マレーシアのケーキ「ラピス・サラワクケーキ(マレー語: kek lapis Sarawak)」に関する言語事情が気になったので

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はじめに

Twitter で次のツイートが流れてきた.

マレーシアのケーキ断面に現れる「幾何学」模様。ケーキ職人の”数学的思考力”https://t.co/SsIY6ZECf0
ラピス・サラワクケーキと呼ばれるケーキで、サラワク州の層状ケーキの意味。薄く伸ばした生地を何重にも重ねたケーキをカットして向きを変えて接着。それを何度も繰り返してこうした模様を作る。 pic.twitter.com/9CqIQMpmWo— ヤギの人(手洗い) (@yusai00) September 14, 2020

もともとは「数学」につられて調べたが, それよりも言語事情が気になった. 最近多言語で学ぶ相対論という企画もはじめたので, それに合わせて真面目に多言語を考えているアピールも兼ねて少し考えたい.

ケーキの名前

引用されている記事では「ラピス・サラワクケーキ(マレー語: kek lapis Sarawak)」とあった. この単語をいろいろ調べてみたい.

Sarawak はサラワク州だろう

Sarawak でググってトップに来るのは次の記事だった.

Sarawak は地名を指すと思ってよさそうなので問題は kek と lapis になった.

kek とは何か

もちろん気分的にケーキだろう. ここで検索してみるとマレーシア政府観光局のページだとクエ・ラピスが次のように説明されている.

クエ(Kuih)はマレー語で「ケーキ」
ラピス(Lapis)は「層(レイヤー)」で、レイヤーケーキの事です。

kek は外来語由来で, kuih が本来のマレー語表現なのかという気分. というわけで我らが Wiktionary で追跡調査.

kek

マレー語のところで cake とある. やはりケーキでいい. 語源が知りたいがマレー語の語源の調べ方がわからず厳しい気持ちになる.

必ずしも関係ないが次のような事情がある模様.

  • アルバニア語では英語のケーキからの借用でやはりケーキの意味.
  • オランダ語だとドイツ語の keck から.
  • フィジー・ヒンディー語だと英語の cake の借用.
  • トルコ語だと英語の cake の借用.

アルバニア語, フィジー・ヒンディー語, トルコ語の気分を勝手に持ってくるわけにもいかないだろうから勝手な即断は避ける.

kuih

英語でマレーシア由来の言葉として取り入れられていて不思議な説明がしてある.

kuih pl (plural only)

Bite-sized snack or dessert foods in Malaysia and nearby countries, usually made from rice and often brightly coloured.

意味の説明はともかく, plural only が不思議.

肝心のマレー語では次のようにある.

Borrowed from Min Nan 粿 (koé).

Min Nan に飛ばされる憂き目にあう. Wikipedia だと次の通り.

Southern Min (simplified Chinese: 闽南语; traditional Chinese: 閩南語; lit.: ‘Southern Fujian language’), Minnan (Mandarin pronunciation: [mìn.nǎn]) or Banlam (Southern Min pronunciation: [bàn.ɾám]), is a group of linguistically similar and historically related Sinitic languages that form a branch of Min Chinese spoken in Fujian (especially the Minnan region), most of Taiwan (many citizens are descendants of settlers from Fujian), Eastern Guangdong, Hainan and Southern Zhejiang.[8] The Minnan dialects are also spoken by descendants of emigrants from these areas in diaspora, most notably the Philippines, Indonesia, Malaysia, Singapore and New York City. It is the largest Min Chinese branch and the most widely distributed Min Chinese subgroup.

よくわからないので日本語 Wikipedia に助けを求める.

閩南語(びんなんご、ミンナンご)は、閩語の一方言である泉州方言と漳州方言を基盤に成立した言語。主に閩南地方(中華人民共和国福建省南部)で話される言葉である。

  • 狭義には、泉州、漳州、廈門などの福建省南部で話されている言葉をさす。東南アジアでは福建語とも呼ばれる。
  • 広義には、狭義の言葉に加え、台湾、浙江省南部、広東省東部および西部、海南省などで話される、類似性の高い言葉の総称として用いられる。

何はともあれ, やはりアジア圏の中で考えるべきことは確定. 西欧圏の言葉だと多少勘が効くが, アジア圏の言語がかえって何もわからないことが改めて明らかになる.

lapis

既に「層」であることはわかっているし, そもそもそう説明されているので layer ではある. この辺を Wiktionary でもう少し掘ってみる.

  • 英語: Shortened form of lapis lazuli. Noun, lapis (uncountable)
  • Bikol Central: Borrowed from Spanish lapiz (“pencil”).
  • Cebuano
    • Etymology 1: Unknown. Noun, the doublespotted queenfish (Scomberoides lysan)
    • Etymology 2: From Spanish lapiz (“pencil”), from Latin lapis (“stone”).
  • Indonesian
    • Noun: lapis (plural, first-person possessive lapisku, second-person possessive lapismu, third-person possessive lapisnya)
      • layer, lining
      • row
      • stratum
    • Adjective: in layers
  • Latin: May be connected with Ancient Greek λέπας (lépas, “bare rock, crag”), from Proto-Indo-European *lep- (“to peel”). Confer with saxum – secō, rupēs – rumpō.
  • Tagalog: Borrowed from Spanish lapiz (“pencil”).

言語系統が近そうな気がするインドネシアとタガログで大分違うのに少し驚く. 少し気になったのでマレーシアの歴史を見てスペインとの関係を見てみる. Wikipedia だとスペインへの言及がないが, この PDF にあるようにフィリピンのスペイン群島占領はある. 地理的にフィリピンとマレーシアは近いし, 面倒で調べるのをさぼるが, 16 世紀当時は同じ国だったとかいう話もあるかもしれない. スペイン語の影響を受けていてもおかしくないとは言える.

おまけ: lapis lazuri

英語のところにあるが, 機動戦艦ナデシコ劇場版の影響もあり, 私はラピスと言われたらラピスラズリを真っ先に連想するのでそれも調べる.

Medieval Latin lapis (“stone”) +‎ lazulī, genitive singular of lazulum (“lapis lazuli, azure, the sky”), from Arabic لَازُوَرْد‎ (lāzuward, “lapis lazuli, azure”), from Persian لاجورد‎ (lâjvard). Compare azure, of the same origin.

アラビア語とペルシャ語の洗礼を受けた. Compare とあるから azure へのリンクもつけておこう. Azure と言われると Microsoft の azure を思い出す.

The clear blue colour of the sky; also, a pigment or dye of this colour.

こう書いてあるので, 空とクラウドがかかっているのだろう. しかし次のような説明もあるのでちょっと笑う.

3 (poetic) The unclouded sky; the blue vault above.


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