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学部 2 年で志賀浩二『複素数 30 講』を読んで岡潔の仕事を知って以来,
多変数関数論にはずっと興味がある.
また場の量子論としても公理的場の量子論や代数的場の量子論で
多変数関数論を使うし, 学部 4 年のときに進む研究室選定とも合わせて
AQFT についていろいろ調べていたときに Borchers の自己同型群のスペクトル解析の
仕事に興味を持って以来, 余計に勉強の意欲が湧いてきたものの,
結局まともに勉強できていない.
ちょこちょこ勉強しようと思って挫折しまくっているのだが,
今回もちょろっと調べものをしていたら Hormander の論文を見つけたので
少し読んでみた: A History of Existence Theorems for the Cauchy-Riemann Complex in L2 spaces.
適当にしか読んでいないが, 面白かった部分だけ簡単に抜いておく.
1 変数関数論は Laplacian と Cauchy-Riemann 作用素の解析が重要だったが,
多変数関数論は 1 次元からの帰納的なアプローチではじまり,
偏微分方程式を使うアプローチは 1960 年代にようやくはじまった.
∂ˉ-Neumann 問題は 1950 年代中頃に Spencer がはじめた.
言われてみれば 1 変数の場合, 初等的な範囲では解析学の色彩がかなり強いが,
多変数になると専門的になってくることもあって,
すぐ層だの複素多様体だのという話になるので, 言われてみれば感があった.
Spencer は 小平-Spencer の Spencer だと思うのだが
やはり Spencer 恐るべし.
あと PDF P.17 からの Bergman とのやりとりが面白い.
He was a rather special person and had a reputation for cornering people to talk interminably about the kernel function for which his enthusiasm was unbounded. For quite a while I managed to avoid him, but at last I was cornered.
Bergman, 遠くから観察してみたかった.
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