通信講座 古典力学 2022-04

基礎からの三ヶ月コース

三ヶ月, みっちり力学してみませんか?

三ヶ月短期集中講座 運動学・力学編 2022/4

これは理工系出身の方からの次のような要望を頂いて作った短期集中型の通信講座です.

一方で次のようなコメントもありました.

こうした点を考え, 新たにコンセプトを練り直した通信講座をはじめます. 特に今回は教養で必ず通る古典力学を扱います. 数学的にも豊富な内容を持ち, 計算力を鍛える上でも重要な分野で基礎力涵養に最適な分野です. 通信講座のコンセプトや扱う内容, どう進めていくかなど順に説明します.

なぜ力学か?

まずは勉強するご利益を箇条書きで大きくまとめます. 一言で言えば理工系の教養として物理を勉強しはじめる上で一番適した対象だからです.

ふつう大学では古典力学を一コマ90分の講義で一年かけます. それでもなお時間が足りません. 特に剛体の力学は簡単ではないにも関わらず駆け足で終わりがちです. 学部一年では数学力も低いため, 物理以前の単純計算にさえ学生が消化できない部分が出ます. この通信講座は主に大人, それも日々仕事をしている社会人向けなのでこうした無理を前提にカリキュラムを組むわけにもいきません. 残念ながら上で紹介した内容を今回の三ヶ月で全てはカバーできません.

それでもこうした最終的にこうしたご利益があると知っていれば, 勉強のモチベーションにはなるはずです. 今回カバーしきれない範囲はまた別の機会で取り上げる予定です.

通信講座としてのスタイル

これも箇条書きでまとめましょう.

配信側でペース配分するのが通信講座のポイントです. 進めたい人はどんどん進められるように最初に全体コンテンツは配りつつ, 一方で「どうか毎回がんばってこのくらいはやってほしい」という内容・量を送ります. 毎回なるべく一定の分量を送るようにしています. 定義をはじめとした知識関連は多少ボリューム多めです. 計算は実際に手を動かしてほしいため, しっかりと時間を取ってもらう必要があります. 今回は基礎の基礎として計算量が少なめの問題を選びました.

さらに毎回簡単な確認をクイズ形式で出題していて, 便宜的に宿題と読んでいます. もちろん解答つきです. 復習なしでは理解を深めるのも理解を定着させるのも覚束ないのが現実です. しかし一回勉強した部分を復習するのは億劫です. だからこそ復習込みの確認問題つきでカリキュラムを組んでいます. ぜひ知識の定着・理解の深化に有効活用してください.

独学でハマるパターンとは?

自分のことを考えるだけでもいろいろなことがわかります. それに加えて物理・数学外の知人・友人の話を聞いてきて, 大きく言えば次のようなパターンがあります.

こうならないように, 週に二回, 無理のない量を定期的に送る形にしています.

予め注意しておきます. 前半の運動学ではまだそれほどでもありませんが, 力学に入るとどうしても数ページにわたるハードな計算が出てきます. ハードな計算も力学のうちで全く触れないわけにもいきません. それでもまずは力学の基礎概念の把握を重視し, 計算力が要求されすぎない問題を選んであります.

既にある例と計算編の運動学・力学の節は全て載せていて, ハードな計算問題も収録しています. 余裕があるならハードな計算問題に挑んでみても構いません. ただし無理をすると続かないのでお勧めはしません. それよりも復習をお勧めします. ハードな計算はやはり専用の短期集中講座が必要だと考えています.

独学のつらさを解消する工夫

通信講座によってペース配分はできたとしましょう. しかし実行にうつせなければ何の意味もありません. そしてこの実行こそが最大のハードルです. いくら通信講座の形式で一回一回取り組みやすい分量で届いたとしても, 実際に取り組まければ意味はありません.

具体的な私自身の経験も書いておきます. 私も大人になってからいくつか通信講座を受講しています. 興味があってそれなりの金額を払ったにも関わらず, 一週間に一度, 15分の動画視聴でも楽ではありませんでした. 時間的な負担よりも精神的な負担です.

他にしないといけないこと・したいことがあるため, たったの15分であっても時間を割くのが面倒だったのです. 仕事にも何にも関係ない数学を勉強する時間と余裕はあったので, 純粋に通信講座の勉強に対する精神的な負荷です. 一年半の長期にわたる通信講座を受けたこともあれば, 三ヶ月程度の通信講座もありました. どれもコンスタントに粛々と続ける工夫が課題でした.

勉強を続けるにはどうするか?

正直なところ以前はこの部分は手薄でした. 今回の通信講座では一つサポートを追加します. それは定期的な勉強会の開催です.

