はじめに
これは Math Advent Calendar 2017の12/4の回です. ちょっと書き足りないところもあるので適当なときに追記したいとは思っています.
当初はテキストも載せていたのですがWeb上では読みにくいため次のリンクにあるPDFだけにしました.
これは Math Advent Calendar 2017の12/4の回です. ちょっと書き足りないところもあるので適当なときに追記したいとは思っています.
当初はテキストも載せていたのですがWeb上では読みにくいため次のリンクにあるPDFだけにしました.
こちらに PDF があります.
サイトでは見づらい方, コンテンツを手元に置いておきたい方は
ダウンロードしてご覧ください.
最初に偏微分方程式のシミュレーション・アニメーションを見てもらいました.
物理, 経済, 生物で出てくる微分方程式を紹介し,
それを差分近似でシミュレーションしました.
このシミュレーションの中で出てくる数学にベクトル,
関数, 数列, 漸化式, そしてもちろん微分があります.
それらを順に説明してきました.
高校で学ぶ関数の大事な具体例として指数関数,
三角関数や対数関数があります.
指数関数と三角関数について微分方程式を解く最初の段階で紹介しました.
中学から出てくる一次方程式については,
シミュレーションで実際に解いたのが一次方程式ですし,
微分の基礎に横たわっているのが一次近似という発想だ,
ということも紹介しました.
説明不足なところも多いです.
しかし細かいところばかりにこだわって大局を見渡せないのが問題だ,
というのがこの講座を作った動機です.
まずはこの大きな流れ,
社会を支え社会に生きる数学の姿を感じてもらうことに集中しました.
意識するところは大きくわけて 2 つあるでしょう.
これはもちろんあなたが次のどのタイプに入るかによります.
どんな興味があるかによっていったん道がわかれます.
その道はあとで合流するかもしれないし,
合流せずとも細く長くずっと続いていくかもしれません.
タイプごとに指針や参考書を紹介します.
都合のいい部分をうまく使ってみてください.
これからいろいろな本やコンテンツを紹介していきます.
しかしその前にこの講座に参加したあなたに必ず読んでほしい文章があります.
もともと山形大学の数学エッセイコンテストで入賞していた作品です.
理学部や数学科の HP 改訂でどこにあるのかわからなくなってしまいました.
もちろん著作権などの微妙な問題もあるのですが,
埋もれさせるにはあまりにも惜しい文章です.
そしてこれは何をさしおいても真っ先に読んでください.
「数学とこんな付き合い方もできるのか」とはっとさせられる,
穏やかな筆致のとても素敵な文章です.
6 ページの短い文章なのでちょっとした隙間時間でも読み切れます.
簡単にあらすじを言うと,
中学の数学で挫折した女性がお子さんと一緒に算数から勉強をはじめ,
数学の呪縛から解き放たれたという文章です.
勉強の仕方もとても示唆的です.
小学校 1 年からお子さんとその日習ったことを一緒に勉強していくスタイルです.
要は自分で「今日はこのくらい」としたのではなく,
お子さんの授業の進度という他人のペースに合わせて,
9 年かけて中学数学まで勉強を続けた事例です.
子どもからすれば全科目で毎回新しいことをたくさん勉強するわけで,
とんでもないハードワークです.
しかし算数だけ取り出すなら,
それも大人の視点から見るのなら,
十分小さなボリュームに小分けされていると思っていいでしょう.
今回の通信講座のスタイルはもちろんこれを参考にしています.
大人の勉強スタイルはいくつかあります.
何をどうしたいかによって使い分ける必要があります.
そしてあなたの目標によっては短期決戦スタイルの勉強が不向きな場合があります.
この植村さんの事例を単なるストーリーとして消化するのではなく,
ここで語られた無理のない勉強スタイルをどう自分の生活に組み込むか,
そこまで考えながら読むようにしてください.
「こんな本がいいですよ」とか,
「こんなサービスがいいですよ」とかいう具体的な話をする前に,
『たかが数学, されど数学』での大事な教訓をまとめます.
端的に言えば 1 人で勉強するのはつらいから誰かを巻き込みましょう,
ということです.
1 人で勉強できるなら最初から中高数学で困ってないはずです.
本の選び方がよくないとかいう話よりも,
こちらの方が本質的です.
そもそも本当に数学を勉強したいんですか?というのもけっこう微妙な問題です.
この辺を掘っていきましょう.
環境の重要性は勉強・学業という視点からはあまり強調されません.
しかしとても大事なことです.
わかりやすいのは部活やスポーツでしょうか?
「ちゃんとやるならいい環境で」というのは,
いたってふつうの考えとして浸透しているように思います.
クラブチームや強豪校からプロへ,
こうした流れの中で他人と切磋琢磨する環境が大事だ,
とはよく言われることでしょう.
これは勉強する上でも同じです.
私は中高はふつうの公立校でした.
しかし大学に入っていわゆる進学校と呼ばれる学校に通っていた友人達の話を聞いたら,
環境というか世界が違うことに気付きました.
勉強するのは当たり前だし,
いろいろな情報が入ってくるし,
何より楽しそうに勉強している人が周りに多いから自分も勉強していて楽しくなる,
そういう常識・感覚レベルで全く違う世界に生きていました.
ちなみに私, 高校で文系理系を選択するとき,
理系の人ってみんな数学好きだと思っていたんですね.
進級したら全然違うのでめちゃくちゃ驚いて,
「こんなのは自分だけなのか」と思っていました.
大学に入ってようやく「ああ,
同類はこんなにたくさんいるじゃないか」とわかりました.
環境が違うと本当に世界や感覚, 常識が全然違います.
意図的かどうかはさておき,
植村さんはすさまじい環境を整備し,
尋常ならざる目標を立てています.
目標は「小学校に上がった子どものペースに合わせて 9 年かけてやり直す」です.
3 日坊主という言葉があるくらい,
行動が長続きしないのがふつうです.
その中で 1 年どころか 9 年がかりでやり通すというのは尋常なことではありません.
そして環境.
お子さんの学習状況というペースメーカーがあります.
毎日たくさんの科目で新しいことを習い続ける子どもからすればしんどくても,
算数に的を絞った大人からすればまあゆっくりです.
無理が全くないとも言えます.
しかも次のような記述もあります.
知りたがり屋のオカンがすぐ頭を突っ込んでくるので面白がって今日習ったところを得意になって教えてくれた.
母親が面白がって聞いてくる.
子どもたちも面白がって楽しく勉強する.
わからないところは得意になって教えてくれる.
お子さんは無料の教師になってくれてさえいます.
はっきり書いてないですが,
植村さん, 自分がわからないところをわかるように教えてくれたら,
自分のお子さんをすごい褒めたと思うんですね.
そういういいフィードバックのループが回る環境を作ったわけです.
勉強が続かないわけがないですね.
これが, この環境構築が本当に大事.
他人の力を借りるというのは,
簡単に言うとそういう環境を作ることです.
「何か勉強しないとまずいよな」とか,
「私も何か勉強してみたい!」,
そう思える環境を作ってそこに所属することです.
要は 1 人でやっても続かない現実とどう向き合うか,
そういう問題です.
植村さんのようにお子さんがいるならそれを刺激にするのもいいでしょう.
お子さんは教師にもペースメーカーにもなってくれます.
お金もかかりませんしね.
もちろんこんな都合のいい環境が自然に作れる人はいないでしょう.
お子さんが「勉強嫌い」ならそもそもお子さんの力も借りられないでしょうし.
そうなると他で環境を作る必要があります.
最近あまり聞きませんが,
特にあなたが都会にお住まいなら,
朝活に顔を出して毎日朝 30 分は勉強する,
そういう環境を作ったり使ったりしてもいいでしょう.
みんな何か目的に向かって行動している環境に身を置けば,
自然にあなた自身も行動できるようになれますよ.
ただ, これはこれで割と強い意志が必要です.
朝活の場に行き続けないといけないですから.
他人を本気で巻き込もうと思うなら,
積極的に話しかけたり勉強会の場を作ったりするのも必要ですしね.
そういう観点からすると,
1 番手っ取り早いのは児童・生徒向けの塾などに参加することです.
時間が合わないなら進研ゼミなどの通信教育もあります.
ちなみに私の知人の女性で「彼氏からもらった数学ガールをちゃんと読んでみたくて」と言って,
公文式に通って教材をもらい,
自分でコツコツ進めている人がいます.
「因数分解って楽しいですよね!」と本当に楽しそうに言っていて,
「ああ, いいな」と素直に思いました.
はっきり言えば 1 人でやっていても心が折れます.
