解説『やさしい理系数学』第 12 章 式と曲線 例題 38

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解説『やさしい理系数学』第 12 章 式と曲線 例題 38

問題

O を原点とする座標平面上において, 2 定点 \(\mathrm{F}(c, 0)\),
\(\mathrm{F}'(-c, 0)\) からの距離の和が \(2a\) (ただし, \(a > c > 0\)) であるような
点 P の軌跡を \(E\) とする.

(1) \(E\) の標準形 \(\colon \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1\) (ただし, \(b = \sqrt{a^2 – c^2}\)) を導け.

(2) \(E\) 上の任意の点 P から 2 定直線

\begin{align} L \colon x = \frac{a}{e}, \quad L’ \colon x = – \frac{a}{e} \quad \rbk{\text{ただし, } e = \frac{c}{a}} \end{align}に下ろした垂線の足をそれぞれ H, H’ とすると

\begin{align} \frac{\mathrm{PF}}{\mathrm{PH}} = \frac{\mathrm{PF}’}{\mathrm{PH}’} = e \quad (\text{一定}) \end{align}であることを示せ.

(3) \(\mathrm{F}\), \(\mathrm{F}’\) から, \(E\) 上の任意の点 \(P\) における \(E\) の接線 \(l\) に下ろした垂線の足をそれぞれ
\(\mathrm{H}_1\), \(\mathrm{H}_2\) とするとき,

(i) P で \(l\) に垂直な直線 (法線) \(n\) は \(\angle \mathrm{FPF}’\) を 2 等分することを示せ.

(ii) \(\mathrm{H}_1\), \(\mathrm{H}_2\) は O を中心とする定円周上にあることを示せ.

(4) F を極, \(x\) 軸の正の部分を始線とする \(E\) の極方程式を求めよ.
また, \(E\) の 2 つの弦 AB, CD がともに F を通り, 互いに直交するとき,
\(\frac{1}{\mathrm{AB}} + \frac{1}{\mathrm{CD}}\) の値は一定であることを示し, その値を求めよ.

ポイント

2 次曲線の中でも特に楕円にフォーカスして幾何学的な定義
\(\mathrm{PF} + \mathrm{PF’} = 2a\) から楕円の方程式や極方程式を導く,
教科書や基本レベルの参考書にも書いてあるような問題が含まれている.
これらは本を読んでいたら「うん,
そうだよね」と素通りするような箇所だろうが,
1 から自分でやれと言われたら戸惑う人も多いはずだ.
結果を覚える必要はないが,
焦点・準線・離心率は 2 次曲線に対して共通の概念だし,
この問題以外にも共通に使える計算法も多いから,
この手法を身につけておくといろいろな 2 次曲線の問題に対応していける.
基本中の基本だし (受験では) 超使えて役に立つので,
「教科書レベル」と思って馬鹿にせずきっちり身につけてほしい.

こういうと「教科書にある証明はきちんと覚えておいた方がいいのだろうか」と思う人がいるだろう.
まず, 大多数の受験生には不要だと言っておこう.
東大で三角関数の定義から加法定理を証明させる問題や,
「円周率の値が 3.05 より大きいことを示せ」という問題が出た影響で,
東大以外でもこうした教科書に書いてある定理を実際に証明させる出題もあるようだが,
多くの大学受験生はそこまで手が出せていない.
そういう問題を解ける人間は少ないだろうから多分その問題では差がつかない.
それよりもよく出る問題の解法を覚えた方が得点に, 合格に結びつく.
もちろんやっておくべき受験生もいる: 東大京大レベルの受験生,
特に東大の受験生はやっておくべきだろう.
教科書を全て丸暗記してもいいくらいだ.
一定以上数学をやり込んでいる生徒なら,
証明を覚えてしまうのは苦ではないだろう.
覚えるべきポイントが見えるはずで,
そこだけおさえればあとは自動で計算が進むこともわかっているはず.

応用問題は丁寧な幾何学的考察がポイントになる.
計算でごり押すところ, 平面幾何に訴えるところ,
両方をミックスして攻めるところと見所がたくさんあるいい問題で演習効果も高い.
徹底して復習する価値は十二分にある.

ちなみに「円周率 3.05」問題が出題されたのはちょうど私が一浪した年だった.
試験会場で思わず笑ってしまった.
有名な話だがちょうどその年「小学校で円周率は 3 として計算する」という (一部誤解もあった) 問題があり,
「東大が文科省にけんか売ってる!」と話題になった.
「こんな無茶な出題してくる大学がつまらないはずがないので何としても入りたい」と思ったが落ちてしまった.
今思い出しても悲しい.

方針

(1)

ごりごり計算するだけだ.
ルートが入るので下手な計算をすると綺麗にまとまらない.
教科書にも書いてあるレベルの内容だが,
計算力・複雑な計算の先を見通す力・方針を立てる力が問われる.

(2)

示すべき結果 (式の値) がわかっているのでそれを目指して計算していくだけだ.
焦点と準線に関する定義でもある基本的な話だから定型処理であり,
定義通りに処理していくタイプの議論に慣れているかが問われる.
やはり馬鹿にしてはいけない.

(3)

  • (i)

    これはまず実験してみるといい.
    特にわかりやすい特殊値で実験するとよくて,
    \(\mathrm{P} = (0, \pm b)\) では明らかに法線 \(n\) が \(\angle \mathrm{FPF’}\) を 2 等分する.
    一般の場合が問題で, なかなか難しい.
    具体的に角度を設定できるなら三角関数やベクトルの内積でアタックできるかもしれないが,
    どうもそんな気配はない.
    大学受験生が角度まわりで使える手法は平面幾何くらいしかないので,
    平面幾何で攻める決断ができるかがポイントだろう.
    座標も設定してあるから,
    単純な平面幾何ではなくいろいろな辺の長さを求めるのに座標を使う.

    まとめると, 平面幾何的な考察と座標による長さの計算をミックスしてアタックすることになる.
    辺の長さを見るのに (2) の計算結果も使うので,
    そこに気づけるかどうかも鍵になり, 割と難しい.
    融合・混合問題で, やっていて楽しく演習効果も高い問題ではある.

  • (ii)

    平面幾何の問題.
    方針は (i) の証明の最中で使う事実に思いを馳せれば思いつけるかもしれない.
    \(l\) に関する \(F\) の対称点 \(S\) を取れるかがポイント.
    結果からいうと, 定円は楕円を \(y\) 軸方向に縮小する前の円になる.
    解答方針とは関係ないことだが, そうした幾何学的事実も楽しい問題ではある.

(4)

極方程式は教科書通りにやればいい.
後半は極方程式を使って素直に計算するだけで難しいことはない.
解答方針とは関係ないことだが, よくこんな事実を見つけたものだと驚く.

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