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本題は後半の方.
状態概念
ケットベクトルって数学的に問題なく定義するにはどうすればいいんだろ— Yuki Nagai (@cometscome_phys) March 7, 2020
ケット自体は単にヒルベルト空間、特に適当なL^2の元で、一般に物理の人がいう |x>やら何やらが超関数でふつうのL^2には入らないのが問題です。数学または数理物理サイドで超関数が必要な時にそのまま超関数を使う人もいます。続— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
作用素環では大まかにいうと波動関数Ψからψ(A)=<Ψ|A|Ψ>として(作用素環の意味での)状態ψを作っていて、量子力学のレベルだと多分それほど大きく変わらないか、むしろ面倒です。場の理論まで行くと発散の処理で色々あって概念操作の上では作用素環が楽です。— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
コメントありがとうございます。デルタ関数がでてきそうなところで厳重な取り扱いが必要そうな感じなんですね— Yuki Nagai (@cometscome_phys) March 7, 2020
指数関数もフーリエ変換すればデルタ関数なのでデルタ関数といえばデルタ関数ですが、要は普通に物理の人が議論する対象がやたら特異的でとにかくその処理が大変です。e^ikxも箱に閉じ込めておけば普通のL^2関数ですが全空間ではL^2に入らない、というタイプの特異性もあるので。— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
あと状態がらみでいうと、量子統計で密度行列とトレースで平衡状態を書くのがそもそも駄目です。トレースが取れる作用素は固有値(スペクトル)が離散的でなければならず、一方で大抵の連続系のハミルトニアンは連続部分を持つのでその時点で破綻します。— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
(連続系の)量子統計は物理でのスタート地点から数学的に破綻していて、いまだにそれを埋め切れていません。どのくらいひどいかというと、量子統計系のハミルトニアンの自己共役性を示すだけでも論文になるほどろくな議論がありません。— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
場の理論の発散周りの処理でもdressed particle の状態がどこにあるかが割と問題で、モデル依存で色々あることも分かっています。QEDだと居場所自体は素直である(らしい:難しくて論文読めなかった)一方で、フォノンとの相互作用系だと居場所特定自体がつらいとか。スピン-ボソンでさえ難しいです。— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
物理と数学と工学と: 壮絶なコミュニケーションギャップ
物理にまつわる数学はまず物理の人が言うことを数学的に意味を通すことが厳しく、意味を通すのがきちんと定義すること・存在を示すことのレベルからしてすでにに厳しい。それで本当に論文になるし、数学的にすでに面白い(と私は思う)ので、— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
物理からすると「数学は何をしているのか」と思うかもしれないが、物理はそのくらい常に数学的に筋が通しにくいことばかり言っている。工学は物理でさえ筋が通らないことをいうので、コミュニケーションギャップは常に厳しく、またげる人材は特殊能力者だが、特に望まれているわけでもない厳しさがある— 相転移P (@phasetrbot) March 7, 2020
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