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三角関数の極限扇形の面積に関する循環論法疑惑がある.
私も以前見かけたことがあり,
適当に読み流して「あらそうなの」くらいに思っていたが,
黒木さんが発見したようでいろいろ書いている.
せっかくなのでまとめてみた.
ツイートだと見づらいので勝手に編集して PDF にした: 改めて書いておく.
黒木さんにも報告して怒られていないので大丈夫だろう.
PDF の方が見やすいはずだから,
よほどこだわりがある人以外は PDF を見よう.
以下, ツイートまとめ.
#掛算 sinθ/θと扇形の面積に関する循環論法疑惑は、『マンガ・微積分入門』岡部恒治らhttp://t.co/DueItZXRylにある。今見ると94年に初版の本。ネット上で「高校 循環論法」で検索すると2000年以前にはほとんど見当たらないので、岡部氏がネタ元の一つか?
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 8月 21
#掛算 マンガの当該箇所http://t.co/NUmo4Mws9C。√(1 – x^2)の定積分で円の面積を求めようする。ここで注意しなければいけないのは、岡部氏は循環論法をさける方法に触れていることである(229頁下段)。また循環論法批判は直接教科書に向けられたものではない。
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 8月 22
#掛算 岡部恒治氏は三角関数の微分を円の面積とは独立に計算することができることには触れるが、【比較的面倒】だとして詳述しない。かわって積分すべき別の対象を提示する。つまり円の面積を半径xの関数S(x)とすれば、その導関数S'(x)=2πxが円周だという。
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 8月 22
.@temmusu_n #掛算 ああ、なるほど。私が https://t.co/r37Bi9E3qp で否定しておいたのは添付画像に http://t.co/6k9UyUONcS から孫引きしたタイプの循環論法都市伝説です。 pic.twitter.com/37cc4GgrNw
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 22
@genkuroki #掛算 訂正 https://t.co/W0lD9K0HIG 【扇形の面積も θ(s) になる】 本質的なことではないですが、正しくは「扇形の面積の2倍もθ(s)になる」です。「の2倍」を書き忘れていた。頻繁に1=1/2になる(^_^;)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki #掛算 三角関数に関する循環論法都市伝説ネタをインターネット検索で色々読みましたが、経路の長さを速さの積分であっさり定義しても問題ないのに、折れ線近似で曲線の長さを定義することにこだわって、高校レベルの簡単な議論を無駄に難しくしている傾向が結構ある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki #掛算 直線経路が最短になることについても、難しく考えている人達が結構見付かる感じ。「直線経路が最短になるのは証明できることではなく、公理だ」みたいなトンデモないことを言っている人も見つけた(リンクははりません)。証明した方がよいです。本質的に三角不等式。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki #掛算 ベクトル値函数v(t)についてa≦bのとき ||∫_a^b v(t) dt||≦∫_a^b ||v(t)|| dt が成立することを示せれば、直線経路が最短であることもわかります。その不等式はノルム|| ||の三角不等式の積分版に過ぎません。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki #掛算 三角不等式とは ||v_1+…+v_n||≦||v_1||+…+||v_n||という「和を|| ||の外に出すと大きくなる」というタイプの不等式のことです。極限を取れば無限和でも成立しています。積分はある種の和の極限なので積分でも成立しています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki #掛算 「和を|| ||の外に出すと大きくなる」という三角不等式と「積分はある種の和の極限になっている」ということから、ほぼ自明に「積分を|| ||の外に出すと大きくなる」というタイプの不等式が導かれるわけです。≦型の不等式は極限を取っても成立しています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 直線経路が最短であることは、v(t)が速度ベクトル(dx(t)/dt,dy(t)/dt)の場合に積分版三角不等式を適用すればただちに導かれます。 一般のノルムという高校数学には登場しない概念を出しましたが、内容的には完全に高校数学の範囲ですよね。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 積分版三角不等式は一般のノルムについて成立しています。直線経路が最短であることは、ユークリッドノルムの場合に成立しています。そして、一般のノルムに関する積分版三角不等式の証明の方が「簡単」なわけです。積分版三角不等式は有限和版三角不等式の単なる極限。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 インターネットで検索すると、いきなり高校数学教科書の範囲内でがんばろうとしてはまっているパターンが多い感じ。そういう無用なこだわりを捨てて、素直に簡明な議論を探せば自然に高校数学の範囲内におさまるのになと思いました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 素直にすっきりした簡明な議論を探すのではなく、「高校数学教科書の範囲内または大学以上の高級な数学」という悪しき発想から出発しているからおかしなことになる。 