大人の高校

21世紀の教養を身につける

学び続けるための環境

結論から言えば次の四点セットを中心にした, コンテンツ・サービス・イベント (オンライン勉強会) の集合体が大人の高校です.

どれか一つではなくこの四つをセットにして勉強するのがポイントです. 特に語学はそれを深く理解・運用するために文系の知識が必要なので, そこまで総合的にカバーすることを目指します. これを理系のための総合語学, さらには理系のためのリベラルアーツとして展開するのが第一の目的です.

裏の目的: 文系人が理系分野を勉強できる場を作る

細かいことはあとにしてこれをどう実現させるかを先に説明します. 具体的には (総合) 語学と語った中に全てを凝縮しています.

具体的には「理系のための語学学習」を逆に使います. 語学, 特に英語という文系の人にも取り組みやすいテーマを理系の視点で料理し, 語学を通じて理系の思考回路を身につけてもらうのです. もちろん具体的な数学や物理の勉強もサポートできるコンテンツや体制も整えています. 語学に関しては実際に言語学者に師事して私自身も文系思考・知識を日々更新しています.

実際, いろいろな事例シェアとして私が作ったコンテンツを流したところ, その言語学者が主催するコミュニティで非常に興味を持って楽しんでくれる人がいました. いわゆるド文系で数学・理科に苦手意識があったけれども, こういう切り口なら数学・理科の話でもすごく楽しめたと言ってもらえています.

理論物理学者でさえわかっていない中高数学

これも実際にセミナー・勉強会の中で発見しました. いま私のコンテンツを買ってくれた理論物理学者の方とオンラインの勉強会をしています. 実際にやっているのは大学の数学科の数学の勉強会で, その中での発見です. 理論物理学者でさえ中高数学をきちんと理解・活用しきれていないのです.

ここで具体的に書くようなことでもないので詳細は省略しますが, 専門家相手に話をする場面でさえ, 中学・高校の内容は決して馬鹿にできないのです. これは高校と名付けた理由の一つでもあります.

寄せられる相談

私はこれまで数学・物理に関して大学・大学院レベルの情報発信・コンテンツ販売・サービス運営をしてきました. 少しずつ数学・物理に関わる範囲を中心にしたプログラミング教育もはじめています. そして今は具体的に地元自治体に理工系中高生に向けた教育に関する提案を持ち込み話をはじめようともしています.

その中でこれまで次のような相談を受けてきました.

まさに地元向けの教育提案とも重なる部分です. 理工系出身であっても高校数学から不安があって復習しようとしているという声は, 私にとって衝撃的でした. これもまた大人の高校と題した理由の大きな一つになっています.

そしてよく「何の役に立つのか」と槍玉に挙げられてしまう数学や理科に関して, 中高生向けに「大人・職業人が必要としている」という意味で役に立つ姿が見せやすい話でもあり, 真剣に考える必要があります.

中高生に何をどう語ればいいのか?

そして中高生向けの話とも絡めて次のような問題に突き当たりました.

これは私が中高生の頃に出くわした問題でもあります. 20年以上経ってもいまだに解決されていません. いわば文系のための数学入門・物理入門のようなテーマは一つの市場にさえなっているのに, 理系のための英語・理系のための社会入門のようなテーマはなおざりなままです.

もちろん実際問題として市場が小さく, 商業的に取り組む人がいないのでしょう. しかし子供の頃のあの不満がいまだ解決されていないのは社会の怠慢であり, 社会を構成する一員である私の怠慢でもあります. 誰かが声を上げる必要があります. それを実行にうつすのがこの企画です.

理工系が学ぶべき「言語」

大学入試でも物理は選択であるにしろ数学は必修です. そして大学のカリキュラムでは数学物理は教養科目・必修科目として君臨しています. 理工系は自然を相手にします. 自然が語る言語が数学であり, 数学をうまく使って自然とコミュニケーションする語学の基礎が物理なのです.

そして最近はコンピューターを使った大規模な計算の重要度がどんどん上がってきています. コンピューターとコミュニケーションするための言語がプログラミング言語であり, 実際にコミュニケーションするのがプログラミングです.

