現代物理での保存則と対称性, 量子情報・測定理論: 堀田さんのツイートまとめ¶
はじめに¶
私はどうももはや数学によりすぎていて, 対称性と保存則に関しても数学色を強めすぎている. 物理学者のコメントを収集しておく目的でまとめる.
ツイートまとめ¶
人類が馴染んできたモノの実在性はそのエネルギーや電荷等の保存則に支えられており、それに基づいた「1つの見方」に過ぎないとも言えます。その保存則の背景には対称性があるというのは現代物理学の基本的理解です。私の中で保存則は、情報処理コードにおける単なる対称性の拘束条件という感覚です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
物理法則やモノの実在性は、例えある観測者が死んだ後でもあるはずという意見をもらうことがあります。しかし考えてみると、特定の一観測者にとって、それは反証不可能なメタ科学的な問いであるだけでなく、物理学の議論の中だけでも微妙なところもあるわけです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
例えば今の我々の周囲の宇宙はある1つの準安定状態に留まっていて、未来のあるときにトンネル効果で別な状態に遷移することも可能性は否定できないのです。その場合、粒子の質量や電荷の強さなどの素粒子の相互作用に関わる法則は、大きくガラリと変わることもあり得ます。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
トンネル効果, いまだに何なのかまったくわかっていない.
実際ヒッグス粒子の質量の値が従来の予想より大きく出たことで、このような宇宙の相転移やトンネル現象を解析する研究者もいます。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
見えた月が次の瞬間に振り返っても実在し続けることは、応用上問題なく使っていいのですが、基礎的レベルでは非常に疑問です。日常生活レベルでそれは信じられないという実感も理解できるわけですが、かといって「実在性」というものは、それほど強固な基盤を持っているわけでもないという感じです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
モノの実在性ですが、その延長線上で人間の実在性も問えるわけです。量子力学ではある人間が生まれたという1つの歴史も実は観測者依存な概念です。「ある人物が実在した」ということは、量子力学の思考実験としては、ある観測者にとっては正しくても、他の観測者にとっては意味のない内容となります。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
シュレディンガーの猫の思考実験というのがありますが、これは猫がやがて生きている状態と死んでいる状態の重ね合わせになるという話です。しかしこの初期条件を置く時刻を、その猫が生まれる前の時刻に持っていくこともできますよね。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
親猫からその猫が生まれてくる前の状態を量子的な純粋状態として準備すると、時間発展によって異なる様々な猫が生まれる歴史との線形重ね合わせが生じます。これは外部観測者にとっては確かに事実であり、その異なる歴史の間の干渉効果も、原理的にはその外部観測者は実験で測定することもできます。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
つまりその外部観測者にとっては、「ある特定の猫がその親猫から生まれ、実在していた」と述べることはできません。その猫が実在した歴史もあるし、実在しなかった歴史もあります。そしてその系は量子的な純粋状態として、それらの歴史の重ね合わせにあるからです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
内部観測者を考えれば、その観測者にとって、その猫は実在したか、またはしなかったかのどちらかになります。しかし外部観測者にとっては、その内部観測者の記憶自体も異なる、様々な歴史状態の線形重ね合わせになってます。内部観測者が何を確認したかは、外部観測者にとっては意味がありません。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
仮に人類が生まれる前に外部観測者(宇宙人!?)が地球全体を純粋状態に設定できたとして、その後エネルギーはコヒーレントにしか出入りさせないとしながら、地球の量子状態の純粋性を保つ思考実験をすれば、その外部観測者にとっては、「徳川家康は実在したか?」という問いは意味を持たないのです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
その外部観測者にとっては、家康が実在した歴史の状態も、いない歴史の状態もあり、そして地球系全体の量子純粋状態は、その異なる歴史の状態の線形重ね合わせになってます。また原理的には、その外部観測者は異なる歴史の干渉項も測定できることになります。家康のいる歴史といない歴史の干渉項です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
この思考実験を考えると、家康の実在性すら、量子力学では危うい概念だと感じて頂けるかもしれません。私たちは家康が生まれた歴史の中を生きていますので、それは確定的であり、実在性の脆さを実感できません。でも我々自体をも量子系として扱う外部観測者にとっては実在性という概念は崩れるのです。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
これらの思考実験の結果は、なんら特別変わった量子論での話ではなく、通常のコペンハーゲン解釈を用いた標準的な量子力学の帰結です。モノや人間の実在性は、決して強固な概念ではないのですね。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
このように量子力学は、世界の見方を大きく変える力を持っています。ただこれらの話を知ると、また一知半解で量子力学をオカルトに結びつける方も出てくるかもしれません。量子力学は、どれかのパーツを端折るとすぐに邪道化します。ちゃんと基礎から積み上げて、きちんと理解することが大切です。
— Masahiro Hotta (@hottaqu) September 21, 2020
雑感¶
純粋状態, まず定義からしてよくわかっていないし, その実用に関してはなおさらわからない. 保存則と対称性の話がどう絡んでくるのかも見えていない. この辺の話, やはりきちんと勉強したい.