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「幼児語を使い,幼児と1対1で話す」事が,幼児の言語発達に極めて重要という研究結果
論文:https://t.co/h4jlNTpCu92才時の語彙数が,親が最も多く「〃」した幼児433語に対し,最も「〃」が少なかった幼児は168語。その差,実に2,5倍という研究結果。 1/
— Podoron (@podoron) 2017年3月22日
11~14ヶ月の幼児に,LENA systemという小型の録音装置を装着(胸ポケットに入れる)させ,家庭内の自然状態での言語状況を録音。
・親の会話スタイル: 幼児語/普通の言葉
・会話状況: 1対1/大人複数と幼児会話スタイルと状況の,幼児の言語発達への影響を調べた。2/
— Podoron (@podoron) 2017年3月22日
・幼児語&1対1
・幼児語&グループ
・普通語&1対1
・普通語&グループ
の4パターンと,2歳時の語彙数の相関を調べた結果,「幼児語&1対1」のみ強い相関があった。また,親の発した単語数と獲得語彙数には相関がなく,この研究では,「インプットの量より質」が重要という結果。3/
— Podoron (@podoron) 2017年3月22日
この研究結果は,「幼児語の強調された発音などが,音素理解・語彙獲得を助ける」「幼児の言語習得には,言語の“音声”だけでなく,アイコンタクト等の発話者との交流が重要」といった多数の先行研究の研究結果とも合致する。
※「幼児語を使わない教育が良い」なんて疑似科学にご注意下さい。4/
— Podoron (@podoron) 2017年3月22日
Q,どちらの疑似科学がより有害でしょう?
A:「水素水」を信じ、プラセボ効果を得る代わりに、多少の金銭的損失
B:「幼児語は使わない方が良い」論を信じ、幼児語を多く使った場合に比べ、我が子の獲得語彙数が半減「理系の素養」があれば、この疑似科学は両方見抜るでしょうか? 5/
— Podoron (@podoron) 2017年3月22日
これに対する次のようなコメントがあった.
幼児語は使わない方が脳にいいって言ってたおばあちゃんいませんでした?この論文に関する意見聞いてみたい…。
https://t.co/nAcqBizJqe— yoko (@yyyoookkkooo) 2017年9月6日
さらに返して.
以前も「脳科学おばあちゃんが否定してた」という反応多かったのですが、ただの”脳科学者の妻”(本人は高卒)である本人は勿論のこと、旦那の久保田競氏も大脳生理学者であって、言語習得・言語教育を専門としておらず、門外漢と言えます。
基本的に、脳神経科学は教育・育児とは縁遠い分野です。 https://t.co/g897Fb8Ue4
— Podoron (@podoron) 2017年9月8日
あ、念の為に補足しておくと、(本人は高卒)は「高卒だからダメ。信頼に値しない」といった話ではなく、「専門的に学んだり研究したりしていない人」という意味です。
私の父も山奥でスキーで山一つ超えて小学校へ通ってたド田舎の工業高校卒な人間ですし。
— Podoron (@podoron) 2017年9月8日
同じ方による, またちょっと違う話.
