科学と社会の狭間に生きる一市民の奮闘

目次

1 はじめに

2 自己紹介

  • 学部は物理, 修士は数学.
  • 現在, 一応会社員.
  • 会社の仕事と無関係に数学・物理まわりで 個人 として活動中.
  • アカデミックな方向で活動したい.
  • 学生時代から続けている研究.

3 何をしている人なの?

  • 数学・物理に関するコミュニティ形成.
    • 数学・科学愛好家の避難場所.
  • 布石としてのコンテンツ展開・イベント開催.
    • 「変なことをしている人がいる!」と知らしめることが大事.
  • 大学・研究所に所属しない身での研究.

4 具体的には?

概要は次の通り.

  • 専門性が高いコンテンツ, イベント.
  • 一般向けコンテンツ, イベント.
  • コミュニティ形成のための活動.
  • 学術関係者向けのビジネス教育.
    • 特にポスドク向け.

4.1 専門性が高いコンテンツ

  • 大学レベルの数学・物理に関するコンテンツ.
    • ニコニコ動画・YouTube への動画投稿.
    • Amazon での DVD 販売, Kindle 出版.
  • (主に) 学生向け数学・数理物理のセミナー.
    • 京大でのイベント, 【関西すうがく徒のつどい】など参加者 (講演者) としての活動含む.
  • 【数学の教科書】のソーシャルライティング.
  • 文献紹介・書評.
  • メールマガジン.

4.2 一般向けコンテンツ

  • 数学カフェ.
    • 女性向け.
  • 数学アクセサリ: アートとしての数学.
    • 身にまとう数学.
    • 専門家向け・女性向けの両方を視野に.
  • Twitter・ブログでの情報発信とコミュニケーション.
  • 素数大富豪アプリの開発.
  • 現在計画中.
    • 世代別数学教育.
    • 中高生向け スポーツ科学のための数学・物理.
    • 算数, 中学・高校数学の復習講座.
      • 人文・社会学系研究者も対象に含む.

4.3 コミュニティ形成のための活動

4.4 学術関係者向けのビジネス教育

  • そもそもまだ自分がきちんとビジネスできていない.
  • 何をどうするといいか考察中.
  • 学術関係者は巷の教材や人々のいうことをそのままの形では受け入れづらい.
    • まず自分が苦痛: 他の人も多分そうだろう.
    • そこで自分を人柱として情報収集・実践し, それを展開する.
  • Amazon での DVD・Kindle 出版などは受け入れやすい方向だろう.

5 何でそんなことをしているの?

  • 科学と社会の関係を考えて.
    • 説明責任がどうのとか言われる.
  • 気にくわないことがあるから: 後述.
    • しかし説明時間はなさそう.
  • 学問 (数学・物理) は抽象物で分かりづらい.
  • 学問は人の活動でもある: 「誰かがやっている姿」を見せる.
    • 既存表現のバリエーション: 書籍・講義・テレビなど.
    • アクセサリ・ゲーム開発などのバリエーションを増やす.
  • やっている人が少ない: 人柱として立ち回る.
    • 科学コミュニケータとはまた違う役回り.
      • 【翻訳】ではない数学・科学そのものを見せる.
    • 教員・塾・予備校などの組織活動ではなく, 個人の活動として展開.
    • ポスドクの生活・収入問題の解決へ向けて.

6 大事なこと: マネタイズ

  • 生きていないと数学できない.
  • 生きるためにはお金が必要.
    • 自分自身お金がないので博士進学を断念した.
  • その他いろいろな活動のためには資金が必要.
    • 研究だけに限っても文献・研究会出席・実験器具や試薬調達 etc.
  • お金で解決できることもたくさんある.

7 活動の基本的な方向性

  • 数学・物理に関する難しく骨のある内容を打ち出す.
    • 数学・物理への限定: 自分ができる範囲・責任を持てる範囲.
    • 成功例を作って各方面の専門家に各方面で動いてもらいたい.
  • 参考: 昭和 9 年の子供向け教材や昭和 30 年代の中学生向け書籍としてかなり難しい本格的な教材が出ていた.

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「『子供の科学』折込の蒸気機関設計図」


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「トランジスタの動作原理から説き起こし...」


  • 昔の子供にできて今の子供にできないはずがない.
  • 昔の自分のために: こんなのが身近にたくさんあれば子供の頃の自分が喜んだに違いない.
  • 子供に対する信頼.

8 キャッチコピー

  • 学問とともに生きる
  • よくわからない数学
  • ご託はいいから数学しよう
  • 俺より強い奴に会いに行く
  • 会いに行ける研究者
  • 第 2 外国語, 数学
  • 身にまとう数学

8.1 ポイント


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DVD のパッケージ画像: インパクトだけはある.



