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2014

2014-12-27 ツイートメモ: 解析力学のフリーの本 (Web サイト): Structure and Interpretation of Classical Mechanics

どんな感じかわからないがメモしておこう.

2014-12-25 統計力学, 確率分布, エントロピー, 情報理論に関する佐々さん・田崎さん・菊池さんのやりとりまとめ

統計力学に関する佐々さんと田崎さんと菊池さんのやり取りをとりあえずまとめた.

あとこれ.

この辺, 全然理解していない. つらい.

2014-12-22 光の三原色は物理というより色覚とかそういうところの問題だったことをようやく知る方の市民

こう呟いたら即刻お返事を頂いた.

これはかもさん.

これはイケメンエリートのたりちぱさん.

青色 LED のニュースを見ていてそういえば, と思って適当に呟いたら すぐにコメントが返ってくるので素晴らしくも恐ろしい. かもさんに教えて頂いたリンクから抜くと次のページあたりだろうか.

あと軽くさらりと端的に書いてあるページをいくつか探してみた.

単純な物理で説明つきそうにない気がしたし, 確かにそれはそうだったが, それならそれでもう少し頑張って考えろ自分, という感じはする. つらい.

2014-12-04 佐々さんのツイートから: 京大理で行われる 12/10-12/12 までの沙川さんの集中講義と談話会の案内

東大の若き統計物理のヒーロー, 沙川貴大さんの集中講義情報.

沙川さんは大分前に Twitter にいたことがあって, そのときに少しやりとりしたことがある. そのあとで田崎さんから「沙川さんに相転移P というのは何者かと 聞かれた」とかいう話を聞いた.

あと, 2013 年の久保亮五賞のときに講演を聞きに行って, 講演後にも質問したとき「どなたですか」と聞かれたので 「相転移Pです」と言ったら通じた記憶もある.

市民でも意外と意思疎通できる感があり, 感銘を受けた遠い記憶.

2014-11-29 タイムマシンを研究している物理学者を探す親の話

とてもとても悲しいことがあったのだ.

自分はタイムマシンを作れないと答えなければならない心境, 察するに余りある.

2014-10-29 11/17, 12/1, 12/8 と田崎さんが東大本郷で相転移まわりの集中講義をするので宣伝協力

田崎さんの東大での集中講義, 私も無駄に宣伝しておこう. 私も無理矢理都合つけて参加する予定だ. 講義内容も (日本語部分だけ) 引用しておく. あまりたくさんいくと問題になるっぽいが, まあいいだろう.

大自由度系の物理と数理 田崎晴明

2014 年 11 月 17 日、12 月 1 日、8 日(すべて月曜日)13:00 ~ おわるまで(休憩は随時)

東京大学理学部 1220 教室(本郷キャンパス)

数多くの自由度の相互作用によって生じる非自明な現象の理論的・数理的な解析について講義する。主に、古典スピン系のイジング模型、量子スピン系の反強磁性ハイゼンベルク模型(とその変種)、固体電子系のハバード模型を題材にして、対称性の自発的破れ、基底状態での量子ゆらぎ、強磁性の発現などの現象を扱う。ここで挙げたのはいずれも(広い意味での)磁性のモデルだが、それ以上に、相互作用する大自由度系の本質を描き出す優れたモデルなのである。時間的余裕があれば深く関連するボソン系の問題(ボース粒子のハバード模型、ボース・アインシュタイン凝縮など)も扱う。

日本語で話し英語で板書をする予定。

記号と記法のまとめ(2014年10月27日改訂) 事前に簡単に目を通しておいてください)

ちなみに 8 年前, 現京大の佐々さん主催で駒場で類似の集中講義があったのだが, 私はそれにも参加した. 復習的なアレも兼ねて参加したい. その集中講義を元に Hubbard で修論書いたので印象深い.

2014-10-17 Feynman に続き Landau-Lifshitz がフリーで読めるという衝撃

Feynman に続き Landau-Lifshitz もフリーになっているとか凄い時代だ.

2014-08-22 書籍紹介: 山本義隆 『幾何光学の正準理論』

何これほしい.

2014-08-18 本の紹介: 高田健次郎・池田清美『原子核構造論』

原子核は通常の統計力学の無限粒子数の近似は使えず, もろに有限多体系で独特の魔界を形成していると聞いている. 前から興味自体はあったものの結局何も勉強したことない.