数学は数学に過ぎず、高校数学も大学数学も全部同じ数学です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 大学の数学の先生達が「高校の数学と大学の数学は違う」と連呼しているのは悪しき伝統に過ぎず、「ああ、またバカなことを言っているな」と見ておけば問題ないです。本当に言いたいことはきっと「問題を解くためだけに特化した訓練と普通の数学は違う」ということ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 実数の掛算の可換性についても変に難しく考えている人がよく見つかります。積分版三角不等式が有限和版三角不等式の単なる極限に過ぎないという考えて方をできる人であれば、実数の掛算の可換性も自明に感じられるはずです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 ab=ba型の等式は極限を取っても保たれます。そして任意の実数は有理数もしくは有限小数の極限になっている。だから、有理数や有限小数の掛算の可換性の極限として、実数の掛算の可換性がほぼ自明に導かれるわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki #掛算 極限操作はそこそこ難しい概念です。しかし、極限操作でどのような性質が保たれるかをきちんと認識していれば、すでに知っている結果の極限として一見非自明に見える結果を大量生産できます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 https://t.co/DzvQMZrEz3 の件、どこで「循環論法」の環が切れているかを明確にしましょう。添付画像は新たな引用。件の本のpp.226-227です。左下の「腕に自信のある方はやってください」の部分に注目。 pic.twitter.com/v0pDbONT75
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。これは円周率の定義 π=(単位円周の長さ) から積分 ∫_0^1 √(1-x^2) dx をどのように計算するかという問題です。「循環論法になる」という説の根拠は「三角函数による置換積分を行なうときに三角函数の導函数を用いるから」とい うことになっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。しかし、その置換積分が本質的に三角函数の定義そのものだとしたら、その置換積分は三角函数の導函数を使わなくても可能だということになります。本質的に、そういう仕組みで「循環論法」の環が切れているわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。そういうことは、単位円周の弧の長さの定義と三角函数の定義を明確にすれば明らかになります。ラジアンの意味での角度を単位円周の弧長で定義しているので、そこを明確にしないと何をやっても不明瞭な議論になってしまうことが確定しています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。単位円周はx^2+y^2=1で定義されます。その第一象限におけるyが0からsまでの弧長θ(s)はθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)になることが、高校数学の範囲内でわかります。このことに気付けば後は高校レベルの計算問題。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 高校の教科書には y=f(x) のグラフのxがaからbまでの部分の長さは ∫_a^b √(1+f'(x)^2) dx になると書いてあります。そのxとyの立場を交換した結果を f(y)=√(1-y^2) に適用すれば、一つ前のツイートの結果が得られます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。単位円周の弧長が θ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2) になることは高校数学の範囲内で出る。I=∫_0^s √(1-y^2) dy, c=√(1-s^2) とおくと、扇形の面積は I-cs/2 になります。だから積分Iをどのように計算するかが問題になる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。「積分 I=∫_0^s √(1-y^2) dy を y=sin θ の置換積分で計算すると、sin θ の導函数を使うので循環論法になる」というのが循環論法説の肝なわけです。しかし、sin θがθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)の逆函数であることに、~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き~、気付いて、かつ、I=∫_0^s √(1-y^2) dyがθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)で表せることに気付けば、Iの計算でy=sin θと置換積分することは、本質的にsin θがθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)の逆函数であることを~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き~使っているに過ぎないことにも気付くわけです。Iをθ(s)で表わすための高校数学レベルの最も素朴な方法は部分積分です。Iの被積分函数に1=dy/dyを挿入してd/dyを√(1-y^2)の側に移す部分積分を実行すれば、~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き~、I=cs+∫_0^s y^2/√(1-y^2) dy になる。