数式抜きで数学の世界を眺めよう
数学に対してよくこういう疑問が投げかけられます. この疑問にストレートに答えること, つまり数学が何の役に立っているかを具体的に紹介することがこの無料通信講座の目的です.
必ずしも数学が得意ではないあなたのために, 式を一切使わずに役に立つ数学の世界をご案内していきます. あなたが「数学が何の役に立つのか本当に知りたいんだ」というのなら, ぜひこの無料通信講座に登録してください.
詳しいことは通信講座の中で説明します. まずは端的に日常のどんなところで役立っているのか, 身の回りにあってイメージしやすい応用の場面をいくつかピックアップしておきます.
カッコの中は各サービス, 製品や技術の中で使われている数学です. もちろんこれらは社会の中で数学が応用されている場面のうちで, ごく一部にすぎません. 講座の中でもっと多くの事例も含めて詳しく説明しています.
映画やゲームのような応用があることにも注目してください. エンタメ系の話ですら, 裏で数学が活躍しているのです.
もう少しイメージを膨らませておきましょう. そのためには多少の理科が必要です. あなたの身の回りは電子機器で溢れているはずです. 要は電気で動いているものがたくさんあるはずです. あなたがいまこのページを見ているスマホやパソコンももちろん電子機器です.
電気で動いているということは電気に関わる話を考える必要があります. 高校の理科で言うと物理と化学で, 特に物理です. そして高校の物理でも多少は触れるように, 物理をやるには数学が必要です. あなたが文系であっても, 物理の授業でいろいろな方程式を解かされたのではないでしょうか? 電気が, 物理が出てきたらすでに裏でかなりハードな数学が使われていると思ってください.
上の事例の中でも, アインシュタインの一般相対性理論が使われている技術として, スマホの地図案内という具体的な技術を紹介しました. あなたは一般相対性理論は物理の理論であることはご存知でしょう. しかし, これが身の回りで本当に, 実際に, 具体的に役に立っていることはご存知だったでしょうか?
あなたは, アインシュタインという名前から, かなり難しい数学が使われているのではないかと想像したかもしれません. その想像は正しいです. 実社会の応用で使われている数学は非常に難しいことも多く, 中学高校の範囲では全く用が足せないことも日常茶飯事です.
ただ, どんな場面でどんな数学が実際に使われているか, それをきちんとイメージできるようにしてもらうのがこの講座の目的です. 残念ですが, いくら身近で役に立っている話でも, 中高の数学を越える話は全面的に省略しました.
それでもなお, 数学はあなたの身の回りに溢れているのです. それをお伝えするのがこの無料の通信講座です.
ここまで私が何者であるかを説明していませんでした. 簡単に説明しておきます. 一言で言うなら, 私は学部の早稲田の物理, 大学院では東大の数学科に在籍し, 物理と数学を専攻していました. 単に数学の話だけではなく, 物理, そして物理の社会への応用に関しても意識を向けながら学生時代を過ごしていました. だから数学の応用だけではなく, 数学の応用である物理, さらにその社会への応用についてもみっちり叩き込まれています. それについてもう少し補足します.
私は学部は早稲田の物理学科に在籍していました. ここで早稲田の物理というのが大事です. それは, 早稲田の物理学科は内部で応用物理学科と深く連携しているからです.
どのくらいの連携具合があるかというと, 大学院では物理学及応用物理学専攻と 1 つにまとまってしまっているくらいです. つまり, 学部の頃から応用志向の人達との交流があり, 現実でどう物理や数学が役に立っているか, どういう話をすると応用志向の人が喜ぶかはよく知っています.
あなたは大学受験で理工系は数学が必修であることをご存知と思います. 高校の理科でも数学を使う場面はたくさんあるので, 理科のために数学が必要だということも何となくご存知かもしれません. しかし, おそらくあなたは物理や化学それ自体を身近に感じられてはいないのではないでしょうか? もっと強く, 物理や化学の成果物が身近にたくさんあることをご存知でしょうか?
そんな状態で「数学は理科で役に立つ」と言われても, 「そもそも理科が何の役に立つの?」という話であって, 数学が役に立つとは全く感じられないでしょう. そこでこのミニ通信講座では, そもそも物理や化学が身近で役に立っていることも必要な範囲で説明していきます.
そして私は大学院で東大の数学科に進学しました. 東大の数学科は大学院になると数理科学研究科という名前になります. 名前が単純な数学科ではないことからわかるように, 単純に純粋な数学のための数学の研究者ばかりではなく, 現実との接点, 応用を意識した研究者もいます. 実際に新日本製鐵など企業と共同研究されている教官もいます. そうした数学の極致と実社会の交点も具体的な交点も紹介します.
さらに最近, 情報系の重要性が高まってきています. その中で尋常ではないほどに高度な数学が使われていることもあり, その交点で研究されている方もいます. Google の検索技術や, Amazon での商品のおすすめ, そして最近流行りの人工知能にまで数学は広く深く応用されています.
単に物理や化学への応用にとどまらず, 数学の応用はもっと広範囲に及んでいて, 日々の生活で何気なく使われている技術もたくさんあります. このミニ講座では, そうした内容を手広く紹介していきます. 理工系にとどまらず, 文系分野での応用もたくさん紹介しています.
