは研究) をする想定でしょうか? 佐藤小玉は絶版なので入手に苦労するかもしれません. 現代的といってすぐ想像されるのは Wald ですが, それでも 30 年前の本ではあります. 電話帳もアリです
@life_wont_wait 数学科, 幾何の人相手一般相対論のセミナーをしようという話になっていて, そのための復習用です. その本を皆で読むというより, まずはポイント絞って紹介する感じで, そのための私の復習用です. 私個人で数ヶ月かけてのんびりやる感じで
@phasetr @life_wont_wait Schutz とか幾何学的だと思いましたが, どうでしょう?
@hiroki_f @phasetr Schutz の一般相対性理論は読んだことないんですよね. とっつきやすいとは聞きます
@phasetr 本格的なものでいいなら, ポイントを絞るのにまず Wald や Schutz (未読・和訳あり) など幅広く扱っているものを眺めてみるのはどうでしょう. 他に Gravitation は和訳があってとても幅広いです. 先日は Birrell-Davies も悪くないという話がありました
@life_wont_wait @phasetr Ashtekar 形式 とかどうですかね? 詳しい仕事はしらないのですが.
@hiroki_f @phasetr 拘束条件が扱いやすくなるので量子論を展開する時には便利だというのは聞きます. いわゆるループ量子重力の方向だと思います. なので相転移 P の興味には合うかも. 古典論の範疇ですごく役に立つという話は聞いたことがないので僕はほとんど勉強していません
@life_wont_wait @hiroki_f ありがとうございます. 昨日ググっていたらシュッツが落ちていたので, 今ちょうど眺めていたところでした. 一旦上げて頂いたのを一通り眺めてみます
@phasetr @life_wont_wait p6 から p8 にかけて相対論の教科書の紹介があります. http://www.is.oit.ac.jp/~shinkai/Viewgraphs/090729_summerschool.pdf
最後の PDF を見て, Landau も持っているのを思い出した. 買うだけ買ってまともに読んだことなかったので, いろいろな復習のついでにこれも読もう.
相対論での時間発展¶
相対論での時間発展という概念がいまだに全くわからない. あくまでも一旦フレーム (?) を固定した上で考えるのだろうか
@phasetr 特別な時空の上で考えるか, 何らかの観測者に沿った方向に見るか, 陽に時間を入れるか, 場合によって色々使える手はあると思います. どういう意味で使うのかはっきりさせるのが大事なんでしょう
@life_wont_wait そういう観点をはじめからいれてやるんですね. 時間と言うか発展させるパラメータはいつも外から入れるので, 単純にその辺の考え方そのものに慣れていない方の市民
ラベル¶
数学, 物理, 一般相対論, 幾何学
身近にたくさんある魔界こと古典力学¶
本文¶
symplectic 形式で扱える物理現象って限られたものじゃないかと思っている. nonholnomic の場合, 全ての状態変数に対して共役な変数をとるのは不可能.
https://twitter.com/hiroki_f/status/461377654781116416 拘束系の力学とかそういう話だろうか
@phasetr 猫の宙返りとか http://yang.amp.i.kyoto-u.ac.jp/~iwai/
@SO880 これは面白そう. ありがとうございます
@phasetr はい.
@hiroki_f 学部で解析力学やったとき, 教官が「ハミルトニアンが存在するとは限らない」とかさらっと言っていて 無論当時はハミルトニアン自体よくわかっていないので「そういうこともあるのか」と思っていましたが, 古典力学の魔界っぷりは院くらいからようやく見え始めました
猫の宙返りとか面白そう. 古典力学, さらりと身近に魔界があるので実にやばい. Arnold とかで復習したい.
ラベル¶
物理, 数学, 古典力学
【相対論は間違いだ】系のページの記述について久徳先生に教えてもらったので¶
本文¶
ちょっと探し物をしていたらアレなページを見つけてしまったので. 久徳先生が教えてくれたので記録しておく.
@識者各位 http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page012.htm の【<一般相対性理論が間違っていることの証明>】はどこがおかしいのか. 一般相対論ろくに勉強していないのでよく分からない
@phasetr 状況 B に対する考察が単なる自分の直感の発露で, 状況 A と違うと主張する根拠もなく Einstein への反論になっていない (あと慣性変動という言葉の意味はよくわからない)
@life_wont_wait @phasetr 横からすいません, B が直感の発露っていうのがいまいち良くわからなかったのですが, どの辺が「直感の発露」による決めつけ何でしょうか?
@gaijin4675 @phasetr 「この場合, 慣性変動の発揮はあるでしょうか? ありませんね」という文章が慣性変動を定義しておらず意味を成さないこともそうですが「状況自体は似ていても物理的内容がまるで違っています」が根拠のない思い込みというのが Einstein による指摘です
@life_wont_wait @phasetr つまり結局慣性変動という言葉の意味が定義されていない限り議論自体がナンセンスという事でしょうかね?
@gaijin4675 @phasetr まあそこまでは言いません. 後半の「物理的内容がまるで違っています」が, エレベーターの中の局所的な事象を考える際にはただの思い込み, というのが肝です. もちろんエレベーターの外を見たら区別できますが, それは相対性理論でも当然区別できる違いです
@life_wont_wait @phasetr この人は中の人間に働く力で区別をつけようとしてるのではないかと読み取ったのですが, そうではなく現象で区別をつけるべきだという事ですかね, 何度も申し訳ない.
@gaijin4675 @phasetr いえよいですよ. エレベーターの外を見たら区別はつきます. 「中の人に働く力で区別をつけよう」とすると, 直感に反していても実は区別がつけられない, というのが相対性理論の主張なので, どうやって区別するかを言うなり実験で示さないと反論になりません
@life_wont_wait @phasetr あ, なるほど. そこで状態 B についての説明が曖昧であることが問題になるわけですか.
@gaijin4675 @phasetr 曖昧というのは多分そうで, この web の人, 何に反論したいのか自分でよくわからないままに「直感的に違うから区別できるはずだ」と言っているように見えますね. 事実エレベーターの外側を見れば全然違う現象であることは間違いないですし
不勉強だとこの程度のことですらなかなか見抜けない. 教訓としよう.
ラベル¶
物理, 相対論
ニュートン力学での力の定義とは¶
はじめに¶
大学生とハートフルなやりとりをしてきたのでその記録をしておく. この辺からはじまる.
引用¶
ニュートン力学において, 力の定義とは…? #相対論前日祭
@zomi1202 運動量の時間変化じゃね
@dream_taro やっぱそっちから定義した方が合理的だよなあ.
@zomi1202 そうすると運動方程式はどういう意味になるのでしょうか
@phasetr 系を閉じたときに力の和が 0 になるという要請でしょうか…?
@zomi1202 @phasetr すみません, もうちょっと考えます.
@phasetr ずっと考えてますが, 定義と捉えるのかなと思いました.
@zomi1202 運動方程式は物体の運動の様子をとらえる (運動の軌跡を求める, 積分する) のが本来の役割のはずですが, 力の定義式としてしまった場合, 前者についてどう認識すればいいのかという話です
@zomi1202 すみません. きちんと書かないといけなかった:「運動量の時間変化=力」は運動方程式と式としては同じです. 見かけだけでいうなら運動方程式を力の定義式だとしているわけですが, そうなると運動方程式から「力から軌跡を求める」という意味がなくなりかねません
@phasetr (その"意味"の感覚が僕に無いのかもしれないのですが) 運動の軌跡が先に決まってて力が定義されて, 各要素 (重力だとか電磁力とか) は後付でいいのかなとか思ってたのですが, 山元さんにも指摘されてかなりムリがあるなあと今は思ってます.
@zomi1202 言ってしまったらつまらないのでどうしようかと迷っているのですが, 実際には軌跡を既知としてその軌跡を描くための力が何か, という, まさに「力の定義式」として使われることはあります
@zomi1202 それはニュートンの仕事で, 惑星が楕円軌道を描いて太陽の周りを公転することが実験的に分かっている状況で, この軌道を描くにはどんな力が働いていればいいかというのを求めるのに運動方程式を逆向き (力の定義式) として使っています
@zomi1202 なので, 実際に「運動の時間変化=力」は 2 つの使い方がされているわけですが, 力学を考える上で一番大事な式の位置づけがあいまいで, 同じく大事な概念である力もあいまい (求めるものなのか既知とするのか状況によって変わる) なのが困るわけです
@zomi1202 そこまで認識したうえで「運動量の時間変化=力」を力の定義式とするのが「合理的」といったのか, というような質問です. 応用上はどうでもいいと言ってもいいですが, 力学をやる上で一番の基礎なので, そこが適当だと物理にはなりません
@phasetr いえ, その辺は全く考えずに, 単に数学的なモデルとして簡単に定義しやすいな, という意味で使いました. 位置づけの重要さがよく分かりましたので, もう 1 回考えてみます. 高校時代からぼやっとしてて分からなかったところなので, ありがたいです.
@zomi1202 ここを突っ込んで考える余裕を与えられているのが物理学科の特権です. 実数論やる暇があるのが数学科というのと同じです. それぞれの学科にそれぞれの特権がありますが, これはまさにそういうところなので思う存分考え抜いてください
@phasetr ありがとうございます. 絶賛堪能してます.
他のツイート¶
y_bonten さんのこのツイートなども参考になる.
「質量×加速度=(その物体にかかる) 力」を力の定義式と見たとき, 正確には「合力」の定義しかなされていない. このことをどう解決するか, とか.
これはとても大事な指摘で, 解析力学の目的の 1 つ にもなっている. 解析力学は, 力学で一番大事であるにも関わらず曖昧な位置付けになっている運動方程式の論理的地位を明確にする試みとも言える. この辺については山本義隆・中村孔一の『解析力学』が詳しくて面白い. ただし, 簡単に読める本ではない.
そういえば, 解析力学のゼミ的なアレ, いつ始まるのだろう. ゆきみさんとの物質の安定性ゼミ的なアレも都合つけないといけないし, つどいの原稿作りもしないといけないし, DVD 制作も積んだままだった.
ラベル¶
物理, 力学, 解析力学
Freeman Dyson の Stability of matter に関するトーク動画¶
動画へのリンク¶
WEB of STORIES というサイトで Freeman Dyson による数理物理トーク を見つけた. 後で見たい.
Dyson の紹介¶
ちなみに Freeman Dyson は QED で有名な Feynman-Schwinger-Tomonaga-Dyson の Dyson だ. 私が始めて Dyson の名前を意識したのは正に Stability of matter に関する話, Dyson-Lenard 論文なのだが, しばらくこれが上の Dyson と同じだと思っていなかった. 正確には, Dyson は物理学者であって, 数理物理の人だと思っていなかった.
Dyson は数理物理でも決定的な結果がいくつかある. 私が具体的に知っているのは自分の領域に近い物質の安定性に関する上記の先駆的な結果と Dyson-Lieb-Simon の反強磁性ハイゼンベルグモデルの相転移の存在証明しかないのだが, 数論などにも重要な結果があるようだ. 興味がある向きは日英双方の Wikipedia をご覧頂きたい.
そこまで勉強が進む前に修士が終わってしまったので全然勉強できていないのだが, スピン系はきちんと勉強したいと思って, 古典系ではあるが 田崎さんと原さんのイジング本 の査読に参加している. 上記の Dyson-Lieb-Simon だが, 集中講義のときの田崎さんが「数理物理の三人の神々」と呼んでいた. 実際そのレベルの化け物だ. 私は論文を読めていないが, 集中講義の記憶によれば「 reflection positivity を使った物理的には訳の分からない変態的な証明」ということらしい. 最近まどか☆マギカのために世間でも相転移が話題になっているが, Dyson-Lieb-Simon クラスで よってたかって全力を振り絞り, 何でもいいからとにかく物理的にシャープな結果を叩きだそうとして やっとの思いで証明できた結果がハイゼンベルグモデルの反強磁性程度なので, 人類レベルでの相転移の (数学的) 理解というのもなかなか切ないものがある.
ふと Simon や Lieb, Froehlich の業績リストを思い出したが, 何でこの人達こんなに多産なの, ということを想起した.
この辺, 専門なので色々書きたいことや勉強したいことがある. 今回はこのくらいにしておこう. Togetter でも少しまとめた覚えがあるので, 興味がある向きはそちらも参考にされたい.
いくつかの参考リンク¶
ラベル¶
数学,物理,数理物理,量子力学,統計力学
宇宙論のモデルの解の存在: 諸科学・工学への数学の応用¶
はじめに¶
詳しく聞かなかったのが失敗なのだが, 宇宙論をやっていた友人が次のようなことを言っていた.
この間, 先輩に読んでる論文について質問したら, 「その論文で出てるモデル, 解がないことが示されてるから読んでも意味ないよ」って言われて, 頑張って読んで損した.
解が存在しない, というのがどういう意味で言っているのか, 解の非存在についてどういう議論をしているのかを聞きそびれたのだが, 何にしろ, 物理でも方程式というかモデルを立てたあと, そのモデルの価値について解の存在という観点から議論をすることがあるというのを聞いてちょっと驚いた.
これについて, 例えば下記のような本を書いていて, 東大での産業数学に関する取り組みで中心的な役割を果たしている山本先生などの話を思い出す. 儀我先生も同じような話をしていた.
儀我先生の話¶
その話というのは, 自然科学や工学の人達と数学が共同研究するときに解の存在の議論をする意味についてだ. 解の振る舞いを調べることが仕事という状況で, そもそも解が存在しないようなモデルは考えても意味がない. もっというなら解がないようなモデルはモデルの立て方自体が悪いと思える. 一旦モデルを立てたら, そのあとは基本的には数学の仕事になる. モデルの正当性について, 解の存在という観点からの研究も大事なのだ, という話をしていた.
私もその通りだと思うのだが, この考えはなかなか受け入れられないようだ. ただ, 儀我先生の話だったが Allen-Cahn 方程式で有名な Cahn (だったと思う) は工学者なのだが, 例外的にこうしたことについて非常に理解が深く, 数学の利用法として解の存在証明は決定的に大事だと擁護してくれていたという話を聞いた.
宇宙論の友人の話をふと思い出してこのようなこともついでに思い出した. Twitter でも TL に宇宙論とかその近辺の人がいるから今度聞いてみよう. あと, この辺の数学の話は関西すうがく徒のつどいでも話したい.
ラベル¶
数学, 物理, 工学, 微分方程式
Feynman 物理学が全てオンラインになったという衝撃¶
本文¶
やばい.
なんと!Caltech がファインマン物理学を全てオンラインに http://feynmanlectures.caltech.edu/ それもスキャンしただけでなく, 本文は HTML, 式は MathJax, 図は SVG だそうです
(英語版を) 買うだけ買ってろくに読んでいない方の市民だが, これは凄い. 私も面白いこともっとたくさんしたい.
ラベル¶
物理
フランクリンの「生まれたての赤ん坊が何の役に立つか、あなた答えられますか?」と科学・技術の倫理¶
はじめに¶
Twitter で時々見かける, 研究者による次のツイートを見た.
研究者各位。
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 12, 2020
「その研究は何の役に立つんだ?」
と問われたら、
「ほお。生まれたての赤ん坊が何の役に立つか、あなた答えられますか?」
こうクールに問い返して、くそカッコ悪い質問をしてしまったと思い知らせましょう♪
source ベンジャミン・フランクリン*役に立たない科学が役に立つ
研究者各位。
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 12, 2020
「その研究は何の役に立つんだ?」
と問われたら、
「ほお。生まれたての赤ん坊が何の役に立つか、あなた答えられますか?」
こうクールに問い返して、くそカッコ悪い質問をしてしまったと思い知らせましょう♪
source ベンジャミン・フランクリン*役に立たない科学が役に立つ
これに連なるツイート群は後半にまとめておくことにして, 次のような引用 RT をしたら少しやりとりが続いたので記録する.
https://t.co/rBUFWUYxYv こういうのよく見るが、物理学者として有名なアインシュタインが原爆を提起していたり、「この赤ん坊がヒトラー・スターリン・毛沢東にならない保証がないので、真っ先に息の根を止める」と返されたらどうするのだろうというのをいつも思う。
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
やりとり¶
「(生まれたとき)すべての人に天国の門を開く鍵が与えられています。ただしその鍵は地獄の門を開くこともできるのです」
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
物理学者 リチャード・ファインマン
(仏教の諺を引用して)https://t.co/npX9LZ59hO
「(生まれたとき)すべての人に天国の門を開く鍵が与えられています。ただしその鍵は地獄の門を開くこともできるのです」
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
物理学者 リチャード・ファインマン
(仏教の諺を引用して)https://t.co/npX9LZ59hO
それをクールな問い返しだと認識しているという理解でいいでしょうか。
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
元の疑問に沿ってお答えすれば、
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
「赤ん坊は生まれたときからヒトラーなのではない。
経験と教育によってヒトラーのようにも、ガンジーのようにもなり得る」ですかね。
その言説、当初のコメントをしてくる人間にどの程度意図通り適切に通じるのか、(個人的な)検証結果はあるのでしょうか。
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
ないです。
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
ぜひ科学教育・科学コミュニケーションのような人たちとも連携しつつ実践してみた結果を発表してもらいたいです。他の研究者の参考になるはずなので。
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
やり取りのあとのツイート¶
https://t.co/EXBuJSS7oN https://t.co/G9evHxBCGZ これ、経験に基づくラッセル=アインシュタイン宣言という方針修正の歴史はあるにせよ、科学者が真っ先に地獄を生み出していて、その後もサリドマイドのような未知の地獄を継続的に生み出している人達がどの程度の覚悟の下での発言したか常に気になる
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
サリドマイドやフロン、役に立ちかつ有害であるという地獄のような存在なので本当にどの程度の覚悟で「クール」とか言えるのか、科学・技術系の倫理みたいな点からどう思っているか、いまだにわからない。
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
こういうの、高校3年の社会で出てきて、同じクラスにいた薬学部に進学しようとしていた友人がどう感じたか、ショックを受けなかったかとか気になったが聞けなかったし今でも聞けない。当時のショックをえぐられる面もあり、この辺の倫理は勉強しなければいけないと思いつつ何もできていない。
— 相転移P (@phasetrbot) August 13, 2020
こうは書いたが, 高校の頃の私でさえ考えたことなので, 科学・技術の倫理では相当の議論の蓄積があるはずだから, いい加減何か勉強した方がいいのだろう. 何かよい本をご存知の方がいればぜひ教えてほしい.
研究者にシンパシーがある人達のツイートまとめ¶
物理学科の学生や物理学者にさえ「数学科の数学が何の役に立つ」とさえ言われるので, 私もこうは言いたいがどの程度受け入れてもらえるのだろうか?
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 12, 2020
1783年にパリで気球の実験を見物していたベンジャミン・フランクリンが、群衆の一人から「あの玩具が何の役に立つのか」と問われ、「赤ん坊が何の役に立つのかね? (What good is a newborn baby?)」と切り返したというのがこの逸話の出発点のようです。 https://t.co/2M17v1G9xF
— Shuuji Kajita (@s_kajita) January 26, 2020
「その研究は何の役に立つ?」に対する別解。
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
これもカッコいい!https://t.co/JUPvFzoKfY
「火山なんか取材して何の役に立つんだ」と色んな人から言われたけど、火山が吹くたびに呼び出されたのは私です。
— 加藤 大和 (@YamatoKato) August 12, 2020
ちなみに尊敬する火山学者は同じ質問に「意味なんかあるか!分からんから研究しとるだけや」と言っていた。
超カッチョいい。 https://t.co/tUU3LJLjfb
まあね、学術研究に対して「何の役に立つ?」と質問すること自体、
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
「私は金儲けにしか興味のない俗物ですぜ、げへへ」と白状しているようなものだと私は思ってる。
こう発言できるその素朴さがとにかく本当にただただ羨ましく, まぶしい.
「株主優先」だの「貧困は自己責任」だの、金儲けにしか興味のない俗物を正当化するロジック*だけ*が社会に幅を利かせるようになっちゃだめだと思うのだ。
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
(補足)
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
「日本の財政は危機的状況だから、目的をもって研究しなきゃならない」
という小理屈も蔓延しているが、財政が危機的状況ってのをまず疑うべき。
自由な学術研究が出来ないほど貧乏な国が、オリンピックを誘致しますか?
(補足)
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
「日本の財政は危機的状況だから、目的をもって研究しなきゃならない」
という小理屈も蔓延しているが、財政が危機的状況ってのをまず疑うべき。
自由な学術研究が出来ないほど貧乏な国が、オリンピックを誘致しますか?
そういう扱いしか受けていないことに対してもっと積極的に行動を起こしてほしい.
シンクロニシティ。
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
良き哉♪https://t.co/cmYS5ECfcS https://t.co/SPrzxV2oTt
「この研究って何か意味があるの?」「何の役に立つの?」
— わったんさん(仮) (@hwataru_tk66) August 13, 2020
と聞かれたときは、「お前は野球とか歌舞伎とか映画とか音楽がこの世に無い方が良いとでも思っているのか?」と答えることにしています。
何か目的のために存在してる訳じゃなくて、人類の知的探究の存在そのものに意義がある、と僕は思う。
芸術とかスポーツみたいな文化って、何かの役に立つかって言われたらそういう訳じゃないけど、人の心をどうしようもなく動かすし、人間にとってなくてはならないものだと思うんです。うまく説明できないけど。学問も同じで、「もっと知りたい」という根源的な欲求に、ある種採算度外視でつき動かされ→
— わったんさん(仮) (@hwataru_tk66) August 13, 2020
どうしようもなく心を動かすから戦争利用もちゃんとできるという部分, 芸術界隈はどう処理しているのだろうか?
天文学の偉い人曰く。https://t.co/0w772lJWPR
— Shuuji Kajita (@s_kajita) August 13, 2020
天文台の大師匠から聞いた答えがこちら
— ラーリン (@Typholin) August 13, 2020
「人類にとって一番の武器が好奇心。好奇心が無ければ人類の発展はなかった。宇宙の研究をやめるということは好奇心を捨てるようなものであり、ライオンが牙を捨てることに等しい。種の存続が危ぶまれる。」 https://t.co/zk1xBZjsLa
気分が落ち込んできたのでこのくらいにしておこう.
堀田昌寛さんのツイート¶
2016-09-10 「物理学における存在とは?」: 堀田さんのブログの記事, Unruh 効果が面白かったので¶
堀田さんのブログは本当に面白い.
ブログ更新しました。⇒「物理学における存在とは?」 - Quantum Universe http://t.co/Oeg7uhqAzE
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014年5月3日
「存在とは何か?」という問題は、本来実に根が深い。 例えば、相対論的量子場の真空状態|0〉を考えよう。 普通の慣性系での量子化では、真空は粒子数が零の状態だ。 またエネルギー密度の期待値もどこでも零だ。 そして図1のように慣性運動している測定機Aで測っても、粒子は観測されない。 空っぽの「無」の状態そのもののように思える。 しかしFulling-Davies-Unruh効果、通称「ウンルー効果」という面白い現象が知られている。 図1のBのように真空中を一様加速度運動をしている測定機は、あたかもその加速度に比例する温度の熱浴の中にいるように振る舞うのだ。
Unruh効果は元RIMSの小嶋先生の文章によく出てくるので名前だけは知っている.
小嶋先生, 本当に何を言っているのかわからないので, Unruh Unruh言うのはそんなに面白いことがあるのかとずっと思っていたがようやく面白そうなことがあるのだと認識した.
小嶋先生が要求してくるレベルの高さは本当に果てしなく, 私の言動も多くの人に小嶋先生のように見られているのかもしれないと思い, かなり反省した.
Reeh-Schliederの定理の物理的な意義: 堀田さんのツイートまとめ¶
次のツイートからなるツリーをTeX 化・PDF化した.
ふつうの物理の人がReeh-Schliederの定理に対するコメントをしていて, そんなに知られている定理なのかと驚いた. これは代数的場の量子論の基本定理で, その筋では有名というか基本中の基本の定理でもある. 学部四年年から修士一 年の頃, 必死で勉強した定理でその頃は数学的な証明だけ何とか追いかけられたものの, 物理に踏み込めるほどの力がなかった.
何年越しかさえ忘れてしまったが, Reeh-Schliederの物理に触れられる機会だったので忘れないように記録しておいた. いつか代数的場の量子論ももっときちんとやりたい.
それはそうと黒木さんの連続ツイートもいろいろまとめている. 需要がありそうならそれも公開したい. 連続ツイートだとどうしても式が見づらい.
二重スリット実験からはじまる堀田昌寛さんの量子情報ツイートまとめ¶
堀田昌寛さんのツイートまとめ.
量子力学の一般解説でほぼ必ず登場する二重スリット実験がありますよね。1個1個の電子をばらばらと図のような2穴スリットを通すと、沢山の電子が衝突した後のスクリーンには波のような干渉縞が起きる実験です。 pic.twitter.com/mOxXCA7XiV
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
一方、どちらの穴を通ったかを測る測定器を置くと、同じように電子を投げても、干渉縞が消えてしまうという実験です。 pic.twitter.com/NXXpyhdyly
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
この実験は、量子論を扱う科学哲学の一般向けの書籍にも仏教学者の佐々木閑さんの「科学するブッダ 犀の角たち」にも出てきます。この現象に対して、電子を観測すると波動関数が収縮して干渉縞が消えるという説明があるのですが、実はこれは正しくない説明なんですね。 世間に流布したよくある誤解。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
佐々木閑さんは特に「意識は波動関数の収縮を起こさない」ことを主張するために、この二重スリット実験を解説されています。しかし測定器が起こすデコヒーレンスが干渉縞を消しているだけで、測定器によってどちらかの穴を通るただ1つの波動関数に収縮しているわけではないのです。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
測定器と電子の相互作用によって、系の波動関数は|Ψ>=|電子は上の穴を通過>|電子が上にいると測定器が記録>+|電子は下の穴を通過>|電子が下にいると測定器が記録>という純粋状態になるだけで、(電子+測定器)の全体としては、波動関数に収縮は起きていないのです。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
この|Ψ>という状態で電子だけの状態に注目すると、上の穴を通った状態としたの穴を通った状態の古典的な混合状態になるので、スクリーン上の干渉縞が消えてしまうのです。波動関数の収縮は起きていないのです。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
より正確にはスクリーンと電子の相互作用も考えるべきでして、何回も実験した最後には(電子+測定器+スクリーン)の全体が純粋状態になってます。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
波動関数の収縮は系に関する知識の増加に過ぎないので、意識をもつ主体がいて初めて起きます。観測者が重ね合わせの中のただ1つの成分を経験することが波動関数の収縮なんです。今の場合、デコヒーレンスで生じた混合状態の中からただ1つの成分だけが抜き出される過程こそが、波動関数の収縮。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
世間に流布している多世界解釈の理解に対する誤解の指摘も含めて、この波動関数の収縮については下記記事を参照してみて下さい。https://t.co/WoW0xfqS9E
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
またこれも一緒にどうぞ。https://t.co/6TM8A4XUxt
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
このまとめもご参考に。https://t.co/AhKbeL2vpH
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016年12月4日
量子情報, ちゃんとやりたいと思っていながら全くできていない. よく混乱しがちなところをクリアにしてくれる分野だと思っていて, 本当に面白そうなのにとても悲しい.
