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小6では効果が出て中3では効果が出ない、というのは一般的に学年が上がるほど教育介入の効果が期待できなくなるし、特に少人数学級ではそうだと言及したけど、まあそうなるだろうなという感じ。 >少人数学級政策の教育効果の不都合な真実 http://t.co/NHWYLqrDEi
— 畠山勝太/サルタック (@ShotaHatakeyama) 2015, 2月 4
面白そう.
いくつか元記事を引用する.
ここで主に紹介するのは、私たちが2013年に公表した、少人数学級が学力に与える影響の実証研究である。それは、私自身も含めて大方の関係者の期待を裏 切る、なんとも歯がゆく、かつ意外な結果であった。しかし、どれほど不都合な真実であろうと、それに向き合って思考を進めなければ、学校教育の真の姿を描 くことも、あるべき政策の提言も不可能だ。
ここでは論文執筆後の筆者自身の考察と学校現場での観察経験も交えて、少人数学級政策に関する「素朴な期待」がいかに的外れであるか、論じたい。(注1)
具体的には、現行の40人を基準とする学級編制では、1学年40人までは1学級、41人になると2学級になり、1クラス当たりの児童・生徒数がおよそ半減 する。つまり1人の偶然の移動で大人数学級になったり少人数学級になったりする。この点に着目し、人数が大きく変化する前後のクラスをデータから抽出し て、学級規模の変化に伴う学力の変化を調べた(注2)。
分析の結果、小6・中3の国語と算数(数学)の4つの分析中、小学校の国語だけ、学級規模が一人小さくなると偏差値が0.1上昇する効果が確認できたが、他の学年と科目の組み合わせでは効果が確認できなかった。
だが、同じ地域における同様のテストにもかかわらず小学校の国語のみ効果が見えている点で、小学校高学年に比べ中学校は、また国語に比べ数学は、少人数学級の効果を期待できないと想像できる。
これが非常に気になる.
個別指導レベルの「少人数」にしたときどういう傾向になるのだろう.
我々の論文中で最も解釈に悩んだ分析結果がある。それは、サンプルをわけて分析すると、小学校の国語で確認された少人数学級による学力向上効果は、4月の全国学テでのテスト結果が高い学校でのみ確認でき、また、相対的に裕福な地域の方に主に現れたことだ。
これは、少人数学級に学力向上効果があるとしても、相対的に学力の高い学校をさらに伸ばし、また、社会的に有利な地域の学校をより伸ばす、その結果、学校間の学力格差を拡大させることを示唆する。
確かに気になる結果だ.
しかし国によって教育や学校の置かれた社会状況は異なり、海外の結果を受け売りにするわけにはいかない。
ふだん相手にしているのが全宇宙で同じ (であろう) 物理法則だったりするので,
こういうのは意外と (個人的には) 盲点になっている感はあるし,
反省とともに気をつけたい.
【ある中学での体験】節の話がとても面白い.
面白い記述ばかりで全文引用になってしまいかねないので
注目すべき 2 段落だけ引用する.
私がそばで紙くずを投げている生徒たちを一喝すると、教室は一気に静まりかえり、落ち着きを取り戻した。しかし、紙くずを投げていた生徒は机に突っ伏して しまった。尋ねると教科書もノートも持って来ていないという。一方、静かになった環境で、教師の目線は、勉強しようと努力していた生徒の方にのみ向かい続 けていた。短い時間とはいえ、教室内の「学習の格差は広がった」のだ。落ち着きのある教室で学ぶ便益を最も享受したのは勉強意欲のある子たちであった。
経験の乏しい教師が、落ち着きのない教室の犠牲になっていた子の方に注力をするのはある意味当然である。教師は「収益率の高い方に投資」したのであり、学 習意欲に乏しい生徒に対するスキルの不足する教師の最適行動として理論的にも説明可能だ。それを学校単位で考えれば、学習の動機付けの高い生徒の集まる学 校が少人数学級の便益を多く受けることになり、我々の分析結果と矛盾しない(注5)。
また次の点, 少し引きつけて考えれば当然だが思いつかなかった.
不明を恥じたい.
しかし、少人数学級の一律の推進と教師の力量の向上は、トレードオフである可能性も高い。筆者はある自治体の教育委員会関係者から、「トップの意向で少人 数学級の導入が機械的に進められると質の高い教員の確保が難しい」との意見を聞いたこともある。毎年のように少人数学級を大幅に拡大する場合、「採用者の 質が下がることは否定できない」という。量は質を駆逐するのだ。(注7)
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