もちろん勉強・研究するためには技術者・科学者という人間ともコミュニケーションする必要があります. このときに人間相手に使う言語は日本語・英語です.

このように理工系にとって数学・物理・プログラミングは日本語・英語と同じく言語として機能しています. この視点を突き詰めてまとめたのが理系の総合語学というコンセプトです.

プログラミングをどう取り込むか?

プログラミングにはいくつか大事なポイントがあります. 最近でいえば AI・人工知能 (機械学習) に関わる話もありますし, Google をはじめとした巨大な IT 企業の根幹を支える技術でもあります. 必ずしも自分自身でプログラミングできる必要はありません. しかしプログラミングに関して一定の理解と適切な距離感を保てるかどうかは, 理工系に限らずとても大事な教養になりつつあると重います.

もちろんプログラミングはコンピューターとも関わりますし, スマホやタブレットも含めてコンピューターとうまく付き合う必要があります. ここではコンピューターにその元来の役割を果たしてもらうことにしましょう. コンピューターはその英語の通り計算するモノであり, プログラミングもコンピューターに計算手段を伝えるコミュニケーション手段です. ここでのプログラミングは数学・物理の計算を中心に据えます. 必要に応じて他のプログラミング・応用ネタも紹介するので, 要望を挙げてもらえれば細かく対応します.

知の総合格闘技としてのプログラミング

さて, 計算という視点から見るとプログラミングには現代の知の総合格闘技の趣があります. コンピューターによる計算を本当に真面目に考えると, コンピューターに関するありとあらゆる知識が必要です. コンピューターの素子を作るための物理や, 情報理論とそれに関わる数学はもちろん, それを応用するためのいろいろな業務知識も関係するからです. 難しいことをしたければそれに応じてコンピューターの成り立ち・アーキテクチャーなどにも深い造詣が必要です.

これ以外にも, 最近は AI による推論にもいろいろな問題・課題が見えています. もし AI が差別的な判断を下したとき, それを人間がどう判断して結果を使うかが実際的な問題になっているのです. ここには人文学である哲学や倫理学の問題も潜んでいます. 社会的な合意をどう取りつけるのかと思うなら政治や経済の問題も出てくるでしょう. コンピューター利用・プログラミングは単に理工系に留まらない, 現代の知の総合格闘技なのです.

21世紀の教養とは何か

私はここに新時代の教養の芽を見ています. 文理融合の芽と言ってもいいでしょう. コンピューターの応用はもはや完全に政治・経済を巻き込んだ議論になっています. 先程書いたように人類に倫理問題も突き付けつつあります. コンピューターに文章を理解させたい局面も増えていて, 人文学, 特に文学の人までもコンピューターに関する議論をしていさえします.

当然, 理系の人間も無縁ではいられません. 昔からマッドサイエンティストが社会との摩擦を起こすフィクションはよくあります. そしていまはフィクションでも冗談でもなく, 第一次世界大戦での兵器開発にはじまり, 太平洋戦争での原爆利用を契機にしたラッセル-アインシュタイン宣言など, 技術者・科学者が倫理を意識せざるをえなくなったのが 20 世紀です. さらに 20 世紀後半は環境問題を軸に理系が糾弾される時代でもありました. 理系人も一定以上の人文学・社会学の素養は必要なのだと思います.

しかし楽しくない

当たり前です. 理系人は糾弾されるばかりで面白いわけがありません. 最終的には何かしら触れざるを得ないでしょう. しかしここを入口にするわけにもいきません.

そこで考えたのがまさにプログラミング・情報技術の応用の裾野を見ること, 特に AI・人工知能の応用から入ることです. 例えば機械翻訳はいま大きな話題になっています. これも語学・言語学の課題で人文学との接点です.

理系人は英語を軸に国際交流するので, この切り口で見ても語学との接点はたくさんあります. 政治・経済にしても特許文書とそれにまつわる政治・経済・法律ネタがあります. これも肩肘張った内容にする必要はありません.