ほったさんによる量子力学の素敵なトピック集¶
本文¶
量子力学の教官の方と学生さんに改めて知っておいて欲しいこと. RT で広めて頂けると助かります. http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/28/194922 http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/26/061840 http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/03/11/155744 http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/05/094917
それぞれ次のようなタイトルになっている.
- トンネル領域で粒子を見つけたら, その足らなかったエネルギーはどこから来たのか?
- 測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない.
- 摂動論と, "時間とエネルギーの不確定性関係"という名の幻.
- 波動関数の収縮はパラドクスではない.
トンネル領域の話, 非常に面白いのでぜひ読んでほしい. それぞれ面白いから, 興味のある記事だけでもぜひ読まれたい.
ラベル¶
物理, 量子力学
記事紹介: 「測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない」¶
本文¶
ブログ更新しました. 「測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない」. - Quantum Universe http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/26/061840
適当にやってきてしまったところなので, 非常に参考になる. 実にありがたい.
ラベル¶
物理, 量子力学
堀田さんのブログ紹介: 弱値, 弱測定に関する記事たち¶
本文¶
負の確率、複素数の確率の話のもとになる弱値、弱測定に関しては http://t.co/hPgGnF8Da3 http://t.co/mBD4KSaDt2 http://t.co/PxourS8KYs http://t.co/tcbCXCyRkW に書きました。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 5月 18
実に面白そう. そのうち, きちんと腰を据えて読みたい.
ラベル¶
物理, 量子力学基礎論
物理の人の数学への向き合い方¶
やりとりメモ¶
定理や命題の主張は理解できるけど証明が全く分からない場合、数学の人はしっかり補うと思うんだけど、物理の人はどう向き合っているんだろ。
— みるか (@mirucaaura) May 15, 2021
物理で必要な計算ができるかどうかがまず問題で、その時点で証明できる力があるかもわからない(学部一年で超関数のフーリエ変換さえ出てくる)ので、気にしなくなります。どうしても気になる勢は多分本当に数学に行きます。
— 相転移P (@phasetrbot) May 15, 2021
確かにその時点で証明に必要な数学の知識があるとは限らないですものね。
— みるか (@mirucaaura) May 15, 2021
もっというと、流体力学の基本方程式であるナビエ・ストークスはいまだに解の存在と一意性が証明できておらず世紀の大難問として有名ですし、そもそも証明できるかどうかさえわからなくても証明抜きでバリバリ使うので、この辺が数学的に攻めきれることが多少なりともありうる分野と多分気分が違います
— 相転移P (@phasetrbot) May 15, 2021
追記¶
定理や命題の主張は理解できるけど証明が全く分からない
これに関していくつかのポイントがある. 大きくわけて次の 2 つの場合がある.
- 純数学的な議論: 例えば代数の準同型定理など.
- 物理的な議論を強く含む場合: 例えばベクトル解析の諸定理.
後者の場合は次のような「物理的な証明」がある.
- (暗黙のうちに) 簡単な場合に限定した (厳密な) 証明.
- そのままでは正しくないが, 少しの修正で正しくなる「証明」.
- 大雑把に考えてさえ正しくないが, 物理での応用上の気分はよく掴める「証明」.
一番目はベクトル解析でよく出てくる. 二番目はデルタ関数の近似関数列として熱核の代わりに原点近傍でだけ $n$ を取る関数列を取るとき, 三番目はそもそもとしてデルタ関数を「原点でだけ無限大の値を取る, 全積分が 1 の関数」として「定義」してしまうことあたりを想定している. 必ずしも証明の話ではないが気分は伝わるだろう.
次のような番外編もある.
- 厳密には正しくなく凄まじい修正さえ必要だが, 数学的な気分が説明できる「証明」.
なぜこれを入れたかというと, Witten をはじめとした超弦理論まわりの人々が数学の人と話すとき, 数学者向けに調整した「説明」がおそらくこのタイプだからだ.
もっと言えば数学者の言う「アイデア」もこの手のタイプの「説明」だろう. これについては研究レベルにまで進んだ人と, 私のように修士程度で, 研究ごっこまでしかしなかった (できなかった) 人間とでまた少しスタンスの違いが出てくる. 大した話ではなく, 単純にアイデアレベルの数学的な雑な気分を本当にゴリゴリに厳密にした経験があるかどうか. この経験がある数学関係者はいい意味の緩さを持っているし, 何なら人によっては本当に「物理学者の雑な議論を精緻化するのが自分の仕事」という人さえいるだろう.
最後, 物理関係者の話から数学関係者の話になってしまった.
いろぶつ熱力学本査読に関する感想からはじまる物理の話¶
第一段¶
はじめに¶
いくつかのツイートをまとめました. 以下引用です.
いろぶつ熱力学の査読¶
いろぶつ先生の熱力学の本の査読をやっているのだが, 何というか改めて物理の人の頭の中を見ているという感じで, 物理の人は空気が読めて頭の回転がいいのだろうという気がしてくる. 具体と一般, 特殊と理想がぐちゃぐちゃになっていて, 数学系市民にはその切り替えについていけない.
こういうのを見ると, 数学は頭の回転と物覚えの悪い馬鹿にも比較的親切な分野というのを改めて感じる.
物理や工学, 高度のエアリード能力が求められる分野で, それが数学系の人間が挑むときのハードルになっているのを改めて実感している. 私が普段触れているタイプの数学も, 数理論理だとかもっと厳密なタイプの議論をしている人には「貴様らのエアリード能力の高さに感心する」といわれているのだろう.
ふと思ったのだが, 物理の人, 全微分の定義を何だと思っているのだろうか. これ, 院試の時に筆記で壊滅的だったらしく, 教員陣が衝撃を受けたらしく, 面接で全員に全微分の定義を質問していた, というの後で聞いた. 私は今でもきちんと言えない.
熱力学に戻ると, 一般論を展開している最中, 突然「理想気体で計算してみよう」という段落が出てきて, いつの間にか一般論に戻っている. 数学の本だったらいちいちくどく, 例1.2.4, 命題2.4.5 みたいに分離するところだ.
実は少し前のバージョンでは「この箱の中の記述は理想気体の場合に限る」 BOX ってのを作ってその中でだけ理想気体の例をやるようにしてたんですが, 自分で読んでいてうるさく感じたのでその BOX を取り外しました. つけたままの方がよかったかなぁ.
確かに熱力学最初に学んだときは理想気体のみの結果と熱力学一般の結果が混然となった印象があるので, やっぱりつけたほうがいいのかもしれないですね… (というより, うるさい ver を見てみたいです)
次のバージョンで復活させてみるかも, です (学生に印刷して配ったバージョンでは着いてた).
熱力学の難しさ¶
熱力学の難しさの一端は, 他で鍛えて来た微分方程式の議論が全く使えないところにもある. 極論, 計算で議論が組めないと言ってもいいのだろう. あくまで物理, 自然科学なので論理というわけでもなく, よくわからないが何故かそう, という経験事実に依拠しなければいけない.
もちろん, 力学でも何でも何故かこの現象はこの方程式に従う, という経験事実とそれに対する諦めはあったとはいえ, いわば数学的な装いと難しさに押されて物理に向き合いづらかったともいえるのだろう. 物理の勉強なのか数学の勉強なのかいい意味でわかりづらかった.
その一方, 熱力学は数学的なハードルがもはやかなり低くなっていて, 直接的に物理に向き合えるし, 向きわざるを得なくもなる. しかも使い慣れた数学的道具も使えない. その辺の巨大なギャップが厳しいとは思う.
あと, 熱力学の数学的厳しさでよく聞くのが記号的にもわけのわからない偏微分の計算とかいう単純な記号運用上の話だったりするし, 教科書書く人間はやる気あるのかとはよく思う. その非本質的な部分で悩む人が多く, 過去自分もそうだったといっておきながら再生産する者がいる度し難さは許しがたい.
数学から見た物理の本の厳しさ¶
数学系の人から聞くこの手の話, 具体的にはどのようなところでエアリードになってるか知りたい. 書いてる物理の人本人は論理を繋げて書いてるつもりだと思うので.
私の今回の話に関して究極的に言えば, 一般論は一般論として定義・定理・証明で, 具体例は例1.2.4のように例の議論として明確に分けていて, 物理はそうなっていないというのがあります. 実際, いま読んでいて, 理想気体での具体的な計算と銘打たれた節の後半で一般論が出てきていて驚いています.
なるほど. 物理では, ある具体例(理想気体等) を考えて, そこからどのくらい一般化されるか考察して, 一般化された話に至る, という形式が多いですね. もともと物があって具体例ばかりのところから法則を見出すので, 一般論が先になりにくいのかもしれません.
この指摘に関しては文章としての体裁の問題でもあります. 具体例を議論することを前提としたタイトルがついた節の中で前振りなしに一般論を展開するとはどういうことだ, と. 数学の定義・定理・証明・例は著者側で明確に区別していて読者が考える必要がなく, そのコミュニケーションギャップもあります.
なるほど. 本は見てないのでわかりませんが, 色んな観点からわかりにくいと思われる指摘は著者にとってありがたいでしょうね
また別の話をすると, 前書きで「エントロピーは統計力学でようやくわかった」というよくある話が書いてあるのですが, 統計力学でのエントロピーはよく乱雑さといわれますが, (この本でも実際そう書いてあるように) 熱力学でのエントロピーは断熱操作での状態間変化を制御する量であって, 統計力学で熱力学のような形の状態遷移を積極的には考えない (少なくとも私は見たことがない) のに, 統計力学で熱力学のエントロピーを理解することはそもそも可能なのかとか, そういうところにも査読コメントをつけています.
雰囲気的に, 本の書き方が悪い部分がありそうですね. 本当は体積無限大の極限で熱力学を再現するように統計力学を作って, 作られた統計力学から熱力学のエントロピーをそう解釈できる, という話なのだと思います (異なる流派あり
おおもとの話の, 物理の本でよく見かけるエアリード能力要求事案をいろぶつ熱力学の事案で書いているつもりなので, 特定の本というより, 少なくとも私が読んできた日本の物理の教科書の話という感じです.
数学者に「物理のここにギャップがある」企画を見てみたいなとよく思います. 物理の人はギャップないと思ってることがよくあって, 面白いことに気がつきそうなので.
物理学者への苦情まとめ VS 数学者への苦情まとめみたいなのも, いろいろ細切れなのはあるでしょうが, 大きくまとめたのは見かけないので何かやったら面白そうですね. 見かけたら地道にまとめていこうと思います.
物理学者への苦情まとめ VS 数学者への苦情まとめその 1¶
自明ではあるが, 物理の人が書いた文章でエアリードスキルを要求される事案を見つけたのでメモしていこう.
量子力学に従う粒子, すなわち量子のとる状態は複素線形空間$H$の上で表現される.
内積空間であることを要請していない. 前の部分で内積に触れてはある.
このように単位ベクトル$\ket{\psi_i}$で表せる状態を純粋状態という. この状態は$\ket{\psi_i} \bra{\psi_i}$ のように正方行列で表してもよく
あとでどちらを状態と呼ぶのか紛らわしい. このあと作用素環的な設定を前提にしたような記述があり, 厳密にはそれだとまた少し違うので諦めてどれか一つを採用してほしい.
これとは関係なく思い出した. 解析力学の講義のとき電磁気がらみの話でゲージ関係の話が出て教員が「任意の関数」と書き「それはどのクラスだ」事案. ちゃんと考えると微分可能性だけではなくエネルギーの有限性に絡む可積分性要求もあり, (非物理の数学関係者からすると) それほど自明ではない.
ちなみに量子力学で出てくるとき, 単純な場合は$\Ltwoloc$になったりするし, (二次元で) アハロノフ-ボームを考えるときは「平坦性」を課したりもするので, ここでもそう自明ではない.
「量子力学の数学」にもっていくと自己共役性に絡めてかなり非自明な議論が必要になり, 適当な設定では破滅するので物理の要請に沿い, 数学の技術的な仮定がどこまで外せるかという話まで絡んでくるので, 物理の人が思うほど数学として自明なことは少ない. ある意味でこの逆もある.
たとえば, 関数解析的な手法による偏微分方程式論では「自明な」空間はソボレフ空間だが, おそらく物理の人がさっとわかるほど楽な定義や性質を持たない. 流体で出てくるベゾフも定義がかなりごつい.
物理で理論を作る流れ¶
物理で理論を作る流れ.
- 解明したい振舞をする系 A がある
- 凄く単純な模型 X を作る
- X の変な振舞 (適用限界) を確認
- A を説明
- 似た B も説明できる一般化を行う
- 内包してる物理がわかった!
教科書だと 1 を具体例として後半に書くので動機不明の事がある
研究者からさえ数学の教科書に向けられる苦情の大きな部分はそれではないでしょうか. 特に高次元の線型代数は工学系の学生が「実空間は 三次元なのになぜ四次元以上をやるのか」と言っていたり, 抽象線型空間なんて使わないといっていたら量子力学で死を味わったとか.
私も腐っても学部は物理で修士から数学なので, その辺, 人間のやることであって物理も数学も大して変わらない地獄がある感覚があり, 数学で苦しんだだろうになぜ物理学者は, という感じもあります.
物理と数学の議論の流れは違う?¶
天体の運動を考えると, 動きの観測, ケプラーの法則 (太陽系での具体例), 万有引力の法則 (ほかの物体にも適用可能な一般論) に至るので, 一般論として万有引力の法則があって具体例で天体の動き, とはならない. なぜなら万有引力の法則が正しいかは具体例から定まるから. 論理の向きが数学と逆なのかな
それは教科書の書き方か研究かがごちゃごちゃになっているようにも思います. 力学だと教科書としてはいわば公理的に運動方程式からはじまって, 運動の一般論と具体例は割ときれいに分かれています. 続
電磁気だと帰納的に積み上げて Maxwell で終わるか, (簡単に Maxwell を導いた後で) Maxwell から初めていわば公理的にやっていきつつ具体例も触る教科書の展開はふつうなので物理と数学の論理の違いたいな話はまた違うでしょう. いわゆる物理の要請が数学では公理として現実と切り離す違いはあるにせよ.
数学でも「はじめから群があったのではなく, いろいろな例を見たうえで群という一般論を作ったのだ」ともいわれますし, 高木貞治の「数学は帰納の学問である」という言葉もあります. 最近の数学と, 大昔の物理とも強く結びついていて, 物理学者兼数学者ばかりの頃の数学の違いもあるでしょう.
なるほど. 興味深いですね. 熱力学が力学のように体系化されるのかされうるのか. 特に熱力学 (と統計力学) は常に有効模型, 有効理論なので (そもそも熱平衡はいつ起きるのか), 電磁気や力学みたいに基本法則を信じきれない部分もあるので定理みたいにならないんですかね. それとも上手く書けば書けるのか
話が少しずれますが, 場の理論の黎明期はそれに近いです. 特に散乱で量子力学で育てた感覚をもとに, 模型ごとのアドホックな議論を進めていて実験と直接結びつく散乱理論がぐちゃぐちゃだったから, もうあきらめて「これは信頼していいだろう」という線を公理化して数学したのが場の理論の数理の始まり.
LSZ の還元公式は公理的場の理論の成果だと, その筋の人は良く言います. 物理の言葉だと行列要素の収束ですが, 数学的には作用素のノルム位相の収束を考えるのではなく, 位相を弱めて弱収束を考えるというまさに関数解析的な議論の変化によるところです.
あと公理的場の量子論の, 少なくとも当初の問題意識・設定は「これだけは信頼できると思ったところだけから, 疑義を挟まない (近似を使わない) 議論でどこまで言えるかを検証する. 物理的におかしいことが出てきたら公理 (要請) が悪い」です.
私はこの文化圏で育ったので, 理想気体でおかしい結果が出たら理想気体の公理が悪い (モデル化が悪い) とまず真っ先に思うので, さっきみたいな話が出てきます.
いわば公理の無矛盾性判定の基準を物理的におかしい結果が出るか否かに置いています. 公理の無矛盾性とか言っていますが, 単に仮説検証です. 著しく数学の装いが強く, 数学的な問題解決 (解の存在と一意性など) のために問題意識も物理とずれがちになり, 物理にたどり着きづらい厳しさが常にあります.
ちなみにこの分野での解の存在は赤外・紫外発散による問題があったので, その発生当初の歴史的文脈では非自明かつ物理としてクリティカルな面があり, 非一意性は相転移・対称性の破れによる物理的に起こるべき非一意性問題もあるのですが, いまの普通の物理の人は気にしないよねマターはあります.
あとまた少し趣が変わる話ですが, 熱力学またはそれを生み出した経験的事実と他の分野の整合性にかかわる議論として量子多体系における物質の安定性という議論があります. Lieb-Yngvason の Lieb が主導している分野でもあります. 量子力学が生まれたきっかけの一つは水素原子の安定性です.
古典的な荷電粒子だとエネルギーがどこまでも落ち込む一方, 量子力学だと水素原子のハミルトニアンの基底エネルギーが下限を決めてくれるという話です. これを第一種の安定性といいます. もちろん量子多体系のハミルトニアンに対しても第一種の安定性の議論があります.
これは量子多体系の基底エネルギーが粒子数 N に対して漸近的に線型か, という問題です. 平均エネルギー (単純に基底エネルギーを N で割った量) が定義できるかという問題でもありますし, 熱力学的なマクロなエネルギーが N に比例するか, エネルギーの相加性があるか, という問題でもあります.
単純に考えて非自明なのは粒子間相互作用項が$N^2$のオーダー個あることで, これがうまくキャンセルして N に落ちるかがまず問題です. 実際はもっと面倒で, 系がボソンだけだと基底エネルギーのオーダーが$N^{7/5}$になる定理があり, ボソンだけの系は第二種の意味では不安定です.
電子が安定性に重要という有名な話の厳密化です. ミクロな系の安定性は量子力学誕生の頃からの懸案で熱・統計力学と深くかかわり, 物理ど真ん中の大事な話ではあると思うのですが, やっているのは Lieb 周辺の (物理よりの) 数理物理の人ばかりで, 多分普通の物理の人は触れない分野です.
平衡系の熱力学は圧倒的で多彩な経験則をどうやってクリアカットな少数の原理にまとめ上げるかが面白く, そして歴史的には熱力学と矛盾しないようにどう物理を作るかという指針の役割を果たしてきた分野, 物理 of 物理なので数学的な整備を目指すのは物理の人の肌には合わないだろうとは思います.
物質の安定性で書き忘れましたが, 粒子が相対論的な系への拡張もあります. これが大事なのは少なくとも原子番号が大きくなると本当に相対論的効果が出てくること, そして原子番号が大きい時に第一種の不安定性さえ出てくることです.
私が知っている範囲では原子核にまで踏み込んだ議論はないものの, そこまでいかずとも放射性元素の問題はありますし, 電子の動きに注目してベータ崩壊はあります. 相対論的電子で原子番号が大きい時の不安定性はベータ崩壊の存在示唆と思えなくもありません.
物理学者のいう「物理的」「数学的」とは何か? 「いろぶつ先生こと前野昌弘さんの熱力学」の査読雑感その2¶
いい復習と思い, いろぶつ先生の熱力学の教科書の査読をしている. その途中で思ったよしなしごとをそことなく書きつける. ちなみに前回の記録は次のページ.
メインツリー¶
引き続きのいろぶつ熱力学査読で、物理で要求される空気を読む力の具体例と思しき概念を見つけた。「物理的に考えると」という言葉がまさにそう。これ、そもそもが多義語で便利で適当に使われている。多分「数学的」という言葉も多分相当に曖昧に・多義的に使われている。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
具体的な状況設定として、ポテンシャルとつり合いの話がある。ポテンシャル中のつり合いを考えるとき、安定性の議論があって2階微分の正負を見て、2階微分が正の場合が「物理的に実現」するという記述があった。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
この「物理的」は「実験的に実現する」くらいの意味で、もっと言えば「実験的に実現させやすい」(不安定なつり合いでもものすごい精密なことをやればもちろん一時的には実現させられる)という意味だろう。これが割と面倒。すぐに実験できて想像もできる簡単な力学の例題なら問題はないが、
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
どんどん難しく面倒になる物理の議論の中で、一貫して「物理的」という言葉が使われ続ける。何というか、物理という学問の枠組みで考えていることを表すのに使うところから、学問抜きに単なる現実というか実験的に実現するのが難しいというくらいの意味まであって、数学系市民を困惑させる言葉感がある
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
「熱力学が数学的」とかいうのもよくわからない。その「数学的」を定義しろという気分。きれいに書けるところだけ抜き出したから数学的にきれいに見える部分が多いだけでしょう?という感じがある。理想気体含め、具体例が魔界すぎる。熱機関の効率もエンジンに応用されたり、かなり厳しい。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
具体例というより具体例に関わる議論といった方がいいか。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
https://t.co/s38pnurzie後でまとめるためにつなげておこう。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
熱機関の話、平衡系間の理想的熱機関の話とエンジンに関するゴリゴリの現実の非平衡系の話が議論されるので、たぶん相当訓練していないと何の話がどう展開されているのか全くわからない。続
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
いろぶつFAQを見ていても、「操作の途中ではいくら非平衡になってもいいが、考える状態は平衡系だけ」という議論を終始一貫させることが初学者に難しく、それが原因で混乱していると思しき内容がたくさんある。その一方で準静的操作があり、じわじわと認識を侵食している雰囲気がある。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
統計力学でようやく熱力学(またはエントロピー)が分かったとかいう話、多分この辺が原因と思う。少なくとも入門レベルの学部の統計力学は熱力学に出てくるような状態間遷移が出てこない(私は見たことがない)。続
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
状態間遷移が面倒だという話をしているのに、それを抜きにした統計力学の議論でわかった気になってしまえるその認識自体がもうよくわからない。同じ平衡系であっても熱力学と統計力学、趣が全然違うという感じしかないのだが、物理から見るとそんなに近く見えるのか、みたいなことはよく思う。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
https://t.co/s38pnurzieついでなので書くと、「数学的に」を「数学的に厳密に」という場合もだいぶ数学サイドと乖離がある。引用元のツイートがまさにそうで、偏微分方程式の解の議論をするとき、関数解析的な議論ではまず関数空間を設定する。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
量子力学に限らず、物理だとエネルギーの有限性などの制約があるから、それでソボレフ空間のような舞台設定が必要になり、そこからの議論こそ面倒なのであって、単に「解」であることを確認したいだけならそれほど面倒なことはない。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
あと偏微分方程式の議論が面倒になる理由の1つとして、物理としても要求したい解の一意性がある。代数方程式で簡単にわかるように、複素数まで解を考える範囲を広げるとたくさん解が出て、整数解なら一意、みたいな話がある。一意性は解を考える範囲を明確にする必要があり、空間設定が直結する。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
流れの中で出てきたツイート¶
偏微分方程式論の研究者、巷に蔓延る偏微分方程式の解法見たら発狂しそう
— ひさ (@hisagrmf) July 28, 2019
1番簡単な自由粒子のシュレーディンガー方程式の解について、数学的にきちんと解であることを示す手順。あらわに見えるだけでもユニタリ作用素、Lp空間、ルベーグ収束定理、ソボレフ空間あたりの知識が必要 pic.twitter.com/T485bKlzZY
— ひさ (@hisagrmf) July 28, 2019
https://t.co/jJN6nstbTKこれ、「シュレディンガーの解はヒルベルト空間の元であれ」という量子力学の基本設定で解くためにそれなりの道具立てが必要なだけで、単に滑らかなだけでよければもっと証明簡単だし、https://t.co/Amz1rwp5fjでいう「数学的」という言葉の使い方が多義的事案の趣がある。
— 相転移P (@phasetrbot) February 23, 2020
永井さん (物理の研究者) からのリアクション¶
「物理的」¶
物理的に考えると、は確かによく使われる。意味としては「これまで我々が学んだ物理学の知識を使えば当然わかることとして」みたいな感じで、本当は何とかの法則でとか言うべきところを「他の話で知ってるよね?こうなるの」と言ってる。本当は力学の基本的知識を仮定するとか言うべきかも https://t.co/nIERZZ3Bxw
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) February 23, 2020
物理的に考えると、は頭の中で思考実験したら、という意味もあるかも
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) February 23, 2020
「数学的」¶
物理な人が数学的と言う場合はいくつか種類があるとは思うけど、よくあるのは、大胆な仮定を「途中に」挟まずに最初の仮定から最後までいける、みたいな意味だと思う https://t.co/9oJeIXfC5m
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) February 23, 2020
物理の人が数学的すぎる、という時は、「俺にはこの式変形の流れは追えない」というケースもある
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) February 23, 2020
もう一つ物理の人が数学的と言う場合の一つは、物理的直観が効かないまま式変形の過程で到達した何か、みたいなものもあると思う
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) February 23, 2020
熱力学での状態概念の扱い「いろぶつ先生こと前野昌弘さんの熱力学」の査読雑感その3¶
今またいろぶつ熱力学の査読をしているのだが、熱力学は時間を殺した平衡状態概念を基礎に据えている一方、物理的な対応のために長時間挙動で平衡状態が得られると書いたり、準静的な操作・変化で十分ゆっくりとか書くせいで状態変化に対する誤解を育みまくっていて学習者を破滅させている感がある。続
— 相転移P (@phasetrbot) March 1, 2020
いろぶつ熱力学の本のFAQを見ていても、
— 相転移P (@phasetrbot) March 1, 2020
・熱力学で考える状態は平衡状態だけ
・その変化に関してはいくら非平衡な状態を経過してもいい
・ただし平衡状態を保ったままの変化・操作も考え、それを準静的な操作と呼ぶ
という話を、学習者は即刻忘れて混乱して破滅している印象がある。続
普通の物理の人間には受け入れ難いのだとは思うが、自然のモデル化という視点をゴリゴリに進めた、もっと過激に公理的なスタイルで書かれた熱力学の本がどのくらい受容されるのか、かなり気になってきた。続
— 相転移P (@phasetrbot) March 1, 2020
Lieb-Yngvasonはハメル基底が出てくるとか別方向にも過激なので、その辺はおさえた感じのコンテンツが必要な気がする。少なくとも数学系の人が熱力学の物理はともかく理論の構造はわかるような感じのやつ。熱力学の本、来年の目標にしよう。
— 相転移P (@phasetrbot) March 1, 2020
とりあえず GitHub にリポジトリを作った.