だから他人を巻き込もう, そういう話です.
こういうことを言うと嫌がる人も多いのですが,
お金を払って環境を作るのはお勧めですよ.
それは自分の覚悟の証でもあります.
逆にそうまでしてもやれないなら,
それはあなたにとって算数や数学なんて必要ないからです.
継続的にお金を払ってまでやりたいか,
これは判断基準としてかなり使えます.
これ, 本当に真剣な話なんですが,
例えば数学できなくて困ったことありますか?
学生の頃に試験で困った以外の経験ありますか?
どうしても数学したいというのに何で自分 1 人で続けられないんですか?
もしも好きなことなら意志の力なんて言う余地すらなく勝手に続けますよね?
その辺までちゃんと自分の心と相談してみてください.
環境を作るのが大事とは言いました.
しかしなかなかその環境を作るのも難しいのが現実です.
要は独学せざるを得ないこともよくあります.
いま本についても調べているところです.
しかしある程度の薄さで中高全範囲をカバーしつつ,
発展的な話題も程々に扱っている都合のいい本はあまり見かけません.
発見次第適宜紹介したいとは思っています.
くり返しになりますが,
本の選定基準を改めてまとめます.
この 2 点を重視するのがお勧めです.
少し違う視点からのお勧めがあるので,
それも紹介しましょう.
それはストーリーに数学が埋め込まれた本を読むことです.
本当に数学もきちんと勉強できるという点からすると次の数学ガールがお勧めです.
ここでは一冊しか紹介していませんが,
ちょうど中高の数学に対応するレベルの内容が
「秘密のノート」シリーズとしてシリーズ化されています.
1 冊 1 冊は 200 ページ程度あるし,
全部買うとそれなりの値段にもなります.
しかしそれだけのお金をかける価値のある本・シリーズだとも思います.
次の本はいわば本編, 大学の数学にも足を踏み入れた内容です.
これもかなり発展的な話題を丁寧に追いかけています.
特定の分野を詳しく追いかけるというより,
ある問題を考えると自然に関係してくるいろいろな数学の世界をのんびり垣間見ていくという感じです.
こちらもシリーズで既に 5 冊以上出ているはずで,
全部買うとそれなりの値段になります.
しかしこれもそれだけの価値はあります.
あなたはもっと気楽に数学を楽しみたいと思っているかもしれません.
息抜きに数学をネタにした小説を読んでみたい,
そんな要望もあるでしょう.
その手の本やコンテンツは最後にお伝えします.
ご興味があればそちらも見てみてください.
大人向けの数学に関するリアルの教室を 2 つ知っているので,
そちらもご案内しておきます.
どちらも東京にあります.
和は大阪にも展開しているようです.
これは私の活動と全く関係ないサービスです.
評判は悪くないみたいなのでとりあえずご紹介, という感じです.
両方とも有料でそれなりに値段も張ります.
リアルでじっくり質問したいといったご要望がある方にはいいでしょう.
費用はだいたい 10,000-15,000 円/月くらいのようです.
東京以外にもあるかもしれませんが,
ちょっとそこまでは調べきれていません.
それ以外で知ってるところというと,
「数学カフェ」などの勉強会をやっている人達がいます.
そうしたところでやるのも一手でしょうね.
例えば次のところはちょっとやりとりしたことがあります.
東京と埼玉でやっていますね.
これは会場代やお茶代くらいで「有料」という感じではないようです.
その他には Skype を使ってオンラインセミナーをしている人達がいたりもします.
私も以前, 東大と京大の学生がメインの参加者だった Skype セミナーに参加したことがあります.
オンラインならいろいろやりようもあるし,
私にも多少のノウハウがあるのでそれをご案内することもできます.
目的はいろいろあるでしょう.
昔の苦手意識を克服したいだとか,
大学の数学のようにもっと進んだことにも興味はあるけれど,
まずは中高数学をちゃんとやりたいとか.
一応書いておくと,
中高数学を知っているかどうかと大学の数学への適性・耐性があるかは全く別の問題です.
さらに物理なり化学なり生物なりの理工学をやるのに,
中高の数学を知っていることがどの程度意味があるかも微妙なところです.
必要な数学は大学教養の数学みたいなところでもっとハードですし,
1 から勉強し直しという感じになるからですね.
全く無駄とまではいいませんが.
で, 中高数学の復習がしたい,
そういうニーズに応えるには圧倒的なマンパワーがいります.
「どこがわからないのかがわからない」みたいなことを言う人もいるからですね.
たいてい何 1 つわかっていない状態です.
これをきちんと納得してもらった上で必要なところに戻らなければいけなくて,
ものすごい時間とパワーが取られます.
あなた 1 人で対処できるならそもそもそんな状態になっていないはずで.
指導者がちゃんとマンツーマンで付き合って,
もつれた糸を解きほぐす必要があります.
そういう意味でもたくさん指導者がいて選ぶことができる,
塾のようなふつうの中高生向けサービスを使うのがお勧めです.
地域ごとにも特色があるようで何がいいかは個別にきちんと調べる必要があります.
大手だとどうしても画一的な対応になりがちなので,
個人経営レベルの塾がよさそうです.
大人相手でもじっくり付き合ってくれるのは,
個別に小回りが効くところに行った方が早いんじゃないかと.
もちろんあなたの身近にリアルなサービスがないかもしれません.
ペースメーカーという意味では既存の通信教育は使えるでしょう.
しかしその性質上, 中学高校の勉強の文脈,
もっとはっきり言えば受験対策が基本です.
もちろんそれで良ければ問題ありません.
それで駄目なら, 例えばその数学がどんな役に立つか知りたいと思うなら,
その手のサービスだと明らかに不十分ですね.
「こんなことが知りたい」と私に連絡してもらえれば,
私の知る限りで本などの適当なコンテンツを紹介できます.
でもこの本を 1 人で読み切れない問題が解消できません.
ペースメイクも厳しいですね.
それにその手のコンテンツは「帯に短し襷に長し」で,
指導者なしでの扱いがけっこう難しいです.
だからこそこの講座を作ったわけですし.
必要ならお問い合わせフォームなどから連絡してください.
ここまで書いた上であえて勧めるなら,
やはり先程紹介した数学ガールですね.
シリーズ揃えるとそれなりのボリュームになるのは難点と言えば難点です.
ただこのシリーズがいいのは,
登場人物が一緒に悩んでくれることです.
よく対話形式の参考書もありますが,
結局生徒サイドも相当要領がよくて「そんなにすぐわかるか」と言いたくなることが多いです.
その点, 数学ガールの登場人物は割と物分かりが悪いし,
突っ込みどころにガンガン突っ込んでいくので,
ふつうの中高数学の復習や再入門とは一味違った楽しさがあります.
この節はある程度中高数学をちゃんとできている前提で書きます.
そうでないと書きづらいですし.
何はともあれまずは 2 冊本を紹介しておきます.
両方とも今回のメインテーマ, 微分方程式に関する本です.
それぞれ詳しい書評を次のページに書いています.
書評ページでは本の記述にさらに踏み込んだことまで記録しています.
ぜひ参考にしてください.
今回の講座で設定した数学的なレベルから見て接続がいいのは,
後者の『微分方程式の定式化と解法』です.
数学的に踏み込んだ面白さとしては前者の『常微分方程式の新しい教科書』です.
具体的なプログラミングに使うのは難しいですが,
シミュレーションを含めた数値計算に関しては次の 2 冊を勧めます.
前者は中学高校でやってきたことをどうやって計算機に計算させるか,
それを詳しく議論しています.
もちろん微分方程式の話もありますよ.
後者は計算機で計算する, つまりプログラミングして計算するときにどんな注意が必要かを解説しています.
もしあなたがコンピュータの計算は厳密なんだと思っているなら,
衝撃を受けるかもしれません.
私は高校生のとき, 東大の計数工学科 (当時) のオープンキャンパスに行ったときにこうした話を聞いて,
驚いたことがあります.
この講座の続きとしてはまずこの辺の本をお勧めしておきます.
歯ごたえのあるラインナップです.
中高生向けの微分方程式の本というのもなかなかないので,
厳しいところですね.
上で紹介した本や微分方程式以外の方向性についてもう少し.
大雑把に言って数学科の数学方面か,
物理なり何なりの「応用」方面かを想定しています.
あなたがやりたいかどうかにもよりますが,
理工系の基礎としてやはり物理があるので物理は割と誰もが通る道です.
物理向けの数学という視点からはいろぶつこと琉球大学の前野昌弘さんによる次の本があります.
