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2020

2020-11-09 続 量子力学の無限井戸問題の取り扱い問題

堀田さんの発端ツイート

次の過去記事で言及した話題に関する話だろう. せっかくなので記録しておく. 堀田さんの量子力学の本, このあたりの話もしているのだろうし, 来年出るという話なので楽しみにしている.

TODO (要移行) 参考: 過去記事

ツイート引用

この辺, 一応言うだけ言っておくと, 物理の人間が「ハミルトニアンは自己共役たれ」と言ったから, というのが数学サイドの言い分だろうとは思う. これもさらに言えば, 自己共役たれと言ったのは厳密にはフォン・ノイマンであって数学者だ, 物理学者のせいにするなという話でもあるのだろう.

話は少し変わってしまうが, 私のスタンスは完全に数学のサイドのそれだという立場は明らかにした上で, 物理なんなりがこういう「二枚舌」を平然と使ってくる中で「数学者の書く本は気持ちが書かれていなくわかりにくい」とか言われても「お前ら正気か」というのはよく思う. そもそもとしておかしな記述が長く残っていてそれを語り継ぐ種族にとっての気持ちやらわかりやすさやらは何なのか, まずきちんとさせてから数学に文句を言ってほしい.

本題の引用に戻ろう.

ここがよくわからないというか, そういうのがどの本・論文にいつどう書いてあったのかという気分がある. そもそもとしてこう考えたい物理の気分もよくわかっていない. 気持ち, どこに書いてあるのだろうか. 実験のセットアップ問題から来ている気分はあるがむしろそれこそ何もわからない.

超関数の空間あたりで考えるときちんと動くのか, みたいなことは気になる.

ここでの完全性, どの空間で議論しているのかがまずわからない. そもそもとして私は完全性はヒルベルト空間上でしか議論したことがないので, 数学的な感覚が掴めていない. フーリエ解析も正直さほどよくわかっているわけでもない. 何がしたいのかよくわかっていないので, 内積はありつつ完全性だけはうまく動く空間, どこだろうか. どこでどういう収束を考えるといいかもよくわからない.

証明という言葉に対する気分が根本的に違うというのは感じる. いつものことではある. 悪い意味での「お気持ち」問題ではあり, 意思疎通を困難にする部分ではある. お互い敬して遠ざけるべきという気分もある.

Leipzig さんとの大事そうな質疑応答の記録

何にせよここのやりとりで状態の方が大事というのは察した.

これ, 何の固有状態を考えているのかがまずよくわからない. 何にせよ空間の設定がよくわかっていない. 来年出るという堀田さんの本, 非常に楽しみにしている.

Yuki Nagai さんとのやりとり

輪をかけてよくわからないがとりあえず収集.

やりとりその 1

やりとりその 2

ShunSakana さんとのやりとり

これもよくわからない.

微分できない微分方程式の解概念じたいは数学としてはどうとでもなるというかどうにかするから, そこは問題ではないのでは感. むしろそこは物理で気にところなのかというのが衝撃でさえある.

切り出されたやりとり
途中からの派生
途中からの派生
途中からの派生

2020-09-28 理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第 1 回を終えて

理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第 1 回

先日別の記事でアナウンスしたように, 「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」を立ち上げ, 2020-09-28 に初回を 1.5h 程度やった. (大したことではないが, 数学者が教えるというのでは面白みが全くない企画なので「誰が教えるか」を明示する企画名に微修正した.) これに関して次のような記録・報告をしてもらったので共有しておく.

内容としてはいつも言っていること, または必ずしも無料・オープンとは限らないいろいろなコンテンツで言ってきたことを改めてまとめたにすぎないが, それなりに喜んでもらえたようで何よりだ.

ここで話したこと・今後やっていくことに関して常々言っている傍証として以前のいくつかの連続ツイートを張りつけておく. 「物理学者はまじめに自学科の物理・数学教育をやる気があるのか」と言っているときに意識している話をこの「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」でコンテンツとして具体的に整理していく予定なので, もしあなたがこの内容に興味があるなら継続的にチェックしてほしい. 週 1 回メルマガ形式で YouTube にあげたコンテンツに関するアナウンスをしているので, 自発的にチェックするのが面倒ならぜひメルマガに登録してほしい.

