Twitter まとめ: 単位元のない環

この記事は3分で読めます

このサイトは学部では早稲田で物理を, 修士では東大で数学を専攻し, 今も非アカデミックの立場で数学や物理と向き合っている一市民の奮闘の記録です. 運営者情報および運営理念についてはこちらをご覧ください.

中高の数学の復習から専門的な数学・物理までいろいろな情報を発信しています.
中高数学に関しては自然を再現しよう役に立つ中高数学 中高数学お散歩コース
大学数学に関しては現代数学観光ツアーなどの無料の通信講座があります.
その他にも無料の通信講座はこちらのページにまとまっています.
ご興味のある方はぜひお気軽にご登録ください!


Twitter だけだったかブログにもまとめたか既に記憶にないのだが, Twitter でまた単位元のない環に関する話が出ていた.

単位元の存在しない環の例をパッと思いつかない

@supernova3024 なんか重要な例があるそうなのですがわたしは知りません

@primenumber 重要な例があるのか……

@supernova3024 作用素環とかの分野だと結構あるっぽい (あんまり知らない)

@Asabokujo そうだったのか……

@dingdongbell あっ…………

@dingdongbell ありがとう

@Asabokujo @supernova3024 $L^1 (\mathbb{R})$ が畳み込み積に関してなす可換環は単位元を持たないよ

@bean_paste そうなんですか…… (よく知らないです…)

@Asabokujo @bean_paste 0 に収束する数列全体 (演算は項別) という例もあります.

@LT_shu なるほど, lim の分配則 (っていうんでしたっけ) から環になるんですね で{1,1,1,…}はこの元ではないと

@Asabokujo はい.
ちなみに, 単位元の存在を要求しなければ, 一般に環のイデアルは環になります.
さっきの環は, 収束する数列全体の環 (これは単位元をもつ) のイデアル (lim が環準同型で, その核) ですね.

私が良く出す例は 2 つある.
1 つは局所コンパクト Hausdorff 空間 $\Omega$ 上, 無限遠で 0 になる連続関数のなす可換環だ.
もう 1 つは無限次元 Hilbert 空間上のコンパクト作用素のなす非可換環だ.
両方とも $C^$ 環になっている.
また, 作用素環 ($C^
$ または von Neumann) は一般に単位元を持たなくてもいい.
私が実際に触るのはほぼ von Neumann 環 で, 大体単位元の存在を仮定しているし,
具体例だと本当に持っている.

$C^*$ だと単位元の存在を仮定しないことがよくあるようだがあまり触ったことはない.
von Neumann 環の場合, 単位元がなくても中心極大射影が単位元の代わりになってくれるため,
単位元の存在を仮定しても一般性が失われないということはある.
Kadison-Ringrose にその辺のことが書いてあるため, 興味がある向きは読んでみよう.

追記

コメントを頂いた.
まずは dif_engine さんからのコメント.

@phasetr $C[0,\infty)$ 上の積 $f (*) g (x) := \int_{[0, x]} f (x – t) g (t) dt$ を入れたものも単位元のない環です.
これが整域である (ティッチマーシュの定理) ことが Mikusinski の演算子法の基礎になっています.

魔法少女からのコメントはこの辺から.

@phasetr 関数 $t \to f (t)$ のことを ${f (t)}$ と書けば, $({1}*f) (t)=\int_{[0, t]}f (\tau) d\tau$.
すなわち {1} は積分演算子になっているわけです.
この逆元が微分演算子というわけですが, $C[0, \infty)$ にそのような元はありません.

@phasetr $C[0, \infty)$ には単位元がありません.
ところが, デルタ関数 $\delta$ を導入し, 形式的に $f\delta$ を計算すると, $(f\delta) (t)=\int_{[0, t]}f (t-\tau) \delta (\tau) d\tau=f (t)$.
すなわち $\delta$ は (形式的には) 単位元になるわけです.

@phasetr もちろん $C[0, \infty)$ の中に $\delta$ のような元は存在しません.
ところで, 任意の可換整域 (単位元の存在は仮定しない) について, それを含む最小の可換体が存在します.
整数環の直積から有理数体を構成するのと同様にすればいいわけです.

@phasetr $C[0, \infty)$ を含む最小の可換体 $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$ を考えてみましょう.
今や微分演算子やデルタ関数はすべて $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$ の中に入っています.
所謂 D-法 (微分演算子法) を Fourier 変換などを用いずに実現したことになります.

微分作用素やデルタが本当に $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$ に入っているかの確認が必要だとは思うが,
演算子法の概略というレベルで把握した.
知らなかったので助かる.
$\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$, 定義域固定なのが微妙に気になるが, これはどこまで一般性があるのかというのは気になる.

何か書いておくと勝手に色々教えてくれるという実に楽しい Twitter ライフを堪能している.


中高の数学の復習から専門的な数学・物理までいろいろな情報を発信しています.
中高数学に関しては自然を再現しよう役に立つ中高数学 中高数学お散歩コース
大学数学に関しては現代数学観光ツアーなどの無料の通信講座があります.
その他にも無料の通信講座はこちらのページにまとまっています.
ご興味のある方はぜひお気軽にご登録ください!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

このサイトについて

数学・物理の情報を中心にアカデミックな話題を発信しています。詳しいプロフィールはこちらから。通信講座を中心に数学や物理を独学しやすい環境づくりを目指して日々活動しています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

YouTube チャンネル登録

講義など動画を使った形式の方が良いコンテンツは動画にしています。ぜひチャンネル登録を!

メルマガ登録

メルマガ登録ページからご登録ください。 数学・物理の専門的な情報と大学受験向けのメルマガの 2 種類があります。

役に立つ・面白い記事があればクリックを!

記事の編集ページから「おすすめ記事」を複数選択してください。