第020回 第8文の補足・第9文の多言語比較 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会

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これはコンテンツの原稿案であり,
私の勘違いや単純なミスを含めた間違いも含まれた文章・コンテンツです.
そのつもりで内容を眺めてください.

勉強会の最中や後で指摘を受けてオリジナルの原稿には修正を入れ続けますが,
多重管理が大変なのでこちらの記録自体はいちいち修正しません.
もちろん指摘は歓迎しますし,
個々の md に関して指摘された部分は修正します.

適当なタイミングでコンテンツ・サービスをリリースするので,
もしあなたが間違いを潰した (少ない) バージョンのコンテンツで勉強したいなら,
それを待ってください.

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今日の予定

  • 第8文の補足と第9文

進捗・TODO・今日のメモ

  • 第8文の補足終了
  • 第9文の多言語比較
  • 次回: 第9文の英文詳細

内容: コンテンツ (案) からの転記

第8文

対象文

en.8

These two postulates suffice for the attainment
of a simple and consistent theory
of the electrodynamics of moving bodies
based on Maxwell’s theory for stationary bodies.

補足

エーテル

歴史的にエーテルの影響は甚大で定冠詞 the で「あなたもご存知の」と言われるほどです.
くり返しを厭わずコメントしましょう.
次にコメントする「単純で首尾一貫した理論」ともつながる話です.

もともと振動・波動についてはフックやニュートンによる理論がありました.
波とは何なのかという話です.
いまとなっては「悪い名前」であることがわかっている量子力学の「波動関数」,
そして昔の混乱を表す「量子力学的粒子の粒子性・波動性」があるように,
全くもって簡単な話ではないのです.

エーテルに話を戻しましょう.
振動・波動, 略して波が何かといえば媒質の運動の様子なのです.
目に見えない音にしても,
高校物理で勉強するように媒質である空気の粗密の伝播の様子が音・音波として伝わります.
光についても同じように媒質の運動の様子だと思いたくなるのが物理学者の人情です.
そこで想定された媒質がエーテルです.

単純で首尾一貫した理論

オッカムの剃刀と呼ばれる有名な議論があります.
これは「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針です.
これは一般的に理論を作るときの指針とされていて,
ゴリゴリに理屈が大好きな西洋に限らず,
歴史上で世界中の人類が採用してきていると思います.

首尾一貫性はともかくなぜ単純性を求めるか,
簡単に説明しておきます.
一般に余計なことをいろいろ考えていると混乱するからです.
たいていの人間は複雑なことを処理しきれないといっても構いません.
まずはできる限り単純にし,
必要に応じて条件をつけて複雑にしていき,
複雑すぎて扱える限度を超えてきたらまた単純化できないか考える,
このステップが基本的です.

物理での典型例が天動説と地動説です.
史実はともかく一般に流布していて私が把握しているのは次のような見解です.
大昔は観測精度が低く, 天動説でも地動説でも科学としての精度に問題はありませんでした.
しかし時代が上がるにつれてもっと詳しく知りたい・知るべき流れが生まれ,
観測精度が上がると天動説を指示していては不都合な観測結果が出てきました.
いわゆる周転円で天動説を修正できはしても,
理論がどんどん複雑になってしまったのです.
そこで地動説を採用すると余計な周転円が一気に消えて理論が単純になりました.
こうした歴史的な経緯もあって,
特に自然科学を考える上ではなるべく単純な理論を取ることが大事です.

念のため書いておくとここで問題になっているのは理論が採用する仮定の単純さです.
そこからの議論が複雑になるのは問題になりません.
理論の単純さは採用する仮定の単純さと少なさです.

数学: ユークリッド幾何の第五公準.
平行線の話.

この文で問題になった単純さはエーテルの存在を仮定するかどうかです.
先ほど力学的な振動波動の伝播では媒質が必要と言いました.
光は電磁波なので光の伝播にも媒質が必要なのではないかというのです.
しかしそれが何かはよくわからないのでエーテルという媒質を想定しました.
正体不明の存在を仮定する複雑さを削れるので嬉しいという理論の優越性を主張しているのです.

