第036回 第18文の多言語比較・読解

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まず確認

YouTube 公開用: これを読んでいる方への注意・言い訳

これはコンテンツの原稿案であり, 私の勘違いや単純なミスを含めた間違いも含まれた文章・コンテンツです. そのつもりで内容を眺めてください. 勉強会の最中や後で指摘を受けてオリジナルの原稿には修正を入れ続けますが, 多重管理が大変なのでこちらの記録自体はいちいち修正しません. もちろん指摘は歓迎しますし, 個々の md に関して指摘された部分は修正します. 適当なタイミングでコンテンツ・サービスをリリースするので, もしあなたが間違いを潰した (少ない) バージョンのコンテンツで勉強したいなら, それを待ってください.

講義動画と関連リンク

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メモ

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第18文

対象文

en.18

We have to take into account that all our judgments in which time plays a part are always judgments of simultaneous events.

it.18

Dobbiamo tener presente che tutte le nostre asserzioni nelle quali il tempo gioca un ruolo sono sempre asserzioni su eventi simultanei.

sp.18

Debemos tener en cuenta que todas nuestras afirmaciones en las cuales el tiempo juega alg'un papel, siempre son afirmaciones sobre eventos simultáneos.

ru.18

Мы должны обратить внимание на то, что все наши суждения, в которых время играет какую-либо роль, всегда являются суждениями об одновременных событиях.

sch.18

我们应当考虑到: 凡是时间在里面起作用的我们的一切判断, 总是关于同时的事件的判断.

ja.18

私達は次の事情を考えなければならない. つまり時間が役割を担う考察は常に同時の事象に対する考察でなければならない.

英語解説

文構造

(SVA, コピュラ文, SVC) 主節は第三文型SVOで目的語 O が that 節です. That 節は judgments are judgments という形で, ふつう "judgments are ones" と書くでしょうから少し珍しい書き方です. これは in which 節が挿入されているので解釈の曖昧さを防ぐためにあえてこう書いたのでしょう. 主語の judgments を in which の関係代名詞が修飾し, 補語の judgments を of の句が修飾しています.

We have to take into account

これは take into account 「考慮に入れる」が動詞句または熟語, have to 「---しなければならない」が助動詞としてはたらいているだけです. 助動詞が助動詞句として 2 語, 動詞が動詞句として 3 語で動詞部分が 5 語もあります.

意味は「私達は---を考慮に入れなければならない」, もっと単純には「私達は---を考えなければならない」です. 何を考えなければいけないかは that 節の中身で示されています.

that all our judgments are always judgments of simultaneous events

冒頭の that は関係代名詞の that です. これは第二文型SVCで本体は judgments are judgments で, always 「常に」という副詞がついています. 主語・補語にどんな修飾語句がつくかが問題です.

補語は冠詞なしの複数形で of simultaneous events 「同時の事象について」がついています. ここでの events も冠詞なしの複数形で一般的な event について語っていること, 相対性理論特有の専門用語で「事象」と訳すことに注意してください.

主語については all our judgments で「私達の全ての判断」です. 冠詞なしの複数形で何かを限定しているわけではないにも関わらず all がついています. この all の範囲を制限しているのが次の in which が導く関係代名詞節です. 先に関係代名詞節まで含めた主語の訳を書いておくと「時間が役割を演じる私達の全ての判断」です.

in which time plays a part

ここは time plays a part in で in の後ろに来る名詞が先行詞の judgments です. 主語は冠詞なしで単数形の time であり, ここでは不可算で抽象的な意味での「時間」を指していると思えばいいでしょう. 動詞もきちんと三単現の s がついています.

動詞は plays a part in 全体で動詞句・熟語とみなすべきで, 「---という役割を果たす」という意味です. ここでは「時間が関わる」くらいで訳すといいでしょう.

ドイツ語解説

補足

物理としての注意

この文章を物理として理解する上でのポイントは, 「同時の事象」です. 相対性理論で有名な「速く動くと時間が遅れる」という話は, まさにこの同時性に関わる問題なのです.