第 008 回 第 4 文の読解

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この動画に特化したリンク先は次の通りです。

(講義動画と関連リンクの内容)

以下いつもの関連コンテンツ群です。

(YouTube 動画の説明欄にいつも張るリンク集)

YouTube 公開用: これを読んでいる方への注意・言い訳

これはコンテンツの原稿案であり, 私の勘違いや単純なミスを含めた間違いも含まれた文章・コンテンツです. そのつもりで内容を眺めてください.

勉強会の最中や後で指摘を受けてオリジナルの原稿には修正を入れ続けますが, 多重管理が大変なのでこちらの記録自体はいちいち修正しません. もちろん指摘は歓迎しますし, 個々の md に関して指摘された部分は修正します.

適当なタイミングでコンテンツ・サービスをリリースするので, もしあなたが間違いを潰した (少ない) バージョンのコンテンツで勉強したいなら, それを待ってください.

講義動画と関連リンク

はじめに

今日の予定

進捗

TODO

in motion, at rest の前置詞を大事に. For の使い分け: 前置詞のときは後ろに名詞が来る, 接続詞なら文みたいな話も書いておく. in the neighbourhood の the が面白い. a energy などの冠詞はもっときちんと注目. the parts とならない理由を追記.

今日のメモ

内容: コンテンツ (案) からの転記

備忘録

第 4 文

en.4

For if the magnet is in motion and the conductor at rest, there arises in the neighbourhood of the magnet an electric field with a certain definite energy, producing a current at the places where parts of the conductor are situated.

de.4

Bewegt sich nämlich der Magnet und ruht der Leiter, so entsteht in der Umgebung des Magneten ein elektrisches Feld von gewissem Energiewerte, welches an den Orten, wo sich Teile des Leiters befinden, einen Strom erzeugt.

fr.4

(if and only if = si et seulement si)

Si par exemple l'aimant se déplace et que le conducteur est au repos, alors un champ électrique d'une certaine énergie apparaît à proximité de l'aimant, ce qui engendre un courant dans les parties du champ où se trouve un conducteur.

courant courir trouver = find

jp.4

というのも, もし磁石が運動状態にあって導体が静止しているとすると, 磁石の近傍にはある決まったエネルギーを持った電場が発生し, 導体の各点で電流が生じる.

解説

英語

For if the magnet is in motion and the conductor at rest,

訳文では文頭の for を「---というのも」という形で訳しています. ここの for は接続詞です. For とみたら前置詞と安易に判断してはいけません. こういう基本的な単語こそ英英辞典でじっくり調べてみましょう. 前置詞はコアミーニングをもとに多彩な意味を持つので, 前置詞の意味・用法を調べるだけでも勉強になります. ここの for は文章解釈上, 第 3 文の内容を詳しく説明していて, for を文頭に置いてそれを明示しています.

引き続き magnet は磁石, conductor は導体で, やはり冠詞は the です. 磁石が動いている (in motion) で, 導体が止まっている (at rest) 状態を仮定しています. 第 3 文で相対的な運動状態に依存すると言っているので, 実際に磁石を動かした状況を考えています.

Motion に対して前置詞 in, rest に対して前置詞 at を使っています. ふつう rest は休憩といった意味で使われます. 物理で静止 (状態) を表すのはこのふだんの意味と同じです. ここは語と語の相性 (コロケーション) と思っても構いませんし, 熟語と思ってもいいでしょう.

there arises in the neighbourhood of the magnet an electric field with a certain definite energy,

there is a room Is there you are --- Are you ---?

There arises はいわゆる there is 構文です. このように be 動詞の代わりに違う動詞を使うことがあります. 特に数学では is の代わりに there exists をよく使います. There is の is は存在するという意味で使われているので, それを適切な言葉で明確にしているのです. つまり, ここでは単に存在するだけではなく, 生み出された結果として存在するという意味で arise が使われています. 特に arise を「発生する」などと訳せばいいでしょう.

Neighbourhood はふつうの意味では「近所」のような意味で, そこから「周囲」くらいの感覚で訳すといいでしょう. ここでは数学的な言葉遣いである「近傍」と訳してみました. In the neighbourhood of the magnet で「磁石のまわり」で, there is に対応して存在する場所を指定しています.

An electric field with a certain definite energy は全体として「ある一定のエネルギーを持つ電場」と訳します. Electric は「電気の」という形容詞で, field は物理の専門用語として「場」と訳し, 2 つでまとめて「電場」です. 高校の教科書だと電界と呼ばれているかもしれません. 実はこれは工学で使われる呼び方で, 物理では電場と呼びます. そして with 以下は電場がどんな状態にあるかを説明しています.

