このサイトは学部では早稲田で物理を, 修士では東大で数学を専攻し, 今も非アカデミックの立場で数学や物理と向き合っている一市民の奮闘の記録です. 運営者情報および運営理念についてはこちらをご覧ください.
理系のための総合語学・リベラルアーツの視点から数学・物理・プログラミング・語学 (特に英語) の情報を発信しています. コンテンツアーカイブに見やすくまとめているのでぜひご覧ください.
好きな教科書と嫌いな教科書。線形代数。個人的に好きなのは、佐武一郎『線型代数学』 http://t.co/zDcRLF5SvA (新装版→ http://t.co/FmgV0Xzigg )と長谷川浩司『線型代数』 http://t.co/Jbj5W8KdGI
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。その 二つの教科書は、数学の世界の中から線形代数に関係している部分を自然に切り取って「普通に」解説している点がとても気持ちがよい。しかもその2冊は内容 がかぶっていない部分が結構あって両方読むと教養が深まるようになっている。この2冊をぼくはいつもすすめています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。ぼく が嫌いなタイプの教科書は二種類あって、「学生のレベルの低さに合わせて編集しました」という感じの教科書と「線形代数は環上の加群の理論の特別な場合で ある」という無茶な立場に立とうとしているような教科書です。具体的に書名は挙げませんが、どちらもかなり不快な感じ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。「学生のレベルの低さに合わせて編集しました」という臭いが感じられる教科書は学生に失礼なので採用できません。そして「線形代数は環上の加群の理論の特別な場合である」という認識はひどく間違っていると思うのでそういう立場の教科書も採用できないです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続く。余計 なことをせずに、素直に数学の世界を正確に分かり易く説明し、周辺の面白い風景をきちんと見せようと努力している教科書が好きです。佐武さんの本と長谷川 さんの本はどちらもそういう立場で読むとき気持ちがよいです。個人的にはみんなにこういう線形代数の教科書を読んで欲しいと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。佐武 さんの『線型代数学』を読むと20世紀の後半あたりから、大学で教える数学の中に線形代数が標準的に含まれるようになった理由がわかります。そこに書いて ある道具をすべてマスターすると多くの問題が易しく解けるようになります。この本を読むと数学的な教養が身に付きます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。佐武 さんの本は「おまけ」に見える部分が非常に面白い。たとえば行列式の章には、Sylvesterの行列式、Jacobiの行列と合成函数の微分、行列式の 微分、パフィアンなど多数の話題が含まれています。全編、そういう調子で書かれている。つまらない話が一つもない!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。長谷 川本で扱っている話題もかなり豊富。しかも、長谷川本の最初の方には2×2行列で解説してある部分が挿入されており、その部分ならよくできる高校生は確実 に読めるものと思われます。そういう勉強をしておけば大学受験でも相当に有利になると思うので、よくできる高校生にはおすすめ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。21世紀になっても、線形代数の教科書で重要な応用先である量子力学に何も触れていないのはおかしい。この不満も長谷川本を手に取れば解消されます。多くの人に教養として、量子化された調和振動子くらい知っておいて欲しいと思うのは私だけではないでしょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。まじ めに書かれた数学の本を読むには時間がかかります。大学新入生のときに佐武本や長谷川本を手に取った人は3年くらいかけて読めれば良いくらいに気楽に構え た方がよいと思う。3年程度努力すれば論理的スキルが大幅に上昇しているので、ずっと楽に速く読めるようになっているはずです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。ぼく が大学新入生のときには長谷川本は存在してなかった(長谷川さんもまだ学生)。しかし、大学入学直後から、ラグランジアンとハミルトニアンから量子水素原 子を解くところまで1時間目の化学の授業でいきなりやらされた。青春時代の良い思い出。あれは大学入学直後の痛快事の一つだった。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。大学 新入直後に、ラグランジアン、ハミルトニアン、量子力学、井戸型ポテンシャル、調和振動子、水素原子などなどについて勉強しないと化学の単位を取れない状 況に追い込まれたことは(ちなみに教科書は英語の本だった)、その後、数学を楽しむためにものすごく役に立った。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。著者 独自のスタイルを広めるために書かれた本はつまらない(場合によっては有害な)場合が多いけど、著者が見て来た面白い世界を読者に一所懸命伝えようとして いる本は読んでいて気持ちがよいよね。佐武さんの本も長谷川さんの本もどちらも面白い話があることを一所懸命説明してくれている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
私の場合, 学部 1 年で実数論, 集合論, 位相空間論の本格的な講義に出会ったことが
今の私を決定づけている感がある.
同じく 1 年のときにあった物理学研究ゼミナールというやつで
Brown 運動の数学パートを担当させられて,
そこでいろいろ発表するために
わけもわからず手に取ったブラウン運動のしっかりしていそうな本が
飛田武幸『ブラウン運動』だったり,
数学の関数解析バリバリの偏微分方程式の本を読んで挫折しまくったり,
Hilbert 空間論の本に手を出してみたりしたことも
かなり強く効いている.
あと線型代数については次の企画でもちょろっとまとめているが,
関数解析・半群理論を意識したような構成でいろいろ書いてみたい.
Hubbard・Heisenberg あたりとか,
学部 3 年の量子力学のトンネル効果周辺の練習問題で
\(2 \times 2\) 行列で遊んだことがあるので,
そういうネタも突っ込んでみたい.
あとやはり量子情報まわりだと行列で本質的に遊べそうな
気配を感じるので, その辺も気になって仕方ない.
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