ヴィジュアルガイドの名の通り,
図がたくさん使われています.
前野さんじたい物理学者なのでその観点から見た解説です.
実際に物理では多変数を扱う必要があるので,
きちんとやるなら明らかに不足はありますが,
中高の数学からの接続という点ではむしろいいところでしょう.
あなたは文系かもしれないので文系向け数学,
特に統計学という方面もありますね.
残念ながらというか,
文系でも数学を使わなければいけない分野があります.
経済でも微分方程式が出てくること,
本編で紹介しましたよね?
さらに言うと何かのデータを処理しないといけないなら,
その時点で統計学が出てきます.
そこでは微分積分や指数関数の処理が必要なので諦めてくださいね,
と言わざるをえません.
最近だと文学でも文体研究でテキストをデータにして,
自然言語処理なりの統計処理をかけた結果を使って研究する話もあるようですし,
文学部でも使う人は使うでしょう.
自然言語処理は携帯の漢字かな変換のようなところで使う技術ですね.
プログラミングも必要です.
個別具体的な本もいろいろ知ってはいますが,
一般的には書きづらいところがあります.
実際にもっと専門的な内容の無料の通信講座,
現代数学観光ツアーに参加された方で,
ガロア理論のような大学数学に興味があるものの,
中高の数学もままならないという方がいました.
中高の数学を知っているからと言ってガロア理論が勉強できるわけでもありません.
ただ現状を詳しく把握できないとどこからどう勧めたらいいのか,
何とも言えないところがあります.
人に合わせて興味があるところからやっていくのがやはりよくて,
そこをきちんと擦り合わせないと勉強が
不当につらくなってしまいます.
あなたはプログラミングに興味があるかもしれません.
言語から何からいろいろな観点があるのですが,
グラフを描こう, 科学技術計算をしようという観点からは Python がいいと思っています.
実際この講座で紹介したプログラミングのコードは Python のコードです.
今勉強を兼ねてプログラミング関係のコンテンツや記事も書いているところです.
まとまった形にはしていないのですが,
例えば私のサイトでプログラミングや Python のカテゴリを見てもらえれば,
記事がたくさん置いてあります.
適宜参考にしてください.
この記事の中にも Python 入門といった記事はあります.
ただ他のサイトのコンテンツの方が網羅的で取り組みやすいのが正直なところです.
まだそこまできちんと整備していないので.
少し前まではドットインストールをお勧めしていたのですが,
全部勉強するのに有料会員になる必要が出てきてしまいました.
こちらも少しずつ情報を整備していく予定です.
漫画や小説からノンフィクション,
数学者のエッセイまでいろいろ入れてあります.
数学的に異常な難易度を誇る本も入れてあるので注意してください.
実際に私が息抜きに気軽に適当に眺めている本で,
基本的にどれもお勧めできるクオリティです.
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
この講座はいったんここで終了です.
ここまでお疲れ様でした.
細かい部分をあまり説明していませんし,
けっこう大変な内容だったと思います.
今後も数学や物理の学習に関する情報は配信していきます.
ぜひお付き合いください.
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こちらに PDF があります.
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ダウンロードしてご覧ください.
前回で流れを一通り回収しました.
最初にとにかく微分方程式をシミュレーションしています.
物理, 経済, 生物といろいろな分野の現象が微分方程式で書けることを紹介し,
プログラムを書いて解いています.
そのあとベクトル, 関数, 数列, 微分とつなげてきました.
雑に「微分」と書きました.
数学的には微分というと微分 1-形式を想像したりもするので,
数学関係者からは怒られそうな書き方なんですがまあいいでしょう.
ちゃんというなら微分係数の定義,
そして導関数の定義です.
関数 $f(x)$ の導関数 $f'(x)$ は次のように定義するのでした.
\begin{align}
f'(x)
=
\lim_{h \to 0} \frac{f(x + h) – f(x)}{h}.
\end{align}
微分係数はよく関数の接線の傾きと言われますね?
それは確かに間違いないし,
そういう絵も描けて目に見えて「わかりやすい」のかもしれません.
でも「だから何なの」と思いませんか?
ふだん接線引く機会なんてないし,
それでどこが嬉しいのか, 何を説明したことになるのか,
まあ分からない.
これで何かを説明した気になられても, とずっと思っていました.
地球が球体とか楕円体だとかいう話,
ふだん実感することありますか?
あなたが山に住んでいるなら坂のアップダウンが激しかったり,
海辺に住んでいると地平線が見えてしまったりするので微妙なんですが,
まあ地面は平らと感じていることにしてください.
この感じを数学的に抜き出したのが微分という概念です.
要は曲がっているものでも拡大していけばまっすぐに感じるよね,
という話です.
具体的には地面を歩いていても目に見える範囲で地球の曲がりを感じることはありません.
まっすぐどこまでも続いているように感じます.
実際には地球の表面は曲がっているにも関わらず.
このとき地球の大きさに対して人間がものすごく小さいことに注意してください.
地球を球と思うとだいたい半径が 6000 km です.
$10^{7}$ という桁の違いがあれば曲がったものもまっすぐに感じるのをふだんから実感しているわけです.
シミュレーションでもこの事情を使って近似をしています.
「だって実際平らだって思ってるでしょ?」という感じ.
数学的な言葉に翻訳すると全体を見れば曲面であっても,
局所的に考えれば平面で近似できるということです.
3 次元空間内での平面は $ax + by + cz = d$ という一次式で書けます.
この幾何を背景にした一次近似が微分の気持ちです.
曲がっているものをまっすぐ見るのが微分と言いました.
1 変数というか 1 次元というか,
その世界でまっすぐなものは直線です.
曲線を直線または線分で近似していこうというのが微分なわけです.
それで接線の話につながるんですね.
具体的な図は第 5 回のベクトル回で紹介しています.
後半にプログラムと一緒に図をいくつか載せているのでその図を見てみてください.
アニメーションも合わせて載せているので,
曲がっているものはまっすぐなもので近似できるんだ,
というのが視覚的にわかると思います.
微分できない状況はいくつかあります.
気分的に言えば変な曲がり方をしているものなんていくらでもあるし,
いつでもまっすぐなもので単純に近似しようとしてもうまくいくわけないよね,
というただそれだけの話です.
ご都合主義は押し通せないというだけ.
個別具体的にはいろいろあって,
特異点論みたいな大事な話もあります.
そこまでいくとウルトラハードモードになるので,
こんなところで議論しきれません.
お住まいの地域によっては全く感じ取れないかもしれません.
「地面」の定義次第なんですが,
とりあえず地球が曲がっていると感じられる人はそんなにいないと思っています.
曲がったものでも十分近づけばまっすぐ感じるよね,
曲線だったら直線, もっと言えば接線で十分よく近似できるし,
曲面なら平面, もっと言えば接平面で十分よく近似できるよね,
そういう話です.
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
次回は今後の勉強の指針をお伝えしていきます.
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こちらに PDF があります.
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ベクトル, 関数, 数列ときて,
数列を決めるルールとしての漸化式に流れてきました.
最初の微分方程式のシミュレーションでは,
そもそもの話として微分方程式を近似して漸化式を出し,
その漸化式をもとに数値計算・シミュレーションをしていたのでした.
いい加減この 2 つをきちんと繋げましょう.
それが今回の目的です.
前回は小学校の算数の文章題を思い出していました.
ついでに高校の力学の話もちょっとやりました.
要は $a_{n+1} – a_{n} = \alpha_n$ と階差数列が定数ではなく数列になっているわけです.
そして一般的にその数列がわからないから手も足も出ない, と.
一般論は諦めましょう.
階差 $a_{n+1} – a_{n}$ が数列であったとしてもどうにかなる場合はあります.
それは高校でもいくつか具体例は見ています.
一番暴力的に単純なのは $a_{n+1} – a_{n} = \alpha a_{n}$ のように,
階差が直接 $a_{n}$ で, それも $a_n$ の一次式で書ける場合です.
これは特に $a_{n+1} = (1 + \alpha) a_n$ なので等比数列です.
あなたは「そんな都合のいいやつだけ考えて意味あるの?」と思うかもしれません.
微分方程式を考えるなら十二分に意味があります.
それを見てみましょう.
まずは関数の微分係数を定義します.
ある点 $a$ での関数の微分係数 $f'(a)$ は次のように定義します.
\begin{align}
f'(a)
=
\lim_{h \to 0} \frac{f(a + h) – f(a)}{h}.
\end{align}
$\lim_{h \to 0}$ はあとで簡単に説明することにして,
まずは言葉を定義します.