物理学科の数学教育に関する連続ツイート集

数学の本のわかりづらさ

具体例がほしい問題

数学と物理と具体例と数理物理: 統計力学を例に

数学の「具体例」の抽象性

2020-09-28 「理論物理学者に数学を教えようの会」の内容や開催にいたる経緯

はじめに

表題の通りの勉強会というかオンラインセミナーをやろうという話が出ている. とりあえず試しにやってみようという部分もあり, 詳細はともかくやることは決まった感がある. 内部での共有・方向性確認が第 1 の目的だが, 公開することに意義がある内容もあるので, その内容説明・共有やここに至った背景などをいくつか説明したい.

きっかけ

先日松尾衛さんからinfinity_topoiさんのMathpedia経由で私のYouTubeを知り, それを微分幾何系の動画を見てみたらいたく気に入ってもらえたそうだ. 勢いで現代数学探険隊のPDFも買って頂けたそうで, それもセットでいたく気に入って頂けたそうで, メールでご連絡を頂いた. そこで少しやりとりして 3 人で何かやれたら面白そうという話になった.

いくつか案はあるのだが, 気楽にはじめられて相互に意味がある話として「理論物理学者に物理を教えてもらう」ような誰でも考える自明な話よりも「理論物理学者に数学を教えよう」の方が異様で面白いだろうという私の提案によってとりあえずこれをやってみようという話になった.

内容案

方針

基本的には数学をゴリゴリにやるよりも数学を勉強しやすくするための概要を紹介・案内する内容を考えている. 理由はいくつかある.

  • ゴリゴリと計算なり議論なり何なりしていく YouTube 講義シリーズは別働隊として作っている.
  • 物理的なモチベーションも重視した (解析系の) 数学コンテンツは現代数学探険隊の PDF として用意してある.
  • 物理数学的な面に注目して概要を議論した現代数学観光ツアーはかなり無茶な構成になっているのでネタを作りつつ整備して組み直したい.

ちなみに現代数学観光ツアーは A5 で 600 ページあるのでこれだけでも相当持つ. もちろんこれだけでは微妙な点もあるので物理と数学の意識のギャップや, その他あまり触れてきていないテーマなども紹介する.

当面予定している内容

現代数学観光ツアーでも多少触れているが, 1 ついい入口になると思うので次のような内容ではじめたい.

  • 摂動論の謎
    • 物理の摂動論と数学の摂動論の趣とその違い
    • 行列レベルで既に難しい: ハバード模型と行列の摂動
    • 自由粒子・調和振動子・水素原子と摂動
    • 励起状態の処理: 古典電磁場と量子電磁場
    • 基底状態の処理: 赤外発散
  • ヒルベルト空間論に向かう道
    • $\mathbb{R}^n$ と $\ell^2 (\mathbb{N})$
    • いろいろな内積と直交関数系
    • 直交関数系と弱収束
    • いろいろな収束と物理
    • LSZ の還元公式と作用素の収束
    • 作用素環上での収束
  • 超関数論
    • 高校数学と直結した地獄
    • 極限を取るとすぐに修羅の世界が出てくる
    • 極限で出てくる特異点の物理
    • 赤外発散: 場の理論での「デルタ関数処理」
    • 赤外発散処理といろいろな収束
    • 紫外切断の除去と物理の階層性
    • 有限温度と絶対零度の特異性
  • レゾルベント・グリーン関数とスペクトル
    • 以前田崎さんがこの辺で「ぼくの教科書でのスペクトルの定義は近似点スペクトルを使う。これは標準の定義より物理の人に馴染むと思う」とあったが, この辺が気になる.
    • 物理の人にとって気分的に把握しやすいのはむしろレゾルベントではないか.
    • レゾルベントの積分核をグリーン関数と呼ぶ.
    • ある作用素に対してレゾルベントが取れない値の全体がスペクトル.