右辺の積分の被積分函数の分子をy^2=1-(1-y^2)と変形すると、右辺の積分がθ(s)-Iになることがわかる:I=cs+θ(s)- I. ゆえにI-cs/2=θ(s)/2. これが欲しい式です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 I-cs/2は角度θ(s)で単位円盤を切り取った扇形の面積だったので、I-cs/2=θ(s)/2は(角度θの単位扇形の面積)=θ/2というよく知 られている結果を意味しています。その結果は弧長の長さの公式を部分積分するだけの単なる計算だけで得られるわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。繰り返しますが、ややこしい複雑な論証ではなく、部分積分を使った単なる計算に過ぎません。よくできる日本の高校生はそういう計算をかなり得意だという印象があります。そういう意味でもこの議論は典型的に高校レベルだと言ってよいでしょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。複雑な論証を含まない単なる計算ですむという話の出発点は単位円周の弧長がθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)と書けることでした。この手の積分は楕円積分に一般化され、一般のRiemann面上にも一般化されます。円周率も周期積分に自然 に一般化される。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 続き。θ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)という積分はそのような意味でもとても素性がよいものです。数学的に素性がよいものを考えれば、「循環論法」というデマを否定するに足る議論が高校数学の範囲内で得られるという仕組みになっているわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算 https://t.co/NNxACCH6RY 【数学は数学に過ぎず、高校数学も大学数学も全部同じ数学】とか【無用なこだわりを捨てて、素直に簡明な議論を探せば自然に高校数学の範囲内におさまるのにな】というのは以上で述べたような具体的な議論を念頭に置いてのことです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
あとこれ.
#掛算 「lim_{θ→0} sin θ/θ=1 の高校数学教科書における証明は循環論法だ」というデマの拡散元として、ウィキペディアの三角関数の項目も無視できないと思います。 https://t.co/BbgNa7SJGB 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。その項目を見ると、根拠となる文献として、川中宣明さんのこれ→ http://t.co/lHEAYwRcrv が引用されています。おそらく、川中さんは高校数学IIIの教科書に「曲線の長さが速さの積分で表示されること」の解説があることを知らないのだと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き http://t.co/lHEAYwRcrv の最初の段落に書いてあることは、私も概ね正しいと思います。そこには「循環論法である」という主張が発生する理由が書いてあります。循環論法であるか否かとは別にそういう主張が発生する理由について語ることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。しかし、添付画像の形式で引用したその次の段落は誤りです。川中さんは高校数学IIIの教科書に曲線の長さを速さの積分で表示する話がきちんと書いてあるという事実を完全に無視しています。続く pic.twitter.com/FNIP6b9T68
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。高校数学IIIの教科書には以前から曲線の長さが ∫_a^b √((dx/dt)^2+(dy/dt)^2) dt や ∫_a^b √(1+(dy/dx)^2) dx と表示できるという事実が書いてあります。この事実を見逃している議論はすべて不十分です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。川中さんは【円弧の場合、これ[引用者註:円弧の長さ]は三角関数の積分ということになり、ここで既に sin x の微分を使わざるを得ないように見えます】と述べていますが、「見えます」の主語は川中さん自身ではないのでしょう。川中さん自身にはそう見えていないは ず。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。円弧の長さはたとえば函数 f(x)=√(1-x^2) のグラフの一部分の長さとして積分で表わされます。三角函数を出さずにその積分は書けます。こういう事実を川中さんが知らないはずがない。おそらく「高校 数学の範囲内で」ということに気を使いすぎたのでしょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。高校数学IIIの教科書を最後まで読み込めば、高校数学において、sin θ の定義は実質的にθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2) の逆函数であり、cos φ の定義は実質的にφ(c)=∫_c^1 dx/√(1-x^2) の逆函数であるとみなせます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。一つ前のツイートに出て来た積分はそれぞれ x=√(1-y^2) と y=√(1-x^2) のグラフの一部分の長さです。高校数学IIIの教科書に載っている曲線の長さの積分による表示の公式を単純に用いればよいだけのことです。