次は導関数ですね.
いま微分係数の定義では点 $a$ を固定していました.
それを動かして一般の点 $x$ にすれば新しく数と数の対応が作れます.
つまり関数が定義できます.
その関数を導関数と呼びます.
元の関数から導出される関数だから導関数なんだと思ってください.
そもそも $\lim_{h \to 0}$ って何なのかと.
厳密な話は別のところでやっているので省略します.
ちゃんとやるの大変だし,
そもそも数学科でもない限り必要ない議論なので.
$\lim_{h \to 0}$ は $h \to 0$ の見た目の通り $h$ を $0$ に近づけていくという意味です.
$h$ を限りなく $0$ に近づけると言ったりもしますね.
つまり $\lim_{h \to 0} \frac{f(x + h) – f(x)}{h}$ は比 $\frac{f(x + h) – f(x)}{h}$ を考え,
$h$ をどんどん小さくしていった究極の姿を取り出せ, という命令です.
前回, 漸化式で数列 {$a_n$} の $n$ はステップだと言いました.
1 分後とか 1 秒後とかそういう意味です.
極限の記号 $\lim_{h \to 0}$ で出てくる $h$ が何を制御しているかというと,
まさにこのステップの刻みです.
$h$ が分なり秒なりの適当な意味で $1$ だとすると,
$f(x + h)$ は $a_{n+1}$, $f(x)$ は $a_n$ だとみなせます.
大雑把に言えば数列の $n$ 番目, $n$ ステップ目 $a_{n}$ を
$x$ 番目と思ったのが $f(x)$ です.
極限はステップの刻みをどんどん小さくしていきますよ,
と言っているだけです.
小さくしていった究極の姿が導関数または微分係数 $f'(x)$ なので,
$h$ が小さければ $f'(x) \fallingdotseq \frac{f(x + h) – f(h)}{h}$ です.
極限という面倒な概念操作をはさむので $f'(x)$ はどうしてもわかりづらいですが,
右辺でよく近似できます.
ここでごく単純に $f'(x) = \alpha f(x)$ としてみましょう.
$f'(x)$ は $df(x) / dx$ とも書けます.
最初にやった微分方程式と揃えるため,
変数は $x$ から $t$ にして関数は $f$ ではなく $u$ と書くことにすると
$\frac{du}{dt} = \alpha u$ ですね.
これは最初にやった放射性物質の崩壊の微分方程式です.
次にさっきやった近似を使います.
$\frac{du}{dt} = \frac{u (t + h) – u(t)}{h}$ なのでした.
上の 2 式をまとめると次の式が出ます.
\begin{align}
\frac{u (t + h) – u(t)}{h}
=
\alpha u(t).
\end{align}
もちろん次のようにも書けます.
\begin{align}
u(t + h) – u(t)
=
\alpha h u(t).
\end{align}
$t$ や $h$ で書き変わっているものの,
$t$ が変数で $h$ が固定のステップの刻みなんだと思えば,
$a_{n + 1} – a_{n} = \alpha’ a_{n}$ と同じ形です: もちろん $\alpha’ = \alpha h$.
ご都合主義のような解ける漸化式,
実は現実とよくマッチしてるんですね.
こんなところです.
この講座では放射性物質の崩壊と単振動くらいしか紹介してはいませんが,
数列の処理がきちんとできると割とそのノリで物理もできます.
高校でもやる単振動の運動方程式は $\frac{d^2 u}{dt^2} = – \omega^2 u$ です.
2 階微分の左辺はともかく右辺で $u$ の一次式が出てくるわけで,
大雑把に言えばさっき説明したのと同じ形です.
今回, 微分の話もそこそこに微分方程式に突っ込んで流れを回収しました.
次回はちゃんと微分の話をしましょう.
厳密な話をしていてもきりがないので,
高校であまり触れられない「気分」を紹介します.
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
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こちらに PDF があります.
サイトでは見づらい方, コンテンツを手元に置いておきたい方は
ダウンロードしてご覧ください.
前回数列の説明をしました.
関数は数と数の対応ルールのことで,
数列は関数の特別な形,
つまり自然数と実数の対応ルールのことでした.
で, 漸化式.
漸化式は数列のルールの作り方の 1 つなのでした.
ここから微分方程式から見た微分の発想につながっていきます.
この添字, 普段は数列の $n$ 番目としか言ってないですね.
もっと積極的な意味をつけましょう.
それは$n$ 分後とか$n$ ステップ後とか時間的な意味です.
2 つめの $n$ ステップがわかりづらいでしょう.
それはあとで説明します.
小学校の頃こんな問題があったのを覚えているでしょうか?
A さんは毎分 75 m の速さで歩いて家を出ました.
A さんは 5 分後に何 m 先にいるでしょうか?
こんなのは $5 \times 75 = 375$ で一発です.
これを数列のスタンスで解いてみましょう.
A さんの $n$ 分後の家からの距離を $a_{n}$ と書くことにします.
まず $a_{0} = 0$ ですね.
毎分 75 m の速さで進むので 1 分後の家からの距離 $a_{1}$ は $a_{1} = a_{0} + 75 = 75$ です.
2 分後の距離 $a_{2}$ は 1 分後の距離から 75 m 追加です.
式で書けばもちろん $a_{2} = a_{1} + 75 = 150$ ですね.
これをくり返せば $n+1$ 分後の家から距離 $a_{n+1}$ は $a_{n+1} = a_{n} + 75$ です.
1 分前にどこにいたかわかれば次にどこにいるかわかります.
いま毎分 75 m と言ったから $n$ 分後としただけで,
これが毎時 75 m だったら $n$ 時間後を考えたいし,
毎秒 75 m だったら $n$ 秒後を考えたいですね?
いちいち状況に合わせて $n$ の呼び名を変えるの面倒ですから,
$n$ は時間というよりこの適当な単位のことだと思いたいです.
それを言葉ではっきりさせるために $a_{n}$ を $n$ ステップ目と呼びましょう.
あなたは当たり前のことを言っているだけだと思ったかもしれません.
その通りです.
そしてこの当たり前を過激に推し進めると微分に近づいていきます.
高校の力学の基本は等加速度運動です.
つまりある時刻を基準にしてその $n$ ステップ後の速さを $v_{n}$ としましょう.
速度が 1 ステップごとに $\alpha$ だけ増えるのなら,
等加速度運動は $v_{n+1} = v_{n} + \alpha$ で決まる漸化式で書けます.
実際には 1 ステップとかケチくさいこと言わないで一気に次のように書きます.
基準時刻から任意の時刻 $t$ が経過したあとの速さは $v(t) = v_0 + \alpha t$.
ここで $v_0$ は初期速度である.
漸化式を解くと $v_{n} = v_{0} + \alpha n$ なので,
形式的に $n$ を $t$ に変えればいいだけです.
でもいきなり上みたいに書かれて物理全然わからん!と思ってたりしませんでした?
やってること, 小学校の頃と何も変わりませんよ?
ふつうは適当に平均を取ると毎分 75 mなのであって,
ずっと同じペースで動いているわけないですね.
漸化式で言うと $v_{n+1} = v_{n} + \alpha$ みたいなのが成り立ちません.
$\alpha$ がステップごとに変わるわけで.
どこにどう責任を押しつけるかは難しいところです.
いちばんシンプルなのは上に書いたように $\alpha$ を $n$ の関数だと思うことですね.
つまり $v_{n+1} = v_{n} + \alpha_{n}$ と $\alpha$ を定数から関数 (数列) にしてしまいます.
面倒なのでもう考える問題は A さんが場所 B から場所 C に移動する状況にしましょう.
そして $\alpha_{n}$ の部分をなるべくシンプルにしたいです.
実はここで究極的な理想形を考えると微分が出てきます.
とてもシンプルです.
ただもう少し現実の泥くさいところ・面倒くさいところを考えていきます.
何をどうがんばっても $\alpha_n = \alpha$ にすることだけはできません.
逆にもしそうできてしまったとすると全ての運動が等加速度運動にしかならないからです.
残念ながらそんな世界には生きていません.
とにかく $\alpha_{n}$ が曲者です.
これを何とかしたい.
もちろん一般的にはどうにもなりません.
でも特殊な状況なら何とかなるかもしれません.
数列と漸化式を基本に考えていても苦しいので,
いったんそこから抜けることにしましょう.
最初に漸化式は微分方程式を近似して出てくることを見ましたね?
このミニ講座では微分方程式が本体です.
何の指針もなく五里霧中を彷徨うよりも,
大事な微分方程式と関係した漸化式を考える方が手が打ちやすいです.