2014-08-17 動画紹介: 東京大学素粒子論研究室の学生さんが作った、論文のプロモーション・ビデオがおもしろい

この間せっかく Premiere Elements 買ったし, 私も今度こういうの作ろう.

2014-07-23 Paul筋の情報: Erdosの論文集ページ

本文

Paul からの有益な情報だった.

2014-07-19 セミナー宣伝: 【数理物理物性基礎論セミナー】中山優(IPMU)「共形ブートストラップで理解する相転移と臨界現象」2014年7月19日14:00 学習院大学南7号館101

本文

超気になる. 概要から一部抜き出そう.

私たちの相転移と臨界現象の理解は新しい局面を迎えようとしています。

私が学生の頃勉強した熱力学の教科書に「3次元の磁性体の問題には、 1970年代以降「繰り込み群」という考え方からのアプローチが試みられ、 ある程度の描像は得られたが、 真の解決はいまだ夢想さえできない。」と記述があります。 本セミナーでは、まず、(3次元の)臨界現象に潜んでいる非自明な時空の対称性「共形対称性」を考え直すことから始めます。 なぜ繰り込み群の固定点である臨界現象にはスケール対称性だけでなく共形対称性が潜んでいるのか? その対称性の起源と考えられる「局所繰り込み群」とは何か? と言う疑問から、共形対称性がどのようにして臨界現象の普遍性を支配しているかを説明していきます。

超行きたいが予定があっていけない. 何という屈辱だ.

ラベル

数学, 物理, 数理物理, 相転移, 臨界現象, セミナー

2014-05-10 佐々さんの「第59回物性若手夏の学校の講義ノート草稿の公開」

佐々さんツイートから.

第 59 回物性若手夏の学校の講義ノート草稿の公開: http://www.ton.scphys.kyoto-u.ac.jp/~sasa/public.pdf 時間と興味があれば, さっと読んで, 分かりにくいところや間違っているところをコメントください. (物語が下手くそなので直せ, といわれても難しいので, その場合は「改良版」をぜひ...).

これ読み始めると自分の仕事ができなくなりそうだ. なので最初しか見てないですが, いい感じです (しかし, 今の若者なら, 三つの熱力学本のいずれかを輪講してるんじゃないかな?). @sasa3341

あ, 「僕」は統計力学の教科書読んでくれてるんだ. 光栄. しかも, ちゃんと「田崎さん」と呼ぶということも浸透している. (けっきょく読んでいる). @sasa3341

@sasa3341 大変しょうもない指摘で恐縮なのですが, 何箇所か「カノニカル」の「ニ」が漢字の「二」になっています. http://twitpic.com/e3g65v

@Akimasa_K ありがとうございます! そんな変なことが起こり得るのですね. 全く気がついていませんでした. 全体をチェックします.

@sasa3341 些末なタイポの指摘で恐縮ですが, (25) 式下の $\epsilon=0.066$ は 0.66 ですね.

@tknbn え... これ, 実は, プログラムを書いて計算したのだけど, もう一回起動しても 0.066 になっていますが. . $2*1/ (273.15+20)-1/ (273.15+40)]/[1/ (273.15+20) +1/ (273.15+40)]$ ですよね?

@sasa3341 @tknbn 「20 $^\circ$ C と 40 $^\circ$ C」と書いたほうがよいのでは?

@sasa3341 あああ, , , すみません. アホなことをつぶやいてしまいました. . お恥ずかしい. . 忘れてください. .

@STakesue @sasa3341 はい. そこで勘違いをしてしましました. 逆温度でかつ絶対温度なのにそのままセルシウス温度を代入するという大バカなミスを. . すみません. . 忘れてください. .

@STakesue @tknbn ありがとうございます. そういうことか... 検索で調べたら, 20 度って結構あるのですが. 考えます.

読んだ読んだ. これは, 素晴らしい. まさに今しか書けない素材. これにリアルタイムで接した若者たちはプチ奇跡に立ち会えたとも言えよう! しかし, まあ登場人物の賢すぎることイーガンの SF のごとし. $\Sigma$ が出た後の展開は異常だけど, まあ, 世の中, 賢い人はいます. @sasa3341

@Hal_Tasaki ありがとうございます. 最後は正直ばてばてで, もう気力がなくて, スーパーサイヤ人化してしまいました.