完全に高校数学 の範囲内です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。しかも現在では学習指導要領によって、高校数学IIIで曲線の長さの積分表示を扱わなければいけないことになっています。学習指導要領に書いてある のだから、高校数学の範囲内だと言って誰にも文句を付けられずにすみます。(くだらない話ですが、こうなっている。) 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。大学入試でも数学IIIまで範囲に入っているならば、楕円の弧長の積分による表示を扱う入試問題(実質的に楕円函数が関わる問題)が出されても、学 習指導要領的には文句が言えない状況になっているわけです。数学者は楕円函数大好きですから、受験生は覚悟しておいた方がよいかも。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。最後に三角函数を天下り的にべき級数の形式で定義するスタイルについても簡単にコメントしておきます。 それ、単なる一つの方法に過ぎないですから!!!!! インターネットで検索すると、妙にその方法が「権威」を持っているように感じられました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。あと、論理的に厳密な議論をするためだけに、天下り的なべき級数による函数の定義を試みるわけでもないことは強調しておきたいと思います。べき級数 による天下り的な定義は係数の部分を変えれば容易に一般化可能です。それによって「役に立つ函数」の世界を広げることができる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。高校で習う初等函数に限っても滅茶苦茶役に立つわけで、同じように役に立つ函数をたくさん見付けることができればうれしい。定理を定義として採用して一般化するのは数学では常套手段です。べき級数による天下り的な定義もその一例だとみなせます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。高校数学と大学数学を「論理的厳密性」の観点で比較することを強調されると、「すでによくわかっている話を単に論理的に厳密にするためだけに面倒な議論を導入する」という話に見えてしまいがちなので、とても残念なのです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。「まだよくわかっていない数学の世界を調べるために新たな方法を導入する」ということがわかるような説明をした方が楽しいと思うのですが、どうでしょうか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。「微積分を習ったのに経路の長さが速さの積分になっていることさえ知らないとしたら、微積分を勉強する意味ってあるの?」という疑問が出るのは当然なので、数学IIIの教科書に以前から曲線の長さの解説を入れていた教科書出版社には数学的良心を感じます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。以前の数学IIIの教科書では「発展」として曲線の長さが扱われており、現在では学習指導要領で正式に採用されたので、普通に数学IIIの教科書で 曲線の長さが扱われています。これを無視して、「循環論法になっている」というようなケチを付けるのはとてもまずいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。せっかく数学IIIの教科書で曲線の長さをずっと扱って来てくれていたんだから、ありがたく、「三角函数がある種の不定積分の逆函数として定義されることは高校の数学の範囲内で説明できることだよね」と言わせてもらった方がよいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 添付画像は https://t.co/piXXOjQsnk からの孫引き。もちろん【弧の長さを求めるために積分を用いるのだが、ここに三角関数を用いる】という決め付けは誤り。三角関数を使う表示も使わない表示もある。続く pic.twitter.com/Ioxo0KUGWT
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 何度も繰り返しているが、数学IIIの教科書に書いてある公式を使えば、θ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2) が単位円弧の長さであることがわかる。その逆関数として sin θ を定義できる。弧の長さの表示にも三角関数の定義にも三角関数は一切用いられていない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 メモ https://t.co/v6nxexT9ek https://t.co/gpwDs2UfNQ 高校の数学教科書の範囲内で三角関数の導入を閉じさせるためには数学IIIの教科書に書いてある曲線の長さの積分表示に触れる必要があるよね。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 色々検索してみての印象ですが、三角函数をある種の不定積分の逆函数として自然に(高校数学での定義の焼き直しとして)定義できることを知らないまま、べ き級数による天下り的な定義をするスタイルだけを学んでしまった不幸な人が日本には大量にいるような感じです。これはまずいよなあ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 積分について習っても、面積や体積が積分で計算できることや速さの積分が経路の長さになることなんかを知らないままだと、何のために苦労して積分を勉強し たのかわからなくなってしまいます。しかし、数学IIIの教科書はその辺にきちんと配慮してある。かなり以前からずっと!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 そういう歴史があるのに、ある種の人達は高校数学の範囲内では三角函数の取り扱いが論理的には循環論法にならざるを得ないかのように言ってしまっている。 