- https://github.com/phasetr/ThermoDynamicsForMathematician
地道に書いていこう.
いろぶつ先生が『よくわからない量子力学』を書くという噂を聞きつけたので¶
本文¶
追記 田崎さんからのご指摘を受け, 引用元を明示した.
いろぶつ先生が『よくわからない量子力学』を書いてくれると聞いたので. 一応田崎さんの元のツイートからの流れも転載しておこう.
「1 粒子の Sch. eq, から存在確率密度の時間発展についての連続の式がでる」って話が多くの初等的教科書に出てくるけれど、本当に重要なのだろうか? ノルムの保存はもちろん根源的に重要だけど、それは連続の式を経由せずとも出せる。わざわざローカルな保存則を書く意義ってなんだろ?
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 5月 7
例えば井戸ポテの真ん中に断熱的に仕切りを入れる操作(もちろん収縮が起こらないように)をしたら、確率はどう左右に別れるか、とかそういう状況を考えるとローカルな確率密度だって意味はあると思うんですが、違いますか??(もっと違う問題意識の疑問??) @Hal_Tasaki
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 7
@irobutsu意味はあると思うんですが、ただ、あの連続の式での時間変化を時々刻々追いかけたりは決してできないわけですよね? ノルムの保存は絶対に教えなくてはいけないけど、連続の式を教える必要あるのかいなという素朴な疑問なのです。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 5月 7
@Hal_Tasaki大事なのは連続の式というより、そこに現れる流れ密度じゃないですかね。流れ密度から例えば単位時間あたりに壁を超える確率とかが出せるわけで。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 7
@irobutsuありがとうございます。いま書いている講義ノート( X 年後に出る本の草稿)に連続の式をいれるか、迷うところ・・
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 5月 7
@Hal_TasakiそれはX年後が楽しみです。 流れ密度やら、それが運動量の期待値と関係しているあたりの話をしようと思うと、結局連続の式が一番導入として素直な気がしますが。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 7
そうですね。結局、問題は「流れ密度やら、それが運動量の期待値と関係しているあたりの話」は必須なのかなってことになると思います。かつては散乱問題が量子力学の典型的な応用だったわけですが、もうそういう時代ではないですし(ぼくは散乱問題をやらずベル不等式をやります)。@irobutsu
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 5月 7
@Hal_Tasaki確かにこれからの量子力学の教科書はエンタングルメントあたりを教化していくべきなんでしょうね。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 7
@irobutsu@Hal_Tasaki是非田崎さんや前野さんには、エンタングルメントも当たり前に含んだ、バランスのいい新しい形の量子力学の教科書を書いて頂ければと願っております。これまでの教科書では散乱理論や摂動論の技術的な部分に偏った本も結構ありましたが見直してもいい頃。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 5月 7
私の方は量子力学の本をまた書くとしたら遠未来なので、田崎さん及び皆様に期待です。「よくわかる」は元々「これまでの教科書の枠は崩さない」方向で考えてたので「新しい形」の本をもういっちょやりたい、という野望だけはあるのですが…。 @hottaqu@Hal_Tasaki
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 8
@irobutsu【よくわからない量子力学】的なアレで既存の枠を破壊しにいきましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 8
野望としては「よくわからない量子力学」もいいねぇ。 量子力学だけじゃなくて、ベクトルポテンシャルやら相対論やらが前面に押し出してくる電磁気の本とかそういう野望もあるにはある(でも遠未来)。 @phasetr
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 8
@irobutsu太田浩一電磁気本の量子力学版をさらに魔解釈して魔界化させた本などは少なくとも私には需要があります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 8
@phasetr太田さんの境地に達するには、私では修行が足りんなぁ…。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 8
RT『@atomotheart:@irobutsuDVD+教科書みたいのを期待してますm(_ _)m』 ああああ。もちろん「動く電子教科書」ってのも大きな野望の一つではあるのですよ。 でもできることからコツコツと。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 5月 8
@irobutsuそこは無謀に挑戦していって屍を積んでいきましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 8
ラベル¶
数学, 物理, 数学教育, 相転移プロダクション
相対論的量子力学の謎: ディラックの海は必要か¶
Twitterで見かけたので自分の備忘録としてまとめておく.
クラインゴルダン方程式などの相対論的な波動方程式は場の量φの時間に関して2階微分なので、保存則を満たす正定地の確率密度を導入することはできないので、確率解釈ができる波動関数とは解釈できなかったわけです。そこでφを物理的場と解釈し、その量子力学として生まれたのが場の量子論です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
現在多くの物理学科では、古い慣習に従って相対論的量子力学(つまり1体系のディラック方程式)の後に場の量子論を教えてますが、これが量子場と波動関数の概念の混乱を物理学徒に引き起こす原因です。炎上覚悟で言いますが、相対論的量子力学なんか飛ばしてすぐに場の量子論を教えたほうが良いです。 https://t.co/SGVAq4L7Nf
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
歴史的にディラックがどのようにしてディラック方程式にたどり着いたのかは、科学史としては面白いですが、現代に生きる我々が最先端の物理学を学ぼうとするときに、彼や当時の人々の思考を辿って場の量子論に行くつく必要はありません。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
ディラック方程式だって、無限に深い負エネルギー準位が出てくるため、その全部が電子で埋まっている「電子の海」を考える必要があります。結局ディラック場は電子の1体系の波動関数なんかではなく、多粒子を記述する物理量演算子としての場です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
ディラック場演算子から定義される消滅演算子aで消える(a|0>=0)と真空状態は定義され、その真空状態に生成演算子をN個かけてN粒子状態|N>を作るわけです。最終的に電子の海なんか必要ありません。そんな迂回路を物理学徒に通らせるから、量子場と波動関数の区別がつかなくなるわけです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
物性分野でも、シュレーディンガー場で多体粒子系を記述するわけですが、その場合でも場と波動関数の混同がないように教えているはずです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
あたかも1体系の相対論的量子力学があるように教え始めながら、結局多体系の場の理論になってしまうため、最後にゴミ箱に全部捨てさせてから、場の量子論をまた最初から教えるのは、教わるほうも教えるほうも時間の無駄だと思います。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
私の感覚からすると, そもそも波動関数が何なのか, もっと言えば物理で何を指しているのかよくわかっていないし, 量子場を何だと思っているのかもよくわかっていない.
数学として波動関数は無限次元の$L^2$の元, 量子場はフォック空間を代表とする, 場の量子論に対するヒルベルト空間上の適当な作用素という認識で, 混同しようがないが, 物理だとどう教育しているのかよくわかっていない.
物理, この手の教育のブラッシュアップがほとんど全くされていない印象がある. 熱力学もたいがいひどい. 他の分野ではどうなのだろう. 統計学が地獄なのはわかっている. 統計学は自分でコンテンツを作る体できちんと勉強したい.
久徳先生とのやりとり¶
ぜんぶ久徳のせいだ¶
本文¶
青春は久徳だ
@phasetr 死になさい
@life_wont_wait !!!青春!!!
@phasetr 早く死ねって
@life_wont_wait 殺しに来て頂く方向で
@phasetr 一般相対性理論 (佐藤・小玉) で殴る
@life_wont_wait 電話帳の方が威力高いのでは
@phasetr 世界一難しいという噂すらある相対論の教科書に向かってなんてことを
@life_wont_wait 世界一の攻撃力
@phasetr まあもちろん世界中の教科書を読んだわけはないのであくまで噂です
佐藤・小玉の『一般相対性理論』はこれだ.
下記が有名な電話帳.
ラベル¶
物理, 一般相対論
西川貴教兄貴のおかげで pressure は high/low だというのは叩きこまれている¶
本文¶
西川貴教兄貴のおかげで pressure は high/low だというのは叩きこまれてるからな
英語に限らず何かを記憶に残すのにキャッチーな何か, 非常に役に立つ. 今後の活動でも覚えやすく記憶に残るキャッチコピー, きちんと意識しなければ.
ラベル¶
物理, 相転移プロダクション
量子力学からの物質の安定性と流体力学からの星の安定性¶
はじめに¶
コメント¶
なんで部屋の暖房が死にかかっているのかわからないが少なくとも俺が凍死に向けて確かな一歩を踏み出していることはわかる (帰宅)
@life_wont_wait 最強の戦力, 脂肪肝
@phasetr 死になさい
@life_wont_wait 赤外発散と相転移に関する人類の理解に革命を起こすまで死ねない
@phasetr 君の意見は聞いていない. 死になさい
@life_wont_wait 最期は重力崩壊と共に
@phasetr それが臨界現象だよ
@life_wont_wait 死してもなお統計力学の発展に寄与する方の市民
@phasetr ではここで 1post で統計力学の重要性や面白さをご解説願います
@life_wont_wait 大自由度の系が持つ普遍性と何でそういう話になるのか理由がさっぱり分からない不可解さ
@phasetr ウワーッ 自由度だーッ (死)
@life_wont_wait stability of matter from atom to star
@phasetr 流体の安定性ならなんとか…
@life_wont_wait http://www.amazon.com/The-Stability-Matter-Selecta-Elliott/dp/354022212X 読みましょう
@phasetr これ星も粒子の多体系で扱ってるんですか?
@life_wont_wait 白色矮星やら中性子星やらを量子多体系で扱っている論文があるのは知っています. 場は扱おうにも (数学的に) 難し過ぎて多分手が出せるような状態ではないでしょう. 特に有限温度は
@phasetr 中性子星は大抵ゼロ温度でいけますが, どちらにせよ星を量子多体系なり場なりで扱うとなると動機は数学的な興味に移ってくる気はしますね. 安定性の絡みではやはり必要な課題があるものなんでしょうか
@life_wont_wait 多体系の安定性自体, もはや数理物理の人しか研究していないはずです. その一環で数学的, 物理的に本当にどこまで理論が適用できるのかの限界調査とか, フェルミの縮退圧関係がどこまでど真面目に効いてくるかとか. あとそもそも古典系は安定性ないはずなので
@phasetr 話が微妙に噛み合っていないような気もしますが, 流体モデルでも星の安定性=質量や角運動量を固定した星が安定に存在できるか, というのは古来より研究の続いているトピックなので「古典系は安定性ない」というときの安定性は何か違うものを指しているのかもしれません
@life_wont_wait こちらで「物質の安定性」といったときの安定性は「古典的に (原子核の周りを) 荷電粒子が円 (加速度) 運動していると電磁場を放出してエネルギーを出していって原子が潰れる」的なアレで, 無限多体系の基底エネルギーの粒子平均が有限かと言う所から見た問題です
@phasetr ああなるほど, その意味だと電磁気に限らず古典系は延々落ちていくだけで安定性ないんでしょうね. 星っていうことは重力が外場で入っている量子多体系なのかと思いますが深入りしたくなさが強いですわ
@life_wont_wait 今思い出しましたが, 普通, 熱力学で扱う系はエネルギーが示量的で, 安定性と示量性に関係があるのでその辺の量子力学的チェックでもあります. ちなみに流体からの安定性はどういうモチベーションでどういう話をするのでしょうか
@phasetr どういう天体が理論的に存在可能かというのはひとつ重要です. 例えば現実の中性子星の回転速度は定常解の理論的上限よりずっと低く, 速く回ると不安定になって自発的に遅くなるというのが標準的な説です. 何かが不安定化するときは動的な現象 (超新星爆発とか) が起こるのも重要です
@life_wont_wait 宇宙やばいし星やばい
@phasetr 熱力学という意味では流体でも http://adsabs.harvard.edu/abs/1981ApJ...249..254S http://adsabs.harvard.edu/abs/1988ApJ...325..722F など大局的な性質で安定性を判定しようという話がありますが, 今見たら多体系としても http://adsabs.harvard.edu/abs/1982ApJ...257..847S がありました
@phasetr 「宇宙の基本は星と宇宙論」という話があります
@phasetr 最近はブラックホールの方にも応用されているようです. 少ししか知りませんが http://arxiv.org/abs/1309.0177 http://arxiv.org/abs/1310.5117
宇宙関係での流体力学からの安定性の議論があるのは知らなかった. 死ぬ程難しそう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 統計力学, 物質の安定性, 流体力学, 宇宙論, 星, ブラックホール, 天体
Twitter まとめ: 重力波天文学と数理物理と生活科学の境で¶
はじめに¶
今回もまた久徳先生とハートフルなやり取りをしてきたのでそれを記録しておきたい. 途中から分かれた話もあるので, 適当なところで切り分けよう.
引用¶
オフ会のできるおじさんとオフ会のできない俺, どうして差がついたのか…慢心, 環境の違い
@life_wont_wait 体重的には近そうな印象
@phasetr ノーコンテスト
@life_wont_wait 体重が言い訳にならない理由ができた方のポスドク
@phasetr アメリカ生活ダイエットという苦行に挑む方の市民なので
@life_wont_wait これを論文にすることでまた業績が増え, かつ女性研究者が多そうな生活科学へのパスもできる方のポスドク
@phasetr くらえ! 学際性トンファー!
@life_wont_wait 真面目な話として, 物理と (重力波) 天文学 (と生活科学) VS 物理と数学の学際性, どちらの方が高いのかというのが気になりました
@phasetr まず物理 + 生活科学は物理 + 数学より学際性が高い, それはもう自明のものとして認めていこう
@life_wont_wait 要証明
@phasetr ここは共同研究していこう
@life_wont_wait 早く申請書を書いて予算を獲得しないと
@phasetr 緻密な研究計画が必要だ, まずは大まかに見通しを立てよう
@life_wont_wait 久徳先生がアクセスできる有料論文へのアクセス権を含む研究者ネットワークを駆使し関係がありそうな女性研究者を見つけてくる所からスタート
@phasetr 魚卵でいいだろ
@life_wont_wait ぎょらんさんをまきこむのはそれはそれで私は楽しいのでどんどんやりたい所ですが, それはそれとして生活科学関係への展開はしないのですか
@phasetr 研究者となると知り合いが思い当たらないですねえ. 仕方ないので積極的に魚卵を威嚇していきましょう @saeohrevapap
@life_wont_wait こう色々と論文検索して探しておいて下さい. 私はそういうのにアクセスする権限やらお金やらないので
@phasetr そういうのは非常に重要な要素ですよね. せめて arXiv があってよかった
ぎょらんさんを巻き込んでしまったのは申し訳ない限り.
その 2¶
@life_wont_wait さすがイケメンエリートは格と体重が違った
@phasetr 体重の話やめろ殺すぞ
@life_wont_wait アメリカでの荒んだ食生活で骨と皮だけになって帰ってくる方の久徳先生 http://geitsuboo.blog.fc2.com/blog-entry-5143.html
@phasetr これは本人の意志でも止めたくなるなあ
@life_wont_wait 本人の意思で脂肪肝を選択する方のポスドク
@phasetr おい意図的なもんじゃねえよやめろ
@life_wont_wait 重力波天文学を研究するための適正体重があるのかと思っていました
@phasetr そこは天文学なので一桁くらいは気にしません
@life_wont_wait 有限な世界は難しい
@phasetr 素数だ!!!!!
@life_wont_wait この宇宙, 最大の素数が存在するのでは
@phasetr 我々の宇宙では全ての素数の積に 1 を足すことすらできない可能性…?
@life_wont_wait 足しても素数にならないだけなのでそれは問題ないのでは
@phasetr そうすると全ての素数をかけて 1 を足すと何で割り切ることができるのだろう
@life_wont_wait 割り算または素数自体が存在しない世界を想定することで解消
@phasetr 素数が存在しない宇宙のイデア
@life_wont_wait この宇宙でかけ算は非可換
@phasetr 黒木先生によろしくお伝えください
@life_wont_wait 数学は戦い
@phasetr 終わりなき数学を生きる
その 3¶
@phasetr おい意図的なもんじゃねえよやめろ
@life_wont_wait 何故相転移Pを殺さないのですか
@mythtic 彼には社会と戦って死ぬ義務がありますゆえ
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 重力波天文学, 生活科学, 天文学, 共同研究, 申請書, 学際研究, 男女交際, ダイエット, 数論, 非可換代数
重力波研究の基礎の基礎の話?¶
本文¶
久徳先生と普遍市民 Im_Weltkriege 師の次の対話をご覧頂きたい.
ツイート引用¶
重力波研究の基礎の基礎はなんだろうか. ホワイトボード一面に書いたら自分では知らないことが出てくる気がする
@life_wont_wait 算数
@Im_Weltkriege それはちょっと高度な話題かもしれませんね
@life_wont_wait 算数的実在からの波動こと重力波
@Im_Weltkriege 職人が丹精込めて量子化した算数
@life_wont_wait 宇宙職人の朝は早い (7 日目除く)
@Im_Weltkriege 神は 7 日目を休日とするゲージを選択された
@life_wont_wait 選択神話
@Im_Weltkriege ところで神は可換なのでしょうか?
@life_wont_wait 神は零環に宿る
コメント¶
これを面白く思えるような人は是非物理または数学に来てほしい. 神学や宗教学を学ぶのも手かもしれないが, 数学の方がこう色々とお手軽かつ救いを得られる感ある.
ラベル¶
物理, 数学, 神学
Twitter メモ: #こんな指導教官は嫌だ¶
本文¶
今回も Twitter で久徳先生とハートフルなやりとりをしてきた. これはその記録だ.
#こんな指導教官は嫌だ 久徳浩太郎
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年6月29日
#こんな指導教官は嫌だ 久徳浩太郎
やりとりその 1¶
これに対して久徳先生がこう返す.
これをRTした人間もふぁぼった人間も生かしておくわけにはいかん
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2013年6月30日
@life_wont_wait 現実を受け入れることから物理が始まる
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年6月30日
@phasetr 初めに理論ありき
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2013年6月30日
@life_wont_wait 公理 太っていて気持ち悪い
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年6月30日
@phasetr おいやめろ
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2013年6月30日
@life_wont_wait 現実に耐える理論を作るという理論家の使命から逃げてはいけない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年6月30日
@phasetr 現実を変革することすら視野に入れていく所存
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2013年6月30日
@life_wont_wait 女性の視野にも入れない現実から女性の視野に入って気持ち悪いと言われる現実への相転移
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年6月30日
@phasetr それは数理物理の観点から言うとどのような相転移でしょうか
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2013年6月30日
@life_wont_wait 相転移については全くの未解明ですが、このとき対称性の破れによって質量が大量に生成されるようです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年7月1日
@phasetr 誰がうまいことを言えと
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2013年7月1日
@life_wont_wait 公理を効果的に利用し現実を記述していく方の市民なので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年7月1日
@phasetr @life_wont_wait お前ら阿呆だろ
— 宮田光臣 (@mitsuomi_miyata) 2013年7月1日
@mitsuomi_miyata @life_wont_wait これだから有機化学者は
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年7月1日
@phasetr @life_wont_wait 絶賛分野拡大中
— 宮田光臣 (@mitsuomi_miyata) 2013年7月1日
@mitsuomi_miyata @life_wont_wait 数学科へ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013年7月1日
@phasetr @life_wont_wait 教学科に見えた
— 宮田光臣 (@mitsuomi_miyata) 2013年7月1日
他にも久徳先生との心温まるやり取りをいくつか Togetter にまとめている. 興味がある向きはご覧頂きたい.
やりとりその 2¶
せっかくなので他の人とのやり取りも引用しておこう.
これを RT した人間もふぁぼった人間も生かしておくわけにはいかん
@life_wont_wait 将来的に日本で教鞭をとることってあるんですか
@Cure_Trinity それはあり得ると思っているよ
@life_wont_wait 人生やり直す時にはいろいろ教わりたいですね
@Cure_Trinity そのときは授業料は割り引いておくよ
やりとりその 3¶
これを RT した人間もふぁぼった人間も生かしておくわけにはいかん
@life_wont_wait ツイートした本人は
@SO880 赦されない
@life_wont_wait 慈悲を
@SO880 天国か地獄でもらってくれ (銃声)
@life_wont_wait 先生…
@SO880 今日の講義はここまでです
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理
オープンサイエンスの活動をしよう¶
本文¶
紙媒体の一般向け科学雑誌を凌駕するウェブマガジンを作りたい. (大学関係者と一般の方との共同によって, いつか近い将来に). そんなウェブマガジンが 3, 4 誌に増えたら, そこからポリマスプロジェクトのような, 一般市民を巻き込んだオープンサイエンスのアクティビティが日本でも生まれると予想.
研究と同じで人柱になる人間が必要だ. 多数の屍を乗り越える必要がある. とりあえず私も本サイトの方でいろいろやって屍を積み上げておく.
あと「大学関係者」というのも相当古くさいのでは. 科学の実践の方の専門家がが大学や企業の研究者しかいないのも不健全だろう. もっと世間に屍の山を作ろう.
ラベル¶
数学, 物理, 相転移プロダクション
Lieb-Yngvason による The entropy concept for non-equilibrium states が arXiv に出たので読んでみた¶
はじめに¶
Lieb-Yngvason のプレプリントが出たのだが, 普通の理論物理の人が「ちょっと衝撃的?」と言っていたので眺めてみた. The entropy concept for non-equilibrium states だ. Lieb-Yngvason がまた何か面白いことをしたようだ.
余計な話もいくつか書くが, 論文紹介というよりも私がこれを読んで思ったことの読書メモみたいな感じで読んで頂ければ, と思う. それなりに専門的に勉強した人間が何を考えながらどう読む (反応する) のか, というのを見てみたい向きには面白いのではないかと期待して.
アブストラクト¶
まずアブストラクトを見る. 引用部の訳は意訳の上に適当なので, きちんと原論文にあたってほしい.
P1.
以前の Lieb-Yngvason が論じてきた枠組みで非平衡のエントロピーが特徴付けられた. 今回, 同じ枠組みで, 物理的に望むべき性質を持つ一意的なエントロピーの存在が言えないことが示された. ただし, 一意性がないだけでそれらしき関数が 2 つ定義できる.
平衡系の熱力学の論文は, 例えば The Physics and Mathematics of the Second Law of Thermodynamics だ. 一意性がないだけで, とりあえずエントロピーは定義できるらしい. とりあえず本文に入っていこう.
P1.
エントロピーは時間とともに増えていくとされている. エントロピーは平衡状態では何の問題もなく定義できているが, 宇宙の中にある物質の状態の多くは平衡状態にはない. 非平衡状態に対するエントロピーが何なのか分からければ, その増大というのもきちんと定量化できない. 非平衡状態のエントロピーの定義もあるが, 色々な問題がある.
当たり前の現状認識から入る. 別件だが, Jaksic-Pillet あたりが非平衡定常状態に対して, エントロピー生成を証明したという話があった覚えがあるが, あれは具体的にどういう設定下で何をしたのかよく知らない. あれと今回の結果, どういう関係にあるのだろう.
P2.
状態の比較時, 化学的な組成は同じ状態を考える. 今回の議論では状態の断熱比較性 (以下比較性という) が大事. 一般には非平衡状態のエントロピーは一意に決まらないが, $S_{\pm}$ という 2 つの両極端なエントロピー関数がある. 比較性が成り立つときにはこの 2 つは一致する. 当然非平衡状態での比較性が成立することは極めて非自明であって, しかも一般には期待できない.
$S_{\pm}$ が恐ろしく非自明で凄まじい. あと, 化学的な組成が同じ状態に対する比較性を考えるというの, ここではさらりとしか書いていないがかなり重要だろう. 化学反応が起きる場合, さらに修羅のような状況になるのは簡単に想像がつくし, そのときは $S_{\pm}$ のような量が consistent に定義できるのかすら怪しいという印象. あくまでただの印象だが. そもそもエントロピーを定義する意味があるか, という問題もあるけれども.
2 章¶
とりあえず 2 章に進む. これは以前の論文の復習なのでとりあえずさらりと. 興味がある向きで自分できちんと上記平衡系の論文を読もう.
全然関係ないが, 非平衡状態での多体系のエネルギーは相加性を見たすのだろうか. 基底状態に関する相加性については, やはり Lieb が主導している物質の安定性の数理物理でのメイントピックだし, 恐ろしく非自明. 物質の安定性, 関西ぶつりがく徒のつどいとかで話したいがまず勉強が必要な人生だった. 数学の人に話すには量子力学と熱力学の上に物理に興味があるかという部分まで要求することになるので無理っぽい. 基底状態に関する限り, 物質の安定性は (量子) 統計力学というより量子多体系の話なので, 統計力学に頼るという話ではない. ただ, ミクロなモデルには頼るので今回の話とは別途切り分けるべき話ではある.
また, 相転移を考えなければいけないために起きる, 熱力学の数学的な処理の面倒さと, 面倒さそれ自身が持つ物理的な意味と重要性 (要は相転移) についても書いた方がいい気がしている.
3 章¶
3 章に進む.
P9.
平衡状態と違い, エントロピーで全てが決まるわけではないので非平衡状態のエントロピーを考えても平衡状態ほどの意味はない. ただし, 平衡状態のエントロピーが持つよい性質を保ちながら, 非平衡状態に対してどのくらいよいエントロピーが定義できるかを考えるのには意味がある.
非平衡状態の空間は, 全ての非平衡状態を含む必要はないことを強調しておく. これは, 爆弾の爆発のような状況を考えるときにそもそも状態の関数としてエントロピーを考える意味があるか, といった物理的な設定を反映させている.