すごーく乱暴なこと言ってしまえば、「脳科学の研究結果から分った~教育方法」とか言い出したら、とりあえず疑ってかかってしまって良いと思う。
理由は、そもそも脳神経科学は基本的に教育方法や教育への応用を研究目的としてないし、その研究内容と実際の教育の距離が物凄く遠いから。 1/— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
脳神経科学では、例えば、fMRIなどの脳機能イメージング技術で「Aの認知課題を与えたら、脳のBの箇所の活性化を確認した」などの研究が定番だが、この研究から分かるのは「脳のどの部分が使われた/使われなかった」「どの部分がどんな認知機能に関わっているか」といったもの。 2/ pic.twitter.com/Ij8FjfGewi
— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
「~すると、脳のAの部分が活性化」という研究結果は、「=~すると、脳が鍛えられる」ではなく、それを確かめるには、「~を一定期間続け、その前後で機能の向上が見られたか」という研究が必要な訳で。
「脳科学の研究から云々」言ってたら、どんな研究を元に何を言ってるのかご注意あれ。11/
— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
「脳のAの部分が活性化していた」は分っても、「それにより学習効果が上がるのか」は、実際に試験して試験成績を確かめなきゃ分からないし、「どの学習・教育方法が最も効果的か」を論じるなら、各方法を実際に比較研究しなきゃ分からない。
けど、それらは基本的に脳科学の研究領域じゃない。4/
— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
ついでに言うと、脳の活動を直接観察す脳機能イメージング技術は、とても「科学的」ではあるが、今の所、「時間分解能」と「空間分解能」の問題を抱えている。
「時間分解能」は、動きを何秒単位で計測できるか。
「空間分解能」は、位置を何ミリ単位で計測出来るか。 5/— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
この「時間分解能」と「空間分解能」を高レベルで両立出来る技術がまだない。
人間の脳はミリ秒(1/1000秒)単位で活動しているし、神経細胞は1mm以下。これを例えばfMRIだと数秒/数ミリ単位で調べられ、空間分解能が高いが、ミリ秒単位で活動する脳を数秒単位でしか測れない。 6/ pic.twitter.com/vf002OXVsT
— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
でまぁ、私が分かるのは第二言語習得関連の脳神経科学の研究だけど、「脳のどの部分がどんな機能を担っているか」という脳を直接観察する事でしか分からない分野を除いては、
基本的に行動科学(心理学など)的研究で既に得られていた知見を、脳神経科学で確かめる、といった研究が多い。 7/— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
「脳神経科学の研究結果で、人間の言語習得・言語運用に関する学説が大きく変わった!」という様なのはほとんどないし、
研究内容は基本的に基礎研究の類いなので、ましてや「だから英語教育ではこの方法が良い」といった話につながるものなんてほぼ一つもない。 8/— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
「脳を鍛える」といった内容も人気だが、『ワーキングメモリと教育』によれば、人間の認知機能の中心である「実行機能」自体を鍛えるトレーニングも様々研究・開発されているが、今の所、効果は確かではなく、まだまだ発展途上との事。9/https://t.co/w8uBAJKZ08
— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
「日常的に二言語を使用し生活」していると「実行機能を強化」「認知症の症状を予防」するなどの研究結果が出ているが、それも数年程度では足りない様だという研究結果なので、
ニ言語で生活の認知負荷に比べ非常に軽い、「脳トレ」系をちょっとやっただけでどの程度効果があるものか正直疑問。10/— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
「~すると、脳のAの部分が活性化」という研究結果は、「=~すると、脳が鍛えられる」ではなく、それを確かめるには、「~を一定期間続け、その前後で機能の向上が見られたか」という研究が必要な訳で。
「脳科学の研究から云々」言ってたら、どんな研究を元に何を言ってるのかご注意あれ。11/
— Podoron (@podoron) 2017年4月6日
一応補足しておくと、「脳神経科学」自体をdisってるのではなく、研究結果から話を飛躍させて、研究内容・領域が全く扱っていないもの(教育・学習方法・育児等)を論じるような人々にご注意下さい、という話。
「学者」の肩書だけでなく、その人の専門、実際の研究内容を見ましょうって話です。
— Podoron (@podoron) 2017年4月7日
例えば、英語教育だと、文科省の有識者会議では、「脳科学は,著しい進歩を遂げているが,今のところ,言語教育や外国語教育に関する政策や教授法に直接示唆を与える研究成果はない」との結論。
「脳の機能」という話なら、ワーキングメモリ研究(主に心理学)の教育への応用などもあるんですけどね。— Podoron (@podoron) 2017年4月7日
理化学研究所の「脳科学とは」の解説ページhttps://t.co/IimbbwKS29
ざっと見て貰えば、教育や学習などにつながりそうなトピックが全くない事を御理解いただけるかと。
— Podoron (@podoron) 2017年4月7日
ややこしいのは、脳神経科学だけでなく、脳に関わるもの全てを「脳科学」と呼んでる事が割りとあって、心理学・言語学系の研究なんかも「脳科学」でひとくくりにされてたりする場合。
とはいえ、「脳科学者」を名乗る人は基本的に脳神経科学が専門だろうから、やっぱり教育・学習分野とは縁遠いはず。— Podoron (@podoron) 2017年4月7日
「神経神話」に関しては日本語ならこれとか分かりやすい。
・疑似科学全般の特徴と問題点
・擬似脳科学の特徴と問題点
・どう対処すべきか、必要な科学リテラシーは何か
を整理して丁寧に論じてる。
鈴木貴之「脳科学ブームと疑似脳科学」https://t.co/Zt2jpJ1RHz— Podoron (@podoron) 2016年8月21日
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