これはとてもまずいと思います。「循環論法」とケチを付ける暇があったら「数学IIIの教科書を最後まで勉強してね」と言うべき。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。せっかく高校数学の範囲内での三角函数の導入の仕方について議論するならば、「循環論法云々」のようなつまらない話をするのではなく、「ついでに数 学的に重要なアイデアについて説明してしまう」という形を取るべきだと思います。特に論理的厳密性だけにこだわっても益は小さい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。大学数学科向けの数学の教科書に書いてあるような「厳密な」議論の仕方をマスターするためにはかなり努力しても数年間の時間が必要になります。これ はぼく自身がそうだっただけではなく、ぼくが教えているような極めて優れた学生たちであってもそうなので間違いありません。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。そのような能力を身に付けた後であれば、論理的に厳密な議論を常に要求することは苦ではなくなり、とても役に立ちます。なぜならば、いつでも論理的に明晰な議論に戻れるので、自由に「なんでもあり」の世界を謳歌できるようになるからです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。何が明晰な議論で何が曖昧な議論なのか区別が付かないままだと、完全に自由に自分自身の直観を使うことが困難になります。なぜならば、曖昧な議論と明晰な議論を区別できないせいで、間違った議論をしていても気付かずに終わってしまう可能性が高くなるから。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。間違うこと自体は単に訂正すればよいだけのことなので怖くないのですが、間違いに気付かないのは怖い。そういう恐怖を払拭できないままで、直観を自由に使用することができるはずがありません。数年間の努力はこの自由を手に入れるために必要なのです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。ぶっちゃけた話をすると、数学的に厳密な議論を空気を吸うがごとくできる能力には高い価値があると思いますが、数学的に厳密な議論をすること自体を 目標にするのは誤りだと思います。それだと目標が低過ぎる。厳密な議論は道具に過ぎず、その先を目標にしないとまずい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。私が高校数学における「循環論法だ」というタイプの指摘がつまらないと思うのはこのように考えているからです。わかり切ったことを再度厳密にやり直 すだけであればまったくつまらない話だと思います。実際には全然そういう話ではないのに、つまらない話にしてしまっている。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。たとえば三角函数を天下り的にそのべき級数展開で定義するというスタイルは有名なのですが、三角函数というよく知っている数学的対象についてわざわざそういう手間をかける価値があるのはどうしてなのか? 「論理的に厳密な議論になるから」 それは良い答えではない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。べき級数で天下り的に定義して三角函数論のすべてを論理的に厳密に再構成することはできる。しかし、単に論理的に厳密な三角函数論を展開するだけな ら他にも方法がたくさんあります。特にべき級数で定義することのメリット(とデメリット)が何なのかがわかるように答えるべきだ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。こういう問いに適切に答えるためには、三角函数論以外の数学的知識が必須になります。三角函数をべき級数で天下り的に定義して三角函数論の全体を再構成するときに使われる数学的テクニックは、未知の函数を定義して調べるときにもそのまま役に立ちます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。そのおかげで、べき級数による天下り的な定義から出発して三角函数論のすべてを再構成する手間をかけたことのある人は、べき級数で表される未知の函 数を自分の力だけで調べる方法を手に入れたことになります。こうい話なのに、数学的厳密性の面に焦点をあてられてしまうのはつらい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。三角函数をある種の不定積分の逆函数と定義(この定義はべき級数による天下り的な定義と違って高校の数学の教科書における三角函数の定義を自然に焼き直したものになっている)についても、同様のストーリーを述べることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。他にも微分方程式を用いた三角函数の定義の仕方も有名だと思います。どれでやっても結果的に同じ世界ができあがることになりますが、それぞれ方法が違うので、数学の世界における未知の領域を調べるための道具を複数手に入れたことになってうれしいわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算 続き。遊びでも数学でも自分自身の意志で自由に選択できる楽しい事柄が多い方がうれしいと思います。数学を教わるたびに教わった人の選択肢が拡大されるようになれば、どんなに初歩的な数学であろうと教える価値は極めて高いと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
関係ないが, 坪井先生だかと話をしていたとき,
「高校数学の教科書にあるベクトル方程式というのは (言葉づかいが) 気持ち悪い」
みたいな話をして「いろいろあるんです」みたいに苦笑していたのを思い出した.