それは何故か? 理由は簡単で, 特許系の文章は理工系の専門用語やネタがちりばめられているからです. 物理は中二病用語製造装置と言われることもあるほど, 用語が格好いいのです. 単純に英語の専門用語に触れるだけでも楽しいのです. 理系のための語学はこんな切り口でもいいのです. ここから少しずつ深く広い世界に漕ぎ出しましょう.

文系人が理工系の教養を身につけるには

当然と言えば当然ですが, 文系・理系で興味・関心は全くかちあいません. ならば興味・関心が噛み合いそうなところからはじめるのがベターです.

理系といって一括りにできないのと同じで文系も一括りにはできません. 人・状況によっていろいろな切り口を用意しなければならないでしょう. このための小さな導入コンテンツをたくさん用意します. そしてもう一つ, コミュニティ型の学習環境を用意してそれに応えます. 一人で勉強を続けるのは大変です. みんなで少しずつやりましょう.

文系のための「数学」: 数学的思考を学ぶには?

理系の話をしようと思うとどこかしら何かしらで数学の影が見えてきます. 極端に言えば数学を言語とする人間の活動が理系分野なのでどうにもなりません. これをどう攻略するかが文系の人にとっての課題でしょう.

もちろんこの鍵の一つとしてふつうの意味での語学を使います. しかしそれだけでは限界があります. 数学には数学の癖があり, はまりどころもあります. ここでもう一つの言語としてプログラミングを使おうと思っています. プログラミングの中でも特に算数に関わるテーマを扱います.

ここで言う算数をなめてはいけません. 実際にコンピューター上で理工系のド専門の計算をするときでさえ, 最後は全ての処理を四則演算に落とし込みます. 微分積分でさえそうです. 「数学」を使うのはまさに四則演算に落とし込む部分です. そして四則演算に落とし込んでからもまだ山程課題があります. こうした数値計算の専門家が世界中にいるほどです.

最近いろいろなシミュレーション映像がニュースで流れるのを見る機会が増えています. いわゆるスパコンを使った計算も含みます. ここでいう「算数」の最果てがまさにスパコンでの計算です.

遊び道具は自分で作る

実はこうした計算はエンタメでも応用されています. 実際世界的な大企業である PIXAR が 2019 年に PIXAR のひみつ展 いのちを生みだすサイエンスという展覧会を開いていました. ここでの展覧の軸の一つが数学なのです. 単にアニメに留まらず, インターネット上のサービスは例外なくプログラミングが関係しています. ゲームにもプログラミングは応用されています.

遊び道具も自分で作れるのがプログラミングです. 任天堂がゲームを作るゲームを販売しはじめさえしています. こうした世界を子供だけの遊び道具にしておくのはもったいありません. 大人もガンガン遊ばせてもらいましょう.

具体的に何をどう展開するのか?

軸は次の 2 つです.

コンテンツアーカイブは公開版もありますが, もちろん大人の高校で提供するコンテンツとは別枠です.

サイトトップでも説明しているように, 公開版のコンテンツアーカイブでは分野の全体を見渡せるように配慮したコンテンツを載せています. ある分野の実応用・工学的応用なども紹介していますし, 数学や物理の専門的な勉強をする上での分野間の関係などを紹介しています.

一方, 大人の高校では実際に細かく詳しく勉強するためのコンテンツを大量に投下しています. 特に理工系の総合語学のコンセプトに沿った, 分野を横断したコンテンツを充実させています. また日々忙しい大人が勉強しやすいように, 隙間時間で勉強できるような工夫も盛り込みます.

大人の高校のコンテンツ・サービスのラインアップ

例えば次のようなコンテンツを考えています.

どれもコンテンツと勉強会両方の展開があります. この中のうちのいくつかは既に大量に作ってありますし, 今後も整備を続けます. 将来的な21世紀の教養・リベラルアーツのコンセプトに合わせて, 私自身勉強しながら独自の切り口からさらに多彩なラインアップを展開する予定です.

いくつかのテーマを詳しく紹介する前にオンライン勉強会の内容と意義を議論しましょう.

オンライン勉強会の内容と意義

オンライン勉強会は平日夜または休日の適当な時間に開講します. 時間として状況を見つつ週に 2-4 回, 30分-1 時間程度とします.