非平衡状態は時間依存, または環境と完全に切り離せないことにも注意する.
状態空間に reproducible という条件をつけるようだが, 後で出てくるのだろうか.
3.1 節に進む.
P10.
拡大状態空間でも順序の物理的意味は平衡状態と同じとする.
これは物理的に妥当なのかよく分からない. 純粋に数学として議論を進める上では関係ないが, 最後きちんと物理にするためには決定的に重要なところ. とりあえず先に進む.
N1 で A6 (Stability) を仮定しているが, 非平衡でも成り立つと思っていいのだろうか. 他はとりあえず仮定しておいていいとは思うのだが. 平衡状態に近いところ (非平衡状態の空間をそのくらいに小さめに取る) なら仮定してもよさそうな気はするが, 遠平衡状態 (と私が仮に名付ける) ではどうなのか.
どうでもいいことだが, 数論幾何で遠 Abel 幾何というのがある. 名前しか知らないが Grothendieck が提唱したということだけ知っている.
ふと思ったのでメモしておくと, 公理的場の量子論や代数的場の量子論での「公理」はここで言う「仮定」の意味だ. 「ある仮定のもとで何がどこまで言えるのか」を確かめようという取り組みが公理的場の量子論と言える.
何故こんなことをするかというと, 少なくとも 1950 年代は特に場の理論の散乱がうまく扱えず, 何をどうしたらいいのか全く分かっていなかったという背景がある. しかも場当たり的な仮定をつけて, その場ではうまくいくが, 別の場合には全く使えないというひどい状況だった. まずは「この程度は成り立つと思っていいだろう」というラインを決めておいて, そこから導かれる結果を吟味し, どんな仮定ならば適切かを判断する材料にしようという試みなのだ.
なので, とりあえず仮定しておいて何が出るかを調べよう, という姿勢なら (数学的には) 条件をつけておいても構わない.
P10.
N2:全ての (考察下の) 非平衡状態 $X$ に対し, 2 つの平衡状態 $X'$, $X''$ があって, $X' \prec X \prec X''$ が成り立つ.
N2 の意味の説明:訳は省略.
初見では適当に読み飛ばしてしまったが, これはかなり強い意味を持っていた. 物理としては自然な仮定かとは思う. 詳しくは P10 の N2 直下の文参照.
P10.
非平衡状態の空間上で定義される関数で, 平衡状態の空間上, 平衡状態のエントロピーと一致する関数を探そう, というのが基本的な問題となる.
(14), (15) で定義される関数 $S_{\pm}$ がこう色々と大事. 物理的な意味もある.
P11 の命題 1 に基本的な性質がまとまっている. あまりきちんと落っていないが, 証明もそれほど難しくなく追えるレベル.
P12 の定理 4 では非平衡エントロピーの一意性に関する同値条件がまとまっている.
3.2 節では温度 $T_0$ の熱浴を仮定して最大仕事と, 最大仕事からのエントロピーの定義について考えている.
3.3 節に進む.
P15.
定理 4 と非平衡状態空間上の比較原理, つまりエントロピーの一意性は, 全ての非平衡状態はある平衡状態と断熱的同値性と同値になる. 平衡状態に近いところであってもまず期待できない性質であることを見ていく.
4 章¶
P16, 4 章でまとめに入る.
あまり証明をまじめに追っていないが, 数学的には問題ないだろう. 問題は物理への適用だ. 設定した公理 (仮定) がどこまで物理的に真っ当かという議論もある. 統計力学の設定で「追試」するというのも面白そう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 熱力学, 物質の安定性, 場の量子論
コーシーの積分定理の定式化から考える物理に必要な数学のレベル¶
本文¶
以前他のところでも書いたが, 原さん, 田崎さんによるイジングの相転移本, 今, 東大物理の有志とともにの査読ゼミをしている. 勝手きままに好き放題駄目出しをしまくっているのだが, 一部復習を兼ねた数学の付録 F で物理として甘い数学の記述を見つけた.
ゼミでも指摘したのだが, 物理の人が読み飛ばしそうで, かつ数学の人は気にはするが物理としての意識はしないだろう部分がある. そうした意味で気になる記述はそこだけではないが, 現状の草稿を読んでいる方に役に立つと思ったので, 複素解析を例に気になる部分を具体的に指摘しておきたい.
追記¶
ここ に置いてある PDF に, 早稲田で早稲田や東工大の学部 2 年相手に話した複素解析ショートコースの記録がある. 3 時間くらいで関数論のメインストリートを駆け抜けた. 興味がある方は読んでみてほしい.
本題¶
本の草稿から Cauchy の積分定理と積分公式の記述を抜き出してみよう.
(コーシーの積分定理と積分公式) 単連結な領域 $D$ で正則な一変数複素関数 $f (z)$ と $D$ 内の任意のなめらかな閉曲線 $\gamma$ に対して \begin{align} \int_{\gamma} f (z) dz = 0 \end{align} が成り立つ. また, $a \in D$ と $D$ 内にあって $a$ を反時計回りに一周する閉曲線 $\gamma$ に ついて \begin{align} f (a) = \frac{1}{2 \pi i} \int_{\gamma} \frac{f (z)}{z - a} dz \end{align} が成り立つ.
この記述は物理的に問題があるのだが, それがどこか分かるだろうか. 今回は数学的にもっと一般化できる部分で起きた問題とたまたま一致しているが, 実際には物理での応用時に問題が起きるという話なので, 数理物理としてはきちんと対処しておくべきところだ.
ちなみに Cauchy の積分定理の別バージョンだとか数学上の注意については下記の本の IX 章 $7 を参考にしてほしい.
数学的問題¶
何が問題かというと閉曲線の取り方にある. 引用した部分では「なめらかな閉曲線」とあるが, 例えば上記『解析入門』にあるように「区分的 (またはなめらか) 」としなければいけない. ときどき, この文脈では「なめらか」と書いて を意味することはあるので, そこはどちらでもいいのだが, 問題は「区分的」と入っているかどうかだ. これは物理での応用時に次の問題を引き起こす.
Cauchy の積分定理から留数定理を証明することになるので, 留数定理にも上記の曲線に対する条件が引き継がれる. 実際に留数定理で計算をするとき, 良く次の図のような積分路を取るだろう.
図で丸をつけておいたところは積分路が尖っているので, 当然微分ができない. 「区分的になめらか」としておけば問題ないのだが, 曲線に微分不可能な点を許した形で定理を書いていないので, この場合に使えるかは分からない. 一般に, 条件を一つ落としたとき定理が成立するかどうかは自明ではないし, 本当に反例がある場合があるため慎重に判断する必要がある.
応用上の問題¶
ここで問題なのは物理の人はこの類の条件を適当に読み飛ばすだろうし, 数学の人は気にするにしても純粋に数学的な面からの問題としか見ないだろう, ということだ. この定理に限らず, 命題の設定や結果に物理的な意味がある場合にそれを正しく見抜くこと, 感じることが大事なのだが, 現状の草稿ではそうした指摘が弱い部分が多い.
もちろん出てくる定理全てに明確な物理的な意味があるわけでもないが, 物理的に非常に重要な命題にすらその旨注意がないことがあり, 物理の人は「単なる数学か」と素通りしてしまい, 一方数学の人は物理的な意義が見えないという悲劇が起きる. このあたりは, 何というか, きちんとした教育を受けた「純粋な数理物理」の人間にしか感じ取れない気がする.
コメント¶
念のため書いておくと私は数理物理という言葉の使い方について物理, 物理寄りの数理物理, 「数理物理」, 数学くらいの段階があると思っていて, 数学者が数理物理というのは「物理が元ネタになっている数学」のくらいの意味だと思っている. 「物理寄りの数理物理」は極めて物理的なモチベーションの高い数学的に厳密な研究を指し, 田崎さんや原さんがここに属する. これが微妙なのだが, 「数理物理」は物理的な意義が多少薄いが全くないということもなく, 一方数学としてもあまり独立した興味が無いような話だが, 「数理物理」という何か良く分からない区分にすると意味を持ってくる結果, くらいの何とも言えない意味で使っている. ちなみに例えば超弦理論で数理物理といったとき, 特に物理の人がやっている場合は「数学的に厳密な」という条件が落ちることが良くあるが, 私はこれを「物理」と呼んでいる. 人によって意味がばらばらなので注意されたい. 田崎さんと原さんでもまた違うだろう. ここでは私の使い方を説明した.
ついでに紹介¶
日本評論社の数理物理シリーズの編者コメントには次のような話が書いてある.
ロシアの R. L. Dobrushin は, 統計力学を確率論的に深めた多くの著しい業績をもつが, 「仕事は何か」と問われて「応用数学を純粋数学にすること」と答えたとか. これにならって, 数理物理学とは物理に用いられた数学を純粋数学にすることだ, といってもよさそうだ.
また上のような説明は数理物理の文献なら必ず明記してあるかというとそうでもない. 大事なところにはもちろん適切に注が入るが, 当然分かるだろうという部分にはいちいち注は入らない. こうした注意が明文化されている文献をあまり見かけないので注意しておくことにした. 改訂されるまで (見ていれば, だが) 査読者の方々は注意されたい.
最後に¶
色々言い出すときりがないが, 数学的に一般化できるところまで一般化しきればいいというものではなく, 物理にとって大事な条件下で必要な範囲の定理を示せれば, 物理としては十分だ. 自分が何をしたいのか, 物理がしたいのか数学をしたいのかという問題があるが, この本は「数理物理」の本なので, 読むときには上記のようなことに注意するともっと楽しめるということをお伝えしておきたい.
ラベル¶
数学,物理,数理物理,複素解析
高圧物理学の聖杯, 金属水素¶
はじめに¶
どこだか忘れてしまったが, Twitter で金属水素なるものがあることを知る. とりあえずWikipedia の該当記事を貼っておこう.
引用¶
金属水素 (Metallic hydrogen) は, [水素(http://ja.wikipedia.org/wiki/水素){target=_blank}が圧縮され, 相転移を経た状態であり, フェルミ縮退の一例である. 固体状態では, 水素原子核, つまり陽子の結晶格子の間隔は, ボーア半径よりもかなり小さく, 電子のド・ブロイ波長と同程度と予測されている. 電子は束縛されず, 金属における伝導電子のように振る舞う. 液体状態では, 陽子は格子に並ばず, 陽子と電子の液相系となっている.
水素は, 周期表上でアルカリ金属の列の最上段にあるが, 通常の状態では金属ではない. しかし 1935 年, ユージン・ウィグナー と Hillard Bell Huntington は, 25Gpa 程度の超高圧で, 水素原子は電子を保持できなくなり, 金属的な性質を示すことを予測した{1}. それ以降, 金属水素は, 「高圧物理学の聖杯」と呼ばれるようになった {2}.
高圧物理学の聖杯とか格好良すぎるだろう. 何だこれは. 「聖杯」と言いたいためだけにでも研究する価値がある.
ラベル¶
物理, 相転移
量子力学教育の現代化に関する適当な考察¶
Twitter で物理系の大学教員が量子力学教育の現代化というお題でいろいろ言っていた. 旧来の水素原子に関する偏微分方程式の解析などよりも, 量子情報や量子測定理論など現代的な量子論の理解にもとづいて教育を組み直すべきではないか, 無限次元の面倒な議論よりも有限次元のヒルベルト空間論で本質は十二分に説明できるはず, そうした話が展開されていた. それについて適当にツイートしたので, せっかくなので適当にまとめておく.
放言¶
- 量子力学、関数解析の隠語という方向で考えたい。
- 物理はよくわからないので、量子系の数理・幾何の基礎数理という感じで市民感覚の線型代数コンテンツを作りたい。
-
量子力学の教科書から水素原子取り除いたら解ける具体例どうすんの、、、?井戸型ポテンシャルだけやるの、、、?
- 調和振動子はあるのでは。
- いま有限体に対する応用線型代数として符号理論を再勉強しつつコンテンツのために整理している。
- 物理への応用線型代数という趣で作った現代数学観光ツアーだけでも既に300ページを超えるボリュームがある。
- 水素原子に関わる数学が好きだから水素原子の議論を決死擁護するというスタンスを取るまである。
- 200ページくらいで量子情報がさらりと眺められるPDFとかほしい。
私の趣味という意味での数理物理的観点¶
- 水素原子、励起状態の固有値、量子電磁場の「摂動」を入れると励起状態は全て準安定状態的なアレになっていろいろ処理が必要で、基底状態は固有値であってほしいと思いつつ赤外発散処理が必要でそれがまた修羅という世界観で生きている方の市民。
もう少し真面目な教育的話題¶
- 水素原子の問題のいいところ、そこまでに習ってきた数学をきちんと使うところというか、そういう風にカリキュラムを組んでいるところだろうから、物理学科のカリキュラム自体根底から組み直す必要があるだろう。何で量子力学の話だけしているのかがよくわからない。
- 物理学科、何となく教科書という何といい、教育改革が死ぬほど遅れている印象があり、死ぬほど保守的なのだろうという気分とこれが物理帝国主義かという気分がある。
-
そうですかね、、、?
- とりあえず比較対象は数学で、観測範囲では学部レベルが少なくとも数学よりはかなり固定的な印象があります。
-
まぁ昭和の教科書普通に最近のと同じように読めちゃうのでそうなんでしょうねぇ、、
-
- 物理の人間がどう思うかは知らないが、数学科の人間が読みやすい物理のコンテンツを作りたいという気分はあるものの、現代的に適切な物理の内容をよく知らないという致命的な問題がある。
- 現代的な量子力学、とりあえず偏微分方程式を解けば何か出せるというタイプの話ではなく、かなりの抽象論になるような気がするし、理論系ではない学生を全員処刑してしまうタイプの講義になりそうな気もする。実験系の人はどういう気分なのだろう。
- 偏微分方程式解く系の数学、数学の使い方が難しい事案で、現代的な量子力学は教養数学の一番難しいところだけを丁寧に集めたタイプの地獄になるような印象がある。多分流体やら何やらで添え字だけ見ればいいタイプでは済まない、数学のテンソル積が必要になって血の雨が降りそう。
- 添え字の計算ではない、テンソル積空間などのテンソルを理解できる非数学科の人、どのくらいいるのだろうか。そもそも線型空間やら、行列と線型写像の区別がきちんとつくやら、なかなかハードな気分がある。
-
(量子情報理論、(数ベクトル空間の話に落とし込んでお茶を濁す手もあるとはいえ、)まともに説明しようとするとすぐにテンソル積が出てくるので地味に大変なんですよね)
- 数ベクトルに落とすと、今度はテンソル積が逆に具体計算として特に高階のテンソルがすさまじく面倒なことになり別の強い負荷がかかるという認識で、何をどうやろうとも難しいことは難しいという事案だと思っています。
-
そうなんですよね… >特に高階のテンソルがすさまじく面倒 学部の講義でちょっとだけ量子情報理論の話をしたときには、2量子ビット系までしか扱わなかったのでまだ何とかなった(と信じている)のですが
-
- 平均的な物理学科の平均的な学生、どれだけ現代物理に耐えられるのか問題が浮上してきている気がする。
- 学部の時、量子力学は微分方程式をとりあえず解くだけで全てが終わり、特にいろいろな特殊関数の計算に追われて物理をやるどころではなく、学部4年で数学科進学用の関数解析系の勉強ついでに量子力学の公理みたいなのを改めてやることでようやく少し何をしているか把握したという部分があり、偏微分方程式の計算を必死で頑張るタイプの量子力学、学部3年程度で誰が耐えきれるのかという気分はある。特に特殊関数を駆使した計算、使う人と使わない人が極端に分かれるだろうし教育的にどうなのかはいまだに全く分からない。
- 山の事故で亡くなってしまったが、最後早稲田に行った生物物理の木下さん、関数論で挫折して理論を諦めたと言っていたし、趣がだいぶ違うとはいえある程度優秀なはずの実験屋さんでさえそのくらいとなると現代的な量子力学、線型代数の抽象論で大半の物理の人間にわからない代物になりそうな。
最後に¶
私が作った現代数学探険隊はまさに水素原子の量子力学に必要な解析学を 1 から整備したコンテンツだ. その辺について, infinity_topoi さんのブログの記事に対するコメントとしていくつかまとめた. 興味があればぜひ読んでほしい.
何にせよ線型代数に関わるコンテンツはいろいろ必要で, 今後も解析または微分幾何視点でいろいろ作っていく.
コメントの移行¶
HashiraQさんから¶
量子力学について特に業績もなく本当に教科書が出るのか出ないのかも不明なツイ廃物理教員方面のホラ話、そんなに真に受けなくても、と思わんでもないっす。
だいたい何をもって「現代的」??水素原子も実空間系のスペクトルも取っ払って量子情報系に特化した教科書なんかいくらでもあるでしょ。日本語でももう長らく清水本、北野本とあって特に何のニュースもないいのでわ。
いずれにせよ現状では絵に描いた餅。いろんな教科書が出て選べるのはいいことなので、まずはお手並み拝見、教科書が出た時点で議論すべきことだと思いますね。
それより相転移P著の数学っぽい量子力学の教科書が読みたい。
自分¶
新井先生とLieb方面の相の子のような趣味をしているので、その辺の本の劣化版が私が書く本にあたります。劣化版をあえて書くなら、日本語でカバーされている本が(多分)ないという意味ではLieb方面の水素原子からのStability of matterを市民でも読めるように議論を丁寧に書く部分に全力を振るだろうと思います。
追記¶
新井先生の本に関しては恐ろしく丁寧で言うことはないものの, Lieb の本に関してはそこそこ行間があるため, そこを補うコンテンツはあっていいと思う. 特に stability of matter は前から興味があるので, コンテンツを作る体で勉強するのは本当にある. やりたいことが本当に多い.
非平衡相転移について少し調べてみようと思ったのだが全く分からなかった¶
はじめに¶
先日思い立って非平衡相転移について少し調べてみようと思い, 適当にググって PDF を読んだ. 京都の小貫さんによる『非平衡相転移現象: 熱流による非線形効果』という記事だ. いいものなのかどうかは全く判断できないが, とにかく読んでみた.
メモ¶
相転移現象は実に多岐にわたっており, 殆どの研究者にはそれぞれになじみのある相転移現象があるであろう. 相転移を平衡現象として捕らえるのは理解の第一歩であり, その先に多くの非平衡効果がある. 二次転移点近くのダイナミクス研究はその流れの初めの一歩である.
私でいうと強磁性が馴染み深いというか, ほぼそれしか知らない. それですら物理としては怪しいところばかりで悲しい.
一見して平衡に見えるがそうではなく, ガラス状態や構造相転移の中間状態のように準安定性が本質の物質状態もある. また高分子・液晶・ゲルなどのソフトマターは, その柔構造・多層構造のため, 多彩な非線形非平衡効果を示す. 濡れ現象や界面運動に着目した斬新な本もある.
学部の頃の固体物理か何かだと思ったが, ガラスがかなり難しい対象だと聞いてびっくりした覚えがある. あと濡れ転移だとか界面の話は東大数理の舟木先生が数学として研究していたような気がする. 読んだことないが, 多分これ.
これら潜熱の関与する現象はありきたりだが, 物理として理解するのは実は至難である. それには熱流下での液体・気体界面における一次相転移を正しく理解しないといけない. ここに相転移物理学と流体力学の融合された基本問題がある.
やたら格好いい. 1-2 ページにかけて van del Waals や Korteweg の仕事が紹介されているが, Korteweg は Korteweg-de Vries (ソリトン) で有名な Korteweg とのこと.
通常の自由エネルギーを用いる理論では一様な温度を想定するが, 温度が非一様な場合の相転移はどの様に記述できるかは自明でない.
非平衡は全然知らないので, そもそも非平衡での自由エネルギーとは何者か, 考える意味があるのか, 平衡状態で果たすような重要性は変わらずあるのか, というところが気になる. すぐ下でエントロピーも出てくるが, この辺, 非平衡でどこまで意味を持つのだろう.
潜熱流は熱伝導に比べ圧倒的に熱移送効率がよいのがわかる. ガスに僅かに液体を封入するだけで効率よく作動するヒートパイプの原理が納得されるであろう.
ヒートパイプなるものを初めて知る夏.
大分飛ぶが次のような記述があった.
身近で体験する現象ですら非線形非平衡効果に満ちており実はよく理解できなていない 3,6). 熱力学で論じられる現象 (例えば断熱変化・カルノー過程) は公理的な記述がされるが 実際の物理過程は複雑で誰も理解していない側面もある.
こういうの凄い好き. 現象自体は良く知られているが, きちんと考えると理屈が全く分からないとか最高に楽しい.
非平衡相転移については何も分からなかったが, 非平衡の熱力学・統計力学はやばい, ということだけ了解した.
ラベル¶
物理, 熱力学, 統計力学
【速報】早稲田の生物物理の木下一彦先生が亡くなったらしい: 一分子生理学で著名¶
ニュース¶
少なくとも個人的には衝撃のニュースが飛び込んできたので. 早大・木下一彦教授、滑落死か 南アルプスで遺体発見.
こういう速報, どこまで信じていいのかわからないが, 特にこんな誤報だったら喜んで訂正するので, とりあえず書いておく.
またあまりよくないことではあるが, ネットのニュース, 特に日本の報道関係はすぐリンク切れというか 表示されなくなってしまうのでとりあえず全文引用しておく.
長野県警伊那署は6日、南アルプス小仙丈ケ岳の登山道から約50メートル下の斜面(標高約2600メートル付近)で、早稲田大学理工学術院教授の木下一彦さん(69)=横浜市都筑区茅ケ崎南4丁目=の遺体を発見したと発表した。死因は頭部外傷。署は、木下さんが凍った地面で足を滑らせたとみている。
署によると、木下さんは10月31日に単独で入山。家族に詳しい行程を伝えていなかったという。4日夜、山梨県警南アルプス署に木下さんの妻から「登山に出かけた夫が帰ってこない」と届け出があり、5日から同署員と長野県警ヘリが捜索していた。
木下さんは、分子一つひとつの機能を知る「一分子生理学」という分野の発展に大きく貢献。1990年代半ばに、生命がエネルギー源として利用するATP(アデノシン三リン酸)を作る酵素の分子が回転する様子を、光学顕微鏡で観察することに成功した。
個人的な思い出¶
個人的な思い出としてはやはり学生時代の記憶だ. あまり直接的なやり取りはなかったが, 早稲田の応物・物理の学生部会の活動の一環で新入生の歓迎的なイベントについていったときの一幕が印象的だった. 特に赴任したばかりの先生はそこで研究紹介したりするのだが, そこで「量子系の先生方には怒られてしまうかもしれませんが, 私にとって電子というのは玉っころみたいなものでして」という言葉が出てきた. 物理学科でこういう言葉が聞けるところに意義がある. 何でもない一言なのだろうとは思うが今でも覚えている一節だ.
ちなみに赴任したばかりの先生がする研究紹介, 新入生にとってはどの先生も「新しい」のであって赴任したばかりの先生に 回るというのもよくわからない風習ではある.
業績とかはあまりよく知らない. Nobel 賞のうわさがどうの, というのもあったらしいが, もちろんそういうのもよく知らない. 詳しい人がどこかでまとめるだろうし, 早稲田の応物・物理からも適当に情報が出るとは思うので, 私が知っている (不確かな) 話を少し.
早稲田の生物物理で石渡信一という先生がいる. この先生も生物物理の重鎮と聞いている (業績 (の重み) がよくわからないので) が, この石渡先生と学生時代からの付き合いらしい. 早稲田に引き抜いたのも石渡先生だとか何とか聞いている.
浅井先生という背の小さい不思議な先生がいたのだが, その後任で来たという記憶があるが, それは高野先生だった気もする.
ロゲルギストとの関係¶
あとロゲルギストと『理科系の作文技術』で有名な木下是雄先生のご子息だ.
ちょっと調べて見つけたのだが, 2015-07-03 に名大で『講演題目:夢を見させてくださいな。』という講演していたらしい.
木下一彦さんが名大で講演されるとのことです。良い題目ですね。私は先約があるので不参加。残念。 日時:2015年7月3日(金)16:00-17:30 講演者:早稲田大学理工学術院・教授 木下一彦先生 講演題目:夢を見させてくださいな。 http://t.co/Vvog79u0Cr
— Ryota IINO(飯野亮太) (@ryotaiino) 2015, 6月 30
とてもつらい.
張り忘れていたので.
学生時代に何度も何度も読みました。NetScience Interview Mail・木下一彦-index https://t.co/77IUa3uP6L
— Ryota IINO(飯野亮太) (@ryotaiino) 2015, 11月 6
木下さんの書く美しい英文が私の憧れであり目標です。https://t.co/jwTzNQwwNZ
— Ryota IINO(飯野亮太) (@ryotaiino) 2015, 11月 6
番外編: 登山と数学者¶
洒落になっていないんですけど。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) September 16, 2021
Jacques Herbrand (1908--1931) 登山中の事故で死亡。
@yumiharizuki12 数学者でも松村英之名大教授(可換環の研究で世界的に知られる)が退職後ほどなく登山中の事故で、また卜部東介茨城大教授(代数幾何)が在職中に槍ケ岳で亡くなっています。フランスでもエルブランが23歳の時アルプスで滑落事故で死亡しその才を惜しまれました。
— Paul Painleve@JPN (@Paul_Painleve) March 23, 2016
阿部龍蔵先生の訃報を知る方の市民¶
本文¶
少し前だが, 阿部龍蔵先生の訃報 http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20131103ddlk13060157000c.html 実は, 直接の面識はないのだが, 僕が駒場で 18 年間使っていた机は阿部先生のを引き継いだものだった (らしい) ので, 特別な気分になっている.
毎日新聞から¶
毎日新聞の方も引用しておこう.
訃報: 阿部龍蔵さん 83 歳=元放送大副学長, 東京大名誉教授, 物性理論物理学専攻 / 東京 毎日新聞 2013 年 11 月 03 日 地方版
阿部龍蔵さん 83 歳 (あべ・りゅうぞう=元放送大副学長, 東京大名誉教授, 物性理論物理学専攻) 1 日, 肺炎のため死去. 通夜は 7 日午後 6 時, 葬儀は 8 日午前 10 時, 品川区西五反田 5 の 32 の 20 の桐ケ谷斎場. 喪主は妻康子 (こうこ) さん.
歴史上の人物感ある.
