第039回 第19文の読解

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まず確認

YouTube 公開用: これを読んでいる方への注意・言い訳

これはコンテンツの原稿案であり, 私の勘違いや単純なミスを含めた間違いも含まれた文章・コンテンツです. そのつもりで内容を眺めてください. 勉強会の最中や後で指摘を受けてオリジナルの原稿には修正を入れ続けますが, 多重管理が大変なのでこちらの記録自体はいちいち修正しません. もちろん指摘は歓迎しますし, 個々の md に関して指摘された部分は修正します. 適当なタイミングでコンテンツ・サービスをリリースするので, もしあなたが間違いを潰した (少ない) バージョンのコンテンツで勉強したいなら, それを待ってください.

講義動画と関連リンク

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以下いつもの関連コンテンツ群です。

(YouTube 動画の説明欄にいつも張るリンク集)

進捗・TODO・今日のメモ

内容: コンテンツ (案) からの転記

対象文

en.19

If, for instance, I say, "That train arrives here at 7 o'clock," I mean something like this: "The pointing of the small hand of my watch to 7 and the arrival of the train are simultaneous events."

(footnote) We shall not here discuss the inexactitude which lurks in the concept of simultaneity of two events at approximately the same place, which can only be removed by an abstraction.

ja.19

もし, 例えば私が「あの電車が7時にここに到着する」と言うとき, 私は次のような内容を主張している: 「時計の短針が7を指し示すことと電車の到着は同時の事象である.」

(脚注) 近似的に同じ場所でのふたつの事象の同時性の概念に潜む不正確さがあり, これは抽象化によって取り除くしかないが, ここで私達はこの不正確さに関しては議論しない.

TODO 訳を修正.

英語解説

文構造

脚注込みで考えましょう. クオーテーションがあり, 文全体としてはここまでなかったタイプの面倒さがあります. しかし主節は次のようにごく単純な第3文型SVOです.

これに対してsomethingがlike thisと補足され, その内容がコロンのあとにクオートつきで言及され, さらに脚注で補足されています. ついでにifの条件節もあります. この全体像を念頭に置きながら詳しく見ていきましょう.

I mean something like this:

主節です. 先程書いたように単純な第3文型SVOです. I mean somethingと目的語をぼかした言い方をしていてよくわからないので, like thisとコロン以下の文でさらに詳しく言及しています.

むしろ書きたいことを正確に書くのが難しい, または書けても理解してもらうのが難しいと思った場合, 論文でさえ曖昧さの残る例示文で説明することがあると言った方が適切かもしれません. 実際この曖昧さに関しては脚注でコメントがあります.

The pointing of the small hand of my watch to 7 and the arrival of the train are simultaneous events

物理としてどう捉えるべきかを説明した文でlike thisが指し示す内容です. 英語としては難しくないものの主語が長くて読みにくいため, まずはそれをうまく読み飛ばして次のように大きな構造を見抜くことからはじめましょう.

「AとBは同時の事象である」という文です. ここでsimultaneousとeventsは両方とも相対性理論で重要な専門用語です. まずsimultaneous「同時性」はよくある相対性理論での不思議な現象を生み出す原因で, 従来のニュートン力学とは違う概念です. 後者のeventは「事象」と訳し, これも専門用語として理解する必要があります. 主語がA and Bなのでeventsと複数形です.

次に主語を眺めましょう. 出てくる名詞全てに定冠詞theがついていることに注目してください. もちろんwatchについているのはmyで厳密にはtheではありませんが, 「私の」と強い限定がかかっているので事実上の定冠詞です. クォートがかかっていて誰かの発言のような形をしていて, 会話をしている目の前の人が話しているイメージなのでしょう. どこかの何かではなく「いままさにここにあるモノ」を指している状況を再現しています. 定冠詞はこの会話の情景描写を活き活きと描く目的で使われていると言ってもいいでしょう.

これは「私の時計の小針(small hand)が7を指すこと(pointing)」です. 「7を指すこと」をthe pointing to 7でtoを使っているコロケーションに注意してください. 上のような形で日本語に訳すと消えてしまうtheの「まさにこれ」というニュアンスを忘れてはいけません.

これももちろん「電車の到着」です. こちらもやはりtheによるニュアンスをきちんと取るのが大事です.

If, for instance, I say "That train arrives here at 7 o'clock"

ここでのfor instance「例えば」は副詞句の挿入で, 意味としては最後に添えればいいでしょう.