特に三ヶ月に一度テーマを変えます. そして同じテーマであっても必要に応じて何度もくり返しやります. つまり例えば微分積分入門講義をやった一年後にまた同じテーマで開講することがあります.

これは実は私が参加している語学コミュニティでのスタイルでもあります. 大人のための学習コミュニティとしての特徴が詰まっているので, 簡単に紹介しましょう.

大人なのでなかなか時間が取れず勉強できない日もあれば時期もあります. 定期的に入ってくる新しい人へのサポートもあります. そして何より, 勉強したことを一度で覚えられたら・理解できたら苦労はありません. こうしたいろいろな事情を汲んで, 半年ごとに一からイタリア語・フランス語・ドイツ語・中国語・ロシア語などを仕切り直した講義があります. 言語学者が講義していることもあり, 同じことであっても違った切り口から紹介してくれることもあれば, 日々更新される現代口語的な事情もたくさん紹介してくれます.

数年参加を続けてこのスタイルは非常に優れていることがわかりました. そこでこれを大人の高校でも取り入れます. 知的興奮を感じられるため新しいことには乗り気になれても, 復習するのはどうしても億劫になりがちです. かといって一度や二度やった程度では覚えられません. これらは一人でやるから大変なのです. ならばみんなでやりましょう. オンライン講義・勉強会なので録画をあとで見てもらっても構いません. 適当なタイミングでリバイバル講義をやるので, そのときまで取っておいても構いません. 大事なのは続けること, 人を巻き込んでやることです.

みんなで勉強する

人は孤独に耐えられません. 勉強に関していうなら黙々と独学できる人はそうはいません.

私自身は異様と言っていいレベルで独学耐性が高いと思います. しかし, そんな私でも, 興味が薄いことや優先度の低い勉強はなかなか進められません. どうするか悩んだ挙句に取った対策がまさに勉強会でした. 人を巻き込んで勉強会を開催し, 日々忙しい大人の貴重な時間を浪費させてはいけないと思うことで, その講師役を引き受けることで無理やり勉強する時間を確保したのです.

これ以外にも「これをやる!」とコミュニティの人に宣言することで, 無理やり退路を断って勉強し, コンテンツを作っています. 大事なことだが優先度が低くなりがちなことは, こうやって人を巻き込んだり, 自分で勝手に宣言して, 自分を嘘つきにしないように・口先だけの人間だと恥をかかないようにと, 自分の感情に訴えかける形で自分を突き動かしています.

私ほど極端にやる必要はありません. それでも「誰かと一緒に勉強する」ことの圧倒的な利点は感じてもらいたいのです. そのための処方箋が勉強会です. 無理のない範囲で参加し, 有効活用してもらえればと思います.

コンテンツや勉強会のテーマを詳しく!

現時点で想定している内容についていくつかもう少し詳しく紹介します. 改めて標語的に言えば, ここではきっとあなたが自分一人では勉強できないテーマ, 誰かに教わった方が早いテーマ, そして世のコンテンツでは対応しきれないテーマを紹介します.

数学・物理に関する大学・大学院レベルの専門的な内容

これまで私が一番力を入れていたのでコンテンツの蓄積は膨大です. 実際に理論物理学者の方と物理のための数学をテーマに勉強会も開催しています. 特にはじめは私が教える機会の方が多くなると思いますが, 参加者の方同士での勉強会開催も奨励しています.

この内容を求めている人にははっきりとイメージしやすいでしょうから, 専門的な内容に関してはこれ以上深く掘り下げません. 以下ではもっと中学・高校の範囲にフォーカスした内容にします.

数学・物理での大量の計算練習

これは大学教養レベルの数学も含めた内容を想定しています. なぜかと言えば, 特に機械学習・統計学関係で中学・高校の内容から大学教養・統計学レベルに進みたいという方も視野に入れているからです.

数学でも物理でも何でも, 勉強するときには一般論の勉強も大事です. 一般論はショートカットの方法でもあるからです.