ラベル¶
物理, 物理学者
大栗さんの『重力とは何か』がオーディオブックになる¶
本文¶
大栗さん自身のツイートにより, 『重力とは何か』がオーディオブックになるという情報を得た. これだ.
拙著『重力とは何か』が FeBe からオーディオブックになりました. ⇒ http://www.febe.jp/product/144944 最初の部分は, こちらの Youtube で試し聞きできます. http://www.youtube.com/watch?v=wS-5QVg1_DE&feature=player_embedded
読もうと思っていてずっと読んでいないというか買っていない.
大栗さんの理研での講演についての記事を前に書いたことがある. 「大栗さんの講演「科学者の矜持」が Youtube に上がっていたので見た」でコメントしている. 動画へのリンクと単なる感想だけでなく, 知り得る限りでのある程度専門的なこともコメントしておいた. 興味がある向きはご覧頂きたい.
ラベル¶
物理, 重力, 素粒子, 宇宙論
大栗さんの講演「科学者の矜持」が Youtube に上がっていたので見た¶
本文¶
Youtube に科学者の矜持というタイトルで理研の講演が公開されていた. 下に未整理の適当なメモを書いておいたが, 正直全く分からない話だった. ただ, 折角見たのに何も書かないでおくのも惜しいので, 感想を残しておきたい.
桂利行先生との会話の記憶¶
以前, 桂先生か誰かと話していたとき, 数学者が「大栗さんと村山さんは数学めちゃくちゃできる」と言っていた. 超弦の周辺はそういう物理学者がごろごろいるらしいので戦慄する. 私の分野も大雑把にはそういう分野だし, 私自身物理から数学に行ったとはいえ, そういう類の (多分) 物理出身の人が書いた数学の本 (Reed-Simon とか) が良く分からなくて泣きながら勉強していたことを思い出すと, 数学者に数学できると言わせる物理学者, 実に恐ろしい.
Reed-Simon の思い出¶
ちなみに Reed-Simon あたりは有名だがかなり難しいので, 少なくとも物理出身者には勧めにくい. 以前, 東大数理の河東先生のセミナー用の推薦書にこれが挙がっていたが, 河東研に進む人はこのくらい読みこなせるのか, さすが数学科は違う, と感心した. ちなみに, Reed-Simon の本で半ページくらいで終わっている証明が, 新井先生の量子現象の数理には 3 ページくらいの長きに渡って証明が書いてあったので, つらいわけだ, と思った記憶がある. 新井先生の本が丁寧すぎる (のでよくない) という見解もあるかもしれない.
動画の話¶
まず 26 分くらいで「超弦理論の余計な 6 次元は素粒子模型の構造の起源. 6 次元空間は複雑で距離さえ測れない. 数学者でも無理」という発言があった. これで何を言っているのかが気になる.
「数学者でも無理」ということは物理的な測定法という話ではないと思うのだが, そうなると何の話をしているのだろう. 6 次元というのは複素 3 次元の Calabi-Yau 多様体の話をしているのだと思っているのだが, これは Kahler (a にはウムラウトがつく) なので一応は計量がある. 現象を説明するのに適切な計量の存在または選択みたいな問題かと思ったが, その辺は良く分からない. 聞いてみたら存在だけがわかっている事案だった。
全く関係ないが, Calabi-Yau が Kahler だったか確認しようとググろうとしたら「Calabi-Yau 多面体」がサジェストされて深い悲しみに包まれた.
さらに別件だが, Calabi-Yau 多様体はここに関係する数学的業績で正に Yau がフィールズ賞を取ったレベルに凄まじい数学的対象だ. Einstein-Kahler 計量の問題はいまだに複素幾何の大きな問題と聞いている.
場の量子論の数学的理解¶
あと, 最後の部分で「超弦理論は場の量子論も大事で, この場の量子論の数学的理解も大事」みたいな発言があったが, この辺が私の専門なので, ついでに宣伝しておきたい. 以前 Witten あたりは「超弦理論は 22 世紀の数学のはずが, 何の間違いか 20 世紀に出てきてしまった. 20 世紀は量子力学を数学にする時代だったので 21 世紀は場の量子論を数学にする時代だ. (構成的) 場の量子論の連中はもっと頑張れ」みたいなことを言ったと聞いているが, そういうならもっとこちらに人を連れてきてほしい.
以下講演の適当なメモ¶
たまねぎの芯:観測のためにエネルギーを高くするとブラックホールができてしまう. ブラックホールが観測したい領域を隠してしまう. これを「これより小さいサイズの世界はない」と見なす.
重力と量子力学を統合する理論が究極の理論:超弦理論.
超弦理論は 1960 年代, バークレイの加速器が多くの素粒子を発見。 1968 年にベネツィアーノが公式を提唱. 1970 年に南部理論が提唱, しかし余計な素粒子があった. この素粒子が重力を伝える.
欠陥:基本法則レベルでパリティ対称性が破れているが, 弦理論でこれを破るのは難しそうだった.
超弦理論の余計な 6 次元は素粒子模型の構造の起源. 6 次元空間は複雑で距離さえ測れない. 「数学者でも無理」.
1992-1993 にトポロジカルな弦理論を開発.
ホーキングの問題. ブラックホールの情報問題. Hawking 輻射:ブラックホールが量子的ゆらぎのために発熱する. 輻射は Planck 分布:元の情報はなくなってしまう. これでは因果律に反してしまう. この主張に穴はないか? 超弦理論はこの挑戦を受けてたった. 本の情報はブラックホールの量子状態の中に書き込んで保存できる.
重力のホログラフィー. 双対性:同じものが 2 つの異なる状態を持つ. ホログラフィー原理:3 次元空間の重力理論は空間の果ての重力なしの理論に等価. ホログラフィー原理でブラックホールの蒸発過程を説明できる.
場の量子論の数学的理解が大事.
Twitter で大栗さんに質問して回答を頂いた¶
Twitter に大栗さんがいるので, ちょっと聞いてみたら教えて頂いたのでこちらにも転記しておく。
疑問¶
疑問自体は次の通りだ.
まず 26 分くらいで「超弦理論の余計な 6 次元は素粒子模型の構造の起源. 6 次元空間は複雑で距離さえ測れない. 数学者でも無理」という発言があった. これで何を言っているのかが気になる.
「数学者でも無理」ということは物理的な測定法という話ではないと思うのだが, そうなると何の話をしているのだろう. 6 次元というのは複素 3 次元の Calabi-Yau 多様体の話をしているのだと思っているのだが, これは Kahler (a にはウムラウトがつく) なので一応は計量がある. 現象を説明するのに適切な計量の存在または選択みたいな問題かと思ったが, その辺は良く分からない.
大栗さんからは次のようなお返事を頂いた.
@phasetr コンパクトなカラビ-ヤウ多様対については, 計量テンソルが存在することは証明されているが, その具体的な形がわかっていないということを噛み砕いて述べたものです.
Calabi-Yau 多様体は Wikipedia をご覧頂きたい. どうでもいいといえばどうでもいいが, 「しかし, 他にも同値ではない多くの同様な定義がある」という記述にびっくりした. 同値な定義ならもちろん色々あるのは普通だが, 非同値なのを挙げるというのも凄い. 「コンパクトなケーラー多様体が単連結であれば, 上記の弱い定義と強い定義は一致する」ということなので, それでもいいと思う気持は分からないでもないが.
説明の追記¶
それはそれとして, いくつか説明を追記しておく. Calabi-Yau の定義は省略するが, まずコンパクトと計量テンソルを説明する.
コンパクト性¶
コンパクトというのは「有界閉集合」のことだ. 有界というのは「無限には大きくない」または「必ず有限な大きさの球体に含まれる」という意味だ. Calabi-Yau が超弦理論で出てくる文脈では「小さい」と言っていいのかもしれないが, コンパクトだからといって「小さい」と言っていいわけではない. 「無限には大きくない」と言っておけば (今の文脈で) 間違いはない. ちなみにここ「有界閉集合」といったのは Riemann 幾何の基本定理, Hopf-Rinow の定理を前提にしている. 本当は多様体の連結性を仮定しなければいけないはずだが, 細かくなりすぎるのでやめておこう.
計量テンソル¶
計量テンソルというのは多様体の曲がり具合を表す. 講演でも話があったし, 一般相対論なりなんなりで「時空が曲がっている」という話があるが, この曲がり具合を指定するのが計量テンソルになる.
ここで大栗さんから「存在は証明されている」というコメントがついているが, その存在証明をしたのが Calabi-Yau の名前にある Yau だ. この業績で Fields 賞を受賞している. その元の問題である Calabi 予想については [[http://en.wikipedia.org/wiki/Calabi_conjecture ][ここ]] を参考にしてほしい. 大栗さんのコメントは, 懸案だった大事な計量の存在自体は示されたが (一般に) 具体的にどんな形かが分かっていないということだろう. 具体的な Calabi-Yau 多様体に対しては分かっているものはあるはずだが, 物理で出てくる全ての Calabi-Yau に対して分かっているというわけではないのだろう.
追記¶
$n$ 次方程式で例えるとこうなる:「代数学の基本定理から $n$ 次方程式に $n$ 個の解があることは分かっているが, 具体的に解の値が何かというのはこの定理だけでは分からない」. こういう感じで適切な曲がり具合が何かあることは分かっているが, 具体的な曲がり具合が分かっていない.
ちなみに Yau の証明そのままかは知らないのだが, 予想の証明自体は下記の本に書いてあると思う. 詳しくないので間違っているかもしれないが, それはご容赦願いたい.
また, この辺の問題は Einstein-Kahler (Kahler の a にはウムラウトがつく) 計量の問題として今でもまだ色々な議論があるようだ. 中島啓さんの次の本にある程度まとまっている (と思う).
そういえば, 中島啓さんも Twitter にいる. 最近は上記の本で議論されているような問題からは離れて代数的な表現論関連の話を研究されているようだが, 詳しくは知らない. 興味がある向きは詳しい人は Twitter 上にも色々いるので, そういった方々を掴まえて聞いて頂きたい.
ラベル¶
数学,物理,超弦理論,複素幾何,偏微分方程式
「理論物理学者に数学を教えようの会」の内容や開催にいたる経緯¶
はじめに¶
表題の通りの勉強会というかオンラインセミナーをやろうという話が出ている. とりあえず試しにやってみようという部分もあり, 詳細はともかくやることは決まった感がある. 内部での共有・方向性確認が第 1 の目的だが, 公開することに意義がある内容もあるので, その内容説明・共有やここに至った背景などをいくつか説明したい.
きっかけ¶
先日松尾衛さんから infinity_topoi さんの Mathpedia 経由で私の YouTube を知り, それを微分幾何系の動画を見てみたらいたく気に入ってもらえたそうだ. 勢いで現代数学探険隊の PDF も買って頂けたそうで, それもセットでいたく気に入って頂けたそうで, メールでご連絡を頂いた. そこで少しやりとりして 3 人で何かやれたら面白そうという話になった.
いくつか案はあるのだが, 気楽にはじめられて相互に意味がある話として「理論物理学者に物理を教えてもらう」ような誰でも考える自明な話よりも「理論物理学者に数学を教えよう」の方が異様で面白いだろうという私の提案によってとりあえずこれをやってみようという話になった.
内容案¶
方針¶
基本的には数学をゴリゴリにやるよりも数学を勉強しやすくするための概要を紹介・案内する内容を考えている. 理由はいくつかある.
- ゴリゴリと計算なり議論なり何なりしていく YouTube 講義シリーズは別働隊として作っている.
- 物理的なモチベーションも重視した (解析系の) 数学コンテンツは現代数学探険隊の PDF として用意してある.
- 物理数学的な面に注目して概要を議論した現代数学観光ツアーはかなり無茶な構成になっているのでネタを作りつつ整備して組み直したい.
ちなみに現代数学観光ツアーは A5 で 600 ページあるのでこれだけでも相当持つ. もちろんこれだけでは微妙な点もあるので物理と数学の意識のギャップや, その他あまり触れてきていないテーマなども紹介する.
当面予定している内容¶
現代数学観光ツアーでも多少触れているが, 1 ついい入口になると思うので次のような内容ではじめたい.
- 摂動論の謎
- 物理の摂動論と数学の摂動論の趣とその違い
- 行列レベルで既に難しい: ハバード模型と行列の摂動
- 自由粒子・調和振動子・水素原子と摂動
- 励起状態の処理: 古典電磁場と量子電磁場
- 基底状態の処理: 赤外発散
- ヒルベルト空間論に向かう道
- $\mathbb{R}^n$ と $\ell^2 (\mathbb{N})$
- いろいろな内積と直交関数系
- 直交関数系と弱収束
- いろいろな収束と物理
- LSZ の還元公式と作用素の収束
- 作用素環上での収束
- 超関数論
- 高校数学と直結した地獄
- 極限を取るとすぐに修羅の世界が出てくる
- 極限で出てくる特異点の物理
- 赤外発散: 場の理論での「デルタ関数処理」
- 赤外発散処理といろいろな収束
- 紫外切断の除去と物理の階層性
- 有限温度と絶対零度の特異性
- レゾルベント・グリーン関数とスペクトル
- 以前田崎さんがこの辺で「ぼくの教科書でのスペクトルの定義は近似点スペクトルを使う。これは標準の定義より物理の人に馴染むと思う」とあったが, この辺が気になる.
- 物理の人にとって気分的に把握しやすいのはむしろレゾルベントではないか.
- レゾルベントの積分核をグリーン関数と呼ぶ.
- ある作用素に対してレゾルベントが取れない値の全体がスペクトル.
進め方¶
あとで書く背景の実現という点からするといろいろ思うことはあるが, YouTube で動画を配信する前提があるので当面は松尾さんとの 1:1 オンラインセミナーをし, それをさらに録画配信することを想定している. ある程度素性が知れている (適当な意味で私がその人の人柄を知っている) 人に限定しないと場がめちゃくちゃになるこおを改めて実感した. 松尾さん以外にいるのかどうか知らないが, もし参加希望者がいるとしてもオンラインセミナーにリアルタイムで出席する人は限定したい.
背景¶
Slack でいろいろやりとりをした. クローズドでやっているので全部公開するわけにもいかないが, 私の発言に関してはいくつか抜き出しても問題ないだろう. それをいくつか紹介する.
私の中の 3 つの趣味¶
時々いうのですが, 私は趣味が三通りあって, 物理としての物理, 数学としての数学, 数学にも物理にもならないタイプの数理物理です. 物理は物理としてやれるし, 数学も数学としてやれるのですが, 修士までとはいえ研究対象として興味を持ったのは何かよくわからない数理物理というやつで 難しい数学を使うというより数学の使い方が難しいか, もしくは既存の数学にないので自分で必要な数学を作るという感じの話が好きです. 数学の使い方が難しいというのは収束評価・不等式評価を頑張るとかそういう感じの腕力が大事なやつです. 人の数だけ数理物理があるようで, 物理が元ネタなだけのいわゆる純粋数学というのもよくあります. いいとか悪いとかいう話ではなく. 日本評論社の数理物理シリーズの巻頭言で, Dobrushin の「応用数学を順数学にすること」に対して, 「数理物理学とは物理に用いられた数学を純粋数学にすることだ, といってもよさそうだ」という荒木先生と江沢先生のコメントがあります. この二人はもともと物理で, 荒木先生は RIMS にいたとかいう事情もあってもはや数学の人ですし, その手の趣味嗜好の人はもう少しいます.
数理物理的な趣味と「教える会」でやろうと思う方向性¶
私は早稲田の物理出身で, 早稲田紀光はその出自から学部 1 年で集合・位相必修だったとか, 地理的にご近所の大学の田崎さんの熱力学で Lieb 方面にいったので, あの辺が心のふるさとです.
無料で教えることと有料で教えることに関して¶
プロがそれをやってしまうと「あの高名な人が無料でやってくれるのにお前ご時の実力・指導力で金取るの? 」になりかねないので結構厳しい気分があります. どちらかというと教えるのは価値のあることで, それはきちんとお金をもらえることだ, というお金とのうまい付き合い方みたいなのをきちんとやるべきという気分. いわゆる塾講師などは需要があるわけですが, そういう需要が作れないかという部分が私の問題意識です. 月 20 万でも何とか生活できるはずで, その線にどう載せるかが数年来の問題意識で, 実際何ともなっていないところです. すうがくぶんかなどは需要の掘り起こしなどもやっていると思うのですが, いかんせんリアルで東京の制約があるので, オンラインで頑張るという方向がこれまでの活動です.
これに対して次のような指摘があった.
- 需要をもっときちんと掘り起こし, マーケットを立ち上げる必要がある.
- 理由?
- 数学が何をやっているかを整理した情報がない.
- 学ぶためのカリキュラムとテキストの不在.
- これらがない限りどういったものがあって, 何が自分にとって面白そうか, そして実際にチャレンジしてみて自力では無理そうだから人に頼もう, というところまでたどり着きもしないはず.
これについてはいろいろなコンテンツを準備してはいるが, もっと広告を打つなりして広める必要性は感じている.
- 中高生向け
- 専門的な物理・数学
コンテンツだけではなく, これらのページにも物理・数学の展望を書いているので興味があればぜひ眺めてほしい. これ以外にもメルマガ登録特典として参考文献集+内容紹介リストも配布している. 他にも YouTube でいろいろな動画シリーズを作っている.
- チャンネル登録
- リスト: 数学・物理・プログラミング
- リスト: 解析学入門
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- リスト: 線型代数と情報理論 符号理論に出てくる謎の線型空間と位相・距離
- リスト: アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会
- リスト: 物質の安定性
- リスト: 量子測定理論
リアルも大事¶
いまコロナで止まっていますが, 去年から地元レベルのリアルでの実験をしたいと思って実際に地元の区の政治家・行政に働きかけたりもしています.
いまは新型コロナで厳しくなっているが, リアルで密な関係を育むことはとても大事だと思っている. いますぐに動けないからこそいろいろ準備をしている. 例えば中高生向け数学・物理・プログラミングコンテンツや, プログラミング学習でどうしても必要になる英語学習コンテンツを整備している.
あと, さっきの PDF は, ネットはネットで大事ですが, 全国各地, 津々浦々のリアルにそういう相談ができる人がいるべきだと思っていて, そのリアルを育てるための企画という側面があります.
ちょっと話がずれますが, AKB の「会いに行けるアイドル」で「会いに行ける研究者」概念は結構重要で, オンラインではなくリアルで集まるというのに素朴な価値はいまだにあると思っています. 旅行かどうかみたいなのはまた別の話で.
私が観測しているネットビジネス系のオンラインサロンも, むしろオフ会での価値を非常に重視しています. ネットの権化のような人たちなのですが, 一歩踏み込んで深いことをしようと思うとリアルがいるという. よく合宿をやっています.
さっきの PDF でもリアル (地元) を大事にしたのはこの側面があります.
(職業に関する) 知っているか知らないか問題¶
https://twitter.com/rikei_hayanon/status/1305630231772852224専門書という概念をよく知らなかったので探す発想さえないのが問題です.
コンテンツの提供形態¶
メルマガ読者で動画だと自分のペースでやれない, テキストがいい派もいるので, いろいろな勉強の仕方に合わせたコンテンツ提供が大事で, ワンソースマルチユースできる形で作って配布もそうするのがいいのだろうという気分はあります.
コンテンツ販売よりも, コンテンツ自体は無料にしておいて, それを使って勉強会をする方を有料でやる, みたいな形がいいとは思っています. 課金スタイル・金額はいろいろ調整必要と思いますが, 一人でやりたい人は勝手にやって, 一人でつらい人はみんなでやろうという勉強会スタイル.
ネットで情報発信するうえでその道できちんとやれている人の話を聞くのがいいだろうと思い, 世間でいろいろ言われているネットビジネス系の人たちのコンテンツ買ったりセミナーいったりしていろいろ勉強してきたのですが, 一番参考にしている人たちが最近割と「コンテンツ無料, コミュニティ参加で体験・共有に価値を置くスタイルでコミュニティ参加に毎月 2000 円」みたいなことをやっているので, 時代がそういう方向に動いているという気はします.
いわゆるオンラインサロンですが, ああいうのの数学版・物理版・プログラミング版みたいなのはもっといろいろあっていいでしょうと思っています.
詳しくないことはオンラインで相談して, 詳しい人の意見を募る形にすればいいので.
これ, 数学・物理・プログラミング以外だとどんな人に何をどう相談したらいいかわかりませんし, そういうのは大学内部でさえまるでできていないと思うので, アカデミックな知見を持つ人が緩く集う場所を作ろうというのは 1 つあります. Twitter はある意味そんな感じですが.
そこの仕組みを作りたいので, 価値のあるコンテンツは売りましょうスタイルを実験しているという気分です. まだいろいろやる必要があり, 実際にそんなに売れているわけでもないので.
まさにそこも本当にずっと言われていて, 何を軸にして集まるか, 共通言語が何かと言えば提供しているコンテンツで, その理解の深さがそのまま絆になるという話をずっと聞いています.
前, 何かの案内ページに書いたのですが, すでにコンテンツ・書籍を持っている出版社が「本はただで提供する代わりに毎月 2000 円で勉強会に出られるサービス」みたいなのがあれば, サブスク的に継続的な収益の見込みが立つので経営も安定するしニーズもあるしでだいぶいいはずなのですが, そういうのが出ないですね. 一度読んでも忘れるので, 同じ本・内容の勉強会であっても何度も出席する価値が出ます.
勉強会スタイルもいろいろあって, 例えば人それぞれの悩みを持ち寄って, それを話してもらい, 集団コンサルみたいにすることで自分でコンテンツを作らなくてもいいというスタイルが 1 つあります. コンテンツ提供スタイルでは「受講者の状況に合わせて臨機応変にコンテンツを作る」という名のもと, 本のように全部作ったうえで提供するのではなく, 通信講座的に少しずつ提供していくスタイルがあります. これ, プログラミング系では Manning の MEAP というのがあったりもします.
私も今実際に英語のコンテンツについてその内容をもっとよくしたいので教えてくれ形式の勉強会をしていますが, これも勉強しつつ作りつつで進めています.
実際に私が受けた集団コンサルスタイルは, ビジネス系のコミュニティで, 各人各様の問題があるので, それを各人発表していま抱えている課題を主催者がコメントしていくというスタイルです. 数学・物理でいうなら本の輪読みたいな感じだと思っておけば. 各人がこの本を読みたいと言って読んできて, 詰まった部分をよく知っている人が「これはこうで」というようなのをビジネスでやる感じ.
大学の教育方針に対する問題¶
学部どころか大学院でさえもはや博士に行って研究者になる人だけの専売特許ではないのに, それが前提の教育スタイルがいまだに続いているのが問題という話だとおもっています.
他のコンテンツ案¶
まずはふつうにこの辺の話を対談的に話す動画作って, いろいろな意図を紹介していくだけでもそれなりに意義はあるのではないかと思います. 思っていることをきちんと形にするのは大事なので.
あとは勉強会などでも同じなのですが, 「こういうことを考えて実行しているのが一人ではない」というのも結構大事です.
あと, 今パッと思いつきですが, 「現役物理学者から物理を教わろう」ではなく「現役物理学者に数学を教えよう」シリーズみたいなのがあっても面白いとは思います.
どちらかというと学生向けですが, 現代数学観光ツアーで, 物理・量子力学のための関数解析みたいな話をしているので, その辺を改めて整理するついでに何かやるというのは割と手間なくできます. 現代数学観光ツアーと題したコンテンツ, 600 ページくらいあるので.
計算系コンテンツを作る理由¶
理屈が何一つわからなくてもとにかく計算ができるようになれ, というのは私も学部で叩きこまれました. 結果がおかしい場合は物理的に結果が変なのでそこでリジェクトという荒業が使えます.
理屈の理解がガバガバでも物理の数学をやっていけるからくりを紹介・公開するのもいいかもしれないという話も出た.
ガバガバなのも理由があって, きちんと詰めると一気に数学の勉強を超えて研究になるから気にしたくない人は気にするな, 気にしたい人は諦めて数学をしろ, というのもちゃんと悦明した方がいいと思っています.
「こまけぇことはいいから計算しようぜ」というとき, 数学サイドの数学, 物理サイドの物理からも「いや, それは無視しちゃダメな細かいところでしょ」事案があるので, そういうのはきちんとやりたいと思って力学の計算コンテンツを作ったりしています.
物理学者に数学を教えようシリーズは明らかに異様で, かつ私の方はいろいろコンテンツあるので割とすぐに実現できます. 変なことをやっているのがいるなアピールはできるでしょう.
あまりいないタイプの人材っぽい話¶
物理学科の 3 年, 数学科の 3 年くらいの話ですでに両方, 最低限何となくでも埋められる, 少なくとも独学できるという人材自体がレアっぽいので. 大学には多少いても社会にはいないタイプという感じもあります. これに最低限プログラム書けるとなるとさらにレアキャラ度が増すようです. 物理とプログラミング, 数学とプログラミング, 物理と数学ならいても, 3 つそれなりにこなせる人間というのがほとんどいないという.
幾何の勉強がつらい¶
幾何系, とにかくロストテクノロジーというか古い本にしか書いていないのが多くて勉強しづらくてうんざりします.
これがあるから「微分幾何とその計算」と題したシリーズでいろいろ作っている.
ミルナーのモース理論もちょっとした命題が軒並古い論文参照で勘弁してくれと思って途中で放り投げました.
トポロジー回りは本当に魔界ですね. 関数解析とはまた違う趣があります. 関数解析だとまずノルムを入れて収束制御したいところから始まるので.
集合・位相が持つハードル¶
It's greek to me 的に集合・位相による言語の壁が厚い印象があります. 本質的に同かはともかく, 精神的なハードルの高さが尋常ではないという意味で. 「これ, 俺の知ってる数学じゃない」という.
私は集合・位相の壁を学部一年の必修の講義で叩きこまれて楽しんで乗り越えたので, そこが決定的な違いだと思っています. あと, 早稲田の物理の学部一年で物理学研究ゼミナールという説明しづらい講義があるのですが, そこで拡散方程式を解く中でヒルベルト空間やら何やらに触れて, 今から見ればこのセットが勉強・研究の流れを決定づけたので.