これも週に二回, オンラインミーティングの形式で一時間ずつ勉強会を開きます. 詳しくは受講者の要望も確認しますが, 一回は「もくもく会」形式, つまり黙ってコンテンツを勉強する会にし, もう一回は質疑応答の時間に当てることを考えています. もちろん両方とも質疑応答の時間でも構いません. いろいろなご都合もあるでしょうから, 途中参加・途中退出も全く問題ありません.

通信講座の期間である三ヶ月はできる限り毎日, 10分でいいから勉強時間を取ってほしいのが本音です. しかし家事・育児などそうも言っていられる状況ばかりではありません. 知識確認は細切れの時間でできる部分もありますが, 計算練習は大きく時間を確保しなければなりません. その時間として週に二時間は確保してほしく, 動機づけに使ってもらいたいと考えています. 勉強していて一人でつまって疑問点が解消できないときもあるでしょう. ぜひ有効活用してください.

もちろんオンライン勉強会への参加は自由です. 顔出しも必要ありませんし, 話す必要もありません. 自分一人でやる・できるから参加しなくても問題ないなら, それで全然構いません.

実は2022年に入ってから, 私はほぼ毎日22:00-23:00はもくもく会の時間としてオンラインミーティングを開いています. この時間の一部をそのまま通信講座専用に転用します. 通信講座専用の時間として二枠取っただけなので, 他の日もぜひ気軽に参加してください. 質問があれば回答もします.

質疑応答は勉強会で対応

計算力養成が基本軸で, 計算の不明点が疑問の中心になる見込みです. メールや文章ベースでじっくりやり取りした方がよいやり取りもありますが, 直接やり取りした方が楽なこともあります. 計算関係の疑問は直接やり取りした方が速く正確に対応できそうなため, サポートは勉強会での対応をメインにしようと思っています.

もちろん必要に応じてメールなどでの文章対応もします. まさに私がそうであるように吃音など会話に困難がある人もいるでしょう. そういう人に無理に勉強会に参加させて話させるわけにもいきません. 聾者もいるはずでそうした方々に対する適切なサポート方法にも工夫の余地があります. 何かあれば問い合わせやすい方法で構いません.

短期集中型の意義: 長く続けるために

これも以前の反省に基づきます. 前に二年の通信講座を展開していました. 講座の内容からすればこれでも短いくらいです. しかし二年もあれば途中で状況が変わります. 実際に途中で数学の勉強をしている余裕がなくなる方が何人かいました. 司法試験などならともかく, 直接役に立つわけでもない数学の勉強に対して, 大人がそこまで長期の予定を立てて動けるわけもありません.

そこで今回期間として三ヶ月を設定しました. 1-2ヶ月では短すぎてほとんど何もできません. 一方で半年程度になるとどうしても中だるみします. 確実に予定をおさえられ, しかも緊張感を保って続けられるのはこれが限度ではないかと見ています. どうか三ヶ月は予定も調整して頑張ってほしい, そうすれば一つの山は越えられる, そうした願いと実体験にもとづく設定です.

三ヶ月も続けられたなら, その先も自分なりにペースメーキングし続けられる仕組みも整っているはずです. それはきっと数学や物理以外にも応用できるはずで, あなたの今後の人生にもきっと役立つでしょう.

人を巻き込もう

これも私の経験に基づく手法です. 特に興味はあるが自分一人ではやれない・続かない勉強をする場合に有効です. 他人, それも時間の限られた大人を巻き込んでいるので, いい加減なことをするわけにはいかなくなり, 準備・勉強に時間を割く強制力が出ます. 勉強会サポートはこのためです.

特に要望があれば, 参加される方を講師役にした勉強会形式も考えています. 講師役というと準備が大変と思うかもしれません. しかし私が考えているのは, 単に各回のコンテンツの読み上げのようなもので, 事前に入念な予習をした上で講義をしてもらうのは考えていません. 勉強会ではじめてコンテンツを目にする, つまり予習なしで講師役を務めてもらって構いませんし, むしろそれをお勧めします. 大事なのは積極的に発言してもらうことで, 「一回読んだくらいではよくわからないですね」で終わっても構いません. 何度も復習してもらうのが前提だからです.

「確かにそこは難しいですね」という苦労話の共有だけでも気持ちが楽になるはずです. 一人でやっているのではない, 同士がいる, この感覚を持ってもらうのが目的です. 要望があれば私が話すのでも構いません. あなたが勉強に楽に取り組めるようになることだけが目的です. ぜひ気楽に勉強会を活用してください.