というわけで数列のレベルでぐちゃぐちゃ考えるのはこの辺にして,
もう微分に行ってしまいましょう.
今回はこの辺で終わりにします.
お疲れ様でした.
今回もアンケートがあります.
改善に役立てたいのでぜひご協力をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
こちらに PDF があります.
サイトでは見づらい方, コンテンツを手元に置いておきたい方は
ダウンロードしてご覧ください.
ベクトル, 関数と来て今回は数列です.
簡単に復習すると,
関数は数と数の割り当てルールのことで,
数列も関数なのでした.
いろんな数列があります.
高校でもいろいろやります.
今回の話で 1 番大事な等比数列です.
長々とやっても仕方ないので軽く復習しときましょう.
$(x_n)$ を数列とします.
高校だと {$x_n$} と中括弧で書くと思いますが大学の数学的な都合で小括弧で書くことにします.
等比数列がどんな数列だったか,
つまりどんなルールで与えられているのかというとこんなルールです:
\begin{align}
x_{n+1}
=
\alpha x_{n}.
\end{align}
$x_{n}$ が 0 のときでも成り立つ形で書きました.
$x_{n}$ が 0 ではないならもちろん $x_{n+1} / x_{n} = \alpha$ と書けます.
どんな $n$ に対しても比が一定な数列だから等比数列というのでした.
このルールを使って一般項を出します.
$x_{n+1} = \alpha x_{n}$ で,
$x_{n} = \alpha x_{n-1}$ で,
$x_{n-1} = \alpha x_{n-2}$ で,
と延々続きます.
これが終わるのは $x_1 = \alpha x_{0}$ です.
順々に代入していくと $x_{n} = x_{0} \alpha^{n}$ になりますね.
この計算, はまる人ははまります.
実際私も高校の頃, 時々わけがわからなくなることがありました.
試験で慌てていてパニクったことを思い出します.
それはそれとして,
ここで細々とした計算を詳しく解説してると本筋を見失うので省略します.
数列をどんなところでどう使うのか,
それをちゃんと見てからきちんとやった方がよさそうですしね.
これがどこで出てきたかというと微分方程式を近似した方程式で出てきたのでした.
放射性物質の崩壊で出てきたのはこんなやつです.
\begin{align}
\frac{x_{n+1} – x_{n}}{h}
=
– x_{n}.
\end{align}
これを整理すると $x_{n+1} = (1 – h) x_{n}$ で,
$1-h = \alpha$ とすればまさにさっき書いた等比数列ですね.
さっき書いたように等比数列は指数関数で書けます.
で, 元の微分方程式の解も実は指数関数で書けます.
ちょっと先走ったことも書きました.
何はともあれ, 数列は関数で, 関数は数と数の割り当てルールのことで,
その割り当てルールとして等比数列っていう割り当て方があるんだ,
ということです.
微分方程式もその割り当てルールと見なせるっていうのが今書いたことです.
微分方程式と揃えた言い方として上の式は差分方程式と言うこともあります.
ちなみに上で紹介した割り当てルールはもっと一般的にできます.
これ, 要は次の項をその前の項で決まると言っているだけなので,
$a_{n+1} = a_{n}^2$ みたいにしてもいいし,
$a_{n+1} = a_{n} + a_{n-1}$ みたいに 2 つ前と関係あるようにしてもいいです.
この一般的なやつがいわゆる漸化式です.
もちろんこれ以外にもいろいろな漸化式があります.
あとで使うのでもう 1 つ漸化式を紹介します.
そのために 2 つの数列 $(x_{n})$, $(v_{n})$ を用意します.
で, 次のような漸化式を考えます.
\begin{align}
x_{n+1} – x_{n}
=
v_{n}, \quad
v_{n+1} – v_{n}
=
– \alpha^2 x_{n}.
\end{align}
2 つの数列が絡まりあう漸化式です.
高校でやる言葉を使うなら,
互いに階差数列を取ってると思ってもいいかもしれません.
これがどこから出てくるかというと次の微分方程式からです.
\begin{align}
\frac{d^2 x(t)}{dt^2}
=
– \alpha^{2} x(t).
\end{align}
この微分方程式も物理でよく出てくる方程式で,
いわゆる単振動の運動方程式です.
さっきの漸化式を出すには $v(t) = x'(t)$ としてもとの方程式も $v’ = – \alpha^2 x$ とすればいいです.
これを差分近似すると次の式が出てきます.
\begin{align}
x_{n+1}
=
x_{n} + h v_{n}, \quad
v_{n+1}
=
v_{n} – h \alpha^{2} x_{n}.
\end{align}
$h$ が入っていて係数が微妙に違いますが,
あまり気にしないでください.
この辺の計算プログラムも準備してあります.
この記事後半のプログラムパートを確認してください.
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
復習でもう 1 回.
一番単純でしかも実際に使われる微分方程式としてまずは 1 階の線型常微分方程式を考えよう.
ちょっと不吉な例であるが放射性物質の崩壊の方程式を紹介する.
導出をしたければちゃんと物理を勉強してもらう必要がある.
ここでは物理は省略して数学に集中する.
\begin{align}
\frac{dx}{dt} = – c x.
\end{align}
厳密解は $x = C_0 e^{-ct}$ だ.
初期値を設定すれば $C_0$ はそこから決まる.
微分を単純に離散化すると次のようになる.
\begin{align}
\frac{x_{n+1} – x_{n}}{\Delta t}
=
-c x_{n}.
\end{align}
$\Delta t$ は $h$ と書くこともある.
整理すると次の通り.
\begin{align}
x_{n+1}
=
x_{n} – c (\Delta t) x_{n}.
\end{align}
これに沿って計算したのがいわゆるオイラー法.
次のセルではこれをコードに落としている.
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
def radioactive_euler(nt, init = 10):
dt = 2 / (nt - 1)
# 初期条件設定
x = np.zeros(nt)
x[0] = init
for i in range(1, nt):
x[i] = x[i-1] - c * dt * x[i-1]
# ベクトル計算で書き直したい
return x
# 近似解
c = 1
nt = 101
init = 5
x1 = radioactive_euler(nt, init)
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), x1)
# 厳密解
t = np.linspace(0, 2, nt)
x2 = init * np.exp(- c * t)
plt.plot(t, x2)
# 凡例
plt.legend(['approximation', 'exact'])
plt.show()
# 描画
#plt.savefig(img_file)
#b64 = base64.encodestring(open(img_file, 'rb').read()).decode('utf-8')
#img_str = "
" % (b64)
#print(img_str)
RESULT
こちらは単振動.
次に 2 階の常微分方程式を紹介しよう.
高校の物理で出てくるばねの振動(単振動)がまさにこの例だ.
項を増やすと減衰振動になったり、外力をつけたりといろいろなケースがある.
まずは一番単純な式を考えよう.
\begin{align}
\frac{d^2 x}{dt^2}
=
– \omega^2 x.
\end{align}
オイラー法やルンゲ-クッタ法は
1 階の方程式に対する計算法なので直接は使えない.
今は中間処理として $v = dx/dt$ を置いて計算すればいい.
これは単なる数値計算の便法ではない.
速度の意味もあるから,
という表面的な理由ではなくもっと深く解析力学の文脈で物理としても大事な視点だ.
もっといえばシンプレクティック計算法などもっといい計算法にも発展する.
とりあえずオイラー法で計算したい.
まずは微分方程式自体を書き直す.
\begin{align}
\frac{dx}{dt}
=
v, \quad
\frac{dv}{dt}
=
– \omega^2 x.
\end{align}
これをオイラー法で近似しよう.
\begin{align}
x_{n+1}
=
x_{n} + h v_{n}, \quad
v_{n+1}
=
v_{n} – h \omega^{2} x_{n}.
\end{align}
オイラー法をコードに落とす.