学部の教育, 訳が分からないときに必ずしも面白くもない話を一通り叩き込んでくれるので, あとで勉強するときさらっと確認するだけでも相当楽になるのですが, 非専門だとその面白くない話を独学で埋める地獄があってつらい事案がよくあります.
ノルムだと代数・位相の連携によってかなり事情がよくなる気分があるので, 代数が入らない距離で商と位相の相性が悪いのは重要な指摘と思います.
理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第 1 回を終えて¶
理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第 1 回¶
先日別の記事でアナウンスしたように, 「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」を立ち上げ, 2020-09-28 に初回を 1.5h 程度やった. (大したことではないが, 数学者が教えるというのでは面白みが全くない企画なので「誰が教えるか」を明示する企画名に微修正した.) これに関して次のような記録・報告をしてもらったので共有しておく.
内容としてはいつも言っていること, または必ずしも無料・オープンとは限らないいろいろなコンテンツで言ってきたことを改めてまとめたにすぎないが, それなりに喜んでもらえたようで何よりだ.
ここで話したこと・今後やっていくことに関して常々言っている傍証として以前のいくつかの連続ツイートを張りつけておく. 「物理学者はまじめに自学科の物理・数学教育をやる気があるのか」と言っているときに意識している話をこの「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」でコンテンツとして具体的に整理していく予定なので, もしあなたがこの内容に興味があるなら継続的にチェックしてほしい. 週 1 回メルマガ形式で YouTube にあげたコンテンツに関するアナウンスをしているので, 自発的にチェックするのが面倒ならぜひメルマガに登録してほしい.
物理学科の数学教育に関する連続ツイート集¶
数学の本のわかりづらさ¶
とりわけ物理の人間が勘違いしているのだが、数学科向けの数学の本は適切な水準の数学科の学生に向けて書かれていて、他の誰をも対象にしていない。他学科の身で「わかりづらい」というのはそもそも「お前は対象ではない」事案なので、あるなら物理の人が書いた本を読むか、我慢するしかない。
— 相転移P (@phasetrbot) January 29, 2020
数学科の学生が物理の本なり工学の本を読んでいて「数学的に厳密ではない」と言い出したら「国に帰れ」と言わざるを得ないだろう。「お前のための本ではない」と。それと同じなのでさっさと諦めて欲しい。諦めて読むのをやめるか、数学科の数学とダイレクトに戦うしかない。
— 相転移P (@phasetrbot) January 29, 2020
もちろんいつだって最終手段の専門家,友人との議論と、自分で本を書く手段は残っている。私のような市民ならともかく、大学生ならもう最終手段を取るしか、ほぼ全ての場合に道はない。はやく諦めて本を書け。
— 相転移P (@phasetrbot) January 29, 2020
具体例がほしい問題¶
具体例が欲しいとかいう話、どのくらいの本をどう読んできてどのくらい数学ができてどんな本を読んでいるかがまず真っ先に問題になる。https://t.co/1Zu7Yygtv4 の話。適切な具体例がたくさん書かれていても「抽象的で意味がわからない」となっている可能性がある。 https://t.co/F30mlA9Opm
— 相転移P (@phasetrbot) January 30, 2020
それを読むための基礎体力がないので、諦めて暴力的な基礎体力作りに励むしかない。基礎体力がなければもちろん数学科学生であっても読めない。物理の本でも最低限の計算力を少しずつ鍛えるのであって、いきなり量子力学や電磁波をやると計算量で圧死する。社会は厳しいのでもうどうしようもない。
— 相転移P (@phasetrbot) January 30, 2020
https://t.co/5W6CflAxvE このような具体例が構成されている。「線型空間のテンソル積と本質的に同じなので詳細は省略する」と環や加群のテンソルでやられるし、そこから同値条件だと言って普遍性に飛ばされたりする。「集合と写像という数学の基礎だから」と言われても応用系でやらないから即死もある https://t.co/o1L5PREGAZ
— 相転移P (@phasetrbot) January 30, 2020
数学を勉強するうえで物理なり工学なりへの応用事例が欲しいというの、端的にその専門家の怠慢だし、数学サイドにそんなものは見えるわけもないので専門家をきちんと突っついてほしい。無理に数学関係者にやらせてもピント外れなものにしかならない。
— 相転移P (@phasetrbot) August 12, 2020
こういうことを言う学生なり何なりを見ると、応用サイド、本当に教育をサボり切っているという感覚が強まる。
— 相転移P (@phasetrbot) August 12, 2020
数学と物理と具体例と数理物理: 統計力学を例に¶
統計力学で数学的にまともに解析できているのがスピン系とハバードくらいしかない厳しい事情を考えてもらうと、数学的に具体例を調べるのがどれだけ厳しいか物理の人にも通じるのではないか。そして線型代数と極限くらいしか道具がない世界がある。
— 相転移P (@phasetrbot) August 23, 2020
桂法称さんとか割と恰好いいことをやっている印象あるが、一方で原さんのような微分積分と線型代数と極限だけしか使えないハードアナリシスの修羅・権化のようなスピン系周辺の話もある。スピン系ならまだしも原さんのようなところに興味がある物理または数学関係者がどれだけいるか事案もある。
— 相転移P (@phasetrbot) August 23, 2020
数理物理といった瞬間に数学としても物理としても微妙だが、数理物理という文脈の中ではれっきとした意味を持つ、とかいう微妙な線も出てくるし、私が割とその辺なので、ほとんど誰とも興味関心が噛み合わないことまで織り込んで書いている。
— 相転移P (@phasetrbot) August 23, 2020
勉強するのは楽しくても研究となると本当につらいという気分なので、趣味人以外におすすめできない。
— 相転移P (@phasetrbot) August 23, 2020
数学の「具体例」の抽象性¶
数学で具体例が必要事案、何をもって具体例とみなすかがまず大問題で、多分初めのうちは線型空間に具体例がいるはずなのだが、そのうち別の概念の具体例として(抽象的な)線型空間が出てくるし、初学者にとって抽象的な例がある程度知っている人には手触りのある最高に具体的な例になったりする。
— 相転移P (@phasetrbot) January 29, 2020
当然、多段階で具体例を山ほど知っていることが前提になっている。数学的な段階を吹っ飛ばして本を読むと「この本を読む数学の人間ならこのくらい知っているだろう。そうしないとまともなページ数で本かけない」問題もあり、そこを飛ばしてアタックした他学科の学生は地獄を見るだろう。
— 相転移P (@phasetrbot) January 29, 2020
https://t.co/cGUaWKhHj6 「この証明ではテンソル積の具体的な構成を用いています」(そして現れる、バカでかい線型空間のバカでかい部分空間による商空間)
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) January 29, 2020
純粋状態と熱力学第 2 法則に関する論文 2 本: 田崎さんのと池田さん, 作道さん, 上田先生の共著の論文¶
本文¶
田崎さんの日記で表題に関する文献が紹介されていた. 非常に面白そうなのでシェアしておこう. 何より自分が読みたい. この 2 本だ. 田崎さんのは The second law of thermodynamics for pure quantum states で, 池田さんや作道さん達のが Emergent Second Law in Pure Quantum States. 池田さんや作道さんは一応知り合いなので聞けばいいという説もある.
まだ中身を全く見ていないが, 忘れないうちに読みたい. 田崎さんの日記からこれだけ引用して今回は終わる. 早く読みたい.
タイトルのとおりだが, 「量子力学の純粋状態から出発し, 量子力学の時間発展だけを用い, 熱力学の第二法則を導く」という大胆不敵な論文である. (普通のエネルギースケールでは) もっともミクロな量子力学を, 中間の統計力学の形式をすっ飛ばして, もっともマクロな熱力学と直結させようとしているといえば, 大胆さが伝わるだろうか?
続報: 勉強のための参考文献情報つき¶
以前, 田崎さんと池田, 作道さんらの純粋状態と熱力学第 2 法則に関する論文に関する田崎さんの日記を紹介した. そのあと Twitter でも教えてもらったのだが, この日の日記で田崎さんのが改訂されたことがアナウンスされた. というわけで早速読んでみた.
物理としては正直, いまだにさっぱり分かっていない. 数学としては非常に簡単なので, 多分学部 2 年 でも読めるだろう. ここで学部 2 年というのはこの 4 月時点での, という意味で書いている. 1 年生と書くとこの春からの新入生と思われてしまう可能性があるので, 2 年生とした.
数学としてはおそらくこれ以上ないほど簡単になってしまっているので特にいうことはなく, 物理としては全くピントが合っていないのでこちらも何も言えることはないが, 1 つタイポを見つけたので, それは田崎さんに報告した. タイポが見つけられる方の市民であった.
この辺, 興味があり折角なので, メールしたときに勉強用の参考文献を教えてもらった. 出しても問題ないと思うのでここでも紹介しておきたい. 田崎さんの The approach to thermal equilibrium and "thermodynamic normality" --- An observation based on the works by Goldstein, Lebowitz, Mastrodonato, Tumulka, and Zanghi in 2009, and by von Neumann in 1929 と Goldstein, Lebowitz, Tumulka, Zanghi らの On the Approach to Thermal Equilibrium of Macroscopic Quantum Systems, Canonical Typicality だ.
微妙に畑違いなので Goldstein は知らなかったのだが, 同じく微妙に畑違いといえども Lebowitz おじさんは知っている. 「おじさん」と書いたが, もう 70 とか行っていた気はする. とりあえず物理寄り数理物理の Ising 界隈では人類最強クラスの人間なので, この辺に興味がある人は名前くらいは覚えておこう.
ちなみに「物理寄り数理物理」と書いたのは, 数学の人が Ising というとき, 可積分系だとかその辺の数学的に格好いい話を想起するかと思うのだが, そういう格好いい綺麗な話ではなく, 死ぬ程泥臭い不等式証明とかそういう話, くらいの意味で使った.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 熱力学, 量子力学
統計力学は相転移を記述できるか: 佐々さんの日記から¶
本文¶
いつの間にか佐々さんが京都に移っていた, というくらいその辺の事情に疎い市民の私である. Twitter 上で回ってきて見かけて面白かった記述があったのでメモ代わりに記事を書いておく. 元記事はこれだ.
引用¶
昼食後の長い話の中で, でた話題はちょっと書ききれないくらい. 僕が知らない話もあった. 「「1937 年の会議で, 「統計力学が相転移を記述するかどうかを公に議論した. 挙手で決めれば, 半々くらいだった. チェアーのくらーまーすは, 熱力学極限の重要性をその時点で指摘していた」とそこに参加したうーれんべっくが言っていた.」.」とこーえんが言った. 他に, 非平衡熱力学をめぐる話, 流体方程式をめぐる話, 非平衡統計の話. . 基本的には, 「最近の研究に期待はするけれど, 警鐘をならしたい」というので一貫していた.
1937年時点での疑義¶
1937 年の時点でまだ統計力学が相転移を記述できるかが話題になっていたとのこと. (古典) 統計力学自体は 19 世紀最後の 4 半世紀にはあったわけだが, 統計力学と相転移の議論がこんなに最近 (!) まで議論の対象になるほどだったことに単純に驚いた. 南部さんの素粒子での相転移の議論が 60 年代にあったことを考えると, 30 年の時の経過を思う.
つどいでも少し関連する話をするつもりだが, 統計力学 (特にスピン系) でははじめ有界系で諸量を定義して, そのあと熱力学的極限とも呼ばれる無限体積極限を取る. 「連続関数の極限が連続であるとは限らない」という数学的事情を使って, 相転移をつかまえにいく. また相転移の熱力学的な定義は熱力学関数の特異性 (不連続性や微分不可能性) であったことを注意しておこう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 熱力学, 統計力学, 素粒子
佐々さんの「第 59 回物性若手夏の学校の講義ノート草稿の公開」¶
本文¶
第 59 回物性若手夏の学校の講義ノート草稿の公開: http://www.ton.scphys.kyoto-u.ac.jp/~sasa/public.pdf 時間と興味があれば, さっと読んで, 分かりにくいところや間違っているところをコメントください. (物語が下手くそなので直せ, といわれても難しいので, その場合は「改良版」をぜひ...).
これ読み始めると自分の仕事ができなくなりそうだ. なので最初しか見てないですが, いい感じです (しかし, 今の若者なら, 三つの熱力学本のいずれかを輪講してるんじゃないかな?). @sasa3341
あ, 「僕」は統計力学の教科書読んでくれてるんだ. 光栄. しかも, ちゃんと「田崎さん」と呼ぶということも浸透している. (けっきょく読んでいる). @sasa3341
@sasa3341 大変しょうもない指摘で恐縮なのですが, 何箇所か「カノニカル」の「ニ」が漢字の「二」になっています. http://twitpic.com/e3g65v
@Akimasa_K ありがとうございます! そんな変なことが起こり得るのですね. 全く気がついていませんでした. 全体をチェックします.
@sasa3341 些末なタイポの指摘で恐縮ですが, (25) 式下の $\epsilon=0.066$ は 0.66 ですね.
@tknbn え... これ, 実は, プログラムを書いて計算したのだけど, もう一回起動しても 0.066 になっていますが. . $2*1/ (273.15+20)-1/ (273.15+40)]/[1/ (273.15+20) +1/ (273.15+40)]$ ですよね?
@sasa3341 @tknbn 「20 $^\circ$ C と 40 $^\circ$ C」と書いたほうがよいのでは?
@sasa3341 あああ, , , すみません. アホなことをつぶやいてしまいました. . お恥ずかしい. . 忘れてください. .
@STakesue @sasa3341 はい. そこで勘違いをしてしましました. 逆温度でかつ絶対温度なのにそのままセルシウス温度を代入するという大バカなミスを. . すみません. . 忘れてください. .
@STakesue @tknbn ありがとうございます. そういうことか... 検索で調べたら, 20 度って結構あるのですが. 考えます.
読んだ読んだ. これは, 素晴らしい. まさに今しか書けない素材. これにリアルタイムで接した若者たちはプチ奇跡に立ち会えたとも言えよう! しかし, まあ登場人物の賢すぎることイーガンの SF のごとし. $\Sigma$ が出た後の展開は異常だけど, まあ, 世の中, 賢い人はいます. @sasa3341
@Hal_Tasaki ありがとうございます. 最後は正直ばてばてで, もう気力がなくて, スーパーサイヤ人化してしまいました.
「僕」と「 S 先生」の存在という意味でも『数学ガール』を正しく踏襲しているし, ラストもお約束だけれど, それはそれで大変によいです (好きです). (しかし, これを出しただけで, 当初の謎が解決したと思われても困るよなあ. 次章に期待だ). @sasa3341
まあ, ファインマンクラスの人が早熟なら, あれくらいやってしまうかもしれませんよ. 実は本家の『数学ガール』も必ず一気にブーストするところがありますよね. (ね, ミルカさん?) @sasa3341
@sasa3341 こんなに話口調でいいんですか? と思ったら論文じゃなかった…. はじめてみたタイプなので新しい感じがあって好きです
しかし, 万が一でも, ぼくも今年の夏の学校で話すことになっていたら, この予稿を見た瞬間に, うれしくて・悔しくて・愉しくて, 自分の予稿を没にして全部この手のフォーマットで書き直したりしたに違いない. そうならなくってよかった. @sasa3341
読み終わってからお風呂に入って反芻していたら興奮して来た! やはり不可逆性の問題は素敵だ (無限小でも, それに貢献できるとしたら, 本当にうれしい). 来年度の駒場の講義は (やるなら) 時間の矢で行こうかな. (心の) 若手を刺激する素晴らしい予稿です.
@sasa3341 大したことないことで恐縮ですが, p.5 の右側中央あたり 「熱力学的性質性質」と重複しています
@sasa3341 読みました. 物理は難しくてわからなかったのですが, ドキドキしながら読み, 学ぶ姿に学ばされました. ありがとうございます. 数学ガールの登場人物へのオマージュも感謝です
@gordon2040 ありがとうございます! 訂正します.
@hyuki うわ, ありがとうございます. 当然のことですが, 物語は数学ガールのパクリです. (知っている人には自明に分かることと思いますが, 解説冒頭に引用文献つけて補足します). 数学ガールがなければ, こういう物語による「大学院講義」の説明はなかったと思います!
@sasa3341 そのように言っていただけるなんて光栄です!
結局まだ PDF 読めていない. 途中だけ 2 段組にする方法, きちんと調べて自分の数学の本にも使おう.
ラベル¶
物理, 統計力学, 非平衡統計力学
立川裕二さん筋のツイート¶
2016-02-11 立川裕二さんのツイートをまとめた Togetter 「場の量子論の数学的定式化」とそこからの堀田さんとのやりとりまとめ¶
.@theorphys さんの「場の量子論の数学的定式化」をお気に入りにしました。 http://t.co/lgdy4s03fe
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
Togetterもまあ気になる. 特にこれ.
(ちなみに、形式的ベキ級数として数学的に正当化する、というのは、ようやく数年前に Costello によってなされて、本になっている: http://t.co/FPnRmix6eq)
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2015, 3月 5
追っていないから全くわからないが, 多少気になる.
それはそれとして, 私と堀田さんのやりとりメモ.
@hottaquこの辺の話でいつも思うのですが、非相対論的場の理論はどういう扱いなのでしょう。こちらは空間三次元のモデルである程度まともなのも何とかやれているのですが、相対論的というか超弦というか、数学的に格好いい方ばかり目立っている感があり、とてもつらいところです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
一昨年だかその前のサマースクール数理物理で河東先生が、AQFTもVOAも両方ともかなり一般性が高くて完全には対応しないのは明らか、作用素環からは何とか有理性が大事でこれがキーになるはずだが対応するVOAの概念が何かよくわかっていないとか言っていたがその辺の話だろうか。あとで読む
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetr厳密な数学的取扱いは知らないのですが、物理屋としては(より簡単な)相対論的場の理論をいつも背景に置いて、その理論の中での粒子の質量∞近似をとることで何が問題なのと思っています。非相対論的モデルはより基礎的な相対論的理論から導出されるべきという視点なんですが。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@phasetrただ数学的な難しさや非自明さは、物理屋のそのような"思い込み"とは独立だというのも認識しています。だから非相対論的な物理モデルをきちんと数学化する価値は高いですし、やって頂けるとありがたいです。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaqu論文読んでメルマガにも感想的なことを書くついでに何かまとめて書こうと思っているのですが、まず数学的にいうなら相対論は対称性の制限が強くて「厳しい」です。そのおかげでとりうる範囲が絞り込めて「簡単・単純」になるのだと思っていますが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetr同感です。=>RTまず数学的にいうなら相対論は対称性の制限が強くて「厳しい」です。そのおかげでとりうる範囲が絞り込めて「簡単・単純」になるのだと思っていますが
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@phasetrその制限を取り払ったときに出てくる数学的多様性には興味があるわけです。将来ローレンツ対称性が高エネルギー領域で破れていることもあり得ます。対称性は実は創発的であり、低エネルギーで近似的に存在する可能性も。そうだとすると対称性のないモデルの理解も物理として重要。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaquあと非相対論での紫外切断除去で時々問題として挙げられることで、紫外切断を除去して、元が非相対論なのに相対論的領域に突撃したりしないか、したとしたらどう扱うべきかというあたり、物理でどういう認識でしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetrこれは格子場の理論での回転対称性(ローレンツ対称性)のような例でも出てますよね。対称性は低エネルギー領域で創発するというアイデアは物理としても重要であると認識は広がっていると思います。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaquそもそも物理としてきちんと理解できていませんが、特に物性関係の、いわゆる階層性の話としてよりミクロの世界、相対論的領域には触れずに成り立つ部分は相対論の参照なく独立に切って考えられるはずで、「導出」を考えずに切り離した思考がどこまでできるかとか考えています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetr繰り込み群におけるユニバーサリティの思想ですよね。それは重要ですね。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaqu量子力学から熱力学を導くとか、そういうタイプの導出自体が激烈な難問だろうというのもありますし、いい表現かわかりませんが「(より)ミクロな世界を参照せずに上の層だけで閉じる理論を構築できるか考えよう」というモチベーションが私にはあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
とても面白いテーマだと思います。@phasetr
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
研究でもやりたいことがたくさんあるのだ.
2016-05-11 IPMUの立川裕二さんによる「研究と勉強ってどう違うのでしょう」¶
なんだか老害を発揮したい気分になったので、夕食後に「大学院での研究とこれまでの勉強はどう違うのでしょう」というような文章を書きました: http://t.co/hHjRPXUFui
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2014, 9月 29
いくつか引用.
また、理解したかどうか、というのは、心の奥底で深い理解が出来たか、ということではなくて、与えられた問題に対して、手もしくは計算機を動かして、答えが求められるか、ということです。まあ、深い理解が出来れば、計算も出来るでしょうから、計算ができないということは、深く理解していないということでしょうが。
とてもつらい.
また、理論物理をやっていると、使われている論理がいい加減だったり、もしくは、数学の専門書で使われている記法と異なるので、気になる人もいるかと思いますが、そこは(数学者にならないのであれば)我慢して進んで下さい。理論物理屋になって、同僚と会話するには、やはり適度にいい加減で、数学の本でなく理論物理の本で使われている記法を使わないと、話は通じません。物理と数学と勉強しているのは、中国語と英語と勉強しているようなものです。折角両方勉強しているのに、中国にいったときに、英語でばかり話をするのは、困ったひとです。
そんなに記法違うのか.
この場合はちょっと嘘を教わったのを明かされるまで数年ありましたが、似たようなことが繰り返します。半年前に習ったことが、実はちょっと嘘だった、本当はこうなのだ、と言われるようになり、場の量子論の教科書などになると、教科書のはじめの 1/3 ぐらいで学んだことが、つぎの 1/3 で実は嘘で本当はこうだ、と書いてあり、つぎの 1/3 で実はそれもさらに嘘で、本当はこうなのだ、と書いてあることはざらにあります。 なぜこんな事態になったのかはよくわかりませんが、事実なので仕方ありません。兎に角、書いてある議論をあまり鵜呑みにしない、あまり無理に変な議論を納得しようとしない。しかし、そこに書いてあることは計算できるようになる、という鍛錬が必要です。まあ、教科書だって人が書いているのですから、全般的に信頼してはなりません。
数学, 割とこういうことないので, とても勉強しやすい.
また、世間では学際とか、見識が広いことがもてはやされていていることもありますし、皆さん興味の広い人も多いですから、あれもこれも勉強したい、というのはあると思います。大学院に入るぐらいまではそれで全然構わないと思います。しかし、大学院に入ってなにか研究をしたい、という段になると、まずは、何か自分のやりたい研究分野で、最先端の論文が読めるぐらいにならないと始まりません。二つの分野を同時に勉強しようとすると、最先端に辿り着くまでの時間は倍かかります。一つの分野の中でも、さらに特定のことだけ徹底的に勉強することにすれば、先端まで来る時間は短くて済むわけです。
数理物理の厳しいところだ.
さて、この段階で何を具体的に研究したいか、テーマが決まっていなくても、幸い理論物理の論文は案外適当なので、論理にギャップがあることがしばしばありますので、それを埋めようとすることが出来ます。また、既存の論文の設定をすこし弄って、ちょっと違う状況にしてみて、考えるということもできます。これらは、別に大したことではありませんが、上の定義に照らせば研究と言えると思います。
数学だと例・反例を作るという本当に研究マターの仕事もできる.
私もがんばらねば.
2016-05-25 立川裕二さんの講演スライド: 「場の量子論の枠組みは如何あるべきか」¶
柏で「場の量子論の枠組みは如何あるべきか」という短い非専門家向けのトークをしたので、スライドをおいておきます: https://t.co/67qmnl8wanコメント歓迎します。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 18
@yujitachラグランジアンのない場の理論の"定義"って、普通どういう風にまとめられているのでしょうか。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 18
@hottaqu無いので困っています。共形場理論なら、演算子積展開が crossing symmetry がある、等通常ので良さそうな気がしますが、これだけの公理で前記「…」が示せるかは謎です。みんな使ってますが…
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 18
@yujitachスライドにいきなりラグランジアンのない場の理論が出てきてるので、それは素朴にどういう意味なのかなと思ったので。まだ誰も知らないとかでなく、その理論に対して本当にラグランジアンが存在しないことは証明されているのでしたっけ?(「そこから?」レベルですいません)
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 18
@hottaqu古典的ラグランジアンでは持ち得ない対称性を持つ場の量子論は幾つか見つかってます。三次元のN=8超対称共形理論は古典的にはBagger-Lambert理論の一種類しか書けませんが、量子論的にはもっといっぱいあります、ABJM理論でk=1,2にすると。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 18
@hottaquABJMのラグランジアンはN=6あるのですが、特殊な場合に超対称性が上がります。そういうときに上がった部分の超対称背景場を結合させようとするとラグランジアン書けなくなります。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 18
@yujitach引数が点粒子の座標xである場に対する古典論的作用が全く書けないということなんでしょうね。点粒子用の場だけではなく、もっと変な対象物まで持ち込めば古典的に作用が書ける可能性はないのでしょうか。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 18
.@hottaqu通常のスカラー、フェルミオン、ゲージ場では書けないということです。もっと変な古典場を入れれば出来るかも知れないのはその通りで、ラグランジアンが当然有るべきだという信仰を捨てられない同業者はそういうのを探す人も多いですが、個人的にはそれは囚われだと思ってます。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 19
@yujitach一般的には量子的な理論の"古典極限"でどんなものが残り、世界を記述するかという問題は、凄く非自明なんだろうと思います。単純に大きさを持たない点粒子だけが住んでいるのが「古典的世界」なのかという視点では、囚われと断じると面白い可能性をはずしてしまう気がします。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 19
@yujitach(と言っても、自分は手を動かして参入する意志はないので、分野外の素人が言うたわごとということなんですが。)
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 19
.@hottaqu「経路積分に入るラグランジアンに使うべき古典作用に現れる古典場」と、「量子系に古典極限を取ったときに何が出てくるか」、というのは、「古典」という字面は一緒ですけれど同じ保証は(特に普通のラグランジアンを持たない理論に関しては全く)無いと思います。ですから(続)
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 19
@yujitachLagrangian はあるけど Lorentz covariant には書けない、というのはどちらの例に分類されますか?https://t.co/F7mua19f5Hのイントロに色々書いてありますが。
— Ryo Suzuki (@suzuki__r) 2016, 1月 19
.@suzuki__rそれは古典運動方程式の対称性を全て明白に持った古典ラグランジアンが無いという問題で、関係あるものの多少異なる問題では無いかと思います。そもそも、いろんな言葉が未定義なので、将来見つかった枠組みを「ラグランジアン」と呼んで仕舞えば、どんな理論も
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@suzuki__rby definition で「ラグランジアンはある」ことになりますから、定義のはっきりしていない現状では、ある理論がラグランジアンがあるかないかというのは明確に白黒分かれた話ではないですし。色の濃淡はあるとはいえ。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@yujitach「古典運動方程式はあるけど量子分配関数が Lorentz covariant に書けない」という方が正確では。それでも 2nd-class constraint を課せば形式的に path integral できる、とも反論できるので言葉の定義が曖昧ですが。
— Ryo Suzuki (@suzuki__r) 2016, 1月 20
@suzuki__rうーん、量子分配関数自体は Lorentz(diffeo) covariant ですけど。量子分配関数をむりやり経路積分で書こうとおもったときの「古典作用」は covariant には書けません、というのが正しい主張かな?