「僕」と「 S 先生」の存在という意味でも『数学ガール』を正しく踏襲しているし, ラストもお約束だけれど, それはそれで大変によいです (好きです). (しかし, これを出しただけで, 当初の謎が解決したと思われても困るよなあ. 次章に期待だ). @sasa3341

まあ, ファインマンクラスの人が早熟なら, あれくらいやってしまうかもしれませんよ. 実は本家の『数学ガール』も必ず一気にブーストするところがありますよね. (ね, ミルカさん?) @sasa3341

@sasa3341 こんなに話口調でいいんですか? と思ったら論文じゃなかった…. はじめてみたタイプなので新しい感じがあって好きです

しかし, 万が一でも, ぼくも今年の夏の学校で話すことになっていたら, この予稿を見た瞬間に, うれしくて・悔しくて・愉しくて, 自分の予稿を没にして全部この手のフォーマットで書き直したりしたに違いない. そうならなくってよかった. @sasa3341

読み終わってからお風呂に入って反芻していたら興奮して来た! やはり不可逆性の問題は素敵だ (無限小でも, それに貢献できるとしたら, 本当にうれしい). 来年度の駒場の講義は (やるなら) 時間の矢で行こうかな. (心の) 若手を刺激する素晴らしい予稿です.

@sasa3341 大したことないことで恐縮ですが, p.5 の右側中央あたり 「熱力学的性質性質」と重複しています

@sasa3341 読みました. 物理は難しくてわからなかったのですが, ドキドキしながら読み, 学ぶ姿に学ばされました. ありがとうございます. 数学ガールの登場人物へのオマージュも感謝です

@gordon2040 ありがとうございます! 訂正します.

@hyuki うわ, ありがとうございます. 当然のことですが, 物語は数学ガールのパクリです. (知っている人には自明に分かることと思いますが, 解説冒頭に引用文献つけて補足します). 数学ガールがなければ, こういう物語による「大学院講義」の説明はなかったと思います!

@sasa3341 そのように言っていただけるなんて光栄です!

結局まだ PDF 読めていない. 途中だけ 2 段組にする方法, きちんと調べて自分の数学の本にも使おう.

2014-05-08 谷村省吾さんが代数的量子論の本を出すとか聞いたので

谷村さんが代数的量子論の本を出すとか聞いたので.

Perfect_Insider さんのツイートも引いておこう.

作用素環というか表現論というか, そういうのを基本にしたときのメリット, 無限自由度にしたときの話しか知らないので, 量子論一般でのメリットとかそういう部分は知りたい.

2014-05-07 いろぶつ先生が『よくわからない量子力学』を書くという噂を聞きつけたので

追記 田崎さんからのご指摘を受け, 引用元を明示した.

いろぶつ先生が『よくわからない量子力学』を書いてくれると聞いたので. 一応田崎さんの元のツイートからの流れも転載しておこう.

2014-04-30 身近にたくさんある魔界こと古典力学

f_hiroki さんからの拘束系の力学.

symplectic 形式で扱える物理現象って限られたものじゃないかと思っている. nonholnomic の場合, 全ての状態変数に対して共役な変数をとるのは不可能.

https://twitter.com/hiroki_f/status/461377654781116416 拘束系の力学とかそういう話だろうか

@phasetr 猫の宙返りとか http://yang.amp.i.kyoto-u.ac.jp/~iwai/

@SO880 これは面白そう. ありがとうございます

@phasetr はい.

@hiroki_f 学部で解析力学やったとき, 教官が「ハミルトニアンが存在するとは限らない」とかさらっと言っていて 無論当時はハミルトニアン自体よくわかっていないので「そういうこともあるのか」と思っていましたが, 古典力学の魔界っぷりは院くらいからようやく見え始めました

猫の宙返りとか面白そう. 古典力学, さらりと身近に魔界があるので実にやばい. Arnold とかで復習したい.

2014-04-07 クーラン・ヒルベルト, やはりちょっと読んでみたい

立川さんコメントだった.

こないだの学部二年生物理数学 II のテストの大問 1 の 4 が解けなかったので, 答えが知りたいという声をいくつか聞きました. というわけで略解をつくりました: http://www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~yujitach/tmp/ans.pdf 解けた人はごく少数でした. 何でも持ち込み可インターネット可なのに, 解けないのは何故.

この記述が気になる. 読んでみたい.

一般にどうやって示すかを知りたい人は例えばクーラン・ヒルベルトの原書一巻, 日本語版二巻の 6 章 4 節を参照して下さい.

2014-04-08 オープンサイエンスの活動をしよう

ほったさんのツイートがあったので.

