このサイトは学部では早稲田で物理を, 修士では東大で数学を専攻し, 今も非アカデミックの立場で数学や物理と向き合っている一市民の奮闘の記録です. 運営者情報および運営理念についてはこちらをご覧ください.
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阪大の情報基礎数学専攻が架空口頭試問を公開していた.
試みが面白かったので紹介しておこう.
PDF は ここ (直接リンク) だ.
Twitter で見つけたので, そちらも紹介しておく.
公開の背景が分かる.
非数学科の 学生の場合「数学の本の読み方」がわかってない場合がある。数学科以外から院試を受ける人も最近は多く、優秀な学生も少なくないが、定義を理解した上で、 定理の証明をしっかり追う訓練ができてない場合は、修士でたいへん苦労する。筆記はできても口頭試問がボロボロになることが多い。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2013, 5月 21
@Paul_Painleve 数学科の学生ならできてるのかと問われると定かではないが、さすがに3年の演習や4年セミナーである程度は訓練される。数学系大学院の院試口頭試問の雰囲気を知らない人には厳しいと思ってhttp://t.co/1BDL2DEO1qまで用意してある。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2013, 5月 21
@cocycle 実は、架空と言うより過去問に近いのですが… 過去の質問をずらずら並べたら聞くことがなくなるという意見と、このさい「質問リスト」みたいなのをどっさり並べて勉強してもらおう、という意見もあります。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2013, 5月 21
私も非数学科 (物理学科) だったが,
試問にはこう色々な思い出がある.
折角だから紹介しておこう.
まず試問の始めに全微分の定義を聞かれた.
試験問題で全微分の問題があり,
それの出来があまりにひどかったので,
教官陣が怒って全受験生に確認したらしいとかいう話を入学後に聞いた.
解析学専攻だったので関数解析で基本的な定理を挙げられるだけ挙げろ,
というのもあったが,
思い出深いのはやはり Riemann-Lebesgue の定理の証明だ.
言明は一応言えたのだが「では証明できますか」と言われ,
少しやってぱっとは思いつかなかったので,
「すぐには分かりません」と正直に答えたところ
「もう少し頑張ってみてください」と言われたため,
頑張って最後まで示した.
(実際には証明は難しくない. )
その最中, 証明を試行錯誤していて駄目かと思って
黒板を消したときに指導教官 (になる予定の教官, 河東泰之先生) から
「ああ……」みたいな声が出て, ああこれでいいのか, と思った.
大して時間は経っていないと思ったのだが,
終わったときに時計を見たら 1 時間経っていた.
証明以外の試問内容もあったとはいえ,
おそらく証明に一番時間がかかっていたと思う.
体感的にはあっという間だったのだが.
終わったときには汗びっしょりだったので苦闘であったことが偲ばれる.
よく試問は 5 分くらいで簡単に終わったという話があるが,
多分内部生で既に優秀であると分かっている学生はすぐ終わるのだろうと推測している.
試問で長時間かかったからと言って落ちるわけでもないので気にしすぎないでいい.
どちらかというと, (外部受験で内部の事情がよく分からない場合) 入れてしまったた後に,
レベルの違いに苦労することがあるかもしれないので, そちらを心配した方がいい.
私の場合は基本的な数学,
特に代数と幾何をほぼ全く知らなかった (今でも駄目) だったので,
その辺で非常に苦労した.
研究では使わないから問題ないが,
日常会話や講義で知らないことがぽんと出てきて困る感じ.
1 回教科書を通して読んだだけ,
というのが多いので結構まずい所が色々ある.
例えば 1 変数多項式の代数や
Galois 理論は 1 度やっただけで全く身についていない.
Galois は学部の頃, 自分の大学の数学科の講義にもぐって勉強もしたが,
使わないので結局身につかなかった.
作用素環でも Jones の理論は非可換 Galois 理論と言われることがあり,
やはり基礎教養だ.
幾何に関しても一応多様体論の教科書は松本先生の本を 1 冊読んだが,
身についている気はしない.
困ったものだ.
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