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@yujitach話を戻すと、covariant Lagrangian の有無は古典極限が取れれば部分的に解決できる問題なので、ℏのない量子論を扱う方法を知りたいのが主目的な場合には二、三歩先の問題でしょうね。
— Ryo Suzuki (@suzuki__r) 2016, 1月 20
@hottaqu僕の言う「ラグランジアンを書くことに囚われた人々」は「古典極限をしっかり調べようという人々」とは一緒ではありませんので、悪しからず。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 19
@yujitachなるほど。理解しました。ありがとうございます。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 19
.@yujitach例えば古典極限はとれても、そこに現れる点粒子や他の謎の対象物に対するラグランジアンがないこともあり得るわけですね。その古典運動はどうやって記述されるのか は大変面白い問題だと思いますが、やっぱり古典作用が出て来るのが自然な仮説のようにも個人的には思えます。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 19
.@yujitach「古典極限をしっかり調べようという人々」には、その謎の古典ラグランジアンを見つけるチャンスがあるように思えて、頑張って欲しいなと分野外の人間ながら感じます。若手の人のなかでもっと興味を持つ人がいてもいいような。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 19
.@hottaquうーん、あり得るという以前に、ラグランジアンのあるQCDですら物理的な普通の意味での古典極限はハドロンの理論が出てきて、クォークとグルオンの古典運動方程式に従うものは出てきませんよね、それを見るには深部非弾性散乱極限を取らないといけないわけで。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
.@yujitachそういうことですか。こちらは低エネルギー領域のハドロンのカイラルラグランジアンのようなイメージでみてました。これはある意味、古典作用ではありますよね。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 20
.@hottaquだから、僕にはそれは自然な仮説には思えないのです。この話も、経路積分に使うべきラグランジアンと、古典極限を記述すべきラグランジアンは、区別しておいたほうが良いと思う、一理由です。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
.@yujitachなるほど、飽くまで(可能な)全てのエネルギー領域を記述できる経路積分に使う作用が見つけられていないということに力点があるのですね。低エネルギーでの有効作用の形とは別個に。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 20
@yujitachすみません。確認したいのですか、よろしいでしょうか。超弦からラグランジアンのない場の理論が出てくるような記述がファイルにあったように思うのですが、超弦自体はまだラグランジアンのない理論だと思うのでしょうか?
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 20
.@hottaqu超弦は重力を含むので僕の考察外です。とりあえずとしては勝手な外場としての計量と結合できる場の理論を考えたいが、重力自身を量子化を始めると枠組みがなにもわからないので。重力を含む理論としては超弦の作用は全時空でディラトンが弱結合なら(ほぼ)あります。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@hottaquでもそういう時は超弦からはラグランジアンの無い場の理論はでてきません。あと、ほぼある、といったのは、1. いろいろ技術的な問題があって書き下すのは難しく、昨日まさにそのテーマの博士論文の審査をしたくらいであるのと、
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@hottaqu2. 超弦の作用は存在するだろうときでも弱く背景依存して、固定した背景とそこからあまり離れていない時空しか記述できないらしいからです。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@yujitach行列模型としてのM理論とかはどうなのでしょう。この場合、作用は一応あるということですよね。背景依存性がやはり強いのでしょうか。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 20
@hottaquそうですね。「M理論の作用」「弦理論の作用」と言った際、現行では、少なくとも特定の状況では使える作用、という意味で、ノンラグランジアン理論が出てくるような状況には現時点では使えません。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 1月 20
@yujitachできる若手の人に残された問題は結構ありそうですね。若い才能にも、どんどん頑張ってほしいところです。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2016, 1月 20
話が相当ずれると思うが, 古典論でも運動方程式が書けて Lagrangian が書けない状況があるらしいのだが, どういう具体例があるのか, それをずっと知りたいと思っている.
2016-06-06 Togetter: IPMUの立川裕二さんのツイートをまとめた『場の量子論の数学的定式化』¶
IPMUの立川裕二さんのツイートをまとめた場の量子論の数学的定式化というTogetterがあった. Longoや河東先生の論文 From vertex operator algebras to conformal nets and backが引かれていて, これに関するコメントがいろいろ書かれている.
この河東先生の論文も読んでみたいしAQFTももっときちんと勉強したい. やりたいことたくさんある.
2016-07-21 立川さんツイート: 「ある巨大基数の存在に関する (数学基礎論屋的?) 直観から、組み紐群の性質が予言され、実際に証明されたとか」いう話¶
僕がよく言う「(僕のやるような)物理は、物理に対する直感的な考察から数学的予言を取り出し数学者に証明させる営みである」はあんまり他の人が言っているのは見たことがなかったのだけれど、論理学者(日本語では数学基礎論屋)の人が言っているのを見つけた(続く)
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 2月 14
これ https://t.co/GvjfWA5XpSのp.12。ある巨大基数の存在に関する(数学基礎論屋的?)直観から、組み紐群の性質が予言され、実際に証明されたとか。その巨大基数があるかはZFCから独立だが、それがあると思うと、ZFC内の性質が示唆されるということのようだ。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 2月 14
この pdf の一ページ目も凄い。 https://t.co/KHBMIMABPL
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016, 2月 15
謎の強烈な仕事だ. 立川さんも謎の情報をいろいろ仕入れてつぶやいてくれるのでとても楽しい.
立川さんの研究室紹介 YouTube がうさんくさくてとても素敵¶
本文¶
大学院説明会 大学院紹介 立川 2014: http://t.co/m0KVZGglXP@YouTubeさんから 昼飯後に視たが、手際良いランダム行列論の講義で面白い。ところで核でも統計力学でもランダム行列は使うので素論の大学院紹介になっているのか?
— 早川尚男 (@hhayakawa) 2014, 5月 29
@hhayakawaどうもありがとうございます。僕は素論をやっているのではなくて、僕にとって面白いことをやっているだけですので、学生さんも、僕の面白いと思うようなことを面白いと思うかたが入って来て下さればそれでいいのです
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 5月 29
@yujitachなるほど!それは大学院進学希望者への明快なメッセージです。
— 早川尚男 (@hhayakawa) 2014, 5月 29
立川さん, 本当に怪しくていい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 物理学者
研究者はもっと研究対象に対する個人的な感慨を公にしていってほしい¶
本文¶
立川さんのいい話.
自分の研究対象を何故面白いか、やるに値するか等を書類に書かされる度に思うのだけれど、あなた、恋をしているとして、どうしてその対象に恋をしているか、理性的に語れるわけがないでしょうと。理由をきちんと言えるような段階では、それは恋ではないし、研究ではないと言いたい
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 6月 12
以前他の研究者のかたと、研究対象に美を感じるかという話になって、物理理論に美しいという形容詞は当てはまらないと言って大反論したのだけれど、その後、一体どのような形容詞を使うと僕としてもっともしっくりくるかを考えたのですが、研究対象は性欲の対象であるというのが一番近い気がしました。
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 6月 12
人によってまたいろいろ変わるところだが, こういう個人的な感慨はどんどん公にしてほしい.
ラベル¶
物理, 数学, 数理物理
立川さんツイートメモとツイートから考えたもろもろ: 人間の直観なんて大したことはない¶
本文¶
面白かったのでメモ. 次のあたりの立川さんのツイート.
- https://twitter.com/yujitach/status/459336381244796928
- https://twitter.com/yujitach/status/459336755062112256
- https://twitter.com/yujitach/status/459338458138279937
- https://twitter.com/yujitach/status/459339005998276609
- https://twitter.com/yujitach/status/459339997376569344
- https://twitter.com/yujitach/status/459493078424776704
場の理論の勉強をはじめて, いろいろな概念 (仮想粒子等) の物理的意味を悩んでいる学生さんの tweet を見るが, そんな哲学的なことを悩むのは 30 年早いと言いたい. アインシュタインやボーアは偉大だから, 哲学的な考察から物理を引き出せたが, 普通はそうはいかない. (続)
自分は第二のアインシュタインだ, ボーアだ, と思うならそれも構わないが, 人間原理的に考えて, そんな確率はゼロでしょう. だったら, まず, 計算を出来るようになるのが先決でしょう. 年を取って, テクニカルな部分で業界に寄与できなくなったと思ったら, 意味でも考えればいいのだ. と僕は思います.
二十世紀はじめの物理の大革命がそれら哲学的嗜好のある偉人によってなされたせいで, 今にいたるまで相対論, 量子論の教科書のはじめが哲学色が強すぎるのは害悪だと僕は思う. 古典力学はわかりやすいが量子力学はわかりにくいなんてナンセンス! 現時点のデータで未来が全部決まっていると思うなんて
量子力学とおなじぐらい日常生活の常識に反するでしょう. 古典力学だって全然わかりにくい. 古典力学の教科書も哲学色が濃いものが多かったなら, トンデモさんも相対論と量子論だけを狙うのでなくて, 「ニュートン力学は間違っていた! 」とかいう本も沢山出ていた筈.
量子力学と相対論の教科書を, 古典力学の教科書みたいに単に事実を書くものに変えて, 一般向け解説でも, わかりにくいとか不思議だとか書かずに, あたりまえだと書くようにすれば, トンデモさんは撲滅できると僕は思います
@hottaqu プロの研究者や教育者が仮想粒子を量子揺らぎだと教えていればそれも問題だと思いますが. 仮想粒子は理論を摂動論で扱うから出てくるだけで, 全ハミルトニアンの固有状態でみれば単に $e^{itE}$ がかかるだけ, 計算上の手段に過ぎない仮想粒子を揺らぎだというのはナンセンスだ
少し話はずれるが, 古典論 (とりあえず相対論は除いておく) にも 結構面倒な部分はたくさんある. アメリカのマンハッタンへの飛行機突入とそのあとの 物体の落下に関する異常者の言動があるが, アレも非日常的なスケールの物理に対する 直観の効かなさに原因があるというのはよく言われている.
人類レベルで直観が磨き抜かれた専門家ですら 「きちんと調べないとわからない」と言って研究テーマにしていたわけで, 高層ビルレベルで既に人間の感覚は通じなくなる.
ラベル¶
物理, 古典論, 力学, 量子論
立川さんによる Strings 会議の講演者と講演内容の変遷を追うページ¶
立川さんによるページがご自身により宣伝されていたのでとりあえず私も便乗してみた.
過去の Strings 会議の講演者と講演内容の変遷と一望できるページをつくりました. http://member.ipmu.jp/yuji.tachikawa/stringsmirrors/statistics.html
どう見ると面白いのだろう. そういうのが少しあるだけでも門外漢には嬉しいのだが, と思ったところで, 自分もそういうのを作っていくべきなのだな, と思う方の市民であった.
谷村省吾さんが代数的量子論の本を出すとか聞いたので¶
本文¶
https://t.co/fvocaoAzEZ代数的量子力学、一応専門なのだがアレのメリットが未だによくわかっていない。量子統計など(無限)多体系であれば物理的に自然なよくやることをそのまま徹底させただけでメリットとかそういう感じは特にしない的な感覚がある
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 8
@phasetr特にしないというとちょっと表現アレだが、いつもやっていること(物性で電子系を考えるとき、電子単独ではなく電子-正孔ペアを考える(ことがある))を数学的にきちんというのに良い形と言うアレ。ちゃんとやると空間固定せずに表現を見るとした方が適切とかそんな感じ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 8
@phasetr谷村さんが何をどう書いたのかには興味があるので出たら読んでみたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 8
Perfect_Insider さんのツイートも引いておこう.
量子論の教科書の中には、ヒルベルト空間・状態ベースではなくて、代数的量子論ベースのものも一冊ぐらいあってもいいな、と思ったけど、そういえば谷村さん(.@tani6s)の『21世紀の量子論入門』の出版の話ってどうなってたんだっけ?連載が終了したから書籍化されると聞いたような。。。
— シータ(N-Shiraishi) (@Perfect_Insider) 2014, 5月 8
@Perfect_Insider『21世紀の量子論』の連載はとっくに終わって、出版社から単行本化の話をいただいております。原稿を手直したり、付録を書き足したりしているのですが、なかなか納得がいかずに時間が過ぎてしまいました。しかし必ず出したいと思っています。
— TANIMURA Shogo (@tani6s) 2014, 5月 8
@tani6sありがとうございます。では出版を期待して待ちます。
— シータ(N-Shiraishi) (@Perfect_Insider) 2014, 5月 8
作用素環というか表現論というか, そういうのを基本にしたときのメリット, 無限自由度にしたときの話しか知らないので, 量子論一般でのメリットとかそういう部分は知りたい.
ラベル¶
物理学, 量子力学, 場の量子論, 統計力学
田崎さんによる物理・数学での発表スライド作成指南¶
本文¶
【発表スライドについての最低限のルール】 学会や学内での発表会でのプレゼンテーションのスライドを作る際に守るべき最低限のルールをまとめた. 物理を念頭に置いているが, おそらく, ほとんど全てのジャンルに通用すると思う. http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/presentation/slide.html
関係各位はチェックしておこう.
ラベル¶
数学, 物理
Twitter まとめ: オーダー (桁) の物理 理科年表を君に¶
Twitter のやりとり¶
Twitter でオーダーに関する話を少ししたのでそれをまとめておきたい. この辺からはじまる.
物理の本, 「 (適当なパラメータのオーダに見当をつけて) この項は ドミナントでないので無視すると…」みたいなのわりとばんばんでてくるけど ああいうのを見極めてバシッと切り落とせる眼力がほしい
@hisen_kei 一つにはパラメータの取りうる範囲みたいなの, 具体的な数値としてきちんと把握する所からやるしかないのでは感. あと物理定数は, 少なくとも数値のオーダーは覚えておかないと
@phasetr ある項がこのパラメータとおなじオーダなので, というところからして「あー確かにそうだよなー」と感心するレベルだった 自分がやってる分野の物理定数とか特徴的な時空間のスケールの感覚を身につけるのは ほんと大切だと思います…まだ学部生なので今後に期待です
@hisen_kei 友人は学部四年になる直前の研究室配属時に, 物理定数をまるで覚えていなかったことをかなり強く指摘されたと聞きました. オーダーくらいも分からなくて今までどう物理やってたのと
@phasetr うっ耳が痛い… 卒論ではじめて, こういう物理の考え方を使うのちゃんと腰を据えて取り組んだという (学際的な学科の弊害)
川畑さんの Planck 定数話¶
どこか探し出せなかったのだが, 田崎さんの日々の雑感で川畑先生が講演中に Planck 定数の名前を忘れて冷や汗を書いたが, そのときにも Planck 定数の値だけはきっちり覚えていた, というエピソードがあった. 物理に限らないが, 理工学では関係する現象に関する色々な数値はきちんと覚えていないと話にならないという感覚は多分共通と思う.
MM2P あたりの話を聞いていても, 自分がやっている物質に関する情報, 特に実験で実際に触る数値はよく覚えている. 色々な物質の吸収スペクトルとか何とかのことだが.
電気抵抗率の Wikipedia¶
話は少しずれるが, 電気抵抗率について値を見ておきたい. とりあえず Wikipedia を参考にしよう. 当然物質ごとに違うし, 超伝導を考えれば分かるように温度でも大きく変わるが, 上記ページ内では上から下までで大体 25 桁違う. 大統一理論関係の定数のオーダー比較をすると, Planck 定数と万有引力定数のオーダーは大体 50 桁違うので上には上がいるが, 同じ物理量でも物質によって 25 桁の差があるというのはかなり大きな方ではないかと思う. うるさいことを言えば, 質量なども素粒子から天体まで入れれば相当の幅があるが, 電気抵抗率という身近な値で 25 桁が出てくるのはなかなか凄いことだろう.
理科年表を買おう¶
オーダーを見ているだけでも楽しい (と思える人はいる) ので, 暇なときには理科年表でも見ているくらいの癖をつけるといいかもしれない. 全く関係無いが, 高校 3 年のとき, ふと思いたって理科年表を買って毎日携帯していたことを想起した.
あの頃, 理科年表 (を持ち歩くの) が猛烈に格好いいと思ったのでそうしたのだが, 今思っても最高にクールな判断だった. 理科年表, 読んで楽しくインテリアとしても最高にクールなので一家に一冊常備したい. 携帯版と机上版とあるので両方お勧めしていきたい. 気になるあの子のデータがいつでも手元にあるという感動を君に.
ラベル¶
物理, 理科年表
原子結合の変化が可視化できたらしいがやはり数学がいいという結論になった¶
本文¶
「原子結合の変化」可視化に成功とのこと. 画像がリンク先にあるので見に行ってもらいたいのだが, 確かに何か面白そう.
科学者たちはこれまで, 分子の構造を推測することしかできなかった. それが原子間力顕微鏡 (AFM) を使うことで, 有機化合物を構成する炭素原子 26 個と水素原子 14 個をつなぐ原子結合のひとつひとつがはっきりと見えるようになった. 結合の長さは, 数ミリメートルの 1/1,000 万だ.
コメント¶
原子 1 個 1 個の制御もできるようになっているはずだし, 分子の構造くらい見えるようになっていてもおかしくない, と思わないでもないのだが, 原子の制御をきちんとできるのは固体か, と思えば分子の構造を見るというのはまた違う話か, とも思う. しかしこれグラフェンだし, 今まで何が難しかったのだろう.
何だかんだで物理学科だったわりにはこういう話さっぱりだ. 特に実験の方の話, あまりよく分からない. 超クールな実験の話は聞いていて格好いいと思ったりはするが, なかなか触れる機会もない. 何かこう, お金をかけて一所懸命すごいのを作って, みたいな話よりも, 斬新なアイデアでスパっと現象を切り出すみたいなのが格好いいと思うのだが, そういう話, 最近はあるのだろうか, とかいうことも思う.
あとこの実験, 「想定外の物質が 3 種類」でどうのという話があるようだが, その辺は何が面白いという話なのだろう. 根本的にこの論文は何が面白い論文なのかよく分からない. 「論文は 5 月 30 日付けで, 『 Science 』誌のサイトに公開されている」ということだがどこにあるのか分からない. あと論文自体は無料で読めるのだろうか.
実験業界の話, さっぱり分からなくて悲しみに包まれた. 実験, こう無駄に機材とか色々いるし, やはり理論というか数学はいいな, という結論にも達した. 物理などの理論だと結局自然と合わないといけないし, その辺どうにもならないが, 数学なら基本それ自体で正しいかどうかけりがつくし, とても気分がいい. 何かを確かめるのにも自然科学的な意味での実験はしなくてもいいし, 手際が悪い方の市民にはありがたい, というところで数学礼賛をして終わる.
ラベル¶
数学, 物理, 化学, 有機化学
Nambu-Goldstone ボソンに関する Watanabe-Murayama 論文の著者らによる日本語解説が出た¶
本文¶
以前 Nambu-Goldstone ボソンに関する Watanabe-Murayama 論文が話題になったが, その日本語解説が今月号の物理学会誌に載ったとのこと. 文章自体はここから落とせるようなので, 興味がある向きは確保されたい. 相転移と自発的対称性の破れに関して簡単な解説もあるので, そのあたりに興味がある向きは眺めておくといいかもしれない.
あと最後になるが, 正直なところこの話, 私はさっぱり分からないのでつらい.
ラベル¶
物理, 相転移, 自発的対称性の破れ
ケットベクトルとは何か--量子系の状態概念の数理¶
Twitterでのコメントをまとめておく. 本題は後半の方.
状態概念¶
ケットベクトルって数学的に問題なく定義するにはどうすればいいんだろ
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) March 7, 2020
ケット自体は単にヒルベルト空間、特に適当なL^2の元で、一般に物理の人がいう |x>やら何やらが超関数でふつうのL^2には入らないのが問題です。数学または数理物理サイドで超関数が必要な時にそのまま超関数を使う人もいます。続
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
作用素環では大まかにいうと波動関数Ψからψ(A)=<Ψ|A|Ψ>として(作用素環の意味での)状態ψを作っていて、量子力学のレベルだと多分それほど大きく変わらないか、むしろ面倒です。場の理論まで行くと発散の処理で色々あって概念操作の上では作用素環が楽です。
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
コメントありがとうございます。デルタ関数がでてきそうなところで厳重な取り扱いが必要そうな感じなんですね
— Yuki Nagai (@cometscome_phys) March 7, 2020
指数関数もフーリエ変換すればデルタ関数なのでデルタ関数といえばデルタ関数ですが、要は普通に物理の人が議論する対象がやたら特異的でとにかくその処理が大変です。e^ikxも箱に閉じ込めておけば普通のL^2関数ですが全空間ではL^2に入らない、というタイプの特異性もあるので。
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
あと状態がらみでいうと、量子統計で密度行列とトレースで平衡状態を書くのがそもそも駄目です。トレースが取れる作用素は固有値(スペクトル)が離散的でなければならず、一方で大抵の連続系のハミルトニアンは連続部分を持つのでその時点で破綻します。
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
(連続系の)量子統計は物理でのスタート地点から数学的に破綻していて、いまだにそれを埋め切れていません。どのくらいひどいかというと、量子統計系のハミルトニアンの自己共役性を示すだけでも論文になるほどろくな議論がありません。
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
場の理論の発散周りの処理でもdressed particle の状態がどこにあるかが割と問題で、モデル依存で色々あることも分かっています。QEDだと居場所自体は素直である(らしい:難しくて論文読めなかった)一方で、フォノンとの相互作用系だと居場所特定自体がつらいとか。スピン-ボソンでさえ難しいです。
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
物理と数学と工学と: 壮絶なコミュニケーションギャップ¶
物理にまつわる数学はまず物理の人が言うことを数学的に意味を通すことが厳しく、意味を通すのがきちんと定義すること・存在を示すことのレベルからしてすでにに厳しい。それで本当に論文になるし、数学的にすでに面白い(と私は思う)ので、
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
物理からすると「数学は何をしているのか」と思うかもしれないが、物理はそのくらい常に数学的に筋が通しにくいことばかり言っている。工学は物理でさえ筋が通らないことをいうので、コミュニケーションギャップは常に厳しく、またげる人材は特殊能力者だが、特に望まれているわけでもない厳しさがある
— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
空気抵抗の考察と物理での理想化問題: 久徳先生のask.fmから¶
URLは次の通り.
面白かったので記録として引用. 全部引用とかいいのかな? と思わないでもないが, ask.fm消失時に悲しみに耐えるための処置とする.
もとの質問はこれ.
高校物理では、空気抵抗を無視する、など理想化して問題を解かされますが、現実に沿った設定の問題を考えるのは誰がどういうときしてるのでしょうか?
久徳先生による回答は以下の通り.
空気抵抗くらいであれば高校物理でも気の利いたカリキュラムならやるし、また大学の力学では割と扱われることの多い題材に思えます。 それはそれとして、ちょっと文量を使ってもいいかなあと思ったので徒然に。 (他の学問でもそうなんでしょうが)少なくとも現状の物理で問題を扱うときに、恐らく全ての場合で何らかの理想化は入っているはずです。 あるいは、どこでどういう理想化をするかの選択こそが物理のセンスなのだと思っています。 空気抵抗を入れるならどうやって入れるかというところも、どういう理想化をするか(モデルを入れるか)が問われる場面です。 例として出ていたのでそのまま使うと、身の回りで空気抵抗を無視できるかどうかというのは結構シビアに問題依存ですが、なぜ空気抵抗を考えたいのか/考えたくないのかというのはその話とは別の問題という場面が特に勉強の段階では起こります。 真空中での物質の運動を知ることを通して力学現象の基本的な性質を理解したいから抵抗はいらないのか、それとも抵抗や散逸という現象自体を理解したいから抵抗を入れるのか、など考えている段階によって当然考えるべきことは変わってきます。 その意味で、空気抵抗を無視するという理想化は、それ自体が物理を理解するために本質的に重要なステップでありえると思っています。 そういう勉強の話でなく、応用のために我々の身の回りでの物質の運動を知りたい場合なら、抵抗を入れること自体という前に抵抗が効くのか効かないのかの定量的な判断をすることが重要になるので、まず抵抗の大きさを見積もるなどしてみて、その上で空気抵抗を入れる必要があれば入れることになるでしょう。 具体的な実験の際や(大雑把だけど)工学など何かを設計する際には、空気抵抗の影響は当然考える必要がある場面も多々あるでしょうが、その場合はもっと色々な効果についてこれは入れる、これは入れないなどの判断をしているのだと思います。 もっとも理論計算でも入れる物理の選択という意味では概ね同じですが。
研究という意味でふだんこういう定量的な検討をまずやらないので反省した.
沙川貴大, 上田正仁『Maxwellのデーモンと情報熱力学』¶
もうツイートした人がアカウントを消してしまい, いわゆる正規の形でのTwitter引用はできないのでふつうの引用スタイルで.
おもろい | Maxwell のデーモンと情報熱力学 http://cat.phys.s.u-tokyo.ac.jp/publication/Suri_Kagaku_Final_Version.pdf
沙川さんと上田先生(何となく先生づけしてしまう)のPDF. この辺もやってみたいと思いつつ全く何もできていない. とりあえずメモ.
沙川さんというと久保亮五記念賞の講演会でいろいろ質問して, 講演後も気になったことがあったので追加質問したときに, 「お名前伺ってもいいですか?」「いわゆる相転移Pです」「ああ」みたいなやりとりをしたことを思い出す.