紙媒体の一般向け科学雑誌を凌駕するウェブマガジンを作りたい. (大学関係者と一般の方との共同によって, いつか近い将来に). そんなウェブマガジンが 3, 4 誌に増えたら, そこからポリマスプロジェクトのような, 一般市民を巻き込んだオープンサイエンスのアクティビティが日本でも生まれると予想.

研究と同じで人柱になる人間が必要だ. 多数の屍を乗り越える必要がある. とりあえず私も本サイトの方でいろいろやって屍を積み上げておく.

あと「大学関係者」というのも相当古くさいのでは. 科学の実践の方の専門家がが大学や企業の研究者しかいないのも不健全だろう. もっと世間に屍の山を作ろう.

2014-03-27 「学会のプログラムの発表タイトルを眺めるだけでも, 最先端で院生や研究者がどのような研究をしているかの感じがつかめます.」

言われてみればそうか, という感がある.

物理に興味ある高校生, 物理学科の大学生の方は, 物理学会のプログラムの発表タイトルを眺めるだけも, 最先端で院生や研究者がどのような研究をしているかの感じがつかめます. http://w4.gakkai-web.net/jps_search/2014sp/index.html

私も参考にしよう.

2014-02-06 田崎さんによる物理・数学での発表スライド作成指南

田崎さんによる発表スライド作成指南があったので.

【発表スライドについての最低限のルール】 学会や学内での発表会でのプレゼンテーションのスライドを作る際に守るべき最低限のルールをまとめた. 物理を念頭に置いているが, おそらく, ほとんど全てのジャンルに通用すると思う. http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/presentation/slide.html

関係各位はチェックしておこう.

2014-02-01 『江沢先生の先生に遭遇』: 記事紹介

俺達の江沢先生. 私には新井先生との共著, 『量子力学の数学的構造』と『場の量子論と統計力学』が印象深い.

特に前者は学部 3-4 年のときに一所懸命読んだ. 後者はいまだに読めない・読み切れない.

2014-02-01 谷村省吾『量子論における超選択則の力学的起源とカラーの閉じ込め』

谷村省吾さんの『量子論における超選択則の力学的起源とカラーの閉じ込め』という文章だった. 測定関係も面白そうと思っているものの, 全く何も勉強できていない.

小嶋先生のmicro-macro dualityもちゃんと勉強したいと思いつつ, まるで何もできていない. 悲しい.

2014-02-01 学習院での江沢洋先生の量子力学の歴史に関する講演会

2/1 14:00- 学習院で江沢洋先生の量子力学の歴史に関する講演会があるというので参加したい

本文

江沢先生の講演会があるという.

【江沢洋先生講演会のお知らせ】 「 Bohr の原子模型:革命から百年」 2 月 1 日 14 時 (学習院大学南 7 号館 101 室) もう明後日ですね. 会場は山手線の目白駅からすぐのところです. 江沢先生のお話を聞いてみようかなという方は是非どうぞ. http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/Ezawa20140201.html

概要も引用しておこう.

概要

今年は Niels Bohr が原子模型に対して革命的な考えを提出してから 100 年になる. 革命的というのは, それまでの物理学の常識ではとうてい受け入れ難いものだったからである. 今日では高等学校でも抵抗なく教えられるこの模型は, 当時は多くの物理学の権威たちが拒否したのだ. 実は彼の考えは, 量子力学を予見するものであった. そこから, ほぼ 10 年かかって量子力学は生み出され, 革命は形をなした. こうした歴史をお話したい. (江沢洋)

是非行きたい.

ラベル

物理, イベント

学習院での江沢洋先生の講演会「 Bohr の原子模型:革命から百年」に出席してきたので

本文

学習院での江沢先生の講演会に出てきた. なかなか面白かった. 江沢先生だけでなく, 早野先生の初観測に成功したのも収穫だった. 早野先生と私, 2 人だけ和服だったので勝手に親近感を覚えてきた方の市民だった.

田崎さんによる江沢先生の紹介で次のコメントが爆笑だった.

英語もドイツ語もフランス語も読み書きでき, 科学のあらゆる分野に精通している. 習わなかったのは時間を守ることだけ. 前回仁科の講演会で喋りきれなかった部分まで含めて今回喋ってもらおうと思って企画した.

メモ

話としては 1913 年の Bohr の論文を振り返ろうという話だった. Bohr の論文は今から見ると非常に革命的だったが, それは当時ではどうだったのかという話が展開された. 以下感想を書くが, 私が講演内容を勘違いしている点などもあるかもしれない. 間違ったことが残り続けるのは死ぬ程恥ずかしいので, 何かあればご指摘頂ければ幸いだ.

