「ある程度微分できても微分方程式の概念を掴むのは難しい?」/中高数学駆け込み寺

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これは無料メール通信講座, 応用からの中高数学再入門 中高数学駆け込み寺
読者アンケートを受けた記事内容だ.

一般的に大事そうだったのでサイトにも転記しておく.
以下メールの内容.


気になるところが 2 つありました.

  • ある程度微分できても微分方程式の概念を掴むのは難しい, と感じました.
  • 微分方程式の概念が掴めたら嬉しいですね

まず微分と微分方程式は原則として全く違う話なので,
微分への理解と微分方程式への理解も全然違う話ですね.

もっと本質的に気になったのは「ある程度微分できる」というところ.
微分できるというのが「具体的な関数の微分を計算できる」という意味なら,
微分の計算ができるだけで原則的に理解とは全く関係ない話です.
極端な話, 数式処理プログラムでさえきちんと設計・実装すれば微分の計算はできます.
つまり概念として微分を知らなくても計算はできます.
この方が「微分できる」と言ったときに何をイメージしたのか,
それをぜひ伺いたいですね.

そして後者の「微分方程式の概念を掴む」というところ.
これは何を意図しているのかが全然わかりません.
先日, 号外として次のようなタイトルのメールを出しました.

  • 「概念的に理解する?」/中高数学駆け込み寺

受け取っていない方もいるでしょうから,
サイトに記事として上げておきました.

微分方程式はたぶん微分とつくから鬱陶しいので,
方程式と思ってもらえればいいです.
これでわからないなら,
あなたはそもそも方程式を理解していないですね.

理解していないからダメとかそういう話ではなく,
単に事実認識の問題です.

方程式とは何か?
みたいなことも中高でほとんどまともにやらないので,
それも仕方のないことではあります.

いちおう簡単に言っておくと,
何らかの変数と関係式があり,
変数に適当な値を入れたときだけその関係式が
成り立つ場合にその関係式を方程式と言います.

いまは関係式に微分が使われているだけです.
中高では方程式というと代数方程式,
つまり $x^2 – 2 x + 1 = 0$ のような方程式を指します.

これは関係式を数の加減乗除で書いている方程式です.
数の加減乗除が関数の加減乗除に変わったのが
微分方程式であり, それ以上の意味はありませんし,
概念的にもそれだけです.

物理なり生物なり経済なりに使うときには
その分野に応じた意味づけはされますし,
数学内部であっても応用されるときには
その文脈に応じた意味があります.

しかし, 本当に純粋に概念的に何なのか,
と言われたら先程書いたような答えですね.
少し補足してもう一度書くと次の通りです.

何らかの変数と関係式があり,
変数に適当な値を入れたときだけその関係式が
成り立つ場合にその関係式.
特に関係式に微分が使われているとき
微分方程式と呼ぶ.

この極めて抽象的な表現で何か理解できるかと
言われたらそれは厳しいとは思いますし,
特にこれ以上の意味はありません.

ちなみに「数学ができる人」が
こういう概念レベル, 抽象論を理解できているかは別ですね.

先程書いたように「微分ができる」と言っても
具体的な計算ができること,
特に具体的な導関数の計算ができることと,
幾何的に見たときの導関数の気分を理解していることと,
微分そのものを概念的にどう理解するかということの間には
おそらくそれぞれ深いギャップがあります.

数学科で言うなら理解のレベルは
最後のところを要求しますし,
それも概念的にいろいろな捉え方があって,
各人の専門によってどうするかがまた変わります.

こうした認識の差を埋めることが
私が提供すべきコンテンツの内容になるべきなのだろう,
そんな感じがします.

その前に「概念的に理解」とか,
もっと強く「理解」という言葉の意味に対しても
共通認識を作る必要がありますね.

「概念的に理解」するというのが何を指しているのか,
いまだにさっぱりわからないです.
人によって意味するところも違うでしょうし.

まだ提供しているコンテンツと
求められているコンテンツに
ギャップがある気がしています.

何とかする気じたいは満々なので,
引き続きぜひコメント頂ければ,
と思います.

ではまたメールします.

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