基本構造はもちろんI say somethingでsomethingがクォートで括られた短文です. 本体と同じくsomething like thisの構造です.

この短文を眺めてみると, 単純な第1文型SVで主な構造はThat train arrivesです. ここのthatは関係代名詞などではなく単に「あの」という指示形容詞で, 主語は単数trainなので動詞もarrivesで三単現のsがついています. 動詞arrivesは「到着する」という意味で「いつ・どこに到着したのか」が気になるわけで, それをhereとat 7 o'clockで指示しています.

物理として事象は時空点を指すので「いつ・どこ」をきちんと指定するのが重要です. さらっと書いてありますが実は非常に重要な副詞・副詞句です.

もちろんこのクォートされた文は単なる例で日常的な言い方です. 物理としてどう捉えるべきかが大事でそれが主節の内容です.

(脚注) We shall not here discuss the inexactitude

既にコメントしたように本来は厳密に言うべき部分をsomething like thisと言って曖昧にしていて, その釈明が脚注の内容です.

TODO このshallとwillの気分の違いをきちんと調べる. 固さ (文語調) なのが shall?

メインの構造は単純な第三文型SVOで, 間にshall not hereが入っているだけです.

目的語はthe inexactitudeと定冠詞がついています. 指している対象は明確である一方, どう釈明するかが気になります. 関係代名詞で補足説明しているので追いかけましょう.

which lurks in the concept of simultaneity of two events at approximately the same place

文としては長いものの, 先行詞the inexactitudeが主語で動詞がlurksの第一文型SVです. とにかく存在しているわけで, その存在の様子がlurksです. 念のためlurksの意味を調べると「潜む」です. もう少し言えばlurks in the conceptで「不正確性がある概念の中にいる」という意味なので, 自力で「潜む」を思い付くこともできるでしょう. 何にせよどこに不正確さが潜んでいるのかが問題で, それはin以下に示されているはずです. 詳しく見てみましょう.

前から順に「それは何?」と突っ込みながら読んでいく形で意味が取れます. まずthe concept「概念」があり定冠詞つきではあるものの何なのかよくわかりません. それがof simultaneityが補足され「同時性」であることがわかります. 無冠詞なのは特に強い限定がかからない不可算名詞だからです. 同じというには比較対象が必要で, それがtwo events「ふたつの事象」と指定されています. 無冠詞の複数系なので何でもいいからとにかくふたつの事象です. 最後にat approximately the same place「近似的に同じ位置」と補足されます. ここのplaceにはthe sameの形で定冠詞がついていることに注意してください.

ここでは会話調で内容を指示したことによる曖昧さの影響が出ています. 「数学的」には単にat a placeと書いていいのでしょう. しかしこう書くと厳密に同じ位置のふたつの事象の意味になってしまいます. 近似的にしか同じと言えず, 同じという部分でsameを使い, コロケーションとしてthe sameとしたためにapproximatelyとthe sameが並立する不思議な形になっています.

, which can only be removed by an abstraction.

ここで ", which" がどこにかかっているかがわかりにくいかもしれません. 何も考えないと直前のplaceにかかっていると思ってしまうからです. 動詞の三単元などの情報が使えると名詞の単複などで決められることはあるものの, ここではcanと助動詞が出てきてしまってうまく判定に使えません. 結論から言えば, これは意味から考えてinexactitudeにかかっていると思えばいいでしょう. 関係代名詞の非制限用法はいったん流れを切ってand it can only be ...などと書いていると思えばよく, こう考えれば単純な先行詞探しゲームからは抜けやすくなります.

TODO can only が難しい.

先行詞がわかったので構文と意味を考えましょう. 構文は基本的に単純な受身です.

これにcan onlyを入れてisを原形に変えればもとの文が得られます. ここでabstractionは不定冠詞つきで可算名詞として処理していることに注意しましょう. 「細かいことまで考えればいろいろ処理の方法はあるかもしれないが, とにかく何かしらの抽象化法をひとつ取る」という意味で不定冠詞が使われています.

TODO only のかかり方をきちんと書く. can only be でのまとまった意味もある模様.

単語

"The pointing of the small hand of my watch" は言われてみればすぐわかるものの, 慣れていないときちんと訳しづらい名詞句でしょう. ここで the small hand は時計の短針のことで, The pointing は時計の短針が指す先のことです.

ドイツ語解説