  • 極端過ぎる分を埋める方策は今後の課題.
    • 数学カフェや数学アクセサリはこの路線の活動.
    • マネタイズにも関わる.
  • 会いに行ける研究者.
    • AKB48 を参考に, ポスドクの展開を考えて.
    • 世界と伍している人々と触れ合う機会を増やす.
      • プロ野球選手や宇宙飛行士に会いたいとかそういう感じ.
    • ポスドクを孤立させない.

9 対象

主に次の 2 つの線がある.

  • 究極的な対象.
  • 現実的な対象.

9.1 究極的な対象

  • 子供の頃の自分.
  • 中高生.

ポイント

  • 子供の頃の好奇心旺盛な自分が「こんなのがほしかった」「こんなのが見たかった」と思うようなコンテンツを作る.
  • 「わかる」ことよりも「何だかよくわからないが何か凄い!」という方向だったから.
  • 宇宙飛行士やプロスポーツ選手に会うように数学・科学の専門家に会う機会を作る.

9.2 現実的な対象

  • 大学生.
  • 理工系の大人.
  • 科学や数学に興味を持つ子を持つ親.
  • 情報を手に入れにくい青少年.

9.2.1 説明 1

  • 中高生は当然お金がない
    • マネタイズ・稼ぐという観点からメインの対象にはしづらい.
  • 実際に扱う想定の内容は基本的に大学相当.
    • 大学生や理工系社会人に対するアクション.
    • 企業での研究者・開発者向けの教育という市場にも食い込めないか.
      • 研修費ということで企業からお金を引き出す.
    • 数学や物理を再勉強しようとしている大人もターゲット.
      • いないことはない.
      • むしろ引き摺り出してマーケットを作らねばならない.

9.2.2 説明 2

  • 親は教育にはお金を使うはずだという想定.
    • 中高生に買い与えてもらえるよう親に訴えかけられる方向を目指す.
    • Amazon や大学での講演: 信用 を得る.
  • 言語としての数学.
    • 自然科学の言語.
    • 同じ記号体系が世界中で使われている.
    • 世界展開も視野に入れたい.
      • 世界中の知見を集約したい.
      • 子供達に世界を見てほしい.
    • 【数学の教科書】のソーシャルライティングはこの世界展開向けの布石.
    • 自分で英訳も作っている.

10 何を目指すのか

  • 究極目標.
  • 当面の目標.

10.1 究極目標

  • 数学を精神の救いとして生きている人々がいることを伝え, 数学を好きでいてもよいのだと伝える.
  • 数学・科学を社会に文化として根付かせる.

10.2 当面の目標

  • 【避難場所】を作る.
    • 一般の数学愛好家から研究者まで.
  • 物理学科から数学科に進学した経緯を生かす.
    • 数学科の純粋培養ではない.
    • そうした外部の視点からの数学の紹介.
  • 女性に対する数学・物理関連のコンテンツ・コミュニティの展開.
  • 女性に人気のあるアイドル・俳優に「数学できる女性は素敵」とか言わせるキャンペーン.
  • セミナーを受けた者同士, DVD を購入した者同士集まって交流する機会を作る.
  • 応用含め多様な数学の話をして視野を広げてもらう.
    • 共同研究の促進.

11 他の数学・物理系コンテンツとの差別化

  • 受験関係は扱わない.
  • 常識への挑戦.
  • 対象設定.

11.1 受験関係は扱わない

  • 既に世の中に溢れている.
  • 1 人 1 人と付き合いたいが, 受験となると圧倒的なマンパワーが必要で競合と勝負できない.
    • 競合はいわゆる大企業: 圧倒的なマンパワー.
    • ゲリラ戦で対抗する必要あり.
  • 私が面白くない.

11.2 常識への挑戦

  • よくある【わかるから面白い】という主張に真っ向から挑戦する.
  • わからないこと・それが存在すること自体に価値を見出してほしい.

11.3 対象設定

  • 大学レベルの進んだことを学んでみたいがどうしたらいいかわからない (特に田舎・非進学校の) 中高生へのアプローチ.
  • ゲリラ的な教材: 通常の講義・演習で 語られない・語る余裕がない とされる事柄を.
    • かっちりした本・応用家向けの本はある.
    • 数学科向けに程良く掻い摘んだ教材は意外とない.
    • そうした教材は往々にして学生の頃に自分が欲しかった教材でもある.
      • 実際に物理の本が激烈に読みにくい身体になってしまった.
    • 数学科学生向けの物理教材など他にもしたいことはある.
  • 通常の教科書を次のような点で補足していく.
    • 学部低学年向けにアドバンストな内容を説明する教材・セミナー.
      • 今やっている線型代数や微積分の話がどんな風に発展していくのか.
    • 既存教材の間隙を突くようなトピック.
      • DVD【いろいろな反例で遊ぼう】: 反例の作り方や作る意義を紹介.
    • 厳密で定評のある教科書を楽しく読み進めていくための補助教材.
      • 省略された定理の証明をつける, さらなる理論展開の紹介, etc.
  • 教官・先輩達の助言の代替.
    • 教材を学んだ者同士, 学科や学生の枠さえ飛び越えていくようなコミュニティを作る.

