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目次
はじめに
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ここまで
前回で流れを一通り回収しました.
最初にとにかく微分方程式をシミュレーションしています.
物理, 経済, 生物といろいろな分野の現象が微分方程式で書けることを紹介し,
プログラムを書いて解いています.
そのあとベクトル, 関数, 数列, 微分とつなげてきました.
微分の定義の復習
雑に「微分」と書きました.
数学的には微分というと微分 1-形式を想像したりもするので,
数学関係者からは怒られそうな書き方なんですがまあいいでしょう.
ちゃんというなら微分係数の定義,
そして導関数の定義です.
関数 $f(x)$ の導関数 $f'(x)$ は次のように定義するのでした.
\begin{align}
f'(x)
=
\lim_{h \to 0} \frac{f(x + h) – f(x)}{h}.
\end{align}
「式よりもイメージを」
微分係数はよく関数の接線の傾きと言われますね?
それは確かに間違いないし,
そういう絵も描けて目に見えて「わかりやすい」のかもしれません.
でも「だから何なの」と思いませんか?
ふだん接線引く機会なんてないし,
それでどこが嬉しいのか, 何を説明したことになるのか,
まあ分からない.
これで何かを説明した気になられても, とずっと思っていました.
微分の気分: 地面は平らですか?
地球が球体とか楕円体だとかいう話,
ふだん実感することありますか?
あなたが山に住んでいるなら坂のアップダウンが激しかったり,
海辺に住んでいると地平線が見えてしまったりするので微妙なんですが,
まあ地面は平らと感じていることにしてください.
この感じを数学的に抜き出したのが微分という概念です.
要は曲がっているものでも拡大していけばまっすぐに感じるよね,
という話です.
具体的には地面を歩いていても目に見える範囲で地球の曲がりを感じることはありません.
まっすぐどこまでも続いているように感じます.
実際には地球の表面は曲がっているにも関わらず.
このとき地球の大きさに対して人間がものすごく小さいことに注意してください.
地球を球と思うとだいたい半径が 6000 km です.
$10^{7}$ という桁の違いがあれば曲がったものもまっすぐに感じるのをふだんから実感しているわけです.
シミュレーションでもこの事情を使って近似をしています.
「だって実際平らだって思ってるでしょ?」という感じ.
数学的な言葉に翻訳すると全体を見れば曲面であっても,
局所的に考えれば平面で近似できるということです.
3 次元空間内での平面は $ax + by + cz = d$ という一次式で書けます.
この幾何を背景にした一次近似が微分の気持ちです.
1 変数の場合が接線
曲がっているものをまっすぐ見るのが微分と言いました.
1 変数というか 1 次元というか,
その世界でまっすぐなものは直線です.
曲線を直線または線分で近似していこうというのが微分なわけです.
それで接線の話につながるんですね.
具体的な図は第 5 回のベクトル回で紹介しています.
後半にプログラムと一緒に図をいくつか載せているのでその図を見てみてください.
アニメーションも合わせて載せているので,
曲がっているものはまっすぐなもので近似できるんだ,
というのが視覚的にわかると思います.
微分できない関数は?
微分できない状況はいくつかあります.
気分的に言えば変な曲がり方をしているものなんていくらでもあるし,
いつでもまっすぐなもので単純に近似しようとしてもうまくいくわけないよね,
というただそれだけの話です.
ご都合主義は押し通せないというだけ.
個別具体的にはいろいろあって,
特異点論みたいな大事な話もあります.
そこまでいくとウルトラハードモードになるので,
こんなところで議論しきれません.
まとめ
- 日常生活で地面はまっすぐ感じるよねというのが微分の気持ち.
お住まいの地域によっては全く感じ取れないかもしれません.
「地面」の定義次第なんですが,
とりあえず地球が曲がっていると感じられる人はそんなにいないと思っています.
曲がったものでも十分近づけばまっすぐ感じるよね,
曲線だったら直線, もっと言えば接線で十分よく近似できるし,
曲面なら平面, もっと言えば接平面で十分よく近似できるよね,
そういう話です.
アンケートの回答をお願いします
今回もアンケートがあります.
改善につなげるためぜひ回答をお願いします.
次回は今後の勉強の指針をお伝えしていきます.
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