よく 1905 年, 奇跡の年の Einstein の光量子・光電効果論文が革命的といわれる. 当時としては Einstein も駆け出しで誰もまともに話を聞くわけがない, というあたりからスタートした. (実際にはその前に 1900 の Planck の話もしている.) よくある「教科書のように綺麗に話が進んだわけではない」という系統のアレだ.

1913 年に当時物理が盛んだったイギリスはケンブリッジ, Thomson のところに渡ったそうだ. デンマークは当時物理的には田舎だったそうだが, 現在のデンマークはどうなのだろう. Thomson は忙しくて相手にしてくれなかったのでマンチェスターの Rutherford のところで実験をやったらしい. 原子の太陽系モデルの提唱者だから, それでその辺の原子構造への関心が生まれたとか何とかいうことだった. この実験的な研究で色々な原子内の電子数を測定する仕事をしたらしい. 原子内電子数の測定というの, 周期表の時点で既にかなりよく分かっているのだと思っていたので結構びっくりした. 実測ということになるとまだまだだったということだろうか. たった今頭をかすめた質問なのだが, 聞いておけばよかったと後悔している. 江沢先生に会う機会, そうそうあるものではないし.

メモが雑で泣いているが, 同僚の Hansen から Balmer 公式 (1884 明治 17 年) を導出するという問題を出されたらしい. Ritz の結合原理 (1908) 年をどう出すかという話で色々あったとのこと. 当時未発見の Lyman 系列も予言していたりと刺激的な予想だったのだと思う.

Bohr は Ritz の結合原理と光量子と結び付けた. これ自体は Planck もやったそうだ. あまり考えたことがなかったが, エネルギー保存の式というのを聞いて「ああそうか」と.

追記

田崎さんから次の指摘を受けた.

@phasetr 「これ自体は Planck もやったそうだ.」は違うと思います. P がやったのは, (調和振動子の) 準位間の遷移でのエネルギー差と光子の振動数を結びつける部分で, それを水素原子のスペクトルと結びつけたわけではないとぼくは理解しました.

何と書き直せばいいのか分からず, 一方で田崎さんのコメントで十分だろうと考えて上の記述は単純に削除とした.

追記終わり.

続コメント

水素原子の話に移っていく. 今回の Bohr の話では水素原子でないと成り立たない話がたくさんあったようで, 「自然は教育的である」ということがたびたび強調されていた. 原子内電子のエネルギーの式 ($n^{-2}$ に比例) は正に水素原子の束縛状態のエネルギーだし, 確かにそうか, という感じはある. あとでふと思いついたので講演後に「水素原子でうまくいって He や Na の話があったはずだが, それにあまり触れなかったのは何故か. 実際にあまり研究されなかったのか. 研究されていてうまく行っていなくて Bohr の話だけがうまくいっていたということか. 上手くいかなかったとしたらそれは何故か」などと質問した. 理由はフェルミオンの統計性が本質的に効いているからだ, それはきちんと話した方が良かったかもしれない, とのご指摘を頂いた. He や Na の話に行かず水素原子でだけ色々うまくいっていたというのが非常に面白い.

前期量子論というか半古典論というか, あの辺は本当に頭がおかしくて凄い. 一方で, 悪戦苦闘の様が後世まできちんと殘っていてそれ自体が現在の教育にまで本当に顔を出しているというのは本当に面白い. 教官陣も皆面白くかつその悪戦苦闘の様を伝えることにも教育的効果はあると思っているのだろう. 確かに面白いが, その辺の話をしているといわゆる論理的一貫性とでもいいような要素は少なくなるし, 時間的にも講義で触るのは厳しくなる. その辺をどうカバーするのか, きちんと考え直した方がいいような気もする. 観測というか量子情報関係, 最近の, 少なくとも物理学科の量子力学ではどのくらい触れられるようになっているのだろう. そういうところも無性に気になったがあまりどうしようもない感ある. とりあえず自分は数学の方で色々頑張ろう.

田崎さんが角運動量に量子条件がかかるところで定数のファクターに $2\pi$ がかかるのは何故か, という質問をしていた. 詳細を省いているので, ブログを見ている人にはこれだけだと何のことやら的なアレだろうが, とにかくこう色々あった. 実験データの誤差とかある中で何故ファクターを $2 \pi$ に置いたのか, 調べてもあまり出てこなかったようで, 結構謎らしい.