Certain と definite は辞書を見ると同じような意味が出てきます. 実際英語で考えても意味の重なりがあります. ここではあえて 2 語使われているので, 意味を重ねずに使い分けているはずです. 例えばそれぞれの意味を次のように考えればいいでしょう.

Definite は certain で存在が示唆された量の具体的な値について言及しているのです. Definite は define と関係あることに注意すれば, 「状況を限定・制限すれば決まる」という意味で捉えるべきです. 単語編の certain と definite/define も確認してみてください.

Energy はいわゆるエネルギーです. エネルギーはドイツ語読みで英語読みはエナジーです. 2019 年現在エナジードリンクという飲み物がありますが, そのエナジーです.

producing a current at the places

Producing ではじまる副詞句の説明に入ります. もちろん現在分詞による分詞構文です.

Current は電流で produce a current で「電流を発生させる」です. Places は「場所」で, at the places で電流が発生する場所を説明していて, 特にどんな場所なのか where による関係副詞で詳しく説明されています.

where parts of the conductor are situated

Parts are situated が本体で, 「部分が置かれている場所に電流が発生している」と訳します.

(TODO parts に the がつかないのは何故?) the parts にしてしまうと導体の特定部位という意味になってしまう.

Situate は日本語化したシチュエーション (situation) のもとになった動詞です. Situation は状況くらいの意味と思えば「置かれた状態 = 状況」と理解すればよく, Be situated は「置かれている = ---な状況にある」とでも訳せばいいでしょう.

また Parts が意味不明なので of the conductor という説明が入っています. 全体として「導体の各部位」とでも訳せます.

文構造・文法事項

英語

全体の文構造

全体の構造は次のようになっています.

文頭の For は接続詞で, 前文を受けて「さきほどこう書いた理由は---」という意味で使われています. If の条件節があった上で there arise (there is) 構文があり, ある条件下で何かが出てくると言っています. ", producing ---" は分詞構文で状況を補足的に説明しています. その分詞構文の中にさらに where ではじまる関係代名詞があり, places を修飾しています.

初出なので electric field と energy には冠詞 a がついています. Current も可算名詞で冠詞がつくのは面白い感覚のように思います. 実際 weblio には電流の意味だと一般には不可算名詞であり, a direct current (直流) のように種類を表すときには可算名詞として扱うとあるので, 名詞の可算・非可算, そして冠詞の有無には英語の独特の感覚があります.

(TODO energy はふつう不可算名詞なのに冠詞があるのはどういう意図か?)

さらに副詞句として文全体に in the neighbourhood of the magnet がかかります. 何の neighbourhood (どこに電場ができるのか) かを示すために of the magnet が使われています.

口語英語でこんな複雑な文章はまず出てきません. 理解できないからです. 文章の英語特有の複雑な構文です. 中身を詳しく見ていきましょう.

主節: For there arises an electric field with a certain definite energy

There arises --- が主節です. 動詞はもちろん arises で主語は electric field です. この field を with a certain definite energy が修飾しています. タイトルでは省略していますが, electric field が存在する場所を指定するために in the neighbourhood of the magnet があります.

念のためフルの文章も載せておきましょう.

Field は可算名詞なので冠詞 a がつきます. 電場の強さを測定することはあっても電場を数えるという感覚は日本語にないと思うので, 面白い感覚ではないでしょうか. ただ, 電場の強さは電気力線の密度であり, 単位面積あたりで規格化しているとはいえ, 電場の強さの測定は電気力線の本数を数えることにあたります. こう思うと可算名詞で電場を捉える気分もわからないでもありません.

producing a current at the places

この副詞句は分詞構文で意味上の主語は electric field です. 主語が何か判定する方法はいくつかありますが, 物理法則として電場の変化が電流 (いわゆる変位電流) を生むので, そこからも主語が判断できることをコメントしておきましょう.

(TODO 文法的に主語を判断するにはどうすればいいか?)

初出の current は冠詞 a がついています. At the places の the は where 節の内部の情報によって既知情報であるとわかっています.

(TODO the places で places がなぜ複数か?)

where parts of the conductor are situated

Where 節は関係副詞節として places を修飾していて, 中身は受動態です. Where なので先行詞は場所であり, ここでは素直に直前の places が先行詞だと思えばいいでしょう.

(TODO parts になぜ冠詞がつかない?)

if the magnet is in motion and the conductor at rest

If 節の中身は単純な SV の第 1 文型が and で 2 つ並んでいます. 読解のポイントを 1 つ挙げるとすると, the conductor at rest では動詞 is が省略されていて, 正確には and the conductor is at rest です.

くどくはなりますが, magnet と conductor には冠詞 the がついていることも注意しておきます.