第 009 回 第 4 文の文法・単語

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この動画に特化したリンク先は次の通りです。

(講義動画と関連リンクの内容)

以下いつもの関連コンテンツ群です。

(YouTube 動画の説明欄にいつも張るリンク集)

YouTube 公開用: これを読んでいる方への注意・言い訳

これはコンテンツの原稿案であり, 私の勘違いや単純なミスを含めた間違いも含まれた文章・コンテンツです. そのつもりで内容を眺めてください.

勉強会の最中や後で指摘を受けてオリジナルの原稿には修正を入れ続けますが, 多重管理が大変なのでこちらの記録自体はいちいち修正しません. もちろん指摘は歓迎しますし, 個々の md に関して指摘された部分は修正します.

適当なタイミングでコンテンツ・サービスをリリースするので, もしあなたが間違いを潰した (少ない) バージョンのコンテンツで勉強したいなら, それを待ってください.

講義動画と関連リンク

はじめに

今日の予定

進捗

TODO

今日のメモ

内容: コンテンツ (案) からの転記

rest

Wiktionary によるとゲルマン祖語の rastijō (rest), 印欧祖語の ros-, res-, erH- (rest) に由来します.

neighbourhood

これは neighbour +‎ -hood に分解できます. Neighbour はゲルマン祖語の nēhwagabūrô (neighbour) に由来し, nigh +‎ bower に分解できます. Nigh は near と同根であり, bower はゲルマン祖語の būraz (room, abode) に由来し, ドイツ語の Bauer (birdcage) と同根です.

一方 -hood はゲルマン祖語の *haiduz に由来し, ドイツ語の -heit と同根です.

certain

Wiktionary によると古フランス語の certain の借用語であり, 俗ラテン語の unattested form である *certānus, ラテン語の extended form である certus ("fixed, resolved, certain"), 同じ語源で cernere ("to separate, perceive, decide") の過去分詞 cretus に由来します.

読解編で見るように第 4 文で with a certain definite energy という形で出てきます. ここで問題なのは certain と definite の使い分けです. この 2 語は実際に同じような意味でどう使い分けているかが問題になります. いくつか調べてみた結果を引用しておきます.

certain: of a specific but unspecified character, quantity, or degree. "The house has a certain charm." Using "definite charm" in this case simply doesn't fit.

definite: free of all ambiguity, uncertainty, or obscurity. "We need a definite answer." Using "certain answer" in this case wouldn't mean the same thing.

上の with a certain definite energy については次のように使い分けているのでしょう.

Definite の意味については definite, 特に動詞の define の項も参考にしてください. Define の意味は「定義する」であり, 曖昧さなく範囲を明確にするイメージがあります. 特に制限をかけるというニュアンスもあります. これを前提にすると語のイメージがもう少しはっきりするでしょう.

definite

Wiktionary によるとラテン語の dēfīniō の過去分詞 dēfīnītus に由来し, 英語の define とも関係があります. 単語 define の記述も参考にしてください.

読解編 (論文) の第 4 文には with a certain definite energy という句が出てきます. ここで certain と definite の使い分けが問題になります. Certain の項に解説をつけておいたのでそちらも参考にしてください.

energy

中フランス語の énergie, 後期ラテン語の energia, 古ギリシャ語の enérgeia (activity), energós (active) に由来します. この energós は en (in) + érgon (work) と分解できます. 物理での意味はトーマス-ヤングの 1802 年の講義に由来します.

ギリシャ語 érgon はヘレニック祖語 wérgon, 印欧祖語 wérǵom に由来します. これは古英語 weorc (English work) と同根です. ここまで来ると energy が work と同根であるとわかります. 物理の専門用語としても仕事 (work) とエネルギー (energy) の関係は重要ですが, 語源の上でもきちんと関連しているのです.

produce

ラテン語 prōdūcō ("to lead forth") の借用語です. これは prō- ("forth, forward") + dūcō ("to lead, bring") と分解できます.

current

Wiktionary によると古フランス語 courre (to run) の現在分詞 curant (courant) の借用語であり, ラテン語 currō (I run) の現在能動原形 currere (to run, move quickly) に由来します. Courant の二重語でもあります.

意味としては「いままさに流れているもの (走っているもの)」です. ここから貨幣 (currency: 金は世の回りもの) と言った意味も出てきます. 語源, そして語のコアミーミングには常に注意を払うようにすると, 急がば回れで語彙力と言語直観が磨かれます.

流れを表す英単語では flow も物理・数学でよく出てきます. こちらはゲルマン祖語の flōaną (to flow), 印欧祖語の plōw- や plew- (to fly, flow, run) に由来します. Wiktionary には float と比較するよう指示があり, そちらを眺めてみると float はゲルマン祖語の flutōną (to float), 印欧祖語の plewd-, plew- (to float, swim, fly) に由来します. 古ギリシャ語の pléō, ラテン語の plaustrum (wagon, cart) とも同根です.

昔アーマードコアというゲームがあり, これにフロートという脚部パーツがありました. まさに常に地面から浮遊した状態で移動するパーツです. これはラテン語の wagon, cart との語感を持った言葉です.

流れと言えば物理では流体力学という分野があり, これは英語で fluid dynamics と言います. この fluid は見ての通り flow と形が似ています.

place

Wiktionary によるとラテン語の platea (plaza, wide street), 古ギリシャ語の plateîa に由来し, ギリシャ語については plateîa hodós (broad way) の略語です. 他には印欧祖語では plat- (to spread) に由来し, これは pleh₂- (flat) の extended form です.

単語 plazapiazza の二重語でもあります. 前者の plaza はスペイン語の plaza (town-square or central place of gathering) にも由来を持ちます. 後者の piazza はイタリア語の piazza に由来します. ここで見るとわかるように, 英語での pl はイタリア語では pi に変わる一般的な法則があります. 英語の plate はイタリア語で piatte です.

スペルを見ると pizza, つまりピザとの関係もありそうですが, Wiktionary によると pizza の語源はまだ確かなことがわかっていないようです. 一応中世ギリシャ語 (Byzantine Greek) の pítta (cake, pie), 古ギリシャ語 píssa (pitch), ラテン語の pinsō (I beat, pound) に由来するのではないかとは書いてあります.

situate

Wiktionary によると後期ラテン語の situātus に由来します. これは中世ラテン語の situō (to locate, place) の過去分詞であり, 同じくラテン語の situs (a site) に由来します.

数学で現在トポロジー (位相幾何) と呼ばれる分野は, フランス人数学者のポアンカレの論文 Analysis Situs に由来して実際にこのように呼ばれていました. 数学史では有名な話です.