カリキュラム

今回は次のようなごく基本的なカリキュラムにしました.

わかる人にはわかるように本当にぎりぎりまで内容を削っています. 特に剛体の議論が全くありません. しかし大人が三ヶ月で対応する内容としては詰め込み過ぎなくらいでしょう. ある程度大きな様子を掴んでほしいからでもあります.

念のため改めて書いておきます. これは今回提供する全体コンテンツのうち, 三ヶ月の通信講座で対象にした節です. 実際, 現時点で古典力学部分は90ページ程度で58節あります. 簡単な知識の確認や2020年時点での研究紹介もあれば, 2-3ページにわたるハードな計算問題もあります. 目次を見れば節ごとの所要ページ数がわかるので, それで計算量を判断するといいでしょう. ぜひお好みのアプローチで三ヶ月取り組んでください.

三ヶ月終了後の過ごし方

はじまる前から言うのも変な話ですが, 大事なことなので最初に言っておきます. まずはゆっくり休んでください.

はじめからよく知っているのでもない限り, 三ヶ月やった程度では消化不良が起きる内容です. 特に計算力はそんなに簡単に育ちません. 一方, 日々の生活もある中で三ヶ月も集中して取り組んだのです. 趣味で取り組んだ方もいるでしょうが, きちんと理解しようと思ったら決して楽な三ヶ月ではありません.

じっくり休んで英気を養ってください. もし勉強を続けるにしても, 新しいことに取り組むよりものんびりとした復習をお勧めします. 「この三ヶ月でここがわかるようになった」, 「前よりも慣れ親しめた」と思えたならそれは素晴らしく, 「この三ヶ月でもやはりここがわからなかった」があっても構いません. 私も学部一年の頃に全くわからなかったことがあり, あとで改めて確認する機会があって「ああ, これはこういうことか」, 「たったこれだけのことか」と思えたこともたくさんあります. 逆に「わかった気になっていたが全然わかっていなかった」と思った経験もあります. これも大きな発見で理解の進展です. 見えていなかったことが見えたからこそそれまでの理解の不十分さがわかったからです.

さらに言えば, 通信講座で課した節・計算問題は配信した全体PDFコンテンツの一部でしかありません. 通信講座本編で触れなかった分の計算をじっくり追いかけてもらうのも一手です. 重ための計算が残っているので, じっくり計算するだけで2-3ヶ月かかってもおかしくありません. 焦って早く読み終えようとすると, なかなか終わらない現実にうんざりしてしまいます. のんびり・じっくりが大事です.

もっと言えば三ヶ月間計算を追うばかりで物理にまで届かなかった人もいるでしょう. 私自身, 学部のときは計算を追い切るだけでも大変で, ようやく物理を考えられるようになったのは大学四年になり, 一通り数学の腕っぷしと物理の基礎知識が一通り揃ってからです. もしあなたがそういう状態なら, 今度は計算ではなくその物理を深める時間を作るのも大事です. 物理を深めるためにもっと計算したくなることもあれば, 数値実験のためのプログラミングを勉強したくなるかもしれません.

一筋縄ではいかないのが物理であり数学です. 長く付き合うにはたまには距離を取る期間も大事です.

参加資格・費用など

参加をお勧めしない人

そろそろ有料講座としての話もしましょう.

まず, 参加資格は特にありません. あえて言うなら次のような人に参加はお勧めしません.

計算には時間がかかる

最低でも三ヶ月はみっちり時間を割いてほしいので, それができない人は参加してもつらいだけです.

高校レベルの物理・数学が覚束ない

カリキュラムを見てもらうとわかるように一部高校数学の復習も入っているとは言え, 高校数学の知識と計算力程度はないと耐えられません. もともとが現代数学探険隊解析学編・例と計算編なので, 特に数学(計算)に比重があります. そしてもはや計算量は高校の比ではありません. 久し振りに触れるから忘れているというならともかく, そもそも高校物理や数学の経験が不足していてはさすがに耐えられません. 大学受験でいうハードな計算を越えたくらいが教養物理のスタート地点です. 高校レベルが覚束ないと思うならお勧めできません.

プログラミングしながら中高数学, さらには微分方程式まで挑むコンテンツも用意しています. 必要に応じてそちらを受講してください.

自力でバリバリ計算する気がないと意味がない

2022年のメインタスクである例と計算編の延長にあるため, バリバリ計算してもらって計算力をつけ, いろいろな例を計算し倒せるようになるのが目的です.