一方で一般論ばかりでは地に足が着かず, 理解も覚束ないのが正直なところです. 実際, 具体例を構成したり計算練習したりするのも非常に重要です. ここでいう計算練習は何も中学・高校で出てくるような具体例の計算ばかりではありません. 証明の写経なども広い意味での計算と考えていますし, プログラムを書いてグラフを描いてみることも計算です.

もう一つ大事なのは, 計算それ自体も楽しいことです. 私は中学の頃, 因数分解の計算が非常に好きでした. いまの私から思えば大したことはしていません. それでも中学の頃に因数分解や計算が私の心に残したモノは確かにあるのです. 特に大学レベルの数学科の数学というと一般の証明ばかりが取り沙汰され, 計算の重要性が見えにくくなっています. とにかく計算するのが好きという方もいるでしょう. あなたもそうかもしれません. そうしたニーズにも答えるのがこのテーマです.

競技プログラミング的なテーマをもとにした数学・算数・プログラミング

端的に言えば算数+プログラミングです. プログラミングの視点からは多少凝った内容もあるものの, 数学としては整数の四則演算が基本です. 具体的には Project Euler というサイトにある問題を解きます. 算数とはいえ手計算では面倒な, またはまともな時間では解けないような計算が出てくるので, プログラムを組んで解くのです.

算数だからといってなめてはいけません. いくつものポイントがありますが, ここでは二つだけ紹介しましょう.

前者でいうと素因数分解です. 小さい数なら手計算で処理できますし, これの理屈が全くわからない人もそれほどいないでしょう. しかしこれを解くプログラムを書こうとするとバグなく実装するのは本当に大変なのです. 少なくとも私は「正しい」プログラムを一発で完璧に書ける自信はありません.

私の事例を敷衍していいなら, 「数学的な内容は何の問題もなく理解できても, 対応するプログラムを書くのは難しい」のです. プログラムを書くのはコンピューターとコミュニケーションして, コンピューターにモノを教える作業です. きちんと教えられるほど隙なく確実に数学的テーマが理解できているかを測れるのです.

プログラムの観点からはアルゴリズムとデータ構造といったテーマがあります. 下手な実装をするとまともな時間内に計算が終わらないことがあります. 計算量爆発といったキーワードがあります. 少し突っ込むとすぐ出てくる問題で, 最近の機械学習などでも非常に重要な問題です.

ビッグデータと言われるように, 応用上, 凄まじく大量のデータを処理しなければいけない局面はたくさんあります. このとき, 下手な実装をすると計算がいつまで経っても終わりません. Project Euler の問題にもそうした問題のアーキタイプがあります. 算数+プログラミングを通じて, こうした問題に具体的に取り組んでもらうのが目的です.

物理とプログラミング: 数値シミュレーションを使って目で見て学ぶ物理

これもやはりプログラミングとの連携です. 物理と本格的に絡めようと思うと, 本当にちょっとしたことでも恐ろしく大変です. ソルバーの開発は日本だけでも数百億円の規模があるビジネスです.

そうは言っても, ある程度は遊べる領分はあります. 既存のフリーのソルバーを使ってアニメーションを見るのも楽しいでしょう. これも広義の計算として遊び倒したいテーマです.

数学・物理で学ぶ英語

これは「アインシュタインの原論文を多言語で読もうの会」として実働させている勉強会を元にします. 冒頭でも少し書いたように, 純文系の方にも次のように言ってもらえた内容です.

その時々の参加者に応じて, 英語にフォーカスを置くか, 数学や物理とも強く関連させるかは変えます. 何にせよ, 大事なのは理系の視点で語学を見ることです.

英語とは書きましたが, 必要に応じて英語以外の言語の話もします. これについてはコンテンツを作ってあるのでここでは詳しく書きませんが, ごく簡単なレベルであっても, いろいろな言語に触れた方がかえって英語の理解も深まります. そして何より, 言語を学んだ分だけ世界の認識が変わるのです.

もしあなたが理系なら物理のドップラー効果を思い出すといいでしょう. ドップラー効果という言葉, そしてその意味を知ったとき, パトカーのサイレンの音にさえ自然の秘密が隠されていると感動を覚えた人がいるはずです. これと同じことは自然言語にもあるのです. ふだん何気なく話している言葉にも長い歴史があり, 深い意味が隠されていることがあります. それを丁寧に紐解いていくのがこのテーマです.

