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次の本を元に脳内授業の例, 数学版をたくさん出していきます.
やさしい理系数学 三訂版 (河合塾シリーズ, 河合出版)
勉強法として脳内授業をお勧めしています.
また見ていない方は次のページや
Kindle にまとめた書籍を参考にしてください.
『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.
大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
このページを参考に気軽に質問してください.
必要な情報がなく, 適切なアドバイスができないことが多いためです.
リンク先のページには LINE・メールの連絡先も書いてあります.
どんどんアウトプットすることが大事です.
積極的に解答を書いて私まで送ってくださいね.
メールや LINE だと式を書くのが大変でしょうから,
書いた紙を写真に撮って画像で送ってくれればいいですよ.
問題(九州工業大)
\(a\), \(b\), \(c\) は整数で, \(0 < a < b\) とする.
整式
\begin{align} f(x) = x (x-a) (x-b) – 17 \end{align}が \(x-c\) で割り切れるとき, \(a\), \(b\), \(c\) の値を求めよ.
ポイント: 問題 1
因数定理 (一般には剰余の定理), 素数, 整数の扱いがポイントだ.
この問題の最初の勘所は \(c\) を解にもつと言わずに
\((x-c)\) で割り切れるといっているところ: この言い換えをきちんとクリアする必要がある.
ある程度できる人・慣れた人ならこのくらいは簡単だろうが,
適切に条件を言い換えていく練習はやはり必要だ.
そしてはじめから因数分解してくれているのもポイントで,
誘導をうまく使う必要がある.
これもなかったら問題が一段難しくなるポイントだ:
例題 5 の問題 2 を見るとそれがわかる.
最後の吟味はしらみつぶしでもいいが, 順序に着目すれば手数が減らせる.
手数が減ればミスも減るから, なるべく楽にするために頭を使うのはとても大事.
方針: 問題 1
まず注目したのは \((x-c)\) で割り切れるという条件だ.
割り切れるというのだから実際にそう書いてみよう.
\begin{align} f(x) = (x-c) q(x). \end{align}ここで \(q(x)\) は 2 次の整式だ.
文章で書かれたり講義を受けたりしているとさらっと流してしまいがちだが,
こういう部分をなめてはいけない.
初学者はこういう部分が本当にできない.
他の問題の解説でも何度でも繰り返し解説していくけれども,
明らかな条件や主張があるときはできる限り式で書き下してみよう.
そこから発想が生まれることがある.
もっと正確には次に取るべき手立てが見つかるのだ.
慣れないうちは 1 ステップごとにうるさいくらいに式を書き下す習慣をつけてほしい.
さて上の式さえ書ければ \(f(x)\) は \(x=c\) を解に持つことがわかるから \(f(c) = 0\) で
\begin{align} c(c-a)(c-b) = 17. \end{align}17 が素数で \(a\), \(b\), \(c\) は整数だから \(c\), \(c-a\), \(c-b\) は 17 の素因数にしかなれず,
それは 1 と 17 しかない.
実際には符号も含むことに注意しよう.
あとは \(0 < a < b\) に注意しながらしらみつぶしで探せばいい.
もちろん実際にはしらみつぶしの前にもう少し絞り込めるし,
余計なミスも減るからそうした方がいい.
17 が素数だから \(c\), \(c-a\), \(c-b\) のうち \(\pm 17\) を取るのは 1 つしかなく,
他の 2 つは \(\pm 1\) になる.
3 つの積が正だから負の数になるのは 3 つのうち 2 つだけだ.
さらに \(a\), \(b>0\) だから \(c-b < c-a < c\) で,
上の絞り込みから \(0 < c-b < c-a < c\) か \(c-b < c-a < 0 < c\) しかない.
あとはこれをまとめて解答にすればいい.
最後に: 気軽に質問してください
大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
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