Bohr の革命的な点として定常状態や量子遷移があげられていた. 確かに革命的というか頭おかしい. 具体的には下記のような点だ.

定常状態. - 初期条件に応じて運動は様々: Newton 力学を否定. - 電荷が加速度運動すれば輻射を出す: Maxwell を否定.

量子遷移: - 輻射の振動=波源の力学的振動数, Maxwell の否定. - 因果律の否定: 電子は予め行き先を知って輻射の振動数を選ぶ? どの準位に行くのかのか理由がない. - Rutherford (1913), 寺田寅彦 (1924) に指摘した問題.

改めて見るとやはり大分頭おかしい.

早野先生が写真を上げていたが, Ehrenfest が爆笑コメントを出している. 早野ツイートをリンクしておこう.

  • https://twitter.com/hayano/status/429478315359883264
  • https://twitter.com/hayano/status/429490935919951872
  • https://twitter.com/hayano/status/429491436128440320

1913 P. Ehrenfest: 「これが理論なら私は物理をやめる. これは怪物だ (1916) 」

P. Ehrenfest (1918): Bohr 理論の熱烈な支持者になる.

Ehrenfest, 断熱定理などで色々試行錯誤した結果, 結局 Bohr 理論の支持に回ったという話だった. ただ, 断熱定理が成り立つのは前期量子論・半古典論の枠組みの中だけであって, 完成された量子力学ではまるで成り立たないのも示唆的という話を田崎さんあたりがしていた.

Langmuir の実験値に関する話も面白かった. メモしていなくてしかも忘れてしまったのでアレだが, ある物性の測定値があったそうだ. Bohr の計算結果と合わなくて (2 倍程度のずれがあった) Langmuir が測定し直したところ, Bohr の値に近い値が得られ, Langmuir が Bohr を賞賛したという話. ただしその後, 裏話として実際には Langmuir が先に得ていた値の方が正確な値に近くて, 色々な歴史的経緯というか勘違いというか, そういう要素も色々働いていたということだった. 江沢先生から「ここから得る教訓として, 理論家は実験家を信用してはいけない」という話をされていて会場の笑いを誘った.

Sommerfeld の量子条件の拡張で, Bohr は終始円軌道でやっていたようだが, Sommerfeld は楕円軌道に拡張した, という話をしていた. そういえば Coulomb に従っているなら楕円軌道であるべきなのに何故か量子力学の本では円軌道しか見ない. Sommerfeld は軌道が閉じない相対論的な電子論でも使えるように議論していたらしく, なかなか凄いことをしていたらしい. ここで「 Bohr が円軌道だけ考えて正しい $E_n$ を出した理由: 自然は教育的」という今回何度も出てきたフレーズが出た.

色々飛ばすが, 革命後の量子力学ということでいくつかまとめが出た. 冷静に眺めると (古典論からは) 大分頭おかしい.

de Broglie の物質波も大分アレという話になった. そういえば de Broglie の物質波, 結局どういう話なのか正確に理解していないことを今回改めて思い知らされた. 勉強しないといけないのだがさぼりまくって今にいたる.

また, Schrodinger のセミナーで Debye による次のようなコメントがあったという. 「位相はあるが振幅がない. 」 「波動の話をしているのに波動方程式がない. 」 「こんな議論は Child play である. 」 これに応えて Schrodinger 方程式を出したとかいう話もでた.

井戸型ポテンシャルだと Bohr の理論は全然使えないので, 水素原子で議論していたのはいわば幸運でここでも「自然は教育的」という言葉が飛び出た. これも実際に質問したのだが, 井戸型ポテンシャルがいつ頃から出てきたかという話で, 1926 年とかそのくらいから既に出ていたらしい. 普通の物理の本だと何の前触れもなくぽんと出てきてトンネル効果と絡めて出てくるか, こんな頭おかしいのが何でどうして物理学に出てきたのかよく分からなかったので, 追加で江沢先生に聞いてみた. 不勉強なもので知らなかったのだが, Gamow が 1926 年頃に $\alpha$ 崩壊の理論を提出していて (有名らしい), そこでいわゆる井戸型的なポテンシャルを議論していたので結構古くから議論はあったらしい. 井戸型のところを原子核と捉えて考えるというコメントを頂いた.

あと質疑応答も活発で色々面白かったが, Bohr が量子論に行ったきっかけとしての Bohr-van Leuuwen の定理への言及があった. Bohr-van Leuuwen の定理は知っていたが, Bohr が古典論の限界を認識したポイントの 1 つとして認識したことはなかった.