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib import animation
def harmonic_euler(nt, init = (5, 0)):
dt = t_range / (nt - 1)
# 初期条件設定
x = np.zeros(nt)
v = np.zeros(nt)
x[0] = init[0]
v[0] = init[1]
for i in range(1, nt):
x[i] = x[i-1] + dt * v[i-1]
v[i] = v[i-1] - dt * (omega ** 2) * x[i-1]
# ベクトル計算で書き直したい
return (x, v)
omega = 2 * np.pi
nt = 101
t_range = 2
init = (5, 0)
harm = harmonic_euler(nt, init)
t = np.linspace(0, 2, nt)
# 厳密解
x_exact = init[0] * np.cos(- omega * t)
v_exact = - omega * init[0] * np.sin(omega * t)
# グラフ描画
plt.subplot(3, 1, 1)
plt.title('x-t graph')
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), harm[0])
plt.plot(t, x_exact)
plt.legend(['x approximation', 'x exact'])
plt.subplot(3, 1, 2)
plt.title('v-t graph')
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), harm[1])
plt.plot(t, v_exact)
plt.legend(['v approximation', 'v exact'])
plt.subplot(3, 1, 3)
plt.title('phase space')
plt.plot(harm[0], harm[1])
# 描画
plt.tight_layout()
plt.show()
#plt.savefig(img_file)
#b64 = base64.encodestring(open(img_file, 'rb').read()).decode('utf-8')
#img_str = "
" % (b64)
#print(img_str)
RESULT
見ての通り時間が進むごとに誤差が大きくなる.
nt を大きくすると少しはましになる.
実際に上のコードで nt を大きくして再計算してみてほしい.
あとまずいのは phase space の図だ.
この系はエネルギーが保存する系だから相空間内の軌道が閉じてほしいのにそうなっていない.
シンプレクティックにやれば解消できるようだが, とにかくここではよろしくない.
この方程式でオイラー法はよろしくないことがわかった.
とりあえずルンゲ-クッタでやってみよう.
とりあえず近似式を書く.
\begin{align}
x_{n+1}
&=
x_{n} + \frac{h}{6} (k_{1} + 2 k_{2} + 2 k_{3} + k_{4}),
\end{align}
\begin{align}
t_{n+1}
&=
t_{n} + h,
\end{align}
\begin{align}
k_{1}
&=
v_{n},
\end{align}
\begin{align}
k_{2}
&=
v_{n} + \frac{h}{2} k_{1},
\end{align}
\begin{align}
k_{3}
&=
v_{n} + \frac{h}{2} k_{2},
\end{align}
\begin{align}
k_{4}
&=
v_{n} + h k_{3}.
\end{align}
次が $v$ の式.
\begin{align}
v_{n+1}
&=
v_{n} + \frac{h}{6} (k_{1} + 2 k_{2} + 2 k_{3} + k_{4}),
\end{align}
\begin{align}
t_{n+1}
&=
t_{n} + h,
\end{align}
\begin{align}
k_{1}
&=
– \omega^2 x_{n},
\end{align}
\begin{align}
k_{2}
&=
x_{n} – \frac{h}{2} \omega^2 k_{1},
\end{align}
\begin{align}
k_{3}
&=
x_{n} – \frac{h}{2} \omega^2 k_{2},
\end{align}
\begin{align}
k_{4}
&=
x_{n} – h \omega^2 k_{3}.
\end{align}
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib import animation
def harmonic_rk(nt, init = 10):
dt = t_range / (nt - 1)
# 初期条件設定
x = np.zeros(nt)
v = np.zeros(nt)
x[0] = init[0]
v[0] = init[1]
def fx(t, x, v):
return v
def fv(t, x, v):
return - (omega ** 2) * x
# ベクトル計算で書き直したい
for i in range(1, nt):
xk1 = fx(dt * (i - 1), x[i-1], v[i-1])
vk1 = fv(dt * (i - 1), x[i-1], v[i-1])
xk2 = fx(dt * (i - 1/2), x[i-1] + xk1 * dt / 2, v[i-1] + vk1 * dt / 2)
vk2 = fv(dt * (i - 1/2), x[i-1] + xk1 * dt / 2, v[i-1] + vk1 * dt / 2)
xk3 = fx(dt * (i - 1/2), x[i-1] + xk2 * dt / 2, v[i-1] + vk2 * dt / 2)
vk3 = fv(dt * (i - 1/2), x[i-1] + xk2 * dt / 2, v[i-1] + vk2 * dt / 2)
xk4 = fx(dt * (i - 1), x[i-1] + xk3 * dt, v[i-1] + vk3 * dt)
vk4 = fv(dt * (i - 1), x[i-1] + xk3 * dt, v[i-1] + vk3 * dt)
x[i] = x[i-1] + dt / 6 * (xk1 + 2 * xk2 + 2 * xk3 + xk4)
v[i] = v[i-1] + dt / 6 * (vk1 + 2 * vk2 + 2 * vk3 + vk4)
return (x, v)
omega = 2 * np.pi
nt = 101
t_range = 2
init = (5, 0)
harm = harmonic_rk(nt, init)
t = np.linspace(0, 2, nt)
x_exact = init[0] * np.cos(- omega * t)
v_exact = - omega * init[0] * np.sin(omega * t)
plt.subplot(3, 1, 1)
plt.title('x-t graph')
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), harm[0])
plt.plot(t, x_exact)
plt.legend(['x approximation', 'x exact'])
plt.subplot(3, 1, 2)
plt.title('v-t graph')
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), harm[1])
plt.plot(t, v_exact)
plt.legend(['v approximation', 'v exact'])
plt.subplot(3, 1, 3)
plt.title('phase space')
plt.plot(harm[0], harm[1])
# 描画
plt.tight_layout()
plt.show()
#plt.savefig(img_file)
#b64 = base64.encodestring(open(img_file, 'rb').read()).decode('utf-8')
#img_str = "
" % (b64)
#print(img_str)
RESULT
今度の一致具合はなかなかよさそう.
あくまで見た目の感じではあるけれども.
良くなったのは一番下の図, 相空間軌道だ: ちゃんと閉じてくれた.
こちらに PDF があります.
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前回はベクトルを紹介しました.
ベクトルは始点と終点をつなぐ矢印であり,
その矢印を辿って折れ線を作って曲線を近似するんだ,
そういう視点からの紹介です.
今回は関数です.
そして数列, 漸化式, 微分, 微分方程式とつないでいく予定です.
で, 関数.
とりあえず数と数を適当なルールで結びつける装置のことだと思ってください.
関数のよくある説明は自動販売機ですね.
自動販売機にお金を入れて何かボタンを押すと,
押したボタンに対応した飲み物が出てきます.
この対応がまさに関数です1.
ここで数学として大事なのは押したボタンに応じていつでも同じ飲み物が出てくることです.
同じボタンを押したのに違う飲み物が出てこられたらルール壊れてますからね.
数学で具体例を出すなら $f(x) = x^2$.
$x$ を入れたら必ず $x^2$ を出してくれる機械を関数と呼んでいるわけです.
この関数を支配するルールはもちろん $x$ を $x^2$ に変換することです.
このルールは本当は何でもいいです.
この講座で大事なのはルールが微分方程式で決まる場合です.
かといっていきなり微分にかっとぶのも大変なのでもうちょっとクッションを入れます.
あなたは関数は実数に対して実数をあてるルールと思っているかもしれません.
実際にはもっとゆるくて何かと何かを適当に割り当てるルールくらいに思っておいてください.
例えば自然数2に対して実数を割り当てる関数だってあります.
これはふつう数列と呼ばれています.
つまり数列も関数なんですね.
あなたが数列を勉強したことがあるなら,
数列は「ある規則にしたがって数を書き並べたもの」みたいな説明を受けなかったでしょうか?
この説明, まさに関数と同じです!
高校だと数列は特にルールっていう感じで出てきます.
等差数列とか等比数列とか階差数列とかもそうだし,
漸化式なんてまさに数列を作っていくルールのことですしね.
最初にシミュレーションでやったことを思い出してもらうと,
プログラムを書いて計算していったのはまさに漸化式です.
あとあなたが大学の数学やその他の学問に興味があるなら次のようなことまで知っておくと楽しいかもしれません:
数列は自然数全体を適当なルールで実数に割り当てる関数でした.
ここで自然数全体じゃなくて $1$ から $n$ までを実数に割り当てる関数を考えてみましょう.
実はこれはベクトルです.
$n$ 次元のベクトルってやつです.
ベクトルは他にいろいろ要件があるのであんまり適当なこと言うのも微妙なんですが.
ちなみに「$3$ より高い次元のベクトルなんてどこに使うの?」みたいなこと,
工学部の大学生が言っているのを聞いたことがあります.
でも実はシミュレーションでこういう高次元のベクトルをバリバリ使っています.
最後のベクトルの話はわからなくても問題ないです.
関数は数と数の対応ルールであること,
数列は特殊な関数であること,
この 2 つを覚えておいてください.
今回は概念の説明だけだったのでちょっと難しかったでしょう.
次回の数列では高校の復習しながら具体的な話もします.
今回の話がわからなくてもあまり気にしないでください.
今回はここまでです.
お疲れ様でした.
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
こちらに PDF があります.