進め方

あとで書く背景の実現という点からするといろいろ思うことはあるが, YouTube で動画を配信する前提があるので当面は松尾さんとの 1:1 オンラインセミナーをし, それをさらに録画配信することを想定している. ある程度素性が知れている (適当な意味で私がその人の人柄を知っている) 人に限定しないと場がめちゃくちゃになるこおを改めて実感した. 松尾さん以外にいるのかどうか知らないが, もし参加希望者がいるとしてもオンラインセミナーにリアルタイムで出席する人は限定したい.

背景

Slack でいろいろやりとりをした. クローズドでやっているので全部公開するわけにもいかないが, 私の発言に関してはいくつか抜き出しても問題ないだろう. それをいくつか紹介する.

私の中の 3 つの趣味

時々いうのですが, 私は趣味が三通りあって, 物理としての物理, 数学としての数学, 数学にも物理にもならないタイプの数理物理です. 物理は物理としてやれるし, 数学も数学としてやれるのですが, 修士までとはいえ研究対象として興味を持ったのは何かよくわからない数理物理というやつで 難しい数学を使うというより数学の使い方が難しいか, もしくは既存の数学にないので自分で必要な数学を作るという感じの話が好きです. 数学の使い方が難しいというのは収束評価・不等式評価を頑張るとかそういう感じの腕力が大事なやつです. 人の数だけ数理物理があるようで, 物理が元ネタなだけのいわゆる純粋数学というのもよくあります. いいとか悪いとかいう話ではなく. 日本評論社の数理物理シリーズの巻頭言で, Dobrushin の「応用数学を順数学にすること」に対して, 「数理物理学とは物理に用いられた数学を純粋数学にすることだ, といってもよさそうだ」という荒木先生と江沢先生のコメントがあります. この二人はもともと物理で, 荒木先生は RIMS にいたとかいう事情もあってもはや数学の人ですし, その手の趣味嗜好の人はもう少しいます.

数理物理的な趣味と「教える会」でやろうと思う方向性

私は早稲田の物理出身で, 早稲田紀光はその出自から学部 1 年で集合・位相必修だったとか, 地理的にご近所の大学の田崎さんの熱力学で Lieb 方面にいったので, あの辺が心のふるさとです.

無料で教えることと有料で教えることに関して

プロがそれをやってしまうと「あの高名な人が無料でやってくれるのにお前ご時の実力・指導力で金取るの? 」になりかねないので結構厳しい気分があります. どちらかというと教えるのは価値のあることで, それはきちんとお金をもらえることだ, というお金とのうまい付き合い方みたいなのをきちんとやるべきという気分. いわゆる塾講師などは需要があるわけですが, そういう需要が作れないかという部分が私の問題意識です. 月 20 万でも何とか生活できるはずで, その線にどう載せるかが数年来の問題意識で, 実際何ともなっていないところです. すうがくぶんかなどは需要の掘り起こしなどもやっていると思うのですが, いかんせんリアルで東京の制約があるので, オンラインで頑張るという方向がこれまでの活動です.

これに対して次のような指摘があった.

  • 需要をもっときちんと掘り起こし, マーケットを立ち上げる必要がある.
  • 理由?
    • 数学が何をやっているかを整理した情報がない.
    • 学ぶためのカリキュラムとテキストの不在.
  • これらがない限りどういったものがあって, 何が自分にとって面白そうか, そして実際にチャレンジしてみて自力では無理そうだから人に頼もう, というところまでたどり着きもしないはず.

これについてはいろいろなコンテンツを準備してはいるが, もっと広告を打つなりして広める必要性は感じている.

コンテンツだけではなく, これらのページにも物理・数学の展望を書いているので興味があればぜひ眺めてほしい. これ以外にもメルマガ登録特典として参考文献集+内容紹介リストも配布している. 他にも YouTube でいろいろな動画シリーズを作っている.

リアルも大事

いまコロナで止まっていますが, 去年から地元レベルのリアルでの実験をしたいと思って実際に地元の区の政治家・行政に働きかけたりもしています.