第9文

対象文

en.9

The introduction of a luminiferous ether
will prove to be superfluous
inasmuch as the view here to be developed
will not require an “absolutely stationary space”
provided with special properties,
nor assign a velocity-vector to a point of
the empty space in which electromagnetic processes take place.

de.9

格: 日本語でも格助詞.
1-4格.
1格: 主格, 「は」「が」.
2格: 「の」
3格: 「に」
4格: 「を」
Die: 女性名詞につく一格の定冠詞 die-der-der-die
eines <- ein ドイツ語は(英語と比較したとき)語順がけっこう滅茶苦茶. (英語よりは自由.) 日本語: 格助詞で格を表せる. 格によって単語の役割がわかる. 順番がめちゃくちゃでも意味が通ります. ラテン語: 格が6格. 男性, 女性, 中性名詞. will = wollen, werden werden = become, will erweisen -> weisen <- wise
fl = flood, fluent, influence, インフルエンザ
Auffassung = auf + fassung = view, understanding
fassung = ファスナー comprehend, apprehend
hend <- hand, かっちり掴む=理解
aufheben 止揚
eigen = 固有の, schaft=接尾辞
ruhend = 静止 <- rest
分離動詞 zugeordnet <- zu+orden = order
geordnet = 過去分詞

Die Einführung eines “Lichtäthers”
wird sich insofern als überflüssig erweisen,
als nach der zu entwickelnden Auffassung
weder ein mit besonderen Eigenschaften ausgestatteter „absolut ruhender Raum” eingeführt,
noch einem Punkte des leeren Raumes,
in welchem elektromagnetische Prozesse stattfinden,
ein Geschwindigkeitsvektor zugeordnet wird.

fr.9

sera = be動詞の未来形, etre <- raison de etre = 存在理由
il = it
que = that
espace = space
specially = especially
like alike
vitesse = vital = いきている, 活動的
phenomenon: ギリシャ語
typhoon, phermacy
phi

Il sera démontré que l’introduction d’un \guillemotleft éther luminifère\guillemotright est superflu,
puisque selon les conceptions que nous développerons,
nous n’introduirons ni un \guillemotleft espace absolument au repos\guillemotright muni de propriétés spéciales
et ni n’associerons un vecteur vitesse à un point
où des phénomènes électromagnétiques se déroulent.

it.9

comme = like
quiete = quiet = 静止 = 靜か
dotato = donate
ad = to, adhere
vuoto = vacuum (Vacuum = 真空)

L’introduzione di un “etere luminoso” si dimostra fin qui come superflua,
in quanto secondo l’interpretazione sviluppata non
si introduce uno “spazio assoluto in quiete” dotato di proprietà speciali,
né si associa un vettore velocità ad un punto dello spazio vuoto nel quale abbiano luogo processi elettromagnetici.

sp.9

フランス語の定冠詞 le, la, les
フランス語: -tion 女性名詞
de = of (フランス語)

La introducción de un “éter” resultará ser superflua puesto
que de acuerdo a los conceptos a desarrollar no es necesario introducir un
“espacio en reposo absoluto”, ni tampoco se asocia un vector de velocidad a ninguno de los puntos del espacio vacío en los que se llevan a cabo procesos
electromagnéticos.

ru.9

theory = ギリシャ語
they = 英語

\foreignlanguage{russian}{Введение \guillemotleft светоносного эфира\guillemotright окажется при этом излишним,
поскольку в предлагаемой теории не вводится \guillemotleft абсолютно покоящееся пространство\guillemotright,
наделенное особыми свойствами,
а также ни одной точке пустого пространства,
в котором протекают электромагнитные процессы,
не приписывается какой-нибудь вектор скорости.}

sch.9

\foreignlanguage{schinese}{“光以太”的引用将被证明是多余的,
因为按照这里所要阐明的见解,
既不需要引进一个共有特殊性质的“绝对静止的空间”,
也不需要给发生电磁过程的空虚实间中的每个点规定一个速度矢量。}

jp.9

この論文で展開される議論は特別な性質を与えられた絶対静止空間を必要とせず,
電磁過程が起こる真空の点に速度ベクトルを割り当てもしないことから,
エーテルの導入は不要であることが示されるだろう.


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