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ここまでは微分方程式が自然現象のシミュレーションに使えることを紹介し,
実際の微分方程式をいくつか見てきました.
実際のシミュレーションでは本当に微分方程式を厳密に解いているわけじゃなくて,
近似計算をしているんだ,
そしてそれは四則演算なんだというのを大雑把に紹介してきました.
近似といってもけっこうきちんと計算できますよ,
ということを見るためにもとにかくいくつかの実例を紹介することを優先にしてきました.
我慢強いあなたも「もういい加減きちんと数学の紹介して!」
と思ってらっしゃるはずです.
というわけで数学の紹介も簡単にやっていきましょう.
微分方程式なんだからまずは微分じゃないの?
と思う方もいらっしゃるでしょう.
でも今回の話の流れでは微分の話をする前にベクトルをやった方がスムーズなので,
ベクトルからいきます.
高校でベクトルは向きと大きさがある矢印のことと言われます.
それはそれで大事な見方ですが,
ここでは始点と終点がある矢印と思ってみてください.
始点と終点をつないだたくさんのベクトルで作った折れ線を方程式の近似解とみなすのが今回の話のキモだからです.
図のように曲線を適当な間隔でわけましょう.

わけた点に $A_0, A_1, \dots, A_n$ と順に名前をつけていきます.
そして $A_0$ と $A_1$, $A_1$ と $A_2$ というふうに始点と終点を入れかえながら隣の点どうしを結んでいきます.
$A_0$ から $A_1$ に向かって進むんだ,
という気持ちを表したいのでそれを $\overrightarrow{A_0 A_1}$ と書くことにします.
記号の上の右向き矢印で点 $A_0$ から点 $A_1$ に向かっている気分もはっきり書いています.
ここで何度も始点と終点をつないだ矢印を継ぎ足しています.
この継ぎ足しという図形の操作がベクトルの足し算です.
例を 1 つだけ書いておくと $\overrightarrow{A_0 A_1} + \overrightarrow{A_1 A_2} = \overrightarrow{A_0 A_2}$ です.
高校だとベクトルに関してもっといろいろなことが出てきます.
定数倍したり内積を取ったり長さを調べたりなどなど.
もちろんベクトルを使っていろいろやるならやっておかないと困ります.
でも微分方程式から数学を眺めてみる立場ではまずここさえ乗り越えればどうにかなります.
他のことは他のことをやるときに絡めてやってみてください.
折れ線をつないでいって曲線を近似する様子をもっときちんと見てみましょう.
具体的な曲線としては円を取り,
それを等分して折れ線近似した様子をプログラムで描きました.
次のページを見てください.
最後に近似がよくなっていくアニメーションもつけています.
基本的なプログラムはこの記事の後半にも載せています。
アニメーションは Jupyter との連携でやっているので,
この記事ではうまく動かせません.
上のリンクのページから確認してください.
今回はここまでです.
お疲れ様でした.
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
div_num = 9
def draw_circle_by_polygonal_line(div_num):
thetas = np.linspace(0, 2 * np.pi, div_num)
xs = np.cos(thetas)
ys = np.sin(thetas)
plt.plot(xs, ys)
plt.gca().set_aspect('equal', adjustable='box')
円周上の点を $n$ 分割し折れ線で分点をつないでいった.
一旦個別に図示している.
for i in range(4, 12):
pnum = i - 3
plt.subplot(2, 4, pnum)
plt.xlim([-1.2, 1.2])
plt.ylim([-1.2, 1.2])
plt.title("div = " + str(i-1))
draw_circle_by_polygonal_line(i)
draw_circle_by_polygonal_line(1000)
plt.tight_layout()
RESULT
9 分割までを重ねて 1 つの図にしてみた.
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
for div_num in range(10):
draw_circle_by_polygonal_line(div_num)
draw_circle_by_polygonal_line(1000)
plt.xlim([-1.2, 1.2])
plt.ylim([-1.2, 1.2])
plt.show()
RESULT
分割を細かくしていくことで精度が上がる様子をアニメーションで見てみよう.
下のプログラムを Jupyter 上で実行すると,
図の両端にある「+」「-」ボタンでアニメーションのスピードを変えられる.
適当に変えて遊んでみよう.
注意
次のプログラムは Jupyter 上で実行することを前提にしている.
他の実行環境で動くかどうかは確認していない.
ここを見ると Jupyter のアニメーションが見られる.
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib import animation
from JSAnimation.IPython_display import display_animation
def circle_data(div_num):
thetas = np.linspace(0, 2 * np.pi, div_num)
xs = np.cos(thetas)
ys = np.sin(thetas)
return (xs, ys)
circles = []
for i in range(4, 31):
circles.append(circle_data(i))
#fig = plt.figure(figsize=(10, 10));
fig = plt.figure();
ax = plt.axes(xlim=(-1.2, 1.2), ylim=(-1.2, 1.2));
line, = ax.plot([],[],lw=2);
plt.gca().set_aspect('equal', adjustable='box')
def animate(data):
x = data[0]
y = data[1]
line.set_data(x, y)
return line
anim = animation.FuncAnimation(fig, animate, frames=circles, interval=100)
display_animation(anim, default_mode='reflect')
こちらに PDF があります.
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ダウンロードしてご覧ください.
次回からもう少し数学的に詳しく踏み込んでいきます.
その前にここまでの話を簡単にまとめておきましょう.
ここでは微分方程式をそのまま扱うよりも差分で近似してシミュレーションで遊ぶことを目的にしています.
そしてそのシミュレーションための差分計算で中高の数学を総動員するのでした.
いくつか箇条書きでまとめておきましょう.
後で出す微分方程式の厳密解やその解を導く間に三角関数や対数関数も出てきます.
当然これの微分積分も必要です.
シミュレーションの気持ちを知るためにはベクトルが役に立ちますし,
連立 1 次方程式を解くのに行列を知っていると便利です.
微分方程式の厳密解を出すのに複素数が使えると便利な場面も多いし,
実際に大学だとよく使いますね.
電気回路の理論をやると必ず出てきます.
ちなみに理工系で実験やろうと思うと必ずどこかしらに電気回路が出てきますから,
理工系なら複素数使えないとまずいというのも思い知らされます.
複素数と行列は高校の課程に入ったり入らなかったりするので,
あなたが高校生ならなおのことどちらかまたは両方を知らないかもしれません.
この中高数学駆け込み寺でも,
全体像を知ってモチベーションを上げてもらうという目的があるのであまり深入りはしません.
興味がある方のために最後に参考文献も含めて今後の勉強の指針をお伝えします.
それまで少しの間待っていてください.
次回からは数学に関して少しずつ踏み込んでいきます.
メインの微分や微分方程式の前にベクトルからはじめます.
シミュレーションを考えるときにも大事なんです.
今回もアンケートがあります.
ぜひ回答をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
こちらに PDF が置いてあります.
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あなたが高校生以上なら社会の授業で次のような言葉を聞いたことがあるかもしれません.
人口は制限されなければ幾何級数的に増加するが生活資源は算術級数的にしか増加しないので生活資源は必ず不足する.
これは有名なマルサスの『人口論』で議論された話です.
幾何級数はいわゆる等比数列の和で,
算術級数は等差数列の和です.
マルサスは経済学者なので経済の話です.
経済の話でこういう数学ネタが出てくるわけですね.
ちなみに大学の経済学だと経済の話で微分積分が本当に出てきます.
ときどき経済学部の入試で数学が受験科目に入っていることがあります.
実際に大学に入ってから使うからです.
それも高校の理系のレベルを越えた数学です.
統計データをいろいろいじらないといけないので統計学が必要で,
そっちでも割といろいろ数学が必要です.
話を元に戻しましょう.
マルサスの人口論に合わせて人口の増え方を考えます.
ここではもっと一般的に生物の集団だと思いましょう.
まずは生物の種類が 1 種類だとして考えていきます.
生物っぽく人の数というよりも一般に個体数と呼ぶことにして,
時刻 $t$ での個体数を $x(t)$ とします1.
個体数の増加率を出生率の死亡率の差として定義します.
微分方程式的にいうとこれは $x'(t) / x(t)$ です.
増加率が一定値 $\alpha$ に等しいとすると $x'(t) / x(t) = \alpha$ だから次の微分方程式が出てきます.
\begin{align}
\frac{d x(t)}{dt}
=
\alpha x(t).
\end{align}
この微分方程式をマルサスモデルと言います.
これを解くと $x(t) = x(0) e^{\alpha t}$ です.
これで指数関数が出てきました.