大事なことなので, 「そもそも論」に関して確認しておきます. あなたは数学が役に立っているかどうか, 本当に知りたいですか?
この講座の目的や内容は最初に説明した通りです. 具体的に何をどういうふうに説明していくか, そしてこの講座の詳細は後で説明します.
それより先に, まずはこの講座を作った趣旨にも関わる大事な話をします. ある意味でこの講座の趣旨を真っ向から否定するような内容でもありますが, これを共有しておかないと話にならないからです.
その大事な話は「そもそも役に立つという言葉で何を伝えたいのか」です. もっとはっきり言いましょう. 「数学が役に立つかどうかなんて大抵の人にはどうでもいいよね」という話です.
数学が苦手, または嫌いな人からよくこう言われてきました. 「どうせ何の役にも立たないでしょ?」と半ば嘲笑気味に聞かれることもあります.
実際問題として, 数学は身の回りに溢れています. むしろ数学が役に立っていない状況を作る方が難しいくらいです. 正直, 私は困惑しています. 実際に役に立っているので「いや, こんな役に立っているよ」と説明したことが何度となくあります.
しかし死ぬ程反応が悪いです. 以前, 浪人生 (多分女の子) と Twitter で次のようなやりとりをしたことがあります.
Google のページランクの説明をきちんとしていないとはいえ, 「私は Google のページなんて使わない」ときました. 「いやいや, 検索順位を決める要素として, って言ってるでしょ」, 「あなた, めちゃくちゃ Google 使ってるでしょ」, などなど, いろいろ言えることはあります. しかし, おそらく一番大きく重要な部分は次のようにまとまると思っています.
これで大分痛い目を見てきました. 何の役に立つ? と聞かれたから答えたのに, 「そんなことは聞いてない!」と逆に怒られることすらあります.
冷静に考えれば当たり前なのですが, きちんとコミュニケーションが取れていなかったわけです. その言葉で何を求めているのか深く考えず, 単純に言葉にだけ反応していました. それは私も反省するところです.
この講座の話に戻りましょう. 「数学が何の役に立つ?」と聞かれたとき, 本当にそれを聞きたいわけではなくて, 理由はともかく「数学なんてしたくない」と主張したいだけの人が一定数, それも相当数いるわけです.
それを踏まえ, この講座ではあくまで 数学が何の役に立つかを本当に知りたい人だけを相手にします. いろいろなことを一気にやろうとしてもうまくいきません. まずは判断の材料として, 実際に役に立つ話を紹介することを第 1 目標にします. 数学を好きになってもらうことや, 楽しんでもらうことは別の講座で対応します. 実際, 既にそういう講座やコンテンツを作ってもいますから.
何はともあれ, まずは数学が役に立つ場面があることを知ってほしいと思います. そしてその結果「やっぱり数学なんてやりたくない」, 「興味ない」「自分には関係ない」と思われるならそれで構いません.
この講座で私が自分に課した仕事は, あなたに実際に役に立つシーンを紹介することです. そして「もっと数学の世界を覗いてみたい」と思ったあなたに, もっと広く数学の世界を知るための鍵をいくつかお渡しすることです.
本当に数学が何の役に立つのかを知りたいという人はいます. 特に理工系のうち工学関係者に多いです.
こういう人は割といます. ネット上を見ても工学関係者でこういうことを言う人はたくさん見つかると思いますし, 記事を書いていたりサイトを作っていたり, そうした内容の本を書いている人もいます.
ただ, こうした本やコンテンツが必要な人に届いているかと言うと, それは微妙なところです. 例えば東京大学工学部計数工学科数理情報工学コースの教官陣が執筆した 『数理工学への誘い』という本があります. 携帯電話の基地局をどう効率よく配置するか, 携帯電話の漢字かな変換, 情報セキュリティと秘密分散法に関する理論のように, 日々の生活にとって身近な話題が紹介されています.
ここには大きな問題があります. 例えば中高生がこの本を見つけられるのか? という大問題があります. 教官陣は「工学とついているから役に立つことをしているのはわかるだろう」, こう思っているかもしれません. しかし中高生にその発想があるかと言われればかなり厳しいでしょう. 少なくとも中高生の頃の私には不可能でした.
もっと言うなら数理情報工学ならまだしも, 計数工学科という学科名から, 数学を現実生活に役立てていると想像できる人間がどれだけいるでしょうか?
ネット検索でよく言われる話として, 「検索キーワードを知らなければそもそも探すことすらできない」という問題があります. そのギャップを埋めるのがこのミニ講座の目的です.
こまごまとした話をするのではなく, 大事なキーワードとそれが役に立つ場面を紹介し, 実社会のどんなところで数学がどう使われているか, それが具体的にイメージしてもらえることを目標に, いろいろな話題を紹介していきます.
何はともあれ, 数学が何の役に立つのか知りたいという人は実際にいて, 「何で教えてくれないの?」と思っている人もいて, そして適切な情報源に辿り着けない人がいます. あなたもきっとそうでしょう. このミニ講座はそんなあなたのための講座です.