12 課題・実行のためにやらなければいけないこと

  • マネタイズ強化.
  • さらなるコンテンツ展開: もっと目立つ.
  • 知名度向上のための宣伝.
  • 信用を増す.
    • 大学など地位・権威があるところでの講演は【箔】になる.
    • 法人化?
    • 個人活動の視点は忘れずに.
  • 日本・国際数学会とか国際数理物理学会などで市民が話す方の【市民講演】をやりたい.

13 具体的な活動説明

  • 学生向けセミナーと「教科書」のソーシャルライティング.
  • メールマガジン.
  • 数学カフェ.
  • 数学アクセサリ.

13.1 学生向けセミナーと「教科書」のソーシャルライティング

  • 体系だった理論については既に良書がたくさんある.
  • 隠れた要望にピンポイントでこたえる.
    • 「いましていることが何に繋がるのか知りたい」
    • 「こんなことをもっと早く知りたかった」
  • ワンソースマルチユース.
    • セミナーで話したことを教科書にまとめる.
    • 教科書に書いたことをセミナーで話す.
    • 相互に改善を進めていく.
    • DVD 化してマネタイズにもつなげる.

13.2 メールマガジン

  • 読者に確実に届く媒体としてマネタイズには重要.
    • 興味を持ってくれている人の連絡先を知る.
  • ここで読者を【教育】し, 共感を得て結束を高める.
  • メルマガ講座形式の教材発信の意義.
    • 時間が取れない人達への定期的なフォロー.
    • 週に一度は時間を取らせるためのアプローチ.
      • 数学カフェもこの方向でやっている.
    • 他にも同じように学んでいる人がいる: 孤独からの開放.

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「心配すんなよさやか。独りぼっちは、寂しいもんな……。いいよ、一緒にいてやるよ……さやか……。」


13.3 女性向け数学カフェ

  • 基本の活動は専門家・専門家候補生向け.
  • もっと軽めの勉強会なども必要.
  • 女性の少なさを考えると特に女性向け企画が大事.
    • 女性が同好の士を探すのは大変.
    • 地道に種を蒔く.
      • 1 人の人から親戚や近所の女性, 女友達など展開をも見込む.
      • 少人数であっても何か活動をしていることの意義がある.
  • 男性がいると【教えたがる】ので鬱陶しいという意見を汲んだ.
  • いろいろなカフェ巡り要素をつけることで, 数学以外の楽しみを盛り込む.
  • 参考ページ: http://phasetr.com/services/mathcafe-tokyo/
    • 企画書を作っているので読んでみたい方はメールでご一報を.

13.4 数学アクセサリ

  • 数学カフェは一般向けとはいえ【数学したい人】向け.
  • 数学したいほどではないが興味がある人に対してどうするか.
  • 自分がほしい.
    • 少なくとも学部生・院生など専門家候補に受けることは確認済み.
    • 例: 数論専攻の人にゼータのネックレス.
  • Web ページ: サンプルがいくつか載っている.
    • http://math-accessory.com/
    • 当日持っていった分はあるだけ参加した女性に配布予定.
    • 企画書を作っているので読んでみたい方はメールでご一報を.

14 背景

  • 社会が気にくわない
  • 個人的背景
  • これまでの活動
  • 自分を使う
  • 大学生と中高生, 大人の交流
  • 学生を狙うことの意味

14.1 社会が気にくわない

  • 子供の頃から数学と物理ができる人間が一番格好いいと思っている.
  • 理由はない.
  • 世間的には全く受け入れられていない.
  • 腹立たしい.

14.2 自分を使う

  • 正直よくわからないのだが, 私は最近よく海老蔵似のイケメンと言われる.
  • 特に女性の応援がしたいと思っているが, そんな自分が前に出るのは女性へのアピールになりそうだと思ったこともある.
  • オタク部分はおさえて自分を含めコンテンツ化してみたい.