いまは新型コロナで厳しくなっているが, リアルで密な関係を育むことはとても大事だと思っている. いますぐに動けないからこそいろいろ準備をしている. 例えば中高生向け数学・物理・プログラミングコンテンツや, プログラミング学習でどうしても必要になる英語学習コンテンツを整備している.

あと, さっきの PDF は, ネットはネットで大事ですが, 全国各地, 津々浦々のリアルにそういう相談ができる人がいるべきだと思っていて, そのリアルを育てるための企画という側面があります.

ちょっと話がずれますが, AKB の「会いに行けるアイドル」で「会いに行ける研究者」概念は結構重要で, オンラインではなくリアルで集まるというのに素朴な価値はいまだにあると思っています. 旅行かどうかみたいなのはまた別の話で.

私が観測しているネットビジネス系のオンラインサロンも, むしろオフ会での価値を非常に重視しています. ネットの権化のような人たちなのですが, 一歩踏み込んで深いことをしようと思うとリアルがいるという. よく合宿をやっています.

さっきの PDF でもリアル (地元) を大事にしたのはこの側面があります.

(職業に関する) 知っているか知らないか問題

https://twitter.com/rikei_hayanon/status/1305630231772852224専門書という概念をよく知らなかったので探す発想さえないのが問題です.

コンテンツの提供形態

メルマガ読者で動画だと自分のペースでやれない, テキストがいい派もいるので, いろいろな勉強の仕方に合わせたコンテンツ提供が大事で, ワンソースマルチユースできる形で作って配布もそうするのがいいのだろうという気分はあります.

コンテンツ販売よりも, コンテンツ自体は無料にしておいて, それを使って勉強会をする方を有料でやる, みたいな形がいいとは思っています. 課金スタイル・金額はいろいろ調整必要と思いますが, 一人でやりたい人は勝手にやって, 一人でつらい人はみんなでやろうという勉強会スタイル.

ネットで情報発信するうえでその道できちんとやれている人の話を聞くのがいいだろうと思い, 世間でいろいろ言われているネットビジネス系の人たちのコンテンツ買ったりセミナーいったりしていろいろ勉強してきたのですが, 一番参考にしている人たちが最近割と「コンテンツ無料, コミュニティ参加で体験・共有に価値を置くスタイルでコミュニティ参加に毎月 2000 円」みたいなことをやっているので, 時代がそういう方向に動いているという気はします.

いわゆるオンラインサロンですが, ああいうのの数学版・物理版・プログラミング版みたいなのはもっといろいろあっていいでしょうと思っています.

詳しくないことはオンラインで相談して, 詳しい人の意見を募る形にすればいいので.

これ, 数学・物理・プログラミング以外だとどんな人に何をどう相談したらいいかわかりませんし, そういうのは大学内部でさえまるでできていないと思うので, アカデミックな知見を持つ人が緩く集う場所を作ろうというのは 1 つあります. Twitter はある意味そんな感じですが.

そこの仕組みを作りたいので, 価値のあるコンテンツは売りましょうスタイルを実験しているという気分です. まだいろいろやる必要があり, 実際にそんなに売れているわけでもないので.

まさにそこも本当にずっと言われていて, 何を軸にして集まるか, 共通言語が何かと言えば提供しているコンテンツで, その理解の深さがそのまま絆になるという話をずっと聞いています.

前, 何かの案内ページに書いたのですが, すでにコンテンツ・書籍を持っている出版社が「本はただで提供する代わりに毎月 2000 円で勉強会に出られるサービス」みたいなのがあれば, サブスク的に継続的な収益の見込みが立つので経営も安定するしニーズもあるしでだいぶいいはずなのですが, そういうのが出ないですね. 一度読んでも忘れるので, 同じ本・内容の勉強会であっても何度も出席する価値が出ます.

勉強会スタイルもいろいろあって, 例えば人それぞれの悩みを持ち寄って, それを話してもらい, 集団コンサルみたいにすることで自分でコンテンツを作らなくてもいいというスタイルが 1 つあります. コンテンツ提供スタイルでは「受講者の状況に合わせて臨機応変にコンテンツを作る」という名のもと, 本のように全部作ったうえで提供するのではなく, 通信講座的に少しずつ提供していくスタイルがあります. これ, プログラミング系では Manning の MEAP というのがあったりもします.