等比数列は一般項が $a_n = 2^{n}$ のように指数関数で書けている数列だから,
これを足し上げていけばまさに幾何級数になりますね.
放射性物質の崩壊とは指数の肩の符号が変わっているだけで,
それ以外は同じ式です.
放射性物質の崩壊と生物の個体数の変化を追う方程式が同じ形をしているわけです.
シミュレーションの結果は放射性物質の崩壊のときと基本的に同じです.
いちおうきちんとやっておきましょうか.
まず微分方程式を次のように近似します.
\begin{align}\label{math_refuge00005}
\frac{x_{n+1} – x_{n}}{h}
=
\alpha x_n, \quad
x_{n+1}
=
\alpha x_n + h x_n.
\end{align}
これにしたがって解いてみましょう.
プログラムと結果の図はこのページの後半を確認してください.
もう少し現実的な設定にしてみます.
個体数 $x(t)$ が大きくなると食物が足りなかったり,
衛生状態の悪化で病気にかかりやすくなったりして増加率が減るはずです.
そこで増加率 $\alpha$ を $\alpha – \beta x$ ($\alpha$, $\beta > 0$) に変えてみます.
\begin{align}
\frac{dx}{dt}
=
(\alpha – \beta x) x.
\end{align}
これにはロジスティック方程式という名前がついています.
悪化を $\beta x$ と書くことに必然性はありません.
とりあえずやってみただけです.
解き方はさておき解は次のようになります.
あなたがもしこの関数を微分できるなら,
厳密解になることを計算して確認してみてください.
\begin{align}
x(t)
=
\frac{\alpha}{\beta} \frac{1}{1 + e^{- \alpha t}}.
\end{align}
これを近似すると次のようになります.
\begin{align}
\frac{x_{n+1} – x_{n}}{h}
=
(\alpha – \beta x_{n}) x_{n}, \quad
x_{n+1}
=
x_n + h (\alpha – \beta x_{n}) x_{n}.
\end{align}
これも厳密解と比較しながら計算してみます.
プログラムや図はこの記事の後半を参照してください.
これもよく近似できていることは認めてもらえるんじゃないでしょうか?
でもうるさい人は「近似の精度はどう決めるの?」みたいなことを考えているはずです.
もちろんいたって真っ当な指摘です.
ただけっこう難しい問題がたくさんあって,
なかなかスカっと綺麗に回答できません.
あとで少し考えることにしてここではこのまま進みます.
あなたは数値計算の精度とかそれ以前の問題として,
次のように思っているかもしれません.
もちろんこれも正しい指摘です.
例えばマルサスモデルでもロジスティック方程式でも右辺が気になります.
実際には成長しないと子作りできないですからね.
その成長が必要だという情報が方程式に盛り込まれていません.
生物で考えるなら食物連鎖があるわけで食べられて個体数が減ることだってあります.
天敵が増えたらその個体の数はあおりを受けて激減するはずです.
もちろんこんなことは折り込み済みで,
例えば遅延型微分方程式,
ロトカ-ボルテラ方程式と呼ばれる方程式が対応しています.
これを調べるのも面白いんですが,
今回はこのくらいにしておきましょう.
簡単にまとめると,
今回は近似の精度が気になるあなたのために,
実際どのくらいよく本当の解を近似できているのかを調べました.
経済学や生物のようにあんまり数学との関係がなさそうな分野と数学の関係も紹介しています.
長くなってきましたが最後にちょっと大事な話.
式 \eqref{math_refuge00005} で $\alpha = 1$, $h = 1$ とすると $x_{n+1} = 2 x_n$ になります.
この漸化式は高校でも出てくるやつで, もちろん公比 $2$ の等比数列の漸化式です.
底が $2$ か $e$ かの違いはあっても指数関数で書けることは同じです.
これはたまたまではなくて数学的に意味があることです.
$x_{n+1} – x_{n}$ のように数列の隣の項の差を差分と言うことがあります.
もちろん微分との関係を強く意識した言葉です.
数列の問題, もっと言えば漸化式の問題は微分方程式とも深い関係があります2.
あまり深入りはしませんが数学や物理に興味があるなら覚えておくといろいろ楽しいことがあります.
今回もアンケートがあります.
改善に繋げたいのでぜひ積極的に回答をお願いします.
ではまた次回をお楽しみに!
基本は放射性物質の崩壊と同じだからあっさり行こう.
\begin{align}
\frac{dx}{dt}
=
\alpha u.
\end{align}
厳密解は $x(t) = C_0 e^{\alpha t}$ だ.
初期値を設定すれば $C_0$ はそこから決まる.
微分を単純に離散化すると次のようになる.
\begin{align}
\frac{x_{n+1} – x_{n}}{h}
=
\alpha x_{n}.
\end{align}
整理すると次の通り.
\begin{align}
x_{n+1}
=
x_{n} + \alpha h x_{n}.
\end{align}
オイラー法でコードに落とそう.
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
def malthus_euler(nt, init = 10):
dt = 2 / (nt - 1)
# 初期条件設定
x = np.zeros(nt)
x[0] = init
for i in range(1, nt):
x[i] = x[i-1] + c * dt * x[i-1]
return x
c = 1
init = 1
nt = 101
x_approx = malthus_euler(nt, init)
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), x_approx)
t = np.linspace(0, 2, nt)
x_exact = init * np.exp(c * t)
plt.plot(t, x_exact)
plt.legend(['approximation', 'exact'])
plt.show()
RESULT
t が大きくなると厳密解の方が少し大きくなる.
指数の肩の符号が違うだけなので,
放射性物質の崩壊で形式的に時間を負の方に伸ばせば同じようにズレが出てくるはずだ.
私の今の感覚だとこのズレが今回のように大きくなるように出るのかどうかまではわからない.
何はともあれ区間の分割数 nt を大きくしてみたのが次の結果:
具体的には 101 から 1001 にした.
ライブラリが読み込まれていたり関数 malthus_euler が定義されている前提のコード片なので,
これだけで実行できるわけではない.
IPython か Jupyter なら順にセルを読み込んでいけばそのまま実行できる.
c = 1
init = 1
nt = 1001
x_approx = malthus_euler(nt, init)
plt.plot(np.linspace(0, 2, nt), x_approx)
t = np.linspace(0, 2, nt)
x_exact = init * np.exp(c * t)
plt.plot(t, x_exact)
plt.legend(['approximation', 'exact'])
plt.show()
RESULT
$nt = 101$ よりも近似の精度が良くなった.
この辺は単純に振る舞ってくれるようだ.
調和振動子だとオイラー法自体がうまく動かないから注意したい.
方程式は次の通り.
\begin{align}
\frac{dx}{dt}
=
(\alpha – \beta x) x.
\end{align}
厳密解は次の通り.
\begin{align}
x(t)
=
\frac{\alpha}{\beta} \frac{1}{1 + e^{- \alpha t}}.
\end{align}
近似すると次の通り.
\begin{align}
\frac{x_{n+1} – x_{n}}{h}
=
(\alpha – \beta x_{n}) x_{n}, \quad
x_{n+1}
=
x_n + h (\alpha – \beta x_{n}) x_{n}.
\end{align}
では数値的に解いてみよう.
とりあえず $\alpha = 2$, $\beta = 1$ で計算している.
%matplotlib inline
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
def logistics_euler(nt, init = 10):
dt = T / (nt - 1)
# 初期条件設定
x = np.zeros(nt)
x[0] = init
# ベクトル計算で一気に計算したい
for i in range(1, nt):
x[i] = x[i-1] + dt * (alpha - beta * x[i-1]) * x[i-1]
return x
alpha = 2
beta = 1
init = 1
nt = 101
T = 5 # 時間変化を見る最大値
x_approx = logistics_euler(nt, init)
plt.plot(np.linspace(0, T, nt), x_approx)
t = np.linspace(0, T, nt)
x_exact = (alpha / beta) / (1 + np.exp(- alpha * t))
plt.plot(t, x_exact)
plt.legend(['approximation', 'exact'])
plt.show()
RESULT
近似解と厳密解にちょっとズレが見える.
そこで nt = 101 から nt = 1001 にしてみた.
alpha = 2
beta = 1
init = 1
nt = 1001
T = 5 # 時間変化を見る最大値
x_approx = logistics_euler(nt, init)
plt.plot(np.linspace(0, T, nt), x_approx)
t = np.linspace(0, T, nt)
x_exact = (alpha / beta) / (1 + np.exp(- alpha * t))
plt.plot(t, x_exact)
plt.legend(['approximation', 'exact'])
plt.show()
RESULT