第037回 第19文の多言語比較・読解

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まず確認

YouTube 公開用: これを読んでいる方への注意・言い訳

これはコンテンツの原稿案であり, 私の勘違いや単純なミスを含めた間違いも含まれた文章・コンテンツです. そのつもりで内容を眺めてください. 勉強会の最中や後で指摘を受けてオリジナルの原稿には修正を入れ続けますが, 多重管理が大変なのでこちらの記録自体はいちいち修正しません. もちろん指摘は歓迎しますし, 個々の md に関して指摘された部分は修正します. 適当なタイミングでコンテンツ・サービスをリリースするので, もしあなたが間違いを潰した (少ない) バージョンのコンテンツで勉強したいなら, それを待ってください.

講義動画と関連リンク

この記事・動画に特化したリンク先は次の通りです。

以下いつもの関連コンテンツ群です。

(YouTube 動画の説明欄にいつも張るリンク集)

進捗・TODO・今日のメモ

内容: コンテンツ (案) からの転記

対象文

en.19

If, for instance, I say, "That train arrives here at 7 o'clock," I mean something like this: "The pointing of the small hand of my watch to 7 and the arrival of the train are simultaneous events."

(footnote) We shall not here discuss the inexactitude which lurks in the concept of simultaneity of two events at approximately the same place, which can only be removed by an abstraction.

de.19

Wenn ich z. B. sage: „Jener Zug kommt hier um 7 Uhr an", so heißt dies etwa: „Das Zeigen des kleinen Zeigers meiner Uhr auf 7 und das Ankommen des Zuges sind gleichzeitige Ereignisse."

(Fußnote) Die Ungenauigkeit, welche in dem Begriffe der Gleichzeitigkeit zweier Ereignisse an (annähernd) demselben Orte steckt und gleichfalls durch eine Abstraktion überbrückt werden muß, soll hier nicht erörtert werden.

fr.19

Par exemple, si nous disons «qu'un train arrive ici à 7 heures», cela signifie «que la petite aiguille de ma montre qui pointe exactement le 7 et que l'arrivée du train sont des évènements simultanés».

補足

内容の補足: 特に脚注

私は学生の頃に指導教員から「論文は注を読むのが一番難しい」と言われたことがあります. ここの脚注は物理に慣れている人ほど疑問に思わず「いちいちそこまで注意するのか」と思うでしょうし, 逆に物理に慣れていない人には何を言っているのかよくわからないかもしれません. 念のために補足しておきます.

まず近似的に同じ場所でのふたつの事象が何を指しているかというと, もちろん「時計の短針が7を指すこと」と「電車の到着」です. 自明な話として時計, もっと言えば時計の短針と電車の場所は同じではありません. 電車にしても電車のどの位置を取るかという問題がありますし, もっと言えば時計の短針を読んだ人間の目の位置とのずれなどもあります. 人間が時間を確認するには時計から出てくる光を目で捉え, その情報が神経回路を伝わって解釈するだけの時間のずれがあり, 厳密に同時刻ではないからです.

もちろん「適当に決めればいい」のですが, この「適当」のところに曖昧さが残っています. 例えば時計も電車も質点で近似した上で, 思考実験的に人間が時計を読む処理は省略すればいいでしょう. こうした説明をいちいち書くのは明らかに面倒ですし物理学者なら誰でもできます. だから本文ではsomething like thisで気分だけ説明して, あとは各自で適当に埋めておいて, と濁しているわけです.

実は次の文以降でこの事情にさらに深く切り込んでいます. 脚注まで含め無意味に書いているわけではないのです.