追記

ピカチュウパイセンから次のようなコメントを頂いた. - https://twitter.com/aki_room/status/430126562323615744 - https://twitter.com/aki_room/status/430126924262699008 - https://twitter.com/aki_room/status/430127138268651521

@phasetr 講演会の最後は 1925 年の行列力学と, 1924 年のドブロイ波・ 1926 年のシュレーディンガー方程式でしめられていたけど, 水素原子のレンツベクトルに関するレンツの仕事は 1924 年らしく, どういう風にやったのかちょっと気になった.

@phasetr フランクヘルツから行列力学までの 10 年間くらいはかなりアツい 10 年だったのではないかと思う. その後の進展も面白いけど, 1925-26 で一段落なのではないかと思っている.

@phasetr なお, レンツベクトルに関するレンツの仕事は 1924 年らしく, というのは, この pdf http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~kuniba/atsuo/LRLvector.pdf を参照.

追記終わり

あと, 折角だと思ったので田崎さんと江沢先生に献 DVD してきた. 田崎さんはともかく, 自分野の超大御所である江沢先生に DVD 渡してくるというの, 無謀力溢れる. ピカチュウパイセンからも次のようなコメントを頂いた.

相転移 P が田崎さんに DVD 渡しているのを見た時には「よくやるなぁ」くらいの感想だったが, 江沢先生にも渡しているのを見て「おぉ……よぉやるなぁ……」くらいの感想になった.

@aki_room その後, 田崎さんが江沢先生に相転移 P を紹介していたけど, 流石に「この人は相転移 P と言いまして…」という紹介でなかったのでなんかちょっと安心 (?) した

楽しかった (完).

追記

田崎さんからもコメントがあった.

"@aki_room 相転移 P が田崎さんに DVD 渡しているのを見た時には「よくやるなぁ」くらいの感想だったが, 江沢先生にも渡しているのを見て「おぉ……よぉやるなぁ……」くらいの感想になった. "

おれも.

市民は無謀力が違う.

追記終わり

追記

田崎さんのツイートから江沢先生のスライド公開の案内が出ていた.

【江沢洋先生講演会】 Bohr の原子模型:革命から百年 2 月 1 日の講演会の案内ページを簡単な記録のページに書き換えました. 江沢先生にお願いして, 講演スライドも公開! http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/Ezawa20140201.html

早速スライドもダウンロードしておいた.

ラベル

物理, 量子力学

江沢洋先生の戦慄すべきエピソード: 江沢先生の先生に出会った方の話, そして関連する Connes だか Barry Simon の凶悪なエピソード

本文

先日の学習院での江沢先生の講演時に話題になった「江沢先生の先生の話」のブログ記事的なアレだ.

江沢先生の先生に遭遇 : Hard To Make A Stand - 磁性研究者の研究日誌 - http://j.mp/1knPmw6

少しと言っても大部分になってしまったが引用しておこう.

引用

今日研究室に向かう途中, 電車の中で cond-mat に出ていた論文を読んでいたら, 隣の席に座っていたおじいさんから「量子力学の勉強ですか?」と声をかけられました. なんか感じが良さそうなおじいさんだったので, 僕が磁性の研究をしている事や, 今大学院生である事, そのおじいさんが昔高校の化学の先生だった事等, ぼちぼちと雑談しました.

するとそのおじいさんが, 「僕の教え子に, 今学習院大学で物理の名誉教授をやってる江沢洋というものがいましてね」と, 昔話をしてくれました. この江沢洋という人は物理の量子力学や電磁気学の教科書で有名な先生で, 僕も学部時代はその人の本を買って勉強した事がある人でした.

そのおじいさんが大学を卒業して高校に赴任した時, 最初に持った学年に江沢洋さんがいたそうです. 授業中でもやたらと高度な内容の質問をぶつけてきて, 先生を困らせたそうです. といっても意地悪な質問ではなく, 純粋に核心をついた質問をする生徒だったそうです.

あるとき自由研究か何かで, 当時高校生の江沢さんが「原子の構造について」というレポートを書いて持ってきた事があるそうです. その完成度があまりに高かったので, 当時の江沢青年に 5 コマ分だけ授業時間を与えて, その内容についての授業をやらせたそうです. 秀才だったけど, 休み時間とかはよく騒いでいた明るい学生だったそうです.

コメント

確か Connes だった気がするが, Connes は講義中に凶悪な質問をするので有名だったらしい. 引っ掛けのような質問をして 「そうですね. そうでないとこんな反例がありますから.」 みたいなことを言っていたとか何とか誰かに聞いた.

