ノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎さんが亡くなったそうなので南部さん情報をまとめてみた

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さすがに衝撃を受けた.
自分用の備忘録も込めて, 南部さんの業績や仕事を簡単にまとめておこう.

世間的にはノーベル賞を取ったことが一躍有名になった人だろう.
私にとっては相転移関係, 自発的対称性の破れがやはり印象深い.

ノーベル賞受賞時, 日本人が 3 人受賞という話になったが,
アメリカに帰化しているので厳密には「日本人」ではない.
1960 年代に量子色力学と自発的対称性の破れの分野において先駆的な研究をしていたり,
弦理論 (string theory) の創始者の 1 人でもある.
現在の素粒子物理学の基礎に猛烈に貢献していて,
いろいろな領域に大きく貢献していて凄まじい.

もちろん自発的対称性の破れに関係して小林・益川とともに
2008年 にノーベル物理学賞を受賞している.

1945 年, 終戦後に東京帝大で朝永グループに参加している.
朝永は Klein-Nishina で有名な仁科芳雄の下にいて,
仁科芳雄はボーアを中心とするコペンハーゲン学派にいた.

1950年, 朝永振一郎の推薦で早川幸男, 山口嘉夫, 西島和彦, 中野董夫とともに
大阪市立大学理工学部に理論物理学のグループを立ち上げた.
早川幸男というと, Twitter にもいる早川尚男さんのお父上だ.
西島和彦というと, 相対論的量子力学の本が勝手に印象深い: 読んでいないのだが.
大阪市立大ではベーテ=サルピーター(=南部)方程式の導出,
K 中間子の対発生の研究などの成果を挙げている.
ベーテ=サルピーター方程式というと,
雑誌の『数理科学』か何かで,
英略の BSE (Bethe–Salpeter equation) が牛の BSE のときに
「この BSE はもちろんいま話題の牛の BSE ではない」という注があったという
どうでもいいことを良く覚えている.
あまり歴史的経緯などを知らなかったのだが,
Wikipedia によると次のような経緯のようだ.

The equation was actually first published in 1950 at the end of a paper by Yoichiro Nambu, but without derivation.

南部さんやばい.

1952 年, 再び朝永の推薦を受けて木下東一郎とともにプリンストン高等研究所に赴任する.
木下東一郎というと相対論的量子電気力学の摂動計算というイメージがあるが,
他にどんなことをしているのだろう.
1954 年にゴールドバーガーの誘いを受けてシカゴ大学の核物理研究所に着任したそうだが,
同研究所には小柴昌俊らもいたとのこと.
羨ましい.

シカゴ大ではグリーン関数の表示法を研究したそうだが,
表示法の研究というのは何をしたのだろう.

もちろん (当時) どんな意味・意義があったのかも知りたいし,
いま全く知らないのだが.

そして 1970 年にアメリカ合衆国に帰化.

1960 年代にはクォークが持つ自由度としてのカラーチャージの導入,
自発的対称性の破れなど素粒子の強い相互作用において先駆的な研究をしている.
自発的対称性の破れに関しては,
素粒子模型での研究がやはり難しくて,
何か調べやすいモデルを探していたら Ising, Heisenberg などの
スピン系が調べやすいし, 直観も効きやすいということで強磁性の研究の隆盛が起きたと聞いている.
私はこの強磁性相転移の流れを組んで数理物理している.

1970 年にハドロンの性質を記述する模型として弦理論(ひも理論)を提案.
弦理論はハドロンの理論としては問題点があった.
一方でゲージ理論としての量子色力学が確立していった時期でもあり,
多くの研究者は弦理論から離れていった.
弦理論はジョン・シュワルツ達が重力を含む統一理論として研究が続けられて,
今の超弦理論の流れに繋がっている.

この辺は大栗さんの『大栗先生の超弦理論入門』にも書いてあった気がする.
あとで読み直そう.

他にも, また最近話題になったヒッグス機構も南部さんのアイデアが始まりとか,
クォークに連なる「西島-ゲルマンの公式」も
南部さんが西島さんに与えたヒントが基礎とか何とかいう話だし,
もうだいたい意味がわからない.
「素粒子理論の 10 年後の姿を見たいなら南部の論文を読め」とか言われていたそうだが,
改めて凄まじさを感じる.

いろいろ見ていたら面白そうな話があった.
次の URL から引用する.

 そこで、一般の人にも南部さんの「すごさ」がわかるのは、インタビューに答えて、何気なくもらした言葉かも知れません。南部はアメリカ在住五〇年ですか ら、当然英語は完壁なので、「何語で考えるのですか」という質問に対し、「だいたい数式で考えます」と答えています。また、「私は計算は、だいたい頭の申 でやります」とも答えています。計算といっても勘定書の計算ではなく、理論物理の計算です。ギリシャ文字の数式を移項したり微分したりの計算ですが、紙何 枚にわたる数式が、頭の中に完全に正確に見えていなければ出来ない計算です。紙に書いて計算するより、その方がはるかに速いし、先が見えるからでしょう。 将棋の名人も同じでしょうが、常人のとても真似できない精神集中の結果と思います。
精神集中というと、沈思黙考、自己沈潜の人を想像しますが、仕事から見える南部の人柄は違います。大物理学者を、自己の思考にだけ集中して一挙に真理に 達する湯川秀樹タイプと、最高の武器を手に入れ、つねに最先端での計算を絶やさない朝永振一郎タイプに分けると、南部は基本的には朝永タイプです。しか し、自分の思考を確信し、大胆なことを考える点は、湯川さんの影響でしょう。

あと次のページもあった.
全文引用したい勢いで面白かったのでぜひ読んでほしい.

私も研究したいし, こんな研究を見せてくれる友達もたくさんほしい.
この辺の教育活動 も頑張ろう.
数学も物理もただただ楽しい.

追記

大栗さんによる南部さんの記事 が出ている.
あと特別栄誉教授になっていた阪大からもニュースが出ている.


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