私も今実際に英語のコンテンツについてその内容をもっとよくしたいので教えてくれ形式の勉強会をしていますが, これも勉強しつつ作りつつで進めています.

実際に私が受けた集団コンサルスタイルは, ビジネス系のコミュニティで, 各人各様の問題があるので, それを各人発表していま抱えている課題を主催者がコメントしていくというスタイルです. 数学・物理でいうなら本の輪読みたいな感じだと思っておけば. 各人がこの本を読みたいと言って読んできて, 詰まった部分をよく知っている人が「これはこうで」というようなのをビジネスでやる感じ.

大学の教育方針に対する問題

学部どころか大学院でさえもはや博士に行って研究者になる人だけの専売特許ではないのに, それが前提の教育スタイルがいまだに続いているのが問題という話だとおもっています.

他のコンテンツ案

まずはふつうにこの辺の話を対談的に話す動画作って, いろいろな意図を紹介していくだけでもそれなりに意義はあるのではないかと思います. 思っていることをきちんと形にするのは大事なので.

あとは勉強会などでも同じなのですが, 「こういうことを考えて実行しているのが一人ではない」というのも結構大事です.

あと, 今パッと思いつきですが, 「現役物理学者から物理を教わろう」ではなく「現役物理学者に数学を教えよう」シリーズみたいなのがあっても面白いとは思います.

どちらかというと学生向けですが, 現代数学観光ツアーで, 物理・量子力学のための関数解析みたいな話をしているので, その辺を改めて整理するついでに何かやるというのは割と手間なくできます. 現代数学観光ツアーと題したコンテンツ, 600 ページくらいあるので.

計算系コンテンツを作る理由

理屈が何一つわからなくてもとにかく計算ができるようになれ, というのは私も学部で叩きこまれました. 結果がおかしい場合は物理的に結果が変なのでそこでリジェクトという荒業が使えます.

理屈の理解がガバガバでも物理の数学をやっていけるからくりを紹介・公開するのもいいかもしれないという話も出た.

ガバガバなのも理由があって, きちんと詰めると一気に数学の勉強を超えて研究になるから気にしたくない人は気にするな, 気にしたい人は諦めて数学をしろ, というのもちゃんと悦明した方がいいと思っています.

「こまけぇことはいいから計算しようぜ」というとき, 数学サイドの数学, 物理サイドの物理からも「いや, それは無視しちゃダメな細かいところでしょ」事案があるので, そういうのはきちんとやりたいと思って力学の計算コンテンツを作ったりしています.

物理学者に数学を教えようシリーズは明らかに異様で, かつ私の方はいろいろコンテンツあるので割とすぐに実現できます. 変なことをやっているのがいるなアピールはできるでしょう.

あまりいないタイプの人材っぽい話

物理学科の 3 年, 数学科の 3 年くらいの話ですでに両方, 最低限何となくでも埋められる, 少なくとも独学できるという人材自体がレアっぽいので. 大学には多少いても社会にはいないタイプという感じもあります. これに最低限プログラム書けるとなるとさらにレアキャラ度が増すようです. 物理とプログラミング, 数学とプログラミング, 物理と数学ならいても, 3 つそれなりにこなせる人間というのがほとんどいないという.

幾何の勉強がつらい

幾何系, とにかくロストテクノロジーというか古い本にしか書いていないのが多くて勉強しづらくてうんざりします.

これがあるから「微分幾何とその計算」と題したシリーズでいろいろ作っている.

ミルナーのモース理論もちょっとした命題が軒並古い論文参照で勘弁してくれと思って途中で放り投げました.

トポロジー回りは本当に魔界ですね. 関数解析とはまた違う趣があります. 関数解析だとまずノルムを入れて収束制御したいところから始まるので.

集合・位相が持つハードル

It's greek to me 的に集合・位相による言語の壁が厚い印象があります. 本質的に同かはともかく, 精神的なハードルの高さが尋常ではないという意味で. 「これ, 俺の知ってる数学じゃない」という.