竹崎先生だったか富山先生だったか. それとも何かの本とかウェブページだった気もする. 凶悪なのは Barry Simon だったか?

よく覚えていないが凶悪な人間もいたものだ, と思ったことをふと想起したので.

追記

ラベル

数学, 数学者, 物理, 物理学者

2014-01-31 X線レーザー研究施設擬人化: 播磨SACLA

立川さんがまた謎な事案を発掘していたので.

理研の X 線レーザー研究施設が公式萌え (?) アニメを作っていたようです. 不思議な世界です. http://xfel.riken.jp/pr/sacla/?cat=3

俺達の SACLA さんだ. それはそれとして, 立川さんはどこからこういう情報を仕入れてくるのだろう.

2014-01-25 Steven Hawking, Information Preservation and Weather Forecasting for Black Holes

Hawking が「ブラックホールは存在しない」といいはじめたとか何とか.

ホーキングが「ブラックホールは存在しない」と言い始めたそうです. あるいはブラックホールに事象の地平も特異点もない, と. Nature News | Stephen Hawking: 'There are no black holes' http://bit.ly/KUuVKP

気になる人は arXiv にある論文を読んでみよう. アブストを引用しておく.

It has been suggested that the resolution of the information paradox for evaporating black holes is that the holes are surrounded by firewalls, bolts of outgoing radiation that would destroy any infalling observer. Such firewalls would break the CPT invariance of quantum gravity and seem to be ruled out on other grounds. A different resolution of the paradox is proposed, namely that gravitational collapse produces apparent horizons but no event horizons behind which information is lost. This proposal is supported by ADS-CFT and is the only resolution of the paradox compatible with CPT. The collapse to form a black hole will in general be chaotic and the dual CFT on the boundary of ADS will be turbulent. Thus, like weather forecasting on Earth, information will effectively be lost, although there would be no loss of unitarity.

Skype ミーティングから起こした文章のようで, 式はない. 式がないから簡単とか気が狂ったようなことをいうつもりはないが, 4P しかないし, 興味がある向きは読んでみるといいだろう. 私もそのうち読んでみたい.

2014-01-07 山本義隆『世界の見方の転換』が 3/20 に出るらしい

山本義隆がまた本を出すらしい.

山本義隆『世界の見方の転換』. 3 巻で計 1400 頁超. みすず書房から 3 月 20 日刊行予定. http://www.msz.co.jp/book/new/

ほしい. あと積読状態の熱力学の本も片付けたいし, 他の本も読みたい. やりたいこと山程あるし, 人生, 本当に退屈しない. 皆もっと数学するといい.

2014-01-07 Kalien-LehmannのKalienは「シェリエン」と読むらしい

立川さんのツイートから衝撃の事実を知った.

場の量子論の教科書を勉強すると, KaLlen – Lehmann 表示というのが出てきて, 発音が良く分からなかったのだけれど, 今でている研究会に Kallen さんのお孫さんが来ていて, 直接聞くと シェリエン と読むそうです. というわけで最近勉強を始めた皆さんも宜しく.

@yujitach 当家の人が言うのだから間違いないですね. 私は長らくチェレンとばかり発音してきた.

えええっ!!@yujitach 場の量子論の教科書を勉強すると, KaLlen – Lehmann 表示というのが出てきて, 発音が良く分からなかったのだけれど, 今でている研究会に Kalien さんのお孫さんが来ていて, 直接聞くと シェリエン と読むそうです.

@yujitach 古いけど, Kalien の QED は一本スジの通った名著でした.

@kz_itakura スウェーデン語では http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/flc/swe/lands/03.html によると, K は a 等 front vowel が続くと発音記号では ɕ http://en.wikipedia.org/wiki/Voiceless_alveolo-palatal_sibilant になるようです. 僕の耳にはシェに聞こえます. e はィエになると言ってました.

私もずっと「チェレン」だと思っていた.

2014-01-04 いろぶつ先生が書いた本の「よく分からない」バージョンを作ることを今年の目標にしよう

こんなことを呟いたら垣谷御大が反応したので.

いろぶつ先生が書いた本の「よく分からない」バージョンを作ることを今年の目標にしよう

これに対してこうきた.

書いてなくてもいいんじゃないか. 僕ならまずは「よくわからない群論」から始めたいが.

きちんとやったことないので「よく分からない点群」とかやりたい.