あとこれも何度か言っているが,
私にとって高校数学と大学数学の違いがあって,
高校までは好きではあるが (大学受験を前提に) 問題が解けなくて苦しんでいたが,
大学に入ってから数学ではそんなに苦しんでいなかったであろう物理学科の同期が
「数学 (実数論とか集合とか位相) わけわからないしつらい」と言っている中で
ただただめちゃくちゃ楽しく, 「いや, 自分わりと数学への耐性・適性あるのでは?」と
思えたという個人的な導入時の心の有り様という感じがある.
何というか, 問題解けなくてもいいと思えたというか何というか,
まだ明確な言葉にできていないのだが,
とにかく大学の数学でようやく救われた, というような感覚がある.
このへんももっと明晰に言葉にしたい.
#掛算 ←このタグを一回だけつけます。続けて #函数 タグだけを付けて三角函数について書きます。最初に、高校数学III全体以上の知識を仮定して、高校数学教科書のスタイルの三角函数の定義はある種の不定積分の逆函数による定義と一致していることを説明します。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 xy平面における原点を中心とする単位円周を考え、点(1,0)を始点とする長さθの弧(ただし長さは時計回りなら負の値を取ると考える)に対して、弧の終点のy座標を sin θ と定義します。これは高校の教科書に書いてある定義と本質的に同じです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。(説明の仕方がちょっとひどいのですが、許して下さい。) しかし、高校の教科書で円周上の弧の長さを微積分で表すためには、数学IIIの教科書を終わりの方まで読まなければいけません。そこまで読んで初めて弧の長さの概念が明確になったと考えるべき。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。数学IIIの教科書の終わりの方に曲線の長さが∫_a^b √((dx/dt)^2+(dy/dt)^2) dtと表示できることの解説がある。これを曲線の長さの定義だと思ってもよいし、別に曲線の長さが定義されていてこれは定理だと思ってもよい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。xy平面上の単位円とは方程式x^2+y^2=1で定義される多様体のことです。多様体を知らない人は適当にこの手の用語を無視して下さい。多様体は大した話ではないです。単位円上の弧の長さは単位円上の微分形式の積分としてきちんと定義されます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。あ、微分形式という用語も適当に無視して下さい。微分形式の話も大したことないです。以下の話は数式を見れば必要なことは全部わかります。単位円の右半分に含まれる弧の長さは〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き〜 dy/√(1-y^2) の積分で書けることが、高校数学IIIの教科書を全部読んでいればわかります。弧をパラメータt=yによって(x,y)=(√(1-y^2),y)とパラメトライズして、曲線の長さの公式を使って下さい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。単位円の上半分に含まれる円弧についてもxとyの立場を取り替えれば同様です。ただし、時計と反対回りに積分すると正の値が得られるよう平方根の正負を選んで下さい。単位円の右半分と下半分も同様です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。これによって、単位円の右半分、上半分、左半分、下半分に含まれる弧の長さが積分で書けることがわかりました。どれか一つの◯半分に含まれ切らない弧の長さは積分を繋ぎ合わせれば計算できます。(微分形式の積分とは要するにこういうこと。)続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 以上において多様体とか微分形式とか口走ってしまいましたが、実質的な内容は高校数学IIIの教科書の終わりの方に書いてある曲線の長さを単位円に含まれる弧に適用しただけです。単位円に巻き付くような「弧」の長さも積分をつなぎ合わせれば計算できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 これによって、点(1,0)を始点とする単位円上の経路にわたる積分(必要なら積分を繋ぎ合わせる)によって、弧の長さを表すことができることがわかります。長々と書きましたが、高校数学IIIを理解していればすべて自明な話に過ぎません。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。以上によって、単位円上をまわる(逆行しない)経路の長さを積分で表す方法がわかりました。これによって、ラジアンの意味での角度の概念を微積分を使ってきちんと定式化できることがわかったことになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。ここまでたどり着けば後は高校の数学の教科書通りに三角函数を定義できます。そして、角度θが積分で書けていることから、三角函数がある種の不定積分の逆函数になっていることがすぐにわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 sin θ を例に説明しましょう。s=sin θ とおくと、θ=∫_0^s dy/√(1-y^2) が成立します。正確に言えばこの等式は-π/2<θ<π/2のときにのみ正しいのですが、積分をつなぎ合わせれば一般の場合も同様の結果が成 立しています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。