沙川さんは以前Twitterをやっていて, ちょっとだけやりとりしたことがあったのだ.
最近全く研究できていなくてよくない. 研究したい. 頑張ろう.
谷村省吾『量子論における超選択則の力学的起源とカラーの閉じ込め』¶
じょぉじあい読んでたら超選択則という用語が出てきてナンジャラホイと思って調べたらすごく面白いPDFを見つけ言いふらしたくなったのでリンクを張ります 自己共役演算子が物理量に対応するための必要条件に関する仮説について議論しています http://t.co/fvrSS5ForE
— 半丸ぷ物 (@Sangyoh_sus) 2014年2月1日
谷村省吾さんの『量子論における超選択則の力学的起源とカラーの閉じ込め』という文章だった. 測定関係も面白そうと思っているものの, 全く何も勉強できていない.
小嶋先生のmicro-macro dualityもちゃんと勉強したいと思いつつ, まるで何もできていない. 悲しい.
『江沢先生の先生に遭遇』: 記事紹介¶
江沢先生の先生に遭遇 : Hard To Make A Stand - 磁性研究者の研究日誌 - http://t.co/RFx3ji5Fhd
— Koya *WAY* SAITO (@koya3110) 2014年2月1日
俺達の江沢先生. 私には新井先生との共著, 『量子力学の数学的構造』と『場の量子論と統計力学』が印象深い.
特に前者は学部 3-4 年のときに一所懸命読んだ. 後者はいまだに読めない・読み切れない.
算数が『初等魔法学』なら物理は何だろう?¶
うちのオタ長女に算数から繋がる化学、物理、生物のさわりを教えて「だから算数は『初等魔法学』と考えろ」って言ったら勉強しだしたから、なんでもものは言いようだな。ちなみに国語は『初等古文書読解学』、英語は『初等異民族研究学』です。
— chodo (@chodo) 2016年9月21日
見せ方が大事なことを学んだ. これは教訓としたい.
2016ノーベル物理学賞「トポロジカル相転移」の公式解説: 専門家から見てもかなり面白いらしいので¶
さっきのRTで出てきたノーベル物理学賞の解説、ざっと読んでみましたが、https://t.co/9jdHdt5mRS
— Shu Tanaka (@tnksh) 2016年10月4日
の最後の章も興味深い。
王道すぎるノーベル賞であったことを再認識しました。
@tnksh量子シミュレーションの章ですよね。エスリンガーやブロッホの光格子の研究が引用されてて熱いですね。
— Makoto Negoro (@makoto0218ne56) 2016年10月4日
自分の専門もかなり近いところだし, 何とか時間を作って読みたい.
谷村省吾さんのスライド「きちんと理解するのは意外に難しい潮汐力」¶
おもしろい>潮汐力 https://t.co/GVpnHaZ7Tq
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2016年11月4日
確かに面白いのだが, これ, 序盤で次のように出てくる.
地球物理・惑星物理の専門家にとっては完全に解決されている問題なのだが、門外漢たちが何度も誤解を蒸し返しているのである。
この話が中心になるのかと思っていたら, 物理の人間からの考察がメインで, 「いや, 完全に解決された視点で話した方が速くて正確なのでは」という気持ちになった.
こういうコンテンツももっと出した方がいいのだろうな, という気はしている.
「物理学を買えた二人の男」¶
1879年11月5日,イギリスの物理学者マクスウェル歿.ファラデーによる電磁場理論をもとにマクスウェルの方程式を導いたことなどで知られます.二人が作り出した「場」の理論は現代物理学の基礎というべきもの.その道程を描く1冊がこちら.☞ https://t.co/ga68QP8vVHpic.twitter.com/lHoDaPay9e
— 岩波書店 (@Iwanamishoten) 2016年11月5日
科学史系のコンテンツを充実させたいと思っているのでとりあえずメモ.
Keith Moffatt, Rattleback Reversals¶
早川先生紹介のスライド、すごく面白そう。Moffatt先生といえば、「茹で卵を回転させると立ち上がってジャンプする」現象を解析的に解いた下村裕先生に、この問題を示唆した方である。冒頭に、立ち上がる卵とラトルバックの関連も出てくる。 http://t.co/cjg8k89pvr
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013年12月28日
解析的に解くというジャーゴンがふと気になった. 何はともあれ記録.
熱エンジンの効率を最大限に上げると出力がほぼゼロになることを証明, Shiraishi, Saito, Tasaki, Universal trade-off relation between power and efficiency for heat engines¶
慶應大ら、熱エンジンの効率を最大限に上げると出力がほぼゼロになることを証明 ~熱力学に新たな原理が付加 - PC Watch https://t.co/3S3rahorBTなんか、絶対に批判されたくないならチラシの裏にでも書いて黙っとれ、みたいな感じある(全然違う)
— Piro/「シス管系女子2」発売中! (@piro_or) 2016年11月1日
いろいろとアレだが文章引用.
古くから推測されていた熱エンジンと効率向上と出力の大きさとの間にはトレードオフの関係があることが慶應義塾大学理工学部の齊藤圭司准教授と、東京大学大学院総合文化研究科白石直人氏、学習院大学理学部の田崎晴明教授らの研究グループによって証明された。
火力発電所の発電機のように、高温の物体から熱を受け取り、それを電気のような「使えるエネルギー」に変える装置を一般的に「熱エンジン」と呼ぶ。高温の物体から受け取った熱エネルギーのうち、どれだけ利用できたかの比率を「効率」という。この効率には、原理的に超えられない「カルノー効率」という上限があることが分かっている。一方、発電機では、効率だけでなく「何Wの電力が発電できるか」という「仕事率」が問題になる。
カルノー効率が達成されると、効率は上がるが、トレードオフの関係で、同時に仕事率がゼロになることが漠然と予想されていた。しかし、従来の熱力学には動作時間という概念が組み込まれていないため、仕事率を解析できず決定的な答えを得られていなかった。
確かによく言われる準静的過程で説明される話を真に受けて, そしてそれしか最大効率達成法がないのだとすれば気分的には十二分にありうる話だ. 量子論的にはどうなのだろうとかいろいろ気になることはある. 楽しそう
論文(プレプリント)これっぽい. 読んでみよう.
『一般的な熱エンジンについて、「効率を高くしようとすると不可避的に時間当たりの出力が小さくなってしまう」ことを、定量的で厳密なトレードオフの関係を新たに証明することで、理論的に明らかにした』 / “一般の熱エンジンの効率とスピー…” https://t.co/48CqAQICL5
— どせい (@xr0038) 2016年11月1日
「プレスリリース全文」がポイントを押さえており門外漢にとっても分かりやすかった
— どせい (@xr0038) 2016年11月1日
やっぱりちゃんとプレスリリースあった.
2016年のノーベル物理学賞のどこがすごいのか? - 田崎晴明|WEBRONZA - 朝日新聞社: 記事紹介¶
第一線の研究者による物理愛のこもった解説→今年のノーベル物理学賞のどこがすごいのか? - 田崎晴明|WEBRONZA - 朝日新聞社 https://t.co/RH2iTtS6ph
— 高橋 真理子 (@marikotkhs) 2016年12月2日
ログインなしでは途中までしか読めなかった.
もう試してすらいないが, 報道各社のログイン, やたらたくさん情報を入力させるので本当に登録が面倒で, それなら記事なんて読めなくて構わないと思わせるのに十分だった.
こういうので情報取るのはいいとして, その情報を有効活用しているのだろうか?
新聞社とかIT死ぬほど弱いイメージしかないが実際のところはどうなのだろう?
物理の話を書こうと思ったのに一瞬で心が折られたことを記録する.
Kazumasa A. Takeuchi $1/f^{\alpha}$ power spectrum in the Kardar-Parisi-Zhang universality class¶
新しい論文です。https://t.co/ILsQjGSur2
— 竹内一将 (@oh_la_la_kazz) 2016年12月2日
KPZの1/f的ゆらぎについて。1/f^a型パワースペクトルが出ることは不思議でも何でもないのですが、最近出た拡張版Wiener-Khinchin定理を使うと、定常KPZの普遍的性質が調べられることがわかりました。
KPZは置いといても、パワースペクトルを各種指数で特徴付けるやり方は、1/f的ゆらぎが出さえすれば使える方法で、意外とご利益があります。スケール不変な系なら、拡張WKでもう少し細かな性質までわかる。なので、論文はKPZの非専門家にも向けていて、知識ゼロで読めるように書いたつもり。
— 竹内一将 (@oh_la_la_kazz) 2016年12月2日
しかし、自分が「1/fゆらぎ」をテーマに論文を出すとは思いもしなかった。M1の頃、初めてこの言葉を聞いて調べてみて、この論文(?)が出てきたときの衝撃は忘れられない。。https://t.co/Xs7LHNhaDH
— 竹内一将 (@oh_la_la_kazz) 2016年12月2日
それ以来、僕がこの言葉に持つイメージはご想像にお任せします。
KPZ, 名前しか知らないといって前にも調べた気がして, そしてまたすっかり忘れている. とりあえず Wikipedia をぺたり.
最近全然研究していない. 悲しい.
あと何かここで論文が読めるらしい.
J. Stat. Phys.に論文を出版したら、出版社からシェア用のリンクが送られてきた。https://t.co/sCwFpIrOwfリンクさえあれば、購読なしで誰でも論文が読める、面白い試みだと思う。Springer-Nature系の論文誌なら同じサービスが受けられるそう。
— 竹内一将 (@oh_la_la_kazz) 2016年12月5日
いつまで読めるのだろう.
元素の存在に関する原理的な限界と物質の安定性¶
元素って頑張ればいくらでも元素番号が大きいものがあるのかとかつては思っていたが、人間の能力によるのではなく原理的な理由による「最後の元素」というものは存在するだろうとされているらしいhttps://t.co/fOzPprrl8h
— シータ (@Perfect_Insider) 2016年12月1日
Wikipediaからちょっと引用しておこう.
ウンセプトトリウム(unsepttrium)は、原子番号173にあたる未発見の超重元素に付けられた一時的な仮名(元素の系統名)。理論上存在しうる最後の元素とされている(174番元素以降になると、1s軌道の電子の束縛エネルギーが電子-陽電子の対生成に必要なエネルギーを超えるため。)。
理論上、原子核を点として扱うディラック方程式では陽子数137を超えると虚数解となって式が成り立たなくなる。
これstability of matter事案なのだろうとは思う. Stability of matter, 学部の頃からずっと興味あっていまだにきちんとやりきれていない. 無料講座開講にかこつけてきちんと勉強し直すという最強のライフハックも検討している.
講義中の証明通りにやらないと零点にさせられたことで湯川秀樹は数学への道を断たれたという凄惨な話¶
数学の先生が、授業の通り以外の解答を認めなかったので、数学やめた湯川秀樹。
— 三好 真 (@344Makoto) 2016年1月7日
(湯川秀樹・旅人より) pic.twitter.com/71RRtV7gQL
あまりにもむごいとしか言い様がない. 後に湯川秀樹がノーベル賞を取ったとかいうのは何ら関係がない.
教わった通りにしなければ駄目という人達, こんな惨い仕打ちをしようというのか.
ただただ許せない.
madnodaさんの次のツイート群を目にした.
図書館より予約していた湯川秀樹著「旅人」借りた
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月18日
角川ソフィア文庫版P189が問題箇所
前後を見ると、この立体幾何学の教師の実名は載っていないが、いかに教師として問題だったかと言う事が判る
才能ある若者を『数学』に対し幻滅させたのが、その教師の責任であることは間違いない
実は湯川秀樹著の「旅人」を読み始めたのは学校の教師の問題を考えたからではない湯川と朝永振一郎の二人が中学・高校・大学と同じ学校の同級生だったということに以前から興味があったからだ(厳密には湯川の方が一つ年下で、飛び級で途中で追いついた(続く
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
@madnodaこの二人がそろってノーベル賞をとるような偉大な物理学者になったというのはなぜだろう可能性は3つ
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
番目が単なる偶然
2番目が一方がもう一方に刺激を与えた
3番目が学校の中に偉大な指導者となる先生がいた
と言う可能性があると考えた(続く
@madnoda1番目の偶然であるが、同じ学年には当時の日本には5万どころか100万位の学生がいたはずで、後にノーベル賞を取る2人が偶然、同じ学校の同級生のなるということは、それこそ宝くじよりも確率的に少ないので考えにくい(続く
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
@madnoda2番目と3番目のいずれか、もしくは両方が起きた方が有り得る話だ
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
2番目であろうが3番目であろうが、大正末から昭和頭にかけて、科学として理想郷のような学校があったのだろうか、と以前から考えていた(続く
@madnodaところが、湯川自身が書いた「旅人」の中に、頭の硬い数学教師により、湯川が数学の道を捨てたと言うことが書かれてると知って、その本が読みたくなった
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
まだ、読み始めたばかりだが、4番目の可能性があることに気がついた(続く
@madnoda幾何学と言う伝統ある(ギリシア時代から)数学の先生が、自分の証明の仕方の通りに答えなければ試験を通さないと言い、それに反発した湯川秀樹が数学を捨て、逆に産声をあげたばかりの量子力学つまり伝統も何もない新しい学問に行くという機会を、その頭の硬い先生が与えた可能性だ
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
@madnodaつまり文字通りの反面教師が湯川秀樹と朝永振一郎を物理学の世界に導いたのかもしれない
— 野田篤司 (@madnoda) 2016年12月19日
理想郷とは真逆だ
もちろん、旅人読み終わったわけでもないし、旅人を読むようたところで、この4番目のが正しいという確証が得られるとは思えず、ずっと仮説のままかもしれない
(長文失礼
私も『旅人』を読んでみなければならないようだ.
コメント¶
量子力学のハイゼンベルグも数学者に幻滅して、物理に転向したようなことを「部分と全体」に書いてます。πの超越性の証明のリンデマンに会いに行った時のエピソードと関連して語られています。
空が青く見える理由: 物理学と生理学と¶
「空って何で青いの」と子供に問われた時に、短波長の光ほど大気中の分子に散乱されやすい、と回答すると、「じゃあ何で空は青より波長の短い紫にならないのか」という二の矢が当然予想されるわけで、それに対して俺はこれまで紫領域で急減する太陽光のスペクトルを見せれば済む話だと思っていたのだが pic.twitter.com/CQBzRyQ5UQ
— 朱奈 (ชูนามุล) (@chounamoul) 2016年12月11日
実際には散乱された空の光の明るさのピークは紫の波長領域にあるらしい。つまり空は本当に紫色なんだけど、俺らの目の感度が、黄色をピークとして分布するので、比較的見えやすい青が空の色として認識されている、という所まで説明できて合格なのだった。俺にもう一度チャンスを、チャンスをくれ
— 朱奈 (ชูนามุล) (@chounamoul) 2016年12月11日
つまり空の青はレイリー散乱という物理学的機構と、視覚の感度分布という生理学的機構が織りなす色だったわけです。みたいな子育てお役立ち情報を当アカウントでは主に発信しています。
— 朱奈 (ชูนามุล) (@chounamoul) 2016年12月11日
太陽光のスペクトルデータも視覚の感度分布もよく知らない(調べていない)ので真偽がよくわからないのだが, とりあえず記録しておきたい.
このデータで遊びたい: 高エネルギー物理の就職事情¶
院生の何%が業界に職を得られるか、感覚的にしか答えられない気がしていたけれど、うちの業界に関してはデータが40年分位完備しているので、定量的に出来る気がする。データは https://t.co/ZojgZLhnUbからバルクでダウンロード出来るので、誰か解析しませんか。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016年12月16日
いじりたくなるデータというのがなくて統計学の勉強で困っていたがこれは面白そう. とりあえずメモしておく.
渡辺澄夫『物理学者でない人にとっての平衡統計力学とは』¶
日本が誇る渡辺澄夫大先生の「物理学者でない人にとっての平衡統計力学とは」⇒ https://t.co/IDUqZSydzJ 特異学習理論に関連するアイディアや、興味深い物理と数学に関する哲学など必見。p222の右側の注意だけでも必見。
— mathetake (@MATHETAKE) 2016年12月26日
後で読もう. とても気になる.
書籍紹介: 山本義隆 『幾何光学の正準理論』¶
本文¶
[近刊のご案内] 『幾何光学の正準理論』(山本義隆著) A5判・上製・336頁・3900円(税別) 9月5日(金) 取次搬入予定です。 どうぞよろしくお願い致します。
— 数学書房 (@sugakushobo) 2014, 8月 22
何これほしい.
ラベル¶
幾何光学, 光学, 解析力学, 物理
本の紹介: 高田健次郎・池田清美『原子核構造論』¶
本文¶
朝倉書店| 原子核構造論 %原子核構造の最も重要な3つの模型(殻模型,集団模型,クラスター模型)の考察から核構造の統一的理解をめざす。 http://t.co/9vyrRxwxEt#book#physics
— chibaf (@chibaf) 2014, 8月 18
原子核は通常の統計力学の無限粒子数の近似は使えず, もろに有限多体系で独特の魔界を形成していると聞いている. 前から興味自体はあったものの結局何も勉強したことない.
ラベル¶
物理, 量子力学, 原子核, 統計力学, 場の量子論
動画紹介: 東京大学素粒子論研究室の学生さんが作った、論文のプロモーション・ビデオがおもしろい¶
本文¶
東京大学素粒子論研究室の学生さんが作った、論文のプロモーション・ビデオがおもしろい。⇒ https://t.co/692ytpiBI6
— 大栗博司 (@PlanckScale) 2014, 8月 17
この間せっかく Premiere Elements 買ったし, 私も今度こういうの作ろう.
ラベル¶
数学, 相転移プロダクション
arXivにある量子情報理論の本情報: Wilde, 2018, From Classical to Quantum Shannon Theory¶
Paul筋の情報: Erdosの論文集ページ¶
本文¶
以前もツイートしましたが、有益だと思うので再ツイート: Collected Papers of Paul Erdõs http://t.co/MvkUX2Pn7m こういうサイトがあるのは嬉しいですね。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 7月 23
Paul からの有益な情報だった.
ラベル¶
本文¶
http://t.co/c5pKiia1MM量子情報理論のテキスト(650pagesくらいあります)
— Takanori MAEHARA (@tmaehara) 2014, 7月 20
とりあえずメモ.
ラベル¶
物理, 量子情報
クーラン・ヒルベルト, やはりちょっと読んでみたい¶
本文¶
こないだの学部二年生物理数学 II のテストの大問 1 の 4 が解けなかったので, 答えが知りたいという声をいくつか聞きました. というわけで略解をつくりました: http://www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~yujitach/tmp/ans.pdf 解けた人はごく少数でした. 何でも持ち込み可インターネット可なのに, 解けないのは何故.
この記述が気になる. 読んでみたい.
一般にどうやって示すかを知りたい人は例えばクーラン・ヒルベルトの原書一巻, 日本語版二巻の 6 章 4 節を参照して下さい.
ラベル¶
数学, 物理, 微分方程式
「学会のプログラムの発表タイトルを眺めるだけでも, 最先端で院生や研究者がどのような研究をしているかの感じがつかめます.」¶
本文¶
物理に興味ある高校生, 物理学科の大学生の方は, 物理学会のプログラムの発表タイトルを眺めるだけも, 最先端で院生や研究者がどのような研究をしているかの感じがつかめます. http://w4.gakkai-web.net/jps_search/2014sp/index.html
私も参考にしよう.
ラベル¶
数学, 物理
X 線レーザー研究施設擬人化: 播磨 SACLA¶
本文¶
理研の X 線レーザー研究施設が公式萌え (?) アニメを作っていたようです. 不思議な世界です. http://xfel.riken.jp/pr/sacla/?cat=3
俺達の SACLA さんだ. それはそれとして, 立川さんはどこからこういう情報を仕入れてくるのだろう.
ラベル¶
物理, 理研
Steven Hawking, Information Preservation and Weather Forecasting for Black Holes¶
本文¶
Hawking が「ブラックホールは存在しない」といいはじめたとか何とか.
ホーキングが「ブラックホールは存在しない」と言い始めたそうです. あるいはブラックホールに事象の地平も特異点もない, と. Nature News | Stephen Hawking: 'There are no black holes' http://bit.ly/KUuVKP
気になる人は arXiv にある論文を読んでみよう. アブストを引用しておく.
It has been suggested that the resolution of the information paradox for evaporating black holes is that the holes are surrounded by firewalls, bolts of outgoing radiation that would destroy any infalling observer. Such firewalls would break the CPT invariance of quantum gravity and seem to be ruled out on other grounds. A different resolution of the paradox is proposed, namely that gravitational collapse produces apparent horizons but no event horizons behind which information is lost. This proposal is supported by ADS-CFT and is the only resolution of the paradox compatible with CPT. The collapse to form a black hole will in general be chaotic and the dual CFT on the boundary of ADS will be turbulent. Thus, like weather forecasting on Earth, information will effectively be lost, although there would be no loss of unitarity.
Skype ミーティングから起こした文章のようで, 式はない. 式がないから簡単とか気が狂ったようなことをいうつもりはないが, 4P しかないし, 興味がある向きは読んでみるといいだろう. 私もそのうち読んでみたい.
ラベル¶
物理, 一般相対性理論, 量子力学
山本義隆『世界の見方の転換』が 3/20 に出るらしい¶
本文¶
山本義隆『世界の見方の転換』. 3 巻で計 1400 頁超. みすず書房から 3 月 20 日刊行予定. http://www.msz.co.jp/book/new/
ほしい. あと積読状態の熱力学の本も片付けたいし, 他の本も読みたい. やりたいこと山程あるし, 人生, 本当に退屈しない. 皆もっと数学するといい.
ラベル¶
物理
Kalien-Lehmann の Kalien は「シェリエン」と読むらしい¶
本文¶
場の量子論の教科書を勉強すると, KaLlen – Lehmann 表示というのが出てきて, 発音が良く分からなかったのだけれど, 今でている研究会に Kallen さんのお孫さんが来ていて, 直接聞くと シェリエン と読むそうです. というわけで最近勉強を始めた皆さんも宜しく.
@yujitach 当家の人が言うのだから間違いないですね. 私は長らくチェレンとばかり発音してきた.
えええっ!!@yujitach 場の量子論の教科書を勉強すると, KaLlen – Lehmann 表示というのが出てきて, 発音が良く分からなかったのだけれど, 今でている研究会に Kalien さんのお孫さんが来ていて, 直接聞くと シェリエン と読むそうです.
@yujitach 古いけど, Kalien の QED は一本スジの通った名著でした.
@kz_itakura スウェーデン語では http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/flc/swe/lands/03.html によると, K は a 等 front vowel が続くと発音記号では ɕ http://en.wikipedia.org/wiki/Voiceless_alveolo-palatal_sibilant になるようです. 僕の耳にはシェに聞こえます. e はィエになると言ってました.
私もずっと「チェレン」だと思っていた.
ラベル¶
物理, 場の量子論
いろぶつ先生が書いた本の「よく分からない」バージョンを作ることを今年の目標にしよう¶
本文¶
いろぶつ先生が書いた本の「よく分からない」バージョンを作ることを今年の目標にしよう
これに対してこうきた.
書いてなくてもいいんじゃないか. 僕ならまずは「よくわからない群論」から始めたいが.
きちんとやったことないので「よく分からない点群」とかやりたい.
ラベル¶
相転移プロダクション
2 次元連続スピン系の連続相転移に関する解説など¶
本文¶
「2 次元連続スピン系の連続相転移」に関するプレゼンテーションファイルなどが公開されていたのでとりあえずメモ. これやこれ.
https://twitter.com/tnksh/status/417610817039650816 【Shu Tanaka's Blog: 2 次元フラストレート連続スピン系における連続相転移に関する解説を作成しました http://shutanaka.blogspot.com/2013/12/blog-post_30.html?spref=tw】
https://twitter.com/tnksh/status/417595165101293568 【以前論文を書いた「 2 次元連続スピン系の連続相転移」に関するプレゼンテーションファイルを slideshare に掲載しました. http://www.slideshare.net/shu-t/prb-87214401slideshare】
あとで読もう.
ラベル¶
物理, 相転移
東大, 原子 1 個に記録された磁気情報を長期間保持するためのメカニズムを解明. 原子磁石の情報保持時間を従来比 10 億倍に向上¶
本文¶
いまは原子 1 個をいじるのもさほど難しくなくなったらしい.
原子一個を普通に扱う時代なんだねえ… https://twitter.com/sjn_news/status/401719791079002112
東大, 原子 1 個に記録された磁気情報を長期間保持するためのメカニズムを解明. 原子磁石の情報保持時間を従来比 10 億倍に向上 (発表資料) http://bit.ly/1bCzyCC http://pic.twitter.com/uHrwD3goEU
この辺, 多体系ではないはずだし数学的にも色々突っ込んで調べられる範囲ではなかろうか. 岡山大の廣川先生とかこういうの好きそう. 自分でもいじってみたい.
量子力学, 何だかんだで物性物理的にきちんとした数学的結果はほとんどないような印象がある. 数学的にはそれだけ結構な難易度があると言ってもいい. 数学の人もこの辺, 何かもっとやってくれないだろうかと思っている.
ラベル¶
物理, 数理物理, 量子力学, 磁性
メトロノームの同期動画が見ていて楽しかったので共有する¶
本文¶
なかなか素敵な物理実験です. ずれているメトロノーム 32 個が同期します. http://www.youtube.com/watch?v=JWToUATLGzs
単純に見ていて楽しい. 実験系構成能力, 鍛えたい.
ラベル¶
物理, 物理教育, 実験
市民論文メモ: 大栗・中村論文 Holographic Refrigerator¶
ツイート¶
引用¶
中村さんと大栗さんのほろぐらふぃっく非平衡論文 (ほろぐらふぃーで解析できる) 特別な模型の性質ではなくて, 一般的な性質として議論する枠組みを作るのが僕たちの課題. 先週, 集中討議したが, 時間があいてしまって休憩中.
コメント¶
先日大栗さんの超弦理論の本の感想を書いたが, ブレーンの熱力学・統計力学みたいな話があったので少し気になっていた. 軽く眺めたがもちろんさっぱり分からない.
とりあえず超弦からの宇宙の非平衡状態に関するリファレンスの 1 つとして覚えておきたい.
ラベル¶
物理, 熱力学, 統計力学, 非平衡, 超弦理論