量子力学教育の現代化に関する適当な考察

Twitter で物理系の大学教員が量子力学教育の現代化というお題でいろいろ言っていた. 旧来の水素原子に関する偏微分方程式の解析などよりも, 量子情報や量子測定理論など現代的な量子論の理解にもとづいて教育を組み直すべきではないか, 無限次元の面倒な議論よりも有限次元のヒルベルト空間論で本質は十二分に説明できるはず, そうした話が展開されていた. それについて適当にツイートしたので, せっかくなので適当にまとめておく.

放言

私の趣味という意味での数理物理的観点

もう少し真面目な教育的話題

最後に

私が作った現代数学探険隊はまさに水素原子の量子力学に必要な解析学を 1 から整備したコンテンツだ. その辺について, infinity_topoi さんのブログの記事に対するコメントとしていくつかまとめた. 興味があればぜひ読んでほしい.

何にせよ線型代数に関わるコンテンツはいろいろ必要で, 今後も解析または微分幾何視点でいろいろ作っていく.

コメントの移行

HashiraQさんから

量子力学について特に業績もなく本当に教科書が出るのか出ないのかも不明なツイ廃物理教員方面のホラ話、そんなに真に受けなくても、と思わんでもないっす。

だいたい何をもって「現代的」??水素原子も実空間系のスペクトルも取っ払って量子情報系に特化した教科書なんかいくらでもあるでしょ。日本語でももう長らく清水本、北野本とあって特に何のニュースもないいのでわ。

いずれにせよ現状では絵に描いた餅。いろんな教科書が出て選べるのはいいことなので、まずはお手並み拝見、教科書が出た時点で議論すべきことだと思いますね。

それより相転移P著の数学っぽい量子力学の教科書が読みたい。

自分

新井先生とLieb方面の相の子のような趣味をしているので、その辺の本の劣化版が私が書く本にあたります。劣化版をあえて書くなら、日本語でカバーされている本が(多分)ないという意味ではLieb方面の水素原子からのStability of matterを市民でも読めるように議論を丁寧に書く部分に全力を振るだろうと思います。

追記

新井先生の本に関しては恐ろしく丁寧で言うことはないものの, Lieb の本に関してはそこそこ行間があるため, そこを補うコンテンツはあっていいと思う. 特に stability of matter は前から興味があるので, コンテンツを作る体で勉強するのは本当にある. やりたいことが本当に多い.