14.3 個人的背景

  • 幼い頃から吃音があり皆が簡単にできることが全然うまくできず笑われ続けた.
  • 中学 3 年で白血病になり体力的・肉体的にも問題を抱えた.
  • その中で自分でもできることを探した.
    • 一番苦手だったが一番好きで頑張れる数学を頑張ろう.
  • 数学は好きだし楽しいと思っているがそれ以上に数学は救いであって支えであって祈りのようなもの.
  • 特に女性は「数学 (理科一般) ができる女はかわいくない」とかいう異常者達からの不当な扱いを受けていて, 素直に数学を好きとも言えない状況すらある.
    • 同志の心を少しでも救いたい.
  • 数学ができる人間が格好いいと思われる社会を作りたいという一方で, それが形成されるまではそう言うことが許されるシェルターを作ることも必要.
    • シェルター (を作ろうとしている者) の存在を知らしめる必要がある.
    • 活動の第一歩としてとにかく一歩を踏み出していかねばならない.
  • 学部に入学時のエピソード.
    • 入学してから 1 月程度しか立っていないにも関わらず,
    • 学生実験のときの試問で化学科の方に「これは僕もよくわかっていなくて, むしろ物理学科の学生である皆さんに聞きたいくらいなんですが」というコメントを頂いた.
    • 学部 1 年に対してすら専門家として敬意を持って接してくださったことを深い感動とともに 10 年経ってもまだ覚えている.
    • 修士までとはいえ大学院に入って研究者としての専門教育を受けたのであって, 今こそこの恩返しをするときである.

14.4 これまでの活動を振り返って

  • これまで単に自分の趣味に沿ったコンテンツを作り「これが俺の数学だ」という感じで, 大学上級生から院レベルの数学・物理の解説動画を 50 程作ってきた.
  • 極めつけにニッチで専門性が極めて高いコンテンツであるにも関わらず, 無料で見られるということも手伝ってか, 各作品が数百-数千回再生されている.
  • その後の色々な交流によると純粋な数学や物理の学生・研究者だけでなく少し分野が違う化学や諸工学の関係者もいる.
  • ニコニコ動画を見ているアイドルマスターファンという特殊な層でこれだけの数が出るなら, 適切なコンテンツを適切にマーケティングしていけばもっと数が出るはず.

14.5 情報を手に入れにくい青少年向け

  • 東京生まれ東京育ちの私ですら, 子供の頃, 数学を少しきちんと勉強してみたいと思ったときになかなか適切な教材に辿り着けなかった.
  • 雑誌・Youtube の動画など既存コンテンツはあるが, 既存の教材群がカバーしきれていない領域や層を埋める.

14.6 大学生と中高生, 大人の交流

  • 大学の数学科に行くかそうした人間が直接の知り合いにいない限り, なかなか数学を専門に学んでいる人間には出会えない.
  • 大学の数学科に行っても他大生や先輩と交流を持てる機会は意外と少ないこともある.
  • 興味のある中高生, 大学生でも初学者・新入生, さらには大人になってから興味を持つようになった人達からすると,
    大学では当たり前過ぎて語られない事柄を既存の教材から学び取るのは経験的に言っても, 身近な数学科学生を見ても難しいということもある.
  • こうした層を狙って, 既存の教科書を中心とした教材・学習とは違う観点からの学習を提案したい.
  • 自分自身の専門性を保つため, あくまでも専門家としてのスタンスを崩さずにやっていくため, ぎりぎりまで「研究者」であることをやめない.
  • きちんと論文も書いていく.

14.7 学生を狙うことの意味

  • よい教材ならば先輩から後輩に受け継がれていくだろうし, 数学科は日本全国にある.
  • またニコニコ動画でのリアクションから, 理工系各学科の学生にも興味を持ってもらえる部分があることがわかっている.
  • さらに学生だけでなく, 理工系出身の社会人や (非数学含む) 研究者も対象になる.
  • 「京大で講演し人気を博した」といった文言は, 教育熱心な親が子供に買い与えてくれないだろうか, という部分も狙っている.
  • ここまで考えに入れれば射程距離は極めて広くなる.
  • 学生時代お世話になった大学教官にも DVD をお渡しし, 教官から学生へ推薦もしてもらえないかということも考え, 行動している.

15 参考: エッセイ 【たかが数学, されど数学】植村信子(和歌山県・主婦)

  • http://goo.gl/GCB32V にあるエッセイ.
    • リンク切れしているようだが人類にとっての損失なので, 山形大の担当者はしっかりしてほしい.
    • もしかしたら URL 変更になったのかもしれないので調査しておく.
  • 学生時代にこの文章を読んだことがいまの活動の原点の 1 つでもある.
  • 山形大学のその他のエッセイにも感動的な文章があるのでぜひ読んでみてほしい.

16 まとめ

  • ご託はいいから数学しよう.
  • 数学できる人は格好いい.
  • 数学とともに生き数学と添い遂げる.

著者: 関根良紹

phasetr@gmail.com

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