英語の Wikipedia を読もうの会

先程はアインシュタインの特殊相対性理論の論文を主に想定した話をしました. 実際にやってみて, これは面白いものの時間がかかり過ぎる問題があります. 英語メインとはいえ多言語でいろいろ眺める関係上, 一文を読むのに二時間から三時間かかります.

そこでもっと手軽なテーマとして Wikipedia の記事を読むのはどうかと考えています. 一ページがかなり多い語もありますが, そこは適当に見繕って選びます. 三ヶ月ワンテーマ (一ページ) くらいの想定で読めるところまで読む, そんなイメージを持っています. 実際に数学や物理の勉強をメインテーマにして読んでもいいでしょうし, 英語の勉強をメインテーマにしてもいいでしょう.

もちろん他のページ・文献でも構いません. いまはファインマンによる物理の有名な教科書がネットで公開されているので, それを読んでもいいでしょう. Wikipedia は英語・数学・物理がそれなりのボリュームでまとまっている対象として選んだだけで, 実際には何でも構いません. あなたの好きなコンテンツでいいのです.

もっと言えば数学や物理にこだわる必要もありません. もしあなたが紙の辞書をよく使う人なら, 調べようと思っていたことを調べようとして, 全然関係ない記述を辿っていって時間が溶けた経験がないでしょうか? Wikipedia は大量のハイパーリンクによってある程度この事情が体験できます. 実際, 非常に楽しいです. これは多角的な使い方ができるテーマで私は非常に期待しています.

いろいろな単語の語源を掘る

エンタメで学ぶ語学

地学・地理から学ぶ文系科目

ここからは基本的に「こんなのがあったら楽しいだろうな」と私が思っている勉強会の内容です. 私自身, 現在進行形で再勉強している内容でもあります. いろいろなことを考えていますし, いろいろなことができるでしょう. ここに挙げた以外にも興味がある分野があれば積極的に提案してください.

ここまでは理工系, それも数学・物理に集中して話をしていました. 実際には人文系・社会学系のテーマであってもいいでしょう. これにしてもいろいろな切り口があります. 例えば理系との接点として地学・地理から攻める手法が考えられます.

地理は大きくわけて自然地理と人文地理があります. 自然地理はまさに理工系の話で, どんな地域にどんな自然があるか, その由来は何かといったことを議論します. 当然, 人の活動もこの自然の影響を受けます. この自然との関わりで人間とその活動を見るのが人文地理です.

最近, 私も改めて語学をはじめとした人文学の勉強を再開しています. そのときの勉強の切り口として私自身研究中です. 遊べる要素がたくさんあり, 非常に面白いです. このコミュニティはオンラインなので, 実際に日本または海外の各地にいる人に地元の地理に関わる話をしてもらうのも面白いでしょう. いろいろなことを考えています. ぜひあなたも積極的に参加・勉強してみてください.

技術文書で学ぶ現代法・倫理

生命倫理に代表されるように, 最近は技術者・研究者にも高い技術倫理・研究倫理が求められはじめています. ここでは理系のためのリベラルアーツとして, そうした現代倫理の勉強に理系が取り組みやすい切り口で挑めないかと考えています.

いま考えているのは本当にその分野の本を直接読んでみることも考えていますが, もう一つ面白いと思っているのは, 具体的な技術文書を読むことでその裏にある技術倫理を見て取ることです. 何を考えているかというと, 例えば英語で家電製品の説明書を読むことです.

あなたは次のようなニュースを聞いたことがあるかもしれません.

経緯や顛末は少し違いますが, 似た事件は本当に起きています. ここでは説明書のそうした記述を見ることで, 説明書の記述に対して社会的・法的背景を探ってみましょう.

他にも特に工学系では電験やボイラー技師免許などいろいろな資格があります. 資格には関連法規もあります. ここから法律やその背景にある政治を探ってもいいでしょう.

入会特典

大事なことは何度でも

人によって興味関心は違うでしょう.