前置きが終わりました. ここまでで, 何故このミニ講座を作ったのか, この講座の対象者は誰なのかを説明しました. では実際にこの講座で何をするのかを説明しましょう.
実際に数学がどこでどんな役に立っているか, その様子を見に行きます. 具体的なラインアップは次の通りです.
これがメインパートです. 関係する応用例もいくつか添えておきました. 講座中ではもっとたくさんの身近な応用例を紹介しています.
話の都合上, 大学の数学にまで触れないといけないところは必要に応じて紹介しています. しかし基本的には中高数学の内容に関わる応用に限定しています.
これはこの講座が数学が何の役に立つか知りたい中高生や, 中高数学を復習したい大人向けの講座という位置づけだからです. 少なくとも使われている数学はどんな数学なのか, それを具体的にイメージできるようにするためです. 「何か訳のわからない難しい数学が使われているらしい」ではなく, 「中高でやった数学が実際に身の回りで使われているのか」と思ってほしいからです.
ここまで主に何をするかを説明してきました. しかしこの講座で何から何までできるわけではありません. 目的に沿ってこの講座ではやらないこともはっきりさせておきます.
これまでの私の活動の経緯や経験を踏まえて, この講座のメインターゲットは次のような方々です.
あなたはこの中に入るかもしれないし, 入らないかもしれません. あなたがもともと数学をしたいというなら問題はありません. むしろ式を出した方がテンションがあがるくらいかもしれません.
しかし実際に式が入っていると読むのがつらくなるという方は多いのです. そこで講座の中で式は全く使っていません. その代わり式を使った詳しい議論に関しては参考文献を紹介しています. 詳しく知りたいならぜひそちらを参考にしてください.
これは賛否がわかれるところと思います. しかしこの講座では数学を好きになってもらうことは目的にしていません. この講座でそこまでやろうと思うととんでもない大ボリュームになってしまうからです.
もちろんこの講座を受講することで, あなたは数学をもっと勉強したいと思うようになるかもしれません. そのための参考文献もいろいろ紹介しています.
この講座の参考文献の特徴を紹介しておきます. あなたを含め, この講座を受講される方は必ずしももともと数学が好きというわけでもなく, もっとはっきり言えば数学が苦手ですらあると思っています. いきなりゴリっとごつい数学の本やコンテンツを紹介しても無意味に挫折させるだけなので, 数学や数学者が関わる映画, ドラマ, 漫画や小説をたくさん紹介しています.
心が折れないように, しかし数学への興味は継続できるように, という中でちょうどいいラインとして考えています.
例えば映画にもなった小川洋子さんの小説, 『博士の愛した数式』のような作品を紹介しています. ちなみに『博士の愛した数式』は日本数学会の学会誌, 『数学』に「自分がやっている数学という学問は こんなに素晴らしいものだったのかと改めて認識させられた」という書評があったくらい, 数学者にも人気の作品です.
あなたがそんな数学者の「心」を知りたいなら, 数学者という人々に興味があるならきっと楽しめる, エンターテインメント性も高いコンテンツを紹介しています.
そしてこれは実際に知人からの話も参考にしています. その知人は数学者のエッセイをお母様にお見せしたそうです. かなりゴリゴリの数学的記述もある内容で, もちろんそうした専門的内容についてはわかるわけもありません. しかし, その知人はこう言われたそうです.
あんたが何を感じて何を楽しみに数学してるのか, ちょっとわかった気がする.
数学をしている人の気持ちに触れてみたくなる, そんな感じのコンテンツです.
もちろん数学それ自体を勉強したいという人向けの, 数学のコンテンツも紹介しています. きっちり数学をやる方向のミニ講座は別に用意してもいますし, そちらでも関係するコンテンツを紹介しているので, ご興味あればそちらも受講してみてください. 講座の中でも関連講座やコンテンツを案内しています.
メールによる通信講座の形式を取ります. 実際のコンテンツは PDF で 100 ページ程度あり, そこそこ大きなボリュームです.
ただでさえちょっと苦手意識もあるような数学のコンテンツを 一気に 100 ページどかんと渡されてもつらいでしょう. そこで講座配信側の工夫として, 消化しやすく適度にまとまったボリュームに小分けしてお送りします.
1 回ごとに 10 ページくらいなら, そこまで苦労なく読み切れるでしょう. 話が難しくなってしまう原因になりがちな細かい話も省いてあるので, 「そんな話があるのか」とテンポよく気楽に読み進められると思います.
「ホームページに載せればいいじゃない」ともよく言われます. しかし私の経験からしてもこれまで頂いた相談の内容からしても, 能動的にホームページの記事を見に行くのはかなり面倒です. だから定期的にこちらから配信しますよ, という話です.
いまの時代, 本当に忙しい方が多いです. あなたもきっとそうでしょう. やりたいことや知りたいことがあったとしても, いちいち探すだけでも面倒なことはたくさんあると思います. その手間を省いて直接メールボックスまでお届けします. 無料の新聞配達みたいなものだと思ってください.
ご興味があればぜひこのミニ講座に登録してください. 不要になったらワンクリックで簡単に登録解除できます.