相対論的量子力学の謎: ディラックの海は必要か¶
Twitterで見かけたので自分の備忘録としてまとめておく.
クラインゴルダン方程式などの相対論的な波動方程式は場の量φの時間に関して2階微分なので、保存則を満たす正定地の確率密度を導入することはできないので、確率解釈ができる波動関数とは解釈できなかったわけです。そこでφを物理的場と解釈し、その量子力学として生まれたのが場の量子論です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
現在多くの物理学科では、古い慣習に従って相対論的量子力学(つまり1体系のディラック方程式)の後に場の量子論を教えてますが、これが量子場と波動関数の概念の混乱を物理学徒に引き起こす原因です。炎上覚悟で言いますが、相対論的量子力学なんか飛ばしてすぐに場の量子論を教えたほうが良いです。 https://t.co/SGVAq4L7Nf
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
歴史的にディラックがどのようにしてディラック方程式にたどり着いたのかは、科学史としては面白いですが、現代に生きる我々が最先端の物理学を学ぼうとするときに、彼や当時の人々の思考を辿って場の量子論に行くつく必要はありません。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
ディラック方程式だって、無限に深い負エネルギー準位が出てくるため、その全部が電子で埋まっている「電子の海」を考える必要があります。結局ディラック場は電子の1体系の波動関数なんかではなく、多粒子を記述する物理量演算子としての場です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
ディラック場演算子から定義される消滅演算子aで消える(a|0>=0)と真空状態は定義され、その真空状態に生成演算子をN個かけてN粒子状態|N>を作るわけです。最終的に電子の海なんか必要ありません。そんな迂回路を物理学徒に通らせるから、量子場と波動関数の区別がつかなくなるわけです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
物性分野でも、シュレーディンガー場で多体粒子系を記述するわけですが、その場合でも場と波動関数の混同がないように教えているはずです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
あたかも1体系の相対論的量子力学があるように教え始めながら、結局多体系の場の理論になってしまうため、最後にゴミ箱に全部捨てさせてから、場の量子論をまた最初から教えるのは、教わるほうも教えるほうも時間の無駄だと思います。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) February 21, 2020
私の感覚からすると, そもそも波動関数が何なのか, もっと言えば物理で何を指しているのかよくわかっていないし, 量子場を何だと思っているのかもよくわかっていない.
数学として波動関数は無限次元の$L^2$の元, 量子場はフォック空間を代表とする, 場の量子論に対するヒルベルト空間上の適当な作用素という認識で, 混同しようがないが, 物理だとどう教育しているのかよくわかっていない.
物理, この手の教育のブラッシュアップがほとんど全くされていない印象がある. 熱力学もたいがいひどい. 他の分野ではどうなのだろう. 統計学が地獄なのはわかっている. 統計学は自分でコンテンツを作る体できちんと勉強したい.