私は集合・位相の壁を学部一年の必修の講義で叩きこまれて楽しんで乗り越えたので, そこが決定的な違いだと思っています. あと, 早稲田の物理の学部一年で物理学研究ゼミナールという説明しづらい講義があるのですが, そこで拡散方程式を解く中でヒルベルト空間やら何やらに触れて, 今から見ればこのセットが勉強・研究の流れを決定づけたので.

学部の教育, 訳が分からないときに必ずしも面白くもない話を一通り叩き込んでくれるので, あとで勉強するときさらっと確認するだけでも相当楽になるのですが, 非専門だとその面白くない話を独学で埋める地獄があってつらい事案がよくあります.

ノルムだと代数・位相の連携によってかなり事情がよくなる気分があるので, 代数が入らない距離で商と位相の相性が悪いのは重要な指摘と思います.

2020-09-21 現代物理での保存則と対称性, 量子情報・測定理論: 堀田さんのツイートまとめ

はじめに

私はどうももはや数学によりすぎていて, 対称性と保存則に関しても数学色を強めすぎている. 物理学者のコメントを収集しておく目的でまとめる.

ツイートまとめ

トンネル効果, いまだに何なのかまったくわかっていない.

雑感

純粋状態, まず定義からしてよくわかっていないし, その実用に関してはなおさらわからない. 保存則と対称性の話がどう絡んでくるのかも見えていない. この辺の話, やはりきちんと勉強したい.

2020-09-12 自己共役拡大の物理と教育: 「理論物理学者に数学を教えようの会」でも取り上げたい

発端

次のツイートによるようだ.

あとこれ.

まず上でも引用されている, 田崎さんと全さんのやり取りをまとめた記事を記事名つきで引用しておこう.

上記ツイートに全さんが反応した.

ついでにこれ.

言及されている論文

次の論文だ.

For the example of the infinitely deep well potential, we point out some paradoxes which are solved by a careful analysis of what is a truly self-adjoint operator. We then describe the self-adjoint extensions and their spectra for the momentum and the Hamiltonian operators in different physical situations. Some consequences are worked out, which could lead to experimental checks.

私のコメント

全さんにリプライを飛ばしたツイートを引用していこう. 自分のツイートだし面倒なので引用はコピペでさぼりつつ編集する.

どこまで扱うかはともかく、境界条件の設定は「物理」なわけで、境界条件に応じて非可算無限個の自己共役作用素がある(新井・江沢の量子力学の構造に1次元区間での例がある)、この現象があるからこそ数学で物理を書けるというのはコメントすべき感があります。

数学では病的と言われ、物理の人間は興味がなく、数理物理だと(重要性は)自明扱いなのか自己共役拡大の議論でほとんど言及されないっぽいこの話題、かなり好きな問題です。私の知る限りですが、具体的なモデルでの解析は極端に難しく一般論もほぼないようなものなので、物理では気分以上無理でしょう.

これまた私の観測範囲だと、全空間で議論する例が多く、ほとんど本質的に自己共役なクラスで済ませるので、数理物理でも自己共役拡大が多彩な研究事例はほとんどないのではないかと思います。アハロノフ-ボームだとトーラスを抜く関係上境界条件問題が出てその周りで議論があるらしいのは知っています.

谷村さんが非単連結領域上の量子力学といってアハロノフ-ボームをやっている(いた:前に数理科学で見かけた)のもありますが、これは微分幾何との関連みたいな話がメインで自己共役拡大の話はあまり触れられていなさそうな気分があります。

これ, 数理科学での実際の記事タイトルは何だっただろうか. 忘れてしまった.

自己共役拡大が問題になる例、初等的には境界条件が出る有界な量子系かアハロノフ-ボームのようなトポロジカル無効果が出るところかで、前者は井戸のような面白さを主張するのが難しそうな初等的な例、後者は(数学的に)難しくて手に負えないので、あまりいいネタがないように思います。

私の物理はほぼ学部3年で止まっているのでまったくわからないのですが、井戸の問題、あれは学部3年で扱う以上に物理的に何か面白いことあるのでしょうか?