(積分の繋ぎ合わせのような説明の仕方が嫌な人は、微分形式の積分の概念を使うと一発ですべてを明瞭に書き切れます。) そして、θ=∫_0^s dy/ √(1-y^2) のとき、sin θ=s となることは sin θ の定義そのものです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き。要するに、高校数学における sin θ の定義は、sin θ はある種の不定積分の逆函数であるという主張とほぼ同じことを言っているとみなせるのです。これは弧の長さが積分で書けることからの必然的な帰結です。わかってしまえば全部自明な話。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 まとめ。「円弧の長さで角度θを定義し、単位円上の点のx,y座標としてcos θ,sin θを定義する」という定義は、円弧の長さが積分で表されることより、三角函数をある種の不定積分の逆函数として定義するのと同じことをやっているとみなせる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 要するに、高校の教科書にある三角函数の定義は、曲線の長さが積分で表されることより、円弧の長さを与える不定積分の逆函数として三角函数を定義しているのと同じことをやっているとみなせるのです。二つに見える定義は実は一つの定義になっています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 というわけで、よく使われている三角函数の定義には、(1)単位円の幾何を使って、弧の長さを意味するある種の不定積分の逆函数として定義(本質的に高校数学での定義の仕方そのもの)、(2)べき級数で定義、(3)微分方程式の解で定義などがあるわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 昨晩書いた話の中には「積分 θ=∫_0^s dy/√(1-y^2) の被積分函数が y=±1 で発散することが心配だが、どうするのか?」という疑問にも答えている。一言で言えば「被積分函数は単位円上の微分形式としてはy=±1でも発散していない」だ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 単位円x^2+y^2=1上の函数 1/√(1-y^2) はy→±1で発散しているが、単位円上の微分形式 dy/√(1-y^2) はそうではない。そのことは単位円x^2+y^2=1上でdy/√(1-y^2)がy→1でどのようにふるまうかを〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki #函数 続き〜調べるために、単位円上の座標をyからxにy=√(1-x^2)と変数変換してみればよい。y=1はx=0に対応している。微分形式を直接扱いたくなければ、高校で習う置換積分の話だと思ってよい。同じことである。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki #函数 続き。置換積分をやるときの計算と同様にして、dy/√(1-y^2)=-dx/√(1-x^2)となることがわかる。左辺の分母はy=1で0になるが、y=1に対応するx=0で右辺の分母は0にならない。多様体上の微分形式とはこういうもののことである。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki #函数 続き。多様体とか微分形式のような言葉を知らなくても、座標を必要に応じて取り替えて、以上で述べたような座標変換でよい振る舞いを示すものの具体例を幾つか知っていたら、「そういうものが多様体上の微分形式だ」と理解しておけばよい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki #函数 単位円上の弧の長さを積分で表せることがわかっていれば、ラジアンの意味での角度θを単位円上の座標として使えるようになる。そのとき、先の微分形式は dθ に等しい。dy/√(1-y^2)=dθ の右辺には「0になる分母」はない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki #函数 θ=∫_0^s dy/√(1-y^2) だから dθ=dy/√(1-y^2) となると考えてもよいし、y=sin θ と変数変換して dy/√(1-y^2) = cos θ dθ/cos θ=dθ と計算(高校数学的には置換∫の計算を)してもよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki #掛算 Googleで検索して過去の分だけは「高校数学の範囲内では lim_{θ→0} sin θ/θ=1 の証明は循環論法になってしまう」というデマを誰が流しているかはすでに確認済みです。大学の数学の先生は注意するべき。関連情報の交換は #函数 タグで!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki #函数 高校の数学IIIの教科書には以前から曲線の長さが速さの積分で表せることが解説してありました。だから数学IIIまでやれば単位円上の弧の長さを三角函数を使わない積分で表せます。ラジアンの概念さえ微積分を使って定義できてしまえば循環論法になりようがない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
微分形式とかかなり参考になる気がする.
ツイートだと見づらいので勝手に編集して PDF にした.
勝手に編集して勝手に使うのもアレだが,
そのうち YouTube にこの解説の動画も上げたいと思っている.
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