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次の本を元に脳内授業の例, 数学版をたくさん出していきます.
やさしい理系数学 三訂版 (河合塾シリーズ, 河合出版)
勉強法として脳内授業をお勧めしています.
また見ていない方は次のページや
Kindle にまとめた書籍を参考にしてください.
『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.
大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
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問題 2(宇都宮大)
整式 \((x+1)^{10}\) を次の式で割ったときの余りをそれぞれ求めよ.
- \(1-x^2\).
- \((x-1)^2\).
ポイント: 問題 2
これも剰余の定理, 整式の除法が核だ.
二項定理や微分を使う手法も身につけたい.
特に重解を持つ整式での割り算で余りを求めるときの微分は大学でも使う標準的な方法だ.
整式を展開するのに二項展開を使う手法もきちんとおさえたい.
展開係数を二項係数で具体的に書けるのもポイントで, 整数問題で時々出てくる.
また時々 \((x+1)^{2015}\) などその年特有の次数で出してくることもある.
一般的な手法もいいが, 実験や一般化してからの特殊化という手法もきちんと身につけておいてほしい.
方針: 問題 2
問題 2 は剰余の定理を使うのが基本だろう.
その基本さえわかっていれば (1) は解ける.
問題は (2) で, 具体的には重解を持っているところ.
自分で解こうとしてみればすぐわかる.
これをどうくぐり抜けるかがポイントだ.
その前に実験について強調しておこう.
よくわからないことがあったらとりあえず実験できないかを考えよう.
そのとき問題の一般化と特殊化という手法が大切だ.
要は \((x+1)^{10}\) を考えるのではなく \((x+1)^{n}\) を考えてしまうのだ.
そして \(n=1\), 2, 3, \(\dots\) として様子を見てみる.
できるならここから帰納法で証明していってもいい.
具体的にやってみよう.
\(n=1\) だと何もすることがないので \(n=2\) から.
そのときは
\begin{align} (x+1)^2 = -(1 – x^2 – 1) + 2x + 1 = -(1 – x^2) + 2x + 2. \end{align}\(n = 3\) だと
\begin{align} (x+1)^3 &= x^3 + 3x^2 + 3x + 1 = -x (1 – x^2 – 1) + 3x^2 + 3x + 1 = -x(1-x^2) + 3x^2 + 4x + 1 \\ &= -x(1-x^2) – 3 (1 – x^2 – 1) + 4x + 1 = -x(1-x^2) – 3 (1 – x^2) + 4x + 4 \\ &= (-x – 3)(1-x^2) + 4x + 4. \end{align}もっとやってもいいが, 何となく余りは \(2^{n-1} (x + 1)\) になりそうだ.
ここから一般的な証明や帰納法のステップが踏めなくても,
「これを数学的帰納法で示す」と書いておけば部分点は来るはずだ.
そういう点の稼ぎ方も覚えておくといい.
後半の (2) も同じように解ける.
自然なのは剰余の定理を使った方法だろうから, それを説明する.
商を \(q(x)\), 余りを \(ax + b\) とすると
\begin{align} (x+1)^{10} = (1 – x^2) q(x) + ax + b. \end{align}\(1 – x^2\) は \(\pm 1\) が解だからこれを代入して出てくる連立方程式を解けば (1) は終わりだ.
そして問題は (2).
まず剰余の定理で書いてみよう.
\begin{align} (x+1)^{10} = (x-1)^2 q(x) + ax + b. \end{align}\(x=1\) を代入すると \(a+b = 2^{10}\) という条件式は出てくるが,
重解だからこれ以上の条件が出てこない.
もう 1 つ条件を出さないといけないがそれをどう出すかがポイントだ.
適当に値を入れても意味はない: \(q(x)\) が具体的にどんな形をしているかわからないからだ.
上のように実験して検討をつけてもいいがこれも一般的な手法がきちんとある: 両辺を微分すればいい.
\((x-1)^2 q(x)\) に積の微分を使うところが気になるかもしれないが
2 次の整式だから 1 回微分しても消えない.
微分してからまた \(x = 1\) を代入すればもう 1 つ条件が出る.
もう 1 つは二項展開で力づくで余りを求めてしまう方法だ.
二項展開自体がやはり時々出てくる手法で,
いくつか具体例となる問題・実際の応用例を確認して使いどころを複数回見ておきたいところ.
そうしないと初めて見る問題, もっというなら試験本番で「ここでも使えるだろうか」という発想が浮かんでこないだろう.
どちらも身につけておくべき手法だから繰り返し復習してほしい.
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