大して面白くもない問題で語っても「数学の話をしたいなら数学科でしてください」事案になってしまうのでさすがに厳しいと思います。本質的に自己共役なところでしかやったことがないので私もまともな具体例を全然知りません。強いていうなら量子統計の熱力学的極限を取る前の有界系くらいです。

Hirokawa, 2000, Canonical Quantization on a Doubly Connected Space and the Aharonov-Bohm Phase 私が知っているのは廣川先生のこの論文です(院の頃読もうと思って難しく読めなかった)。物理の学部レベルが既にバリバリの研究水準という数学・数理物理あるあるです。ご存知とは思いますが、アハロノフ-ボームの話は新井先生の量子現象の数理でも少し言及があります。

「理論物理学者に数学を教えようの会」をやることになったので、この辺の話も盛り込もう

今ふと思い出したが、非平衡統計で有限系の両端に温度が違う系をつなげた場合に実現する非平衡定常状態にミクロのハミルトニアンがどう影響を及ぼすかみたいな問題設定で自己共役拡大な話関係したりするか?非平衡で上のような設定が実際に論じられているのは知っているが無限スピン鎖だったような。

理論物理学者に数学を教えようの会

今度「理論物理学者に数学を教えようの会」をやることになったので適当なタイミングで触れようと思うのですが、何か物理的にいいネタあるでしょうか?さっきの論文くらいですか?

本を買いたいもののお金がない厳しい社会に生きているのでお金に余裕が出たら買って眺めます。

Solvable models in quantum mechanics, 理論物理学者に数学を教えようの会でも取り上げたい. これの紹介記事, 早く書いてまとめて勉強会をスタートさせたい.

2020-08-12 フランクリンの「生まれたての赤ん坊が何の役に立つか、あなた答えられますか?」と科学・技術の倫理

はじめに

Twitterで時々見かける, 研究者による次のツイートを見た.

これに連なるツイート群は後半にまとめておくことにして, 次のような引用 RT をしたら少しやりとりが続いたので記録する.

やりとり

やり取りのあとのツイート

こうは書いたが, 高校の頃の私でさえ考えたことなので, 科学・技術の倫理では相当の議論の蓄積があるはずだから, いい加減何か勉強した方がいいのだろう. 何かよい本をご存知の方がいればぜひ教えてほしい.

研究者にシンパシーがある人達のツイートまとめ

物理学科の学生や物理学者にさえ「数学科の数学が何の役に立つ」とさえ言われるので, 私もこうは言いたいがどの程度受け入れてもらえるのだろうか?

こう発言できるその素朴さがとにかく本当にただただ羨ましく, まぶしい.

そういう扱いしか受けていないことに対してもっと積極的に行動を起こしてほしい.

どうしようもなく心を動かすから戦争利用もちゃんとできるという部分, 芸術界隈はどう処理しているのだろうか?

気分が落ち込んできたのでこのくらいにしておこう.

2020-03-07 ケットベクトルとは何か--量子系の状態概念の数理

Twitterでのコメントをまとめておく. 本題は後半の方.

状態概念

物理と数学と工学と: 壮絶なコミュニケーションギャップ

2020-02-21 相対論的量子力学の謎: ディラックの海は必要か

Twitterで見かけたので自分の備忘録としてまとめておく.

私の感覚からすると, そもそも波動関数が何なのか, もっと言えば物理で何を指しているのかよくわかっていないし, 量子場を何だと思っているのかもよくわかっていない.

数学として波動関数は無限次元の$L^2$の元, 量子場はフォック空間を代表とする, 場の量子論に対するヒルベルト空間上の適当な作用素という認識で, 混同しようがないが, 物理だとどう教育しているのかよくわかっていない.

物理, この手の教育のブラッシュアップがほとんど全くされていない印象がある. 熱力学もたいがいひどい. 他の分野ではどうなのだろう. 統計学が地獄なのはわかっている. 統計学は自分でコンテンツを作る体できちんと勉強したい.