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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.
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目次
解説『やさしい理系数学』第 5 章 三角・指数・対数関数 例題 15 (類題頻出)
問題 (類題頻出)
\(\alpha\), \(\beta\) は \(0 < \alpha < \beta < 2 \pi\) をみたす実数とする.
全ての実数 \(x\) について, 等式
\begin{align} \cos x + \cos (x + \alpha) + \cos (x + \beta) = k \end{align}が成り立つような定数 \(\alpha\), \(\beta\), \(k\) の値を求めよ.
ポイント
この問題自体のポイントは
全ての実数 \(x\) に対して成り立つように値を決めるというところ.
これを示すためにどんな方法を使うかという話で,
基本的な手法をいくつか仕込んでおきたい.
例えば次のような方法だ.
- 三角関数の合成.
- 必要条件からの絞り込み: 実験してみる.
- 幾何学的な意味付け.
- 微分・積分.
三角関数に特化した話としては
三角関数の加法定理・合成を使った方法はきっちり身につけておくべきだろう.
真ん中 2 つの話題はもちろん問題を選ぶが,
基本的な手法としておさえておきたい.
必要条件からの絞り込みは他でもずっと強調している 実験 と言ってもいい.
方針
引用するために \(f(x) = \cos x + \cos (x + \alpha) + \cos (x + \beta)\) としておく.
方針 1
全ての \(x\) に対して成り立つと言っているので,
\(x\) に関して整理してみるという方向性がある.
それから見ると, 引数が違う三角関数の足し算であること,
\(x + \alpha\), \(x + \beta\) とよけいな要素がくっついているのが鬱陶しい.
加法定理で展開して \(x\) に関してまとめて合成すると次のようになる.
\begin{align} f(x) = \sqrt{(1 + \cos \alpha + \cos \beta)^2 + (\sin \alpha + \sin \beta)^2} \sin (x + \gamma) = k. \end{align}\(\gamma\) は適当な定数.
全ての \(x\) に対して成立させるためには \(x\) 依存を潰せばいい.
そのためには \(\sin (x + \gamma)\) の係数が 0 になればよくて,
係数を 0 にするような \(\alpha\), \(\beta\) を選べばいい.
ここまで来たらあとは計算するだけだ.
このとき, 係数に \(x\) が入っていたらやりづらくて仕方ないから,
\(x\) を別に切り出すために加法定理による展開に着目することが大切になる.
また \(f(x) = 0\) にしろということだから, \(k = 0\) にせざるを得ない.
ここから考えると \(f(x) = 0\) となる \(\alpha\), \(\beta\) を求めよ,
という問題ではなく \(f(x) = k\) にしたこともこの問題を難しくする原因でもある.
【方針 2】
必要条件から絞り込んでみよう.
もちろん実験といってもいい.
基本は関数の引数に注目して計算しやすい, 見やすいのを当てればいい.
\(\cos x\) に着目すると \(f(0)\), \(f(\pi)\) あたりを思いつく.
\(\pi / 2\) にしてもいいが, \(\cos (\pi / 2 + \alpha)\) などは \(\sin\) になってしまうので,
\(\cos\) と \(\sin\) が共存する連立方程式になって面倒くさそう, とかそういうことを思ってほしい.
もちろん全部 \(\sin\) に移してもいいがさして意味がない.
ここから \(k = 0\) が出てくる.
あと何をするかだ.
鬱陶しいのが何かという点から見てみると \(x + \alpha\), \(x + \beta\) を潰しにいきたい.
\(x = – \alpha\), \(x = – \beta\) にするとそれぞれ潰しにいける.
\(f(- \alpha)\), \(f(- \beta)\) を計算してみると割と綺麗になる.
これらをまとめると必要条件が出る.
最後にこれが十分条件であることを調べる.
実際に \(f(x) = k\) に \(\alpha\), \(\beta\), \(k = 0\) を叩き込んでみて
\(f(x) = 0\) が恒等的に成り立つかを調べればいい.
【方針 3】
今度は三角関数の微分に関する周期性に着目する.
\(f(x) = k\) から \(f”(x) = – f(x) = 0\) が出るから \(k = 0\) が出る.
あと \(\alpha\), \(\beta\) をどうにかして処理をしたい.
そこで式を幾何学的に特徴づける.
\(f(x) = 0\), \(f'(x) = 0\) は次の点 (ベクトル) の \(x\) 座標, \(y\) 座標の和と思えるかが鍵.
\begin{align} \mathrm{A} (\cos x, \sin x), \quad \mathrm{B} (\cos (x + \alpha), \sin (x + \alpha)), \quad \mathrm{C} (\cos (x + \beta), \sin (x + \beta)). \end{align}\(f(x) = 0\), \(f'(x) = 0\) は \(\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}} + \overrightarrow{\mathrm{OC} = 0\) と読み替えられる.
これは \(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心が原点であることを意味している.
さらに \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\) は半径 1 の円周上にあるから \(\triangle \mathrm{ABC}\) の外心は原点だから
外心と重心が一致する.
ここから \(\triangle \mathrm{ABC}\) が正三角形になり, \(0 < \alpha < \beta < 2 \pi\) と合わせて値が決まる.
念のために書いておくとベクトルの代わりに複素数で処理してもいい.
同じことだから.
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