よく本を眺めるだけで手を動かさない人がいます. 博覧強記の人でもない限りこれでは知識さえ定着しません. 何より計算を眺めて理解できるのと, 実際に手を動かして自力で計算を完遂しきるのには深く広い溝があります.

実際に計算練習しなければ計算力は身につきません. 難しい内容に挑むときには自分で簡単な問題を作ってそれを解いて勘を育てる場合もよくあります. 簡単な問題さえ解けないのではどうにもなりません. 倦まず弛まず計算を続けましょう.

教えてどうにかなることではない

計算にもスポーツのような実技の側面があります. いくらよい指導を受けたとしても, くり返し反復練習をしなければ競技能力は上がりません. どうしても大量の計算練習と試行錯誤が必要です.

とにかく自分で計算して計算力をつけてもらう意図もここにあります. そもそも教えてどうにかなる部分ではないのです. 私のタイポもあるでしょうし, 「この計算のここがわからない」と言われたらその質問には応えますし, 必要に応じてコンテンツに加筆します. それでも計算自体は自分で手を動かしてやってもらわなければはじまりません.

残念ながら一所懸命手を動かさなければ計算力は育ちません. プログラミングによる数値計算であっても, 裏では手計算を含めた大量の確認事項があります. ここをサボってできるようになった話を聞いたことがありません.

計算が大事とわかっていても気後れしてしまうなら, ぜひオンライン勉強会も有効活用してください.

費用感

結論から言うと次のように設定しました.

コンテンツとして例と計算編を使うため, 当初は例と計算編の購入者には教材代を追加する予定でした. しかし今回ははじめての試みで, 広く参加者を募りたい事情もあってこの値段設定にしました.

費用に対する感覚はいろいろあるでしょう. それでも三ヶ月で一万は決して安くありません. そんな人は費用のイメージとして毎日ジュース一本分の我慢を考えてください. ダイエットを兼ねてお昼を少し節約するイメージでもいいでしょう.

理解が定着するまで何度も復習が必要です. 多少のリニューアルや内容の変更はあるにせよ, 同じ講座を何度も受けてもらうことまで考えています. とにかく続けてもらわなければ話にならないので, このくらいの負担が限度だと思っています.

他社サービスとの値段・内容の比較

念のため他のサービスの値段も紹介しておきます. ありがたいことに最近は個人指導が流行っています. そこでは基本的に一時間で7,000円が相場のようです. 私が理論物理学者を相手に個人指導したときもその程度の値段でした. 他にも三ヶ月程度の連続講座を見ると20,000-30,000円が相場です. これは講義形式の値段なので講義負担分があります.

今回は別途用意してある計算練習系のコンテンツでバリバリ計算してもらうのが目的であり, 講義・指導負担が少ない見込みを立ててこの金額にしました. それでも週二回, 各一時間のもくもく会・勉強会開催があるためサポートは決して薄くありません.

最後に. 私は学部では早稲田で物理を学び, 修士では東大で数学・数理物理を勉強・研究していました. 自分で言うのも何ですが, 大学の中ならともかく, この二つの基礎科目に対して同時に一定以上の耐久力を持つ人間に大学外ではレアキャラです. 数学科の数学から見ても, 物理学科の物理から見ても大事な部分をフォローできます. もしあなたがこうした点に興味関心があって, 継続的にじっくり勉強していきたいと思っているならぜひ積極的に参加してください.

お申し込みはこちら

お申し込みは次のリンクからどうぞ.

三ヶ月短期集中講座 運動学・力学編 2022/4

今回の企画は単にコンテンツを読み進めるだけではなく, 知識を確認しつつ具体的に計算力を身につけてもらうのが主眼です. 実際を手を動かしてみると思った以上に理解できていない点が見えてきます. そうした精神的な負担も込めてこの三ヶ月は決して楽ではないでしょう. 一方で三ヶ月間という明確な終わりも見えています. もしあなたが本腰を入れてやってみようと思えたならぜひ積極的に参加してください.

残念ながら今回は予定が合わない人もいるでしょう. あなたもそうかもしれません. しばらくしたらまた通信講座を企画します. 何度も書いているように一度やった程度ではなかなか身につきません. 理解を深め, さらに定着させるにはそれ相応の時間と努力が必要です. 既に基本的な骨組ができた今回の力学に関しては, サービス・サポートを工夫しつつさらに安価に再受講できるプランも考えながら進めています. 無理なくくり返し勉強できるような環境作りを重視しているので, 次の機会をお待ちください.

最後にもう一度申込リンクを添えます.

三ヶ月短期集中講座 運動学・力学編 2022/4

次は通信講座の勉強会でお会いしましょう.